JP3152596U - 床材 - Google Patents

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Abstract

【課題】床面に立体感と奥行きのある三次元的な装飾を付与するとともに、床面の表面は滑らかで肌触りがよく、床面を装飾する装飾材が汚損したり、剥離したり、落脱することのない床材を提供する。【解決手段】室内空間の床となる部分に敷設されて床面を形成する基材2と、この基材上に貼設され表面に装飾的な凹凸6を有する装飾材4aと、この装飾材上に塗布されるコーティング材5とを有し、装飾材4a上にコーティング材5を塗布した後の装飾材4aの表面の高低差B1は、コーティング材5を塗布する前の装飾材4aの高低差A1よりも小さいことを特徴とする床材による。【選択図】図1

Description

本考案は、デザイン性が高く、傷や汚れが付きにくい床材に関する。
従来、建築用の床材の装飾方法としては、例えば、構造用合板の表面に、薄くスライスした木質系の無垢材からなる化粧材を貼設したり、合成樹脂性からなるシート状のフローリング材を貼設する等の方法が知られている。
前者の場合、化粧材は木材であるため、使用する無垢材の樹種を変えたり、表面に塗装を施すなどにより床材の風合いを変えることはできても、木目調以外の風合いにすることはできなかった。後者の場合、フローリング材の表面装飾は印刷や凹凸加工で形成されるため、前者の場合に比べて、床面の意匠性を大幅に高めることができるという利点を有するものの、フローリング材の表面にワックスやコーティング材を塗布しても、経時変化に伴う印刷面の色あせや、表面の磨耗による劣化が起こり、見た目が悪くなってしまうという課題があった。
このような課題に対処するために、床面装飾材上に合成樹脂からなるコーティング層を設けて、床面装飾材の劣化を防止するという技術がいくつか開示されている。
特許文献1には「床面の装飾方法および床面用装飾材」という名称で、床面の装飾方法および床面用装飾材に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される床面用装飾材は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、床面に貼着した床材2の上に、装飾フィルム3を載置(貼付)した後、かかる装飾フィルム3を水系の紫外線硬化型コーティング剤の塗膜4で覆い、該塗膜4を紫外線照射によって硬化したことを特徴とするものである。
上記構成の特許文献1に開示される発明によれば、優れた耐久性が得られるとともに様々な意匠、複雑な意匠を容易に付与でき、しかも、その意匠を長期間鮮明なまま保持できる床面の装飾方法および床面用装飾材を提供できるという効果を有する。
また、特許文献2には「建築板」という名称で一般住宅や集合住宅に用いられる床、壁等に用いられる建築板に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示される発明は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、建築板5は、表面に模様付けを施したシート体1の表面に、厚さ300μm以上の、PET樹脂からなる透明な硬質保護層2を設け加飾体3となし、該加飾体3表面に艶消し処理を施すとともに、加飾体3を基材4上に貼着してなることを特徴とするものである。
上記構成の特許文献2に開示される発明によれば、シート体の表層側に300μm以上の厚さを有するPET樹脂からなる透明な硬質保護層を設けているので、シート体の模様が建築板表面から見えるとともに、硬質保護層による耐傷性及び耐凹み性が付与され、さらに硬質保護層の表面に艶消し処理が施されることで、樹脂特有の光沢が無く、自然な風合いを出すことが可能となる。また、特に、特許文献2に係る建築板5の表面に長手方向に伸びる凹凸形状を付与し、その上に艶消し塗料を塗布した場合、凹部、凸部における艶消し塗料のつき方が異なるため立体的かつ視覚的な効果に優れ、天然の風合いを強めることができるという効果を有する。
特開2003−113668号公報 特開2006−57248号公報
