JP3114938B2 - 方向性結合器を用いて行なう測定の際のダイナミックレンジを拡張する方法および装置 - Google Patents

方向性結合器を用いて行なう測定の際のダイナミックレンジを拡張する方法および装置

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、アンテナの測定のような方向性結合器を用
いて行う測定の際のダイナミックレンジを拡張する方法
および装置に関する。この方法では、信号は、アンテナ
のような分析下の対象物に、前記測定用方向性結合器の
第１のポートを通じて付与され、前記信号の一部は、漏
れ信号として、前記測定用方向性結合器の第２のポート
を通じて、測定手段に向かって直接的に漏れ、前記分析
下の対象物から戻る信号は、前記測定手段によって測定
される。本発明はまた、この方法を実行する装置に関す
る。この装置は、ｉ）電気測定信号を発生する送信手段
と、ii）前記送信手段に結合されて測定すべき対象物へ
前記測定信号を結合する測定用方向性結合器と、iii）
分析下の対象物から戻る信号を測定する測定手段と、を
備える。特に、本発明は、アンテナの状態を観測するた
めのアンテナの定在波比（SWR）の測定に用いることが
できる。
上に述べた測定における状態は次のようなものであ
る。すなわち、アンテナなような測定すべき対象物から
反射して戻る信号は、方向性結合器から直接に漏れる信
号に測定手段の方向で加わるときは、例えばアンテナケ
ーブルの電気長における変化に依存してでたらめな位相
である。加わることによって生じるエラーの大きさは、
したがって、戻り信号と漏れ信号の間の位相差に依存
し、これは、例えば、アンテナケーブルの電気長の関数
として変動する。既知の測定の解決策は、測定信号をア
ンテナへ付与する方向性結合器の指向性を最良のものと
して、方向性結合器から直接に測定手段の方向で漏れて
測定すべき実際の信号へ加わってしまうようなスプリア
ス信号をできる限り小さくすることを目的とする。カッ
プリング（結合）ポイントから反射されるもののような
他のスプリアス信号の影響は、校正によって、また、変
更テーブルや訂正ファクタによって減少される。こうし
て得られた方向性結合器の指向性は、しかしながら、30
dBより大きいことは稀であり、一般に、方向性結合器
は、マイクロストリップ構造のようにプリント回路ボー
ド上で実現されるべきであることから、この指向性は、
20〜30dBの範囲にある（尚、このマイクロストリップ構
造は再現性が容易であるため製造技術的に利点があ
る）。指向性が制限されていることから、アンテナから
反射して戻る信号のような小さな反射損を示す低信号レ
ベルの測定は、測定すべき（有用な）信号が方向性結合
器から漏れるスプリアス信号に加わってしまうときには
困難になる。一方、測定すべき有用な信号はまた、結合
ポイントから反射する前記信号のような、測定ポイント
を通過する他のスプリアス信号にも加わる。幾つかの場
合には、これらの他のスプリアス信号の大きさは上述し
た漏れ信号より大きくなることがあり、したがって、低
信号レベルの測定が妨げられてしまう。
本発明の目的はそれ故、上述した欠点を未然に防止
し、方向性結合器を用いて行う測定のダイナミックレン
ジを改善して、低レベル信号の測定がより確実なものに
なるようにすることである。これは本発明の方法を用い
て達成されるものであり、位相調整された補償信号を第
２の方向性結合器を通じて測定ラインへ付与することに
より、前記漏れ信号のような、測定すべき信号に加わる
スプリアス信号を取り除くことを特徴とする。この方法
を実行する装置は、その一部に関し、添付クレーム４の
特徴部分に記述されていることによって特徴付けられて
いる。
本発明の基本概念は、第２の方向性結合器によって補
償波を測定ラインへ付与することにより主だったスプリ
アス信号を除去することにある。
本発明による解決策は、従来の測定方法に比して、10
〜25dB分だけ測定のダイナミックレンジを拡張する。本
発明によって提供される解決策の他の利点は、方向性結
