JP3128020U - 害獣の侵入防止具 - Google Patents

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Abstract

【課題】防御対象地域の周囲に配置して侵入動物が引っかかった場合には、軽度の傷を負わせる程度であるが、侵入動物をして二度と近づくことのない危険ゾーンであることを認識させることができるようにした。
【解決手段】本考案の害獣の侵入防止具1は野生動物に対する侵入防止区画の周縁に配置され、外側に侵入動物の手足に突刺さる複数の突起3を備えた。
【選択図】 図1

Description

本考案は、圃場などに害獣が侵入して農作物を食い荒すなどの被害を未然に防止するための害獣の侵入防止具に関する。
最近では新聞紙上などにおいて、クマ、イノシシ、シカ、サル、ウサギなどの草食性ないし雑食性の野生動物が害獣化し、圃場や人家の庭に侵入して、植えられている米や野菜、果実など、収穫前の農作物を食い荒す被害が多発していることが報じられている。また、クマなどの大形野生動物や、サルの群が人と遭遇して襲いかかり、人に怪我をさせるなどの人的被害の報告例も多発している。
この種の被害は、宅地開発や土地造成によって動物のテリトリーが狭められる結果、人と動物の境界が接近したり、境界となる里山の荒廃や、年毎の気象変動や植物の生長周期などにより、山間部において動物の餌が不足すること、および動物に対する人の接触態度の変化、例えば猿などに対する観光客の餌付や、対象動物が絶滅危惧種や保護指定動物であり、捕獲・殺傷が禁じられていることにより、動物の人に対する警戒心が希薄化している実体等々、地理的、気象および植物学的、人的要因が複雑に絡み合うことにより、害獣による農作物被害額は年々増加傾向にあると言われている。
ともあれ圃場においては、これら動物から農作物を守るため、従来から各種侵入防止対策がとられており、例えば圃場を柵で囲ったり、昔からある案山子を代表例として、各種脅し手段により追払うこと、および罠を仕掛けて捕獲し、その後山野に放つ、などの各種対策が行われている。
しかし、柵の場合には、堅牢な柵でなければ、簡単に乗越えられたり破られ易く、逆に堅牢な柵を設けるには、多額な設置費用を要するため、現実的でない。
また、無人の脅し手段の一例として、現在では例えばプロパンなどの燃料ガスを用いて定期的に爆発させ、その爆発音により近づいた動物を驚かせて逃散させる方法があるが、音による脅しは、当初は効果があるものの、慣れによりその効果は漸次低下するとともに、燃料消費などによる維持費用も高い。最も効果的なのは、人が動物の出没する地域に定期的に巡回し、見つけたらパチンコや空砲、花火などにより追払うことであるが、多くの人手を要し、かつ花火や火薬類の消耗も大きい。
さらに、罠による捕獲方法の場合には、熊などの大形獣に対しては、檻や麻酔どの設備が必要で、搬送にも人手がかかる。またトラバサミのように、足に食込むような罠を仕掛けると、対象動物に大きな怪我を負わせたり、下手をすると捕殺しかねない。
そこで、本考案は上記の課題を解決するものであり、その目的とするところは、防御対象地域の周囲に配置することにより、大きな消耗を生ずることがなく、また侵入動物が一回でも引っかかった場合には、軽度の傷を負わせる程度であるが、侵入動物をして二度と近づくことのない危険ゾーンであることを認識させることができるようにした害獣の侵入防止具を提供するものである。
前記目的を達成するため、本考案は次のように構成されている。
(1)野生動物に対する侵入防止区画の周縁に配置され、外側に侵入動物の手足に突刺さる複数の突起を備えた。
(2)請求項1において、侵入区画周縁の地表面に複数設置される撒きびし形である。
(3)請求項2において、両端を鋭角な突起に形成した略コ字形の2つの片を互いに突起が上下を向くように十字形に重ね合わせ、重なった接合面を溶接又はしぼり曲げにより連結した。
(4)請求項2において球形の支持体の外周部に複数の棘状の突起を突設した。
(5)長手方向一辺に鋭角な突起を多数形成した長方形プレートを円筒状に形成して王冠状に形成した。
(6)請求項2〜5において、複数の侵入防止具同士が紐を介して多数連結されていること。
(7)請求項1において、地表面に設置されるプレート上に、縦横マトリックス状に多数の突起を、打抜きおよび切り起しにより立設した。
(8)請求項1において、侵入防止区画の周縁を囲う筒体の外周に、多数の突起を形成した。
(9)請求項8において、筒体同士が連結具を介して縦方向に複数接続されている。
