JP3008236B2 - 輪郭線場の傾斜検出装置 - Google Patents

輪郭線場の傾斜検出装置

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JP3008236B2
JP3008236B2 JP04242460A JP24246092A JP3008236B2 JP 3008236 B2 JP3008236 B2 JP 3008236B2 JP 04242460 A JP04242460 A JP 04242460A JP 24246092 A JP24246092 A JP 24246092A JP 3008236 B2 JP3008236 B2 JP 3008236B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被写体の輪郭線場の傾
斜を検出する装置、とくに詳細には、画像中の被写体の
輪郭線に基づいて場の傾斜ベクトルを検出する装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】画像中に含まれる被写体の輪郭線に基づ
いて、画像から所定の被写体を抽出し、この被写体から
画像の情況を判断する技術においては、画像に含まれる
多数の輪郭線の位置関係を詳細に解析して、あらかじめ
与えられた知識データと照らしあわせ、それがどんな物
体のどの輪郭線であるかを多くの知識データ組み合わせ
の中から決定・判別することが試みられている。そして
これにより画像のある部分がどのような部分であるのか
をはじめて知ることができる。
【0003】また、人間の視覚の動作を調べ、それを模
倣するようなモデルもいくつか提案されている(中野:
パターン識別学習システム、映像情報(I) ,1987/1,pp3
1-37、乾ら:特開平2-138677号公報)。
【0004】ところで最近、輪郭線、輝度分布、色、形
状等、さまざまな特徴の視点から画像を見ると、その特
徴量に基づく画像の「場」が存在するという概念が提案
されている(小野:特願平3-323344、ポテンシャル場の
マップによる被写体候補抽出)。
【0005】前述した被写体の輪郭線という観点からは
「輪郭線場」なるものが概念的に存在する。この「輪郭
線場」の1つとして、輪郭線で囲まれた物体の中心に向
かって落ち込んでいくすり鉢状の形をしたようなものが
考えられる。あるいは別の「輪郭線場」として、輪郭線
そのものの位置に対応して落ち込む形状のものも考えら
れる。
【0006】この輪郭線場の傾斜に関する情報が得られ
れば、その画像における輪郭線全体の形状がわからなく
ても、その情報を様々な画像処理の分野において利用す
ることができる。例えば、輪郭線によって囲まれた物体
の中心の方向の予測、物体の輪郭線に沿う方向の予測な
どへの利用のほか、傾斜値すなわち傾斜ベクトルの大き
さはその部分の画像情報量に相当するため、情報圧縮な
どにも利用できる。このように、輪郭線場の傾斜情報は
非常に多くの応用が可能な画像情報である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、輪郭線場の
傾斜情報すなわち傾斜ベクトルを得るための前述した画
像から被写体を抽出する方法においては、計算量が膨大
になるという問題や、輪郭線に欠落部分があったり、輪
郭線の形状が不完全だったりすると、あらかじめ与えら
れた知識との照合がうまくゆかず、結局決定・判別自体
ができなくなってしまうという問題があるし、一旦判別
に失敗してしまうと部分的な輪郭線に関する情報も全く
得られないという問題もあった。
【0008】また、前述した人間の視点の動作を模倣す
るモデルは、画像全体を眺めて画像の微分値の大きい部
分が重要であるとしたり、あるいは輪郭の曲率の大きな
点が重要であるとする等、余りに単純であり、これによ
り輪郭線場を検出することは大変困難であった。。
【0009】本発明は上記事情に鑑み、画像中に含まれ
る被写体の輪郭線の局所的な情報を有効に検出し、さら
