JP3101032B2 - イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートグラフトラテツクスの低温製造方法 - Google Patents

イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートグラフトラテツクスの低温製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】本発明は、イソプロペニル-α,α-ジメ
チルベンジルイソシアネートをグラフト可能なラテック
スにグラフトさせることにより、または、イソプロペニ
ル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネートを共グラフ
ト性共重合単量体との組合わせで上記のラテックスに共
グラフトさせることにより低温で製造される、イソシア
ネート官能性ラテックスの製造に関するものである。
【0002】
【発明の背景】イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジ
ルイソシアネート、または TMIR(メタ)不飽和脂肪
族イソシアネートの商品名で販売されるアメリカンサイ
アナミド社(American Cyanamid Company)の製品、T
MIR 不飽和イソシアネートは、2 種の別個の反応性
基、ビニル基とイソシアネート基とを有する単量体であ
る。TMIR 不飽和イソシアネートはメタ異性体、パラ
異性体またはメタとパラとの混合物として得られる。T
MIR イソシアネートのメタ異性体は式:
【0003】
【化2】
【0004】により表される。
【0005】グラフト反応は反応性物質、通常は単量体
またはオリゴマーをグラフト可能な物質、通常は反応性
サイトまたはグラフトすべき上記の反応性物質と反応し
得る官能基を有する重合体に結合させる、当該技術で認
められている方法である。グラフトが起きる反応は限定
がなく、2 種の物質を結合させるいかなる反応も可能で
あるが、この反応は極めてしばしば遊離基反応である。
【0006】単独グラフト反応は、本件明細書中では、
1種の型の単量体(すなわち TMIR 不飽和イソシア
ネート)のみを上記の反応性物質として使用し、グラフ
ト可能な重合体にペンダント様に結合した1種または2
種以上の基を有する単独グラフト重合体を得るグラフト
反応工程として定義される。
【0007】共グラフト反応は、本件明細書中では、2
種以上の単量体を上記の反応性物質として使用し、グラ
フト可能な重合体にペンダント様に結合した各単量体か
ら誘導された基および1種または 2 種以上の共重合単
量体から誘導された共重合体基のような基を有する共グ
ラフト重合体を得るグラフト反応工程として定義され
る。
【0008】イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジル
イソシアネートのイソシアネート反応性重合体への、イ
ソシアネート官能性を経由するグラフト反応は、米国特
許第4,766,185、4,839,230、および 4,579,911 号に述
べられており、ペンダントイソプロペニル基を有する重
合体が製造されるが、引用した各特許はペンダントNC
O 基を有する重合体を製造する遊離基単独グラフトま
たは共グラフト反応には言及していない。
【0009】ポリオレフィンと m-イソプロペニル-α,
α-ジメチルベンジルイソシアネートとのイソプロペニ
ル基を経由する押出しグラフト反応の可能性は“プラス
チック技術(Plastics Technology)”,1989 年 11
月,13 ページに開示されている。m-イソプロペニル-
α,α-ジメチルベンジルイソシアネートのポリオレフィ
ン、ポリスチレン、アクリル樹脂、およびポリエステル
への遊離基重合も“近代プラスチックス(Modern Plast
ics)”,1989 年 12 月,16 ページに開示されている
が、共グラフト反応への言及はない。
【0010】飽和の、または不飽和の重合体へのイソプ
ロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネートの、
または共グラフト性共重合単量体との組合わせにおける
イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネー
トのグラフト反応は、“イソプロペニル-α,α-ジメチ
ルベンジルイソシアネートグラフト重合体(Isopropeny
l-alpha,alpha-dimethylbenzyl Isocyanate-Grafted Po
lymers)”と題する同時係属中の出願に開示されてい
る。
【0011】1986 年 6 月 25 日付で公刊されたヨーロ
ッパ特許出願第 185,606 号は、m-イソプロペニル-α,
α-ジメチルベンジルイソシアネートのチオエステル共
働作用剤アダクツのスチレン-ブタジエンゴムへの、イ
ソプロペニル基を経由する遊離基開始グラフト反応を開
示しているが、この開示のグラフト重合体生成物はイソ
シアネート官能性ではない。さらに、このグラフト反応
工程はイソプロペニル基の反応性が乏しいために効率が
低い。最後に、この開示は m-イソプロペニル-α,α-
ジメチルベンジルイソシアネートまたは共グラフト性共
重合単量体との組合わせにおけるアダクツを用いる共グ
ラフト反応には全く言及していない。m-イソプロペニ
ル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネートの乳化重合
もヨーロッパ特許第 194,222 号に開示されている。
【0012】1990 年 8 月 23 日付で受理された同時係
属中の米国特許出願第 07/571,801号は、TMIR 不飽
和イソシアネートを含有するグラフト共重合体の製造を
記載している。
【0013】本発明の目標は、低温において、グラフト
可能なラテックスにイソプロペニル-α,α-ジメチルベ
ンジルイソシアネートを単独グラフトさせるか、または
共グラフト性共重合単量体との組合わせで共グラフトさ
せることによるイソシアネート官能性ラテックスの製造
方法を提供することである。
【0014】
【発明の概要】グラフト可能なラテックス、たとえばポ
リブタジエンに、液体媒体中の遊離基レドックス開始剤
系を援用してイソプロペニル-α,α-ジメチルベンジル
イソシアネートを単独グラフトさせるか、または共グラ
フト性共重合単量体との組合わせにおけるイソプロペニ
ル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネートを共グラフ
トさせることよりなる新規な低温グラフト反応工程によ
り、イソシアネート官能性ラテックスが製造される。
【0015】
【詳細な記述】本発明記載のグラフト反応工程は、単独
グラフトラテックスを製造する工程と共グラフトラテッ
クスを製造する工程とよりなるものである “低温法”は、本件明細書中では約 0℃ ないし約 40℃
の範囲の温度で実施する方法として定義される。
【0016】本件明細書中で定義される“ラテックスの
語はある種の種子植物、たとえばカスチラ・エラスチカ
(Castilla Elastica)、またはヘヴェア・ブラジリエ
ニス(Hevea Brasilienis)の粘液産出性導管の粘着性
の乳様の分泌物として得られる、典型的にはタンパク質
により安定化されたゴム粒子のコロイド状懸濁液として
存在する、天然産の重合体を呼ぶものである。“ラテッ
クス”の語はまた、不飽和単量体の乳化重合または懸濁
重合により製造した合成重合体およびゴムのコロイド状
懸濁液を呼ぶものでもある。合成ラテックスの製造方法
は、マーク(H.Mark)、マーベル(S. C. Marvel)、メ
ルビル(H. W. Melville)およびウィットビー(G. S.
