JP3087129B2 - 光変調器 - Google Patents
光変調器Info
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Description
調器に関する。一般に、半導体材料に電界を加えると光
の吸収係数や屈折率が変化することが知られ、現在、そ
の効果を利用した半導体光素子の一つとして光変調器が
開発されている。然しながら、実用化するには多くの問
題があり、例えば高速性を向上させることもその一つで
ある。
系光変調器の従来例を説明する為の要部斜面図を表して
いる。図に於いて、1はn−InP基板、2はInGa
As光吸収層、3はp−InPクラッド層、4はAuG
eからなる電極、5はAuZnからなる電極をそれぞれ
示している。尚、光吸収層2を構成するInGaAs
は、実際には、In0.53Ga0.47Asを用いている。こ
の光変調器では、図に矢印で示してあるように、光吸収
層2に於ける一方の端面からレーザ光を入射し、他方の
端面から出射するようにしている。
動作を説明する為のエネルギ・バンド・ダイヤグラムを
表し、図6に於いて用いた記号と同記号は同部分を表す
か或いは同じ意味を持つものとする。図に於いて、EV
は価電子帯の頂、EC は伝導帯の底、hνは入力光のエ
ネルギをそれぞれ示している。
るエネルギ・バンド・ダイヤグラムを表し、図示されて
いるように、禁制帯は傾斜していない。この場合、価電
子帯に存在する電子が伝導帯に遷移する為には、禁制帯
幅のエネルギに相当する振動数の光を吸収することが必
要である。
ギ・バンド・ダイヤグラムを表し、図示されているよう
に、禁制帯は傾斜している。この場合、禁制帯には、価
電子帯及び伝導帯のそれぞれからトンネル効果に依って
電子の波動関数が滲み出してくる。従って、点F1に存
在する電子は禁制帯幅のエネルギに比較して小さいエネ
ルギの光を吸収することで容易に点F2に励起され、且
つ、伝導帯へと遷移することができる。図7及び図8に
ついて説明した現象は、光吸収スペクトルが裾を引いて
吸収端がシフトする原因となるものである。
作を説明する為の線図であり、横軸にはエネルギを、ま
た、縦軸には光吸収係数をそれぞれ採ってある。図に於
いて、Lはレーザ光のエネルギ、PABは電界の非印加状
態に於ける光吸収端、ΔEはエネルギ差をそれぞれ示
し、また、実線は電界の非印加状態に於ける光吸収層2
の光吸収スペクトルを、そして、破線は電界の印加状態
に於ける光吸収層2の光吸収スペクトルをそれぞれ表し
ている。図から判るように、電界を加えると、光吸収端
が低エネルギ側にシフトしてレーザ光を吸収するように
なる為、電界の印加及び非印加に依ってレーザ光を変調
することができ、また、光吸収に依って生成された電子
と正孔は、電界が印加されていることから、速やかに掃
き出されるので高速動作が可能であるとされている。
説明した光変調器のように光吸収層として半導体バルク
を用いたものに於いては次のような欠点がある。一般
に、種類を異にする半導体層を積層した界面には、物質
の相互拡散に依って両者が混じり合った遷移層が生成さ
れてしまう。例えば、InGaAsとInPとの界面に
於いては、五族元素であるAsとPの相互拡散が起こり
易く、通常、600〔℃〕の低温で、2〔時間〕から3
〔時間〕程度の短い結晶成長中に於いても界面のエネル
ギ・バンドは変化する。
遷移層が生成されることを説明する為のエネルギ・バン
ド・ダイヤグラムを表し、図6乃至図8に於いて用いた
記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つも
のとする。図に於いて、IFはn−InP基板1とIn
GaAs光吸収層2との実際の界面、1AはInPにA
sが拡散して生成されたInAsPからなる遷移層、2
AはInGaAsにPが拡散して生成されたInGaA
sPからなる遷移層をそれぞれ示している。図から明ら
かなように、界面IF近傍に遷移層1A及び2Aが生成
されることで、エネルギ・バンドは変化してしまう。
れることは問題であって、そのバンド・ギャップ・エネ
