JP3142077U - 排水利用発電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】建物から排出された雨水や生活排水を利用し、かつ、発電効率のよい排水利用発電装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る排水利用発電装置は、建物の壁面に沿って配置される排水管の一部にハウジングが回転自在に設けられている。このハウジングには内部に磁石製のシャフトレススクリューが設けられている。そして、このハウジングの外側に取り囲むようにコイルが巻かれている。建物から排出する排水がシャフトレススクリューを回転させ、コイルに電流が流れる。
【選択図】図2

Description

本考案は、建物の排水等を利用して発電する発電装置に関する。
従来より、建物内で発生する雑排水や屋上等に降り注ぐ雨水等の利用については余り関心が払われず、排水管からそのまま排水されているのが現状である。雨水に関しては水不足等の社会状況も反映して一部には防火用貯水池等に水を蓄えるシステムも考えられている。しかし、未だ多くの雨水を含む建物の雑排水は殆ど利用されることなく排出されている。
一方、多数の人々が日常生活を営む高層建造物内では、日々多量の電力が消費されている。かかる消費電力を少しでも補うため、規模の大小は別として太陽熱の電気変換設備が設けられるようになってきた。
しかし、高層建物内などでは、日々かなりの量の排水が排出されている。また、地域や季節等で違いはあるものの、降雨時にはかなりの量の雨水が高層建物の屋上には降り注いでいるともいわれる。かかる建物の雨水を含めた排水等の有効利用が省エネルギーの観点から必要であると考える。
一方、多数の人間が日常活動を営む高層建物等では、照明や冷暖房用等に多量の電力が消費され、都市圏等では夏季に電力の需給バランスが崩れて消費電力の削減対策等が毎年大きな社会問題となっている。かかる対策として、近年上記太陽熱の電気変換設備が設けられるようになってきているが、それだけでは未だ十分ではない。
そこで、従来では、特許文献1に記載のように、そのまま放出されている雨水等を含めた雑排水等を利用して発電すれば平常時の消費電力の補充がより効果的に行え、さらには豪雨災害時の停電でも電気供給が行える装置が開示されている。
特開平8−237997号公報
特許文献1に記載の発明は、建物に設けた雨樋と雑排水管とを連結された排水管を設け、排水の通過する位置に水車と発電機とを設けた排水利用発電装置について記載されている。
しかしながら、排水管の内部に水車を設けることは技術的に難しい。また、水車の発電効率は60%程度である。また、水車と発電機とを設ける必要があるため、発電装置全体が大きくなってしまう。さらに、建物全体の排水量も限界があるため、さらなる発電効率の向上が必要である。
そこで、本考案では、小型の装置でかつ、発電効率のよい排水利用発電装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の考案は、建物の1階部分または最下階部分に、この建物の壁面に沿って設けられた配水管に着脱自在に設けられた排水利用発電装置であって、この排水管と同軸に取り付けられて、この排水管の軸線を中心として回転自在に設けられた円筒体のハウジングと、このハウジングの内壁にらせん状に板片を突出して設けられた磁石製のシャフトレススクリューと、このハウジングの外側を取り囲むように巻かれたコイルとを有し、上記排水管に通流する排水が上記シャフトレススクリューを回転させることにより発電する排水利用発電装置である。
請求項1に記載の考案によれば、落下する排水がシャフトレススクリューに衝突し、この衝撃によりシャフトレススクリューを回転することができる。このシャフトレススクリューは磁石で形成されている。シャフトレススクリューが回転すると、フレミングの右手の法則に従い、コイルに電流が流れる。また、本考案に基づく排水利用発電装置では従来の水力発電とは異なり、排水管の一部を構成するハウジングに、らせん状のシャフトレススクリューを内設し、シャフトレススクリュー自体が回転するため、発電機に至るまでの動力の損失は少ない。このため、従来の水力発電より発電効率が高い。
請求項2に記載の考案は、上記シャフトレススクリューは、上記ハウジングの上方から下方に向かって徐々にその突出幅が広くなるように形成された請求項1に記載の排水利用発電装置である。
請求項2に記載の考案によれば、上方から落下された排水をシャフトレススクリューに衝突しやすくすることができる。また、上段に衝突した排水を下方に落下した場合でも、別のシャフトレススクリュー部分に衝突することができ、二重に衝突力を発生させることができる。また、上側のシャフトレススクリュー部分に衝突してハウジングを回転させる力と、中間部のシャフトレススクリュー部分に衝突してハウジングを回転させる力と、下側のシャフトレススクリュー部分に衝突してハウジングを回転させる力とを、片寄りがなく、ほぼ同等にすることができる。このためハウジングの回転をスムーズにすることができる。シャフトレススクリューとハウジングとの耐久性が向上する。