に検出された情報間の位置関係を統合的に利用し、さら
にこれにより非常に簡単な構成で輪郭線場の傾斜に関す
る情報を得ることができる輪郭線場の傾斜検出装置を提
供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による第1の輪郭
線場の傾斜検出装置は、画像中に設定された所定の大き
さを有する注目領域内に含まれる被写体の情報に基づい
て輪郭線場の傾斜を検出する装置であって、前記画像か
ら前記注目領域の範囲の画像を切り出す手段と、該切り
出された画像から前記被写体の所定方向の輪郭線を検出
する手段と、該検出された輪郭線から前記注目領域の中
心点を囲む同心円の円周方向に対して所定角度傾いた前
記輪郭線の成分を全て抽出する手段と、該抽出された各
成分の前記注目領域中心点に対する方位と強度を方位ベ
クトルとして検出する手段と、該各方位ベクトルを輪郭
線場の傾斜ベクトルとして合成する手段とを備えたこと
を特徴とするのである。
【0011】また、本発明による第2の輪郭線場の傾斜
検出装置は、本発明による第1の輪郭線場の傾斜検出装
置において、前記輪郭線を検出する手段は、前記被写体
の所定方向の輪郭線の検出を、前記切り出された画像を
前記注目領域の中心点を極として複素対数座標変換した
後に行う手段であり、前記輪郭線の成分を抽出する手段
は、前記輪郭線の成分の抽出を、前記複素対数座標変換
された画像において検出された輪郭線から前記複素対数
座標の円環方向に対して所定角度傾いた該輪郭線の成分
を全て抽出することにより行う手段であり、前記方位ベ
クトルを検出する手段は、該抽出された各成分の前記複
素対数座標上での方位と強度とを検出することにより、
前記方位ベクトルを検出する手段であることを特徴とす
るものである。
【0012】ここで、複素対数座標の円環方向とある
が、これは複素対数座標の方位軸方向を意味するもので
ある。すなわち、複素対数座標の方位軸は実空間座標の
原点(本発明においては注目領域の中心点)をとりまく
角度を表わしており、実空間座標において原点を中心と
する円は複素対数座標では方位軸に平行な直線となる。
したがって複素対数座標の方位軸を円環方向としたもの
である。また、複素対数座標の距離軸は実空間座標の原
点からの距離を表わしており、実空間座標において原点
を通る放射状の直線は複素対数座標では距離軸に平行な
直線となる。したがって、複素対数座標の距離軸を方位
軸に平行な円環方向に対して放射方向と呼ぶこととす
る。
【0013】さらに、本発明による第3の輪郭線場の傾
斜検出装置は、本発明による第1または第2の輪郭線場
の傾斜検出装置において、前記検出された輪郭線のう
ち、前記所定方向と略同一方向に連続性が高い輪郭線お
よび/または強度が大きい輪郭線を互いに協調させるこ
とによって強調するとともに、前記各輪郭線と前記方向
に連続性が低い輪郭線および/または強度が小さい輪郭
線とを互いに競合させることによって該連続性が低い輪
郭線および/または強度が小さい輪郭線を消去する手段
をさらに備え、前記輪郭線の成分を抽出する手段は、前
記強調された輪郭線から前記複素対数座標の円環方向に
対して所定角度傾いた該輪郭線の成分を全て抽出する手
段であることを特徴とするものである。
【0014】さらに、本発明による第4の輪郭線場の傾
斜検出装置は、本発明による第1,第2または第3の輪
郭線場の傾斜検出装置において、前記方位ベクトルを合
成する手段は、前記方位ベクトルの合成を、前記各方位
に所定角度の位相シフトを加えて行う手段であることを
特徴とするものである。
【0015】さらに、本発明による第5の輪郭線場の傾
斜検出装置は、本発明による第1から第4のいずれか1
つの輪郭線場の傾斜検出装置において、前記方位ベクト
ルを合成する手段は、前記方位ベクトルの合成を、前記
注目領域の中心点と前記輪郭線の成分との距離に応じて
前記方位ベクトルに重みを加えて行う手段であることを
特徴とするものである。
【0016】
【作用】本発明による輪郭線場の傾斜検出装置は、画像