特許文献1に開示される発明においては、紫外線硬化型コーティング剤からなる塗膜を形成することで、装飾フィルム3の表面が擦れなどの磨耗に劣化することができるものの、装飾フィルム3は従来のフローリング材と同様に印刷されたものであるため、塗膜を形成したとしてもインクの色あせが起こった場合には、特許文献1に開示される床面用装飾材の審美性の低下は避けられないという課題があった。
また、高い印刷技術を駆使したとしても装飾フィルム3に表現される画像は二次元で表現される平面的な模様にすぎず、床面に奥行きのある立体的な装飾を付与することはできないという課題があった。
特許文献2に開示される発明も、シート体1は表面に模様付けされたものであるため、やはりその画像は二次元の平面的な模様であり、床面に奥行きのある立体的な装飾を付与することができるというものではなかった。
また、シート体1の表面の模様付けが、例えば、印刷により行われる場合、特許文献1に開示される発明と同様に、経時変化に伴うインクの退色による建築板の審美性の低下は避けられないという課題があった。
本考案はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、床面に立体感と奥行きのある三次元的な装飾を付与するとともに、床面の表面は滑らかで肌触りがよく、床面を装飾する装飾材が汚損したり、剥離したり、落脱することのない床材を提供することにある。
上記目的を達成するため請求項1記載の考案である床材は、室内空間の床となる部分に敷設されて床面を形成する基材と、この基材上に貼設され表面に装飾的な凹凸を有する装飾材と、この装飾材上に塗布されるコーティング材とを有し、装飾材上にコーティング材を塗布した後の装飾材の表面の高低差は、コーティング材を塗布する前の装飾材の高低差よりも小さいことを特徴とするものである。
上記構成の考案において、基材は装飾材及びコーティング材を支持するとともに、床面を形成するという作用を有する。また、装飾材は、床面に三次元の奥行きのある立体的な装飾を付与するという作用を有する。さらに、コーティング材は、装飾材の凹部に入り込んで装飾材の表面の高低差を低減するとともに、装飾材の剥離や落脱、汚損を防止するという作用を有する。別の言い方をすると、コーティング材はその内部に装飾材を封止するという作用を有する。
さらに、コーティング材は、コーティング材を塗布した後の装飾材の表面の高低差をコーティング材を塗布する前の装飾材の高低差よりも小さくし、これにより、請求項1記載の床面上を人が素足で歩いた際の痛みや不快感をなくして心地よい触感を提供するという作用を有する。
また、請求項1記載の考案において、特に、透光性を有するコーティング材を用いた場合、より具体的には、透明な又は半透明な透光材を用いた場合、装飾体の立体形状をよりリアルに見せて、請求項1記載の床材の装飾性及び審美性を向上するという作用を有する。
請求項2記載の考案である床材は、請求項1記載の床材であって、装飾材は、基材の表面を被覆するシート部と、このシート部の表面に貼設又は配設されて凹凸を形成する装飾部とを備えることを特徴とするものである。
上記構成の考案は、請求項1記載の考案における装飾材をシート体と、装飾部により構成したものであり、請求項2記載の考案において装飾材以外の構成の作用は請求項1と同じである。
また、請求項2記載の考案においてシート部は、基材の表面をカバーして床面の装飾性を高めるという作用を有する。さらに、装飾部は、シート部の表面を立体的に装飾するという作用を有する。
そして、請求項2記載の考案は、装飾材をシート部及び装飾部の少なくとも2種類の材料により構成することで、請求項1記載の装飾材よりも高い装飾性を床面に付与するという作用を有する。
請求項3記載の考案である床材は、請求項1に記載の床材であって、装飾材は、表面に凹凸を有する織地又は編地又は不織布又は吸水性シート材であることを特徴とするものである。
上記構成の考案は、請求項1記載の考案における装飾材を、表面に凹凸を有する織地又は編地又は不織布又は吸水性シート材により構成したものであり、請求項3記載の考案において装飾材以外の構成の作用は請求項1と同じである。
