JP3038739B2 - 微小可動機械機構 - Google Patents
微小可動機械機構Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は微小可動機械機構に関し、特に医療用のロボ
ットのアクチュエータに利用されるとき、細胞等の微小
な物体を分離融合除去するのに用いられる。
ットのアクチュエータに利用されるとき、細胞等の微小
な物体を分離融合除去するのに用いられる。
(従来の技術) 近年、医療の分野で患者の生体内部に器具を直接差し
込んで患部の検査をしたり治療をしたりする方法が研究
されている。このとき、生体の寸法が小さいため挿入す
る器具を小さくすることと細胞の大きさと同程度の精度
で挿入器具を動かすことが必要である。近年の半導体セ
ンサの急激な発展により、医療用の微小なセンサの作製
が可能になりつつある一方で、挿入器具を動かす精密な
アクチュエータの微小化が遅れており、これが医療の進
歩を阻害していた。しかし、二年ほど前にシリコンの表
面マイクロマシーニング技術を利用してシリコン基板表
面上に可動機械部品を互いに結合するジョイントが作れ
ることが発表されて以来、ポリシリコンから成る歯車、
バネ、スライダー、およびマイクロ鋏等の可動機械要素
が試作された。特にインターナショナルエレクトロンデ
バイスミーティング予稿集(Technical Dijest of Inte
rnational Electron Devices Meeting '88(IEDM'8
8))の666頁から669頁に記載されたエル・エス・ファ
ン(L.S.Fan)等による「IC−Processed Electrostatic
Micro−motors」において、100μm程度の直径と1μ
m程度の厚さを持つ微小なポリシリコンマイクロステッ
プモータの試作が記述され、現実に静電力により500rpm
程度の速さで回転することが確かめられたことは注目に
値する。この結果、医療用の微小な精密アクチュエータ
の開発がマイクロモータを含む前述の可動機械要素を利
用して前進するのではないかと期待されるようになっ
た。
込んで患部の検査をしたり治療をしたりする方法が研究
されている。このとき、生体の寸法が小さいため挿入す
る器具を小さくすることと細胞の大きさと同程度の精度
で挿入器具を動かすことが必要である。近年の半導体セ
ンサの急激な発展により、医療用の微小なセンサの作製
が可能になりつつある一方で、挿入器具を動かす精密な
アクチュエータの微小化が遅れており、これが医療の進
歩を阻害していた。しかし、二年ほど前にシリコンの表
面マイクロマシーニング技術を利用してシリコン基板表
面上に可動機械部品を互いに結合するジョイントが作れ
ることが発表されて以来、ポリシリコンから成る歯車、
バネ、スライダー、およびマイクロ鋏等の可動機械要素
が試作された。特にインターナショナルエレクトロンデ
バイスミーティング予稿集(Technical Dijest of Inte
rnational Electron Devices Meeting '88(IEDM'8
8))の666頁から669頁に記載されたエル・エス・ファ
ン(L.S.Fan)等による「IC−Processed Electrostatic
Micro−motors」において、100μm程度の直径と1μ
m程度の厚さを持つ微小なポリシリコンマイクロステッ
プモータの試作が記述され、現実に静電力により500rpm
程度の速さで回転することが確かめられたことは注目に
値する。この結果、医療用の微小な精密アクチュエータ
の開発がマイクロモータを含む前述の可動機械要素を利
用して前進するのではないかと期待されるようになっ
た。
第4図(a)および(b)に先に引用したL.S.Fan等
が試作したポリシリコンステップモータの上面図と断面
図を示す。このマイクロモータは回転するロータ1とロ
ータ1が外れることを防ぐためにロータ1の中心側を上
面から覆うキャップ4をもつシャフト2とロータ1の外
部に位置してロータ1に静電力を印加するステータ3の
3つの要素から構成される。同図に明らかなように、シ
ャフト2とステータ3が絶縁膜5を介してシリコン基板
6に固定されているのに対して、ロータ1はシリコン基
板6から自由であり、シャフト2のまわりに回転するこ