ルギは大変に小さい。このように、バンド・ギャップ・
エネルギが小さいと、図7乃至図8について説明した現
象と全く同じそれが現れることになる。即ち、価電子帯
の電子は小さいエネルギの光を吸収することで容易に伝
導帯へと遷移するのである。通常、前記物質の相互拡散
は結晶内で均一には起こらないので、光吸収スペクトル
は裾を引くことになる。
数の関係を表す線図であり、図9に於いて用いた記号と
同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとす
る。図に於いて、E1Aは物質の相互拡散で生成された遷
移層に起因する光吸収スペクトルの裾を示している。
トルの裾E1Aは、物質の相互拡散が無い場合に比較して
非常に滑らかであることから、印加電界に対する光吸収
係数の変化は極めて小さくなってしまう。そこで、要求
される光吸収係数を得る為には、印加する電界を大きく
しなければならないが、高速のパルス電界の振幅には限
界があり、例えば、10〔GHz〕で振幅2〔V〕程度
である。従って、この種の半導体光素子の高速化も制限
されることになる。
バルクを用いたものであるが、これを異なる二種類の半
導体層を交互に積層した量子井戸に代替する試みがなさ
れている。その動作原理は既出の光変調器と略同様であ
るが、量子井戸特有のエネルギ・バンドに起因し、その
特性は変わってくる。
調器に電圧を印加した状態に於けるエネルギ・バンド・
ダイヤグラムを表し、図7、図8、図10に於いて用い
た記号と同記号は同部分を示すか或いは同じ意味を持つ
ものとする。図に於いて、11はp側InPバリヤ層、
12はInGaAs井戸層、13はn側InPバリヤ
層、14は正孔の分布、15は電子の分布をそれぞれ示
している。図示のような量子井戸に於いては、二次元の
キャリヤ閉じ込め効果に依って、励起子の振動子強度が
極めて大、従って、光を吸収する確率が極めて高くな
り、これは吸収端のピークとして観測される。
に於けるエネルギ対光吸収係数の関係を表す線図であ
り、図9或いは図11に於いて用いた記号と同記号は同
部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。図に於
いて、P1及びP2は吸収端に於けるピークをそれぞれ
示し、そして、実線は電界の非印加状態に於ける光吸収
層の光吸収スペクトルを、また、破線は電界の印加状態
に於ける光吸収層の光吸収スペクトルをそれぞれ表して
いる。一般に、量子井戸に於いて、励起子を構成する電
子と正孔は、電界を印加しても電位障壁に依って井戸内
に閉じ込められることから、励起子はイオン化されるこ
となく存在する。従って、図13で明らかであるが、電
界を印加した状態であっても、吸収端のピークP2で示
されているように大きな光吸収係数を維持する。
導体層の界面では物質の相互拡散は起こっている。図1
4はInGaAsとInPとの界面に遷移層が生成され
ることを説明する為のエネルギ・バンド・ダイヤグラム
を表し、図12に於いて用いた記号と同記号は同部分を
表すか或いは同じ意味を持つものとする。図に於いて、
11AはInAsPからなる遷移層、12AはInGa
AsPからなる遷移層、13AはInAsPからなる遷
移層をそれぞれ示している。前記したように、バリヤ層
11やバリヤ層13と井戸層12との界面には遷移層1
1A,12A,13Aが生成されるのであるが、バンド
・ギャップ・エネルギが低い遷移層11Aや13Aは井
戸層12との相互作用が大きい為、全体として一つの量
子準位が生成され、光吸収スペクトルの裾は発生しな
い。
の相互拡散に起因する問題は解消されるのであるが、新
たに別な問題が派生する。即ち、生成された電子と正孔
を印加電界に依っては掃き出すことができず、井戸内に
滞留するような状態となることから、光吸収係数を回復
させるのに再結合時間に相当するナノ秒オーダの長い時
間を必要とすることである。
層に半導体バルク及び量子井戸の何れを用いても高速化
の面で問題があった。本発明は、光吸収層に量子井戸を
用いた光変調器の構成に簡単な改変を加えることで、量
子井戸に生成された電子や正孔を速やかに掃き出すこと