また、請求項3記載の考案において、織地又は編地又は不織布又は吸水性シート材は、基材の表面を被覆して基材を装飾するとともに、基材の表面を立体的に装飾してその審美性を高めるという作用を有する。また、請求項3記載の考案は、既存の絨毯やデザイン性の高い織物等をその風合いの劣化を防止しながら、床面を装飾するための装飾材として利用可能にするという作用を有する。
請求項4記載の考案である床材は、請求項1記載の床材であって、装飾材は、立体的な装飾パーツが基材上に分散されて,又は,敷きつめられて成ることを特徴とするものである。
上記構成の考案は、請求項1記載の考案における装飾材を、基材上に分散されて,又は,敷きつめられた立体的な装飾パーツにより構成したものであり、請求項4記載の考案において装飾材以外の構成の作用は請求項1と同じである。
また、請求項4記載の考案において、装飾パーツは、基材の表面を装飾するとともに、基材の表面に立体的な装飾を形成してその審美性を高めるという作用を有する。さらに、請求項4に記載の考案は、装飾材として天然の小石や砂、ドライフラワーやプリザーブドフラワー等の立体的な物体そのものを床面の装飾に用いることを可能にするという作用を有する。
請求項5記載の考案である床材は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の床材であって、装飾材は、基材上に不透水性の接着剤を介して貼設されることを特徴とするものである。
上記構成の考案は、請求項1乃至請求項4に記載のそれぞれの考案と同じ作用に加えて、基材と装飾材の間に、不透水性の接着剤からなる層を設けることで、コーティング材が装飾材を透過して基材に浸みこむのを防止するという作用を有する。これにより、コーティング材により形成されるコーティング層の形成を容易にするとともに、その際使用するコーティング材の量を削減するという作用を有する。
請求項6記載の考案である床材は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の床材であって、基材は、構造用合板であることを特徴とするものである。
上記構成の考案は、請求項1乃至請求項5に記載のそれぞれの考案と同じ作用に加えて、基材を構造用合板により構成することで、建物の施工時に、耐力を有する床面の形成と、その表面における床面の装飾作業を同時に完了させるという作用を有する。
つまり、従来法においては、例えば、装飾された床面を施工する場合、大引きや根太等の構造材を配設した後、その上に構造用合板を貼り、その上にフローリング材や床材を敷設して床面を構成していたが、請求項6記載の考案においては、床面を形成する作業と、床面を装飾する作業を同時に完了させるという作用を有する。
これにより、建物の施工期間を短縮するという作用を有する。
本考案の請求項1記載の考案によれば、床面に奥行きのある三次元の立体的な装飾を施すことができるので、従来の模様等が印刷された二次元の平面的な床面装飾に比べて、デザイン性の高い新規な床材を提供することができる。しかも、このような奥行きのある三次元の立体的な装飾をコーティング材の内部に封止してしまうことで、装飾材の凸凹が床面としての機能の妨げになるのを防止して、請求項1記載の床材の機能性を高めることができるのである。
この結果、床面の審美性を大幅に高めるとともに、請求項1記載の床材で床面を構成することで、建物における空間の演出効果を向上することができる。
請求項2記載の考案は、請求項1記載の考案と同じ効果を有する。
また、請求項2記載の考案は、請求項1記載の考案における装飾材を、シート部と装飾部により構成したものである。この場合、装飾材として、例えば、和紙からなるシート部上に、植物由来のひも状の繊維からなる装飾部を無作為に、又はすじ状に、あるいは、織物状等に貼り付けてなる従来の壁面装飾用の壁紙の利用を可能にすることができる。
従来、上述のような壁面装飾用の壁紙は、高い装飾性を有する反面、その上を人が歩いたり、物を載置したり、これらの動作が恒常的に繰り返される床面の装飾用には適さなかった。また、このような壁面装飾用の壁紙は、表面の凹凸が顕著なものほど、床面の装飾材として用いた場合に、人の肌に触れた際の触感が好ましくないだけでなく、装飾部が自体が往来の妨げになる恐れもあり、この点からも床面の装飾には適さないと考えられてきた。