から所定の大きさを有する注目領域の範囲の画像を切り
出して、この切り出された画像から所定被写体の輪郭線
を検出して、この輪郭線が注目領域の中心点を囲む同心
円の円周方向に対して所定角度傾いた成分から方位ベク
トルを求め、必要があれば所定角度の位相シフトもしく
は重みを加えてからこの方位ベクトルを合成して輪郭線
場の傾斜ベクトルを求めるようにしたものである。この
ため、この輪郭線によって作られる場の傾斜ベクトルか
ら、所定被写体の輪郭線に基づいて、所定被写体の中心
の方向を検出することができる。そしてこれに基づき、
注目領域の移動を繰り返し、所定被写体の中心位置に注
目領域を到達させることができる。また、輪郭線場の傾
斜ベクトルの方向に直交する方向を求めることにより、
輪郭線に沿う方向を検出することができ、これにより、
注目領域を輪郭線を辿るように移動させることができ
る。さらに、輪郭線の傾斜ベクトルの大きさは、その部
分の画像情報の量に比例するため輪郭線によって囲まれ
た物体の作る場の傾斜情報に基づいて、画像中から必要
な情報のみを選択的に検出することによって、この情報
を利用かつ伝送するような情報圧縮を行うことができ
る。さらに、画像の全面に対して処理を行う必要が無く
なるため、演算時間を短縮することができる。
【0017】また、上述したように画像を複素対数座標
変換して、極座標においても同様に輪郭線場の傾斜を決
定することが可能である。
【0018】さらに、本発明による別の輪郭線場の傾斜
検出装置は、検出された輪郭線のうち、所定方向と略同
一方向に連続性が高い輪郭線および/または強度が大き
い輪郭線を互いに協調させることによって強調するとと
もに、所定方向に連続性が低い輪郭線および/または強
度が小さい輪郭線を、連続性が高い輪郭線、強度が大き
い輪郭線と互いに競合させることによって消去する。そ
の後、この輪郭線が複素対数座標の円環方向に対して所
定角度傾いた成分から方位ベクトルを求め、必要があれ
ば所定角度の位相シフトもしくは重みを加えてからこの
方位ベクトルを合成して輪郭線場の傾斜ベクトルを求め
て注目領域の中心点の移動方向を決定し、注目領域の中
心点を基準として所定被写体候補の大きさおよび/また
は形状に応じて抽出領域を決定するようにした。このた
め、上述した本発明による輪郭線場の傾斜検出装置と同
様に輪郭線による場の傾斜ベクトルを求めることができ
る。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
して説明する。
【0020】図1は、本発明による輪郭線場の傾斜検出
方法の第1実施例の基本的概念を示すブロック図であ
る。
【0021】図1に示すように、本実施例はニューラル
ネットワークを用いて輪郭線場の傾斜ベクトルを検出す
るニューラルネット部3からなる。
【0022】まずニューラルネット部3のステップAに
おいて、画像上に注目領域の中心点位置を設定して画像
から注目領域の範囲の画像を取り込み、次いでステップ
Bにおいて所定被写体の絞り込みを行い、ステップCに
おいて所定被写体と注目領域との位置ずれの検出と注目
領域の移動量の算出すなわち、輪郭線場の傾斜ベクトル
を求めるものである。
【0023】なお、上述したニューラルネット部3にお
いては、注目領域の移動が人間の視点移動を模倣するよ
うに、ニューラルネットワークが構成される。人間の視
点の移動は例えば、人間が図2に示すような図形を眺め
る場合を考えると、過去の研究により注視点は物体の輪
郭や端点上に長時間留まるという報告がなされており、
注視点は図2(b) の点線で囲んだS部に留まるものであ
る。また、眺めた物体を一つの塊として認識する瞬間に
は、注視点は輪郭線上にはなく、輪郭線で囲まれた中心
部分に留まることが経験上認識されている。例えば図2
(a) のような図形を眺めた場合は注視点は点線で囲んだ
S部に留まる。すなわち、人間の視点は、輪郭線に囲ま
れた物体の中心点、あるいは、線分の交点や多角形の頂
