JP3137667B2 - Mr解析装置 - Google Patents

Mr解析装置

Info

Publication number
JP3137667B2
JP3137667B2 JP03054659A JP5465991A JP3137667B2 JP 3137667 B2 JP3137667 B2 JP 3137667B2 JP 03054659 A JP03054659 A JP 03054659A JP 5465991 A JP5465991 A JP 5465991A JP 3137667 B2 JP3137667 B2 JP 3137667B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tag
image
sequence
ventricle
magnetic field
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP03054659A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07178068A (ja
Inventor
保臣 紀ノ定
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Japan Science and Technology Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Science and Technology Corp filed Critical Japan Science and Technology Corp
Priority to JP03054659A priority Critical patent/JP3137667B2/ja
Publication of JPH07178068A publication Critical patent/JPH07178068A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3137667B2 publication Critical patent/JP3137667B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】この発明は、MR(磁気共鳴)解
析装置に関するものである。さらに詳しくは、この発明
は、高速に、かつ鮮明にイメージング可能な、医療分析
機器等として有用なMRの解析装置に関するものであ
る。
【従来の技術とその課題】医療技術の高度化は急速に進
んでおり、より詳細に具体的に人体組織、その機能を観
察することが可能となってきている。しかしながら、現
状においては解決すべき多くの課題が残されていること
も確かである。たとえば、心筋壁の複雑な運動を解析す
ることの臨床的意義は大きい。しかしながら、従来より
心筋壁の運動を観察する手段として用いられているecho
cardiography, ultra fast CT, biplane angiocardiogr
aphy, 心筋シンチグラフィ、MRによるfast scan 等で
は、心筋壁の運動を定性的に診断することは可能である
が、心筋壁局所部位毎の運動能や応力等を定量的に解析
することは困難であった。一方、心筋壁運動の定量解析
のために金属性のマーカを心筋内に埋め込んだ報告もあ
るが、侵襲的であり、日常臨床に用いるには困難が多
い。非侵襲・非観血的に心筋壁各部位毎の心時相に応じ
た位置の変化を追跡することが可能になれば、前記課題
である心筋壁の局所部位毎の運動能評価や応力解析等に
供することが可能なデータを抽出することが出来る。こ
のような手段として、MR装置によるTagging が報告さ
れている。Tagging とは新しいMRの撮影パルスシーケ
ンスであり、通常の画像撮影用パルスシーケンスの前に
画像内に放射状あるいは格子状等のパターン(Tagと
呼ぶ)を作成するパルスシーケンスを付加することによ
って、Tag付き画像を得る手法である。Zerhouni等は
Tagを心腔内に中心を置く放射状のパターンに入れる
手法を開発した。一方、Axel等はTagを画像内に平行
に入れる手法を開発した。いずれの手法によっても心筋
壁の動きをTagのゆがみを通して知ることが可能にな
り、従来の手法に比して心筋壁運動の解析精度が向上し
た。しかし、Zerhouni等の手法では撮影断面内での心筋
壁の回転運動の追跡は容易になったが、複雑な心筋壁の
‘ねじれ’運動を充分に抽出することが出来ないと言う
欠点がある。一方、Axel等の手法ではZerhouni等の手法
の欠点は克服され心筋壁各部位毎の運動を抽出すること
は可能になったが、心筋内に入れることが出来るTag
の数が少ないため心筋壁での応力解析等に用いるには未
だ不充分な手法であると言える。そこで、この発明は、
以上の通りの従来方法の欠点を解消し、心筋壁の力学的
な応力やひずみまでも局所部位毎に求めることができる
Tag付き画像の新しい作成手法、すなわち新しいMR
解析方法を提供することを目的としている。なお、力学
的な応力・ひずみ解析には有限要素法が適しているが、
有限要素法解析には解析部位を有限個の要素に分割する