そして、請求項2記載の考案においては、上述のような不具合を解消すべく、シート部と装飾部により構成される装飾材(例えば、壁面装飾用の壁紙等)の表面にコーティング材を塗布することで、装飾材の表面の高低差を小さくするし、床面装飾用として用いた際の触感を柔らかくするとともに、装飾部の汚損や剥離等の損傷が生じるのを防止することができる。すなわち、コーティング材中に凸凹を有する装飾材を有する壁紙等を封止してしまうことで上述のような不具合が生じるのを防止することができる。
しかも、この場合、床面には、印刷では表現することのできない繊細でリアルな装飾が施されることになるので、床面の審美性や空間演出性を大幅に高めることができるという効果を有する。
請求項3記載の考案は、請求項1記載の考案と同じ効果を有する。
また、請求項3記載の考案は、請求項1記載の考案における装飾材を、織地又は編地又は不織布又は吸水性シート材により構成したものである。
従来、織地又は編地又は不織布又は吸水性シート材を敷物(例えば、絨毯等)として用い、床面を装飾する方法が知られているが、この場合、床面に独特の触感や質感を持たせることができる反面、シミ等の汚れがつきやすく、経時変化に伴う擦れ等により外観が著しく損なわれることは否めなかった。
これに対して、請求項3記載の考案においては、装飾材である織地又は編地又は不織布又は吸水性シート材をコーティング材中に封止しているので、その外観の装飾性をそのままに保ちながら、装飾材の汚損や擦れ等による劣化の進行を妨げることができる。
従って、請求項3記載の考案によれば、水回りで汚れ等が生じやすい台所や洗面室、トイレ等の床面を、例えば、絨毯を敷きつめたような風合いにすることも可能である。あるいは、着物に用いられるようなデザイン性の高い織物を床面の装飾材として用いることも可能になる。さらに、意匠を凝らした不織布や、従来、吸水性が高く床面装飾用として不向きと考えられるシート材を床面の装飾材として合えて用いることができる。
この場合、床面の表面には、印刷では表現することのできない、繊細でリアルな装飾が施されることになるので、床面の審美性や空間演出性を大幅に高めることができるという効果を有する。
請求項4記載の考案は、請求項1記載の考案と同じ効果を有する。
また、請求項4記載の考案においては、請求項1記載の考案における装飾材として、立体的な装飾パーツを基材上に分散させたり,又は,敷きつめて構成したものである。
通常、床面は人が歩行したり物を置く場であるため、立体的な装飾パーツを分散させたり,又は,敷きつめるという方法は、床面の装飾方法としては適さないと考えられてきた。加えて、このような立体的な装飾パーツを床面にそのまま分散させたり敷きつめることは、往来時の障害になる恐れもあり、床面の装飾方法として採用されることはなかった。
これに対して、請求項4記載の考案においては、立体的な装飾パーツを基材上においてコーティング材中に封止してしまっているので、立体的な装飾パーツが床面の表面状態を左右することはほとんどない。これは、床面に配置される装飾パーツを見ることはできても、直接触れることができないよう構成されるためである。
この結果、請求項4記載の考案においては、基材上に分散されたり、敷きつ められた立体的な装飾パーツの装飾性を有効に活用しながらも、その上の往来や床面としての活用する際に、立体的な装飾パーツが障害となるのを防止することができる。
より具体的には、請求項4記載の考案によれば、床面を砂や小石を敷き詰めた状態に装飾することができる。また、請求項4記載の考案によれば、例えば、床面を落ち葉や、ドライフラワー、プリザーブドフラワー等を敷きつめた状態に装飾することができるという効果を有する。
この結果、これまでにない床面の装飾効果を実現することができる。また、これにより従来にない空間演出効果も期待できる。
請求項5記載の考案は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の床材であって、装飾材は、基材上に不透水性の接着剤を介して貼設されることを特徴とするものである。
