JP3151544B2 - 高周波電磁波吸収用樹脂組成物 - Google Patents
高周波電磁波吸収用樹脂組成物Info
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- JP3151544B2 JP3151544B2 JP10273292A JP10273292A JP3151544B2 JP 3151544 B2 JP3151544 B2 JP 3151544B2 JP 10273292 A JP10273292 A JP 10273292A JP 10273292 A JP10273292 A JP 10273292A JP 3151544 B2 JP3151544 B2 JP 3151544B2
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- Japan
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- resin composition
- resin
- electromagnetic wave
- frequency electromagnetic
- fibrous
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- Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高周波電磁波吸収用樹
脂組成物に関する。
脂組成物に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】従来から、電子機器が高周波の
パルス信号(電磁波)を発生し、特にデジタル技術を応
用した電子機器においては、高調波成分約500MHz
以上の非常に高い電磁波が発生することが知られてい
る。例えば、内部に電磁波発生用のマグネトロン管等を
搭載した電子機器や高周波発信器等を搭載した電子機器
では、その機器外部に電磁波そのものが漏洩する。また
通信機等の電磁波の発生を目的とした機器においては、
電磁波が出力すべき部分(例えばアンテナ)以外の部分
から電磁波が漏洩する場合がある。而して、斯かる高周
波電磁波が機器内部や外部機器に悪影響を与えることも
既に知られている。
パルス信号(電磁波)を発生し、特にデジタル技術を応
用した電子機器においては、高調波成分約500MHz
以上の非常に高い電磁波が発生することが知られてい
る。例えば、内部に電磁波発生用のマグネトロン管等を
搭載した電子機器や高周波発信器等を搭載した電子機器
では、その機器外部に電磁波そのものが漏洩する。また
通信機等の電磁波の発生を目的とした機器においては、
電磁波が出力すべき部分(例えばアンテナ)以外の部分
から電磁波が漏洩する場合がある。而して、斯かる高周
波電磁波が機器内部や外部機器に悪影響を与えることも
既に知られている。
【0003】従来電子機器のハウジングには板金が使用
されており、板金が電磁波を遮断する性質を有している
ため、特別な対策は必要ではなかった。ところが、電子
機器の量産化、低価格化の進行に伴い、電磁波遮断性能
を有しないプラスチックがハウジングとして採用される
に至り、改めて漏洩防止が必要になってきた。
されており、板金が電磁波を遮断する性質を有している
ため、特別な対策は必要ではなかった。ところが、電子
機器の量産化、低価格化の進行に伴い、電磁波遮断性能
を有しないプラスチックがハウジングとして採用される
に至り、改めて漏洩防止が必要になってきた。
【0004】現在、電子機器から電磁波が漏洩するのを
防止するために種々の試みがなされている。その中で最
も有力な方法は、電磁波を吸収して熱に変換する方法で
ある。具体的には、電磁波吸収能を有する高透磁性・高
軟磁性のフェライト粉体を焼結して板状に加工したもの
を、電波吸収材として適用する方法である。しかしなが
ら、フェライト粉体はその電磁波吸収帯が比較的低く、
1GHz以上の高周波電磁波の吸収性能が不充分である
という欠点を有している。またその焼結体は、加工性及
び成形性が極めて悪いために大量生産に適しておらず、
更に脆い性質も有しているために、実用的ではない。
防止するために種々の試みがなされている。その中で最
も有力な方法は、電磁波を吸収して熱に変換する方法で
ある。具体的には、電磁波吸収能を有する高透磁性・高
軟磁性のフェライト粉体を焼結して板状に加工したもの
を、電波吸収材として適用する方法である。しかしなが
ら、フェライト粉体はその電磁波吸収帯が比較的低く、
1GHz以上の高周波電磁波の吸収性能が不充分である
という欠点を有している。またその焼結体は、加工性及
び成形性が極めて悪いために大量生産に適しておらず、
更に脆い性質も有しているために、実用的ではない。