とができる。ロータ1とステータ3の間にお互いに反対
符号の電圧を加えるとき、静電力によりロータ1がステ
ータ3に引き付けられる。互いに180度反対側に位置す
る二つのステータに同位相の電圧を印加し、同図に示す
ように、φ1,φ2,φ3と順次位相を回転させるとき、ロ
ータ1もそれに従って回転する。なお、ステータに印加
する位相の回転の向きを反対にすることによりロータ1
の回転を反対にすることができる。
が試作したポリシリコンステップモータの上面図と断面
図を示す。このマイクロモータは回転するロータ1とロ
ータ1が外れることを防ぐためにロータ1の中心側を上
面から覆うキャップ4をもつシャフト2とロータ1の外
部に位置してロータ1に静電力を印加するステータ3の
3つの要素から構成される。同図に明らかなように、シ
ャフト2とステータ3が絶縁膜5を介してシリコン基板
6に固定されているのに対して、ロータ1はシリコン基
板6から自由であり、シャフト2のまわりに回転するこ
とができる。ロータ1とステータ3の間にお互いに反対
符号の電圧を加えるとき、静電力によりロータ1がステ
ータ3に引き付けられる。互いに180度反対側に位置す
る二つのステータに同位相の電圧を印加し、同図に示す
ように、φ1,φ2,φ3と順次位相を回転させるとき、ロ
ータ1もそれに従って回転する。なお、ステータに印加
する位相の回転の向きを反対にすることによりロータ1
の回転を反対にすることができる。
ポリシリコン可動機械要素はシリコンICプロセスで作
製することが可能であるため、同一シリコ基板上に形の
異なる機械要素をフォトリソグラフィを用いて一度に作
製することができ、さらに個々の部品を既に組み立てた
形で作製することにより従来の機械部品のように組み立
て工数を必要としないという長所が付加され、今後の発
展が期待される。
製することが可能であるため、同一シリコ基板上に形の
異なる機械要素をフォトリソグラフィを用いて一度に作
製することができ、さらに個々の部品を既に組み立てた
形で作製することにより従来の機械部品のように組み立
て工数を必要としないという長所が付加され、今後の発
展が期待される。
(発明が解決しようとする課題) しかし、これら微小可動機械要素は、先のマイクロス
テップモータに例示したように従来静電力のみで駆動し
ていたために、以下の問題点が生じた。
テップモータに例示したように従来静電力のみで駆動し
ていたために、以下の問題点が生じた。
(1)静電力は、クーロンの法則として良く知られてい
るように作用する物体の距離の二乗に逆比例する。この
ため、距離が小さくなるに従ってますます静電力が大き
くなる。一方、外部から互いに符号の異なる電圧を印加
することによって生じた静電力はただ引き合う方向にの
み作用するから、もし静電力以外に力がない場合可動機
械要素の固定されていない部分(マイクロモータの場合
ロータ)は固定されている部分(ステータ)にくっつい
てしまうことが起こる。運動する物体が固定した物体と
接触しながら運動する状態は接触面での摩擦が大きいた
め機械の損傷が生じたりエネルギーの効率が悪くなるこ
と等から避けなければいけない。しかし、先に述べたよ
うに静電力だけでは互いに作用する物体に接触しないで
運動を続けることは力学的にとても不安定であり、力学
的平衡をとりながらなお摩擦を小さくする工夫を必要と
した。
るように作用する物体の距離の二乗に逆比例する。この
ため、距離が小さくなるに従ってますます静電力が大き
くなる。一方、外部から互いに符号の異なる電圧を印加
することによって生じた静電力はただ引き合う方向にの
み作用するから、もし静電力以外に力がない場合可動機
械要素の固定されていない部分(マイクロモータの場合
ロータ)は固定されている部分(ステータ)にくっつい
てしまうことが起こる。運動する物体が固定した物体と
接触しながら運動する状態は接触面での摩擦が大きいた
め機械の損傷が生じたりエネルギーの効率が悪くなるこ
と等から避けなければいけない。しかし、先に述べたよ
うに静電力だけでは互いに作用する物体に接触しないで
運動を続けることは力学的にとても不安定であり、力学
的平衡をとりながらなお摩擦を小さくする工夫を必要と
した。
(2)さらに、静電力は互いに作用する物体の電荷量の
積に比例する。外部から電圧を印加するときにはこの電