(1)圃場などの侵入防止区画に動物が侵入しようとしてその周縁に近づき、防止具の突起を踏抜いた場合には軽度の傷を負うが、その痛さにより、動物は防止区画が危険ゾーンであることを認識し、以後は敬遠することになる。防止具は、トラバサミのような侵入動物を捕えるものでなく、致命傷を負わせるものでないため、侵入動物にとっては比較的安全である割には、忌避効果が高い。
(2)請求項2の考案は、請求項1の作用効果に加え、昔の忍者の用いた撒きびしと同様、設置された地域そのものが侵入動物にとってどの場所で怪我を負うかが分らないため、少ない数であっても忌避効果を得ることができる。
(3)請求項3の考案は、請求項2の作用効果に加え、鋼板のプレス加工と、スポット溶接により量産できるので、安価に提供でき、しかも防護対象動物に対応して小形から大形のものまで任意にできる。
(4)請求項4の考案は、請求項2の作用効果に加え、鋳造により量産できるので、同じく安価に提供できる。
(5)請求項5の考案は、請求項2の作用効果に加え、王冠状の多数の突起は、例えばクマなどの大形動物の掌や足裏形状にほぼ合致するので、踏抜板ばあいには確実に怪我を負わせることができる。
(6)請求項6の考案は、請求項2〜5の作用効果に加え、各防止具が紐によって連結されているため、紛失のおそれがなく、かつ地表面への展張および撤収作業も簡単に行うことができる。
(7)請求項7の考案は、請求項1の作用効果に加え、鋼板などの打抜き、切り起し成形によって作ることができるため、量産性に富み、安価にできる。また、果樹や圃場などの侵入防止区画を囲んで、プレートが連続するように枠板状に接地でき、害獣の侵入を確実に防止できる。
(8)請求項8の考案は、請求項1の作用効果に加え、例えば果樹などを直接防護する上で好適である。
(9)請求項9の考案は、請求項8の作用効果に加え、果樹などをその高さ方向全周に亘って防護する上で好適であり、木登り性のサルやクマに対する忌避効果が高い。
以下、本考案の最良の形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、本考案の防止具をを撒きびし形に適用した第1実施形態を示すもので、防止具1は、細長で、所定厚みの鋼板2の両端にプレス打抜き成形により、鋭角な突起部3を形成し、かつ両端をコ字形に折曲げ成形したもので、2枚を一組として、両鋼板2を互いに突起部3が上下となるように十字形に重ね合せ、その重ね合せ中心をスポット溶接4により一体化したものである。上記2枚をしぼり曲げ加工により一体化させるようにしても差し支えない。
図2は撒きびし形の第2実施形態を示し、防止具10は鋳造成型品であって、球形の支持体11の外周部に先細りとなった棘状の突起12を複数突設し、かつ支持体11の一側部に、紐掛け用のヒートン13を一体に設けたものである。
図3は撒きびし形の第3実施形態を示し、防止具20は所定厚みの鋼板21のプレス成形体であって、(a)に示すように、細長状の鋼板21の長手方向一側部にプレス打抜きにより多数の鋭角な突起部22を形成し、次いで(b)に示すようにこれを円筒形に丸め、継目部分を付合わせ溶接23により接合して王冠形に形成したものであり、この防止具20は、クマなどの掌および足裏が扁平で丸い外形を有する大形野生動物に適合させたものである。
図4は、以上述べた防止具1,10,20の具体的使用例を示すものである。なお、以降の説明は、防止具1を代表例とするが、その他でも同じである。また、図4は概念的な説明図なので、各部の相対的な寸法は正確でないことも付言しておく。
図4(a)、(b)において、農作物育成用の圃場30と、隣地31の境界部には侵入防止用の木柵32によって仕切られている。なお、隣地31は畦道などの私有農道、あるいは林などの自然地のいずれであっても良いが、人があまり立ちいることがなく、動物が侵入しやすい場所、地形などを指している。
そして、図の円内に一部拡大して示すように、木柵32の前縁に沿って多数の防止具1が紐33によって一連に接続された状態で地表部に設置されている。紐33の一端は自由端であり、圃場30の一側部まで延長されている。これに対して紐33の他端は、圃場30の他側部に配置されたウインチ34に連結しており、農作業員が圃場30で農作業を行っているなど、動物が侵入しにくい安全な時間帯や、実りのない季節などは、ウインチ34のハンドルを回して、紐33を巻取格納しておき、無人の時間帯、あるいは農作物に実りが生じている季節など、動物による被害が生じやすい環境になる直前で、紐33を引きだし、圃場30の一端側まで展張することにより、多数の防止具1が圃場30の境界部外縁に沿って敷設される。つまり、農作業員にとっては、その日の最後の作業として、展張作業を行ってから帰宅すれば、以後も侵入防止ができるようになっている。