上記構成の考案は、請求項1乃至請求項4のそれぞれに記載の考案と同じ効果に加えて、不透水性の接着剤を介して基材上に装飾材を貼設することで、基材上に不透水層を形成することができる。
この結果、装飾材上にコーティング材を塗布する際に、コーティング材が基材に浸透するのを防止することができるので、厚みのあるコーティング層を速やかに形成することができるという効果を有する。
従って、請求項5記載の床材の生産効率を高めることができるという効果を有する。
請求項6記載の考案は、請求項1乃至請求項5のそれぞれに記載の考案と同じ効果に加えて、基材を構造用合板とすることで、例えば、木質系構造材で建物を施工する際に、大引きや根太を配設した後、請求項6記載の床材を敷設するのみで床面の施工を完了することができる。
この場合、従来法のように、床面に構造用合板を敷設した後の、例えば、フローリング材を敷設する手間がかからないので、建物の施工期間を短縮することができるという効果を有する。
本考案の実施例1に係る床材の断面図である。 本考案の実施例2に係る床材の断面図である。 本考案の実施例3に係る床材の断面図である。 本考案の実施例4に係る床材の断面図である。
以下に、本考案の実施の形態に係る床材について詳細に説明する。
以下に、本考案の実施例1に係る床材について図1を参照しながら詳細に説明する。
図1は本考案の実施例1に係る床材の断面図である。図1に示したように、実施例1に係る床材1aは、平板状の基材2の上面に表面に凸凹6を有するコー装飾材4aを貼設して、その上にコーティング材5を塗布し、装飾材4a上にコーティング材5を塗布した後の装飾材4aの高低差Bが、コーティング材5を塗布する前の装飾材4aの高低差Aよりも小さくなるよう構成したものである。
この場合、コーティング材5として透光性を有するもの(透明又は半透明な合成樹脂等)を用いることで、装飾材4aに形成される凸凹6により実施例1に係る床材1aに、印刷等の二次元的な表現手法では表現することのできない、三次元で奥行きのある立体的な表面装飾を形成することができるという効果を有する。なお、図1には、コーティング材5によるコーティング層が一層のみである場合を例に挙げて説明しているが、1種類又は複数種類のコーティング材5により複数層のコーティング層を設けてもよい。
しかも、このような装飾材4aによる立体的な表面装飾は、コーティング材5により保護されているので、より具体的には、装飾材4aはコーティング材5の内部に封止されているので、実施例1に係る床材1a上を人が歩いたり、その上に荷重をかけた場合でも装飾材4aの立体的な表面装飾が損傷する恐れがない。
さらに、コーティング材5を塗布することで、装飾材4aの表面の凸凹6の高低差を小さくすることが、あるいは、装飾材4aの表面を平坦にすることができるので、仮に、実施例1に係る床材1a上を人が素足で歩いた場合でも、痛み等を不快な感触を与えることがなく、なだらかな凹凸のある心地よい触感を与えることができるという効果を有する。
従って、実施例1に係る床材1aによれば、床面に高い装飾を付与するとともに、床材1aにより床面を構成した場合に、従来の床材と比較して利便性においては何ら遜色のない床材を提供することができるという効果を有する。
また、このような実施例1に係る床材1aを用いて床面を構成することで、高い空間演出効果が期待できる。
さらに、実施例1に係る床材1aにおいては、基材2上に装飾材4aを貼設する際に、不透水性の接着材3を用いてもよい。この場合、基材2や装飾材4aが吸水性を有する場合、すなわち、基材2や接着材3がコーティング材5の浸透性を有する場合、コーティング材5が装飾材4aを透過して基材2に浸透するのを防止することができるという効果を有する。
この結果、装飾材4a上におけるコーティング層の形成を容易にすることができ、実施例1に係る床材1aの生産性を向上することができるという効果を有する。以下に示す他の実施例においても同様である。
また、装飾材4aとしては、例えば、着色を施した合成樹脂を平板状に形成したものの上面に、デザイン性の高い凸凹6を形成したものでもよい(例えば、人工芝等)。