ができるようにする。
明する為のエネルギ・バンド・ダイヤグラムであり、電
界が印加されていない状態を表している。図に於いて、
21は障壁層、22は井戸層、23は障壁層、EV1は従
来の量子井戸に於ける価電子帯の頂、EV2は本発明の量
子井戸に於ける価電子帯の頂、EC1は従来の量子井戸に
於ける伝導帯の底、EC2は本発明の量子井戸に於ける伝
導帯の底、Eg1及びEg3は従来の量子井戸に於ける井戸
層22と障壁層23との間の電位障壁の高さ、Eg2及び
Eg4は本発明の量子井戸に於ける井戸層22と障壁層2
3との間の電位障壁の高さをそれぞれ示している。
子井戸と従来のそれとでは、電位障壁の高さが相違して
いる。従来の量子井戸では、井戸層22に印加される電
圧V〔mV〕と電位障壁Eg1及び電位障壁Eg3との間に
は、 Eg1,Eg3>V なる関係が成り立っている。
戸に電界を印加した状態を表すエネルギ・バンド・ダイ
ヤグラムであり、図1に於いて用いた記号と同記号は同
部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。図に於
いて、Vは井戸層22に印加した電圧を示している。こ
の場合、井戸層22内の電子及び正孔は容易には抜け出
すことができない。
井戸に電界を印加した状態を表すエネルギ・バンド・ダ
イヤグラムであり、図1に於いて用いた記号と同記号は
同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。本発
明の量子井戸では、井戸層22に印加される電圧V〔m
V〕と電位障壁Eg2及び電位障壁Eg4との間には、 Eg2,Eg4<V なる関係が成り立っている。前記したようなことから、
量子井戸内の電子と正孔は、印加された電界の作用で速
やかに掃き出され、従って、高速動作が可能である。
尚、前記したように、電位障壁Eg2及びEg4が低くて
も、基底状態の量子準位が必ず生成されるから問題はな
い。
は、 (1)障壁層並びに井戸層を交互に積層して形成され且
つ光が入射される量子井戸を備え、前記量子井戸の伝導
帯の底に於ける障壁層と井戸層との間の電位障壁高さを
EcB〔meV〕且つ価電子帯の頂に於ける障壁層と井戸
層との間の電位障壁高さをEVB〔meV〕とすると共に
電界を印加した際の井戸層一層に於ける電位降下をV
〔mV〕として ECB<V,EVB<V が成り立つことを特徴とするか、或いは、 (2)前記(1)に於いて、障壁層を構成する材料がI
n1-x'Gax'Asy'P1-y'であると共に井戸層を構成す
る材料がIn1-x Gax Asy P1-y であって y−y’<0.3 であることを特徴とする。
れる通常の電界の作用で、量子井戸に生成された電子や
正孔を速やかに掃き出すことが可能であり、高速性を向
上することができる。尚、前記手段に於いて、In1-x'
Gax'Asy'P1-y'からなる障壁層とIn1-x Gax A
sy P1-y からなる井戸層とが「y−y’<0.3」な
る関係にあることは、InGaAsPがInPに格子整
合し、且つ、エネルギ差(150〔meV〕)が全ての
組成範囲で得られるよう意図して定めたものである。
ギ・バンド・ダイヤグラムを表している。図に於いて、
31はIn1-x Gax Asy P1-y 障壁層、32はIn
1-x Gax Asy P1-y 井戸層、33はIn1-x Gax
Asy P1-y 障壁層を示している。図示された量子井戸
は、例えば有機金属化学気相堆積(metalorga
nic chemical vapour depos
ition:MOCVD)法を適用することに依ってI
nP基板上に成長させるものであり、障壁層31及び3
3、井戸層32は全てInPに格子整合していて、厚さ
は全て10〔nm〕である。障壁層31及び33の組成
はx=0. 29、y=0. 62であり、そして、井戸層
32の組成はx=0. 42、y=0. 9である。
ところに電子の基底量子準位が、また、価電子帯の頂E
V から5〔meV〕のところに正孔の基底量子準位がそ
れぞれ生成される。
積層した多重量子井戸の光吸収スペクトルを表す線図で