荷量は物体の互いに対抗する面の断面積に比例する。第
4図の場合には、同図(b)に示すロータ1とステータ
3の対抗する面の断面積に対応する。この例に明らかな
ように、ポリシリコンの膜の厚さが薄いため(1μm程
度)、非常に小さな断面積となっている。従って、充分
な静電力を得るために大きな電圧を加える必要があっ
た。事実、先の例では、マイクロモータを動かすのに20
0Vから350Vもの電圧が必要であったことが報告されてい
る。この電圧は、通常のICで用いられている10V程度の
電圧に比べて非常に大きく、もしこのモータを駆動しよ
うとするとき通常の電源の他に昇電用のコイルを必要と
するため全体の装置が大きくなるという欠点があった。
積に比例する。外部から電圧を印加するときにはこの電
荷量は物体の互いに対抗する面の断面積に比例する。第
4図の場合には、同図(b)に示すロータ1とステータ
3の対抗する面の断面積に対応する。この例に明らかな
ように、ポリシリコンの膜の厚さが薄いため(1μm程
度)、非常に小さな断面積となっている。従って、充分
な静電力を得るために大きな電圧を加える必要があっ
た。事実、先の例では、マイクロモータを動かすのに20
0Vから350Vもの電圧が必要であったことが報告されてい
る。この電圧は、通常のICで用いられている10V程度の
電圧に比べて非常に大きく、もしこのモータを駆動しよ
うとするとき通常の電源の他に昇電用のコイルを必要と
するため全体の装置が大きくなるという欠点があった。
(3)電圧が印加されるロータやステータ等の機構部品
はシリコン基板上に作製され、通常第4図に示すように
絶縁膜5によりシリコン基板6から電気的に絶縁されて
いる。しかし、実際にはシリコン基板および絶縁膜は抵
抗が無限大ではなく有限であることに注意しなければい
けない。その結果、微小可動機械機構内の力学的平衡を
支配する電気力線がデバイス全体の構造に依存して複雑
なものとなり、機械機構の運動の解析が複雑になる。さ
らに、絶縁膜は大きな誘電率をもっているため、使用す
る絶縁膜の種類および構造により電気力線が変化するこ
ともこのデバイスの構造の最適化を困難にする要素であ
る。
はシリコン基板上に作製され、通常第4図に示すように
絶縁膜5によりシリコン基板6から電気的に絶縁されて
いる。しかし、実際にはシリコン基板および絶縁膜は抵
抗が無限大ではなく有限であることに注意しなければい
けない。その結果、微小可動機械機構内の力学的平衡を
支配する電気力線がデバイス全体の構造に依存して複雑
なものとなり、機械機構の運動の解析が複雑になる。さ
らに、絶縁膜は大きな誘電率をもっているため、使用す
る絶縁膜の種類および構造により電気力線が変化するこ
ともこのデバイスの構造の最適化を困難にする要素であ
る。
以上の困難はいずれも静電力のみにより微小可動機械
機構の運動を制御しようとすることから来る問題であ
り、これを解決する新しいデバイスの構造及び駆動方法
が切に望まれていた。
機構の運動を制御しようとすることから来る問題であ
り、これを解決する新しいデバイスの構造及び駆動方法
が切に望まれていた。
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を除去し、半導
体基板に作製された微小可動機械要素を精密に効率良く
運動制御する新しい構造と駆動方法とを提供することに
ある。
体基板に作製された微小可動機械要素を精密に効率良く
運動制御する新しい構造と駆動方法とを提供することに
ある。
本願発明は、流体の流れにしたがって動く微小可動機
械要素と、流体の流れを制御するフルイディク素子と、
このフルイディク素子の出口に送出される流体を前記微
小可動機械要素の流体入口に供給する通路とが一つの半
導体基板上に一体的に形成されたことを特徴とする。
械要素と、流体の流れを制御するフルイディク素子と、
このフルイディク素子の出口に送出される流体を前記微
小可動機械要素の流体入口に供給する通路とが一つの半
導体基板上に一体的に形成されたことを特徴とする。
さらに、この微小可動機械要素の近傍に配置されたス
テータが前記半導体基板上に一体的に形成され、このス
テータと前記微小可動機械要素との間に静電気力が作用
する電圧を印加する手段を備えた構成とすることができ
る。
テータが前記半導体基板上に一体的に形成され、このス
