JP3157723B2 - 炉体リングブロックの接続方法 - Google Patents

炉体リングブロックの接続方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉改修の場合に
採用される炉体リングブロックリフトアップ工法におけ
る炉体リングブロックの接続方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高炉の改修に当たって、高炉の炉体を複
数の水平な炉体リングブロックに分割し、この炉体リン
グブロックを接続しながら順次リフトアップして組み立
てる、いわゆる炉体リングブロックリフトアップ工法が
知られている。この場合の炉体リングブロックの接続
は、上下炉体リングブロックを溶接することによって行
われる。
【0003】従来の炉体リングブロックリフトアップ工
法においては鉄皮の全開先部の溶接終了後にリフトアッ
プしていた。また、一般に、片面開先溶接法では裏波溶
接か又は裏当金を用いる溶接が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】炉体リングブロックリ
フトアップ工法では、構造上、鉄皮を両面から溶接する
ことはできず、片面溶接をする。鉄皮は板厚が厚く、全
開先部の溶接を完了するには非常に長い時間を要する。
この溶接作業の間は、炉体リングブロックリフトアップ
工法では搬入装置上で作業が行われるために次工程の準
備ができない。そこで本発明は、溶接の途中で次の工程
の準備ができるようにし、作業工程時間の節約を図るこ
とができる炉体リングブロックの接続方法を提供するこ
とを目的とする。 次に、片面溶接において、裏波溶接
の場合、大ブロックの構造物の接合においては接合部の
肌違い等据付誤差があるため、適切な溶接ルートギャッ
プが得られず、溶接欠陥を生ずるという問題がある。ま
た裏当金を用いる溶接の場合、接続すべき鉄皮間の寸法
精度差によって、隙間を生じたり、接合部の急激な断面
変化により、応力集中を発生するという問題がある。本
発明はこのような問題点を解決した炉体リングブロック
の溶接方法を提供することを別の目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点を解
決する方法を提供するもので、高炉の炉体を高さ方向複
数段のリングブロックに分けて製作し、高炉基礎上へ炉
上部のリングブロックから順次取り込み、各リングブロ
ックを溶接接続して炉体を形成する、炉体リングブロッ
クリフトアップ工法において、炉体リングブロック間の
溶接を行う際に、鉄皮板厚の1/2以上の溶接高さのと
き、溶接完了前に炉体をリフトアップし、リフトアップ
後、残余の溶接を行うことを特徴とするリングブロック
の接続方法である。
【0006】鉄皮の板厚は、高炉操業中の耐内圧等によ
り決まるもので、鉄皮吊り上げ時の接続部は鉄皮厚さと
等しい溶接部寸法を必要としない。本発明者は鉄皮吊り
上げ時の応力解析を実施した結果このことを知見し、リ
フトアップ時に必要な溶接高さを決めた。この結果、溶
接による作業時間が他の作業の進行を妨げる影響を最小
限に留めることができるようになった。
【0007】次に本発明の第2の発明は、高炉の炉体を
高さ方向複数段のリングブロックに分けて製作し、高炉
基礎上へ炉上部のリングブロックから順次取り込み、各
リングブロックを溶接接続して炉体を形成する、炉体リ
ングブロックリフトアップ工法において、炉体リングブ
ロック間の溶接を行う際に、接合すべき鉄皮の接合端部
の炉内面側にそれぞれ予め裏当金を取付け、鉄皮接合ル
ートギャップ間で裏当金の端面を接触させて溶接開先間
隔を形成し、鉄皮外面側から裏当金を削り開先を形成
し、鉄皮外面側から裏波溶接することを特徴とする炉体
リングブロックの接続方法である。この方法により、溶
接ルート部に溶接欠陥を生ずることなく、優れた溶接接
合部を得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明を説明
する。図4は本発明が適用される高炉の炉体リングブロ
ックリフトアップ工法の説明図である。リング状にブロ
ック化された高炉のリングブロック21、22、23、
24、25は、順次上から結合されながら、ジャッキ3
1、吊り棒32により上方に引き上げられて高炉炉体を
組み立てる。各リングブロック21〜25は、上下の接
続部を溶接接合される。図4に示すように、高炉のすべ
てのブロックが連結されてリフトアップしたとき、一番