とともに、各要素を構成する節点の心時相に応じた位置
の変化を知る必要がある。したがってこの発明は、力学
的な解析精度を上げるために心筋壁断面に出来るだけ多
くのTagを付加することのできる新しい方法を提供す
ることを目的としてもいる。
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、Tag形成に際して、複数のR
Fパルスとともに同時に複数の傾斜磁場パルスを印加す
手段を備えていることを特徴とするMR解析装置を提
供する。そしてより具体的には、2つの傾斜磁場パルス
位相エンコード軸と読みだし軸の2方向同時に印
ることを一つの特徴としてもいる。また、さらに、こ
の発明においては、2つの傾斜磁場パルスの各々の強度
を相対的に変化させることにより、Tagの角度が調整
可能となっていることをも一つの特徴としている。
た、さらに、この発明においては、より鮮明な高速イメ
ージングを可能とするために、画像形成に際して2項分
布様式パルスを印加する手段を備えていることをも一つ
の特徴としている。以下、さらに詳しくこの発明につい
て説明する。まず、従来から知られているTag付きM
R画像の作成について説明し、次いで、この発明の方
法、さらに実施例について説明する。Tag付WきMR画像の作成 MR画像の撮影時には、まず画像化する断面が決定さ
れ、ついで得られる画像の各画素が関心断面のどの位置
に対応するかが決められる。そのためには、MR信号を
位置の関数として扱う必要があり、外部静磁場とおたが
いに直交する3軸方向の傾斜磁場を重畳する手法が用い
られる。通常の撮影シーケンスでは以下の仮定が暗黙の
了解となっている。すなわち、静磁場下に置かれたスピ
ンはRFパルスによる励起時には位相が揃った運動をす
る、線形な傾斜磁場下ではスピン間の位相差は位置の関
数である、等である。したがって結果として、各スピン
の位置の違いによる位相差はMR画像再構成時には再構
成アルゴリズムによって吸収され、撮影されたMR画像
は静磁場下でのスピンの状態を反映したものとなってい
る。一方、Tag付きのMR画像を作成する場合には上
記とスピンの状況が異なる。このTag付きMR画像作
成用のパルスシーケンスを示したものが図1である。図
中のRF,Gs,Gp,Grはそれぞれ、RFパルス
軸、スライス選択軸、位相エンコード軸、読みだし軸を
示している。また、パルスシーケンスは大きく3つの部
分からなっている。それぞれ、Tagging Sequence部分
(T)、待ち時間部分(W)、Imaging Sequence部分
(I)である。Imaging Sequence部分(I)には通常の
MR画像撮影用パルスシーケンスが用いられる。図1の
場合には、スピンエコー(SE)法のパルスシーケンス
を示している。一方、Tagging Sequence部分(T)では
スピンの状態を空間的に修飾している。 すなわち、撮
影用パルスシーケンス印加以前にスピンの状態を位相が
揃った状態から空間的に位相が異なる状態に修飾してお
くことにって、後に続く撮影用シーケンスで画像化以前
のそのようなスピンの状態が重畳した画像を得ることが
可能になる。画像化以前のスピンの状態をどの様に空間
的に修飾するかは、Tagging Sequence部分(T)のパル
スの組み合わせによる。待ち時間部分(W)はTagが
形成されてから、実際にTag付きの画像を作成するた
めの撮影用パルスシーケンスが印加されるまでの時間で
ある。もし待ち時間部分(W)が無ければ、画像化以前
の空間的に修飾されたスピンの状態が画像にTagの形
でそのまま反映される。一方、この待ち時間を設けるこ
とによって、待ち時間の間のスピンの移動がTagのゆ
がみとして画像に反映される。したがって、心臓やその
他の動きを伴う臓器をこのTag付きMR画像撮影手法
で撮影することによって、臓器の動きをTagのゆがみ
として捉えることができる。Tagging SequenceとTagの形状 Tagの形状は画像化以前のスピンの状態によって決定
されるため、スピンを空間的に修飾するTagging Sequen
ce部分(T)のパルスの組み合わせとTagの形状の関
係を理解する必要がある。さらに、Tagの本数が何に
よって決定されるかも知る必要がある。図1に示したTa
gging Sequence部(T)は2つのRFパルスと位相エン
コード軸に付加された1つの傾斜磁場パルスによって表
現されている。このようなパルスの組み合わせがどの様
なTag形状を作るかを考えてみる。図2(a)は、こ
の図1のImaging Sequence部(I)のSE法で撮影され
るファントムのMR画線形成のためのパルスシーケンス
である。図2(b)は、その画像である。なお、ファン
トムは、10mMOLの硫酸銅溶液で満たされている。
図3(a)(b)は、撮影に用いられたパルスシーケン
スのTagging Sequence部(T)と画像であり、画像の水
平方向に15本のTagが形成されている。Axel等
はこのようなパルスシーケンスを2次元的に応用するこ
とによって画像中に格子状のTagを入れている。図4
(a)(b)は、Axel等が用いたTag付き画像の
撮影用パルスシーケンスのTagging Sequence部とこれに