テータと前記微小可動機械要素との間に静電気力が作用
する電圧を印加する手段を備えた構成とすることができ
る。
(作用) このように微小可動機械要素と、その微小可動機械要
素を駆動する流体を制御するフルイディク素子と、その
両者を連結する流体通路を一つの半導体基板上に一体的
に形成することにより、装置全体を半導体製造プロセス
を利用して形成することが可能になり、この装置を生体
内に挿入する器具として利用することが可能になり、こ
の装置を医療用のロボットのアクチュエータとして利用
することが可能になる。
素を駆動する流体を制御するフルイディク素子と、その
両者を連結する流体通路を一つの半導体基板上に一体的
に形成することにより、装置全体を半導体製造プロセス
を利用して形成することが可能になり、この装置を生体
内に挿入する器具として利用することが可能になり、こ
の装置を医療用のロボットのアクチュエータとして利用
することが可能になる。
また、微小可動機械要素を駆動するために、流体によ
る駆動作用に加えて、静電的な駆動作用を併用すること
により、短い時間で微小可動機械要素の運動を制御する
ことができるようになる。これを上記従来例で説明した
静電的な駆動制御のみを行うものと比べると、本発明で
は静電的な駆動作用は補助的であるから高い電圧を供給
する必要がなくなり、シリコン基板などの半導体材料を
用いて、半導体製造のプロセスにしたがってこの装置を
製作することが可能になる。
る駆動作用に加えて、静電的な駆動作用を併用すること
により、短い時間で微小可動機械要素の運動を制御する
ことができるようになる。これを上記従来例で説明した
静電的な駆動制御のみを行うものと比べると、本発明で
は静電的な駆動作用は補助的であるから高い電圧を供給
する必要がなくなり、シリコン基板などの半導体材料を
用いて、半導体製造のプロセスにしたがってこの装置を
製作することが可能になる。
(実施例) 次に、本願第一の発明について図面を参照して説明す
る。
る。
第1図は、本願第一の説明の実施例の上面図を示した
ものである。同図において第4図の構成要素と同じ番号
は同じ構成要素を示している。この微小可動機械機構
は、フルイディク素子100と、キャップ4をもつシャフ
ト2とロータ1からなる微小可動要素から構成されてお
り、フルイディク素子100を介して微小可動機械機構に
流入した流体の流れに従ってロータ1がシャフト2のま
わりに回転するものである。フルイディク素子100は、
流体の流れを制御するための構成要素であり、従来、金
属やプラスチック材料からなる管状のパイプを組み立て
て作製されていた。なお、フルイディク素子を微小可動
機械要素に作用する流体の制御に用いることが本発明に
よるものであることに注意する必要がある。このフルイ
ディク素子の従来の構成や原理応用について「計測と制
御」(第9巻第3号(昭和45年3月))に特集が組まれ
ているのでこの知識を利用することができる。第1図に
記載のフルイディク素子100は、同文献225頁に略述され
た増幅回路と同様の構成からなり、入力管12より流入す
る流体の圧力Psがこの入力管12と別の入力管13と14から
流入する流体の圧力P1とP2により制御され出力管15と16
から流出するとき、圧力P3とP4となって微小可動機械要
素に流入する。このP3とP4との差圧はP1とP2との差圧の
関数でフルイディク素子100の幾何学的構造により比例
常数が決まる。同図に記載のフルイディク素子100を4
個直列にならべ初段の出力管15,16を次段のフルイディ
ク素子入力管13,14につなげた構成を持つフルイディク
素子が最終段の出力管15と16の差圧を初段の入力管13と
14の差圧の100倍に増幅した例が先の文献の同頁に示さ
れている。さらに、P1とP2の圧力差の符号を反対にする
ことによりP3とP4の圧力差を容易に逆にすることができ
る。従って、フルイディク素子は二つの入力管13,14と
入力に比例した信号を生ずる二つの出力管15,16とを持
つ電気的四端子回路になぞられる事ができ、フルイディ
ク素子を組み合せることにより電気回路の論理回路やア
ナログ回路に相当する機能を流体の流れに対して作るこ
とが可能である。その結果、フルイディク素子を用いて
流体を制御することが可能となった。