【0005】斯かる問題点を解消するため、フェライト
粉体を樹脂と混合して成形加工し、電波吸収体として用
いることが行なわれているが、フェライトの基本性質に
係わる1GHz以上の高周波電磁波の吸収性能が不充分
であるという欠点は依然解消されていない。しかも、電
磁波吸収特性を発現させるために多量のフェライト粉体
を配合する必要があるが、該粉体は比表面積が大きいの
で樹脂との相溶性が低く、電磁波吸収特性を発現させ得
る量を樹脂に混合することは不可能に近い。更に何らか
の方法で樹脂に混合することができたとしても、得られ
る成形体の強度は著しく低いという問題もある。
粉体を樹脂と混合して成形加工し、電波吸収体として用
いることが行なわれているが、フェライトの基本性質に
係わる1GHz以上の高周波電磁波の吸収性能が不充分
であるという欠点は依然解消されていない。しかも、電
磁波吸収特性を発現させるために多量のフェライト粉体
を配合する必要があるが、該粉体は比表面積が大きいの
で樹脂との相溶性が低く、電磁波吸収特性を発現させ得
る量を樹脂に混合することは不可能に近い。更に何らか
の方法で樹脂に混合することができたとしても、得られ
る成形体の強度は著しく低いという問題もある。
【0006】また、樹脂に混合する誘電材料として、フ
ェライト以外にチタン酸アルカリ土類金属の粉末も使用
されているが、その電磁波吸収特性は満足できるもので
はない。
ェライト以外にチタン酸アルカリ土類金属の粉末も使用
されているが、その電磁波吸収特性は満足できるもので
はない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、高周波
電磁波、特に1GHz以上の高周波電磁波をよく吸収す
ることができ且つ高強度の樹脂組成物を提供することに
ある。
電磁波、特に1GHz以上の高周波電磁波をよく吸収す
ることができ且つ高強度の樹脂組成物を提供することに
ある。
【0008】本発明者は上記目的に合致した樹脂組成物
を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、誘電材料として繊
維状チタン酸アルカリ土類金属を熱可塑性樹脂に混合す
る場合には、チタン酸アルカリ土類金属の粉末を用いた
時には見られないような電波吸収特性が発現され、高周
波(特に1GHz以上の高周波電磁波)を極めて良好に
吸収することができ且つ高強度の成形体が得られること
を見い出した。本発明は、斯かる知見に基づき完成され
たものである。
を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、誘電材料として繊
維状チタン酸アルカリ土類金属を熱可塑性樹脂に混合す
る場合には、チタン酸アルカリ土類金属の粉末を用いた
時には見られないような電波吸収特性が発現され、高周
波(特に1GHz以上の高周波電磁波)を極めて良好に
吸収することができ且つ高強度の成形体が得られること
を見い出した。本発明は、斯かる知見に基づき完成され
たものである。
【0009】即ち、本発明は、繊維状チタン酸アルカリ
土類金属及び熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする
高周波電磁波吸収用樹脂組成物に係る。
土類金属及び熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする
高周波電磁波吸収用樹脂組成物に係る。
【0010】本発明で用いられる繊維状チタン酸アルカ
リ土類金属としては、特に制限がなく、従来公知のもの
を広く使用できる。この中でも、繊維状チタニア化合物
の表面に溶液反応によりアルカリ土類金属の炭酸塩を沈
着させ、500〜1300℃で加熱処理することにより
得られる一般式MO・nTiO2 (式中、Mはアルカリ
土類金属、nは1〜12の実数である)で示される繊維
状チタン酸アルカリ土類金属を用いるのが好ましい。こ
こでMの具体例としては、Be、Mg、Ca、Sr、B
a、Ra等を例示できる。該チタン酸アルカリ土類金属
は特開平3−16917号公報に既に開示されている。
繊維状チタン酸アルカリ土類金属の形状としては、特に
制限はないが、通常繊維長3〜1000μm程度、繊維
径0.1〜10μm程度のものが使用される。その中で
もアスペクト比(繊維長/繊維径の比)が10以上のも
のが好ましい。更に平均繊維長10〜20μm程度、平
均繊維径0.2〜1μm程度のものが特に好ましい。
リ土類金属としては、特に制限がなく、従来公知のもの
を広く使用できる。この中でも、繊維状チタニア化合物
の表面に溶液反応によりアルカリ土類金属の炭酸塩を沈
着させ、500〜1300℃で加熱処理することにより
得られる一般式MO・nTiO2 (式中、Mはアルカリ
