JP3131348U - スケール除去装置付き浄水器 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱殺菌型の吸着式浄水器における簡便で安価で安全なスケール除去あるいは防止方式の提供。
【解決手段】原水は浄水器容器1底面に導かれ、ノズルから浄水器底面に向かって噴出し、加熱層内部に渦流を発生させる。堆積したスケールはこの渦流によって剥離されて舞い上がる。浄水時には常にこの噴出作用が伴うので、スケールが大きな粒径に成長することが阻まれ、結果としてスケール堆積量が低減される。更には、容器底面に設けられたスケール排出孔9を適宜開放することにより、舞い上がったスケールは概ね排出される。
【選択図】図1

Description

本考案はスケール除去装置付きの加熱殺菌型浄水器に関するものである。
活性炭等の吸着剤によって水道水中の化学物質を吸着する方式の浄水器、所謂吸着式浄水器は広く普及している。吸着式浄水器においては、吸着剤を含む浄水器内部において細菌や真菌等の菌が繁殖するという衛生上の問題があることは周知の通りである。
この問題を解決する手段として、吸着剤を含む浄水器内部を加熱する方式、所謂加熱殺菌型が提案され、一部実用化されている。例えば引用文献1、2、3では浄水器容器底面外部に電気ヒーターを設置して容器内の水を加熱する方式が提案されている。引用文献4では、浄水器容器底面内部に電気ヒーターを設置して容器内の水を加熱する方法が提案されている。
これらの加熱殺菌型によって、浄水器内部で菌が繁殖するという衛生上の問題は解決されたが、浄水器内部のスケール析出という新たな問題が出現した。すなわち、水道水中に含まれる炭酸カルシウム等の所謂硬度成分は、通常は電解質として水に溶け込んでいるが、濃度あるいは温度が高くなって平衡点を越えると所謂スケールとして析出し、底面や吸着層に堆積して水詰まりや熱効率低下等の不都合を生じる。ヒーターが容器内部に設置されている場合には、ヒーター表面にも堆積して、ヒーターの耐久性を著しく低くする原因となる。
スケール析出という課題を解決するためには、金属イオン封鎖剤、燐酸塩、錯化合物などのスケール防止剤やスケール除去剤を用いる方法が、一般にはポピュラーであるが、化学物質添加は浄水器の性格上なじまない。イオン交換器を浄水器の上流側に設置する方法は化学物質混入の不安を伴わないので、浄水器にはてきしているが、装置や維持費が高価になるという不都合がある。
以上のように、加熱殺菌型の吸着式浄水器におけるスケール析出問題は、未だ簡便で安価で安全な方式は存在せず、これが加熱殺菌型の吸着式浄水器の普及を阻む大きな原因になっている。若し、簡便で安価で安全なスケール除去が可能になれば、加熱殺菌型浄水器の普及が促進されて、消費者の安全性、利便性、経済性に資することが期待される。
実開昭61−187292号 特開平9−248563号 特開平11−342387号 特開平18−314963号
本考案は、以上の事情に鑑みて為されたものであり、解決しようとする課題は、加熱殺菌型の吸着式浄水器における簡便で安価で安全なスケール除去あるいは防止方式の実現である。
加熱型吸着式浄水器の容器内部は概ね2つの層に分けられている。上部は吸着層であり、下部は加熱層である。スケールは加熱殺菌時にのみ析出し、析出したスケールは加熱層の底面に堆積する。原水は浄水器容器底面に導かれ、ノズルから浄水器底面に向かって噴出し、加熱層内部に渦流を発生させる。堆積したスケールはこの渦流によって剥離されて舞い上がる。浄水時には常にこの噴出作用が伴うので、スケールが大きな粒径に成長することが阻まれ、結果としてスケール堆積量が低減される。更には、容器底面に設けられたスケール排出孔を適宜開放することにより、舞い上がったスケールは概ね排出される。
本考案により、浄水器の容器底面に原水噴出用ノズルとスケール排出孔と弁を設けるだけという簡便な構造で、析出したスケールの成長抑制と排出が可能となった。これにより、簡便で安価で安全なスケール除去装置付きの加熱殺菌型吸着式浄水器が実現できた。
