JP3092692B2 - シアン汚染土におけるシアン溶出防止方法 - Google Patents

シアン汚染土におけるシアン溶出防止方法

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JP3092692B2 JP2586495A JP2586495A JP3092692B2 JP 3092692 B2 JP3092692 B2 JP 3092692B2 JP 2586495 A JP2586495 A JP 2586495A JP 2586495 A JP2586495 A JP 2586495A JP 3092692 B2 JP3092692 B2 JP 3092692B2
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    • Y02W30/30Landfill technologies aiming to mitigate methane emissions

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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シアン汚染土における
シアン溶出防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、土壌の環境基準を上回る有害物質
で汚染された地盤の処理工事が増えてきている。このよ
うな有害物質のうち、特に、水銀、有機リン化合物、カ
ドミウム、六価クロム化合物、鉛化合物、シアン化合物
等の有害物質は、特に中間処理や最終処分においてそれ
らの有害性に十分留意することが必要とされている。
【0003】一方、産業廃棄物の中間処理にかかわる要
素技術としては、破砕、脱水、油水分離、中和、焼却、
分離回収、固形化等があり、上述した有害物質を含有す
る汚泥は、コンクリート固化や高温溶融固化などの固形
化を行うことによって当該有害物質を封じ込め、その溶
出を防止できることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような背景におい
て、セメントがシアン汚染土の不溶化剤として有用であ
ることは知られているが、どのような条件下でセメント
による不溶化が十分に実現されるのかは十分には解明さ
れておらず、したがって、周囲の環境によっては、セメ
ントで処理した処理土から封じ込めたはずのシアンが溶
出し地下水等へ拡散するという問題を生じていた。
【0005】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、処理土からのシアン溶出を防止することがで
きるシアン溶出防止方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のシアン汚染土におけるシアン溶出防止方法
は請求項1に記載したように、シアンを含有する土にセ
メントおよび水を混入してセメント処理土をつくるとと
もに炭酸ガス吸着材をシートで挟んで構成した遮断材を
所定の埋立領域の内面に敷設し、前記セメント処理土を
前記埋立領域内に投入し、当該埋立領域を所定の被覆材
で被覆するものである。
【0007】
【作用】本発明のシアン汚染土におけるシアン溶出防止
方法においては、まず、シアンを含有するシアン汚染土
にセメントおよび水を混入し、これを適宜攪拌して処理
土をつくるとともに、消石灰等の炭酸ガス吸着材をシー
トで挟んで構成した遮断材を所定の埋立領域の内面に敷
設する。次に、前記セメント処理土を前記埋立領域内に
投入し、最後に、当該埋立領域をシート、アスファル
ト、土、コンクリート等の被覆材で被覆する。なお、当
該被覆材を、上述の遮断材と同様、炭酸ガス吸着材をシ
ートで挟んで構成してもよい。
【0008】このようにすると、埋め立てた処理土は、
被覆材で被覆されて外気と遮断されるため、空気中の炭
酸ガスは、処理土内に浸入しない。同様に、地中の炭酸
ガスは、遮断材によって遮断され、処理土内に浸入しな
い。ここで、当該遮断材は、炭酸ガス吸着材をシートで
挟み込んだ三重構造としてあるので、敷設時あるいは処
理土の投入時においてあるいは処理土の自重によってシ
ートに亀裂が生じ、当該亀裂から地中の炭酸ガスが浸入
したとしても、その炭酸ガスは、炭酸ガス吸着材に吸着