Whitby)により、“乳化重合(Emulsion Polymerizatio
n)”,“高分子(High Polymer)”部門、9 巻,ボヴ
ィー(F. A. Bovey)、コルトホフ(I. M. Kolthof
f)、メダリア(A. I. Medaria)、およびミーハン(E.
J.Meehan)編,インターサイエンス出版(Interscienc
e Publishers,Inc.),1955,1ないし 93 ページに極
めて詳細に記述されており、その内容は本件明細書に引
用文献として組み入れられている。
【0017】単独グラフト重合体の製造方法 イソシアネート官能性単独グラフトラテックスの低温製
造方法は、 (A) 液体媒体とグラフト可能なラテックスとを含有
する反応帯域に: (i) 式:
【0018】
【化3】
【0019】により表される m- もしくは p-イソプ
ロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネートまた
はその混合物; (ii) ハイドロパーオキサイド、および (iii) 上記のハイドロパーオキサイドを分解させる
のに十分な量の遊離基レドックス開始剤溶液 よりなる単独グラフト反応負荷物を導入し、 (B) 反応帯域をイソプロペニル-α,α-ジメチルベ
ンジルイソシアネートをグラフトさせるのに十分な温度
に十分な時間維持する 各段階よりなるものである。
【0020】共グラフト重合体の製造方法 イソシアネート官能性共グラフトラテックスの低温製造
方法は、 (A) 液体媒体とグラフト可能なラテックスとを含有
する反応帯域に: (i) 式:
【0021】
【化4】
【0022】により表される m- もしくは p-イソプ
ロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネートまた
はその混合物; (ii) 式
【0023】
【化5】 式中、R1 は水素またはアルキルであり、R2 はメトキ
シカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボ
ニル、ブトキシカルボニル、ヘキソキシカルボニル、2-
エチルヘキソキシカルボニル、ラウロキシカルボニル、
1ないし 20 個の炭素原子を有するアルキル、アリー
ル、アミノカルボニル、アセトキシ、またはシアノ基で
ある により表される不飽和共重合単量体、 (iii) ハイドロパーオキサイド、および (iv) 上記のハイドロパーオキサイドを分解させる
のに十分な量の遊離基レドックス開始剤溶液 よりなる共グラフト反応負荷物を導入し、 (B) 反応帯域を上記の各単量体を共グラフトさせる
のに十分な温度に十分な時間維持する 各段階よりなるものである。
【0024】本発明記載の方法に使用するグラフト可能
なラテックス 本発明に使用し得るグラフト可能なラテックスは飽和
の、または不飽和の骨格を有する遊離基的にグラフト可
能なラテックス、たとえばポリ塩化ビニルラテックスま
たはポリブタジエンラテックスである。これにはポリオ
レフィン、たとえばポリプロピレン、ポリエチレン、ス
チレン樹脂たとえばポリスチレン、アクリル樹脂たとえ
ばポリメタクリル酸メチル、ポリブタジエン、ポリエス
テル、、ポリ塩化ビニル、およびポリ酢酸ビニル等のラ
テックスが可能である。本発明に使用し得るグラフト可
能なラテックスには飽和の、および不飽和の弾性体を含
む飽和の、または不飽和のラテックスの混合物も可能で
ある。これらはまた、複数の単量体の重合により得られ
るラテックスであってもよい。共重合体のグラフト可能
な、または共グラフト可能なラテックスの例は、エチレ
ン-プロピレン共重合体ラテックスを製造するためのエ
チレンとプロピレンとの混合物の共重合により生ずるも
の、エチレン-酢酸ビニル共重合体ラテックスを製造す
るためのエチレンと酢酸ビニルとの混合物の共重合によ
り生ずるもの、および他の同様な系のものである。これ
らは水のみを含有するものであってもよく、水と1種ま
たは 2種以上の有機溶媒とを含有するものであってもよ
い。
【0025】ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、および
ポリ塩化ビニル-アクリル共重合体よりなるグループの
構成員、ならびに周知の、広く実用されている方法、た
とえば対応する単量体または単量体混合物の乳化重合に
より製造し得る同様な類のラテックスが特に有用であ
る。
【0026】飽和のポリ塩化ビニルラテックス重合体の
例は、以下の性質を有するグッドリッチ社(B. F. Good
rich Company,Cleveland,Ohio)の製品、ゼオン(GEO
NR)351 ラテックスである: 全固体分(%) : 57.5 25℃ におけるブルックフィールド粘性(センチポイズ) : 20 表面張力(ダイン/cm) : 37.5 比重(ラテックス) : 1.18 比重(固体) : 1.35 ガラス転移温度(℃) :+62 乳化剤(合成) :アニオン性 pH : 9.5 − 11.0 飽和のポリ塩化ビニル基剤ラテックス重合体の他の例
は、以下の諸性質を有するグッドリッチ社の製品、ゼオ
ン(GEONR)460X46 塩化ビニル-アクリル共重合体ラテ
ックスである: 全固体分(%) : 49.0 25℃ におけるブルックフィールド粘性(センチポイズ) : 20 表面張力(ダイン/cm) : 36 比重(ラテックス) : 1.113 比重(固体) : 1.272 ガラス転移温度(℃) :+ 7 乳化剤(合成) :アニオン性 pH : 4.5 − 7.0 不飽和ラテックスの一例は、以下の諸性質を有する、ラ
