JP3162576B2 - 移動体通信装置 - Google Patents

移動体通信装置

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JP3162576B2
JP3162576B2 JP15502294A JP15502294A JP3162576B2 JP 3162576 B2 JP3162576 B2 JP 3162576B2 JP 15502294 A JP15502294 A JP 15502294A JP 15502294 A JP15502294 A JP 15502294A JP 3162576 B2 JP3162576 B2 JP 3162576B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、広範に移動する移動体
に対して、無線を利用して通信回線を確保するディジタ
ル方式のセルラ電話等の移動体通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】多元アクセス方式とは、同一の帯域で複
数の局が同時に通信を行なう際の回線接続方式のことで
あり、いくつかの方式がある。TDMA(Time Divisio
n Multiple Access )は、時間分割多元接続のことで、
無線周波数を時間分割し、ユーザに特定の時間帯を割り
当て、その割り当てられた時間帯で通信を行なう方式で
ある。また、CDMA(Code Division Multiple Acces
s )とは、符号分割多元接続のことで、情報信号のスペ
クトルを、本来の情報帯域幅に比べて十分に広い帯域に
拡散して伝送するスペクトル拡散通信によって多元接続
を行なう技術である。直接拡散方式とは、拡散において
拡散系列符号をそのまま情報信号に乗じる方式である。
TDD(Time Division Duplex)とは、送受信同一帯域
方式のことで、ピンポン方式とも呼ばれ、同一の無線周
波数を送信/受信に時間分割して通信を行なう方式であ
る。TDD方式の利点としては、論文”マイクロ・ピコ
セルラ通信およびネットワーク構成”(中島:第6回
回路とシステム 軽井沢ワークショップ (April 19-2
0, 1993) pp.121-126 )に示されているように、基地
局に送信ダイバーシチを適用することができるため、移
動機においてスペースダイバーシチが不要になり小型化
が図れるなどの利点が知られている。
【0003】これらのうち、TDMAとTDDとを組み
合わせたTDMA/TDD方式は、日本の次世代ディジ
タルコードレス電話システムであるPHP(Personal H
andyPhone)システムや同様に欧州で開発中のDECT
システムに用いられている。例えば、PHPでは図6の
ようなフレーム構成を持ち、送信2.5ms/受信2.
5msで、送受信合わせた5msを1フレームとして、
4チャネル多重をしている。
【0004】一方、CDMA方式は、セルラシステムに
おいてはTDMAよりも高い周波数利用効率が図れ、よ
り多くの利用者を収容できる方式とされている。直接拡
散CDMA方式では、希望の送信機が受信機の遠方にあ
り、非希望の送信局が近くにある場合、希望局からの受
信信号より、干渉局の受信信号の方が受信電力が大きく
なり、処理利得(拡散利得)だけでは、拡散符号間の相
互相関を抑圧できず、希望局との通信が不可能になると
ういう「遠近問題」の課題がある。このため、セルラシ
ステムでは、移動端末から基地局側への回線(上り回
線)においては、各伝送路の状態に応じた送信電力の制
御(パワコントロール)が必須のものとなっている。
【0005】CDMA/TDD方式は、論文 "POWER CO
NTROL IN PACKETS SWITCHED TIME DIVISION DUPLEX DIR
ECT SEQUENCE SPREAD SPECTRUM COMMUNICATIONS"(R.ESM
AILZADEH, M.NAKAGAWA, A.KAJIWARA, proc. of VTC'92,
pp.989-992,1992) に示されているように、直接拡散に
よって多重化された信号を同一の周波数帯で送受信する
