JP3046285B1 - 経帷子 - Google Patents

Abstract

【要約】 【課題】 故人を華々しく極楽浄土へと送り出すのに相
応しく、かつ故人の個性を表現できる経帷子の提供を課
題とする。 【解決手段】 前身頃１と後身頃と衿３と両袖４とを有
してなり、死亡した人体に着装する経帷子において、前
身頃１及び衿３と後身頃とのいずれか一方に、装飾の施
された装飾部５が設けられている構成を採用した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、臨終の儀式におい
て死亡した人体に着装する経帷子に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】我が国における死者を送り出す方法の例
として、以下のような方法（仏式）がある。すなわち、
葬儀は、故人を西方の極楽浄土へと送る大切な儀式であ
り、臨終から納棺までには、末期の水、湯潅、死化粧、
死装束の着装といったしきたりが行われる。末期の水に
おいては、脱脂綿を巻き付けた割り箸に茶碗の水を含ま
せて死亡した人体（以下、人体と略す）の唇を湿らせ、
湯潅においては、ガーゼや脱脂綿にアルコールを含ませ
て前記人体の全身を拭いた後、血液や汚物が出ないよう
に前記人体の耳、鼻、口、肛門に脱脂綿を詰める。死化
粧においては、前記人体の瞼と口を閉じ、爪を切って髪
を整え、さらに、その人体が男性の場合には髭を剃り、
女性の場合には薄化粧を施すことが行われる。そして、
このようにして清められた前記人体には、以下に説明す
る死装束の着装がなされる。

【０００３】死装束は、経帷子、頭巾、上帯、手甲、脚
絆、足袋、六文銭、頭陀袋などからなり、経帷子におい
ては、衿が左前となるように着せ、手には手甲を、足に
は足袋、脚絆、わらじを着装する。続いて、頭部に白の
三角布をつけ、手に数珠を持たせ、首に六文銭の入った
頭陀袋をかける。このようにして死装束の着装がなされ
た前記人体は、遺族の手によって棺へと納棺される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】経帷子は、この世にお
いて故人が着る最後の衣服であるが、従来の経帷子は、
白色布地を縫い合わせた白一色のものが一般的であり、
故人を華々しく極楽浄土へと送り出すにはあまりにも地
味で没個性的あった。

【０００５】本発明は、上記事情を鑑みてなされたもの
であって、下記をその目的としている。すなわち、故人
を華々しく極楽浄土へと送り出すのに相応しく、かつ故
人の個性を表現できる経帷子の提供を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の経帷子は、上記
課題を解決するために以下の手段を採用した。すなわ
ち、請求項１記載の経帷子は、前身頃と後身頃と衿と両
袖とを有してなり、死亡した人体に着装する経帷子にお
いて、前記前身頃の胸部から両袖にかけて及び前記衿
と、前記後身頃の背中部から両袖にかけてとのいずれか
一方に、装飾の施された装飾部が設けられ、該装飾部以
外が、白色無地とされていることを特徴とする。

【０００７】上記請求項１記載の経帷子によれば、これ
を故人に着装して使用する場合には、前身頃側に装飾部
を有する経帷子が選択され、後身頃側を上にして故人の
人体にかける場合には、後身頃側に装飾部を有する経帷
子が選択される。したがい、いずれの場合においても、
故人の胸部は装飾部によって覆われるようになる。この
ようにして、人体の最も重要な部分であると同時に、納
棺されたときに最も目につく部分である人体の胸の部分
を、経帷子の装飾部で覆って装飾することで、故人であ
る人体を艶やかかつ個性的に装飾し、故人及び遺族に安
らぎを与えられるようになる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、図１、２を参照しながら本
発明の一実施形態について説明する。図１、２に示す経
帷子は、前身頃１と、後身頃２と、衿３と、両袖４と、
図示されない帯とからなっており、図示されない死亡し
た人体（以下、人体と略す）に着装する着衣である。な
お、経帷子には、前記人体に着装して使用する場合と、
後身頃２側を上にして前記人体にかけて使用する場合と
がある。本実施形態は、着装して使用する場合であり、
図１に示すように、前身頃１の胸部１ａから両袖４にか
けてと、衿３とが、装飾の施された装飾部５となってい
る。この装飾部５以外は、白色無地とされている。

【０００９】この装飾部５は、生地そのものに、花、
虹、雲等の絵柄や、文字などが染めあげられている部分
であり、前記人体を納棺した際に、目につきやすいよ
う、その位置は、胸部１ａから両袖４にかけてと、衿３
とに施されている。装飾部５の絵柄や文字などは、亡く
なる前の故人が指定したり、あるいは、遺族の指定によ
り決められたものである。図２に示すように、後身頃２
側は、衿３を除いて、装飾の施されていない白色無地と
されている。

【００１０】以上に説明した本実施形態の経帷子によれ
ば、前記人体の最も重要な部分であると同時に、納棺さ
れたときに最も目につく部分である前記人体の胸の部分
を、経帷子の装飾部５で覆って装飾することで、故人で
ある前記人体を艶やかかつ個性的に装飾し、故人及び遺
族に安らぎを与えられる経帷子の提供が可能になる。ま
た、装飾部５を設ける箇所を、経帷子全体ではなく、最
も効果的な部分に限定したことで、製作コストを抑える
ことも可能となる。

【００１１】なお、上記実施形態において、装飾部５
は、染めにより装飾するものとしたが、これに限らず、
刺繍や装飾品の縫い付け等、その他の装飾方法によって
装飾しても良い。また、上記実施形態において、装飾部
５は、前身頃１側に設けた構成としたが、これに限ら
ず、図３、４に示すように、後身頃２を選択し、後身頃
２の背中部２ａから両袖４にかけてを装飾部５としても
良い。この場合の経帷子の着装は、背中部２ａが上面と
なるように前記人体にかけるだけとなる。これにより、
上記実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。す
なわち、人体の最も重要な部分であると同時に、納棺さ
れたときに最も目につく部分である前記人体の胸の部分
を、背中部２ａに施された装飾部５で覆うことで、故人
である人体を艶やかかつ個性的に装飾し、故人及び遺族
に安らぎを与えられる経帷子の提供が可能になる。ま
た、装飾部５を設ける箇所を、経帷子全体ではなく、最
も効果的な部分に限定して設けるようにしたことで、製
作コストを抑えることも可能となる。

【００１２】

【発明の効果】本発明によれば、人体の最も重要な部分
であると同時に、納棺されたときに最も目につく部分で
ある人体の胸の部分を、経帷子の装飾部で覆って装飾す
ることで、故人である人体を艶やかかつ個性的に装飾
し、故人及び遺族に安らぎを与えられる経帷子の提供が
可能になる。また、装飾部を設ける箇所を、経帷子全体
ではなく、最も効果的な部分に限定することで、製作コ
ストを抑えることも可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の経帷子の一実施形態を示す図であっ
て、前面図である。

【図２】 同経帷子を示す図であって、背面図である。

【図３】 上記実施形態の 変形例を示す図であって、背
面図である。

【図４】 同経帷子を示す図であって、前面図である。

【符号の説明】 １・・・前身頃 １ａ・・・胸部 ２・・・後身頃 ２ａ・・・背中部 ３・・・衿 ４・・・両袖 ５・・・装飾部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前身頃と後身頃と衿と両袖とを有してな
   り、死亡した人体に着装する経帷子において、 前記前身頃の胸部から両袖にかけて及び前記衿と、前記
   後身頃の背中部から両袖にかけてとのいずれか一方に、
   装飾の施された装飾部が設けられ、 該装飾部以外は、白色無地とされ ていることを特徴とす
   る経帷子。