通常、表面に凸凹6のある装飾材4a十分な強度があれば、そのままで床面の装飾に用いることもできるが、この場合、凸凹6の隙間に塵やごみが入り込んで掃除の手間がかかるだけでなく、表面の凸凹6が硬い場合には、人が素足でその上を歩いたり、直接座ったり寝転んだりした場合には
痛みを感じさせることもあり、装飾性に優れていたとしても室内の床面に恒常的に設置する装飾材としては適さなかった。
その一方で、このような表面に凸凹6のある装飾材4aを如何に巧妙に印刷で表現したとしても、角度を変えて見た場合の陰影や奥行きをリアルに表現することはできず、床面をいわゆる模様で平面的に装飾することしかできなかった。
そこで考案者らは、このような表面に凸凹6を有する装飾材4aを凸凹6部分も含めてコーティング材5中に封止してしまうことで、従来のフローリング材と同様の利便性を発揮させつつ、印刷では表現し得ないはるかに高い視覚的な装飾効果を有する床材1aにすることができることを見出したのである。
従って、実施例1に係る考案によれば、表面にデザイン性の高い凸凹6で模様が形成された、例えば、和紙を装飾材4aとして用いることも可能である。
この場合、装飾材4aである和紙の風合いを活かして床面を、従来の絨毯や畳を敷設した場合とは異なる雰囲気に演出することができる。しかも、床面に敷設される装飾材4aである和紙は、コーティング材5内に封止されているので、汚れが付着したりシミができたりする心配はない。加えて、装飾材4aである和紙のデザイン性に富んだ凸凹6が、荷重によってつぶれて床面の装飾性が損なわれたり、摩擦で擦り切れて破損する心配もない。
このため、実施例1に係る考案によれば、従来、床面を装飾するための装飾材として用いられることのなかった和紙のような、柔らかく吸水性を有する材質を用いて水回りや人通りの多い空間の床面を装飾することができるのである。
従って、実施例1に係る床材1aによれば、従来床面の装飾材として向かないと考えられてきた,表面に凸凹6を有する装飾材4aを用いた床面の装飾を可能にすることができる。
これにより、従来にはないユニークで個性的な室内空間の演出が可能となり、その利便性を損なうことなく日々の暮らしを一層豊にすることができるという効果を有する。
以下に、本考案の実施例2に係る床材について図2を参照しながら詳細に説明する。
図2は本考案の実施例2に係る床材の断面図である。なお、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図2に示すように、実施例2に係る床材1bは、実施例1に係る装飾材4aに代えて、基材2の表面を被覆するシート部7と、このシート部7上に設けられる装飾部8からなる装飾材4bを備え、コーティング材5を塗布した後の装飾材4bの高低差Bが、コーティング材5を塗布する前の装飾材4bの高低差Aよりも小さくなるよう構成したものである。
このような、実施例2に係る床材1bは、上述の実施例1に係る床材1aと同じ効果に加えて、基材2の上面にシート部7が貼設されることで、基材2の表面の風合いや色を自在に変えることができる。また、このシート部7とは別にシート部7上に装飾部8取り付けて凸凹6を形成することで、床面に、印刷された模様では表現することのできない奥行きのある立体的な装飾を施すことができる。
さらに、実施例2に係る床材1bにおいては、装飾材4bを少なくとも2種類の異なる材質により構成してもよい。すなわち、シート部7上に少なくとも1種類以上のシート部7とは異なる材質からなる装飾部8を設けて凸凹6を有する装飾を施してもよい。この場合、実施例1に係る床材1aの場合のように1種類の材質により装飾材4aを構成した場合に比べて、より自由で装飾性の高い床材1bを提供することができる。
例えば、彩色された紙からなるシート部7上に、植物の繊維からなる装飾部8を筋状の模様をなすように貼り付け装飾材4bを構成してもよいし、ひも状の装飾部8を用いて向こう側を透かして見ることができる程の粗い織物を形成したものを彩色を施したシート部7上に貼り付けて装飾材4bとしてもよい。あるいは、自然の木の葉や花びらを彩色を施したシート部7上に貼り付けたものでもよい。さらに、彩色を施したシート部7上に透光性を有する装飾部8を分散させて貼り付けて装飾材4bを構成してもよい。