土類金属、nは1〜12の実数である)で示される繊維
状チタン酸アルカリ土類金属を用いるのが好ましい。こ
こでMの具体例としては、Be、Mg、Ca、Sr、B
a、Ra等を例示できる。該チタン酸アルカリ土類金属
は特開平3−16917号公報に既に開示されている。
繊維状チタン酸アルカリ土類金属の形状としては、特に
制限はないが、通常繊維長3〜1000μm程度、繊維
径0.1〜10μm程度のものが使用される。その中で
もアスペクト比(繊維長/繊維径の比)が10以上のも
のが好ましい。更に平均繊維長10〜20μm程度、平
均繊維径0.2〜1μm程度のものが特に好ましい。
【0011】本発明で使用される熱可塑性樹脂は特に制
限されるものではなく、例えば熱可塑性ウレタン樹脂、
クロロトリフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチ
レン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂、テトラフルオロ
エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合
体、フッ化ビニリデン樹脂、エチレン−テトラフルオロ
エチレン共重合体、エチレン−クロロフルオロエチレン
共重合体、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリオレフィン、エ
チレン−ビニルアセテート共重合体、エチレン−エチル
アクリレート共重合体、ポリスチレン、ABS樹脂、ポ
リアミド、メタクリル樹脂、ポリアセタール、ポリカー
ボネート、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、
ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、ポリエーテル
イミド、ポリアミドイミド、アイオノマー樹脂、ポリフ
ェニレンオキシド、メチルペンテン重合体、ポリアリル
スルホン、ポリアリルエーテル、ポリエーテルケトン、
ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、芳香族ポ
リエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、熱可塑性ポリエステルエラストマ
ー、その他各種高分子物質のポリマーアロイ、ブレンド
物等を例示できる。
限されるものではなく、例えば熱可塑性ウレタン樹脂、
クロロトリフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチ
レン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂、テトラフルオロ
エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合
体、フッ化ビニリデン樹脂、エチレン−テトラフルオロ
エチレン共重合体、エチレン−クロロフルオロエチレン
共重合体、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリオレフィン、エ
チレン−ビニルアセテート共重合体、エチレン−エチル
アクリレート共重合体、ポリスチレン、ABS樹脂、ポ
リアミド、メタクリル樹脂、ポリアセタール、ポリカー
ボネート、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、
ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、ポリエーテル
イミド、ポリアミドイミド、アイオノマー樹脂、ポリフ
ェニレンオキシド、メチルペンテン重合体、ポリアリル
スルホン、ポリアリルエーテル、ポリエーテルケトン、
ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、芳香族ポ
リエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、熱可塑性ポリエステルエラストマ
ー、その他各種高分子物質のポリマーアロイ、ブレンド
物等を例示できる。
【0012】本発明においては、更にフェライトを配合
するのが好ましく、フェライトを繊維状チタン酸アルカ
リ金属塩と併用することにより電波吸収特性をより一層
向上させることができる。用いられるフェライトとして
は、特に限定されるものではないが、軟磁性フェライト
が好ましく、就中低周波(1MHz)における複素透磁
率の実数部が500以上で高周波における低下が少なく
虚数部が高周波において高い軟磁性フェライトが特に好
ましい。またフェライトの組成や形状は特に限定される