ことで、受信信号から送信周波帯における伝送路の状態
を知ることができ、直接拡散方式CDMAの課題である
遠近問題に対して有効な送信信号のパワ制御を比較的容
易に行なうことができることが知られている。また、T
DD方式であることから、基地局に送信ダイバーシチを
適用することができるため、移動機の小型化が図れる。
図7にフレーム構成の一例を示す。この図では、チャネ
ル1からNまでN多重している。但しこの方式では、送
受信において時間分割を用いるために、セルラ通信にお
いては、移動端末と基地局間だけでなく、各基地局間で
も送受信タイミングの同期を取る必要がある。また、送
受信タイミングのずれから送受信信号が衝突するのを避
けるために、ガードタイム(GT)を設けてある。
【0006】一方、2000年頃に世界統一方式の将来
公衆陸上移動通信システム(FPLMTS)の構築を目
指して、現在ITUを中心にこのシステムの多元アクセ
ス方式等の検討が進められている。CDMA方式は、セ
ルラシステムにおいてはTDMAよりも高い周波数利用
効率が図れ、より多くの利用者を収容できるため、無線
ゾーンの半径もTDMA方式のマイクロセルシステムに
比べてより大きなマクロゾーンを有し、上記FPLMT
Sの多元アクセス方式の有力な候補として注目されてい
る。既にFPLMTS周波数帯として、1885〜2025MHz
および2110〜2200MHz を使用することが決定されている
が、次世代ディジタルコードレス電話システムであるP
HPシステムやDECTシステムに使用される無線周波
数帯は1.9G帯であり、上記FPLMTS周波数帯の
一部と一致している。このため、FPLMTSの多元ア
クセス方式としてCDMA/TDD方式の適用を考えた
とき、FPLMTSとその周波数帯の一部を使用する次
世代ディジタルコードレス電話システムの両方に対して
通信可能な移動端末の開発が必要になると予想され、小
型化・低コスト化等の観点からできるだけ構成回路の共
通化が図れる方式であることが望まれる。
【0007】図8はこのようなTDMA/TDDシステ
ムとCDMA/TDDシステムとが共存する状態で両シ
ステムに使用できる移動端末の従来例を示し、図9
(a)は両システムを隣接する状態に配置した場合を示
し、(b)はカバーエリアがオーバーラップする状態に
配置した場合を示す。また、TDMAシステムとCDM
Aシステムのフレーム長は図10のように異なるものと
する。
【0008】図8において、TDMAシステムとCDM
Aシステムの各情報データ伝送速度が異なる場合、送信
側の回路構成は、TDMAモードの場合は、例えば音声
データ伝送における音声符号化処理等を終了した送信デ
ータ801が、フレーム組立回路802でフレーム同期
用(UW)信号や付随制御信号等を付加してフレーム構
成され、1次変調回路803でディジタル変調(差動符
号化、PSK変調、フィルタリング等)され、2次変調
回路804でアップコンバートされてキャリアに載せた
上で、切替スイッチ805を介して送信電力制御回路8
06でパワを調整した後、切替器807を通して送信さ
れる。
【0009】CDMAモードの場合も同様に、別回路で
符号化処理等を終了した送信データ808が、フレーム
組立回路809でCDMAシステム用のフレーム同期用
信号や付随制御信号等を付加してフレーム構成され、1
次変調回路810でディジタル変調され、さらに拡散回
路811で符号拡散した後、2次変調回路812でアッ
プコンバートされて、切替スイッチ805 を介して送信電
力制御回路806でパワを調整した後、切替器807を
通して送信される。
【0010】また、受信側では、TDMAモードの場
合、受信信号は切替器807から切替スイッチ813を
介して1次復調回路814でダウンコンバートおよび検
波(準同期検波等)されてベースバンド信号となり、さ
らに2次復調回路815で処理して受信データ816を
得る。また、この2次復調回路815の結果からUW検
出回路817でUW信号の検出を行ない、同期回路81
8で同期獲得・保持を行なう。
【0011】CDMAモードの場合も同様であり、受信
信号は切替器807、切替スイッチ813を介して1次
復調回路819でダウンコンバートおよび検波(準同期