され、処理土内への浸入を防止することができる。ま
た、炭酸ガス吸着材をシートで挟んであるので、地盤側
あるいは埋立領域側から水分が流れ込むおそれはない。
したがって、炭酸ガス吸着材が水と化学反応を起こして
炭酸ガス吸着機能が低下するのを防止することができ
る。
【0009】本出願人が行った実験の結果、セメントを
混入した処理土からシアンが溶出するのは、当該処理土
が空気中の炭酸ガスによって中性化することが原因であ
ることがわかった。
【0010】したがって、上述したように、セメントで
処理した処理土の周囲を遮断材および被覆材で取り囲ん
で外気と遮断すると、空気中あるいは地中の炭酸ガスが
処理土内に浸入して当該処理土を中性化させることはな
く、かくして、処理土からシアンが溶出するのを未然に
防止することができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明のシアン汚染土におけるシアン
溶出防止方法の実施例について、添付図面を参照して説
明する。
【0012】図1は、本実施例のシアン汚染土における
シアン溶出防止方法の手順を示した説明図である。同図
でわかるように、本実施例のシアン汚染土におけるシア
ン溶出防止方法においては、まず、シアンを含有するシ
アン汚染土1を原位置から掘削搬出し、次いで、当該汚
染土1をセメントおよび水とともにソイルミキサー2に
入れる。なお、セメントは、予め水に溶かしてセメント
ミルクとしておいてもよいし、シアン汚染土1の含水比
が高い場合には、セメントだけを混入すればよい。ま
た、セメントを混入するについては、その添加量を多く
する、例えば120kg/ton程度にするのがよい。
【0013】次に、これを適宜攪拌して処理土3をつく
る。
【0014】一方、所定の埋立領域11の内面12に遮
断材13を敷設する。遮断材13は、炭酸ガス吸着材と
しての消石灰15をビニル等で形成したシート14、1
4で挟んで構成してある。
【0015】次に、セメント処理土3を埋立領域11内
に投入し、最後に、これを被覆材16で被覆する。被覆
材16は、遮断材13と同様、炭酸ガス吸着材としての
消石灰15をビニル等で形成したシート14、14で挟
んで構成してある。
【0016】このようにすると、埋め立てた処理土3
は、被覆材16で被覆されて外気と遮断されるため、空
気中の炭酸ガスは、処理土3内に浸入しない。同様に、
地中の炭酸ガスは、遮断材13によって遮断され、処理
土内3に浸入しない。ここで、遮断材13および被覆材
16は、消石灰15をシート14、14で挟み込んだ三
重構造としてあるので、敷設時あるいは処理土の投入時
においてあるいは処理土の自重によってシート14に亀
裂が生じ、当該亀裂から炭酸ガスが浸入したとしても、
その炭酸ガスは、消石灰15に吸着され、処理土3内へ
の浸入を防止することができる。また、消石灰15をシ
ート14、14で挟んであるので、周囲から水分が流れ
込むおそれはない。したがって、消石灰15が水と化学
反応を起こして炭酸ガス吸着機能が低下するのを防止す
ることができる。
【0017】本出願人が行った実験の結果、セメントを
混入した処理土からシアンが溶出するのは、当該処理土
が空気中の炭酸ガスによって中性化することが原因であ
ることがわかった。
【0018】したがって、上述したように、セメントで
処理した処理土3の周囲を遮断材13および被覆材16
で取り囲んで外気と遮断すれば、空気中あるいは地中の
炭酸ガスが処理土3内に浸入して当該処理土3を中性化
させることはなく、かくして、処理土3からシアンが溶
出するのを未然に防止することができる。
【0019】以下、本出願人が行った実験の結果につい
て説明する。
【0020】実験には、所定の土にフェロシアン化カリ
ウムおよび硫酸第一鉄溶液を混合しこれに水を加えた含
水比の異なる3種類の汚染土を用いた。表1は、これら
汚染土の性状を示した表である。
【0021】
【表1】 次に、これらの汚染土に普通ポルトランドセメント(水
セメント比を1とした。以下、単にセメントと呼ぶ。)
を混合し、さらにこれをモールドに詰めて密封し、20
゜C気中で7日間養生して供試体を作製した。
【0022】そして、当該供試体の一軸圧縮強度を測定
するとともに、その供試体を砕いて5mmふるい通過分
を環境庁告示第13号に従って溶出試験(溶媒のpH5.