ものではない。
するのが好ましく、フェライトを繊維状チタン酸アルカ
リ金属塩と併用することにより電波吸収特性をより一層
向上させることができる。用いられるフェライトとして
は、特に限定されるものではないが、軟磁性フェライト
が好ましく、就中低周波(1MHz)における複素透磁
率の実数部が500以上で高周波における低下が少なく
虚数部が高周波において高い軟磁性フェライトが特に好
ましい。またフェライトの組成や形状は特に限定される
ものではない。
【0013】繊維状チタン酸アルカリ金属塩と熱可塑性
樹脂との混合割合としては特に限定されるものではない
が、フェライトを更に配合しない場合には、通常繊維状
チタン酸アルカリ金属塩の配合量が組成物中に30〜9
0重量%(以下単に「%」と記す)程度、好ましくは4
0〜80%程度とするのがよい。該チタン酸アルカリ金
属塩の配合量が30%を大きく下回ると、電波吸収特性
が低下する傾向になり、一方90%を大きく上回ると、
成形を行ない難くなる傾向が生ずるので、いずれも好ま
しくない。
樹脂との混合割合としては特に限定されるものではない
が、フェライトを更に配合しない場合には、通常繊維状
チタン酸アルカリ金属塩の配合量が組成物中に30〜9
0重量%(以下単に「%」と記す)程度、好ましくは4
0〜80%程度とするのがよい。該チタン酸アルカリ金
属塩の配合量が30%を大きく下回ると、電波吸収特性
が低下する傾向になり、一方90%を大きく上回ると、
成形を行ない難くなる傾向が生ずるので、いずれも好ま
しくない。
【0014】本発明組成物中にフェライトを配合する場
合、フェライトの配合量が組成物中に10〜70%程
度、好ましくは30〜50%程度とするのがよい。但し
繊維状チタン酸アルカリ金属塩とフェライトとの重量の
和が、組成物全重量に対して40〜90%の範囲内にす
ることが肝要である。
合、フェライトの配合量が組成物中に10〜70%程
度、好ましくは30〜50%程度とするのがよい。但し
繊維状チタン酸アルカリ金属塩とフェライトとの重量の
和が、組成物全重量に対して40〜90%の範囲内にす
ることが肝要である。
【0015】更に本発明においては、上記熱可塑性樹
脂、繊維状チタン酸アルカリ金属塩及びフェライトの他
に、粉末状誘電性無機物質を必要に応じて併用してもよ
く、また本発明本来の目的達成に悪影響を及ぼさない限
り、他の添加剤、例えば表面処理剤、相溶化剤、熱伝導
改良剤、潤滑性向上剤、着色剤等を適宜添加することが
できる。
脂、繊維状チタン酸アルカリ金属塩及びフェライトの他
に、粉末状誘電性無機物質を必要に応じて併用してもよ
く、また本発明本来の目的達成に悪影響を及ぼさない限
り、他の添加剤、例えば表面処理剤、相溶化剤、熱伝導
改良剤、潤滑性向上剤、着色剤等を適宜添加することが
できる。
【0016】本発明の高周波電磁波吸収用樹脂組成物を
射出成形することにより、様々な形状の高強度の高周波
電磁波吸収体を容易に製造し得る。
射出成形することにより、様々な形状の高強度の高周波
電磁波吸収体を容易に製造し得る。
【0017】斯くして得られる高周波電磁波吸収体の特
徴は、500MHz以上(最も有効な範囲は2〜3GH
z)において、減衰率−10dB以上の電波吸収特性を
持ちながら、繊維状のチタン酸アルカリ金属で強化され
ているために強度が高く、生産性が良好で且つ安価なこ
とにある。
徴は、500MHz以上(最も有効な範囲は2〜3GH
z)において、減衰率−10dB以上の電波吸収特性を
持ちながら、繊維状のチタン酸アルカリ金属で強化され
ているために強度が高く、生産性が良好で且つ安価なこ
とにある。
【0018】
【実施例】以下に実施例及び比較例を掲げて本発明をよ
り一層明らかにする。
り一層明らかにする。
【0019】実施例1〜7 繊維状チタニヤ水和物(TiO2 ・1/2H2 O、平均
繊維長15μm、平均繊維径0.2μm)10gを10
%の塩化バリウム水溶液233g中に均質に分散させた
ものに、攪拌下、室温で20%の炭酸アンモニウム水溶
液70gを30分要して滴下後、更に30分間攪拌を続
けた後、濾別、水洗、乾燥することにより白色の繊維状
物質32gを得た。このものはX線回折、赤外吸収スペ
クトル(以下「IR」という)及び走査型電子顕微鏡
(以下「SEM」という)観察から、原料チタニヤ水和
物の繊維形状を保持し、その表面に炭酸バリウムが均質
に沈着し、BaCO3 /TiO2 =1/1(モル比)の
組成を示すものであった。
繊維長15μm、平均繊維径0.2μm)10gを10
%の塩化バリウム水溶液233g中に均質に分散させた
ものに、攪拌下、室温で20%の炭酸アンモニウム水溶
液70gを30分要して滴下後、更に30分間攪拌を続
けた後、濾別、水洗、乾燥することにより白色の繊維状