なお、図示のごとく、警告用の立看板35を木柵32の前部側に適宜間隔で配置しておくことにより、人の不用意な圃場30内への立ち入り行為により、怪我を負わせてしまうことも未然に防止している。立看板35は、彩色を施すなどにより人に目立つようにすることが望ましい。
従って、展張状態では動物が圃場30に侵入しようとすると、防止具1のいずれかを踏んでしまい、その痛みによって、この場所が動物にとって危険なゾーンであることが知覚されることになり、以後は忌避効果が持続するものとなる。なおこの例では、防止具1を一列に配列したが、複数列配列すれば、侵入動物に対する防止具1の接触確率がさらに高まり、忌避効果が増すことは勿論である。また図4の例では、防護柵として木柵32を用いているが、ネットやフェンスに代替することもできし、これらの防護柵を用いることなく、単に防止具1のみを敷設しておいても良い。
図5は、本考案の第4実施形態を示す。図において、防止具40は、所定縦横比で所定厚みの鋼板製の本体プレート41の長さ方向に沿って多数の鋭角状の突起部42を打抜き成形し、切り起しにより複数列立上げるとともに、突起部42の立上げにより本体プレート41の列方向に開口した各打抜き孔位置42aの上面には、別途本体プレート41の長手方向の長さと同一であって、開口部42aの幅に応じた幅寸法であって、その長手方向一側部に沿って前記と同様の多数の突起部42を立上げ形成した短冊状の補助プレート43を配置し、両端をスポット溶接44により、補助プレート44を本体プレート41に一体化し、所定密度の剣山状としたものである。
以上の防止具40の使用方法は、図6に示すように、多数の実を付けた柿の木などの果樹50の周囲に配置される。つまり、果樹50の下部側である樹幹部50aの周囲の地面に複数の防止具40を囲うように密集して敷設することによって、果樹50の下面外周全体に防護帯が形成されるため、動物の侵入を確実に防止できる。なお、この例でも人が不用意に果樹に近づくことがないように、必要に応じて前述の立看板35を配置しておけばよい。また、一重では、動物が防止具40をまたいで内部に侵入するおそれがある場合には、その外周にさらに同一の防止具40を密集配置すれば、防護帯の幅が広くなり、忌避効果が増す。
図7は本考案の第5実施形態を示す。図において、防止具60は、果樹50の樹幹部50aの周囲にこれを包囲した状態に多段に配置された複数の筒体61と、各筒体61を樹幹部50a廻りに自立状態に支持する複数の連結杆62と、各筒体61の外周に同心状に突設され、かつ先細りする多数の突起63とからなっている。筒体61は半割に分割可能か、あるいはヒンジによって開閉可能であり、また、各連結杆62も筒体61に対して着脱可能となっており、防護現場において樹幹50a廻りで組立てることにより、図示のごとく自立状態に多段配置される。なお、各筒体61の径は、樹幹部の太さに応じて決められ、高い位置にあるほど、その径に応じた径が選択される。また各筒体61の配置間隔は侵入動物の大きさに応じて定められる。例えば、クマなどの大形動物には、径が大きく、間隔もその体型に合わせた間隔に設定され、ニホンザルなどの小形動物の場合には小径であって、配置間隔も狭く設定される。
なお、以上の実施形態においても、必要に応じて前述の立看板を樹木廻りに配置しておけば良い。また、実施形態4のプレート状防護具と組合わせても良いし、筒体61として樹幹50a廻りの全体を被覆するゴムシートにより構成し、このゴムシートの外周全体に前述の突起を植設する構成としても良い。上記の侵入防止具は、金属のみならずプラスチックにより形成させることも可能である。
本考案の第1実施形態を示す斜視図である。 同第2実施形態を示す斜視図である。 (a),(b)は同第3実施形態の展開および成形状態の斜視図である。 (a),(b)は第1〜第3実施形態における実際の使用例を示す平面および正面説明図である。 本考案の第4実施形態を示す防止具単体の斜視図である。 同実際の使用例を示す斜視図である。 本考案の第5実施形態における使用例を示す斜視図である。
符号の説明
1,10,20,40,60 侵入防止具
2,21 鋼板
3,22,42 突起部
4,44 スポット溶接
11 支持体
12,63 突起
30 圃場(侵入防止象区画)
33 紐
41 本体プレート
43 補助プレート
50 果樹(侵入防止区画)
61 筒体
62 連結杆