イヒホールド化学社乳化重合体部(Reichhold Chemica
l,Inc.,Emulsion Polymer Division,Dover,DE)の
実験的製品、ポリブタジエンラテックス T-291 であ
る: 全固体分(%) : 45.3 表面張力(ダイン/cm) : 65 − 75 凝集体含有量(100 メッシュふるい上%) : 0.05 以下 pH : 8.8 − 9.2 粒子サイズ(A) : 950 − 1150 ムーニー粘性(100℃ における ML/4) : 31 − 43 本発明記載の方法に有用なイソプロペニル-α,α-ジメ
チルベンジルイソシアネート 本発明に使用するイソシアネート官能性単量体は、m-
および p-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイ
ソシアネートまたはその混合物である。TMIR(メ
タ)不飽和脂肪族イソシアネート(アメリカンサイアナ
ミド社(American Cyanamid Company,Wayne,N.J.)の
商品名で市販されている m-イソプロペニル-α,α-ジ
メチルベンジルイソシアネートが好ましい − 単独で使
用する場合には単独グラフト性単量体として、また共グ
ラフト性共重合単量体との組合わせで使用する場合には
共グラフト成分単量体成分として使用し得る官能性イソ
シアネート単量体である。これは式:
【0027】
【化6】
【0028】により表され、以下の諸性質を有する: CAS 登録番号 : 2094-99-7 外見 : 無色の液体 NCO 含有量(%、理論値) : 20.9 沸点(℃、1気圧) : 270 蒸気圧(mmHg、100℃) : 2 粘性(27℃、cp) : 3 密度(g/ml) : 1.01 上記の m- 異性体に加えて、TMI の p-異性体、T
MIR(パラ)不飽和脂肪族イソシアネートも本発明の
実施におけるグラフト性単量体として使用可能であり、
以下の式:
【0029】
【化7】
【0030】により表され、以下の諸性質を有する: CAS 登録番号 : 2889-58-9 外見 : 無色の液体 融点(℃) : 0 蒸気圧(25℃、mmHg) : 0.0046 蒸気密度(空気 = 1) : 100.5 TMIR 不飽和脂肪族イソシアネートを単独で、または
共グラフト性共重合単量体、たとえばメタクリル酸メチ
ルとともにグラフト可能なラテックス、たとえばポリブ
タジエンにグラフトさせれば、ペンダント様に結合し
た、さらに反応し得るイソシアネート基を有するイソシ
アネート官能性グラフトラテックスが製造される。典型
的なこの種の反応はイソシアネート反応性多官能性物質
による、特に水分、アミン、メルカプタンおよびアルコ
ールによるポリ尿素結合およびポリウレタン結合を製造
する架橋反応である。
【0031】本発明記載の方法に有用な共グラフト性共
重合単量体 適当な共グラフト性共重合単量体は、イソプロペニル-
α,α-ジメチルベンジルイソシアネートのビニル基と共
重合して共重合体を与え、ついでこれがラテックスの内
部または外部にグラフトし得るものである。この共重合
単量体は、限定的にではなく、一置換およびジェム二置
換不飽和化合物の類から選択され、これには:α-オレ
フィン、カルボン酸ビニル、ビニルエーテル、α,β-不
飽和アルデヒドおよびケトン、スチレン、α-メチルス
チレン、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステ
ル、アクリル酸アミドおよびメタクリル酸アミド、なら
びにアクリル酸ニトリルおよびメタクリル酸ニトリルが
含まれる。
【0032】本発明に使用し得る共グラフト性共重合単
量体は式:
【0033】
【化8】 式中、R1 は水素またはアルキル基、たとえばメチルで
あり、R2 は重合活性化基、たとえばメトキシカルボニ
ル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブト
キシカルボニル、ヘキソキシカルボニル、2-エチルヘキ
ソキシカルボニル、ラウロキシカルボニル、1ないし 2
0 個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アミノカ
ルボニル、アルコキシ、アシロキシ、シアノ等である により表される不飽和共重合単量体である。
【0034】適当な共グラフト性共重合単量体の例には
以下の単量体が含まれる:酢酸ビニル、メチレンバレロ
ラクトン、ヘキシルビニルエーテル、メチルビニルケト
ン、アクロレイン、スチレン、α-メチルスチレン、p-
メチルスチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、
N,N-ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリ
ル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタク
リル酸ヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリ
ル酸エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル
酸ラウリル等。
【0035】共グラフト性共重合単量体の好ましい類
は、式:
【0036】
【化9】 式中、R4 は水素またはメチルであり、R5 は1ないし
20 個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、ま
たはアラールキル基である により表されるアクリル酸エステルおよびメタクリル酸
