JP3053222U - 移動可能なピッチャーズマウンド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 グランド，広場等は多目的に使用されるた
め、野球だけのためにピッチャーズマウンドを構築する
ことはできなかった。 【解決手段】 本考案の移動可能なピッチャーズマウン
ドＭは、上部が開口し高さがほぼ１０インチ程度の偏平
な箱形状の本体１３内にピッチャープレート２を固着す
るとともに、マウンド用砂１６を挿入した中央部分１
と、中央部分１の側面に当接する接合壁と接合壁の上端
から反対側に向けて低くなる傾斜壁を有し、傾斜壁の表
面に人工芝が設けられ中央部分１の全周囲に配列される
複数の傾斜面部３，４，５，６と、傾斜面部３，４，
５，６および中央部分１を着脱可能に連結する連結部材
７とにより構成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、運動場や床面に容易に設置され、容易に撤去して格納することがで きる移動可能なピッチャーズマウンドに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

わが国の野球ファン人口は極めて多く、学校のグランドに限らず野球が可能な 屋外広場があれば、野球の練習や試合が盛んに行われている。 また、冬季に野球ができない寒冷地区の若者は、体育館など屋内を利用して野 球の練習を行っている。 正式の野球を行うには、地面（或いは床面）より一段高くなったピッチャーズ マウンドを設置する必要があが、野球以外にも使用される多目的の広場（或いは 体育館）等にピッチャーズマウンドを構築すると、他のスポーツの妨げになるの で、やむを得ずピッチャーズマウンドを設けることができないのが実情である。

【０００３】 しかしながら、平坦な地面（或いは床面）でピッチング技術を習得しても、ピ ッチャーズマウンドを備えた正式の野球場では、足をふんばる位置が異なってく る等のピッチング条件の相違から、今まで身につけたピッチング技術をそのまま 充分に発揮することが難しい。 かかる理由から、ピッチャーは常日頃からピッチャーズマウンドのある場所で 練習し、試合することが望ましいことが判っていながら、解決策がなかった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

また、プロ野球のドーム球場などの壮大な設備では、野球以外のスポーツイベ ントに対応するためにピッチャーズマウンドの下に昇降装置を設置し、野球を行 うときにはピッチャーズマウンドをせり上げ、野球以外のイベントでは、ピッチ ャーズマウンドを降下して蓋をしているが、設備費が極めて高額になり過ぎるの で、一般のグランドや広場には採用することができない。 本考案は、かかる課題を解決することを目的とし、平坦な地面（或いは床面） に容易に設置でき、容易に撤去して格納することができる移動可能なピッチャー ズマウンドを提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、 上部が開口し高さがほぼ１０インチ程度の偏平な箱形状の本体内に、該本体の 上面とほぼ同じ高さのピッチャープレートを固着すると共に、内部にマウンド用 土を挿入する中央部分と、該中央部分の側面に当接する接合壁から反対側に向け て次第に低くなる傾斜壁を有し、該傾斜壁の表面に人工芝が固着され、前記中央 部分の全周囲に配列される複数の傾斜面部分と、該傾斜面部分および上記中央部 分を着脱可能に連結する連結部材とにより移動可能なピッチャーズマウンドを構 成した。

【０００６】 或いは本考案は、高さがほぼ１０インチ程度の偏平な箱形状の本体の上面にピ ッチャープレートを固着し、該ピッチャープレートの周囲の本体上面に人工芝を 固着した中央部分と、該中央部分の側面に当接する接合壁から反対側に向けて次 第に低くなる傾斜壁を有し、該傾斜壁の表面に人工芝が固着され、前記中央部分 の全周囲に配列される複数の傾斜面部分と、該傾斜面部分および上記中央部分を 着脱可能に連結する連結部材とにより移動可能なピッチャーズマウンドを構成し た。

【０００７】 上記箱形状の本体はアルミ材より中空状形成され、中空状の内部に発泡体複合 材が固着される構造とすることができる。 この構造により、中央部分を、ピッチングの荷重に耐えられる機械的強度を持 ち、且つ、人手で容易に運び得る軽量に構成することができる。

【０００８】 上記傾斜面部分は、底壁と上記傾斜壁及び接合壁がアルミ板により構成され、 内部には発泡体複合材より成る補強材が設けられる構造とすることができる。 この構造により、傾斜面部分は、中央部分の反対側を薄くしても耐久性に優れ 、且つ、人手で容易に運び得る軽量に構成することができる。