角において安定するということがいえる。よって、注目
領域周辺にのみ所定被写体が存在するときには、まずそ
の所定被写体に近づき、ある程度所定被写体に近づいた
後は、その所定被写体の中心もしくは頂角等へと注目領
域の中心点を移動していき、そこで注目領域が安定す
る、というような機能を有するように、ニューラルネッ
トワークを構成すればよい。
【0024】図3は、上述した機能を有するニューラル
ネットワークの一構成を表わす図である。
【0025】このニューラルネットワークの入力は、所
定の大きさの注目領域から入力される外界の画像であ
る。また、出力は、輪郭線によって作られる場の傾斜ベ
クトルである。この場のベクトルの大きさは、その注目
領域の中心点における不安定さを表わし、ベクトルの方
向は、より注目領域が安定な状態に向う方向を示す。
【0026】本実施例におけるニューラルネットワーク
の基本構造は階層型であるが、一部の層内e1,e2層
では相互結合もしているため複合型ともいえる。また、
階層型として有名なバックプロパゲーションモデルで
は、各層間の各ニューロン同士はすべて互いに結合して
いる構造がとられるのに対し、このニューラルネットワ
ークでは、各層同士で位置が対応するニューロンと、そ
の近傍のニューロンとの間にのみ結合が限定されている
局所結合型になっている。このため、各層間のシナプス
数を相当低減でき、演算時間の短縮を実現できる。ま
た、相互結合層内の各ニューロン間の結合も同様に、位
置的に近いものどうしの間にのみ存在する。このような
局所的な結合構造は、人間の眼の網膜から脳の1次視覚
野にかけてみられる神経回路と同様の構造となってい
る。
【0027】次に、このニューラルネットワークの各層
の機能について説明する。このニューラルネットワーク
は図1に示すようにステップA,B,Cと大きく3つの
ステップに分けられており、画像上に注目領域中心点の
位置を設定し、この画像から注目領域の範囲の画像を取
り込むステップAは、所定の大きさの注目領域を有しこ
の注目領域の大きさに画像を切り出してニューラルネッ
トワークに入力するa層、および入力された画像の複素
対数座標変換(対数極座標変換)を行うb層から構成さ
れる。入力された画像から所定被写体を絞り込むステッ
プBは、所定被写体の円環方向、放射方向の各輪郭線を
検出するc1,c2層、放射方向の輪郭線の端点を検出
するd層、円環方向の輪郭線を選択する相互結合回路網
層であるe1層および、放射方向の輪郭線を選択する相
互結合回路網層であるe2層から構成される。所定被写
体と注目領域との位置ずれ検出と、注目領域移動量の算
出すなわち、輪郭線場の傾斜ベクトルの検出を行うステ
ップCは、所定被写体の円環方向の輪郭線成分と注目領
域中心点との偏心度検出層であるf1層、所定被写体の
放射方向の輪郭線成分と注目領域中心点との偏心度検出
層であるf2層、所定被写体の円環方向の方位ベクトル
検出層であるg1層、所定被写体の放射方向の方位ベク
トル検出層であるg2層、検出された円環方向の方位ベ
クトルを合成する方位ベクトル合成層であるh1層、検
出された放射方向の方位ベクトルを合成する方位ベクト
ル合成層であるh2層、および輪郭線場の傾斜ベクトル
を出力するi層から構成されている。なお、本実施例の
ニューラルネットワークにおいては、b層以降の各層間
あるいは各層内のシナプス結合は、空間不変(スペース
インバリアント)とした。これは、モデルシミュレーシ
ョンや並列処理の実行容易性を考慮したためで、必ずし
も空間不変である必要はない。しかし、空間不変として
おくことで、各ニューロンの出力は、シナプス結合マト
リックスと前段のニューロン層マトリックスとのコンボ
リューション(シナプス結合パターンとのマッチング)
演算結果を、非線形関数に通したものに相当するので、
ニューラルネットワークのシミュレーションを計算機上
で行う場合、計算的な扱いが非常に楽になる。
【0028】まず、a層において、所定の大きさの注目
領域の範囲の画像が切り出される。a層においては、注