エステルである。
【0037】最も好ましいアクリル酸エステルおよびメ
タクリル酸エステルはメタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、ア
クリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸
エチルヘキシル、およびメタクリル酸エチルヘキシルで
ある。
【0038】本発明記載の方法に有用な遊離基開始剤 グラフト反応開始剤は、“ハイドロパーオキサイド成
分”の酸化剤と“遊離基レドックス開始剤溶液成分”の
還元剤とを適当な比率で接触させた場合に遊離基を生成
し得るレドックス系である。これらは共に、本発明に使
用される“遊離基レドックス開始剤系”を形成する。
【0039】本発明記載の方法に使用し得る遊離基レド
ックス系は、当該技術で周知されているレドックス開始
剤系である。最も広く使用されている組合わせは: (1) ハイドロパーオキサイド成分、および (2) ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム、塩化
鉄(III)、脱イオン水または他の溶媒よりなるレドッ
クス開始剤溶液成分 よりなるものである。
【0040】ハイドロパーオキサイド、ホルムアルデヒ
ドスルホン酸ナトリウム、および塩化鉄(III)の、典
型的には水性媒体中の組合わせがレドックス反応におい
て遊離基を生成することが知られている。
【0041】本発明記載の方法において、単独グラフト
反応または関連する共グラフト反応はハイドロパーオキ
サイド成分とレドックス開始剤溶液成分との組合わせに
より低温(0 ないし 40℃)で開始する。
【0042】好ましいハイドロパーオキサイドは第 3
ブチルハイドロパーオキサイドであるが、他の低級アル
キルハイドロパーオキサイド、過酸化アシル、ペルオキ
シカルボン酸、ペルオキシスルホン酸、および過酸化水
素も使用可能である。
【0043】上記のレドックス開始剤の変形も本発明記
載の方法に使用可能である。これらはマーク、マーベ
ル、メルビルおよびウィットビーにより“乳化重合”,
“高分子”部門,9 巻,ボヴィー、コルトホフ、メダリ
ア、およびミーハン編,インターサイエンス出版,195
5,71 ないし 93ページに極めて詳細に記述されてお
り、その内容は本件明細書に引用文献として組み入れら
れている。レドックス系のその他の例は、ジョン・ワイ
リー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons,NewYork)
刊行のカーク・オットマー化学技術事典(Kirk-Othmer
Encyclopedia ofChemical Technology),第 3 版(198
1),13 巻,357 ないし 365ページの文献“開始剤(In
itiators)”に記載されている。
【0044】本発明記載の方法に使用可能なレドックス
系の特定の例は、以下に極めて詳細に記述する。
【0045】グラフト反応に使用可能な遊離基開始剤
は、いずれもそれ自体は熱的に安定な酸化剤および還元
剤が低温で反応して遊離基を形成するレドックス系であ
る。この点は、有効であるためには室温で不安定である
かまたは、そうでなければ高温に加熱した場合に不安定
でなければならない通常の遊離基開始剤とは対照的であ
る。本発明記載の方法に使用するレドックス系は低温に
おいて有効である。
【0046】遊離基を効率的に生成させるためには、レ
ドックス開始剤溶液中の還元剤は好ましくはハイドロパ
ーオキサイド酸化剤成分に対してほぼ化学量論的比率で
存在する。
【0047】以下のレドックス系は本発明記載の方法に
おいて特に有用である。
【0048】1. 過酸化水素/鉄(II)レドックス系22 + Fe++ → HO・+ OH- + Fe+++ 2. 過硫酸塩/鉄(II)レドックス系28 -- + Fe++ → SO4- + SO4 -- + Fe+++ 3. クメンハイドロパーオキサイド/鉄(II)レドッ
クス系65C(CH3)2OOH + Fe++ → C65C(CH3)2O・+ Fe+++ + OH- 金属還元剤、たとえば鉄も錯体形状またはキーレート形
状で存在することができる。キーレート基の例はポリア
ミン、たとえばジエチレントリアミン、エチレンジアミ
ン四酢酸等である。
【0049】ハイドロパーオキサイド以外の酸化剤も、
これらを含有する系が低温において遊離基を生成させ得
るならば使用可能である。これらの例には硫酸セリウ
ム、過マンガン酸塩、亜塩素酸塩、および次亜塩素酸塩
が含まれる。
【0050】他の使用可能な系にはヘキサシアノ鉄(II
I)酸塩/メルカプタン、ペンタシアノニトリト鉄(III)
酸塩/メルカプタン、クロム酸塩/三酸化ヒ素、クロム
酸塩/亜ヒ酸塩、およびニトロプルシド/ハイドロパー
オキサイドの組が含まれる。本発明の好ましい実施態様
において、遊離基レドックス開始剤溶液成分は: (1) グラフトさせる単一の、または複数の単量体、 (2) ハイドロパーオキサイド成分、および (3) グラフト可能なラテックス を含有する反応帯域に徐々に添加し、上記のレドックス
溶液は大部分のハイドロパーオキサイドを分解させるの
に十分な量で存在する。
【0051】反応帯域への添加に先立ってグラフト性単
量体をハイドロパーオキサイドと予備混合しすることも
可能であり、この添加ののちに、遊離基レドックス開始
剤溶液を好ましくは 5 分以下の時間をかけて徐々に導
入する。
【0052】グラフト用負荷物の各成分をグラフト可能
なラテックスから離れて、またはその不存在で混合する
ならば、非グラフト反応がレドックス開始剤系により開