合器から漏れるスプリアス波がどのような場合であって
も除去されることから、指向性の悪い方向性結合器の使
用でさえ可能にすることにある。この回路はまた実現に
費用があまりかからず、また、エラーの訂正がリアルタ
イムで行わることから、実際の測定は迅速に実行され
る。補償信号の可能な同調（チューニング）作業は製造
期にのみ行えばよい。
以下、本発明を添付図面に示された例を参照しつつよ
り詳細に記述する。この添付図面は、アンテナ状態の測
定時における本発明による測定装置を開示したものであ
る。
この図は、セルラーネットワークのベース基地の受信
アンテナ10の状態が検査される際の本発明による測定装
置を開示したものである。この状態は、アンテナから反
射して戻る信号の電力を測定ライン11の端部の測定手段
12を用いて測定することによって、および、この測定さ
れた電力をアンテナへ送信された電力と比較することに
よって、アンテナ以外の残りの送信および受信システム
に対するアンテナの電気整合を示すようなアンテナの定
在波比を定めることによって検査される。本発明に関係
する測定装置の部分だけを述べることにする。この種の
測定装置の全体に関してはフィンランド特許第80,817号
に開示されている。測定ライン11の前端に、測定用の方
向性結合器DC1が配置される。この方向性結合器DC1の入
力ポート１はディバイダ14に結合されており、進行波ポ
ート３はアンテナライン10aを通じてアンテナ10に結合
されており、ポート２は抵抗Ｒで終端しており、ゲート
４は測定ライン11に結合されている。測定手段12と測定
用方向性結合器DC1の間に、第２の方向性結合器DC2が配
置されている。この方向性結合器DC2の入力ポート１′
は遅延ユニット13を通じてディバイダ14に結合されてお
り、進行波ポート３′は測定手段12の方向で測定ライン
に結合されており、ポート２′は抵抗Ｒで終端してお
り、ポート４′はアンテナ10の方向で測定ライン11に結
合されている。送信手段15はディバイダ14に結合され、
このディバイダ14を通じて電気測定信号A1を第１および
第２の方向性結合器に付与する。測定信号A1は、上に述
べたフィンランド特許第80,817に記述されているよう
に、送信信号を所望の測定周波数に対する転送発振器と
混合することによって送信信号から形成される。
測定信号A1に加えて、図では、方向性結合器DC1から
の信号および方向性結合器DC1への信号に、参照符号An
（ｎ＝2...4）のしるしが付されており、方向性結合器D
C2からの信号および方向性結合器DC2への信号に、参照
記号Bn（ｎ＝2...5）のしるしが付されている。参照符
号の次に小さな矢印が描かれているが、これらは問題と
する信号の進行方向を示すものである。
アンテナ10からディバイダ14と測定用方向性結合器DC
1を通じて付与される測定信号A2は、測定用方向性結合
器DC1において直接に測定手段12の方向へ漏れる。この
漏れ信号A4は、でたらめな位相でアンテナから戻る信号
へ加わってエラーを生じさせ、その大きさは漏れ信号と
アンテナから戻る信号との相互位相に依存する。漏れ信
号に加えて、エラーは、例えば、アンテナラインのケー
ブルやコネクタによって生じる反射がアンテナから戻る
信号に加わることによって生じる。
エラーの訂正（ダイナミックレンジを改善する）は２
つの状態に分けることができる。すなわち、（１）測定
用方向性結合器DC1の漏れ信号A4が他のスプリアス波よ
りも強い状態と、（２）他のスプリアス波が漏れ信号A4
よりも強い状態とである。
状態（１）では、より一般的に言えば、漏れ信号A4の
振幅に等しい振幅を有するが漏れ信号との関連でその位
相が１波長の半分（λ/2）だけ若しくはその奇数倍だけ
遅延されているような補償信号B5を測定手段12の方向で
第２の方向性結合器D2を用いて付与することによって漏
れ波A4が除去されるということである。この補償信号
は、測定信号A1をディバイダ14によって分岐して遅延ユ
ニット13を通じて第２の方向性結合器DC2へ送ることに