上のブロック21と次のブロック22との接合部の溶接
部に最大応力が作用する。例えば全重量が5477トン
の場合、この部分に作用する吊下げ最大応力は13.2
kgf/mm2 、短期許容応力は20.0kgf/mm
2 となる。
【0009】裏当金付き片開先溶接の溶接部詳細を図1
に示した。鉄皮1、2の接続部に開先角度7が30度の
片側開先5を設け、裏当金3、4を取付け、溶接する。
溶接金属6が鉄皮の板厚8の1/2以上の寸法の溶接高
9となったとき、リフトアップする。本発明の第1の
発明は、先行ブロックと後行ブロックの芯出しを行い、
片面先溶接法により鉄皮の板厚の1/2以上を溶接し、
溶接部の超音波探傷試験を行い溶接部が良好であること
を確認し、上下ブロックの合体ブロックをリフトアップ
する。リフトアップ後、残溶接を行う。
【0010】図2、図3は本発明の第2の発明の実施例
の説明図である。図2は溶接部の詳細図、図3は炉内面
から見た正面図である。すなわち、鉄皮1、2の接合部
両側に予め裏当金3、4を取付けておき、裏当金3、4
の板端面を互いに接触させ、ルートギャップの中心12
で合わせる。裏当金3、4の接触面をガウジング等で鉄
皮外面側からはつりとり、適切な溶接ルートギャップを
形成し、裏波溶接ビード11を出して溶接することによ
って完全溶け込み溶接を可能とした。6は溶接金属であ
る。このとき溶接開先寸法は、ルートギャップを3mm
〜15mmとし、裏当金3、4のガウジングによるはつ
り量は、裏波溶接可能なまでとした。溶接中及び溶接後
超音波探傷試験を施工し、健全性を確認する。
【0011】
【発明の効果】本発明によれば、高炉改修における炉体
リングブロックリフトアップ工法において、リングブロ
ックの付帯設備を事前に取付けた後に、鉄皮外側から片
面溶接をすることができ、炉内側作業を無くし、炉内足
場を不要にし、スリーブ等付帯設備を全量取付けること
が可能となった。
【0012】また、炉体リングブロック接合からリフト
アップ移行時間が、従来36時間であったが、本発明で
は12時間に短縮された。また、図1の例では接合面3
ケ所のため108時間が36時間となった。さらに、厚
さ50mmを越える鉄皮の片面溶接は、接合部に溶接欠
陥が生ずるので、従来採用されていなかったが、本発明
によれば、良好な裏波溶接が可能となり、超音波探傷試
験による溶接品質の確認が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の溶接部詳細図である。
【図2】実施例の溶接部の裏当金の正面図である。
【図3】実施例の溶接部詳細図である。
【図4】実施例のリフトアップ工法の説明図である。
【符号の説明】
1、2 鉄皮 3、4 裏当金 5 開先 6 溶接金属 7 開先角度 8 板厚 9 溶接高さ 11 中心 12 裏波溶接ビード 21、22、23、24、25 リングブロック 31 ジャッキ 32 吊り棒 33 接合部
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21B 7/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉の炉体を高さ方向複数段のリングブ
    ロックに分けて製作し、高炉基礎上へ炉上部のリングブ
    ロックから順次取り込み、各リングブロックを溶接接続
    して炉体を形成する、炉体リングブロックリフトアップ
    工法において、炉体リングブロック間の溶接を行う際
    に、鉄皮板厚の1/2以上の溶接高さのとき、溶接完了
    前に炉体をリフトアップし、リフトアップ後、残余の溶
    接を行うことを特徴とするリングブロックの接続方法。
  2. 【請求項2】 高炉の炉体を高さ方向複数段のリングブ
    ロックに分けて製作し、高炉基礎上へ炉上部のリングブ
    ロックから順次取り込み、各リングブロックを溶接接続
    して炉体を形成する、炉体リングブロックリフトアップ
    工法において、炉体リングブロック間の溶接を行う際
    に、接合すべき鉄皮の接合端部の炉内面側にそれぞれ予
    め裏当金を取付け、鉄皮接合ルートギャップ間で裏当金
    の端面を接触させて溶接開先間隔を形成し、鉄皮外面側
    から裏当金を削り開先を形成し、鉄皮外面側から裏波溶
    接することを特徴とする炉体リングブロックの接続方
    法。
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