【０００９】

【考案の実施の形態】

以下、考案の実施の形態の具体例を図面を参照して説明する。 図１はピッチャーズマウンドＭの概要を示す平面図、図２はピッチャーズマウ ンドＭの一部破断平面図、図３は図１のＷ−Ｗ断面の略図、図６は図１のＸ−Ｘ 断面の略図、図８は本発明の第１実施例の中央部分１の斜視図である。 図１に示すように、ピッチャーズマウンドＭは、ピッチャープレート２を有す る中央部分１の周囲に、ピッチャーズマウンドＭの傾斜面に相当する傾斜面部分 ３，４，５，６が配列される。

【００１０】 前方（ホームベース方向）の傾斜面部分３は、中央部分１の前端面（ホームベ ース側の端面）に当接する接合壁３ａと、接合壁３ａの上端から下方に向けて低 くなる傾斜壁３ｂが設けられる。 後方の傾斜面部分４は、中央部分１の後端面に当接する接合壁４ａと、接合壁 ４ａの上端からピッチャーズマウンドＭの外周縁に向けて低くなる傾斜壁４ｂが 設けられる（図２参照）。

【００１１】 側方の傾斜面部分５、６は同形状であるので、側方の傾斜面部分５について述 べると、側方の傾斜面部分５は、中央部分１の側面に当接する接合壁５ａと、前 方の傾斜面部分３の接合壁３ａ及び後方の傾斜面部分４の接合壁４ａに当接する 接合壁５ｂと、接合壁５ａの上端からピッチャーズマウンドＭの外周縁に向けて 低くなる傾斜壁５ｃが設けられる（図２参照）。

【００１２】 各傾斜面部分３，４，５，６は、寸法上の相違はあるが、同じ材質の部材でほ ぼ同様な構造に構成されているので、傾斜面部分３について述べると、傾斜面部 分３は、アルミ板より成る接合壁３ａの下端に接続し、端縁部が円弧状に形成さ れる厚さが１mm程度のアルミ板より成る底壁３ｃと、接合壁３ａの上端に接続し 端縁部が底壁３ｃに重なる厚さが１mm程度のアルミ板より成る傾斜壁３ｂにより 、内部が中空部に形成される。 中空部の内部には、軽量で且つ強度を有する発泡体複合材よりなる補強用骨組 ３ｄ，３ｅが設けられる（図２参照）。

【００１３】 傾斜面部分３の円弧状の端縁部は、傾斜壁３ｂと底壁３ｃとを重合した厚さで あるので、約２mm程度の厚さである。 底壁３ｃの外面には、複数箇所にずれ防止用爪８が突設され、底壁３ｃの外面 の全面に砂入りの人工芝９が固着される（図４参照）。 傾斜壁３ｂの上面には、砂入りの人工芝１０が固着される（図５参照）。

【００１４】 前方の傾斜面部分３と後方の傾斜面部分４との相違点は、前方の傾斜面部分３ の前後方向長さＬ₁ が、後方の傾斜面部分４の前後方向長さＬ₂ よりも小さく形 成され、前方の傾斜面部分３の接合壁３ａの高さは、後方の傾斜面部分４の接合 壁４ａの高さよりも低くなっていることである（図４参照）。 これは、中央部分１のピッチャープレート２の前方に、ピッチャーの足が踏み 出されるスペースが必要であるため、前方の傾斜面部分３の前後方向長さＬ₁ が 短くなることによる。 これに対して側方の傾斜面部分５、６は、同一の横幅寸法Ｌ₃ を有し、結合壁 ５ａ，６ａの高さは同一である（図６参照）。

【００１５】 各接合壁３ａ，４ａ，５ａ，６ａおよび５ｂ，６ｂは、連結部材７（図２参照 ）により、当接する相手と着脱可能に連結される。 連結部材７は、矩形の板材に複数のねじ孔１１が設けたもので（図１１参照） 、前方の傾斜面部分３と傾斜面部分５とを連結部材７で連結するには、傾斜壁３ ｂ，５ｃの表面の接合側端部に、それぞれ連結部材７の半分を収容する凹部３ｆ ，５ｆを設ける（図１２参照）。

