JP3054633B1 - ハリナシバチ類の周年飼養及び群殖が可能な巣箱 - Google Patents
ハリナシバチ類の周年飼養及び群殖が可能な巣箱Info
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Abstract
の利用を施設栽培の農業者に提供するべく、温帯地域に
属する我が国で、汎熱帯性のハチであるハリナシバチ類
の周年飼養及び群殖を可能とした巣箱を提供することを
目的とするものであり、もって施設栽培などの閉鎖環境
下での農作物授粉に役立てようとするものである。 【解決手段】 巣箱内部をハリナシバチ類( Meliponin
ae)の有効低温度以上の恒温としうる温度管理装置と構
造とを備え、かつ、巣箱全体を少なくとも上下2段に水
平分割可能に形成したことを特徴とする、ハリナシバチ
類の周年飼養及び群殖が可能な巣箱を提供する。
Description
( Meliponinae)の周年飼養及び群殖が可能な巣箱に関
し、詳しくは我が国など温帯地域でハリナシバチ類を周
年効率良く飼養及び群殖(コロニーの増加)することの
できる巣箱に関する。
るハチ類としては、セイヨウミツバチ( Apis mellifer
a )、マメコバチ( Osmia cornifrons )、セイヨウオ
オマルハナバチ( Bombus terrestris )などが知られ
ている。
に導入され、その後の養蜂業の発展と共に多くの農作物
の花粉媒介に利用されてきた。2〜7万匹という巨大な
コロニーを形成するセイヨウミツバチは、その活動性に
優れ、特に果樹園芸など路地栽培における開放空間では
広く使用されている。しかしながら、セイヨウミツバチ
は、閉鎖空間内では、巨大なコロニーの持つ、その強い
刺傷性への危惧、及び、ミツバチの持つ広範囲な活動性
(2〜5kmの活動範囲)や、紫外線除去フィルムで被覆
された温室内では十分な授粉活動ができない、などとい
った理由から、狭い温室などによる施設栽培では十分に
利用されてはいない。
の問題点をある程度解決したのが、ヨーロッパ産のセイ
ヨウオオマルハナバチの導入である。我が国へは、19
91年にそのコロニーが輸入され、施設栽培に導入され
ている。現在では、数万コロニーが毎年輸入され、農業
者による授粉労働を大きく軽減した。
バチの花粉媒介利用においても、重要な幾つかの問題を
残しており、また新たな問題を産み出している。すなわ
ち、(1)ヨーロッパ産のセイヨウオオマルハナバチは
高温環境に弱く、我が国の施設栽培では夏季における利
用ができない。(2)コロニーが50〜100匹程度と
比較的小さく、その活動性に限界がある。(3)マルハ
ナバチ類は、1年性の社会性昆虫であるため、1つのコ
ロニーの利用期間は僅か1〜2ヶ月程度である。さら
に、(4)導入種の一部が野外に逃亡し、我が国の動植
物の生態系に影響を与える懸念がある、といった問題点
がある。なお、第4点目の改善策として、我が国在来の
マルハナバチ類を飼養・利用しようとする研究が行われ
ているが、実用化はまだ先のことである。
解消すべく研究を重ねる過程で、ハリナシバチ類( Mel
iponinae)に注目した。ハリナシバチ類は、熱帯・亜熱
帯地域に400種以上生息する、汎熱帯性のハチであ
る。多種存在するハリナシバチ類の内、幾つかの種は、
中南米など亜熱帯・熱帯地域で蜂蜜生産を目的として飼
養されており、その起源は、場所によっては1千年以上
も遡る。
一般的に次のような特性を有している。(1)刺針が退
化しており、飼養者を刺すことはない。(2)数百匹〜
数万匹といった比較的大きなコロニーを形成し、その活
動性は活発である。(3)女王の寿命は3〜15年と長
く、またコロニーは永年性である。(4)働き蜂の活動
範囲は、数百メートル程度と比較的コンパクトである。
(5)紫外線除去フィルムの影響を受けず、また、曇天
でも活発な活動をする。(6)花蜜よりも花粉を好むた