Claims (10)

  1. 野生動物に対する侵入防止区画の周縁に配置され、外側に侵入動物の手足に突き刺さる複数の突起を備えたことを特徴とする害獣の侵入防止具。
  2. 侵入区画周縁の地表面に複数設置される撒きびし形であることを特徴とする請求項1記載の害獣の侵入防止具。
  3. 両端を鋭角な突起に形成した略コ字形の2つの片を互いに突起が上下を向くように十字形に重ね合わせ、重なった接合面を溶接又はしぼり曲げにより連結したものであること特徴とする請求項2記載の害獣の侵入防止具。
  4. 球形の支持体の外周部に複数の棘状の突起を突設したものであることを特徴とする請求項2記載の害獣の侵入防止具。
  5. 長手方向一辺に鋭角な突起を多数形成した長方形プレートを円筒状に形成して王冠状に形成したことを特徴とする請求項2記載の害獣の侵入防止具。
  6. 複数の侵入防止具同士が紐を介して多数連結されていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の害獣の侵入防止具。
  7. 地表面に設置されるプレート上に、縦横マトリックス状に多数の突起を、打抜きおよび切り起しにより立設したものであることを特徴とする請求項1記載の害獣の侵入防止具。
  8. 侵入防止区画の周縁を囲う筒体の外周に、多数の突起を形成したものであることを特徴とする請求項1記載の害獣の侵入防止具。
  9. 筒体同士が連結具を介して縦方向に複数接続されていることを特徴とする請求項8記載の怪獣の侵入防止具。
  10. 前記侵入防止具は、金属又はプラスチックにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の怪獣の侵入防止具。
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JP2021175386A (ja) * 2020-05-01 2021-11-04 利之 山形 有刺鉄線を等間隔で取り付けた鉄製のブロックを雑草で覆い隠したグリ−ンベルトを形成し、農地の周りに敷設する害獣侵入防止柵。

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