8〜6.3、6時間振とう)を行った。
【0023】図2(a) はセメント添加量とシアン溶出量
の関係を示したグラフ、同図(b) は一軸圧縮強度とシア
ン溶出量の関係を示したグラフである。これらの図か
ら、セメントの添加量が多くなるにつれて、また一軸圧
縮強度が大きくなるにつれてシアン溶出量が減少する
が、汚染土の含水比の違いによって当該溶出量には大き
な差があることがわかる。すなわち、同一の強度であっ
ても汚染土の種類によってはシアン溶出量に大きな違い
が見られた。
【0024】次に、粒径の違いがシアン溶出量に及ぼす
影響を調べた。図3は、振とう前の粒径を一定の大きさ
に調整したものおよびセラミックボールを加えたものに
対して溶出試験を行った結果を示すグラフである。同図
から、シアン溶出量が振とう前の粒径の影響をほとんど
受けないことがわかった。さらに、直径5mmのセラミ
ックボールを加えてセメント硬化物を粉砕し、振とう後
の0.075 mm以下の粒径の割合を57〜69%と増大させるよ
うにした場合であっても、溶出量の増加は見られなかっ
た。
【0025】シアンの溶出抑制がセメント水和物による
物理的な封じ込めによって行われるのであれば、その抑
制の程度は、一軸圧縮強度あるいはセメント添加量が同
じであれば、汚染土の種類には依存しないであろうと考
えられ、また、粒径を小さくして溶出試験を行えば溶出
量は増加するであろうと考えられるが、図2および図3
の結果は、セメントによるシアンの溶出抑制が物理的封
じ込めではなく、化学的作用によるものであることを示
唆している。
【0026】そこで、セメントで処理されたシアン汚染
土が通常、乾燥状態に置かれることが多いことに注目
し、処理土の乾燥がシアン溶出量にどのような影響を及
ぼすかを調べた。
【0027】すなわち、上述の処理土を5mm以下に砕
き、これを110゜Cで炉乾燥させた場合(一昼夜)、
室内で風乾させた場合(3日間)のそれぞれについてシ
アンの溶出試験を行った。
【0028】これらの結果を図4(a) に示す。同図でわ
かるように、まず、室内で風乾させた場合、含水比の低
下、すなわち乾燥とともにシアンの溶出量は増加する
が、セメント添加量を大きくすると、溶出量が減少する
ことがわかる。一方、炉乾燥の場合には室内風乾の場合
に比べて溶出量がかなり小さいことがわかる。これらの
結果から、処理土の乾燥がシアン溶出量に関係している
と思われるものの、単に含水比の問題ではないことがわ
かった。
【0029】一方、溶出液のpH変化を調べてみると、
図4(b) に示すように、室内風乾の場合には乾燥が進む
につれて低下し、その低下の度合いが大きいものほど溶
出量が増大しているとともに、炉乾燥の場合にはpHの
低下はわずかであることがわかった。これは、空気中の
炭酸ガスの関与を推測させる結果である。
【0030】そこで、空気中の炭酸ガスがシアン溶出量
の増加に関係しているものかどうかを調べるために、上
述したと同様の処理土に対して、炭酸ガスを除いた空気
で風乾させた場合(乾燥のみ)、湿潤状態を保ちながら
炭酸ガスを吹き込んで強制的に中性化を促進させた場合
(中性化のみ)のそれぞれについてさらにシアンの溶出
試験を行った。その結果を表2に示す。
【0031】
【表2】 この結果から、乾燥のみの場合には、溶出量に及ぼす影
響はほとんどなかったのに対し、中性化のみの場合に
は、溶出量が著しく増大することがわかった。
【0032】図5は、これらの試料のX線回折分析の結
果を示したものである。同図でわかるように、乾燥のみ
の場合、C4AHXと思われるセメント水和物の回折線が
認められたが、風乾および中性化のみの場合、当該回折
線が消失し、代わりに炭酸カルシウムの回折線が認めら
れた。
【0033】これらの実験結果から、セメントを混入し
た処理土からシアンが溶出するのは、当該処理土が空気
中の炭酸ガスによって中性化することが原因であること
がわかった。これは、セメント水和物が中性化によって
形態が変化し、当該セメント水和物の結晶構造中に置換
されていた若しくはイオン吸着されていたシアンが溶出
したものと思われる。
【0034】したがって、かかるシアンの溶出を防止す
るには、セメントを混入した処理土を中性化させないよ
うな対策を施せばよいことがわかる。
【0035】以上説明したように、本実施例のシアン汚
染土におけるシアン溶出防止方法によれば、まず、シア
ンを含有するシアン汚染土にセメントおよび水を混入
し、これを適宜攪拌して処理土をつくるとともに、消石