ものである。同図において第4図の構成要素と同じ番号
は同じ構成要素を示している。この微小可動機械機構
は、フルイディク素子100と、キャップ4をもつシャフ
ト2とロータ1からなる微小可動要素から構成されてお
り、フルイディク素子100を介して微小可動機械機構に
流入した流体の流れに従ってロータ1がシャフト2のま
わりに回転するものである。フルイディク素子100は、
流体の流れを制御するための構成要素であり、従来、金
属やプラスチック材料からなる管状のパイプを組み立て
て作製されていた。なお、フルイディク素子を微小可動
機械要素に作用する流体の制御に用いることが本発明に
よるものであることに注意する必要がある。このフルイ
ディク素子の従来の構成や原理応用について「計測と制
御」(第9巻第3号(昭和45年3月))に特集が組まれ
ているのでこの知識を利用することができる。第1図に
記載のフルイディク素子100は、同文献225頁に略述され
た増幅回路と同様の構成からなり、入力管12より流入す
る流体の圧力Psがこの入力管12と別の入力管13と14から
流入する流体の圧力P1とP2により制御され出力管15と16
から流出するとき、圧力P3とP4となって微小可動機械要
素に流入する。このP3とP4との差圧はP1とP2との差圧の
関数でフルイディク素子100の幾何学的構造により比例
常数が決まる。同図に記載のフルイディク素子100を4
個直列にならべ初段の出力管15,16を次段のフルイディ
ク素子入力管13,14につなげた構成を持つフルイディク
素子が最終段の出力管15と16の差圧を初段の入力管13と
14の差圧の100倍に増幅した例が先の文献の同頁に示さ
れている。さらに、P1とP2の圧力差の符号を反対にする
ことによりP3とP4の圧力差を容易に逆にすることができ
る。従って、フルイディク素子は二つの入力管13,14と
入力に比例した信号を生ずる二つの出力管15,16とを持
つ電気的四端子回路になぞられる事ができ、フルイディ
ク素子を組み合せることにより電気回路の論理回路やア
ナログ回路に相当する機能を流体の流れに対して作るこ
とが可能である。その結果、フルイディク素子を用いて
流体を制御することが可能となった。
一方微小可動要素は、ステータ3(第4図)を除いて
従来例とおなじ構成要素からなり、フルイディク素子10
0から流入した流体がロータ1の羽に作用する力により
ロータ1がシャフト2のまわりに回転する。管16から流
入する流体の圧力P3の方が管15より流入する流体の圧力
P4よりも大きいとき図の微小可動要素はP3とP4との差圧
に応じた回転数で時計とおなじ方向に回転する。P4がP3
より大きいときには、時計と反対の方向に回転する。こ
のように、フルイディク素子を用いて微小可動機械要素
の運動を制御することが可能である。なお、フィードバ
ック管11は、P1とP2の差圧がPsの20%をこえるときフル
イディク素子100内の流体の流れが不安定になるのでこ
れを防ぐために設けている。さらに、この導通管10は、
余分の流体の出口で半導体基板を貫通して外界に通じて
いる。この導通管を通して流れる流体の圧力とフルイデ
ィク素子に流入する流体の圧力Psとの差を一定にするこ
とによりフルイディク素子の動作を更に安定することが
できる。
従来例とおなじ構成要素からなり、フルイディク素子10
0から流入した流体がロータ1の羽に作用する力により
ロータ1がシャフト2のまわりに回転する。管16から流
入する流体の圧力P3の方が管15より流入する流体の圧力
P4よりも大きいとき図の微小可動要素はP3とP4との差圧
に応じた回転数で時計とおなじ方向に回転する。P4がP3
より大きいときには、時計と反対の方向に回転する。こ
のように、フルイディク素子を用いて微小可動機械要素
の運動を制御することが可能である。なお、フィードバ
ック管11は、P1とP2の差圧がPsの20%をこえるときフル
イディク素子100内の流体の流れが不安定になるのでこ
れを防ぐために設けている。さらに、この導通管10は、
余分の流体の出口で半導体基板を貫通して外界に通じて
いる。この導通管を通して流れる流体の圧力とフルイデ
ィク素子に流入する流体の圧力Psとの差を一定にするこ
とによりフルイディク素子の動作を更に安定することが
できる。
同図に示したフルイディク素子を半導体ICプロセス技