よって撮影された画像を示している。このTagging Sequ
ence部のパルスシーケンスから明らかなように、2つの
RFパルスと1軸方向に印加された傾斜磁場パルスの組
み合わせが2つ連続して並んだシーケンスとなってい
る。最初の2つのRFパルスと読みだし軸上に印加され
た傾斜磁場パルスによって画像の垂直方向に15本のT
agが形成され、続く2つのRFパルスと位相エンコー
ド軸上に印加された傾斜磁場パルスによって図3と同様
に画像の水平方向に15本のTagが形成され、結果と
して直交する格子状のTagが形成されている。この発明の新しいTagging SequenceとTagの形状 Tag形成は2つのRFパルスと1つの傾斜磁場パルス
の組み合わせによって形成されるため、このようなパル
スシーケンスの形をとる限りTagの本数は印加される
傾斜磁場パルスの強度によって決定される。したがっ
て、画像内に付加することができるTagの本数はMR
装置のハードウェア的な性能に制限されることとなる。
この発明では、上記の制限を越えてTagを付加するこ
とができる新しいTagging Sequenceを提案している。図
5(a)(b)は、この新しいTagging Sequenceとこれ
によって撮影された画像を示している。従来のTagging
Sequenceと異なる点は、Tag形成に2つのRFパルス
と同時に印加される2つの傾斜磁場パルスを用いている
ことである。なお、それぞれの位相エンコード軸、読み
だし軸上の傾斜磁場パルス強度はMR装置のハードウェ
ア的な制限内である。図5(a)のTagging Sequenceの
撮影条件は図3のそれと同じであるが(部分的には図4
とも同じ)、形成されたTagの本数は21本となって
いる。従来の1軸方向にのみ印加されていた傾斜磁場パ
ルスでのTag形成と異なり、Tagの方向は45度傾
いてはいるがTagの本数を増やすことが可能になっ
た。これは、位相エンコード軸と読みだし軸の2方向同
時に傾斜磁場パルスを印加することにより、スピンが感
じる傾斜磁場強度は2軸のベクトル的な合成磁場強度と
なるためであり、Tagが45度傾いた方向に1軸方向
に傾斜磁場パルスを印加した場合の√2倍の本数が入る
ためである。さらに、このような2つのRFパルスとと
もに同時に2つの傾斜磁場パルスを印加する手段を備え
てなるこの発明のMR解析装置の場合には、印加する2
つの傾斜磁場パルスの各々の強度を相対的に変化させる
ことによって、画像内に形成するTagの角度を、水平
から垂直まで自在に設定することもできる。このような
Tag形成角度の自在性は、たとえば血流のような任意
方向への運動プロフィールを抽出するのに極めて有効で
ある。また、この画像形成においては、2項分布様式の
パルスを印加することによって、より鮮明な高速画像の
形成も可能となる。パルスとしてよりシャープになるた
め、画像形成にとっては極めて有効である。以下、実施
例を示し、さらに具体的にこの発明の方法、その装置、
そしてその効果について説明する。
【実施例】上記の新しいTagging Sequenceに基づいて撮
影し、この発明のMR画像を取得した。その際に用いた
MR装置は米国GE社製のSIGNA(1.5T)であ
る。Tag付き心MR画像作製に用いられたパルスシー
ケンスを示したものが図6である。この図6より明らか
な如く、用いられたパルスシーケンスの基本形は図5の
それと同様であるが、図4の場合にならって90度異な
る方向に直交するTagを入れるために連続する2つの
パルス群を用いている。最初の2つのRFパルスとそれ
に挾まれた位相エンコード軸方向および読みだし軸方向
の傾斜磁場パルスによって画像中の左上から右下に走る
Tagが形成され、次の同様なパルス群によって右上か
ら左下に走るTagが形成されている。なお、RFパル
スのフリップ角αや傾斜磁場パルスの振幅と時間幅を変
えることによってTagの形状およびその方向を自由に
変えることが可能である。Tagging Sequence後、一定の
待ち時間を経て画像を形成するために心電図同期式SE
法を用いている。SE法の撮影条件は繰り返し時間(T
R)=1心拍に要する時間、エコー時間(TE)=20
msである。画像はAXIAL像であり、そのマトリッ
クスサイズは256×128 、スライス厚は10mm、加
算回数は2回である。被検者は健常人ボランティアであ
り、平均心拍数は62回/分、検査中の心拍数は安定し
ていた。なお、パルス印加については、2項分布様式に
よるものとした。撮影されたTag付きのMR画像を図
7および図8に示す。それぞれにおいて、(a)は各撮
影断面の部位を示す。両者は10mm離れた位置にあ
る。(b)〜(h)は収縮末期から拡張期にかけての7
枚であり、それぞれの時間間隔は50msである。この
心時相を選んだ理由は、心筋の受動的拡張期特性と心筋
応力−ひずみ関係や硬さ−応力関係等の力学的な表現に
結びつく知見を期待したからである。また異なる2つの
断面を選んだ理由は、部位による心筋壁運動の違いを知
るためである。図7(b)〜(h)からは次の知見が得
られる。 (b)右心室と左心室は収縮している状態ではあるが、
心尖部付近のTagの間隔が他に比較して若干広がって
おり、すでに右心室・左心室とも拡張が始まっていると