浄水器容器は吸着層と加熱層を2体に分離してパイプ等で接続する方式でも構わないが、図1に示したような一体式にした方が構造簡便で好ましい。容器形状は角筒型でも構わないが、耐圧性やシール性や製造コストの点で円筒型が好ましい。容器材料は金属性でもガラス製でもプラスチック製でも構わないが、耐熱性と耐食性と安全性の上でステンレス製が最良である。
吸着剤としては有機吸着剤でも無機吸着剤でも構わないが、吸着性能、安全性、耐久性、経済性の観点から無機吸着剤、特に微粒子状の活性炭が最も好ましい。
電気ヒーターの設置は容器底面の内部でも外部でも構わない。外部設置はヒーター表面へのスケール堆積という問題が生じない利点があるが、熱伝達効率の悪さという短所がある。逆にヒーター内蔵型は、熱伝達効率は優れているが、ヒーター表面へのスケール堆積による耐久性の低下という問題がある。本考案の浄水器においてはスケール堆積の問題は解決が図られたので、ヒーター内蔵型が好ましい。内蔵型のヒーターは水に漬かるために、耐水性に優れたものが要求される。実用化されているヒーターの中ではステンレス製のシーズヒーターが最良である。
原水供給手段としては、上水道の水を直接あるいは受水槽を介して浄水器容器底面にパイプにより導く方法が一般的であり、最良であるが、貯水槽からポンプによって導いても構わない。原水供給部には電磁弁や手動弁によって開閉を制御する方式が浄水器に余分な水圧を掛けない点で最良である。
浄水時には浄水を浄水供給パイプに、加熱殺菌時には温水または水蒸気を温水排出パイプに導く。これらの切り替えは温調弁によて自動的に切り替えてもよいし、電磁弁によって制御してもよい。浄水供給手段としては直接あるいは開閉弁を介して蛇口等にパイプで連結する。温水排出手段としては直接あるいは開閉弁を介して排水溝等にドレンパイプで導く。
原水供給パイプに接続されて原水を容器底面に噴出するためのノズルとしてはステンレスのU字管が最良である。U字管出口を下方に向け、中央付近に配置する。出口の直径は容器の大きさや水量によって最適条件が異なるために特定はしないが、出口流速が毎秒数メートル以上、10メートル以下になるように設計することが望ましい。ノズル出口と底面との距離は噴流が堆積したスケールを除去する効果を最大にするためには1〜5センチメートル程度が望ましい。
スケール排出孔は、容器底面に設けるが、堤が生じないように設けることが望ましい。また、スケール排出孔からの排水流路を開閉する弁は必須である。弁としては電磁弁や電動弁で定期的に自動開閉してもよいし、手動弁で適宜開閉してもよい。何れにしても浄水時や加熱殺菌時にはこの弁は閉じた状態を保ち、非浄水時で非加熱殺菌時にノズルから原水を噴出しながらこの弁を開放する。タイミングとしては加熱殺菌した直後が最も効果的である。
本考案になるスケール除去装置付きの加熱殺菌型吸着式浄水器は、カートリッジの交換が不要であるために年間の水の使用量が多い場合に経済性が高まる。また、構造上、流路抵抗が小さいので、大流量を確保できるために、大流量を要する場所でも喜ばれる。これらの利点から、一般家庭での浄水器としても有用ではあるが、ホテルや飲食店、給食設備等の厨房用や、食品工場、養魚池などの業務用としての利用の可能性がより大きい。
本考案のスケール除去装置付き浄水器の全体構造を示した図である。 本考案のスケール除去装置付き浄水器のスケール除去用ノズルの代表的な形状を示した図である。
符号の説明
1.容器
2.吸着剤
3.加熱層
4.電気ヒーター
5.原水供給パイプ
6.浄水供給パイプ
7.温水排出パイプ
8.ノズル
9.スケール排出孔
10.弁
11.温調弁または電磁弁
12.電磁弁
13.制御装置
14.電磁弁
15.スケール排出用ドレンパイプ

Claims (1)

  1. 容器1、該容器内に保持された吸着剤2、前記容器内の底部に設けられた加熱層3、前記容器底面に設置された電気ヒーター4、原水供給パイプ5、浄水供給パイプ6、温水排出パイプ7から成り、前記原水供給パイプと接続され前記容器底面に向かって原水を噴出せしめるノズル8と、前記容器底面に設けられたスケール排出孔9と、該スケール排出孔からの流路を開閉する弁10とを有することを特徴とするスケール除去装置付き浄水器。
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