術を用いて半導体基板上に作製することが可能である。
半導体基板上に堆積したポリシリコン等の絶縁薄膜にリ
ソグラフィーによりフルイディク素子の形状を型どりド
ライエッチング等のエッチング技術により薄膜の中にフ
ルイディク素子の穴を作製することができる。あるい
は、半導体基板をEDP等の異方性のエッチング液により
エッチングすることによってもこれを作製することが可
能である。これらのプロセスは微小可動機械要素の作製
に使われるプロセスと互換性があり、薄膜中にフルイデ
ィク素子を作製する構成のとき微小可動機械要素のプロ
セスと同時に作製することができ余分な工程を必要とし
ないという利点がある。フルイディク素子と微小可動機
械要素を半導体基板上に作製した後、流体を半導体表面
に沿って流すためガラス基板を機械機構を覆うようにし
て半導体基板と接着して流体の通路を形成する。
術を用いて半導体基板上に作製することが可能である。
半導体基板上に堆積したポリシリコン等の絶縁薄膜にリ
ソグラフィーによりフルイディク素子の形状を型どりド
ライエッチング等のエッチング技術により薄膜の中にフ
ルイディク素子の穴を作製することができる。あるい
は、半導体基板をEDP等の異方性のエッチング液により
エッチングすることによってもこれを作製することが可
能である。これらのプロセスは微小可動機械要素の作製
に使われるプロセスと互換性があり、薄膜中にフルイデ
ィク素子を作製する構成のとき微小可動機械要素のプロ
セスと同時に作製することができ余分な工程を必要とし
ないという利点がある。フルイディク素子と微小可動機
械要素を半導体基板上に作製した後、流体を半導体表面
に沿って流すためガラス基板を機械機構を覆うようにし
て半導体基板と接着して流体の通路を形成する。
第2図は、本発明の他の実施例を示したものである。
図中、第1図と同じ番号を持つ構成要素はこれと同じ構
成要素を示す。この実施例は第1図の実施例と微小可動
機械要素のロータ20の歯車の形のみが異なっている。流
体の流れの中に置いた表面形状が凸状のとき流体の速度
が速くなるのに対して、凹の形状のときには流体の速度
が遅くなる。この流体の速度差により速度の小さい場所
から速度の大きな場所の方向に力が生じる。この実施例
では、時計とおなじ方向に微小可動機械要素が回転し易
くなる。ここでもP3とP4の流体の圧力により微小可動機
械要素の回転を調節できることは明らかである。
図中、第1図と同じ番号を持つ構成要素はこれと同じ構
成要素を示す。この実施例は第1図の実施例と微小可動
機械要素のロータ20の歯車の形のみが異なっている。流
体の流れの中に置いた表面形状が凸状のとき流体の速度
が速くなるのに対して、凹の形状のときには流体の速度
が遅くなる。この流体の速度差により速度の小さい場所
から速度の大きな場所の方向に力が生じる。この実施例
では、時計とおなじ方向に微小可動機械要素が回転し易
くなる。ここでもP3とP4の流体の圧力により微小可動機
械要素の回転を調節できることは明らかである。
以上のように流体の流れにより微小可動機械要素の運
動を制御することができることがわかったが、非常に高
速にこれを運動制御することが望まれるとき、流体の流
れよりも物体中の電子の流れの方が遥かに速いため、静
電力による運動制御の方法が応答特性に優っているとい
うことが生ずる。第3図は、本発明の他の実施例を示し
たものであり、図中、第1図と同じ番号を持つ構成要素
はこれと同じ構成要素を示す。この実施例は第1図の実
施例の微小可動機械要素にステータ30を追加したことの
みが異なっている。このステータ30に交流電圧を加える
ことによりロータ1の運動を制御することは従来例の通
りである。しかし、第3図の場合にはロータ1の運動は
主に流体の作用力により行ない、静電力による制御はロ
ータ1の微妙な運動の制御のみに分離することが可能で
あり、その結果、大きな電圧を印加する必要がない。し
かもステータ30による静電力制御を追加した結果、第1
図の方法よりも短い時間で可動機械要素の運動を制御す
ることができるようになった。なお、第3図の例では、
ステータ30に電圧を加えて静電力による制御を流体によ
る制御に加えたが、これとは別にステータ30をコイルあ
るいは磁石として電磁力による制御を流体による制御に
加えても上とおなじ効果が得られるため、この方法も本
