JP3009698U - 食事用具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 洗浄後、あるいは収納時等に大気中からの落
下菌による箸表面の雑菌の繁殖を抑えることができ、そ
れにより食材が付着した時、箸表面の雑菌の繁殖を抑え
ることができるとともに、食後の食材の付着等による箸
表面の雑菌の繁殖を抑えることができ、滑りを抑制し、
洗浄を容易に、かつ短時間に行うことができ、過度な洗
浄が避けられ、その結果箸の寿命を長くすることができ
る。この効果は箸に限らず、レンゲ、スプ−ン、フォ−
ク及びトング等にもある。 【構成】 食物と接触し、かつ食物を支持する支持部
と、該食物支持部と連接され、該食物支持部を所定の位
置に運ぶ運搬部とを有し、主成分がメラミン樹脂からな
る食事用具において、該食事用具は、組成がＳｉＯ₂ ，
Ａｌ₂ Ｏ₃ ，ＭｇＯ，Ａｇ，Ｚｎからなる無機系抗菌剤
を含有する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、食事用具に係り、詳しくは、抗菌作用を有する箸、レンゲ、スプー ン、フォーク及びトング等の食事用具に適用することができ、特に、落下菌によ る食事用具表面の雑菌の繁殖を抑えることができ、これにより食材が付着した時 、食事用具表面の雑菌の繁殖を抑えることができるとともに、洗浄を容易に行う ことができ、過度な洗浄が避けられ、その結果、食事用具の寿命を長くすること ができる食事用具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

メラミン樹脂食事用具は、その主成分であるメラミン樹脂の特性から、耐薬品 性に優れ、表面硬度が高いため傷付き難く、割れ難く、耐熱性に優れ、しかも熱 伝導率が小さく、保温力に優れていて、着色が自由にでき奇麗であり、自由に絵 付けができる等の利点から、主として病院、会社、学校等の集団給食用食事用具 として一般に使用されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記した従来のメラミン樹脂食事用具では、単にメラミン樹脂 を主成分として成形し形成していたため、食事用具表面にはメラミン樹脂そのも のが露出される。このため、そのメラミン樹脂が露出された食事用具表面に洗浄 した後、あるいは収納時に大気中から落下菌が付着して雑菌が繁殖する。

【０００４】 特に、箸等の場合、食材が付着して放置されると箸表面での雑菌の繁殖が進み 、その結果、雑菌による滑りが生じ、その滑り及び食材等の汚れが落ち難くなり 、タワシ、スポンジ等で擦り落さなければならない等、洗浄が過度になり、表面 に傷を付ける結果になってしまう。その結果、食事用具の寿命が短くなるという 問題があった。また、洗浄に長時間を要する等の問題もあった。

【０００５】 そこで、本考案は、食事用具表面に洗浄後、あるいは収納時に大気中からの落 下菌が付着し繁殖するのを抑えることができ、食事用具表面に食材が付着した時 、食事用具表面での雑菌の繁殖を抑制し、その結果、雑菌による滑りを生じ難く して、洗浄を容易に、かつ短時間に行うことができるとともに、過度な洗浄及び 食事用具の特性劣化を抑えて、食事用具の寿命を長くすることができる食事用具 を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

請求項１記載の考案は、食物と接触し、かつ食物を支持する支持部と、該食物 支持部と連接され、該食物支持部を所定の位置に運ぶ運搬部とを有し、かつ主成 分がメラミン樹脂からなる食事用具において、該食事用具は、組成がＳｉＯ₂ ， Ａｌ₂ Ｏ₃ ，ＭｇＯ，Ａｇ，Ｚｎからなる無機系抗菌剤を含有することを特徴と するものである。

【０００７】 請求項２記載の考案は、食物と接触し、かつ食物を支持する支持部と、該食物 支持部と連接され、該食物支持部を所定の位置に運ぶ運搬部とを有し、かつ主成 分がメラミン樹脂からなる基材表面に主成分がメラミン樹脂からなるコーティン グ層が形成された食事用具において、該コーティング層は、組成がＳｉＯ₂ ，Ａ ｌ₂ Ｏ₃ ，ＭｇＯ，Ａｇ，Ｚｎからなる無機系抗菌剤を含有することを特徴とす るものである。

【０００８】 請求項３記載の考案は、上記請求項２記載の考案において、前記基材は、組成 がＳｉＯ₂ ，Ａｌ₂ Ｏ₃ ，ＭｇＯ，Ａｇ，Ｚｎからなる無機系抗菌剤を含有する ことを特徴とするものである。 請求項４記載の考案は、前記食事用具は、箸、レンゲ、スプーン、フォーク及 びトングのうち、少なくとも１種であることを特徴とする請求項１乃至３のいず れかに記載の食事用具。