より具体的には、従来、建物の壁面や天井の露出面の装飾に用いられる凸凹6を有する立体的な装飾が施された壁紙を床面の装飾に用いることができるという効果を有する。
この場合、従来壁面や天井の裸出面にしか利用することのできなかった壁紙を、実施例2に係る床材1bの装飾材4bとして用いることができるので、壁紙の汎用性を高めることができるという効果を有する。
以下に、本考案の実施例3に係る床材について図3を参照しながら詳細に説明する。
図3は本考案の実施例3に係る床材の断面図である。なお、図1又は図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。又は
図3に示すように、実施例3に係る床材1cは、実施例1に係る装飾材4aに代えて、表面に凸凹6を有する装飾材4cとして織地9を備え、コーティング材5を塗布した後の装飾材4c(織地9)の高低差Bが、コーティング材5を塗布する前の装飾材4bの高低差Aよりも小さくなるよう構成したものである。なお、実施例3における装飾材4cは、必ずしも織地9である必要はなく、表面に装飾的な凸凹6を有する編地又は不織布又は吸水性シート材であってもよい。
一般に、織地又は編地又は不織布又は吸水性シート材等は、絨毯やラグマットとして室内空間の装飾に用いられている。
しかしながら、このような織地又は編地又は不織布又は吸水性シート材等は、起毛部分や繊維の間にゴミや埃入り込んでしまったり、シミや汚れがついてしまったりするため、定期的に掃除や洗濯が必要であり、その手間もコストもかかってしまっていた。さらには、織地又は編地又は不織布又は吸水性シート材等は摩擦により擦れて、経時変化とともにその風合いが損なわれてしまうことは否めなかった。
これに対して、実施例3に係る床材1cにおいては、床面を装飾する装飾材4cである織地又は編地又は不織布又は吸水性シート材等を、コーティング材5の内部に封止しているので、装飾材4cの繊維や毛、凸凹6の隙間にゴミが入り込んだり汚れが付着することがない。
このため、床面に織地又は編地又は不織布又は吸水性シート材等を直接敷設して床面を装飾する場合に比べて、掃除や洗濯のための労力を大幅に軽減することができるという効果を有する。
しかも、実施例3に記載の考案においては、装飾材4cである織地又は編地又は不織布又は吸水性シート材等に擦れ等の損傷が生じることもないので、その美しい風合いを長期間にわたり持続することができるという効果を有する。
従って、実施例3に係る床材1aによれば、台所や洗面室、あるいは、トイレの床面の全面を、例えば、装飾性の高い絨毯(装飾材4c)を敷きつめた状態にすることができる。あるいは、着物用の反物や、帯用の装飾的な織物を用いて床面を装飾することも可能である。さらには、デザイン性の高いフェルト地を床面の装飾に用いたり、デザイン性の高いレース生地等を床面の装飾に用いることも可能になる。
そして、いずれの場合も、これらの風合いを模して平面に印刷したものよりもはるかに高い審美性を床面に付与することができるという効果を有する。
このように、実施例3に係る床材1cによれば、これまで掃除や洗濯の手間を考えて床面の装飾用として用いることができなかった織地又は編地又は不織布又は吸水性シート材等を、床面の装飾材4cとして有効に利用することができるとともに、その場合に床面の利便性が低下するのを防止することができる。
この結果、実施例3に係る床材1cを用いて床面を構成した場合の室内空間の空間演性や審美性を大幅に向上することができるという効果を有する。
以下に、本考案の実施例4に係る床材について図4を参照しながら詳細に説明する。
図4は本考案の実施例3に係る床材の断面図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図4に示すように、実施例4に係る床材1dは、実施例1に係る装飾材4aに代えて、基材2の上面に立体的な装飾パーツ10を分散又は敷きつめ、コーティング材5を塗布した後の装飾材4dの高低差Bが、コーティング材5を塗布する前の装飾材4cの高低差Aよりも小さくなるよう構成したものである。