始され得ることに注意すべきである。グラフト用負荷物
の各成分をラテックスを含有する反応帯域への添加に先
立って予備混合するならば、ハイドロパーオキサイド/
レドックス溶液系による開始により単量体の重合または
共重合が起こり、ラテックスの非効率的なグラフト反応
へ導かれる。
【0053】遊離基開始剤は、グラフト反応サイトとグ
ラフト側鎖の長さとを限定するために連鎖移動剤、たと
えばとの組合わせで使用することができるが、一般には
これを使用しない。
【0054】本発明記載の単独グラフト法で使用する各
成分の比率と割合 単独グラフト用負荷物中の m- または p-イソプロペ
ニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネートの濃度は
約 40重量%ないし約 99.99 重量%である。
【0055】ハイドロパーオキサイドの濃度は 5 ない
し 0.01 重量%である。
【0056】単独グラフト用負荷物中の遊離基レドック
ス開始剤溶液の濃度は約 60 重量%ないし約 0.01 重量
%である。
【0057】m- または p-イソプロペニル-α,α-ジ
メチルベンジルイソシアネートのハイドロパーオキサイ
ドに対する比率は約 9:1 ないし約 9,999:1 であり、
またその遊離基開始剤レドックス溶液に対する比率は約
1:1 ないし約 9,999:1 である。
【0058】グラフト可能な重合体の単独グラフト用負
荷物に対する比率は約100:1 ないし約 1:1 の範囲で
あり、10:1ないし 2:1 の範囲が特に好ましい。
【0059】本発明記載の共グラフト法に使用する各成
分の比率と割合 共グラフト用負荷物中の m- または p-イソプロペニ
ル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネートの濃度は約
1重量%ないし約 99 重量%であり、20 重量%ないし
40 重量%の範囲が特に好ましい。
【0060】共グラフト用負荷物中の不飽和共重合単量
体の濃度は約 99 重量%ないし約1重量%であり、80
重量%ないし 60 重量%の範囲が特に好ましい。
【0061】共グラフト用負荷物中のハイドロパーオキ
サイドの重量百分率は約 0.01 重量%ないし約 5 重量
%である。
【0062】共グラフト用負荷物中の遊離基レドックス
開始剤溶液の重量百分率は約 0.01重量%ないし約 60
重量%であり、0.2 重量%ないし 0.6 重量%の範囲が
特に好ましい。
【0063】m- または p-イソプロペニル-α,α-ジ
メチルベンジルイソシアネートの不飽和共重合単量体に
対する比率は約 99:1 ないし約 1:99、より好ましく
は 1:1 ないし 10:1 である。
【0064】全単量体(すなわち m- または p-イソ
プロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネートお
よび不飽和共重合単量体)の遊離基レドックス開始剤溶
液に対する比率は約 1:1 ないし約 9,900:1 であり、
これらの単量体のハイドロパーオキサイドに対する比率
は約 0.2:1 ないし約 9900:1 である。
【0065】グラフト可能な重合体の共グラフト用負荷
物に対する比率は約 100:1 ないし約 1:1 の範囲であ
り、10:1ないし 2:1 の範囲が特に好ましい。
【0066】本発明記載の方法に使用する単独グラフト
反応または共グラフト反応用の反応条件 本発明記載の方法における反応帯域は、バッチ反応また
は連続反応のいずれかを実施する目的に適した反応器で
ある。各成分の添加は予備混合したものであっても順次
に行ってもよい。予備混合方式においては、グラフト用
負荷物の全ての成分を反応帯域への添加に先立って混合
し、遅滞することなく、好ましくは 5分以内に添加する
が、この方法は予備混合することなく実施するのが好ま
しい。順次方法においては、レドックス開始剤溶液を除
くグラフト用負荷物の各成分をいずれかの組合わせで、
またはいずれかの順序で反応帯域に添加し、その後、レ
ドックス開始剤溶液を添加する。
【0067】レドックス開始剤溶液に替えてハイドロパ
ーオキサイドを最後に添加して順次方式を実施すること
も可能であるが、この方式を使用する場合には混合速度
および反応速度を制御することがより困難になる。各成
分の添加が順次的である場合には、好ましくは、遊離基
レドックス開始剤溶液を他の各成分と予備混合すること
なく最後に添加して、単量体の遊離基重合またはハイド
ロパーオキサイドの分解をグラフト反応なしには開始さ
せないようにする。
【0068】単独グラフト反応工程および共グラフト反
応工程の双方において、本発明記載の方法における反応
帯域の温度は約 0℃ ないし約 40℃ の範囲に維持する
が、32℃ ないし 36℃ の範囲が好ましい。
【0069】本発明記載の方法における単独グラフト用
負荷物または共グラフト用負荷物の導入時間は約 5 秒
ないし約 5 時間の範囲であるが、1ないし 3 時間の範
囲が特に好ましい。
【0070】単独グラフト用負荷物または共グラフト用
負荷物を添加したのちの単独グラフト反応時間または共
グラフト反応時間は約 5 分ないし約 5 時間であるが、
好ましくは単独グラフト用負荷物または共グラフト用負
荷物中の単量体の少なくとも10 重量%を反応させるた
めに、1ないし 3 時間の範囲が特に好ましい。
【0071】単独グラフト反応または共グラフト反応の
のちに、単量体溶解性溶媒を用いる抽出により、または
真空蒸留により、未反応の単量体を単独グラフトまたは