より測定信号A1から形成される。補償信号の振幅が漏れ
波の振幅に等しくなるように、第２の方向性結合器DC2
のカップリングの大きさは測定用方向性結合器DC1のカ
ップリングと指向性との合計に等しい（測定ラインに損
失はない）。したがって、例えば、測定用方向性結合器
DC1の指向性（D1＝10 logA3/A4）が20dBであり、カッ
プリング（C1＝10 logA2/A3）が同様に20dBである場
合、第２の方向性結合器DC2のカップリング（C2＝10 l
ogB3/B5）は40dBである。補償信号の位相が漏れ波に対
して1/2波長（若しくは、その奇数倍）で送信されるよ
うに、遅延ユニット13の遅延d1は、遅延d1から方向性結
合器DC1とDC2との間の信号の遅延d2を差し引いたものが
1/2波長若しくはその奇数倍（d1−d2＝ｎ λ/2,n＝1,
3,5...）の大きさを有するような大きさである。補償信
号B5が漏れ波A4を除去することから、測定すべき信号
は、もはやアンテナライン（アンテナケーブル）の電気
長に依存しない、換言すれば、でたらめな位相でアンテ
ナから戻る信号を漏れ信号に加えたものは、もはや測定
エラーを生じさせない。測定エラーは、しかしながら、
いまだにケーブルやコネクタのような他のファクタによ
ってある程度は生じてしまう。にもかかわらず、この測
定のダイナミックレンジは、従来の方法に比べて10〜25
dBだけ拡張される。
状態（２）では、補償信号は、振幅については測定ラ
インのスプリアス信号に等しくなるように、また、その
位相はスプリアス信号の反対となるように、個別に同調
されなければならない。この同調（チューニング）は、
アンテナラインを整合された抵抗（テストロード）で終
端させることによって、また、反射されるスプリアス信
号の振幅と位相、換言すれば、反射を生じるポイントの
位置と反射の大きさを与える測定（時間領域分析）を時
間領域でそれ自体既知の方法で行うことによって、達成
され得る。測定前に、既に計画段階にて、定在波比に影
響を与えるアンテナラインの全てのポイント（反射ポイ
ント）を、問題とする測定周波数で1/2波長若しくはそ
の奇数倍の間隔で調整することによって考慮すべきであ
る。これにより、１つの方向性結合器DC2を付加するこ
とによって、スプリアス信号を生じさせる全てのファク
タを除去することができる。
本発明を添付図面に描写した例を参照して上に記述し
ているが、本発明はこれに限定されるものではなく、上
に及び添付クレームに記述された本発明の概念の範囲内
で多くの方法で変更され得る。原則的には、方向性結合
器の代わりに、他の方向性手段、例えば、容量結合型ハ
イブリッドが存在してもよい。この理由から、使用した
「方向性結合器」という用語は、より広い意味で理解す
べきである。また、測定はアンテナの測定に限るもので
はなく、本発明の原理は方向性結合器を用いて行われる
他の測定でも使用され得る。また、方向性結合器の相対
順序を変更することもできる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−12562（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−51772（ＪＰ，Ａ) 特開 昭50−146377（ＪＰ，Ａ) 欧州特許出願公開261828（ＥＰ，Ａ １) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) G01R 27/06 G01R 27/28 G01R 29/10 H04B 17/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】アンテナの測定のような方向性結合器（DC
    1）を用いて行う測定の際のダイナミックレンジを拡張
    する方法において、 信号は、アンテナのような分析下の対象物（10）に向か
    って第１の方向で、前記測定用方向性結合器の第１のポ
    ート（３）を通じて付与され、前記信号の一部は、漏れ
    信号（A4）として、前記測定用方向性結合器の第２のポ