検波等)をして、逆拡散回路820で相関検出を行な
い、さらに2次復調回路821でRake合成処理等を
して受信データ822を得る。また、この2次復調回路
821の結果からUW検出回路823でUW信号の検出
を行ない、同期回路824で同期獲得・保持を行なう。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の移動体通信装置では、両システムのフレーム長が異
なり、フレーム同期タイミングが相対的に非同期になる
ため、それぞれに対応してフレーム同期を取り、送受信
切り替えタイミングを変えて通信を行なう必要がある。
このため、両システムがオーバーラップまたは隣接した
状態でゾーン切り替えを実現するためには、両システム
の異なるフレーム同期をそれぞれ取るため、別々のUW
検出回路および同期回路を必要とし、複雑な回路構成に
なる。
【0013】また、TDMAとCDMAの各モードで、
送信側では2次変調回路までが別々の回路構成になり、
また受信側では、1次復調回路以降が別々の回路構成に
する必要があり、ハード規模が大きくなるという問題点
があった。
【0014】本発明は、このような従来の問題点を解決
するものであり、回路構成が簡単な優れた移動体通信装
置を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、TDMA/TDD方式の小ゾーンのマイ
クロセルシステムとこれよりも大きなマクロゾーンを有
するCDMA/TDD方式のマクロセルシステムのそれ
ぞれの伝送チャネルの基本フレーム構成(フレーム時
間)を共通にし、上記方式の一方または両方の装置を備
えた基地局は、自局と同じ方式の周辺基地局間だけでな
く異なる方式の基地局間とも送受信フレーム同期を取る
ための手段を備え、移動端末は、上記TDMA/TDD
方式およびCDMA/TDD方式の両方式に対して通信
が行なえる装置を備え、通信要求・設定時または移動端
末の移動によるゾーン切り替え時に、上記移動端末が上
記TDMA/TDD方式によるマイクロセルシステムの
エリア内に位置する場合は、手動または自動切り替えに
より、まずマイクロセルシステムの基地局に対して回線
接続を行ない、マイクロセルシステムに利用可能な空き
回線が存在しない場合および上記マイクロセルシステム
のエリア外に位置する場合には、手動または自動切り替
えにより、上記CDMA/TDD方式によるマクロセル
システムの基地局に対して回線接続を行なうようにした
ものである。
【0016】また、本発明は、マイクロセルシステム基
地局に無線チャネルスキャナを備えて、定期的に無線チ
ャネルの使用状況を探査して近隣のマイクロセルシステ
ムで使用していない無線チャネルを探しておき、回線の
接続要求に応じてこの無線チャネルを割り当てるように
したものである。
【0017】
【作用】したがって、本発明によれば、両システムの送
受信フレーム長が等しいので、フレーム同期タイミング
を両システム間で同期させることができ、共通の送受信
切り替えタイミングで通信を行なうことが可能になる。
これにより、両システムがオーバーラップまたは隣接し
た状態でゾーン切り替えを実現する際にも、新たに別の
フレーム同期を取る必要がなく、UW検出回路および同
期回路を分けて設ける必要がないため、回路構成が簡単
になる。
【0018】また、本発明によれば、移動端末をマイク
ロセルシステムに優先的に接続することで、無線周波数
を空間的に繰り返し利用することができ、周波数の利用
効率を高めることができる。さらに、無線による通信部
分を短くすることで、有線の公衆電話通信網の利用によ
り加入者に対して安価な回線を提供できるとともに、移
動端末の送信電力を小さくできるため、移動局端末を小
型化したり、連続通話時間を拡大することができる。
【0019】
【実施例】図1は本発明の一実施例における移動体通信
装置の移動端末の構成例を示す。図2には本発明のTD
MA/TDD方式とCDMA/TDD方式のフレーム構
成例を示す。本実施例においては、TDMA/TDD方
式は、PHPシステムと同じフレーム構成であり、ま
た、CDMA/TDD方式は、送信/受信用の基本フレ
ーム構成(フレーム時間)を上記TDMAと共通の2.