灰等の炭酸ガス吸着材をシートで挟んで構成した遮断材
を所定の埋立領域の内面に敷設し、前記セメント処理土
を前記埋立領域内に投入し、最後に、当該埋立領域を被
覆材で被覆するようにしたので、埋め立てた処理土は周
囲と遮断され、空気中あるいは地中の炭酸ガスが処理土
内に浸入して当該処理土を中性化させることはない。し
たがって、処理土からシアンが溶出するのを未然に防止
することができる。
【0036】また、被覆材および遮断材を、炭酸ガス吸
着材をシートで挟み込んだ三重構造としたので、万一、
シートに亀裂等が生じた場合でも炭酸ガスが処理土内に
浸入するのを防止することができる。
【0037】また、炭酸ガス吸着材をシートで挟んであ
るので、当該炭酸ガス吸着材に水分が流れ込んで化学反
応を起こし、炭酸ガス吸着機能が低下するのを未然に防
止することができる。
【0038】上述の実施例では、汚染土が存在する領域
と埋立領域とが異なる場合について説明したが、図6に
示すように、汚染土1を掘削搬出してこれをセメントで
処理し、しかるのちに処理土3を作製した後、当該処理
土3を元の場所に埋め戻すようにしてもよい。なお、遮
断材13の構成、作用については上述の実施例とほぼ同
様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0039】また、上述の実施例では、被覆材16を遮
断材13とほぼ同様に構成したが、亀裂等が生じて炭酸
ガスが処理土3内に浸入するおそれがないのであれば、
処理土3をシート、アスファルト、土、コンクリート等
の被覆材21で被覆するようにしてもよい。かかる構成
の場合でも、遮断材13においては地盤側あるいは埋立
領域側から水分が流れ込むおそれはない。したがって、
消石灰15が水と化学反応を起こして炭酸ガス吸着機能
が低下するのを防止することができる。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のシアン汚染
土におけるシアン溶出防止方法は、シアンを含有する土
にセメントおよび水を混入してセメント処理土をつくる
とともに炭酸ガス吸着材をシートで挟んで構成した遮断
材を所定の埋立領域の内面に敷設し、前記セメント処理
土を前記埋立領域内に投入し、当該埋立領域を所定の被
覆材で被覆するようにしたので、処理土からシアンが溶
出するのを防止することができる。
【0041】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係るシアン汚染土におけるシアン溶
出防止方法の手順を示す略図。
【図2】本実施例に係るシアン汚染土におけるシアン溶
出防止方法の作用効果を確認するための実験結果を示す
ものであり、セメント添加量および一軸圧縮強度がシア
ン溶出量に与える影響を調べたグラフ。
【図3】同じく実験結果を示すものであり、粒径がシア
ン溶出量に与える影響を調べたグラフ。
【図4】同じく実験結果を示すものであり、乾燥がシア
ン溶出量に与える影響を調べたグラフ。
【図5】X線回折分析を行った結果を示すグラフ。
【図6】変形例に係るシアン溶出防止方法の手順を示す
略図。
【符号の説明】
1 シアン汚染土 3 処理土 11 埋立領域 13 遮断材 14 シート 15 消石灰(炭酸ガス吸着材) 16 被覆材 21 被覆材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−50974(JP,A) 特開 昭53−115663(JP,A) 特開 昭64−47487(JP,A) 特開 平4−141283(JP,A) 実開 昭63−86816(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B09B 1/00 ZAB B09B 3/00 301

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シアンを含有する土にセメントおよび水
    を混入してセメント処理土をつくるとともに炭酸ガス吸
    着材をシートで挟んで構成した遮断材を所定の埋立領域
    の内面に敷設し、前記セメント処理土を前記埋立領域内
    に投入し、当該埋立領域を所定の被覆材で被覆すること
    を特徴とするシアン汚染土におけるシアン溶出防止方
    法。
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