発明に含まれる。
動を制御することができることがわかったが、非常に高
速にこれを運動制御することが望まれるとき、流体の流
れよりも物体中の電子の流れの方が遥かに速いため、静
電力による運動制御の方法が応答特性に優っているとい
うことが生ずる。第3図は、本発明の他の実施例を示し
たものであり、図中、第1図と同じ番号を持つ構成要素
はこれと同じ構成要素を示す。この実施例は第1図の実
施例の微小可動機械要素にステータ30を追加したことの
みが異なっている。このステータ30に交流電圧を加える
ことによりロータ1の運動を制御することは従来例の通
りである。しかし、第3図の場合にはロータ1の運動は
主に流体の作用力により行ない、静電力による制御はロ
ータ1の微妙な運動の制御のみに分離することが可能で
あり、その結果、大きな電圧を印加する必要がない。し
かもステータ30による静電力制御を追加した結果、第1
図の方法よりも短い時間で可動機械要素の運動を制御す
ることができるようになった。なお、第3図の例では、
ステータ30に電圧を加えて静電力による制御を流体によ
る制御に加えたが、これとは別にステータ30をコイルあ
るいは磁石として電磁力による制御を流体による制御に
加えても上とおなじ効果が得られるため、この方法も本
発明に含まれる。
さらに、微小可動機械要素は、本発明に示した回転す
るロータのみに限定されるものでなく直線運動をするス
ライダーや直線運動を回転運動に変換するクランク、さ
らにばね等の機械構成要素やこれらを組み合わせた構成
要素全てが含まれる。
るロータのみに限定されるものでなく直線運動をするス
ライダーや直線運動を回転運動に変換するクランク、さ
らにばね等の機械構成要素やこれらを組み合わせた構成
要素全てが含まれる。
(発明の効果) 本発明の微小可動機械機構は流体を主な動力源として
使っているため、先に述べた静電力によるトラブルの影
響を著しく減少させることができる。即ち、流体の圧力
差による力は、静電力のように互いに引き合う力ではな
いため物体に接触することなく安定に力学的平衡状態を
作ることが可能である。次に、先の実施例に述べたよう
にフルイディク素子の構造を加えることにより流体の圧
力差を制御することが可能であり、従来例のように電圧
を昇電する手間を必要としない。最後に、流体は、その
流れる通路の幾何学的構造に依存し通路以外の全体の構
造に依存しない。さらに、通路の材質にも影響されない
ことから、異なる材料を用いて機械構造を作製してもそ
の違いを考慮する必要がなく、その結果、機械構造の設
計が容易になる。流体による力は、静電力や電磁力と相
互作用しないためこれらの力を独立に解析することが可
能なことも本方法の大きな利点である。さらに、フルイ
ディク素子を微小可動機械要素と同一の半導体基板上に
作製するとき構造の微小化と微小部品の組み立てという
煩差な工程を必要としないという長所が付加される。こ
れらの効果は著しいものであり、本発明は有効なもので
ある。
使っているため、先に述べた静電力によるトラブルの影
響を著しく減少させることができる。即ち、流体の圧力
差による力は、静電力のように互いに引き合う力ではな
いため物体に接触することなく安定に力学的平衡状態を
作ることが可能である。次に、先の実施例に述べたよう
にフルイディク素子の構造を加えることにより流体の圧
力差を制御することが可能であり、従来例のように電圧
を昇電する手間を必要としない。最後に、流体は、その
流れる通路の幾何学的構造に依存し通路以外の全体の構
造に依存しない。さらに、通路の材質にも影響されない
ことから、異なる材料を用いて機械構造を作製してもそ
の違いを考慮する必要がなく、その結果、機械構造の設
計が容易になる。流体による力は、静電力や電磁力と相
互作用しないためこれらの力を独立に解析することが可
能なことも本方法の大きな利点である。さらに、フルイ
ディク素子を微小可動機械要素と同一の半導体基板上に
作製するとき構造の微小化と微小部品の組み立てという
煩差な工程を必要としないという長所が付加される。こ
れらの効果は著しいものであり、本発明は有効なもので
ある。
第1図は本願第1及び第2の発明の一実施例の上面図、
第2図は他の実施例の上面図、第3図は本特許請求の範
囲第三および第四に記述の一実施例の上面図、第4図