推定される。 (c)心尖部でのTagの間隔はさらに広がり、心室の
拡張が進行している状態であることが理解できる。右心
室自由壁側三尖弁近傍での心筋壁が心筋壁に沿うかたち
で運動しているように見える。右心房から右心室への血
液流入に伴う弁運動と関係するものと考えられる。ま
た、心室中隔の心尖部端でTagの消失があり、心室中
隔が何らかの運動をしていると予想される。 (d)血液の流入により右心室・左心室の拡張が進み、
右心室自由壁側三尖弁近傍部および心尖部右心室側寄り
の領域部位に心筋の速い動きがあると思われる。しか
し、左心室自由壁には大きな変化は見られない。一方、
心室中隔では心尖部端および心室基部端で‘ねじれ’運
動が見受けられ、それに伴って中隔厚が薄くなりつつあ
る。 (e)心室がさらに拡張している。右心室では、右心室
自由壁中央部を境にして心室基部側と心尖部側の反対方
向に向かう心筋の動きが観察され、その速度も速くなっ
ている。左心室の壁厚には大きな変化は見られないが、
左心室の心外膜側で心尖部から自由壁にかけて心室基部
へ向かう回転運動が見られる。心内膜側ではそれ程の動
きは見られない。一方、心室中隔では‘ねじれ’運動が
さらに顕著になり、心尖部から見て反時計方向に回転し
ていく様子がよく理解できる。また、‘ねじれ’の程度
は、心室基部側での方が心尖部側でのそれより大きい。 (f)これまでの(b)〜(e)に示した緩やかな心室
の拡張とは異なり、心室の急激な拡張が見られる。その
結果、左心室自由壁中央部では心筋壁の運動が速すぎて
Tagがその変化を追従することが出来なくなり、MR
信号が消失したと思われる。心室中隔では‘ねじれ’運
動がさらに進行している。 (g)心室がさらに拡張し、それにつれて右心室自由壁
から心尖部に至る壁での運動が激しくなっている。左心
室では、左心室自由壁中央部から基部にかけて大きく拡
張し、そこでの壁厚は薄くなっている。Tagの間隔か
ら、左心室自由壁では心内膜側から心外膜側へ力が作用
している様子が理解できる。一方、左心室自由壁中央部
から心尖部に至っては心内膜側でTagの間隔が広がり
心外膜側ではさ程の変化が見られないことより、左心室
拡張は心内膜側より心外膜側へ順次行われることが読み
取れる。心室中隔の‘ねじれ’はさらに進行している。 (h)心室はさらに拡張し、右心室・左心室とも心筋壁
厚が薄くなっている。また、心室中隔はさらに‘ねじ
れ’、中隔厚も収縮末期時のそれと比較すると約半分に
なっている。心室の拡張に伴い、心筋壁全体が大きく運
動している様子を伺い知ることができる。また図8
(b)〜(h)からは次の知見が得られる。 (b)心尖部のTagの間隔より判断して、すでに右心
室・左心室とも拡張が始まっていると推定される。 (c)心尖部でのTagの間隔はさらに広がり、心室の
拡張が進行している。心室中間の心尖部端ではTagの
消失があり、心室中隔で‘ねじれ’運動が始まっている
と予想される。 (d)血液の流入により右心室・左心室の拡張が進み、
心外膜側で心筋の速い動きが認められる。しかし、心内
膜側では大きな変化は見られない。また心室中隔では心
尖部から見て反時計方向に‘ねじれ’運動が見受けられ
る。 (e)心室がさらに拡張している。右心室では、右心室
自由壁中央部を境にして心室基部側と心尖部側の反対方
向に向かう心筋の動きが観察される。左心室の膜厚には
大きな変化は見られないが、左心室の心外膜側で心尖部
から自由壁にかけて心室基部へ向かう回転運動が見られ
る。心室中隔では‘ねじれ’運動がさらに顕著になって
いる。 (f)心室の急激な拡張が見られる。その結果、左心室
自由壁中央部では心筋壁の運動が速すぎてTagがその
変化を追従することが出来なくなり、MR信号が消失し
ている。心室中隔の心尖部端は大きく左心室自由壁側へ
移動している。心室中隔では‘ねじれ’運動がさらに進
行している。 (g)心室がさらに拡張し、心筋壁が全体に薄くなって
いる。左心室壁は図中断面内を広がるだけでなく、自由
壁心室基部近傍では断面内を上から下に向かう‘ねじ
れ’の程度は若干少なくなっている。 (h)心室容積が少し減り、それに伴って左右の心室壁
厚は若干厚くなっている。また、左心室基部や心室中隔
での‘ねじれ’運動は緩やかになったように見受けられ
る。以上の知見からも明らかなように、図7および図8
での心筋壁運動のパターンは概ね同じであった。しか
し、細かい点では断層面の位置の違いによって心筋壁運
動に差があると言える。その差異は以下の点に認められ
る。心室中隔での‘ねじれ’運動は、図7でのそれに
比して図8での方が大きかった。図7では心室中隔の
‘ねじれ’は心尖部側のそれに比して心室基部側で大き
かったのに対し、図8では心尖部側で大きかった。これ
らは何れも、心尖部での心筋壁の運動が反映された結果
であると思われる。一方共通している事として、断面内
での心筋壁の回転運動は心外膜側での方が心内膜側での
それより大きかった。上述のごとく、MR装置でのこの
発明のTag付き画像撮影用パルスシーケンスを用いる
ことによって心筋壁の運動をTagのゆがみを通して知
ることが可能になった。さらに、心筋壁各部位の心時相
に応じた位置の変化を追跡することも容易になり、従来
の心筋壁運動の解析手法に比してはるかに優れた方法で