【０００９】

【作用】 さて、上記した従来のメラミン樹脂箸に抗菌作用を付与させる場合、有機系抗 菌剤、あるいは無機系抗菌剤を添加するのだが、有機系抗菌剤は揮発、または溶 出等により空気（ガス）中や溶媒（液）中に拡散し、その薬剤の薬効効果によっ て抗菌効果を発現し、細菌、カビに直接作用するため、抗菌性も経時に伴い低下 する。そして、有機系抗菌剤は、特に食事用具への添加は薬剤の溶出があり、安 全衛生的に好ましくない。一方、無機系抗菌剤の多くは、Ａｇイオンの溶出や拡 散があり、一般にメラミン樹脂の縮合反応時に発生する縮合水により変色を起こ し、特に食事用具に於ては、外観上好ましくはなかった。また、抗菌プロセスに おいて無機系抗菌剤の成分中のＡｇイオンが溶出し、食材と直接反応をして変色 し、好ましくなかった。

【００１０】 そこで、本考案者等は、鋭意検討した結果、組成がＳｉＯ₂ ，Ａｌ₂ Ｏ₃ ，Ｍ ｇＯ，Ａｇ，Ｚｎからなる無機系抗菌剤を選定することにより、活性金属の溶出 がなく、食品衛生法に適合し安全性が高く、触媒反応により抗菌性が長期間持続 し、変色を起こし難いメラミン樹脂製食事用具が得られることに着目し、主成分 のメラミン樹脂に組成がＳｉＯ₂ ，Ａｌ₂ Ｏ₃ ，ＭｇＯ，Ａｇ，Ｚｎからなる無 機系抗菌剤を添加して食事用具を成形したところ、食事用具表面にメラミン樹脂 の他に抗菌剤を露出させることができる。このため、例えば、箸の場合、箸表面 に抗菌剤を露出させることができるので、洗浄後、あるいは収納時等に大気中か らの落下菌による箸表面の雑菌の繁殖を抑えることができるとともに、それによ り食材が付着した時、箸表面の雑菌の繁殖を抑えることができ、食後の食材の付 着等による箸表面の雑菌の繁殖を抑えることができた。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の実施例を説明するが、本実施例は、本考案の一態様の実施例を 説明するものであって、本考案は以下に述べる実施例のみに限定されるものでは ない。 本実施例では、まず、メラミン樹脂には、ＪＩＳ Ｋ６９１７に規定する食器 用グレードＭＭ−Ｔを用いる。

【００１２】 次に、食器用グレードのＭＭ−Ｔによるメラミン樹脂粉末に、組成がＳｉＯ₂ ，Ａｌ₂ Ｏ₃ ，ＭｇＯ，Ａｇ，Ｚｎからなる無機系抗菌剤の粉末を添加し、ボー ルミル等で均一に分散する。そして、この分散した混合樹脂を用いて一度押成型 工程を行うことにより、図１に示すような所定の形状の箸１成形品を得ることが できる。なお、ここで、一度押成型工程は、具体的には、材料投入工程→型締め 工程→ガス抜き工程→加熱加圧工程→型開工程という一連の工程よりなる。

【００１３】 このように、本実施例では、主成分のメラミン樹脂に組成がＳｉＯ₂ ，Ａｌ₂ Ｏ₃ ，ＭｇＯ，Ａｇ，Ｚｎからなる無機系抗菌剤を添加して箸１を成形したため 、箸１表面にメラミン樹脂の他に抗菌剤を露出させることができる。このため、 洗浄後、あるいは収納時等に大気中からの落下菌による箸１表面の雑菌の繁殖を 抑えることができるとともに、それにより食材が付着した時、箸１表面の雑菌の 繁殖を抑えることができ、食後の食材の付着等による箸１表面への雑菌を繁殖さ せ難くすることができる。更に、本実施例の抗菌剤によれば、活性金属の溶出が なく、食品衛生法に適合し安全性が高く、他の抗菌剤と比べて抗菌性が長期間持 続し、変色を起こし難くい箸１を得ることができる。

【００１４】 従って、箸１表面に雑菌を繁殖し難くすることができるため、雑菌による滑り 等を生じ難くして、洗浄した時、雑菌による滑り及びその上の食材等の汚れを良 好に落とすことができ、過剰な洗浄、即ち束子等による強力な擦り落しや強力な 洗浄剤等を使用しないで、洗浄を容易に、かつ短時間に行うことができる。しか も、箸１表面に雑菌を繁殖し難くすることができるため、過度な洗浄及び箸１の 特性劣化を抑えて寿命を長くすることができる。