め、あらゆる植物に花訪する傾向(広食性)がある。
(7)高温耐性が強い。(8)休眠性がなく、活動シー
ズンを問わない。(9)温帯地域にある我が国では、野
外に逃亡しても定着することができず、生態系に影響を
与えない。(10)コロニーには、1匹の女王と多くの
予備の処女女王或いは王台(女王になる蛹)とが共存
し、女王に事故があった場合には、処女女王(或いは王
台)が新女王となり、群殖が容易に行われ得る。
において、施設栽培など閉鎖環境下での農作物授粉に役
立つものと思われた。しかしながら、ハリナシバチ類の
我が国への導入には大きな問題があることが分かった。
すなわち、亜熱帯・熱帯性のハリナシバチ類は高温耐性
が強く、我が国の夏季の温室内の高温下においても生存
及び活動を損なうものではないが、反面、ミツバチ類の
ように巣の温度を一定温度に高める機能(発熱行動)を
持たないハリナシバチ類は、我が国の冬季の気温には堪
えられず、コロニーをそのまま我が国に導入しても、群
殖はおろか、周年飼養もできないのが現実であった。
を考慮してなされたものであって、有望な花粉媒介性昆
虫であるハリナシバチ類の利用を施設栽培の農業者に提
供すべく、我が国など温帯地域に属する国で、汎熱帯性
のハチであるハリナシバチ類の周年飼養及び群殖を可能
とした巣箱を提供することを目的とするものであり、も
って施設栽培などの閉鎖環境下での農作物授粉に役立て
ようとするものである。なお、ここでいう周年飼養と
は、同一コロニーによる周年飼養であり、マルハナバチ
等の1年性社会性昆虫で用いられている、コロニーを取
り替えての周年飼養の意味ではない。
箱内部をハリナシバチ類( Meliponinae)の有効低温度
以上の恒温としうる温度管理装置と構造とを備え、か
つ、巣箱全体を少なくとも上下2段に水平分割可能に形
成したことを特徴とする、ハリナシバチ類の周年飼養及
び群殖が可能な巣箱を提供するものである。
飼養及び群殖が可能な巣箱に関し、巣箱内部をハリナシ
バチ類( Meliponinae)の有効低温度以上の恒温としう
る温度管理装置と構造とを備え、かつ、巣箱全体を少な
くとも上下2段に水平分割可能に形成したことを特徴と
するものである。
00種以上生息する、汎熱帯性のハチであり、本発明
は、これらハリナシバチ類の全種から選択された少なく
とも1種のハリナシバチ類の飼養及び群殖に使用され
る。
類の有効低温度以上の恒温としうる温度管理装置と構造
とを備えている。ここで有効低温度とは、最適温度帯の
下限値にあたり、ハリナシバチ類の種類によって若干異
なる。例えば、オーストラリアから導入したハリナシバ
チ( T.carbonaria)では、図1に示すように、約17
℃くらいであって、請求項1記載の本発明の巣箱は、巣
箱内部をこのようなハリナシバチ類の有効低温度以上の
恒温としうる温度管理装置と構造とを備えている。
たハリナシバチ( T. carbornaria)、及びミツバチ2
種[セイヨウミツバチ( A. mellifera )と ニホンミツ
バチ( A. cerana )]の温度反応を示す説明図である。
図中、符号Aは低温致死温度、符号Bは低温致死臨界温
度、符号Cは有効低温度、符号Dは有効高温度、符号E
は高温致死臨界温度、符号Fは高温致死温度をそれぞれ
示している。図1によれば、ハリナシバチ( T. carbon
aria )の最適温度帯は、ミツバチ2種よりはるかに高
く、致死高温帯(高温致死臨界温度から高温致死温度ま
での間の温度)は45℃以上であり、高温耐性が強いこ
と、また、10℃以下では致死作用が働くことが分か
る。
( T. carbonaria )コロニーの、周日気温と巣内温度
との経時的変化を示すグラフである。図中、○−○で示
した線が気温を示し、●−●で示した線が巣内温度を示
している。図2によれば、ハリナシバチ類は、ミツバチ
類のように巣内温度を高める機能(発熱行動)をもたな
いため、巣内での温度コントロールができず、巣内温度