【００１６】 人工芝１０をめくって、一方の凹部３ｆに連結部材７を当てて、ねじ孔１１に 挿入されるねじ１２を凹部３ｆの底面にねじ込むと、連結部材７が傾斜面部分３ の接合壁３ａから半分だけ突出した状態で固着される。 この突出した部分を、人工芝１０をめくって露出した凹部５ｆに挿入し、ねじ 孔１１に挿入したねじ１２を凹部５ｆの底面にねじ込むことにより、前方の傾斜 面部分３と傾斜面部分５が着脱可能に連結される。 連結後には、めくった人工芝１０を復旧する。

【００１７】 以上のように製作された各傾斜面部分の重量を計測すると、前方の傾斜面部分 ３が５２．８Ｋｇ、後方の傾斜面部分４が７８．０Ｋｇ、側方の傾斜面部分５お よび６はそれぞれ６４．８Ｋｇであった。 従って、複数人で持ち上げられ容易に運搬でき、設置位置に下ろして位置を調 整することができる。

【００１８】 本考案の第１実施例の中央部分１は、アルミ材より上部が開口する偏平な箱形 状に形成され、外壁１３ａと内壁１３ｂとの間に中空部が形成される本体１３の 中空状部に発泡体複合材より成る補強材１４が充填される構造である（図９，図 １０参照）。 このように製作された本体１３の重量を計測したところ、５４．５Ｋｇであり 複数人で持ち上げれ容易に運搬でき、設置位置に下ろして位置調整することがで きる重量であり、補強材１４により補強されているので、ピッチングに充分に耐 えられる強度を有する。

【００１９】 本体１３の内壁の後部寄りに固着される支持部材１５の上面にピッチャープレ ート２が固着され、本体１３の上面は前方に向かって僅かに低くなる傾斜を有す る。 ピッチャープレート２の上面は、本体１３の上端面とほぼ同じ高さであり、本 体１３の底面からピッチャープレート２までの高さは、地面に構築された実際の ピッチャープレートと同様の高さとなるように、ほぼ１０インチである。 本体１３には、マウンド用砂１６が収容される。

【００２０】 本考案の第２実施例の中央部分１′は、図１３に示すように、薄肉のアルミ材 より箱形状に形成される本体１３′の底壁に固着される補強材１５の上にピッチ ャープレート２が固着され、ピッチャープレート２の上面は本体１３′の表面よ り露出し、ピッチャープレート２を除いた本体１３′の上面に砂入り人工芝１７ が固着される。 本体１３′の内部に発泡体複合材より成る補強材１４が充填されるので、本体 １３′は軽量にして且つ機械的強度が大である。 本考案の第２実施例と第１実施例との相違点は、中央部分１′のみである。

【００２１】 以上のように構成された移動可能なピッチャーズマウンドＭは、野球を行わな いときには、分解した状態で倉庫などに格納されている。 分解された各部分１，３，４，５，６は底面が平坦面であるので、格納棚に載 せてコンパクトに保管することができる。 野球を行うときには、複数の人でグランド（或いは体育館など）に運搬し、ホ ームベースに対する所定位置に中央部分１を位置決めし、中央部分１を取り囲む 傾斜面部分３，４，５，６を中央部分１に当接し、接合部分の人工芝１０をめく って連結部材７で連結した後に、めくった人工芝１０を復旧する。

【００２２】 以上のようにして組み立られたピッチャーズマウンドＭは、実際のものと同様 な形状と高さを有し、ピッチャーズマウンドＭの周縁部の高さは２mm程度である ので、地面（或いは床面）との間にほとんど段差は生じないので、周縁部に当た ったボールが跳ね返るような不具合は生じない。 地面に設置する場合には、ピッチャーズマウンドＭの周縁部に僅かな土砂をま いて段差をゼロにすることも可能である。 体育館の中では、ピッチングを主体とした練習が行われ、試合が行われること はないので、２mm程度の段差は全く問題にはならない。 ピッチャーズマウンドＭは、その上でピッチング，捕球動作などを行っても損 傷することはなく、砂入り人工芝１０の上での動作は地面とほとんど変わりがな い。

【００２３】

【考案の効果】

本考案は以上述べたように構成されているので、次に記載されるような効果を 奏する。 (1) 本考案の移動可能なピッチャーズマウンドは、複数に分割される各部分の重 量が、複数の人により容易に運搬し、位置調整できる重量であるので、多目的 に使用されるグランド地面（床面）に運搬し、連結部材により容易に組立して 所望の位置に設置することができる。 (2) 組み立てられたピッチャーズマウンドは、地面に構築されたものと同形状で あり、ピッチャーズマウンドの周縁には、地面との間に約２mm程度の段差しか できないので、ピッングには全く問題はない。 また、バッティングにもほとんど問題はなく、僅かな土砂で段差を無くせば 全く問題はない。