本考案によれば、シャフトレススクリューが回転すると、フレミングの右手の法則に従い、コイルに電流が流れる。また、従来の発電装置より発電効率が高い。
また、排水がシャフトレススクリューに衝突しやすく、効率よくシャフトレススクリューを回転させることができる。
さらに、上段に衝突した排水を下方に落下した場合でも、別のシャフトレススクリュー部分に衝突することができ、二重に衝突力を発生させることができる。
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。
図2に示すように、本発明に基づく排水管100に取り付けられた排水利用発電装置10は、ハウジング11と、シャフトレススクリュー12と、コイル13と、上受部15と、下受部16と、パッキン17と、バンド18とを有している。
上記ハウジング11は1本の円筒で構成されている。このハウジング11は塩化ビニル製であるが、鉄管や銅管でもよい。強度の強い材質は好適である。ただし、電磁遮蔽効果のある物質は不適である。ハウジング11の内部で発生した磁場がコイル13に届かないからである。
このハウジング11は、建物の1階部分、または最下階部分の上記排水管100に設けられている。排水の落差を大きくするためである。つまり、落差が大きくなると、排水の位置エネルギーが大きくなる。その結果、排水利用発電装置10の得られる発電量は多くなる。
このハウジング11の上端と下端には複数のベアリング11a、11bが支持されている。
上記シャフトレススクリュー12は、1枚の薄板をらせん状に形成し、上記ハウジング11の内部に突出するように設けられている。本実施例では、このシャフトレススクリュー12をハウジング11の内部に挿入し、このシャフトレススクリュー12とハウジング11とを溶接により、両者の角度がほぼ90度になるように固定している。そして、本実施例におけるこのシャフトレススクリュー12は、傾斜角が45°のらせん状に形成され、かつ、このシャフトレススクリュー12は、上方から下方に向かって、このシャフトレススクリュー12の突出幅が広くなるように形成されている。このシャフトレススクリュー12は水平断面視にて反時計回りで下降するように設けられても、時計回りで下降するように設けられてもよい。したがって、ハウジング中心部であるこのシャフトレススクリュー12の軸線部分は空洞になっている。
このシャフトレススクリュー12は、アルニコ磁石、フェライト磁石等の磁石でできている。できるだけ、磁力の強い材質を使用した方がよい。磁力の強い材質を使用すると、磁場が大きくなり、発電量は多くなるからである。
排水などによる錆や汚れを防止するため、シャフトレススクリュー12の表面はテフロン(登録商標)や防錆剤などでコーティングされている。
また、このシャフトレススクリュー12に複数の孔を形成してもよい。
上記コイル13は、上記ハウジング11の外周面を取り囲むように巻かれている。このコイル13は電線でできている。この電線は絶縁材で被覆されていても被覆されていなくてもよい。ただし、被覆がない場合、巻着後は絶縁被覆でコイル全体を被覆する必要がある。漏電などによる感電事故の防止のためである。
このコイルの巻数は、多いほど良い。発電量が多くなるからである。
上記上受部15は、ハウジング11の上端部に当接されている。この上受部15は断面台形状の円筒である。すなわち、この上受部15の上面の幅は下面の幅より狭く、上面と下面とが平行であり、上受部15の内壁は傾斜を有している。この上受部15は金属製である。そして、この上受部15の外径は、排水管100の外径と同じである。
この上受部15の下面には断面視して四角形の溝が円形の環を形成している。この溝に、上記ハウジング11の上端に設けられているベアリング11aが嵌合されている。
上記下受部16は、ハウジング11の下端部に当接されている。この下受部16は断面台形状の円筒である。すなわち、この下受部16の上面の幅は下面の幅より広く、上面と下面とが平行であり、下受部16の内壁は傾斜を有している。この下受部16は金属製である。そして、この下受部16の外径は、排水管100の外径と同じである。
この下受部16の上面には断面視して四角形の溝が円形の環を形成している。この溝に、上記ハウジング11の下端に設けられているベアリング11bが嵌合されている。
上記パッキン17は、排水管100と、上受部15又は下受部16との境界を密封するために設けられている。このパッキン17は、環状のパッキンである。このパッキン17は、ゴム又は皮革でできている。
上記バンド18は、上記パッキン17を被覆するために設けられている。このバンド18は、金属又は皮革で形成されている。