共グラフトした重合体から分離することができるが、通
常は、この反応を完了まで進行させて分離の必要をなく
する。
【0072】
【実施例1】メタクリル酸メチル(79.3 g、0.79 モ
ル)、m-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソ
シアネート(8.8 g、0.044 モル)、および第 3 ブチル
ハイドロパーオキサイド(0.20 g、0.0022 モル)の溶
液を、ライヒホールド化学社の実験的製品である T-29
1 ポリブタジエンラテックス(45.3 %の固体分を有す
る水中ラテックス 579.4 g)および脱イオン水(76.8
g)の撹拌している懸濁液に室温で添加した。室温で1
時間撹拌したのち、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリ
ウム(0.383 g)、塩化鉄(III)(0.09 g)、および脱イ
オン水(4.6 g)よりなるレドックス溶液(5 ml)を添
加した。6 分後に発熱反応が観測され、2 時間以内に混
合物の温度が 33.5℃ に上昇した。撹拌することなく室
温でさらに24 時間放置したのち、以下の諸特性を有す
る共グラフトしたポリブタジエンラテックスを得た: (1) この生成物は、ガスクロマトグラフィーで測定
して、遊離の m-イソプロペニル-α,α-ジメチルベン
ジルイソシアネートを含有しなかった。
【0073】(2) この生成物は、ガスクロマトグラ
フィーで測定して、最初のメタクリル酸メチル付加物の
4 %に相当するレベルでメタクリル酸メチルを含有し
ていた。
【0074】実施例1は本発明記載の方法による共グラ
フトポリブタジエンの製造を説明している。
【0075】
【実施例2】35.2 g の m-イソプロペニル-α,α-ジメ
チルベンジルイソシアネートと50.9 g のメタクリル酸
メタクリル酸とを使用したことを除いて実施例1の手順
を追試した。反応の終了時に、ガスクロマトグラフィー
で測定して最初の m-イソプロペニル-α,α-ジメチル
ベンジルイソシアネートの 1.7 %とメタクリル酸メチ
ルの 1.6 %とが未反応であった。
【0076】実施例2は、実施例1より高い m-イソプ
ロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネートレベ
ルにおける本発明記載の方法による共グラフトラテック
スの製造を説明している。
【0077】
【実施例3】メタクリル酸メチルを酢酸ビニルで置き換
えたことを除いて実施例1の手順を追試した。ここで得
られた生成物は、最初の負荷物の 2.5 %に相当するレ
ベルの未反応の m-イソプロペニル-α,α-ジメチルベ
ンジルイソシアネートを有していた。これはまた、最初
の負荷物の 8.7 %に相当するレベルの未反応の酢酸ビ
ニルをも含有していた。
【0078】実施例3は、メタクリル酸メチルとは異な
る共グラフト性共重合単量体である酢酸ビニルを使用す
る、本発明記載の方法による共グラフトラテックスの製
造を説明している。
【0079】
【実施例4】実施例1、実施例2、および実施例3のグ
ラフトしたラテックスを引き伸ばして、それぞれ被覆剤
A、B、および C を製造した。未グラフトポリブタ
ジエンラテックスからの被覆剤 D も対照例として含め
た。方法は以下に極めて詳細に記述する:グラフトラテ
ックスの生成物を、0.2 mm(8 ミル)のバード(Bird)
棒状体を用いてガラス板上に引き伸ばした。ついで、こ
の被覆剤を 25℃ で 2 日間空気乾燥して水分硬化させ
た。この被覆剤をガラス表面からはがしたのちに 2.5
×2.5 mm の四角形に切り、この四角い被覆剤をヘキサ
ン中に 24 時間放置し、対応する未膨潤グラフトラテッ
クスの表面積と比較して各被覆剤のパーセント膨潤度を
計算した。結果は表1に概括してある。
【0080】表1の結果から、本発明記載の方法で製造
したグラフトポリブタジエンラテックスから得た空気乾
燥フィルムが、特に高度の m-TMIR イソシアネート
負荷の場合に、実質的にその原形を保持することが結論
された。出発物質のラテックスから誘導したフィルムで
ある被覆剤 D の迅速な、かつ完全な分解は、共グラフ
トラテックスフィルムの穏やかな膨潤のみの結果と比較
して対照的である。
【0081】
【表1】 表 1 共グラフトポリブタジエンラテックスの膨潤(a) 被覆 膨潤度 A(実施例1)(b) 42.5 B(実施例2)(b) 22.5 C(実施例3)(b) 60.0 D(T-291 ラテックス)(c) 分解 (a) ヘキサン中、室温で 24 時間 (b) 各実施例の共グラフトブタジエンラテックス (c) 未グラフトブタジエンラテックス T-291
【0082】
【実施例5】メタクリル酸メチルを添加しなかったこと
を除いて、実施例1の方法を追試した。得られた生成物
は、最初の負荷量の 17 %に相当する未反応の m-イソ
プロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネートを
有していた。
【0083】この実施例は、m-イソプロペニル-α,α-
ジメチルベンジルイソシアネートの単独グラフト反応が
共グラフト性共重合単量体との組合わせにおける m-イ
ソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート
の共グラフト反応より若干非効率的な工程であることを
説明している。
【0084】
【実施例6】メタクリル酸メチル(59.5 g、0.595 モ
ル)と第 3 ブチルハイドロパーオキサイド(0.4 g、0.