5msにして、各Nチャネル多重している。さらに、ガ
ードタイム(GT)としては0.2ms設けてある。P
HPシステムでは、ガードビット(G)として、16ビ
ット(約42μs)を設けている。0.2msのガード
幅はシステムを適用する環境(主にゾーン半径)による
ので必ずしも固定的である必要はない。また、このガー
ドタイムはPHPの場合と同様にガードビット(G)と
してフレームを構成する伝送ビットの一部として考える
こともできる。本実施において、上記の基本フレーム構
成とは1フレーム中の伝送情報ビットを構成するユーザ
情報のビット数や、上位レイヤの制御情報の種類やその
ビット数を指す。そして基本フレーム構成を共通にする
というのは、上に例示したユーザ情報のビット数や、上
位レイヤの制御情報の種類やそのビット数といったフレ
ームの基本構成部分を共通にすることである。これによ
り、例えば音声通話の場合、音声信号を符号化して送信
データ(図1参照)を生成する回路や、受信データ(図
1参照)から音声信号を再生する回路を共通にすること
ができる。
【0020】この場合、両システムの送受信フレーム長
が等しいので、一方式または両方式の装置を備えた基地
局は、自局と同じ方式の周辺基地局間だけでなく、異な
る方式の基地局間とも、図3に示すように、送受信フレ
ームタイミングを互いに同期させることができ、移動端
末は両システム共通の送受信切り替えタイミングで通信
を行なうことが可能になる。これにより、両システム
が、図9のようにオーバーラップまたは隣接した状態で
ゾーン切り替えを実現する際にも、新たに別のフレーム
同期を取る必要がなく、UW検出回路および同期回路の
回路構成の簡素化が図れる。
【0021】図1において、101は送信データ、10
2は送信ベースバンド部であり、TDMAモードの場合
とCDMAモードの場合とで回路構成が異なっている。
103は両モードを切り換えるための切替スイッチ、1
04はTDMAモードの場合のフレーム組立回路、10
5はその1次変調回路である。106はCDMAモード
の場合フレーム組立回路、107はその1次変調回路、
108は拡散回路である。109は両モードを切り換え
るための切替スイッチ、110は2次変調回路、111
は送信電力制御回路、112は送受信を切り換えるため
の切替器である。113は受信したデータを1次復調す
るための1次復調回路、114は両モードを切り換える
ための切替スイッチ、115はTDMAモードの場合、
受信した信号を2次復調するための2次復調回路、11
6はUW検出回路、117は同期回路、118はCDM
Aモードの場合に受信した信号を逆拡散するための逆拡
散回路、119はその2次復調回路、120は両モード
を切り換えるための切替スイッチ、121は受信デー
タ、122は各切替スイッチを動作させるためのTDM
A/CDMA選択信号である。
【0022】本実施例においては、TDMA/TDD方
式とCDMA/TDD方式の両システムにおいて使用す
る周波数帯域や変復調方式の一部、さらには両方式の1
チャネル当たりが1フレーム間で伝送する情報データ量
(ビット数)を共通にすることにより、移動端末の無線
部と変復調部(図1の2次変調回路110および1次復
調回路113)、およびベースバンド送受信データ処理
部の一部(例えば音声の符復号処理部)の共通化を図っ
ている。
【0023】次に、本実施例の動作について説明する。
TDMAモードの場合は、例えば音声データ伝送におけ
る音声符号化処理等を終了した送信データ101が、切
替スイッチ103を介して、フレーム組立回路104で
フレーム同期用(UW)信号や付随制御信号等を付加し
てフレーム構成され、1次変調回路105でディジタル
変調(差動符号化、PSK変調、フィルタリング等)さ
れ、切替スイッチ109を介して、2次変調回路110
でアップコンバートしてキャリアに載せた上で、送信電
力制御回路111でパワを調整した後、切替器112を
介して送信される。
【0024】CDMAモードの場合には、送信ベースバ
ンド部102の回路構成がTDMAとは異なる。符号化
処理等を終了した送信データ101が、フレーム組立回
路106でCDMAシステム用のフレーム同期用信号や