これまで、小石や砂、ドライフラワーやプリザーブドフラワー等の装飾パーツ10を床面に敷きつめるといった床面の装飾方法は、ショーウインドウでの展示や芸術的な表現手段の一つとして用いられることはあっても、人の往来があり、荷重がかかったりする室内空間の床面の装飾方法として現実的であるとは言えなかった。
これに対し、本考案の実施例4に係る床材1dにおいては、上述のような立体的な装飾パーツ10を基材2上においてコーティング材5の内部に封止してしまうことで、日常的に使用される床面を、これまで装飾材4dとして全く適さないと考えられてきた装飾パーツ10を用いて個性的で審美性の高い床面の形成を実現するとともに、従来のフローリング材を敷設した床面と比較して利便性に関して遜色のない床面とすることができるという効果を有する。
この結果、室内空間の空間演出性を大幅に高めることができるという効果を有する。
なお、実施例1乃至4に係るそれぞれの床材1a〜1dにおいて、特に図示しないが、床材1a〜1dの断面部分をコーティング材5により被覆してもよい。この場合、装飾材4a〜4dが吸水性を有する材質である場合に、床材1a〜1dの断面における装飾材4a〜4dの裸出部分から水分等が浸入して床材1a〜1dの内部にシミ等の汚損が生じるのを抑制することができる。ただし、コーティング材5が装飾材4a〜4dの内部に十分に含浸されて、装飾材4a〜4dの吸水性がなくなる場合には、床材1a〜1dの断面部分をコーティング材5で被覆する必要はない。
また、実施例1乃至4に係るそれぞれの床材1a〜1dにおける基材2を構造用合板としてもよい。これにより、従来法により室内空間を施工する場合、床面にとなるエリアに構造用合板を敷設した後、床面に装飾性を付与するために化粧板を敷設したり、フローリング材を敷設する必要があるが、実施例1乃至4に係るそれぞれの床材1a〜1dにおける基材2を構造用合板とした場合には、実施例1乃至4に係るそれぞれの床材1a〜1dを敷設するのみで床面の形成を完了することができる。すなわち、床面の形成工程と、床面の装飾工程を同時に行うことができるという効果を有する。
以上述べたような実施例1乃至4に係る床材1a〜1dによれば、従来にないデザイン性及び審美性の高い床材を提供することができるので、室内空間の演出性を大幅に高めることができる。
また、特に実施例2に係る床材1bの場合、既存の壁紙を用いることで、床面に三次元的な装飾を備えた審美性の高い床材の供給を容易にすることができるという効果を有する。
以上説明したように、床面に立体感と奥行きのある三次元的な装飾を付与するとともに、床面の表面は滑らかで肌触りがよく、床面を装飾する装飾材が汚損したり、剥離したり、落脱することのない床材であり、建築の分野において利用可能である。
1a〜1d…床材 2…基材 3…接着剤 4a〜4d…装飾材 5…コーティング材 6…凹凸 7…シート部 8…装飾部 9…織地 10…装飾パーツ

Claims (6)

  1. 室内空間の床となる部分に敷設されて床面を形成する基材と、この基材上に貼設され表面に装飾的な凹凸を有する装飾材と、この装飾材上に塗布されるコーティング材とを有し、
    前記装飾材上に前記コーティング材を塗布した後の前記装飾材の表面の高低差は、前記コーティング材を塗布する前の前記装飾材の高低差よりも小さいことを特徴とする床材。
  2. 前記装飾材は、前記基材の表面を被覆するシート部と、このシート部の表面に貼設又は配設されて凹凸を形成する装飾部とを備えることを特徴とする請求項1記載の床材。
  3. 前記装飾材は、表面に凹凸を有する織地又は編地又は不織布又は吸水性シート材であることを特徴とする請求項1に記載の床材。
  4. 前記装飾材は、立体的な装飾パーツが前記基材上に分散されて,又は,敷きつめられて成ることを特徴とする請求項1記載の床材。
  5. 前記装飾材は、前記基材上に不透水性の接着剤を介して貼設されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の床材。
  6. 前記基材は、構造用合板であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の床材。
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