物質32gを得た。このものはX線回折、赤外吸収スペ
クトル(以下「IR」という)及び走査型電子顕微鏡
(以下「SEM」という)観察から、原料チタニヤ水和
物の繊維形状を保持し、その表面に炭酸バリウムが均質
に沈着し、BaCO3 /TiO2 =1/1(モル比)の
組成を示すものであった。
【0020】この方法で得られたもの10gをアルミナ
製ルツボに移し、マッフル炉で950℃、2時間熱処理
することにより、8.1gの白色の繊維状物質を得た。
このもののIR分析で炭酸バリウムの吸収は完全に消
失、X線回折でもBaO・TiO2 以外の回折ピークは
認められず、更にSEM観察においても原料繊維形状が
保持されていることが確認され、99%以上の収率で繊
維状のBaO・TiO2が合成できた。
製ルツボに移し、マッフル炉で950℃、2時間熱処理
することにより、8.1gの白色の繊維状物質を得た。
このもののIR分析で炭酸バリウムの吸収は完全に消
失、X線回折でもBaO・TiO2 以外の回折ピークは
認められず、更にSEM観察においても原料繊維形状が
保持されていることが確認され、99%以上の収率で繊
維状のBaO・TiO2が合成できた。
【0021】次に得られた繊維状のBaO・TiO2 を
熱可塑性樹脂、場合によっては更に軟磁性フェライト
〔BSF−547,戸田工業(株)製〕と表1に示す配
合割合で混練し、本発明の樹脂組成物を得た。尚、表1
において、PPSはポリフェニレンサルファイド、PB
Tはポリブチレンテレフタレート、PA−66はポリア
ミド−66である。
熱可塑性樹脂、場合によっては更に軟磁性フェライト
〔BSF−547,戸田工業(株)製〕と表1に示す配
合割合で混練し、本発明の樹脂組成物を得た。尚、表1
において、PPSはポリフェニレンサルファイド、PB
Tはポリブチレンテレフタレート、PA−66はポリア
ミド−66である。
【0022】
【表1】
【0023】比較例1〜3 炭酸バリウム(試薬特級)25gを乳鉢で充分に粉砕し
た粉末(平均粒径0.8μm)に実施例1〜7で使用し
た繊維状チタニヤ水和物10gを乾式で均質混合したも
のを、実施例1〜7と同様にアルミナ製ルツボに10g
入れ、950℃で2時間焼成することにより白色粉末
8.2gを得た。このもののIR分析では、炭酸バリウ
ムは消失したが、X線回折においてはBaO・TiO2
の他、TiO2 (ルチル)、BaO・3TiO2 等雑多
な組成の集合物であった。また原料繊維の形状が一部破
断、損傷、溶融したものや粒状、粉末状の混合物であっ
た。斯くして得られる粉末を「焼成法BaO・Ti
O2 」と称する。
た粉末(平均粒径0.8μm)に実施例1〜7で使用し
た繊維状チタニヤ水和物10gを乾式で均質混合したも
のを、実施例1〜7と同様にアルミナ製ルツボに10g
入れ、950℃で2時間焼成することにより白色粉末
8.2gを得た。このもののIR分析では、炭酸バリウ
ムは消失したが、X線回折においてはBaO・TiO2
の他、TiO2 (ルチル)、BaO・3TiO2 等雑多
な組成の集合物であった。また原料繊維の形状が一部破
断、損傷、溶融したものや粒状、粉末状の混合物であっ
た。斯くして得られる粉末を「焼成法BaO・Ti
O2 」と称する。
【0024】次に得られた焼成法BaO・TiO2 をP
PS、場合によっては更に軟磁性フェライトと表2に示
す配合割合で混練し、樹脂組成物を得た。
PS、場合によっては更に軟磁性フェライトと表2に示
す配合割合で混練し、樹脂組成物を得た。
【0025】
【表2】
【0026】比較例4〜6 実施例1〜7で得られた繊維状BaO・TiO2 及び比
較例1〜3で得られた焼成法BaO・TiO2 の他に、
市販されている粉末状チタン酸バリウム〔KYORI×
BT−S,共立窯業原料社製〕を1400℃で6時間
焼成した後、粉砕した粉末状物とした。斯くして得られ
る粉末を「粉末BaO・TiO2 」と称する。
較例1〜3で得られた焼成法BaO・TiO2 の他に、
市販されている粉末状チタン酸バリウム〔KYORI×
BT−S,共立窯業原料社製〕を1400℃で6時間
焼成した後、粉砕した粉末状物とした。斯くして得られ
る粉末を「粉末BaO・TiO2 」と称する。
【0027】次に得られた粉末BaO・TiO2 をPP
S、場合によっては更に軟磁性フェライトと表3に示す
配合割合で混練し、樹脂組成物を得た。
S、場合によっては更に軟磁性フェライトと表3に示す
配合割合で混練し、樹脂組成物を得た。
【0028】
【表3】
【0029】上記実施例1〜7及び比較例1〜6で得ら
れた各樹脂組成物の特性(電波吸収特性及び引張強度)
を下記の方法で測定し、結果を下記表4に示す。
れた各樹脂組成物の特性(電波吸収特性及び引張強度)
を下記の方法で測定し、結果を下記表4に示す。
【0030】電波吸収特性:電波吸収特性を測定する試