このように構成された排水利用発電装置10は、図1のように、建物1の屋外の壁面に沿って取り付けられている排水管100の建物1の1階部分、または最下階部分に取り付けられている。すなわち、排水管100の一部を切除し、ハウジング11を挿入し、ハウジング11の上端に上受部15を、ハウジング11の下端に下受部16を嵌合させ、この排水管100と上受部15と下受部16との接続部分にパッキン17とバンド18を用いて接続されている。
そして排水利用発電装置10は、図3のように、蓄電池20に接続され、蓄電池20はさらに直流−交流変換器30に接続されている。
次に排水利用発電装置10を用いた発電方法について説明する。
上記建物1から落下される排水が排水管100を通って、ハウジング11に流される。そして、ハウジング11の内部に固定されたシャフトレススクリュー12に排水が衝突する。このとき、シャフトレススクリュー12は衝撃力をうける。シャフトレススクリュー12は傾斜しているため、この衝撃力は回転力として、ハウジング11に伝達される。このハウジング11の上端及び下端に取り付けられているベアリング11a、11bが溝に嵌合されているため、ハウジング11は溝に沿って回転する。このため、シャフトレススクリュー12は回転する。
シャフトレススクリュー12は磁石で形成されているため、シャフトレススクリュー12の周囲には磁場が発生している。そして、シャフトレススクリュー12が回転するため、フレミングの右手の法則に従って、コイル13に電気が発生する。
このようにして排水利用発電装置10で発電された電気が蓄電池20で蓄えられ、さらに直流−交流発電機30で交流に変換されて建物内の電気負荷側に電気が送られる。このようにして、排水を利用して電気を発生させ、必要に応じて建物内の電気負荷側の電源等に使用できる。
次に、この排水利用発電装置10を用いたときの発電量について説明する。
有効落差Hmから毎秒Qmの水を落下させたとき、発電効率をηとして得られる発電出力Pは次式にて求められる。
P=9.8QHη(kW)・・・・・・・(1)
本実施例では、排水を排出した位置から排水利用発電装置10までの落差が10mであり、流量0.04m/secの排水を排水管100に流した場合、発電効率を0.95とした場合、この排水利用発電装置10の発電出力は、3.72kWの電気が得られることになる。
従来技術における排水発電装置は、水車により発電機を作動させるように構成されている。このため、従来技術における排水発電装置での発電量は、発電機の発電効率だけではなく、水車効率も寄与することになる。
一方、本考案における排水利用発電装置10は、従来技術での水車にあたるシャフトレススクリュー12が直接発電機を作動させるように構成されている。このため、従来技術における水車効率を寄与することはない。すなわち、本考案における排水利用発電装置10での発電量は、発電機の発電効率のみが寄与する。
このため、本考案の排水利用発電装置10は発電するまでのエネルギー損失が従来の発電装置と比べてエネルギー損失は少なく、多量の電気を発生させることができる。
本考案の実施例に基づく排水利用発電装置の取り付け位置を示す説明図である。 本考案の実施例に基づく排水利用発電装置の断面図である。 本考案の実施例に基づく排水利用発電装置から負荷側へ電気を供給する経路を示す説明図である。
符号の説明
10 排水利用発電装置、
11 ハウジング、
11a、11b ベアリング
12 シャフトレススクリュー、
13 コイル、
100 排水管。

Claims (2)

  1. 建物の1階部分または最下階部分に、この建物の壁面に沿って設けられた排水管に着脱自在に設けられた排水利用発電装置であって、
    この排水管と同軸に取り付けられて、この排水管の軸線を中心として回転自在に設けられた円筒体のハウジングと、
    このハウジングの内壁にらせん状に板片を突出して設けられた磁石製のシャフトレススクリューと、
    このハウジングの外側を取り囲むように巻かれたコイルとを有し、
    上記排水管に通流する排水が上記シャフトレススクリューを回転させることにより発電する排水利用発電装置。
  2. 上記シャフトレススクリューは、上記ハウジングの上方から下方に向かって徐々にその突出幅が広くなるように形成された請求項1に記載の排水利用発電装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010226803A (ja) * 2009-03-19 2010-10-07 Bisou Igarashi Co Ltd 水力発電装置
JP2021014739A (ja) * 2019-07-16 2021-02-12 隆道 中島 ロータリー式水力発電システム

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