0044 モル)との溶液を、グッドリッチ社の製品である
ゼオンR 351 ポリ塩化ビニルラテックスの撹拌している
懸濁液(57.6 %の固体分を有する水中ラテックス 590
g)および脱イオン水(90.0g)に室温で添加した。さら
に(5 分間)撹拌したのち、m-イソプロペニル-α,α-
ジメチルベンジルイソシアネート(25.5 g、0.127 モ
ル)を添加した。この混合物をさらに 50 分間撹拌した
のち、実施例1の記載と同様にして製造したレドックス
開始剤溶液(10.6ml)を添加した。1時間後のピーク温
度は 36℃ であった。さらに1時間撹拌したのち、撹拌
を停止して反応混合物を室温に一晩放置した。このよう
にして得られた生成物は、実質的に全量の TMIR
飽和イソシアネートとメタクリル酸メチル単量体とから
形成された共重合体でグラフトされたポリ塩化ビニルラ
テックスであった。この生成物は、未反応の単量体とし
て最初の負荷量の 0.2 %に相当する m-イソプロペニ
ル-α, α-ジメチルベンジルイソシアネートを含有し、
また、最初の未グラフト負荷量の 0.5 %に相当するメ
タクリル酸メチルをも含有していた。図1は、この実施
例に使用した未グラフトポリ塩化ビニルラテックスの染
色電子ビーム顕微鏡写真である。図2は、この実施例で
製造した個別のグラフトしたラテックス粒子の染色電子
ビーム顕微鏡写真である。図2は、グラフト反応がポリ
塩化ビニルラテックス粒子の外部で起こったことを示し
ている。
【0085】この実施例は、本発明記載の方法によるポ
リ塩化ビニルラテックスの共グラフト反応を説明してい
る。
【0086】
【実施例7】クロロホルム(34.5 g)を水とともに添加
してポリ塩化ビニルを膨潤させ、ついで単量体の添加に
先立って 15 分間撹拌したことを除いて、実施例6の手
順を追試した。このようにして得られた生成物は、実質
的に全量の TMIR 不飽和イソシアネートとメタクリ
ル酸メチル単量体とから形成された共重合体でグラフト
されたポリ塩化ビニルラテックスであった。この生成物
は、未反応の単量体として最初の負荷量の 0.5 %に相
当する m-イソプロペニル-α, α-ジメチルベンジルイ
ソシアネートを含有し、また、最初の負荷量の 1.5 %
に相当するメタクリル酸メタクリル酸をも含有してい
た。図3は、この実施例で製造したグラフトラテックス
粒子の染色電子ビーム顕微鏡写真である。未グラフト粒
子(図1)とグラフト粒子(図3)との染色電子ビーム
顕微鏡写真の比較は、グラフト反応がポリ塩化ビニルラ
テックス粒子に侵入していることを示している。
【0087】
【実施例8】以下のものを用いて実施例6の手順を追試
した: (1) グッドリッチ社の製品であるゼオンR 460X46ポ
リ塩化ビニル-アクリルラテックス(541.3 g) (2) 脱イオン水(115.0 g) (3) メタクリル酸メチル(50.9 g) (4) m-イソプロペニル-α, α-ジメチルベンジルイ
ソシアネート(35.2 g) (5) 第 3 ブチルハイドロパーオキサイド(0.20 g) (6) 実施例1のレドックス開始剤溶液(5.3 ml) このようにして得られた生成物は、最初の負荷量の 1.2
%に相当する未反応の m-イソプロペニル-α, α-ジ
メチルベンジルイソシアネート、および最初の負荷量の
0.8 %に相当するメタクリル酸メタクリル酸を含有し
ていた。
【0088】この物質から被覆剤を製造し、実施例4の
記載と同様にして試験した。ヘキサン中 24 時間後の被
覆剤はいかなる膨潤をも示さず、膨潤実験中、その原形
を保持するのに十分な被覆剤の架橋の存在を示してい
た。
【0089】
【実施例9】以下のものを用いて実施例1の手順を追試
した: メタクリル酸メチル : 61.7 g m-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート : 26.4 g 第 3 ブチルハイドロパーオキサイド : 0.20 g T-291 ポリブタジエンラテックス(固体分 44.2 %) : 593.9 g 脱イオン水 : 54.2 g レドックス開始剤溶液 : 5.3 g ピーク温度は 28℃ であった。反応が完了したのち、反
応生成物をブチルアミンで滴定した。滴定結果は、反応
の終了時にもなお、負荷したNCO の量の約84.5 %が
生成物中に存在することを示した。
【0090】この実施例は、グラフト反応中の NCO
の損失が少ない(すなわち最初の負荷の約 15.5 %)こ
とを説明している。
【0091】
【実施例10】T-291 ポリブタジエンラテックスをゼ
オンR460X46 ポリ塩化ビニル-アクリルラテックス(54
1.3 g、固体分 48.5 %)で置き換え、115 g の脱イオ
ン水を使用したことを除いて、実施例9の手順を追試し
た。ピーク温度はここでも 28℃ であった。
【0092】反応生成物の NCO 滴定は、負荷した
NCOの約 91 %が反応の終了時にもなお生成物中に存
在することを示した。
【0093】この実施例は、グラフト反応中の NCO
の損失が少ない(すなわち最初の負荷の約 9 %)こと
を説明している。
【0094】
【実施例11】実施例6の実験を繰り返し、27.4 g の
固体生成物を含有する 50 g の共グラフトしたラテック
ス生成物を、還流下で 300 g のアセトンを用いる 4 回
の連続的な 24 時間ソックスレー抽出にかけた。ヘキサ
ンを添加してアセトン可溶性の抽出物質を沈澱させ、以
下に示す量の抽出物1、2、3 および 4 を得た。
【0095】抽出物 1 : 2.1 g 抽出物 2 : 1.9 g 抽出物 3 : 6.7 g 抽出物 4 : 6.5 g 残留物 : 秤量せず 上記の抽出物の中で抽出物1のみが、抽出物1の赤外ス
ペクトルの特性領域における NCO 吸収帯ならびに
−COO− および C−Cl 官能基に基づく吸収帯の存
在により示されるように、イソシアネート官能性であっ
た。残余の抽出物 2、3 および 4 は NCO の吸収帯
を示さなかったが、抽出された分画中の−COO− お
よび C−Cl 官能基の存在は示した。残留物は分析し
なかった。若干の好ましい具体例を引用して本発明を記
述してきたが、添付した特許請求の範囲により定義され
る本発明の範囲から外れることなく、その改良および変
更が当業者によりなされ得ることは明らかである。
【0096】本発明の主な特徴及び態様は以下のとおり
である。
【0097】1 (A) 液体媒体とグラフト可能なラ