目領域の中心点ほどニューロンが高密度に存在する。a
層において取り込まれた画像はb層において、注目領域
の中心点を極として複素対数座標変換される。このb層
において、画像を複素対数座標変換することで、b層以
降のニューラルネットワークの動作を画像データの配列
と空間不変なシナプス結合データ配列とのコンボリュー
ションとして計算的に扱うことができる。
【0029】図4に、様々な図形が複素対数座標変換さ
れた結果を示す。複素対数座標変換では、極すなわち注
目領域中心点が所定被写体の中心にあれば、図4(a) に
示すように同心円状の曲線が水平の直線に、図4(b) に
示すように放射状の線が垂直な直線に、また三角形は図
4(c) に示すような形に変換される。
【0030】ここで、変換前の空間座標上の点W(x,
y)を、数学的に複素表現で z=x+iy (1) とすれば、複素対数座標変換された点W′は W′=ln(z)=ln(|z|)+jθZ (2) となる。ここで z=(x2 +y2 1/2 (3) θZ =tan -1(y/x) (4) である。すなわち、複素対数座標変換は複素対数座標に
おける距離軸が注目領域中心点からの距離の対数値、方
位軸が注目領域中心点の周囲の角度となるように変換す
ることである。
【0031】複素対数座標変換された画像はc1,c2
層において、複素対数座標上でそれぞれ円環方向、放射
方向の各輪郭線が抽出される。c1層においては、図5
(a)に示すようなシナプス結合で複素対数座標変換され
た画像を重み付けられた信号として伝達することによっ
て円環方向の、c2層においては、図5(b) に示すよう
なシナプス結合で重み付けられた信号として伝達するこ
とによって放射方向の輪郭線がそれぞれ抽出される。d
層においては、放射方向の輪郭線が抽出されたc2層の
画像から、ある所定被写体が手前に存在する別の物体に
遮ぎられた場合にその境界で発生する放射方向の輪郭線
端点を抽出する。e1,e2層は、それぞれ円環方向、
放射方向の輪郭線が選択されるような局所相互重み結合
を有する相互結合層であり、e1層において、c1層で
検出された円環方向の輪郭線のうち円環方向に連続性の
高い輪郭線、強度の大きな輪郭線が強調され、連続性の
低い独立した輪郭線や弱い輪郭線は消去される。e1層
におけるニューロンの相互結合の重みは、複素対数座標
上のあるニューロンAの位置を(Xa ,Ya )、ニュー
ロンBの位置を(Xb ,Yb )とした場合、 Wab=(1.0−4.0 ×Dx ×(1.0 −Dy ×Mc)2 ) ×exp (-2.0 ×Dx ×(1.0 −Dy ×Mc)2 )×exp(-2.0×Dy 2 ) (5) ただし Dx =Kx ×|Xa −Xb | Dy =Ky ×|Ya −Yb | Kx ,Ky は適当な正の係数、Mc は適当な係数 で与えられる値となっている。式(5) は、ニューロン同
士が円環方向には協調性、すなわち正の重みで、放射方
向には抑制性、すなわち負の重みで結合されていること
を示し、また、結合の強さはニューロン間の距離に依存
し、近傍に存在するニューロン同士ほど強い重みで結合
し、離れた位置に存在するニューロンほど重みは弱くな
るという、いわゆる局所相互結合型の内部結合であるこ
とを示している。このような相互結合をもつe1層内で
は以下のように輪郭線の強調および消去が行われてい
る。
【0032】a層において切り出された画像は、被写体
の輪郭線が途切れていたり背景が複雑であったりするた
め、c1層において抽出されてe1層に入力された輪郭
線は図6の画像6に示すように輪郭線が途切れたものと
なっている。この画像6において円環方向にできるだけ
連続するような形でしかも強い興奮を有するニューロン
部分は、本来実空間座標上において1つの物体として存
在している可能性が強い部分である。e1層のニューロ
ンは同じ画像内で相互結合しているためこの画像6に対
して協調競合用シナプス結合7で重み付けられた信号と
して伝達をすると層内での再起的信号の繰返しにより、
