JP3076024B2 - 傾斜土槽を用いた水質浄化装置及びそれを用いた水質浄化法 - Google Patents

傾斜土槽を用いた水質浄化装置及びそれを用いた水質浄化法

Info

Publication number
JP3076024B2
JP3076024B2 JP11064226A JP6422699A JP3076024B2 JP 3076024 B2 JP3076024 B2 JP 3076024B2 JP 11064226 A JP11064226 A JP 11064226A JP 6422699 A JP6422699 A JP 6422699A JP 3076024 B2 JP3076024 B2 JP 3076024B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
tank
water purification
soil
treated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP11064226A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11319861A (ja
Inventor
正人 生地
Original Assignee
株式会社四電技術コンサルタント
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社四電技術コンサルタント filed Critical 株式会社四電技術コンサルタント
Priority to JP11064226A priority Critical patent/JP3076024B2/ja
Publication of JPH11319861A publication Critical patent/JPH11319861A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3076024B2 publication Critical patent/JP3076024B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatment Of Biological Wastes In General (AREA)
  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
  • Filtration Of Liquid (AREA)
  • Water Treatment By Sorption (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生活雑排水、畜産廃
水、浄化槽処理水、又はこれらの排水により汚濁された
水路などの水(処理原水)から有機汚濁成分(BOD、
COD)、場合によってはリン成分と窒素成分を除去し
て浄化する水質浄化装置及びそれを用いた水質浄化方法
である。
【0002】
【従来の技術】現在の水質浄化技術は、下水道の終末処
理場や浄化槽によって、主にBODやCODで表される
有機性汚濁物質が浄化される二次処理段階までの処理が
行われているが、リン成分や窒素成分の除去を行う三次
処理段階までの処理は、エネルギーを多量に使用するこ
と、コスト的な制約があること等によりほとんど実施さ
れていない。また、し尿排水を除いた生活雑排水の多く
は、下水道の未整備地域では二次処理さえも行われてい
ないのが現状である。
【0003】また、処理された水(以下処理水とい
う。)の大部分は、再利用されることなく放流されてお
り水資源の有効利用という点では問題がある。特に、下
水道の終末処理場は、流域の最下流に立地する場合が多
い。このため、必要とされる流域上流部で処理水を再利
用することは物理的に困難である。さらに臨海部に立地
した終末処理場では、処理水に塩水が混入するので、再
利用は一層困難になる。
【0004】省エネルギー的な水質浄化技術として、土
壌の有する水質浄化能力を利用した土壌処理の技術(例
えば、毛管湿潤トレンチ法)が開発されている。この毛
管湿潤トレンチ法では、地表を水平に掘った溝(空間)
の底部にビニール製の止水膜が敷設される。その上に陶
製の散水管が水平に配置され、その散水管の周囲は礫で
囲われている。その上方には、地表まで通気性土壌によ
り埋め戻される。散水管から処理原水が散水され、これ
により、好気条件下での土壌の有する水質浄化能力によ
り、処理原水が浄化処理される。処理された水は地中に
拡散浸透されて排出される。
【0005】この毛管湿潤トレンチ法では、有機性汚濁
指標であるBODやCODおよびリン成分の除去性能は
優れているが、窒素成分の除去は困難である。特に好気
性処理で最終的に生成する硝酸態窒素(NO3-N)は好
気性条件下の土壌では、ほとんど除去できないことがわ
かっている。
【0006】硝酸態窒素は、環境基準では要監視項目に
指定され、その指針値は10(mg/l)以下となって
いるが、平成7年度に地方自治体が行った調査によれ
ば、6.3%の井戸で、この指針値を超過している(平
成9年度環境白書)。ここで、近接して井戸がある地域
での毛管湿潤トレンチ法は、井水、地下水等の硝酸態窒
素汚染をさらに進行させる可能性がある。
【0007】窒素成分の除去性能が悪いという毛管湿潤
トレンチ法の欠点を補うために、毛管湿潤トレンチと嫌
気性ろ床とを組み合わせ、ポンプによって処理水を両者
間に循環させて窒素の除去性能を向上させる方法が、嫌
気性ろ床・トレンチ循環法(AS循環処理法)という名
称で国立環境研究所において開発されている(例えば、
公害対策技術同友会発行の「生活雑排水対策実務マニュ
アル」第65頁参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、毛管湿
潤トレンチ法を含めた従来の土壌処理では、地表面に土
壌が露出している平坦な土壌地が絶対的に必要とされて
いる。また、生活雑排水を処理する場合には一人当たり
の必要土壌地面積は8m2とされている。しかしなが
ら、生活雑排水が多量に発生する都市域では、このよう
な適地が少なく、これが土壌処理が普及しにくい要因に
なっている。
【0009】また、毛管湿潤トレンチ法では、処理水は
地中に浸透拡散してしまい、その処理水の水質を常時、
把握・監視することが困難である。
【0010】さらに、毛管湿潤トレンチ法を含めた土壌
処理を継続して行う場合の問題点の一つは、土壌が目詰
まりを起こすことである。このために、同じ場所で繰り
返して浄化処理を行ったり、或いは連続して浄化処理を
行うことは困難である。
【0011】また、AS循環処理法などのように、ポン
プによる処理水の再循環は、電気的なエネルギーを多量
に必要とする。
【0012】本発明は上記問題点に着目してなされたも
のであり、水質浄化を省エネルギー的に低コストで行え
る水質浄化装置及びそれを用いた水質浄化法の改良を行
うことを第1の目的とする。また、本発明は、水質浄化
装置を設置できる条件を拡げることにより、広い地域で
の水質浄化を行うことを可能とすることを目的とする。
併せて本発明では、三次処理までの浄化を可能とする水
質浄化装置及びそれを用いた水質浄化法を提供すること
を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点に着
目してなされたものであり、請求項1に記載の発明は、
土壌生態系が有する物理的、化学的または生物的な水質
浄化能力を利用した水質浄化装置であって、傾斜された
遮水性の傾斜底面と遮水性の側面と開放された上面と
構成される遮水槽内に水質浄化能を有する土壌が充填さ
れた傾斜土槽と、該傾斜土槽へ処理すべき処理原水を給
水する給水部と、前記傾斜底面上に立設されて前記処理
原水が前記傾斜土槽中を流下することにより生じるみず
道を遮水して前記傾斜底面上に処理水を滞留させる滞留
部を形成する遮水壁と、を備えることを特徴とする水質
浄化装置である。
【0014】請求項2に記載された発明は、前記滞留部
の下流側に好気条件下での水質浄化を行うための通気用
構造体を埋設することを特徴とする請求項1に記載の水
質浄化装置である。
【0015】請求項3に記載された発明は、前記傾斜土
槽は、該傾斜土槽の下方に配置され水質浄化されて得ら
れた処理水を集水する集水部を備えることを特徴とする
請求項1に記載の水質浄化装置である。
【0016】請求項4に記載された発明は、前記傾斜土
槽は、上部が水質浄化施設、下部が処理水の貯水施設と
して機能することを特徴とした請求項1に記載の水質浄
化装置である。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】請求項5に記載された発明は、前記遮水
は底面と側面とが遮水性とされた容器であって、該容器
は重力方向に積み重ねられて水質浄化装置が形成され、
前記底面の重力方向最下端付近に排水口が配置され、該
排水口から流れ出る処理水が下方の傾斜土槽の上流側に
流下されるように配置されたことを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の水質浄化装置である。
【0021】請求項6に記載された発明は、前記水質浄
化装置は、前記傾斜土槽とは別個に嫌気条件下に設定さ
れた水質浄化能を有する槽を併設することを特徴とする
請求項2又は請求項3に記載の水質浄化装置である。
【0022】請求項7に記載された発明は、前記傾斜土
槽には植物が植栽され、植物による水質浄化が図られる
とともに、該傾斜土槽は灌水と施肥装置とを備えた水質
浄化兼用の植栽部として使用されることを特徴とする請
求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の水質浄化装置
である。
【0023】請求項8に記載された発明は、前記傾斜土
槽は、底面と側面とが遮水性とされた容器に土壌が充填
された容器状構造体か、開削された斜面に遮水性シート
その他の遮水性材料を底面と側面に設けて形成した構
体に土壌を充填した開削状構造体か、又は谷地形の凹部
に不透水層にまで達する遮水性の地中壁を設置し、同地
点で上流側全ての自然流下する水が集水できるようにし
た谷地形そのものを利用した地形利用構造体であること
を特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載
の水質浄化装置である。
【0024】請求項9に記載された発明は、前記遮水壁
は、前記傾斜底面に対してみず道に沿って複数設置され
ていることを特徴とする請求項1に記載の水質浄化装置
である。請求項10に記載された発明は、請求項1〜請
求項9のいずれか1項に記載の水質浄化装置を用いて
記給水部より処理原水を連続的に供給しつつ土壌生態系
の持つ物理的、化学的、生物的な水質浄化能力を利用し
た水質浄化方法である。
【0025】
【作用】請求項1に記載の発明のように構成すれば、水
質浄化能を有する土壌が傾斜された底面を有する遮水槽
内に充填される。給水部から供給された処理原水は、土
壌間隙中を自然流下されながら土壌生態系の作用により
省エネルギー的に連続的に浄化される。一部分で土壌の
目詰まりが発生しても槽が傾斜されているので、新しい
水道(みずみち)が形成されて、目詰まりが起こりにく
い。
【0026】これにより、平坦な土壌槽に比べて、土壌
の目詰まりが起きにくくなるという利点があり、自然流
下する間に、処理原水の水質浄化は、連続的かつ省エネ
ルギー的に行える。一方、従来平坦な土壌しか可能とさ
れていなかった傾斜地での設置を可能とすることによ
り、広い地域での水質浄化を行うことが可能となる。
【0027】また、この傾斜土槽は遮水性の構造である
ので、外部への拡散、浸透による漏出がないために地下
水を汚染する危険性はない。また、傾斜底面からみず道
を遮水する遮水が立設されているので、処理原水は、
みず道に沿って流下されるが、この遮水によりみず道
が遮水されて滞留部が形成される。この滞留部では処理
水が滞留しているので嫌気条件が保たれ、嫌気性浄化が
行われる。これにより、傾斜土槽上部の好気性浄化と組
み合わせることにより、通常の土壌処理では困難であっ
た窒素成分の除去まで行うことができ、省エネルギー的
な浄化により三次処理された処理水が得られる。滞留部
をオーバーフローした処理原水は、再びみず道を流下す
るが、この段階では、好気条件下での水質浄化が行え
る。
【0028】請求項2に記載された発明のように構成す
れば、前記滞留部の下流側に好気条件下での水質浄化を
行うための通気用構造体が埋設されているので、請求項
1に記載の水質浄化装置における、好気条件での水質浄
化の促進が図れる。
【0029】請求項3に記載の発明のように構成すれ
ば、傾斜土槽は、その下方に配置され水質浄化されて得
られた処理水を集水する集水部が備えられている。これ
により、処理水はその集水部に集水されるので、処理水
の水質と流量の管理を行うことが可能となる。これによ
り、従来の土壌処理で危惧される、処理水による地下水
汚染の心配はない。また、この集水部は、請求項4に記
載の発明のように、貯水施設としての利用も可能であ
る。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】また、請求項5に記載された発明のよう
に、容器を積み重ねて用いれば、設置面積の少ない場所
での使用が可能となる。また、積み重ね段数を調整する
ことにより処理能力を変更できる。
【0035】以上の水質浄化装置は、請求項6に記載さ
れた発明のように、別個に嫌気条件の水質浄化を目的と
した槽を設けてもよく、また、請求項7に記載された発
明のように、植栽を植える植栽容器として兼用してもよ
い。植栽容器として兼用することにより、特に都市部の
緑化と一般家庭への普及が期待できる。また、請求項9
に記載の発明のように、この遮水壁をみず道に沿って複
数設置することにより、好気条件と嫌気条件との交互の
水質浄化が行え、また、装置内での滞留時間を増大させ
ることができる。これにより、処理装置の小型化を達成
することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を説
明するにあたり、図面を参照しつつ参考例及びその変形
例1〜5を説明する。
【0037】
【参考例】 図1は参考例に係る水質浄化装置を示し、こ
の水質浄化装置1は、道路法面や堤防等の斜面のような
傾斜地を利用して設けられた遮水槽2と、その遮水槽2
の上流に隣接されて設けられた調整槽3と、遮水槽2の
下流に隣接して設けられた嫌気性水槽4とから概略構成
されている。
【0038】この調整槽3は、生活雑排水、浄化槽処理
水、畜産廃水、汚濁水路水、その他の廃水などの処理原
水5を遮水槽2に供給するために一時的に貯留するため
のものである。処理原水5はポンプ6などを介してこの
調整槽3に流入されている。この調整槽3と遮水槽2と
は配管7等を介して接続され、その配管7は、遮水槽2
に敷設された給水装置8に接続されている。
【0039】遮水槽2は傾斜地に敷設された遮水性材料
からなる底壁9と、その底壁9から立設された遮水性の
上流側壁10a、下流側壁10b、両横側壁10c、1
0d(不図示)とからなる側壁10とで構成されてい
る。これらの側壁10a〜10dの高さは、例えば1m
であり、また、側壁10c、10dの長さ(傾斜面の長
さ)は、10m程度である。この遮水槽2の中には、水
質浄化能を有する土壌11が充填されている。
【0040】この遮水槽2の上面12は開放されてお
り、これによりこの遮水槽2内の表層土壌11aは、基
本的に好気条件に設定されている。この表層土壌11a
の上流側には陸生植物13が、下流側には水生植物14
などの植物が植栽されている。
【0041】この給水装置8は、処理原水5を遮水槽2
に供給するための装置であり、遮水槽2の表面12の傾
斜面に平行して上流側から下流側へと向かって設けられ
たトレンチ状(いわゆる毛管湿潤トレンチ構造)とされ
ている。この給水装置8は、図2、図3に示すように、
幅wが30〜50cm、深さdが50〜60cm程度で
あり、給水装置8の両側は網15で囲われ、底部には遮
水性シートなどの止水膜16が設けられている。この給
水装置8は、遮水槽2の横方向の大きさに応じて1乃至
複数、併設され、その長さは例えば5m程度である。
【0042】この給水装置8内には、表面12の傾斜に
平行して30cm〜35cm程度の深さで給水管17が
敷設されている。また、傾斜面の上下の距離が短く、幅
が長い場合には、給水管17を傾斜に直角に設置する。
この給水管17は、例えば陶製の散水管や穴の開いた給
水管であり、調整槽3から供給された処理原水5を給水
装置8の全体に亘って供給するためのものである。給水
管17の周囲は礫(レキ)18等で囲まれている。この
礫18の下方には砂19が止水膜16まで敷設されてい
る。また、この礫18の上方には通気性土壌としての表
層土壌11aが埋め込まれている。また、礫18の周囲
は表層土壌11aの落下を防ぐために網20で覆われて
いる。
【0043】この土壌11中には、図1に示すように、
上方が開口された止水性容器から構成された嫌気部分造
成器21が埋設されている。この嫌気部分造成器21
は、嫌気性処理により窒素を除去する目的で設置される
ものである。この嫌気部分造成器21には脱窒用の有機
炭素源22が添加されている。この有機炭素源22は、
稲藁・古畳等の固体22aから構成されている。メタノ
ールや処理原水そのものなどの液体22bを用いてもよ
い。
【0044】遮水槽2の最も位置が低くなった部分(下
流側壁10b付近下方)には、稲藁・古畳等の脱窒用の
固体有機炭素源22aが埋設され、この固体有機炭素源
22aの下方には、集水管23が配置されている。この
集水管23の周囲は、図4に示すように、礫18及び砂
19により順次覆われている。また、これらの礫18、
砂19が拡散されないように、網(図示せず)で覆われ
ている。この付近は処理された処理水5aが自然流下に
より集水されて集水部24として機能される。この集水
管23付近の構造は、給水装置8付近の構造から止水膜
16を除いた構造とされ、給水装置8と同様に遮水槽2
の横方向の大きさに応じて1乃至複数、配設されてい
る。この集水管23は、集水機能が果たせればよいの
で、給水装置に比較して規模は小さくてもよい。遮水槽
2が小規模な場合には集水管23を配置せずに、穴の開
いた流出口のみでもよい。この場合にも土壌11の流出
を防ぐために、網などを配設するのがよい。
【0045】この例では、集水管23は、下流側壁10
bに沿って立ち上げられた排出管25に導かれている。
その排出管25は、所定の高さで複数の排出管25a〜
25dに分岐されて下流側壁10bを貫通している。ま
た、この排出管25a〜25dには、それぞれバルブ2
6が設けられている。
【0046】この排出管25a〜25dは一つの配管2
7に合流され、この配管27は、嫌気性水槽4内の底部
に導かれている。これにより、バルブ26の開閉操作に
より集水部24に集水された処理水5aは、水圧により
遮水槽2から排出される。この図4では、最上部の排出
管25aに接続されたバルブ26のみ開とされ、その他
のバルブ26が閉鎖されることにより、集水部24の水
面28は、最も高く設定されている。最下部の排出管2
5dに接続されるバルブ26を開放させれば、水面28
は低下する。
【0047】嫌気性水槽4は、処理水5aを一時的に滞
留させ、この滞留中に処理水の嫌気処理を行うためのも
のである。このため、この嫌気性処理水槽4の上方は空
気を遮断するためと日光を遮断して酸素を作る藻類の発
生を防ぐための気密性の遮光蓋29などにより覆われて
いる。嫌気性水槽4の底部には、稲藁・古畳等の固体2
2aが有機炭素源として投入されている。また、適宜の
位置に制流板や給水管30が設けられ、この給水管30
からはメタノールや処理原水等の液体状の有機炭素源2
2bが供給可能とされている。嫌気性水槽4の側壁上部
には、三次処理された処理水5aをオーバーフローさせ
る排出口31が形成されている。
【0048】以上のように構成された水質浄化装置1の
作用を説明する。
【0049】生活雑排水などの処理原水5は、まずポン
プ6などにより流量調整槽3に供給される。次いで、処
理原水5はこの流量調整槽3から一定量ずつ給水装置8
により遮水槽2に供給される。処理原水5は、土壌11
粒子の間隙中を自然流下によって浸透流下される。
【0050】処理原水5が土壌粒子の間隙中を自然流下
する間に、水中の懸濁成分(SS成分)は礫18や砂1
9、その他の土壌11による物理的なろ過作用を受けて
除去される。また、BODやCODで表される有機性汚
濁物質は、開放された表面12から供給される空気の存
在下に、土壌生物による生物的酸化作用(好気処理)を
受けて浄化される。また、リンは主として土壌11粒子
と化学的に吸着して処理原水5から除去される。これに
より、処理原水5は好気性処理による水質浄化を受けて
処理水5aとなる。
【0051】ここで、この処理水5aの水質は、用いら
れる処理原水5の汚染程度により左右される。また、表
層土壌11aの種類、トレンチの長さ等の遮水槽2設計
データ、表層土壌11aの地温などの環境などにより、
左右される。地温が低いと、浄化能力が低いので、この
浄化能力が低い場合を想定して、施設の設計諸元を決定
する。
【0052】また、表層土壌11a中の土壌生物が少な
い場合は、ミミズ等の生物を少量表層土壌11aに投入
して種付けをする。またリンの除去能力をさらに高める
必要のある場合には、透水性の良い火山灰土壌などを配
合してもよい。また、カルシウム等の動植物に無害な添
加剤を使用することによりリンの除去率を高めることが
できる。リンの除去が継続的に求められる場合には、リ
ンの除去能力が無くなった時点で、槽内の土壌を入れ替
えればよい。リンが飽和状態となった土壌11は緑地や
畑地に還元することができる。
【0053】浄化された処理水5aの一部は、給水装置
8からオーバーフローされて自然流下により底面に向か
い、嫌気部分造成器21に滞留され、他は集水部24に
滞留される。この嫌気部分造成器21または集水部24
は、嫌気条件が保たれているので、処理水は、嫌気性処
理による水質浄化が行われる。
【0054】嫌気的条件での水質浄化作用は、好気的条
件の水質浄化によって生じた処理水5aの硝酸態窒素を
水中から除去するものである。通常、処理水5aを有機
炭素源22の存在下に嫌気的条件で処理させることによ
り行われる。このため、この参考例では、嫌気部分造成
器21内や集水部24等の処理水5a滞留部には、有機
炭素源22が添加されている。これにより、脱窒菌の働
きで窒素成分が除去される。図1では稲藁や古畳などの
固体の有機炭素源22aを添加した場合を示している
が、液体のメタノールや流量調整槽から処理原水を導水
してもよい。
【0055】以上により、嫌気部分造成器21に滞留さ
れた処理水5aは三次処理されて嫌気部分造成器21か
らオーバーフローされて、自然流下により集水部24に
集水される。これにより、給水装置8から供給された処
理原水5は、全て浄化処理されて集水部24に処理水5
aとして滞留される。
【0056】この集水部24は、遮水性材料により遮水
されているので、外部への浸透水の漏出がないために、
本発明の土壌処理技術では地下水を汚染する危険性はな
い。また、このようにして集水部24を設けて処理水5
aを集水させれば、水質検査と水量のコントロールを容
易に行うことができる。また、この集水部24は、処理
水5aの滞留部分を大容量に設定することにより、処理
水の再利用のための地下ダム貯水池として利用すること
もできる。
【0057】この参考例では、集水部24に滞留された
処理水5aは、さらに、嫌気性水槽4に供給されて嫌気
処理される。これにより、処理水5aは、この嫌気性水
槽4において、完全に三次処理される。給水管30の位
置に制流板を設ければ、処理水5aは、矢印に従って流
れる。この三次処理された処理水5aは、溶存酸素が無
い状態になっているので、図1のように排出口31と地
面とに落差をつけて曝気による溶存酸素の回復が行われ
ている。これにより、処理水5aは公共用水域に排水す
るか、または再利用される。
【0058】本発明による水質浄化作用では、汚水が傾
斜土槽と嫌気水槽を自然流下により通過するだけで、汚
水中の懸濁成分(SS)、有機汚濁成分(BOD、CO
D)およびリンと窒素を省エネルギー的に同時に浄化す
ることができる。これにより、リンと窒素が除去された
三次処理の水質レベルにまで省エネルギー的に浄化する
ことが可能となる。
【0059】現在、直接に水系に流入している生活雑排
水、畜産廃水、リンと窒素を除去する必要のある浄化槽
処理水およびこれらで汚濁した水路の水などを、本発明
の水質浄化装置により水質浄化を行った後に水系に流入
させることにより、地下水汚染等の弊害を招くことなく
三次処理水の水質レベルまで浄化でき、河川や湖沼、ダ
ム湖、内湾等の閉鎖性水域で深刻化している水質汚濁の
相当部分を改善する効果が期待できる。
【0060】本発明の水質浄化法は、省エネルギー的で
低コスト的な三次処理技術であり、今後下水道の未整備
地域で従来の技術を用いて三次処理までの水質浄化を実
施していく場合に比べて、かなりのエネルギーとコスト
の削減効果が期待でき、したがって従来の技術に比べて
将来のより早い時期に三次処理までの水質浄化を普及実
現できる効果が期待できる。
【0061】また傾斜土槽の表面は植栽可能で、傾斜土
槽は水質浄化施設と兼用の植栽容器として利用すること
ができ、水分と肥料成分は処理水によって供給できるの
で、散水等の手間が省ける節水型で資源再利用型の緑化
技術を提供することができる。これにより、傾斜地にお
いて底面と側面が遮水性となった花壇を利用して、傾斜
土槽による緑化兼用の水質浄化を行うことができる。
【0062】さらに処理水の再利用を目的とする場合に
は、傾斜土槽は水質浄化施設を兼用した集水と貯水施設
として機能するもので、特に自然の谷地形を用いる場合
には大容量の地下ダム貯水池を作ることが可能で、渇水
時の農業用水などに再利用できる効果が期待できる。 (変形例1)参考例に示す水質浄化装置1において、窒
素除去を行う必要のない場合には、嫌気部分造成器21
及び嫌気水槽2を用いずに構成し、最下部の排出管25
dから直接処理水5aを排出させれば、好気性処理のみ
を行う水質浄化装置として利用できる。また、この装置
により処理された処理水5aは、そのまま排出、再利用
が可能となる。 (変形例2)参考例に示す水質浄化装置1では、遮水槽
2は1槽のみであったが、複数の遮水槽2を直列に配置
することにより、更に高度の水質浄化を行うことが可能
である。
【0063】2槽の遮水槽を使用した場合、第一の遮水
槽は、好気性処理と嫌気性処理を行う参考例に示される
遮水槽を上流側に設け、第二の遮水槽は、好気性処理の
みを行う変形例1に示す遮水槽を下流側に設けることも
できる。 (変形例3)変形例2に示す二つの遮水槽の間に、参考
に示す嫌気水槽4を配置してもよい。
【0064】以上の変形例1〜3に示すように、最後に
好気性処理のみを行う遮水槽を設置することにより、仕
上げの水質浄化が行える。 (変形例4)参考例に示す水質浄化装置1において、嫌
気部分造成器21を設置せず、また、遮水槽2の給水装
置8が設置されている部分の土壌深さを約50〜60c
mに設定することにより、給水装置8の止水膜16は、
省略することができる。
【0065】例えば、図5に示すように、底壁9上に直
接、砂19が撒かれ、その上に礫18により囲んで給水
管17を30cm〜50cm程度の深さで配設する。礫
18の上面を網20により覆うことにより、表層土壌1
1aの落下が防がれている。
【0066】処理原水5は、給水管17により供給さ
れ、底壁9の傾斜に沿って自然流下する間に、水中の懸
濁成分(SS成分)は礫18や砂19、その他の土壌1
1による物理的なろ過作用を受けて除去される。また、
BODやCODで表される有機性汚濁物質は、開放され
た表面12から供給される空気の存在下に、土壌生物に
よる生物的酸化作用(好気性処理)を受けて浄化され
る。また、リンは主として土壌11粒子と化学的に吸着
して処理原水5から除去される。これにより、処理原水
5は好気性処理による水質浄化を受けて処理水5aとな
る。
【0067】この変形例4において、集水部24付近の
側壁10bの高さを更に高くすることにより、集水部2
4へ集水される処理水5aの集水量を更に増大させるこ
とができる。
【0068】その他の構成・効果は、参考例と略同様で
あるので、詳細な説明は省略する。 (変形例5)変形例4における給水管17は、図6に示
すように、その長さ方向を側壁10aに沿って(傾斜に
直角に)配置してもよい。底壁9には、傾斜に沿って砂
19、礫18が敷かれ、その上には表層土壌11aの落
下を防ぐ網20が覆われている。
【0069】以上のように構成すれば、傾斜面の上下の
距離が短くても、傾斜面の幅が広い場合には、給水管1
7から供給された処理原水5は、遮水槽2の上流側(側
壁10a側付近)に排出される。底壁9の傾斜に沿って
自然流下する間に、SS成分は礫18や砂19、その他
の土壌11による物理的なろ過作用を受けて除去され
る。また、有機性汚濁物質は、開放された表面12から
供給される空気の存在下に、土壌生物による好気性処理
を受けて浄化される。また、リンは主として土壌11粒
子と化学的に吸着して処理原水5から除去される。これ
により、処理原水5は好気性処理による水質浄化を受け
て処理水5aとなる。
【0070】その他の作用効果は、変形例4と略同様で
あるので、詳細な説明は省略する。
【0071】
【発明の実施の形態1】本発明の実施の形態1につい
て、図7を参照しつつ説明する。なお、参考例と同一乃
至均等な部分については同一符号を付して詳細な説明は
省略する。
【0072】この実施の形態1は、全ての処理水が地中
壁で集水される谷部の傾斜地形をそのまま利用した遮水
槽2による水質浄化を行っている例である。
【0073】図5に示すように、傾斜した岩盤等の不透
水層32を地下に有する谷地形の凹部などが利用されて
いる。この不透水層32の下流側には、地表12からこ
の不透水層32にまで達する地中壁33が設置されてい
る。これにより、地中壁33の設置地点から上流側の傾
斜地形はそのまま遮水槽2として利用される。
【0074】調整槽3から配水管34が配管され、この
配水管34は液体状の有機炭素源22bの供給装置3
5、35に導かれている。これらの供給装置35、35
からそれぞれの給水管30、30により嫌気部分造成器
21及び集水部24に液体有機炭素源22bとしての処
理原水5が供給される。これにより、参考例と同様に1
個の遮水槽2内で好気性処理と嫌気性処理とが組み合わ
されて窒素除去までの三次処理が行われる。この供給装
置35には、別途にメタノールなどの他の液体有機炭素
源22bが添加されていてもよい。
【0075】また、この例では、遮水槽2上流端に、排
水用側溝36が設けられている。この側溝36には、水
質浄化区域の上流部から排水された水が流入される。図
8の説明で後述するように、遮水槽2をバイパスして下
流へと導水される。
【0076】このように、広い面積の傾斜斜面を有する
谷部の地形を遮水槽2として水質浄化に利用する場合に
は、脱窒のために加える有機炭素源22としてはメタノ
ール22bや流量調整槽3からの処理原水5を用いるの
がよい。これにより、添加量をコントロールして有機炭
素源22が注入することができ、処理原水5の水質の変
動に対応した浄化を行うことができる。
【0077】
【発明の実施の形態2】本発明の実施の形態2につい
て、図8を参照しつつ説明する。なお、実施の形態1
同一乃至均等な部分については同一符号を付して詳細な
説明は省略する。
【0078】図8に示すように、傾斜した岩盤等の不透
水層32を地下に有する谷地形の凹部などが利用されて
いる。この不透水層32には、地表12からこの不透水
層32にまで達する上流側地中壁33aと下流側地中壁
33bの二つの地中壁33が設置されている。これによ
り、上流側遮水槽2aと下流側遮水槽2bの二つの遮水
槽2が形成される。それぞれの遮水槽2a、2bには、
それぞれ給水装置8a、8bが設けられている。これら
の給水装置8a、8bの詳細は実施の形態1の給水装置
8と略同じである。
【0079】また、上流側遮水槽2aの集水部24aに
は、集水管23´が配置され、この集水管23´により
集水された処理水5aは、排出管25´を介して接続さ
れた給水装置8bに導かれ、水圧により遮水槽2a内の
給水が行われる。また、下流側遮水槽2bの集水部24
bに配置された集水管23´´により集水された処理水
5aは、排出管25´´に接続されたポンプ37によ
り、強制的に汲み上げられて、必要な箇所へ、必要な量
だけ供給される。
【0080】この上流側遮水槽2aには、供給装置35
が設置されているが、下流側遮水槽2bには、設置され
ていない。これにより、遮水槽2aでは、好気的条件と
嫌気的条件での浄化が行われ、下流側の遮水槽2bでは
上流側の遮水槽2aの処理水5aについて、さらに高度
の水質浄化を行うための好気性処理が主として行われ
る。
【0081】また、この例では、側溝36に排水された
水は、上流側の遮水槽2aをバイパス(不図示)して下
流側の遮水槽2bに流入される。集水部24bでは、処
理水5aを再利用するための地下ダム貯水池として主と
して機能される。
【0082】
【発明の実施の形態3】以上説明した水質浄化装置1
は、各家庭の厨房排水などの水質浄化を遮水槽によって
行うための持ち運び可能な大きさの容器で、さらにこれ
は家庭園芸のための植栽容器を兼ねた水質浄化容器とし
て利用することもできる。この容器を使用することで、
庭や畑地などの土壌の露出面がない家庭などでも土壌を
利用した水質浄化が可能となる。この場合、好気性水
槽、嫌気性水槽、好気性水槽を順次上流側から下流側へ
直列に接続し、好気性処理のための上流側遮水槽には、
処理水が滞留する集水部を設けずに、次の嫌気性水槽に
流入させる。このように小規模な容器では容器1個分の
処理能力は小さいが、処理対象の汚水の量と質に応じて
好気容器と嫌気容器の数を複数に増やして対応すること
ができる。
【0083】米のとぎ汁などの処理対象が常に少量の場
合には人手による容器で給水し、高低差が取れる場合に
は厨房の排水口などの処理原水出口と遮水槽用容器の流
入口を直接接続して給水し、また浄化槽処理水などの排
水口の位置が低い場合にはポンプを用いて定常的に導水
するなど、それぞれのケースに応じた給水手段を採用す
る。
【0084】また、これらの槽は、水平・直列に使用し
た場合のみならず、設置面積が少ない場合には棚等を利
用して縦方向に積み重ね、上段を好気性処理、下段を嫌
気性処理として使用することも可能である。
【0085】
【発明の実施の形態4】傾斜土槽の処理水はその底面に
沿って流下され、その底面にはみず道が形成される。こ
こで、この傾斜土槽を人工的な小型の遮水性構造物(例
えば容器)により形成した場合、底面が平坦であれば、
このみず道に沿って処理水が流下されるので、場合によ
っては十分な滞留時間を維持するのが困難な場合があ
る。そこで、この実施の形態4は、家庭用にも適用でき
る小型の容器を用いた場合にも、十分な滞留時間のとれ
る水質浄化装置1を提供することを目的とする。
【0086】例えば、図9、図10に示すような、小型
の容器101…を用意する。この容器101は、長さ
(L)100cm、幅(W)30cm、高さ(H10
2)10cmの上流側壁102と高さ(H103)13
cmの下流側壁103と傾斜した底壁104と両側壁1
05とを有する。上流側壁102と下流側壁103とに
ほぼ平行して不透水性の材料からなる複数(例えば3
壁)の遮水壁(遮水性の仕切り板)38…が底壁104
から略等間隔で幅w方向に両側壁105,105間に立
設されている。これらの遮水壁38…の高さ(H38)
は、例えば2cmである。底壁104の上流端には、高
さ3cmの高さ調整用の脚39が設けられ、一方、下流
側壁103及び下流側の底壁104には、それぞれ同一
径のネジ部を有する排水口40、41が設けられてい
る。この排水口40はキャップ42により螺合により閉
鎖され、排水口41には長さ5cmの排水管43が螺合
されている。
【0087】また、容器101の四隅には、底壁104
まで延びる支柱106aが固定され、この支柱106a
付近の外壁上端の外周には積み重ねた際の容器101の
ズレ止め106bが固定されている。この支柱106a
とズレ止め106bとで、容器受け部106が形成さ
れ、この容器受け部106により、容器101を積み重
ねた際に容器101がずれることが防止されている。容
器側壁の強度が強い場合には、この支柱106aは省略
され、容器側壁の強度が弱い場合には、この支柱106
aの数を適宜の間隔で設ければよい。また、この上部の
容器受け部106はこの形に限定されずに、一般的な容
器を積層した際の容器のズレ防止手段がそのまま採用さ
れる。
【0088】ベランダ、庭などの水平部44に最下段の
容器101Cが設置される。最下段の容器101Cは、
キャップ40と排水管43とが交換され、脚部39が接
地されることにより、上端部の水平が保たれている。こ
の容器101Cの上に、容器101Bが積み重ねられ
る。容器101Bの脚部39Bが容器101Cの上流壁
102Cの上端に当接され、容器101Bの下流壁10
3Bの下端が容器101Cの上流壁102Cの上端に当
接される。これにより、容器101Bの排水管43Bの
下端は、容器101Cの上流側に配置されることにな
る。
【0089】このようにして容器101C〜容器101
Aを順次、積み重ねることにより、図11に示すよう
に、3段の容器から一つの遮水槽2が形成されている。
この遮水槽2の上部には水量調整用のバルブ45を介し
て処理原水を貯留するタンク46が載置される。このタ
ンク46の大きさは、例えば、内容量が25(l)であ
る。
【0090】第1段目(最上段)の容器101Aには、
砂利が下部8cm程度の深さで充填され砂利層(不図
示)が形成されている。その砂利層の表面2cmには通
気性土壌(不図示)が充填されている。第2段目(中
間)の容器101Bには、砂が下部8cm程度の深さで
充填され砂層(不図示)が形成されている。その砂層の
表面2cmには通気性土壌(不図示)が充填されてい
る。また、第3段目(最下段)の容器101Cには、全
層(深さ約10cm)にわたって通気性土壌(不図示)
が充填されている。通常、この10cm程度の深さの土
壌の充填では、表面層を大気に晒した場合、表層土壌で
は換気が行われて、参考例の毛管湿潤トレンチ構造と同
様に、好気性微生物による好気条件下での水質浄化が行
われる。
【0091】以上のように構成された水質浄化装置1の
作用を説明する。
【0092】処理水5aは、タンク46からバルブ45
を介して順次、1段目の容器101Aの上流端に滴下さ
れ、点線矢印イで示したみず道にそって流下するととも
に、好気条件下での水質浄化が行われる。また、みず道
イの途中には、遮水板38があるので、処理水5aは、
この遮水板38の上流側では滞留し、滞留部21´を形
成する。この滞留部21´は、最大深さが3cmである
ので、この滞留部21´に滞留した処理水5aは、十分
な空気を得ることができず、嫌気条件下での水質浄化が
行われる。
【0093】この水質浄化装置1を用いて家庭の生活雑
排水を処理した場合の目標処理能力は、処理水量を75
(l/日)とした場合、BOD除去率は80%、COD
除去率は60%、SS除去率は60%、消化率は70%
となる。 (変形例6)この水質浄化装置1の処理能力を高めるた
めには、積み重ね容器の数を増加させればよい。例え
ば、図12に示すように、容器101Cの更に下に、容
器101Dを追加する。この容器101Dには、容器1
01Cと同様に全層通気性土壌(不図示)を充填する。
この水質浄化装置1を用いて家庭の生活雑排水を処理し
た場合の目標処理能力は、処理水量を100(l/日)
とした場合、BOD除去率は90%、COD除去率は7
0%、SS除去率は60%、消化率は80%となる。こ
のように、積み重ねる容器の数を増加させることによ
り、処理能力の増減が図れる。
【0094】なお、この実施の形態4(及び変形例6)
の滞留部21´は、参考例の嫌気部分造成器21と同様
の作用を示すので、この滞留部21´に有機炭素源22
を添加すれば、嫌気条件下での水質浄化が一層促進され
る。 (変形例7)この変形例7では、好気条件下での水質浄
化を強化するに、図13に示すように、各遮水壁の下流
側に通気性構造体としての直径3cmの網目管47が3
本(各1本)埋設されている。この通気性構造体は、土
壌中の換気を促進させるためのものであり、通気用網目
管47などの内部と連通する孔又は連通部を有する多孔
質材料から成る管でよい。この網目管47の両末端47
a,47aは開口され、この開口は空気中に晒されて空
気を環流させる。もちろん、この通気性構造体は強制的
に空気を環流してもよい。これにより、好気条件下での
水質浄化が促進される。また、滞留部21´に直接空気
を曝気をすれば、この滞留部21´でも好気条件下での
水質浄化を行える。
【0095】一方、この容器101は、排水口40,4
1及びキャップ42、排水管43に代えて、底壁104
の下流側には、長さ3cmの排水管43´が直接固定さ
れている。この排水管43´は、幅w方向に細長く形成
されて、処理水5aが幅w方向に効率よく分散されて排
水されるので、下方の容器101の土壌の全体に処理水
5aが浸透されるように構成されている。 (変形例8)変形例7と同様な小型の容器101…を用
意する。この容器101は、長さ(L)100cm、幅
(W)35cm、高さ(H102)10cmの上流側壁
102と高さ(H103)15cmの下流側壁103と
傾斜した底壁104とを有する。上流側壁102と下流
側壁103とにほぼ平行して不透水性の材料からなる複
数(例えば3壁)の遮水壁38…が底壁104から略等
間隔で立設されている。これらの遮水壁38…の高さ
(H38)は、例えば3cmである。底壁104の上流
端には、高さ5cmの高さ調整用の脚39が設けられて
いる。
【0096】実施の形態4と略同様にして、この容器1
01を4段積み重ね、充填物として通気性土壌又は砂や
砂利などを充填し、この水質浄化装置1を用いて家庭の
生活雑排水を処理した場合の目標処理能力は、処理水量
を100(l/日)とした場合、BOD除去率は90
%、COD除去率は70%、SS除去率は60%、消化
率は80%であった。
【0097】
【発明の実施の形態5】以下、本発明の実施の形態5
ついて、図14を参照しつつ説明する。なお、参考例
同一乃至均等な部分については同一符号を付して詳細な
説明は省略する。
【0098】人工的な遮水性構造物によって傾斜土槽を
形成した場合、処理水は構造物の底壁に沿ったみず道を
形成する。そこで、この実施の形態5では、図14に示
すように、人工的な遮水性構造物によって傾斜土槽を形
成し、底壁9にみず道を遮るように複数個の遮水板3
8...を設置する。また、この各遮水板38...の下流に
両末端47aを地面に露出して通気用網目管47が埋設
されている。
【0099】このような構成の水質浄化装置1によれ
ば、処理水5aはこの遮水板38によりみず道を遮ら
れ、滞留部21´を形成する。これにより、傾斜土槽2
内における処理水5aの滞留時間は延長される。この滞
留部21´では、嫌気条件での水質浄化が可能となり、
一方、その水面28の上方では、毛管湿潤トレンチ構造
となり好気条件下での水質浄化が行える。また、この遮
水板38の下流側に通気用構造体47が埋設されている
ので、この好気条件下での水質浄化は促進される。これ
により、好気条件と嫌気条件での両水質浄化を行うこと
ができる。 (変形例9)自然の傾斜地形を利用した傾斜土槽2を使
用する場合には、処理水5aは透水性のよい土壌表層1
1aに沿ったみず道を形成する場合がある。この場合、
図15に示すように、土壌表層11aに遮水板38とこ
の遮水板38に接続した上流側に遮水シート48を設け
る。この遮水板38と遮水シート48とにより上部が開
口した容器49が形成され、この容器49に処理水5a
が滞留することにより嫌気条件での水質浄化が行われ
る。また、この容器49の上方では、表層土壌11aに
処理水5aが浸透して、好気条件での水質浄化が行われ
ている。これにより、好気条件と嫌気条件の両水質浄化
を連続的に行うことができる。このように、処理水5a
が土壌表層を浸透流下している場合には、通気用構造体
は設けなくてもよい。
【0100】以上説明したように、本発明に従えば、傾
斜をつけた土壌の槽で水質浄化を行わせることにより、
土壌中の処理水5aに流れの方向をつけ、自然流下する
過程で、好気性と嫌気性の処理を組み合わせる。これに
より、人工的なエネルギーを使わずに、汚水の二次処理
(有機物分解:BODなどの浄化)と三次処理(無機栄
養塩類の除去:リンや窒素の除去)とが同時に完結す
る。土壌表面を植栽空間として利用することにより、小
規模には家庭用の植栽容器(プランター)を兼ねた水質
浄化槽として、大規模には、花壇やエコパーク、親水公
園等を兼ねた水質浄化施設として利用できる。また、こ
れらの処理水は、植栽への給水などリサイクルが可能で
あり、水資源に乏しい地域での有効な水質浄化が行え
る。
【0101】また、通気性の良好な土壌などの好気的条
件下では、特にBOD、大腸菌数、リンに高い浄化効果
が期待される。一方、通気性の悪い土壌などの嫌気的条
件下では、窒素が浄化される。これらの二つの条件を連
続的に組み合わせることにより、土壌による高度の水質
浄化が行える。
【0102】以上、この発明の実施の形態を図面により
詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限ら
ず、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等が
あってもこの発明に含まれる。
【0103】例えば、本発明の水質浄化装置は、土壌生
態系が有する物理的、化学的または生物的な水質浄化能
力を利用した水質浄化装置であるので、槽内に充填され
る土壌は、いわゆる、天然土壌のみならず、土壌生態系
が有する物理的、化学的または生物的な水質浄化能力を
具備していれば何でもよい。たとえば、砂、礫、人工土
壌など、いわゆる土壌のほか、土壌代替品であってもよ
い。本発明における土壌とは、これらの土壌代替品を広
く包含する。
【0104】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明によ
れば、水質浄化を省エネルギー的に低コストで行うこと
ができる水質浄化装置が提供できる。また、この水質浄
化装置は、傾斜地に設置できるので、広い地域での水質
浄化を行うことができる。また、本発明の水質浄化装置
は、三次処理までの浄化が可能である。
【0105】これにより、現在の河川や湖沼の水質汚濁
問題が解決され、さらに環境に配慮した水資源の循環型
・節水型社会を目指した処理水を再利用するための集水
施設と貯水施設が提供される。また、この水質浄化装置
は、植栽容器として家庭園芸および景観の緑化を行え
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例に係る水質浄化装置を説明する断面図
である。
【図2】 図1の水質浄化装置の給水装置付近の拡大図
である。
【図3】 図2の給水装置の断面図である。
【図4】 図1の水質浄化装置の部分拡大図である。
【図5】 変形例4に係る水質浄化装置の給水装置付近
の拡大図である。
【図6】 変形例5に係る水質浄化装置の給水装置付近
の拡大図である。
【図7】 実施の形態1に係る水質浄化装置を説明する
断面図である。
【図8】 実施の形態2に係る水質浄化装置を説明する
断面図である。
【図9】 実施の形態4に係る遮水槽としての容器を示
す斜視図である。
【図10】 図9の容器の断面図である。
【図11】 実施の形態4に係る水質浄化装置を説明す
る側面図である。
【図12】 変形例6に係る水質浄化装置の側面図であ
る。
【図13】 変形例7に係る水質浄化装置の容器を説明
する図であり、(a)は全体斜視図、(b)は網目管の
斜視図、(c)は、網目管の埋設状況を説明する部分断
面図である。
【図14】 実施の形態5に係る水質浄化装置を説明す
る断面図である。
【図15】 変形例9に係る水質浄化装置を説明する断
面図である。
【符号の説明】
1・・・水質浄化装置 2・・・遮水槽 3・・・調整槽 4・・・嫌気槽 8・・・給水装置

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土壌生態系が有する物理的、化学的また
    は生物的な水質浄化能力を利用した水質浄化装置であっ
    て、 傾斜された遮水性の傾斜底面と遮水性の側面と開放され
    た上面とで構成される遮水槽内に水質浄化能を有する土
    壌が充填された傾斜土槽と、 該傾斜土槽へ処理すべき処理原水を給水する給水部と、 前記傾斜底面上に立設されて前記処理原水が前記傾斜土
    槽中を流下することにより生じるみず道を遮水して前記
    傾斜底面上に処理水を滞留させる滞留部を形成する遮水
    壁と、 備えることを特徴とする水質浄化装置。
  2. 【請求項2】 前記滞留部の下流側に好気条件下での水
    質浄化を行うための通気用構造体を埋設することを特徴
    とする請求項1に記載の水質浄化装置。
  3. 【請求項3】 前記傾斜土槽は、該傾斜土槽の下方に配
    置され水質浄化されて得られた処理水を集水する集水部
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の水質浄化装
    置。
  4. 【請求項4】 前記傾斜土槽は、上部が水質浄化施設、
    下部が処理水の貯水施設として機能することを特徴とし
    た請求項1に記載の水質浄化装置。
  5. 【請求項5】 前記遮水槽は底面と側面とが遮水性とさ
    れた容器であって、該容器は重力方向に積み重ねられて
    水質浄化装置が形成され、 前記底面の重力方向最下端付近に排水口が配置され、該
    排水口から流れ出る処理水が下方の傾斜土槽の上流側に
    流下されるように配置されたことを特徴とする請求項1
    又は請求項2に記載の水質浄化装置。
  6. 【請求項6】 前記水質浄化装置は、前記傾斜土槽とは
    別個に嫌気条件下に設定された水質浄化能を有する槽を
    併設することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載
    の水質浄化装置。
  7. 【請求項7】 前記傾斜土槽には植物が植栽され、植物
    による水質浄化が図られるとともに、該傾斜土槽は灌水
    と施肥装置とを備えた水質浄化兼用の植栽部として使用
    されることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか
    1項に記載の水質浄化装置。
  8. 【請求項8】 前記傾斜土槽は、底面と側面とが遮水性
    とされた容器に土壌が充填された容器状構造体か、開削
    された斜面に遮水性シートその他の遮水性材料を底面と
    側面に設けて形成した構造体に土壌を充填した開削状構
    造体か、又は谷地形の凹部に不透水層にまで達する遮水
    性の地中壁を設置し、同地点で上流側全ての自然流下す
    る水が集水できるようにした谷地形そのものを利用した
    地形利用構造体であることを特徴とする請求項1〜請求
    項7のいずれか1項に記載の水質浄化装置。
  9. 【請求項9】 前記遮水壁は、前記傾斜底面に対してみ
    ず道に沿って複数設置されていることを特徴とする請求
    項1又は請求項5に記載の水質浄化装置。
  10. 【請求項10】 請求項1〜請求項9のいずれか1項に
    記載の水質浄化装置を用いて前記給水部より処理原水を
    連続的に供給しつつ土壌生態系の持つ物理的、化学的、
    生物的な水質浄化能力を利用した水質浄化方法。
JP11064226A 1998-03-17 1999-03-11 傾斜土槽を用いた水質浄化装置及びそれを用いた水質浄化法 Expired - Lifetime JP3076024B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11064226A JP3076024B2 (ja) 1998-03-17 1999-03-11 傾斜土槽を用いた水質浄化装置及びそれを用いた水質浄化法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6686498 1998-03-17
JP10-66864 1998-03-17
JP11064226A JP3076024B2 (ja) 1998-03-17 1999-03-11 傾斜土槽を用いた水質浄化装置及びそれを用いた水質浄化法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11319861A JPH11319861A (ja) 1999-11-24
JP3076024B2 true JP3076024B2 (ja) 2000-08-14

Family

ID=26405347

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11064226A Expired - Lifetime JP3076024B2 (ja) 1998-03-17 1999-03-11 傾斜土槽を用いた水質浄化装置及びそれを用いた水質浄化法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3076024B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9689131B2 (en) 2012-09-25 2017-06-27 Panasonic Corporation Water collecting structure

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002273471A (ja) * 2001-03-23 2002-09-24 Yonden Gijutsu Consultant:Kk 水質浄化装置及び水質浄化方法
JP2012095621A (ja) * 2010-11-04 2012-05-24 Paddy Research Co Ltd 地下灌漑システム
KR101047454B1 (ko) 2011-03-02 2011-07-07 녹스 코리아(주) 생태계 순환을 이용한 인공습지
CN109553191A (zh) * 2018-12-04 2019-04-02 浙江大学 田园景观型生态沟渠氮磷拦截系统及方法
CN112062275A (zh) * 2020-08-21 2020-12-11 生态环境部华南环境科学研究所 一种处理初期雨水和农田退水的农业灌溉回用生态系统

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9689131B2 (en) 2012-09-25 2017-06-27 Panasonic Corporation Water collecting structure

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11319861A (ja) 1999-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6592761B2 (en) Biological waste water treatment system
US5707513A (en) Wastewater treatment method and apparatus
US5893975A (en) Enhanced subsurface flow constructed wetland
US6153094A (en) Wastewater treatment method and apparatus
US7695620B2 (en) Tertiary filter septic system and method
KR20060094596A (ko) 우수 저류 및 지하 침투를 유도하는 시스템
CN206635120U (zh) 混合流人工湿地系统
CN213037496U (zh) 一种分区循环式土壤渗滤系统
KR100375052B1 (ko) 인공습지를 이용한 자연정화 촉진방법 및 그 장치
CN109721160A (zh) 一种花坛式污水处理渗水井及其运行方法
CN111704241A (zh) 一种分区循环式土壤渗滤系统
CN204689842U (zh) 竖向多级ao的生态污水处理系统
JP3076024B2 (ja) 傾斜土槽を用いた水質浄化装置及びそれを用いた水質浄化法
CN104961291B (zh) 竖向多级ao的生态污水处理系统
CN213231934U (zh) 北方农村分散式污水处理回用系统
KR200293086Y1 (ko) 자연친화형 무동력 하수 처리장치
KR100561170B1 (ko) 폭기식 인공습지 시스템 및 이를 이용한 하수, 오수,폐수등의 고도 처리 방법
WO1993023339A1 (en) Wastewater treatment method and apparatus
KR100439484B1 (ko) 호기혐기 조합형 이중통기공법에 의한 자연정화하수처리시스템
WO1990002710A1 (en) Wastewater treatment system
KR0171863B1 (ko) 오수의 트렌치 정화방법
KR102475250B1 (ko) 자연형 인공습지 하수 고도 처리 장치 및 방법
KR0165947B1 (ko) 토양피복형 오수정화방법 및 그 장치
CN112709308B (zh) 一种基于阶梯式花园的雨水处理方法
US20060011530A1 (en) Capillary permeation driven pottery pipe trench waste water treatment system

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100609

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100609

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110609

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110609

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120609

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130609

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140609

Year of fee payment: 14

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term