は外気温に大きく影響されていることが分かる。
ナシバチ類の有効低温度以上の恒温としうる温度管理装
置と構造とを備えているのである。これにより、巣箱内
に一定温度以上の恒温を維持し、冬季や夜間時などの低
温によるコロニーの衰弱を防ぎ、周年飼養を可能として
いる。
上下2段に水平分割可能に形成している。ハリナシバチ
類は、育児房(ブルード)の発達により分封(群分か
れ)が促進され、その発達した育児房を機械的に分割す
ることにより、人工的に2群に分けられること(群殖)
が知られているが、本発明の巣箱は、ハリナシバチ類の
繁殖生態に合致するよう、中央部から上下に分断できる
ものとしているため、容易に群殖作業を行なうことがで
きる。
温度以上の恒温としうる温度管理装置と構造、並びに巣
箱全体を少なくとも上下2段に水平分割可能に形成する
方法には、種々の方策がある。
の巣箱がある。図3に示す巣箱は、巣箱内部をハリナシ
バチ類( Meliponinae)の有効低温度以上の恒温としう
る温度管理装置と構造とを備え、かつ、巣箱全体を少な
くとも上下2段に水平分割可能に形成した内巣箱と、こ
れを覆う外巣箱とからなる、ハリナシバチ類の周年飼養
及び群殖が可能な巣箱である。
2段構造の内巣箱1に、図7に示すような外巣箱2を組
合わせたものであり、極めて断熱性に優れており、特に
冬季の国内寒冷地など低温にさらされる場合に好適なも
のである(寒冷地仕様)。なお、図5は上側内巣箱1A
の1例を示す斜視図であり、図6は下側内巣箱1Bの1
例を示す斜視図である。図3,4では、内巣箱1として
は、上側内巣箱1Aと下側内巣箱1Bとの2段構造のも
のが示されているが、場合によっては、3段以上の構造
のものとすることもできる。
4,5,6から明らかなように、1つの巣箱(通常、6
〜8リッター程度のものであるが、これに限られるもの
ではない。)を水平方向に2分割した如き構造を有して
いる。上側内巣箱1Aの下面と、下側内巣箱1Bの上面
は、それぞれ開口されており、相互に自由に行き来でき
るようにされている。下側内巣箱1Bの側面には内部巣
門3が1つ設けられている。なお、符号4は巣門開閉弁
である。上側内巣箱1Aと下側内巣箱1Bとは、留め金
などの結合・固定手段5で結合と分離が可能なように結
合・固定されている。
りと覆うことのできる大きさを有している。請求項1記
載の本発明では、この外巣箱2に巣箱内部をハリナシバ
チ類の有効低温度以上の恒温としうる温度管理装置と構
造を与えているが、これに限られるものではなく、必要
に応じて前記内巣箱1にそのような工夫を施しても良
い。
られている内部巣門3と対応する個所に外部巣門6が設
けられている。このような外部巣門6を設けておくこと
により、内巣箱1に設けられている内部巣門3の人為的
開閉を可能としている。この外部巣門6上部には、必要
に応じて、蜜源作物不足時或いは蜜源作物不栽培時など
に備えて、餌補給用の給餌器7を付置しておくことがで
きる。
7が設けられている面と、外巣箱2に設けられている開
閉用の扉部8とが設けられている面とを除く、残りの4
面)は、ハリナシバチ類の有効低温度以上の恒温としう
るための構造を与えられている。すなわち、外巣箱2の
前記内側4面は、ヒータ線で裏打ちされ、それらを熱伝
導率の高い金属板が覆うことにより、巣箱内を加温でき
るように構成されている。より具体的には、例えば、外
巣箱2の外枠内面に、まず高分子膜を貼り、その内面に
ヒータ線、金属板、高分子膜の順で配置し、さらに温度
センサー9とコントローラー10とを組合わせることに
より、ハリナシバチ類の有効低温度以上の恒温としうる
構造とすることができる。
巣箱2の外枠とヒータ線との直接接触を防ぐためのもの
であり、場合によっては同等の機能を有する他の構成の
ものに置き換えても良い。なお、通常、内巣箱も木製の
ものが採用される。また、金属板としては熱伝導率の高
い金属からなるものが好ましく、例えば銅板などが好適
である。上記金属板に温度センサー9を接触させ、この