あると言える。なお、上記の例で用いたこの発明のMR
解析装置は、前述のごとく、画像内に形成するTagを
任意の角度に設定することもできる。たとえば図9は、
頭部矢状断面部位のMR画像であり、(a)はTR/T
E=300/20で撮影したSE像、(b)−(d)は
TR/TE=50/20で撮影した水平Tag付きのグ
ラジエントスピンヘコー(GRASS)像である。
(a)の撮影条件では、解剖学的な位置関係はよくわか
るが、脳脊髄液の信号は低い。これに対して、(b)〜
(d)は、脳脊髄液の流れ方向に直交する水平Tagを
画像内に形成することによって、その流れのプロフィー
ルをTagのゆがみとして知ることができる。すなわ
ち、(b)〜(d)の各画像は、心電図に同期して撮影
されており、それぞれ心室収縮末期から(b)100m
s、(c)400ms、(d)700ms後の画像であ
る。被験者は健常人であり、心拍数は62回/分であっ
た。これらのことから、(b)は心室拡張初期、(c)
は心室拡張末期、(d)は心室収縮後期の時相での画像
であるといえる。これらの各画像から、中脳水道、第4
脳室、および正中口近傍でのTagの変化をみると、
(b)から(c)にかけてはTagは下向きに移動して
いるのに対し、(d)では上向きに移動しており、脳脊
髄液の心相時に応じた拍動を読み取ることができる。同
様に、延髄前方の椎骨動脈血の流れや外側脳脊髄液腔で
の流れが可視化されており、超音波では計測できない流
れの計測が可能である。また、図10は、健常人ボラン
ティアによる下肢上部の深部大腿静脈での血流可視化例
を示したMR画像である。すなわち、(a)は下肢上部
での横断面画像であり、(b)〜(h)は(a)中の直
線によって示された部位に沿った矢状断面画像である。
(b)はTR/TE=300/20のSE像であり、
(c)〜(h)は(b)の撮影条件の前に水平Tagを
付加したシークエンスで撮影したSE像である。また、
(c)は待ち時間が零であり、以下50ms間隔の時間
的な遅れを伴った画像である。これらの(c)〜(h)
の各画像では、血管に沿ったTagのみが時間の経過と
ともにゆがんでいくが、その他の部位ではTagに変化
は見られない。このことから、Tagのゆがみは血流を
反映したものであることは明かである。また、Tagの
ゆがみは滑らかな双曲線型であることから、血流はほぼ
層流であり、その速度は2〜5mm/s程度であること
も理解できる。ただし、このような血流速度は、場所に
より若干異なっていることが(g)の画像から読みとれ
る。このように、この発明のMR解析装置においては、
撮影の対象によって、画像内に形成するTagの角度を
自在に設定することができ、たとえば上記の例のよう
に、従来は正確な測定が困難であった生体内部での血液
や組織液の流れを、Tagのゆがみを通して高精度で計
測することができる。
【発明の効果】この発明により、以上詳しく説明したよ
うに、心筋壁断面内に複数本のTagを入れることが
可能になり、これによって断面内での心筋の挙動が可視
化された。さらに、これらのデータを有限要素法による
応力−ひずみ解析等に利用することができる。心筋壁
断面に付加されたTagの個数より、心筋壁厚や壁心筋
重量等を推定することが容易になった。各断面画像を
3次元的に構築することによって心臓の複雑な収縮・拡
張動態を立体的に表示することができる。画像内に任
意の角度でTagを形成することもでき、生体内部での
血液や組織液等の流れを、その流れ方向に沿って明確に
可視化することができる。これらの具体的な効果とし
て、鮮明、高速画像形成MR解析が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Tag付きMR画像作成用パルスシーケンス図
である。
【図2】(a)(b)は、各々、通常の画像作成用パル
スシーケンス図と、これによって撮影されたファントム
画像(スピンエコー法を示す)図である。
【図3】(a)(b)は、各々、水平方向にTagを付
加するためのパルスシーケンス図と、これによって撮影
されたTag付きファントム画像(Tagging sequence部
のシーケンスのみを表示してある)図である。
【図4】(a)(b)は、各々、格子状のTagを付加
するためのパルスシーケンス図と、これによって撮影さ
れたTag付きファントム画像(Tagging sequence部の
シーケンスのみを表示してある)図である。
【図5】(a)(b)は、各々、この発明における新し
いTagging シーケンス図と、これによって作製された斜
めにTagが付加されたファントム画像図である。
【図6】この発明における新しいTagging シーケンス図
である。
【図7】(a)撮影横断面位置と、(b)〜(h)Ta
g付き心MRシネ画像で、その画像は収縮末期から順次
撮影され、画像間はそれぞれ50ms毎とした図であ
る。
【図8】(a)撮影横断位置と、(b)〜(h)図7と
同様のTag付きMRシネ画像図である。
【図9】(a)頭部矢状断面部位のMR画像図と、
(b)〜(d)その水平Tag付きMR画像図である。
【図10】(a)下肢上部の横断面MR画像図と、
(b)同部の矢状断面MR画面図、および(c)〜
(h)同部の水平Tag付き矢状断面MR画面図であ