テックスとを含有する反応帯域に: (i) イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソ
シアネート; (ii) ハイドロパーオキサイド、および (iii) 上記のハイドロパーオキサイドを分解させる
のに十分な量の遊離基レドックス開始剤溶液 を含んでなる単独グラフト反応負荷物を導入し、 (B) 反応帯域をイソプロペニル-α,α-ジメチルベ
ンジルイソシアネートをグラフトさせるのに十分な温度
に十分な時間維持する 段階を有するイソシアネート官能性単独グラフトラテッ
クスの低温製造方法。
【0098】2 グラフト負荷物中のイソプロペニル-
α,α-ジメチルベンジルイソシアネートの濃度が 40 重
量%ないし 99.99 重量%であることを特徴とする上記
1記載の方法。
【0099】3 上記のグラフト可能なラテックスがポ
リブタジエンラテックス、ポリ塩化ビニルラテックス、
ポリエチレン-酢酸ビニルラテックス、ポリスチレンラ
テックス、ポリメタクリル酸メチルラテックス、ポリエ
ステルラテックス、ポリ酢酸ビニルラテックス、ポリ酢
酸ビニル-アクリルラテックス、およびこれらの混合物
よりなるグループから選択したものであることを特徴と
する上記1記載の方法。
【0100】4 上記のグラフト可能なラテックスの単
独グラフト負荷物に対する重量比が約 100:1 ないし約
1:1 の範囲であることを特徴とする上記1記載の方
法。
【0101】5 (A) 液体媒体とグラフト可能なラ
テックスとを含有する反応帯域に: (i) イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソ
シアネート; (ii) 式
【0102】
【化10】 式中、R1 は水素およびアルキルよりなるグループから
選択し、R2 はメトキシカルボニル、エトキシカルボニ
ル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ヘキ
ソキシカルボニル、2-エチルヘキソキシカルボニル、ラ
ウロキシカルボニル、1ないし 20 個の炭素原子を有す
るアルキル、アリール、アミノカルボニル、アセトキ
シ、およびシアノ基よりなるグループから選択する により表される不飽和共重合単量体、 (iii) ハイドロパーオキサイド、および (iv) 上記のハイドロパーオキサイドを分解させる
のに十分な量の遊離基レドックス開始剤溶液 を含んでなる共グラフト反応負荷物を導入し、 (B) 反応帯域を単量体(i)および(ii)を共グラ
フトさせるのに十分な温度に十分な時間維持する 段階を有するイソシアネート官能性共グラフトラテック
スの低温製造方法。
【0103】6 イソプロペニル-α,α-ジメチルベン
ジルイソシアネートの不飽和共重合単量体に対する重量
比が 1:1 ないし10:1 であることを特徴とする上記5
記載の方法。
【0104】7 成分(i)プラス(ii)のハイドロパ
ーオキサイド(iii)に対する重量比が約 0.2:1 ない
し約 9900:1 であることを特徴とする上記5記載の方
法。
【0105】8 上記のグラフト可能なラテックスがポ
リブタジエンラテックス、ポリ塩化ビニルラテックス、
ポリエチレン-酢酸ビニルラテックス共重合体、ポリス
チレンラテックス、ポリメタクリル酸メチルラテック
ス、ポリエステルラテックス、ポリ酢酸ビニルラテック
ス、ポリ酢酸ビニル-アクリルラテックス、およびこれ
らの混合物よりなるグループから選択したものであるこ
とを特徴とする上記5記載の方法。
【0106】9 上記1記載の方法の生成物。
【0107】10 上記5記載の方法の生成物。
【図面の簡単な説明】
【図1】未グラフトポリ塩化ビニルラテックスの顕微鏡
写真である。
【図2】ポリ塩化ビニルラテックス粒子の表面に共グラ
フトした TMIR の顕微鏡写真である。
【図3】グラフト部分がラテックス内に侵入した、ポリ
塩化ビニルラテックス粒子の表面に共グラフトした T
MIR の顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 291/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) 液体媒体とグラフト可能なラテ
    ックスとを含有する反応帯域に: (i) イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソ
    シアネート; (ii) ハイドロパーオキサイド、および (iii) 上記のハイドロパーオキサイドを分解させる
    のに十分な量の遊離基レドックス開始剤溶液 を含んでなる単独グラフト反応負荷物を導入し、 (B) 反応帯域をイソプロペニル-α,α-ジメチルベ
    ンジルイソシアネートをグラフトさせるのに十分な温度
    に十分な時間維持する 段階を有するイソシアネート官能性単独グラフトラテッ
    クスの低温製造方法。
  2. 【請求項2】 (A) 液体媒体とグラフト可能なラテ
    ックスとを含有する反応帯域に: (i) イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソ
    シアネート; (ii) 式 【化1】 式中、R1 は水素およびアルキルよりなるグループから
    選択し、R2 はメトキシカルボニル、エトキシカルボニ
    ル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ヘキ
    ソキシカルボニル、2-エチルヘキソキシカルボニル、ラ
    ウロキシカルボニル、1ないし 20 個の炭素原子を有す
    るアルキル、アリール、アミノカルボニル、アセトキ
    シ、およびシアノ基よりなるグループから選択する により表される不飽和共重合単量体、 (iii) ハイドロパーオキサイド、および (iv) 上記のハイドロパーオキサイドを分解させる
    のに十分な量の遊離基レドックス開始剤溶液 を含んでなる共グラフト反応負荷物を導入し、 (B) 反応帯域を単量体(i)および(ii)を共グラ
    フトさせるのに十分な温度に十分な時間維持する 段階を有するイソシアネート官能性共グラフトラテック
    スの低温製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の方法の生成物。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の方法の生成物。
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