【００２４】 (3) 本考案の移動可能なピッチャーズマウンドは、傾斜面部分の表面が砂入り人 工芝で覆われているので、野球選手がスリップすることはない。 実際のピッチャーズマウンドのように、荒れて凹凸が生じた傾斜面を整地す る手間は要らない。 (4) 本考案の移動可能なピッチャーズマウンドは、内部に補強材が入っているの で、野球選手の激しい動作で損傷することはなく、地面（床面）との接触面積 が大きいので、練習中（或いは試合中）に位置ずれを生じることはない。 底面に滑り止めを設けておけば、更に位置ずれに対する信頼性が高まる。 (5) ピッチャーズマウンドの底面は平面であるので、保管場所に設けた保管棚に 格納し易く、コンパクトに収納することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】組み立てられたピッチャーズマウンドの概要を
示す平面図である。

【図２】ピッチャーズマウンドの一部破断平面図であ
る。

【図３】図１のＷ−Ｗ断面の略図である。

【図４】図３の部分拡大図である。

【図５】図３の先端部分の拡大図である。

【図６】図１のＸ−Ｘ断面の略図である。

【図７】傾斜面部分に設けられた恋歌津部材の断面であ
る。

【図８】本発明の第１実施例の中央部分１の斜視図であ
る。

【図９】図８のＹ−Ｙ断面図である。

【図１０】図８のＺ−Ｚ断面図である。

【図１１】連結部材の平面図である。

【図１２】連結部材の取付を説明する斜視図である。

【図１３】本発明の第２実施例の中央部分の縦断面図で
ある。

【符号の説明】

Ｍ ピッチャーズマウンド １，１′ 中央部分 ２ ピッチャープレート ３ 前方の傾斜面部分 ４ 後方の傾斜面部分 ３ａ，４ａ 接合壁 ３ｂ，４ｂ 傾斜壁 ３ｄ，３ｅ 補強用骨組 ５，６ 側方の傾斜面部分 ５ａ，５ｂ 接合壁 ６ａ，６ｂ 接合壁 ５ｃ，６ｃ 傾斜壁 ７ 連結部材 ８ ずれ防止用爪 ９，１０ 砂入り人工芝 １３ 本体 １４ 補強材 １５ 支持部材 １６ マウンド用砂

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上部が開口し高さがほぼ１０インチ程度
   の偏平な箱形状の本体内に、該本体の上面とほぼ同じ高
   さのピッチャープレートを固着すると共に、内部にマウ
   ンド用土を挿入する中央部分と、該中央部分の側面に当
   接する接合壁から反対側に向けて次第に低くなる傾斜壁
   を有し、該傾斜壁の表面に人工芝が固着され、前記中央
   部分の全周囲に配列される複数の傾斜面部分と、該傾斜
   面部分および上記中央部分を着脱可能に連結する連結部
   材とにより構成されることを特徴とする移動可能なピッ
   チャーズマウンド。
2. 【請求項２】 高さがほぼ１０インチ程度の偏平な箱形
   状の本体の上面にピッチャープレートを固着し、該ピッ
   チャープレートの周囲の本体上面に人工芝を固着した中
   央部分と、該中央部分の側面に当接する接合壁から反対
   側に向けて次第に低くなる傾斜壁を有し、該傾斜壁の表
   面に人工芝が固着され、前記中央部分の全周囲に配列さ
   れる複数の傾斜面部分と、該傾斜面部分および上記中央
   部分を着脱可能に連結する連結部材とにより構成される
   ことを特徴とする移動可能なピッチャーズマウンド。
3. 【請求項３】 上記箱形状の本体はアルミ材より中空状
   形成され、中空状の内部に発泡体複合材が固着されるこ
   とを特徴とする請求項１又は２記載の移動可能なピッチ
   ャーズマウンド。
4. 【請求項４】 上記傾斜面部分は、底壁と上記傾斜壁及
   び接合壁がアルミ板により構成され、内部には発泡体複
   合材より成る補強材が設けられることを特徴とする請求
   項１又は２記載の移動可能なピッチャーズマウンド。