【００１５】 なお、上記実施例は、箸１表面にはコーティング層を設けていない場合を説明 したが、本考案においては、図２に示す如く、メラミン樹脂からなる基材１ａ表 面にメラミン樹脂からなるコーティング層１ｂを設けてもよく、この場合、コー ティング層１ｂに組成がＳｉＯ₂ ，Ａｌ₂ Ｏ₃ ，ＭｇＯ，Ａｇ，Ｚｎからなる無 機系抗菌剤を含有するように構成すれば、箸１表面に抗菌剤を露出させることが できるので、上記実施例と同様の効果を得ることができる。この時、メラミン樹 脂基材１ａには、組成がＳｉＯ₂ ，Ａｌ₂ Ｏ₃ ，ＭｇＯ，Ａｇ，Ｚｎからなる無 機系抗菌剤を含有させるか否かは、何れでもよい。また、この製造方法は、材料 投入工程→型締め工程→ガス抜き工程→加熱加圧工程→コーティング剤投入工程 →加熱加圧工程→型開工程という一連の工程からなる２度押成形工程を行えばよ い。

【００１６】 また、図２では、柄入れは行っていないが、図３に示す如く、フォイル紙等の 柄１ｃ入れを行うように構成してもよい。この製造方法は、材料投入工程→型締 め工程→ガス抜き工程→加熱加圧工程→フォイル紙（柄入れ）投入工程→加熱加 圧工程→コーティング剤投入工程→加熱加圧工程→型開工程という一連の工程か らなる３度押成形工程を行えばよい。

【００１７】 上記各実施例は、食事用具として箸１を例示しており、この箸１には、中華菜 箸、子供用箸等の箸が挙げられる。本考案は、この箸１のみに限定されるもので はなく、本考案においては、レンゲ，ベビースプーン，アイススプーン等のスプ ーン、パンハサミ、パスタハサミ、氷ハサミ等のトング、フォーク等にも好適に 用いることができる。

【００１８】

【考案の効果】

本考案によれば、箸表面に洗浄後、あるいは収納時等に大気中からの落下菌に よる雑菌の繁殖を抑えることができ、それにより食材が付着した時、箸表面の雑 菌の繁殖を抑えることができるとともに、食後の食材の付着等による箸表面の雑 菌の繁殖を抑えることができ、滑りを抑制して、洗浄を容易に、かつ短時間に行 うことができ、過度な洗浄が避けられ、その結果、箸の寿命を長くすることがで きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る一実施例の箸成形品の構造を示す
斜視図である。

【図２】本考案に係る他の実施例の箸成形品の構造を示
す部分断面図である。

【図３】本考案に係る他の実施例の箸成形品の構造を示
す部分断面図である。

【符号の説明】

１ 箸１ １ａ 基材 １ｂ コーティング剤 １ｃ 柄

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】食物と接触し、かつ食物を支持する支持部
   と、該食物支持部と連接され、該食物支持部を所定の位
   置に運ぶ運搬部とを有し、かつ主成分がメラミン樹脂か
   らなる食事用具において、該食事用具は、組成がＳｉＯ
   ₂ ，Ａｌ₂ Ｏ₃ ，ＭｇＯ，Ａｇ，Ｚｎからなる無機系抗
   菌剤を含有することを特徴とする食事用具。
2. 【請求項２】食物と接触し、かつ食物を支持する支持部
   と、該食物支持部と連接され、該食物支持部を所定の位
   置に運ぶ運搬部とを有し、かつ主成分がメラミン樹脂か
   らなる基材表面に主成分がメラミン樹脂からなるコーテ
   ィング層が形成された食事用具において、該コーティン
   グ層は、組成がＳｉＯ₂ ，Ａｌ₂ Ｏ₃ ，ＭｇＯ，Ａｇ，
   Ｚｎからなる無機系抗菌剤を含有することを特徴とする
   食事用具。
3. 【請求項３】前記基材は、組成がＳｉＯ₂ ，Ａｌ₂ Ｏ
   ₃ ，ＭｇＯ，Ａｇ，Ｚｎからなる無機系抗菌剤を含有す
   ることを特徴とする請求項２記載の食事用具。
4. 【請求項４】前記食事用具は、箸、レンゲ、スプーン、
   フォーク及びトングのうち、少なくとも１種であること
   を特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の食事用
   具。