温度センサー9からの温度情報をコントローラー10に
よって制御させることにより、金属板(図示していな
い)を一定温度以上の恒温に保っている。そして、内巣
箱1が外巣箱2に格納されることにより、巣箱内部はハ
リナシバチ類の有効低温度以上の恒温が保たれることに
なる。
箱内の温度制御回路を示すフローチャート(図8)によ
り説明する。まず、電源スイッチを投入すると、金属板
に接した温度センサー9から、金属板温度(電位)が検
出され、温度制御回路にフィードバックされる。次い
で、金属板温度が温度目標値(電位)より低い場合、そ
の差に比例したヒータ電力に変換し、ヒータ(線)に電
力を供給し、金属板を加熱し、温度目標値と金属板温度
との温度差がないようにする。一方、金属板温度と温度
目標値(電位)との間に温度差がない場合には、温度制
御回路のヒータ電力は消費することはない。このように
して、金属板を任意の一定温度状態にするのである。巣
箱内は、任意の一定温度に制御されたヒータ及び金属板
からの温熱を用いて、外側面(図3に示す巣箱)或いは
内側面(後述する図9に示す巣箱)から、環境温度を管
理することができる。
できるが、金属板温度が40℃以上になった場合には、
金属板に固定してある温度ヒューズにより、ヒータ電力
を切断する保護回路が設けられている。有効高温度(4
0℃)を超え、致死高温帯(45℃以上)に近づいてい
るからである。このときには、警報部の発光ダイオード
が発光し、警報を発信するようにしておくと良い。
とからなる二重構造の巣箱の他に、図9に示す如き内巣
箱のみからなる構造のものによっても、同等に近い機能
を有するものとすることができる。但し、一般的には、
前記二重構造の巣箱に比べて断熱性や保温性が若干劣る
ものであるため、冬季の国内温暖地などで用いると良い
(温暖地仕様)。なお、図10は上側巣箱11Aの1例
を示す斜視図であり、図11は下側巣箱11Bの1例を
示す斜視図である。
用いない。図9では、巣箱11内部底面、すなわち下側
巣箱11Bの底面をヒータ線で裏打ちし、それらを熱伝
導率の高い金属板が覆うことにより、巣箱11内を加温
できるように構成されている。より具体的には、例え
ば、巣箱11の内部底面に、まず高分子膜を貼り、その
内面にヒータ線、金属板、高分子膜の順で配置し、さら
に温度センサー9とコントローラー10とを組合わせる
ことにより、ハリナシバチ類の有効低温度以上の恒温と
しうる構造とすることができる。また、最上面に高分子
膜を配置することにより、ハリナシバチ類と金属板など
との接触を防いでいる。
わち下側巣箱11Bの底面をヒータ線で裏打ちしたもの
を示しているが、必要に応じて上側巣箱11Aの上面内
や側面内などをヒータ線で裏打ちするなどして、ハリナ
シバチ類の有効低温度以上の恒温としうる構造とするこ
ともできる。また、加温調節機構については、前記した
通りである。
類の有効低温度以上の恒温としうる温度管理装置と構造
とを備えており、これにより、巣箱内に一定温度以上の
恒温を維持し、我が国など温帯地域における冬季や夜間
時などの低温によるコロニーの衰弱を防ぎ、周年飼養が
可能となっている。
上下2段に水平分割可能に形成しており、このため発達
したハリナシバチ類の育児房を機械的に分割することが
でき、容易に群殖作業を行なうことができる。成熟した
コロニーを群殖するには、本発明の巣箱を中央から機械
的に分割し、分離された上側の巣箱には新しい下側用の
巣箱を、分離された下側の巣箱には新しい上側用の巣箱
を、それぞれ留め金などの結合・固定手段5で結合・固
定すれば、2つのコロニーとなり、群殖作業は終了す
る。女王のいない一方の巣箱には、処女女王或いは王台
があり、やがて新女王として交尾、産卵をし、コロニー
が完成する。
が、本発明はこれによって何ら制限されるものではな
い。
類( Meliponinae)の連続飼養を行なった。ここで内巣
箱1は、厚みが15mmの木製の板材からなる容量が約