付随制御信号等を付加してフレーム構成され、1次変調
回路107でディジタル変調され、さらに拡散回路10
8で符号拡散した後、切替スイッチ109を介してTD
MAモードと同様に2次変調回路110でアップコンバ
ートされ、送信電力制御回路111でパワを調整した
後、切替器112を介して送信される。このとき、2次
変調回路110や送信電力制御回路111は、動作クロ
ック等を変更するだけで共通の回路構成で実現すること
ができる。
【0025】一方、受信側では、TDMAモードの場
合、受信信号は切替器112から1次復調回路113で
ダウンコンバートおよび検波(準同期検波等)されてベ
ースバンド信号となり、切替スイッチ114を介してさ
らに2次復調回路115で処理し、切替スイッチ120
を介して受信データ121を得る。また、この2次復調
回路115の結果からUW検出回路116でUW信号の
検出を行ない、同期回路117で同期獲得・保持を行な
う。
【0026】CDMAモードの場合も同様に、受信信号
は切替器112を介して1次復調回路113でダウンコ
ンバートおよび検波(準同期検波等)をして、逆拡散回
路118で相関検出を行ない、さらに2次復調回路11
9でRake合成処理等を行ない、切替スイッチ120
を介して受信データ121を得る。また、この2次復調
回路119の結果からUW検出回路116でUW信号の
検出を行ない、同期回路117で同期獲得・保持を行な
う。両システムのフレームタイミングが同期しているこ
とから、ゾーン切り替えの際など別方式のモードへの切
り替えを実現するときにも、新たに別のフレーム同期を
取る必要がないため、UW検出回路および同期回路を共
通化でき簡素化が図れる。
【0027】図4は本発明の別の実施例を示し、TDM
AとCDMAの両システムの1次変調方式やフレームを
構成するフレーム同期信号や付随制御信号等が共通の場
合の例であり、上記実施例の送信ベースバンド部を共通
化して回路構成をさらに簡素化したものである。図4に
おいて、201は送信データ、202は送信ベースバン
ド部であり、フレーム組立回路203、1次変調回路2
04、切替スイッチ205および拡散回路206からな
り、切替スイッチ205によりTDMAモードの場合は
拡散回路206を通さず、CDMAモードの場合には拡
散回路206を通すように制御される。他の構成要素2
07から220までは、図1に示す構成要素109から
122までと同様であり、同様の動作を行なう。
【0028】このように、上記各実施例によれば、移動
端末は、複雑な回路構成を必要とせずに、図9の(a)
のように両システムのカバーエリアが隣接する配置にお
いては、移動端末がAの位置ではTDMAシステムによ
る通信が、またBの位置ではCDMAシステムによる通
信が可能であり、通信中に隣のゾーンへ移動したとき
も、新たにフレーム同期を取り直すことなく通信を継続
することが可能である。また、図9の(b)においても
AやBの位置ではTDMAシステムと、Cの位置ではC
DMAシステムとの通信が1台の移動端末で可能であ
る。また、図9の(a)と同様に、AからC、CからB
などへの通信中の移動に対しても、新たにフレーム同期
を取り直すことなく通信を継続することが可能である。
【0029】ところで、上記各実施例では、図9(b)
のように、移動端末がマイクロゾーンのTDMAシステ
ム内に位置し、かつマクロゾーンのCDMAシステム内
に位置している場合、その移動端末は、TDMAシステ
ムとCDMAシステムの両方に接続できるので、いちい
ちゾーン切り換えの必要のないCDMAシステムに通信
トラフィックが集中する懸念があり、この場合、両シス
テムを合わせた全体としての加入者容量が低下し、結果
として周波数利用効率が低下する恐れがある。このた
め、このような場合には、マイクロセルシステムとマク
ロシステムとに通信トラフィックを分散させることが得
策である。
【0030】図5にはこのような場合の構成が示されて
いる。図5において、楕円301はCDMA/TDD方
式によるマクロセルシステムの基地局302のカバーエ
リアを示す。楕円303、楕円304は、それぞれTD