あり、図9に於いて用いた記号と同記号は同部分を表す
か或いは同じ意味を持つものとする。図から明らかなよ
うに、電界を印加しない場合、吸収端は鋭く立ち上が
り、界面遷移層の影響は見られない。吸収端と光通信用
半導体レーザの波長1. 55〔μm〕との差は約20
〔meV〕と小さいが、吸収端は略0に抑えられてい
る。この量子井戸を10周期分積層して厚さ200〔n
m〕として多重量子井戸をp型InP層とn型InP層
とで挟んでダイオードとし、図6に見られるような導波
路型の光変調器を作成したところ、動作電圧2〔V〕で
10〔GHz〕の高速動作を行うことができた。
入射される量子井戸の伝導帯の底に於ける障壁層と井戸
層との間の電位障壁高さをECB〔meV〕且つ価電子帯
の頂に於ける障壁層と井戸層との間の電位障壁高さをE
VB〔meV〕とすると共に井戸層一層に於ける電位降下
をV〔mV〕とした場合にECB<V,EVB<Vが成り立
つようにしてある。
せる為に光変調器に印加される通常の電界の作用で、量
子井戸に生成された電子や正孔を速やかに掃き出すこと
が可能であり、高速性を向上することができる。
・ダイヤグラムである。
ネルギ・バンド・ダイヤグラムである。
エネルギ・バンド・ダイヤグラムである。
ド・ダイヤグラムである。
重量子井戸の光吸収スペクトルを表す線図である。
従来例を説明する為の要部斜面図である。
エネルギ・バンド・ダイヤグラムである。
エネルギ・バンド・ダイヤグラムである。
線図である。
成されることを説明する為のエネルギ・バンド・ダイヤ
グラムである。
表す線図である。
を印加した状態に於けるエネルギ・バンド・ダイヤグラ
ムである。
ネルギ対光吸収係数の関係を表す線図である。
成されることを説明する為のエネルギ・バンド・ダイヤ
グラムである。
との間の電位障壁の高さ Eg3 従来の量子井戸に於ける井戸層22と障壁層23
との間の電位障壁の高さ Eg2 本発明の量子井戸に於ける井戸層22と障壁層2
3との間の電位障壁の高さ Eg4 本発明の量子井戸に於ける井戸層22と障壁層2
3との間の電位障壁の高さ V 井戸層22に印加した電圧
Claims (2)
- 【請求項1】障壁層並びに井戸層を交互に積層して形成
され且つ光が入射される量子井戸を備え、 前記量子井戸の伝導帯の底に於ける障壁層と井戸層との
間の電位障壁高さをEcB〔eV〕且つ価電子帯の頂に於
ける障壁層と井戸層との間の電位障壁高さをEVB〔e
V〕とすると共に電界を印加した際の井戸層一層に於け
る電位降下をV〔V〕として ECB<V,EVB<V が成り立つことを特徴とする光変調器。 - 【請求項2】障壁層を構成する材料がIn1-x'Gax'A
sy'P1-y'であると共に井戸層を構成する材料がIn
1-x Gax Asy P1-y であって y−y’<0.3 であることを特徴とする請求項1記載の光変調器。
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JPH04269881A JPH04269881A (ja) | 1992-09-25 |
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Families Citing this family (1)
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-
1991
- 1991-02-26 JP JP03053162A patent/JP3087129B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
Appl.Phys.Lett.Vol.40,No.1,pp.38−40(1982/1/1) |
Also Published As
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JPH04269881A (ja) | 1992-09-25 |
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