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−108428(JP,A) 特開 平5−115458(JP,A) 特開 平5−204995(JP,A) 紀ノ定保臣,中川毅,「磁気標識法を 用いた新しい流れの定量的計測手法の開 発」、医用電子と生体工学、(1991年6 月)、Vol.29,No.2,P123− P129 紀ノ定保臣 他、「MR(磁気共鳴) 画像による心筋壁局所運動解析法の開 発」、日本機械学会東海支部第40期総会 講演会講演論文集(1991年2月)、N o.913−1,P14−P15 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/055 JICSTファイル(JOIS)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Tag形成に際して、複数のRFパルス
    とともに同時に複数の傾斜磁場パルスを印加する手段を
    備えていることを特徴とするMR解析装置
  2. 【請求項2】 2つの傾斜磁場パルスは位相エンコード
    軸と読みだし軸の2方向同時印加される請求項1のM
    R解析装置
  3. 【請求項3】 2つの傾斜磁場パルスの各々の強度を相
    対的に変化させることにより、Tagの角度が調整可能
    なってい請求項1または2のMR解析装置
  4. 【請求項4】 画像形成に際して2項分布様式パルスを
    印加する手段を備えている請求項1ないし3のいずれか
    MR解析装置
JP03054659A 1991-03-19 1991-03-19 Mr解析装置 Expired - Fee Related JP3137667B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03054659A JP3137667B2 (ja) 1991-03-19 1991-03-19 Mr解析装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03054659A JP3137667B2 (ja) 1991-03-19 1991-03-19 Mr解析装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07178068A JPH07178068A (ja) 1995-07-18
JP3137667B2 true JP3137667B2 (ja) 2001-02-26

Family

ID=12976919

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03054659A Expired - Fee Related JP3137667B2 (ja) 1991-03-19 1991-03-19 Mr解析装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3137667B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014054565A (ja) * 2009-09-30 2014-03-27 Toshiba Corp 磁気共鳴イメージング装置、および、表示処理システム
JP5514293B2 (ja) * 2012-12-27 2014-06-04 学校法人東海大学 磁気共鳴イメージング装置
CN104156975B (zh) * 2013-05-13 2018-04-24 东芝医疗系统株式会社 医学图像分析装置和方法以及医学成像设备
JP7233902B2 (ja) 2018-11-30 2023-03-07 慶應義塾 磁気共鳴イメージング方法及び磁気共鳴イメージング装置

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
紀ノ定保臣 他、「MR(磁気共鳴)画像による心筋壁局所運動解析法の開発」、日本機械学会東海支部第40期総会講演会講演論文集(1991年2月)、No.913−1,P14−P15
紀ノ定保臣,中川毅,「磁気標識法を用いた新しい流れの定量的計測手法の開発」、医用電子と生体工学、(1991年6月)、Vol.29,No.2,P123−P129

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07178068A (ja) 1995-07-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Higgins et al. Magnetic resonance imaging in patients with congenital heart disease.
Guttman et al. Analysis of cardiac function from MR images
Abraham et al. Myocardial strain: can we finally measure contractility?