MA/TDD方式によるマイクロセルシステムの基地局
305および306のカバーエリアを示す。マイクロセ
ルシステムの基地局305は、周辺の無線チャネルの使
用状況を探査する無線チャネルスキャナ307を備えて
いる。マクロセルシステムの基地局302は、交換機3
08を介して公衆電話通信網309と接続され、マイク
ロセルシステムの基地局305、306は、制御装置3
10を介して公衆電話通信網309と接続されている。
各基地局302、305、306は、直接もしくは交換
機308や制御装置310を介して互いにフレーム同期
を取っている。マクロセルシステムとマイクロセルシス
テムは、それぞれ異なる周波数帯域を割り当てられてい
るものとする。また移動端末311は、自動または手動
によりマイクロセルシステムとマクロセルシステムのい
ずれとも通話可能である。
【0031】通信要求・設定(発信・着信)時、または
移動端末311の移動によるゾーン切り替え時に、移動
端末311がマイクロセルシステムのカバーエリア30
3の中にあり、その中の基地局305で利用可能な未使
用無線チャネルがある場合には、自動または手動によ
り、移動端末311とマイクロセルシステムの基地局3
05の間に回線を接続する。一方、利用可能な未使用無
線チャネルが存在しない場合および移動端末311がマ
イクロセルシステムのカバーエリア303の外に位置す
る場合は、マクロセルシステムにアクセスして基地局3
02との間に回線を接続する。
【0032】これにより、移動端末311は、まずマイ
クロセルシステムに収容され、マイクロセルシステム
は、マクロセルシステムよりも半径が小さいので、無線
周波数の空間的繰り返し利用により周波数利用効率を高
めることができる。また、まずマイクロセルシステムに
収容されることにより、このシステムの通信回線は無線
区間が短いため、移動端末の送信電力はマクロセルシス
テムによる通信回線の場合に比べて小さくて済む。した
がって、消費電力を低減することができ、移動端末の小
型化や連続通話時間の延長が可能になる。さらに、まず
マイクロセルシステムに収容されることにより、有線の
公衆電話通信網を有効利用することができ、加入者に対
して安価な通信回線を提供できる。
【0033】TDMA/TDD方式によるマイクロセル
システムの個々のマイクロセルへの無線周波数の割り当
ては、固定的であってもよいし、制御装置310によっ
てダイナミックに割り当ててもよい。また、基地局30
5は、無線チャネルスキャナ307により、定期的に近
隣での無線周波数の利用状況を探査して、未使用の無線
チャネルを探す機能を備えているため、既存のマイクロ
セルシステムを大幅に変更することなく、マイクロセル
システムの移設や新設が可能であり、システムを柔軟に
構築していくことができる。
【0034】
【発明の効果】本発明は、上記実施例から明らかなよう
に、TDMA/TDDシステムとCDMA/TDDシス
テムとが混在する状態において、両システムに使用でき
る移動端末の同期回路の共通化、および変復調回路等の
共通化や簡易化が図れる効果を有する。また、両システ
ムに接続可能な移動端末をTDMA/TDD方式マイク
ロセルシステムに優先的に接続することにより、両シス
テムを合わせたシステム全体の加入者容量を拡大し、周
波数利用効率を高める効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における移動体通信装置の移
動端末のブロック図
【図2】実施例における伝送チャネルの送受信フレーム
構成の一例を示す模式図
【図3】実施例におけるTDMA/TDD方式とCDM
A/TDD方式の両システムの送受信フレーム同期が取
れている一例を示す模式図
【図4】本発明の他の実施例における移動体通信装置の
移動端末のブロック図
【図5】実施例におけるTDMA/TDD方式とCDM
A/TDD方式の両システムが重複した状態で配置され
ている場合のシステム構成を示す模式図
【図6】PHPシステムのフレーム構成を示す模式図
【図7】CDMA/TDD方式のフレーム構成を示す模
式図
【図8】従来例における移動体通信装置の移動端末の一
例を示すブロック図
【図9】(a)TDMA/TDD方式とCDMA/TD
D方式の両システムが隣接した状態で配置されているこ
とを示す模式図 (b)TDMA/TDD方式とCDMA/TDD方式の
両システムが重複した状態で配置されていることを示す
模式図
【図10】TDMA/TDD方式とCDMA/TDD方
式の両システムの送受信フレーム長が異なる場合の一例
を示す模式図
【符号の説明】
101、201 送信データ 102、202 送信ベースバンド部 103、205 切替スイッチ 104、203 フレーム組立回路 105、204 1次変調回路 106 フレーム組立回路 107 1次変調回路 108、206 拡散回路 109、207 切替スイッチ 110、208 2次変調回路 111、209 送信電力制御回路 112、210 切替器 113、211 1次復調回路 114、212 切替スイッチ 115、213 2次復調回路 116、214 UW検出回路 117、215 同期回路 118、216 逆拡散回路 119、217 2次復調回路 120、218 切替スイッチ 121、219 受信データ 122、220 TDMA/CDMA選択信号 301 CDMA/TDD方式カバーエリア 302 マクロセルシステムの基地局 303、304 TDMA/TDD方式カバーエリア 305、306 マイクロセルシステムの基地局 307 無線チャネルスキャナ 308 交換機 309 公衆電話通信網 310 制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−350524(JP,A) 特開 平6−318927(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 7/24 - 7/26 H04Q 7/04 - 7/38 H04J 4/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多元アクセス方式としてTDMA/TD
    D(Time Division Multiple Access / Time Division
    Duplex)方式を用いた通信手段を有する小ゾーンのマイ
    クロセルシステムと、CDMA/TDD(Code Divisio
    n Multiple Access / Time Division Duplex)方式を用
    いた通信手段を有して上記小ゾーンよりも大きなマクロ
    ゾーンのマクロセルシステムとを備え、両方式は伝送チ
    ャネルの送信/受信用基本フレーム構成を共通に持ち、
    上記方式の一方または両方の装置を備えた基地局は、公
    衆電話通信網に直接または交換機または制御装置を介し
    て接続されるとともに、周辺基地局間との送受信フレー
    ム同期を取るための手段を備え、移動端末は、上記TD
    MA/TDD方式およびCDMA/TDD方式の両方式
    に対して通信が行なえ、装置を備えた通信要求・設定時
    または移動端末の移動によるゾーン切り替え時に、上記
    移動端末が上記TDMA/TDD方式によるマイクロセ
    ルシステムのエリア内に位置する場合は、手動または自
    動切り替えにより、まずマイクロセルシステムの基地局
    に対して回線接続を行ない、マイクロセルシステムに利
    用可能な空き回線が存在しない場合および上記マイクロ
    セルシステムのエリア外に位置する場合には、手動また
    は自動切り替えにより、上記CDMA/TDD方式によ
    るマクロセルシステムの基地局に対して回線接続を行な
    うことを特徴とする移動体通信装置。
  2. 【請求項2】 マイクロセルシステム基地局に無線チャ
    ネルスキャナを備え、定期的に無線チャネルの使用状況
    を探査して近隣のマイクロセルシステムで使用していな
    い無線チャネルを探しておき、回線の接続要求に応じて
    この無線チャネルを割り当てることを特徴とする請求項
    1記載の移動体通信装置。
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