料は、樹脂の軟化点まで加熱し、充分混練した後、射出
成型により内径17.0mm、外径38.2mm、厚さ
3.0mmのドーナツ状に成形して作成した。Sパラメ
ータ測定法により、該試料の電波吸収特性を測定した。
料は、樹脂の軟化点まで加熱し、充分混練した後、射出
成型により内径17.0mm、外径38.2mm、厚さ
3.0mmのドーナツ状に成形して作成した。Sパラメ
ータ測定法により、該試料の電波吸収特性を測定した。
【0031】引張強度:JIS−K7113に従い、引
張強度を測定した。
張強度を測定した。
【0032】
【表4】
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、高周波電磁波、特に1
GHz以上の高周波電磁波をよく吸収することができ且
つ高強度の樹脂組成物が提供される。即ち、本発明の樹
脂組成物は、繊維状チタン酸アルカリ土類金属を含有し
ているため、該樹脂組成物を成形して得られる成形体に
優れた引張強度を付与し得る。その故、本発明の樹脂組
成物は、様々な形状の成形体に射出成形しても、クラッ
ク等が生じ難く、量産性に極めて優れたものである。更
に本発明で用いられる繊維状チタン酸アルカリ土類金属
が高周波、特に500MHz以上の電波に対する吸収特
性が良好であるためと、繊維状物が樹脂中に分散される
ための反射減衰の効果で、得られる成形体の電波吸収特
性は、特にマイクロ波帯において有効であるため、該成
形体は電子機器から発生する高周波の電磁波の吸収体等
として好適に使用され得る。
GHz以上の高周波電磁波をよく吸収することができ且
つ高強度の樹脂組成物が提供される。即ち、本発明の樹
脂組成物は、繊維状チタン酸アルカリ土類金属を含有し
ているため、該樹脂組成物を成形して得られる成形体に
優れた引張強度を付与し得る。その故、本発明の樹脂組
成物は、様々な形状の成形体に射出成形しても、クラッ
ク等が生じ難く、量産性に極めて優れたものである。更
に本発明で用いられる繊維状チタン酸アルカリ土類金属
が高周波、特に500MHz以上の電波に対する吸収特
性が良好であるためと、繊維状物が樹脂中に分散される
ための反射減衰の効果で、得られる成形体の電波吸収特
性は、特にマイクロ波帯において有効であるため、該成
形体は電子機器から発生する高周波の電磁波の吸収体等
として好適に使用され得る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−205699(JP,A) 特開 昭62−123799(JP,A) 特開 昭63−47999(JP,A) 特開 平3−293796(JP,A) 特開 昭51−49924(JP,A) 特開 昭60−15152(JP,A) 特公 昭42−27264(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 9/00
Claims (2)
- 【請求項1】 (1)繊維状チタニア化合物の表面に溶
液反応によりアルカリ土類金属の炭酸塩を沈着させ、更
に500〜1300℃で加熱処理することにより得られ
る一般式MO・nTiO 2 (式中、Mはアルカリ土類金
属、nは1〜12の実数である)で示される繊維状チタ
ン酸アルカリ土類金属及び(2)熱可塑性樹脂を含有す
ることを特徴とする高周波電磁波吸収用樹脂組成物。 - 【請求項2】 MがBaである請求項1記載の樹脂組成
物。
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JP10273292A JP3151544B2 (ja) | 1992-04-22 | 1992-04-22 | 高周波電磁波吸収用樹脂組成物 |
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JP10273292A JP3151544B2 (ja) | 1992-04-22 | 1992-04-22 | 高周波電磁波吸収用樹脂組成物 |
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JPH05299871A JPH05299871A (ja) | 1993-11-12 |
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- 1992-04-22 JP JP10273292A patent/JP3151544B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH05299871A (ja) | 1993-11-12 |
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