Buser et al. Noninvasive evaluation of global left ventricular function with use of cine nuclear magnetic resonance
US8086297B2 (en) Dark blood delayed enhancement magnetic resonance viability imaging techniques for assessing subendocardial infarcts
Underwood et al. Assessment of regional left ventricular function by magnetic resonance.
Friedman et al. Comparison of magnetic resonance imaging and echocardiography in determination of cardiac dimensions in normal subjects
Sakuma et al. Breath-hold MR cine angiography of coronary arteries in healthy volunteers: value of multiangle oblique imaging planes.
Felton et al. Mechanical basis for lingual deformation during the propulsive phase of swallowing as determined by phase-contrast magnetic resonance imaging
Boxt From the RSNA refresher courses: cardiac MR imaging: a guide for the beginner
Chung et al. Cine magnetic resonance imaging for evaluation of congential heart disease: Role in pediatric cardiology compared with echocardiography and angiography
JP3137667B2 (ja) Mr解析装置
CN111938645A (zh) 一种心脏mri检查技术的运用
Sahn et al. Review of new techniques in echocardiography and magnetic resonance imaging as applied to patients with congenital heart disease
Sayad et al. Noninvasive quantitation of left ventricular wall thickening using cine magnetic resonance imaging with myocardial tagging
Mohiaddin et al. Measurement of atrial volumes by magnetic resonance imaging in healthy volunteers and in patients with myocardial infarction
Mathru et al. Measurement of right ventricular volume in human explanted hearts using ultrafast cine computed tomography
Deutsch et al. Cardiac function by magnetic resonance imaging
Wollschläger et al. Transesophageal echo computer tomography: computational reconstruction of any desired view of the beating heart
Augenstein et al. Magnetic resonance imaging and ventricle mechanics
Pandian et al. Evolving trends and future directions in echocardiography
Boxt Primer on cardiac magnetic resonance imaging: how to perform the examination
Lam Mathematical tools for ventricular analysis using Cardiac MRI
Fleischmann et al. Technical advances in cardiovascular imaging
LO MUZIO Video Kinematic Evaluation: new insights on the cardiac mechanical function

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081208

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees