JP3070759B2 - 医療用計測装置 - Google Patents

医療用計測装置

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JP3070759B2
JP3070759B2 JP2313985A JP31398590A JP3070759B2 JP 3070759 B2 JP3070759 B2 JP 3070759B2 JP 2313985 A JP2313985 A JP 2313985A JP 31398590 A JP31398590 A JP 31398590A JP 3070759 B2 JP3070759 B2 JP 3070759B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、生体深部の温度変化や血流量などを無侵襲
に計測する医療用計測装置などの計測装置に関する。
〔従来の技術〕
悪性腫瘍組織が正常組織と比較して加温に対する抵抗
力が劣ることを利用し、悪性腫瘍を加温治療する療法と
して、ハイパーサーミア療法が知られている。この療法
に必要な加温手段としては、電界・磁界・超音波など侵
襲度の低い有効な手段がすでに開発されているのに対
し、この療法に必要な温度監視手段としては、第1回の
バイオエンジニアリング・シンポジウム(1989年1月22
〜23日開催)論文集第135〜136頁に記載されている超音
波を用いる手段をはじめとして、電波・NMR・超音波な
どの無侵襲手段が盛んに研究されているものの、未だ性
能・実績が不十分で、臨床現場では熱電対・サーミスタ
などの侵襲的手段に頼っているのが現状である。
侵襲的手段によれば、腫瘍に異物を刺入せざるを得
ず、腫瘍の移転を助長したり患者の回復を遅らせたりす
るおそれがないとはいいきれない。さらに、血管が複雑
に分布する部位では、空間的に細かく温度を計測する必
要があるが、侵襲的手段によれば、単位体積あたりの刺
入数を多くする必要があり、上記欠点はますます重大と
なる。
また、生体内部実質臓器の血流情報は、腫瘍の悪性・
良性の判別などに別に有用であり、これを計測するため
には、現在、超音波ドプラ装置などが用いられている。
しかしながら、超音波ドプラ装置によって計測されるの
は、血流速度のうち、超音波プローブと計測位置を結ぶ
直線に投影した速度成分であり、全方位に関して積分し
た血流総量ではない。
〔発明が解決しようとする課題〕
生体の無侵襲温度計測の成功を阻んでいる要因は、次
の2つである。
1)電波・NMR・超音波などの信号に対する生成組織の
もつ温度係数は、もともと余り大きくないので、温度変
化によるそれらの信号の変化が小さく、測定精度が得に
くい。
2)上記温度係数が、生体各組織により、また、各組織
のおかれている生体的条件により一定せず、それらの信
号の変化そのものは計測することができても、それを温
度に換算するのが困難である。
一方、熱的入力の大きさから温度上昇を予測するため
には、次の問題点がある。侵襲度の低い加温手段により
生体各組織に与えられる単位時間単位体積あたりの熱量
(熱的入力)は、生体各組織における電界、磁界、超音
波などの吸収係数をもとに、途中経路における減衰など
も考慮に入れて、計算機シミュレイションなどにより比
較的精度良く予測することができる。この熱的入力を温
度に換算するには、一般に、生体各組織の比熱・熱伝導
率,血流量が知られていなければならないが、時間的に
ほとんど変化しない前2者は比較的精度良く推定するこ
とができるのに対し、血流量は、加温中も生体組織温度
に反応して徐々に変化し、実時間で計測する手段を持た
ない限りその推定は極めて困難である。
しかしながら、現在、血流計測手段として最も広く用
いられている超音波ドプラ装置によって計測されるの
は、前述のように、血流によって運ばれる熱量の推定に
とって必要な全方位に関して積分した血流量ではない。
本発明の目的は、このような問題点を解決し、ハイパ
ーサーミア療法に有用な非侵襲的な温度ならびに血流量
の計測手段、また、生体の熱入力に対する応答を利用し
た血流量の計測手段を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、生体の着目する部分に熱
的入力を与えるとき、その入力を適当な周期で変調し、
着目する生体部分の物理的刺激に対する応答信号を検出
して、変調周波数成分抽出し、この値から、着目する生
体部分の温度あるいは血流量の情報を得るよう計測装置
を構成することを、本発明の特徴とする。
〔作用〕
第1図に、本発明の方法を実施する場合の構成の概念
図を示した。照射パワー源1によって対象部位2に与え
られる熱的入力Qは、照射パワー源が波動性の場合、次
のようにおくことができる。
Q=Q0(1+m cosωmt)・2cos2ωct …(1) ここで、ωcおよびmは、それぞれ搬送波、変調
波の角周波数と変調度(通常は0≦m≦1)である。ま
た、説明の便宜上の、搬送波振幅を とするとき、熱的入力の変調成分がm cosωmtに比例す
る場合を扱った。搬送波振幅そのものの変調成分がm co
mtに比例するとして扱う場合には、熱的入力Qは、 Q=Q0(1+m cosωmt)・2cos2ωct …(1)′ と表される。この場合には、熱的入力の変調成分とし
て、角周波数ωの成分と2ωの成分とを生ずるが、
どちらかを解析の対象とすることもできる。式(1),
式(1)′どちらの形式で扱っても本質的な差異はない
ので、以下では式(1)により問題を扱う。
対象部位2の温度Tが、熱的入力Q=0のときにT=
T0、Q≠0のときに、T=T0+δT0+δTmとなったとす
る。ここで、δT0とδTmは、それぞれ搬送波の側帯波に
対応する温度変化分である。いま、対象部位2の熱的時
定数τに対して、搬送波周期1/=2π/ωが充分
短く、変調周期1/=2π/ωが充分長い場合を考
えておく。このとき、(1)式より、 この温度変調成分δTmを、体外の受信系3によって選
択増幅するために、対象部位の適当な物性定数の温度変
化を利用する。この場合の物性定数とは、超音波・NMR
・放射線,電気的インピーダンス・熱放射電磁波・熱放
射音波などに関するパラメタを用いればよく、送信系4
を同時に用いることによって能動的に計測される物性定
数であっても、送信系なしに受動的に計測される物性定
数であってもよい。また、能動的計測方法としては受信
系3が送信系4を兼ねる送受信系形式となっていてもよ
い。
着目するパラメタをXとおき、T=T0のときの値をX
=X0,T=T0における温度係数をαとおくと、δT0とδTm
があまり大きくない範囲で、 X=X0+α(δT0+δTm) =X0+δX0+δXm δX0=αδT0 δXm=αδTm …(3) と近似できる。従って、温度変化分は、温度係数αを既
知するとき、式(2),式(3)を用いて、次式により
与えられる。
δTm=δXm/α δT0=δX0/α =δXm/(αm cosωmt) …(4) 式中δXmはcosωmtに比例して変化しているので、δT
0はtにより変化しない量である。
さて、式(4)から、温度変調成分に対応するパラメ
タの変調分δXm、非変調成分δX0のいずれか一方を測定
することによって、温度上昇の非変調成分δT0を求める
ことができる。しかし、両者の測定法を比較すると、従
来のδX0を測定する方法では、1/ノイズやX0のドリフ
トの影響を受けて誤差を多く含みやすいのに対して、δ
Xmを測定する本発明の方法は、周波数の成分の選択
増幅を用いることができるので上記のノイズやドリフト
の影響を受けにくく、相対的に精度の高い測定が期待で
きる。これは、直流増幅器における直結形構成と変調形
構成の特徴を比較すれば明らかである。
次に本発明の方法をハイパーサーミアに応用する場合
について、さらに詳しく検討する。電界・磁界・超音波
など侵襲度の低い加温手段による生体組織の平常温度か
らの温度上昇の空間分布Tは、加温手段により生体組織
に与えられる単位時間単位体積あたりの熱(熱的入力)
Q、生体組織の比熱A,熱伝導率K,単位時間単位体積あた
りの血流量と血液の比熱との積Bを含むBioheat方程式 AdT/dt=KΔT+Q−BT …(5) により実用上充分な精度で記述される。式中Δは、ラプ
ラシアンを表す。ここで、血流温度で生体組織の平常温
度と等しいものと仮定した。
通常の血流量あるいはハイパーサーミア治療時の血流
量では、投入された熱の流出経路として熱伝導よりも血
流が主であるので、加温に対する生体組織温度の応答の
概算は、熱伝導の項を省略した方程式 AdT/dt=Q−BT …(6) により行なうことができる。熱的入力Qが周期的で、例
えば、 Q=Q0[1+m exp(jωmt)] …(7) と表される場合を考える。ここで、jは虚数単位であ
る。また、熱的入力が超音波や電磁波など波動性の場
合、通常、搬送波角周波数ωは熱的時定数の逆数1/τ
と比較してはるかに大きいので、式(1),式(1)′
中の搬送波の2乗の項は一定値とみなした。
この熱的入力のうち角周波数ω(式(7)中ω
たは0すなわち直流分)の成分Q1exp(jω1t)に対す
る温度の応答に着目し、T1exp(jω1t)とおくと、式
(7)より、T1は、 T1=Q1/B+jω1A …(8) により与えられる。すなわち、Q1を入力、T1を出力とみ
るとき、低域通過フィルタ型特性となる。また、右辺の
分母に着目すると、その遮断時定数すなわち前述の熱的
時定数τは、 τ=A/B …(9) により与えられることがわかる。
ここで、例えば、生体の超音波特性に関してならば音
速・減衰係数・非線形定数など、核磁気的特性に関して
ならば磁気モーメント・緩和時間・拡散定数など、電気
的特性に関してならばインピーダンスなどの温度係数を
持つ生体の物理的定数のひとつXに着目して、熱的入力
の与えられている部分における温度係数をαとおく。こ
のとき、その物理定数の変化のうち角周波数ωの成分
をX1(jω1t)とおくと、(8)より、X1は、 X1=αQ1/(B+jω1A) …(10) により与えられる。
一般に、X1は実部,虚部を持つ複素量であるので、B
およびαの未知の2実数を式(10)により決定すること
ができるが、実部・虚部の一方が他方と比較して極端に
小さい場合、充分な精度が得られない恐れがある。そこ
で、同様に、角周波数ωの熱的入力Q2exp(jω2t)
に応答する着目する物理定数の変化を計測しX2exp(j
ω2t)とおくと、X2は、 X2=αQ2/(B+jω2A) …(11) により与えられる。式(10),式(11)をαおよびBに
ついて解くと、 となる。ここで、β=Q1/X1=Q2/X2とおいた。
前述のように、A,Q1,Q2は比較的精度良く推定できる
ので、X1,X2が計測可能であるとき、その温度係数αや
血流量Bが推定される。また、第3の角周波数ωによ
る変調を行なって対応するX3を同様に計測し、対応する
Q3の推定を同様に行なうことにより、αとBに加えてA
も求め得る。
このようにしてαを求め、また、着目する物理量の加
温開始時からの変化分δXを実測によって求めれば、加
温による温度上昇δTは、その間の温度係数αの変化が
無視できるとき、 δT=αδX …(13) により求められる。
さて、本方法を実際に臨床応用する場合、次の2点を
考慮する必要がある。まず、熱的時定数τの大きさの程
度であるが、ヒトの臓器の血流量は、多い場合でも0.01
g/cm3/s程度であるので、式(9)より、100秒程度と見
積られる。1/ノイズやドリフトの影響を除去するのに
有効な変調周波数を選ぶとき、これに比べて上記の1/τ
ははるかに小さい。次に考慮すべきは、熱的入力の変調
による温度変調幅δTmの大きさである。信号対雑音比
(S/N比)を稼ぐためにはこれを大きくとるほうが有利
であるが、温度上昇、δT0+δTmがハイパーサーミアに
適する範囲から逸脱しない程度の大きさに抑えておく必
要がある。以下に、上記の2点を定量的に考察する。式
(7)中のω成分に対応するδTmは、式(8)より δTm≒mQ0/jωmA …(14) と与えられる。ここで、上記のようにωτ≫1と近似
した。また、式(7)中の直流成分に対応するδT0は、
式(8)より δT0≒Q0/B …(15) と与えられる。従って、 δTm/δT0≒mB/jωmA=m/jωτ 大きさのみに着目すれば、 δTm/δT0≒m/ωτ …(16) ところで、ハイパーサーミアにおいて、δT0≒10℃程
度であり、δTm≦1℃程度まで許容されるので、式(1
6)より、 m/ωτ≦0.1 …(17) が、満たされるべき条件である。一方、白色ノイズを仮
定し計測時間を一定とするとき、選択増幅によるS/N比
改善は に比例するので、変調法によるS/N比Sは、 式(17)より、 等号成立は、 m=0.1ωτ …(20) また、一般に、mは1を超えないか、超えてもその大き
さは1の程度であるが、その最大値をmMとおくと、式
(19)より、 等号成立は、 m=mM …(22) 式(20),式(22)より、m=mMかつ ω=10mM/τ …(23) のとき、最大のS/N比が得られる。すなわち、変調度m
を最大限に大きくとり、温度を許容幅いっぱいに変調で
きる範囲で最大の変調周波数を選択することにより、S/
N比の観点から最も有利な計測ができる。例えば、mM
1,τ=100sのとき、式(23)より、最適変調周波数は0.
015Hzと与えられる。
上記の定量的検討は、δT0+δTmがハイパーサーミア
に適する範囲から逸脱しない程度の大きさにδTmを抑え
る場合について行なったが、δTmをδT0と同程度の大き
さにとり、δT0+δTmの最大値を最適治療温度付近に設
定する時分割的加温治療を行なうことも可能である。こ
の場合の利点は、S/N比の良い計測が可能となる点に加
えて、長時間の連続加温に比べ、患者の疲労を軽減でき
る点にある。ただし、このように対象とする温度範囲が
広くなった場合、温度係数に関して、式(3)のように
1次項を用いるだけでなく、2次,3次の項も考慮する必
要を生ずる可能性がある。
また、以上の説明では変調波形としては主として正弦
波を扱ったが、矩形波による変調や、パルス変調波など
も用いることもできる。あるいは、照射源を2つに分
け、それぞれ異なる周波数の連続波を照射することによ
り、対象部位において、その差周波数のビートを生じさ
せ、これによって対象部位に対する熱的入力を変調させ
ることもできる。この場合、連続波の代りに変調位相の
異なる2つの位相変調波を照射波として用いることによ
って、ビートを生じさせることも可能である。
また、式(5)以下の解析では、生体中の比較的広い
領域の温度変動に着目して、熱伝導項を省略して議論を
すすめたが、加温手段として焦域の大きさが1cm程度以
下の強収束超音波ビームを用い、その焦域中央付近の温
度を問題とする場合には、熱伝導項の寄与を考慮に入れ
る必要がある。熱伝導項の寄与により、焦域の大きさが
小さければ小さいほど、熱的時定数が小さくなり、熱的
入力の変調による計測には有利な条件となる。これは、
収束度の大きな超音波トランスデューサを本発明の加温
手段に用いる場合の1つの利点となる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を第2図〜第6図を用いて詳細
に説明する。
加温手段として超音波照射を用い、測温手段としても
超音波減衰係数の計測を用いた装置の構成を、第2図の
ブロック図に示す。さらに、第3図(a)および(b)
には、測温ならびに撮像用超音波送受波器12を組み込ん
だ加温用送波器11の側面図および下面図を示す。このア
レイ型送波器11は、周波数0.5〜1.0MHzの超音波を距離1
2cmにある幾何学的焦点の付近にフォーカスさせて照射
することができ、電子フォーカス制御によりその幾何学
的焦点のまわりに焦点をスキャンできる構成となってい
る。送受波器12は、通常のパルス・エコー像撮像用セク
タ・スキャン型アレイ送受波器と基本的に同様の形式を
有しており、2〜5MHzの超音波を送受波できる構成とな
っている。
反射法による超音波減衰係数の計測は、例えばIEEE音
響学・音声信号処理学会報(IEEE Transactions on Aco
ustics,Speech Signal Processing)(1984年1月)第3
2巻第1〜6頁に記載されている生体組織中の超音波減
衰の周波数比例的特性を用いて減衰係数を計測する方法
を応用する。すなわち、比帯域幅の大きなパルス状超音
波を送受波器12により送波することによって送受波器12
により受信される信号に、受波フォーカス回路24におい
て遅延時間を与えて互い加算してエコー信号を得て、そ
のエコー信号を回路30において周波数分析する。第4図
に示すように温度がほぼ一定となみし得る程度の大きさ
の温度上昇測定領域Aの直前および直後にそれぞれ焦点
F0およびF1を設定して、それぞれの近傍一定体積からの
エコー信号のパルス・スペクトルの空間平均値をそれぞ
れ記憶回路31−1および31−2に記録する。温度上昇算
出回路25では、31−1のスペクトルを31−2のスペクト
ルで除算した振幅スペクトルに周波数比例特性をあては
め、その比例係数から測定領域Aにおける超音波の減衰
係数Xを算出し、その変化のうち変調周波数成分を算出
して、さらに、複数の変調周波数による算出値から領域
Aの権流量Bおよび減衰係数Xの温度係数αを算出し、
加温開始値前のXとの差から温度上昇δTを算出する。
温度情報は、表示回路26に入力されて表示され、また、
ハイパーサーミア治療の際には、温度情報が、加温用送
波回路21に入力されて送波出力が制御される。焦点F0
よびF1の近傍の反射係数がそれぞれ一定であると仮定
し、焦点をF0およびF1に設定したときのエコー強度その
ものの比を領域Aの温度上昇に対応する計測信号として
扱う方法もよいが、加温によって焦点F0およびF1の近傍
の反射係数が変化した場合、それを領域Aにおける減衰
係数の温度変化分と誤読する恐れがあるので、上記の方
法の方がより安全であると考えられる。
第5図には、この実施例の計測装置を用いた温度計測
または血流量計測のタイムチャートの一例を模式的に示
す。図中(a)に変調された加温用送波器1の送波振
幅、(b)にその実効値、(c)に着目領域の超音波減
衰係数反映信号計測値、(d)にその変調と同相な成
分、(e)に変調と位相が直交する成分を示す。この例
では、Q2=Q1=2ωであるので、(12)より、
温度係数α,血流量Bは、 により与えられる。すなわち、超音波減衰係数反映信号
計測値X1,X2と比熱Aから着目領域の血流量Bを推定す
ることができ、これらに加えて熱的入力の変調振幅Q1
ら、着目領域におけるXの温度係数αを推定することが
できる。
第6図には、変調矩形波に含まれる高調波成分を利用
して温度計測または血流量計測を行なう場合のタイムチ
ャートの一例を模式的に示す。図中(a)に変調された
加温用送波器11の送波振幅、(b)その実効値、(c)
に着目領域の超音波減衰係数反映信号計測値、(d),
(e)にそれぞれ、計測値の変調と同相な成分と位相が
直交する成分を示す。この例では、Q2=Q1/3,ω=3
ωであるので、(12)より、温度係数α、血流量B
は、 により与えられる。
もうひとつの算出方法は、第6図のような熱的入力に
おいて、その直流成分に対する応答を利用する方法であ
る。このときには、ω=0であるので、(12)より、
温度係数α、血流量Bは、 により与えられる。以上のようにして求められる着目領
域におけるXの温度係数αと、Xの加温による増加分δ
Xとから、(13)を用いて着目領域における加温による
温度の増加分δTを推定することができる。
この計測方法をハイパーサーミア治療とは独立に、医
療診断方法として用いるときには、計測された血流量
を、血流分布像や関心領域の血流の経時変化グラフとし
て表示回路26に表示する。このときには、計測対象の生
体組織の加温による損傷の可能性を避けるため、加温に
よる温度の上昇幅を計測に必要な信号対雑音比の得られ
る範囲内で最小とする。
超音波を測温手段として用いる方法としては、上記実
施例のような超音波減衰係数計測による方法の他に、超
音波音速計測による方法、超音波伝播における非線形計
測による方法を用いることができる。反射法による超音
波音速計測は、アメリカ合衆国特許(United States Pa
tent)第4,566,459号(1986年1月)並びにIEEE超音波
シンポジウム会議録(IEEE Ultraasonics Symposium Pr
oceedings)(1987年10月14日〜16日)第917〜926頁に
記載されれている合焦法(Focus Adjustment Method)
によって行なうことができる。超音波伝播における非線
形計測は、第1回バイオエンジニアリングシンポジウム
論文集(1990年1月10日発行)第135〜136頁に記載され
ている方法によって行なうことができる。
なお、以上では、超音波を加温手段に用いた実施例の
みを説明したが、電界・磁界を用いる方法であっても、
第5回国際ハイパーサーミアシンポジウム講演録(Proc
eedings of 5th International Symposium on Hyperthe
rmic Oncology)(1988年8月29〜9月3日)第823〜82
4頁に記載されているように、比較的狭い範囲に加温エ
ネルギを集中できる方法であれば、本発明の治療装置の
加温手段として用いることができる。
また、以上では、測温手段として超音波を用いた実施
例を説明したが、同じく第5回国際ハイパーサーミアシ
ンポジウム講演録第659〜660頁に記載されているような
NMRにより計測される磁気モーメントや緩和時間や拡散
定数の温度係数を利用する方法を、本発明の加温治療装
置における無侵襲温度計測手段として用いることもでき
る。
その一実施例を第7図を用いて説明する。この実施例
では、加温手段として、同じく第5回国際ハイパーサー
ミアシンポジウム講演録第820〜822頁に記載されている
ような高周波磁場を用いる場合を示した。通常のNMR断
層撮像装置と異なる点は、x,y,z軸方向の傾斜磁場を作
るための籠型コイル46,47,48のうち、z軸方向を受け持
つコイル48を、加温用としても用いることができるよ
う、加温用駆動信号発生回路60を有し、また、計算機49
において、変調加温による磁気モーメントや緩和時間や
拡散定数の変調を解析するよう構成した点にある。変調
加温のためのスケジューリングは、第5〜6図で説明し
た超音波利用の場合と同様に行なえばよいが、NMRの各
パラメタの計測には、一般に、超音波と比較してより長
い時間が必要なので配慮が必要である。
以上述べたように、本方法はハイパーサーミアに有効
であるが、応用の範囲はこれに限られず、一般の物体内
部の温度計測にも適用可能である。
〔発明の効果〕
以上説明したように、、本発明によれば、熱電対やサ
ーミスタ等の侵襲的な温度計測手段を用いることなく、
着目部位の温度変化や血流量を無侵襲に計測することが
でき、安全性の高い医療用計測装置を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の構成の概念図、第2図は、測温手段
として超音波減衰係数計測を用いた本発明の一実施例装
置の構成のブロック図、第3図(a)および(b)は、
その実施例において用いられる加温・測温用超音波送受
波器の側面図および下面図、第4図は、領域Aの温度上
昇を測定するための超音波減衰係数計測用の焦点F0およ
びF1の設定の例を示す図、第5図,第6図は、本発明の
実施例の超音波計測装置を用いた温度・血流量計測のタ
イムチャートの一例、第7図は、加温・測温手段として
NMR装置を用いた本発明の一実施例装置の構成のブロッ
ク図である。 1……照射パワー源、2……対象部位、3……温度計測
用送信系、4……温度計測用受信系、11−1,11−2,…,1
1−N……加温用超音波振動子素子、12−1,12−2,…,12
−n……測温用超音波振動子素子、15……軽金属製音響
整合層、16……音響整合層、17……背面制動層、20……
主制御回路、21……加温用超音波振動子送波回路、22…
…測温用超音波振動子送波制御回路、23……送受波回
路、24……受波フォーカスおよびエコー強度検出回路、
25……温度上昇検出回路、26……表示回路、30……エコ
ー信号周波数分析回路、31−1……目標領域直前のエコ
ー信号周波数成分記憶回路、31−2……目標領域直前の
エコー信号周波数成分記憶回路、41……静磁場発生用電
磁石、42……対象物体、43……高周波磁場発生用ならび
に信号検出用コイル、44X……X方向傾斜磁場発生用コ
イル、44X……Y方向傾斜磁場発生用コイル、45……Z
方向傾斜磁場発生用コイル、46,47,48……傾斜磁場発生
用電流駆動回路、49……計算機、50……静磁場発生用電
流駆動回路、52……シンセサイザ、53……変調増幅器、
54……増幅器、55……検波器、56……CRTディスプレ
イ、57……データメモリ、60……加温用駆動信号発生回
路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/00 A61B 8/00 A61F 7/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の変調周期で加熱強度が変化するよう
    に前記変調周期で変調した加熱入力を生体内の着目する
    部位に印加する手段と、前記着目する部位の前記加熱手
    段による加熱の最中の温度変化を反映した応答信号を検
    出する手段と、 前記応答信号に含まれる前記変調周期に対応した周期性
    を持つ信号成分を抽出する手段を有し、抽出結果を利用
    して前記着目する部位の熱的パラメタを決定することを
    特徴とする医療用計測装置。
  2. 【請求項2】前記変調周期は、血流量に関わる前記着目
    する部位の熱的時定数より短いことを特徴とする請求項
    1に記載の医療用計測装置。
  3. 【請求項3】前記加熱する手段は、前記変調周期を複数
    に変化させることを特徴とする請求項1に記載の医療用
    計測装置。
  4. 【請求項4】前記加熱する手段は、矩形波状の変調波形
    で変調した加熱入力を印加することを特徴とする請求項
    1に記載の医療用計測装置。
  5. 【請求項5】生体内の着目する部位に所定の変調周期で
    変調した音波もしくは電磁波をを照射して加熱する手段
    と、前記着目する部位の前記加熱手段による加熱の最中
    の温度変化を反映した超音波減衰計数の応答信号を計測
    する手段と、前記応答信号に含まれる前記変調周期に対
    応した周期性を持つ信号成分を抽出する手段を有し、抽
    出結果を利用して前記着目する部位の熱的パラメタを決
    定することを特徴とする医療用計測装置。
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