7.2リッターの直方体の箱からなり、中央部から上下
に2分割されており(それぞれ容量が約3.6リッター
となっている。)、上側内巣箱1Aの下面と、下側内巣
箱1Bの上面は、それぞれ開口されていて、相互に自由
に行き来できるようにされている。下側内巣箱1Bの側
面には直径10mmの内部巣門3が1つ設けられている
と共に、巣門開閉弁4が設けられている。また、上側内
巣箱1Aと下側内巣箱1Bとは、留め金からなる結合・
固定手段5によって、結合と分離が可能なように結合・
固定されている。
の板材からなる容量が約7.2リッターの直方体の箱か
らなり、下側内巣箱1Bの側面に設けられている内部巣
門3と対応する個所に、直径40mmの外部巣門6が1
つ設けられている。外巣箱2の前記内側4面は、ヒータ
線で裏打ちされ、それらを熱伝導率の高い金属板が覆う
ことにより、巣箱内を加温できるように構成されてい
る。より具体的には、外巣箱2の外枠内面に、まず高分
子膜を貼り、その内面にヒータ線、厚みが5mmの銅
板、高分子膜の順で配置し、さらに温度センサー9とコ
ントローラー10とを組合わせている。そして、加温調
節機構としては、上記した図8に示す如き温度制御回路
を有するものを用い、金属板温度が40℃以上になった
ときに、ヒータ電力を切断する保護回路を設け、警報部
の発光ダイオードが発光し、警報を発信するようにした
ものを用いた。
に導入したハリナシバチ( Trigonafuscovalteata )、
及びパラグアイ国から我が国に導入したハリナシバチ2
種( T. angustula, T. bipunctata )を24℃恒温の
閉鎖環境下、花粉、シロップ、水、それに種々の生け花
を供する条件下で飼養したところ、それぞれ3年、2
年、2年の連続飼養を行なうことができた。また、オー
ストラリアから導入したハリナシバチ( T. carbonaria
)も、平成10年9月以来、最低温度が18℃以上に
なるように設定されている温室で、連続飼養され続けて
いる。
を調査した。結果を図12に示す。図12によれば、低
温を含むいかなる温度帯であっても、巣内温度は20℃
以上を示し、ハリナシバチ類にとっての有効適温を示し
ており、巣内温度が有効低温度未満となることはないこ
とが分かる。
した比較的狭い閉鎖環境(10平方メートル)下でのハ
リナシバチ( Trigona fuscovalteata )の終日活動を
調査した。結果を図13に示す。図13によれば、活動
は明期にあり、このような狭い環境でも訪花活動が活発
に行われることが分かる。また、出巣固体数と帰巣固体
数との比較から、帰巣性が強く発揮されていることが分
かる。次に、夏季におけるハリナシバチ( T. carbonar
ia )の終日活動を野外にて調査した結果を図14に示
す。図14によれば、働きバチの活動は主に午前中に集
中し、農作物の花粉媒介昆虫として適していることが分
かる。
3kg以上のハリナシバチ( T. carbonaria )コロニ
ーは、そのブルードを2分割することにより、群殖でき
ることがこれまでに判明している。そこで、同じ条件に
あるコロニーを4分割し、同様に群殖できるかどうかを
調査した。分割後の1つの巣の重量の経時変化を図15
に示す。図15によれば、分割後、その撹乱影響で巣の
重量は一旦は減少するが、10日後あたりから増加傾向
を示し、60日後には、当初重量の約2倍を示すことが
分かる。同時に、新女王を確認することができた。この
ことは、1年で4群に群殖することが可能であることを
示している。
チ類( Meliponinae)の連続飼養を行なった。この図9
〜11に示す構造の巣箱では、外巣箱は用いない。巣箱
11は、厚みが15mmの木製の板材からなる容量が約
7.2リッターの直方体の箱からなり、中央部から上下
に2分割されており、上側巣箱11Aと下側巣箱11B
とは、それぞれ容量が約3.6リッターのものとなって