    ート（４）を通じて測定手段（12）に向かって測定ライ
    ン（11）へ第２の方向で漏れ、 前記分析下の対象物（10）から前記第２の方向で戻る信
    号は、前記測定手段（12）によって測定され、 前記対象物から戻る信号に加わる前記漏れ信号（A4）の
    ようなスプリアス信号と実質的に同じ振幅を有するが実
    質的に反対の位相を有する、前記測定手段に向かって前
    記第２の方向で伝搬する位相調整された補償信号（B5）
    を、第２の方向性結合器（DC2）を通じて前記測定ライ
    ン（11）へ付与することにより、前記スプリアス信号は
    除去されることを特徴とする方法。
  2. 【請求項２】前記補償信号（B5）は、該補償信号（B5）
    と前記測定用方向性結合器（DC1）から漏れる信号（A
    4）の間の位相差が1/2波長若しくはその奇数倍（ｎ λ
    /2、ｎ＝１、３、５、・・・）の大きさを有するように
    遅延され、前記補償信号（B5）の振幅は、前記第２の方
    向性結合記（DC2）のカップリングの大きさを前記測定
    用方向性結合器（DC1）のカップリングと指向性の合計
    に等しくなるように調整することによって前記漏れ信号
    の振幅に等しくなるように同調される、請求項１記載の
    方法。
  3. 【請求項３】前記測定ライン（11）で生じるスプリアス
    信号は個別の測定によって決定されるものであり、前記
    補償信号（B5）は、該補償信号の振幅が前記スプリアス
    信号の振幅に等しくなるように、また、前記補償信号の
    位相が前記スプリアス信号の位相の反対であるように、
    前記スプリアス信号の測定を基準に同調される、請求項
    １記載の方法。
  4. 【請求項４】請求項１の方法を実行する装置において、
    該装置は、 電気測定信号を発生する送信手段（15）と、 前記送信手段（15）に結合されて測定すべき対象物（1
    0）に向かって前記電気測定信号を付与する測定用方向
    性結合器（DC1）と、 測定ライン（11）に結合されて測定すべき対象物（10）
    から戻る信号を測定する測定手段（12）と、を備え、 前記測定用方向性結合器（DC1）における進行波のため
    のポート（３）は、測定すべき前記対象物（10）の方向
    へ結合されて該対象物（10）に前記電気測定信号を与え
    るものであり、前記測定用方向性結合器における第２の
    ポート（４）は、前記測定手段（12）の方向へ前記測定
    ライン（11）に結合されており、前記電気測定信号の一
    部は、漏れ信号（A4）として、前記測定用方向性結合器
    の前記第２のポート（４）を通じて前記測定ライン（1
    1）へ漏れて前記測定手段（12）へ向かって伝搬するも
    のであり、 第２の方向性結合器（DC2）は前記測定ライン（11）へ
    結合されており、該第２の方向性結合器（DC2）におけ
    る進行波のためのポート（３′）は、前記測定手段（1
    2）の方向へ前記測定ライン（11）に結合されて、位相
    調整された補償信号（B5）を前記測定手段に向かって付
    与するものであり、前記補償信号は、前記漏れ信号（A
    4）のようなスプリアス信号と実質的に同じ振幅である
    が実質的に反対の位相であって前記対象物（10）から戻
    る信号に加わる信号であり、 前記送信手段（15）は、前記第２の方向性結合器（DC
    2）の入力ポートへ遅延ユニット（13）を通じて結合さ
    れて前記補償信号（B5）の位相を調節することを特徴と
    する装置。
  5. 【請求項５】前記第２の方向性結合器（DC2）のカップ
    リングの大きさは、前記測定用方向性結合器（DC1）の
    指向性とカップリングの合計に等しい請求項４記載の装
    置。
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