(a),(b)は従来の構造の上面図および断面図を示
す。 図において、1……ロータ、2……シャフト、3……ス
テータ、4……キャップ、5……絶縁膜、6……シリコ
ン基板、10……導通穴、11……フィードバック管、12,1
3,14……入力管、15,16……出力管、20……ロータ、30
……ステータ、100……フルイディク素子。
第2図は他の実施例の上面図、第3図は本特許請求の範
囲第三および第四に記述の一実施例の上面図、第4図
(a),(b)は従来の構造の上面図および断面図を示
す。 図において、1……ロータ、2……シャフト、3……ス
テータ、4……キャップ、5……絶縁膜、6……シリコ
ン基板、10……導通穴、11……フィードバック管、12,1
3,14……入力管、15,16……出力管、20……ロータ、30
……ステータ、100……フルイディク素子。
Claims (2)
- 【請求項1】流体の流れにしたがって動く微小可動機械
要素と、流体の流れを制御するフルイディク素子と、こ
のフルイディク素子の出口に送出される流体を前記微小
可動機械要素の流体入口に供給する通路とが一つの半導
体基板上に一体的に形成されたことを特徴とする微小可
動機械機構。 - 【請求項2】前記微小可動機械要素の近傍にステータが
前記半導体基板上に一体的に形成され、このステータと
前記微小可動機械要素との間に静電気力が作用する電圧
を印加する手段を備えた特許請求の範囲第(1)項に記
載の微小可動機械機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1312334A JP3038739B2 (ja) | 1989-11-30 | 1989-11-30 | 微小可動機械機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1312334A JP3038739B2 (ja) | 1989-11-30 | 1989-11-30 | 微小可動機械機構 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03173372A JPH03173372A (ja) | 1991-07-26 |
JP3038739B2 true JP3038739B2 (ja) | 2000-05-08 |
Family
ID=18027992
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1312334A Expired - Fee Related JP3038739B2 (ja) | 1989-11-30 | 1989-11-30 | 微小可動機械機構 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3038739B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5726404A (en) * | 1996-05-31 | 1998-03-10 | University Of Washington | Valveless liquid microswitch |
JP2008196481A (ja) * | 2007-01-17 | 2008-08-28 | Yokohama National Univ | マイクロポンプ |
-
1989
- 1989-11-30 JP JP1312334A patent/JP3038739B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03173372A (ja) | 1991-07-26 |
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S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113 |
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R350 | Written notification of registration of transfer |
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