いる。上側巣箱11Aの下面と、下側巣箱11Bの上面
は、それぞれ開口されていて、相互に自由に行き来でき
るようにされている。下側巣箱1Bの側面には直径10
mmの内部巣門3が1つ設けられていると共に、巣門開
閉弁4が設けられている。また、上側巣箱11Aと下側
巣箱11Bとは、留め金からなる結合・固定手段5によ
って、結合と分離が可能なように結合・固定されてい
る。巣箱11の内部底面、すなわち下側巣箱11Bの底
面は、ヒータ線で裏打ちされ、それを熱伝導率の高い金
属板が覆うことにより、巣箱内を加温できるように構成
されている。より具体的には、下側巣箱11Bの底面
に、まず高分子膜を貼り、その内面にヒータ線、厚みが
5mmの銅板、高分子膜の順で配置し、さらに温度セン
サー9とコントローラー10とを組合わせている。そし
て、加温調節機構としては、実施例1と同様に、上記し
た図8に示す如き温度制御回路を有するものを用い、金
属板温度が40℃以上になったときに、ヒータ電力を切
断する保護回路を設け、警報部の発光ダイオードが発光
し、警報を発信するようにしたものを用いた。
に導入したハリナシバチ( Trigonafuscovalteata )、
及びパラグアイ国から我が国に導入したハリナシバチ2
種( T. angustula, T. bipunctata )を24℃恒温の
閉鎖環境下、花粉、シロップ、水、それに種々の生け花
を供する条件下で飼養したところ、それぞれ3年、2
年、2年の連続飼養を行なうことができた。また、オー
ストラリアから導入したハリナシバチ( T. carbonaria
)も、平成10年9月以来、最低温度が18℃以上に
なるように設定されている温室で、連続飼養され続けて
いる。
チ類の有効低温度以上の恒温としうる温度管理装置と構
造とを備えており、これにより、巣箱内に一定温度以上
の恒温を維持し、我が国など温帯地域における冬季や夜
間時などの低温によるコロニーの衰弱を防ぎ、ハリナシ
バチ類の周年飼養が可能である。
上下2段に水平分割可能に形成しており、このため発達
したハリナシバチ類の育児房を機械的に分割することが
でき、容易に群殖作業を行なうことができる。
た温帯地域におけるハリナシバチ類の周年飼養を可能と
し、また、全く不可能であった同地域での群殖に道を開
くものであり、今後増大が予想される施設内栽培の有効
花粉媒介昆虫の需要に対し、ハリナシバチ類を国内で計
画的な生産を可能ならしめる点で画期的である。
り、しかも電源さえ設ければ温室内の一角に場所をとら
ずに設置することができる。
源作物不足時或いは蜜源作物不栽培時などに備えて、餌
補給用の給餌器7を巣門前に付置しておくことにより、
一個所で周年飼養ができ、移動させる必要がないなどの
利点がある。
( T. carbonaria )、及びミツバチ2種[セイヨウミツ
バチ( A. mellifera )と ニホンミツバチ( A. ceran
a )]の温度反応を示す説明図である。
)コロニーの、周日気温と巣内温度との経時的変化を
示すグラフである。
重構造の巣箱(寒冷地仕様)の1例を示す説明図であ
る。
る。
視図である。
視図である。
る。
である。
(温暖地仕様)の1例を示す説明図である。
斜視図である。
斜視図である。
すグラフである。
の調査結果を示すグラフである。
おける終日活動の野外での調査結果を示すグラフであ
る。
験の結果を示すものであって、分割後の1つの巣の重量
の経時変化を示すグラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】 巣箱内部をハリナシバチ類( Meliponin
ae )の有効低温度以上の恒温としうる温度管理装置と
構造とを備え、かつ、巣箱全体を少なくとも上下2段に
水平分割可能に形成したことを特徴とする、ハリナシバ
チ類の周年飼養及び群殖が可能な巣箱。
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