途切れているそれぞれの輪郭線の端点のニューロン同士
が円環方向に互いに協調し合い、興奮領域をつなげよう
とする。これにより、端点のニューロンに隣接するニュ
ーロンは画像6aの実線矢印で示す方向に興奮されてい
き、途切れていた輪郭線は徐々に連続するようになり、
また、協調競合用シナプス結合7の形状により円環方向
に対して多少傾いている輪郭線をつなげることができる
ため、最終的に円環方向に連続した輪郭線となる。一
方、画像6に見られるような、円環方向に対して連続性
が低く、しかも興奮が弱いニューロン(画像6における
黒点部分)は、1つの物体として存在している可能性は
低い。e1層内のニューロンは、前述したように円環方
向に対しては協調し合うが放射方向に対しては競合し合
うような相互結合となっており、黒点部分のニューロン
は強い興奮を有する円環方向の輪郭線のニューロンと競
合し、このニューロンが発する放射方向(破線矢印方
向)への抑制性の信号により抑制されて消去されてしま
う。この結果、e1層に入力された画像6は、円環方向
に連続した輪郭線のみを有する画像6bとなる。
【0033】また、e2層においては、c2層で検出さ
れた放射方向の輪郭線のうち放射方向に連続性の高い輪
郭線、強度の大きな輪郭線が強調され、独立した輪郭線
や弱い輪郭線は消去される。e2層におけるニューロン
の相互結合の重みは、式(5)のxとyを入れかえた式と
なっており、円環方向には競合性、放射方向には協調性
の重みで結合されている。このため、c2層において抽
出された図7に示す画像8のように、放射方向に連続性
が高く、しかも強い興奮を有するニューロン部分が、協
調競合用シナプス結合9で重み付けられた信号として伝
達されることにより、互いに協調し合い、それぞれの輪
郭線の端点のニューロンに隣接するニューロンが画像8a
の実線矢印で示す方向に興奮されていき、途切れていた
輪郭線は徐々に連続するようになる。一方、放射方向に
対して連続性が低く、しかも興奮が弱いニューロン(画
像8における黒点部分)は、強い興奮を有する放射方向
の輪郭線のニューロンと競合し、このニューロンが発す
る円環方向(破線矢印方向)の抑制性の信号により抑制
されて消されてしまう。この結果、e2層に入力された
画像8は、放射方向に連続した輪郭線のみを有する画像
8bとなる。
【0034】次いで、f1層において、e1層の相互結
合層で選択された円環方向の輪郭線から円環方向に対し
てある一定角度傾いた成分が抽出される。すなわち、図
8に示すような円環方向の輪郭線11に対して右上がりの
傾き成分抽出用シナプス結合12および左上がりの傾き成
分抽出用シナプス結合13で重み付けられた信号として伝
達される。この傾き成分抽出用シナプス結合12,13は、
+成分が並んでいる方向の輪郭線を強め合い、+と−の
両成分に渡る輪郭線を打ち消し合ってしまうため、この
ようなシナプス結合で円環方向の輪郭線11を重み付けら
れた信号として伝達すると、輪郭線の右上がりの傾き成
分11a および左上がりの傾き成分11b が抽出される。な
お、本実施例においては、傾き成分抽出用シナプス結合
12,13により円環方向輪郭線が複数対数座標の円環方向
に対して20〜30度傾いた成分が抽出される。
【0035】一方、f2層において、e2層の相互結合
層で選択された放射方向の輪郭線から円環方向に対して
ある一定角度傾いた成分が抽出される。すなわち、図9
に示すような放射方向の輪郭線21に対して左上がりの傾
き成分抽出用シナプス結合22および右上がりの傾き成分
抽出用シナプス結合23で重み付けられた信号として伝達
され、輪郭線の左上がりの傾き成分21a および右上がり
の傾き成分21b が抽出される。なお、本実施例において
は、傾き成分抽出用シナプス結合22,23により放射方向
輪郭線が複数対数座標の円環方向に対して60〜70度傾い
た成分が抽出される。
【0036】次に、以上のようにして求められた輪郭線
の成分からの輪郭線場の傾斜ベクトルの求め方について
説明する。なお、ここでは簡単のため、e1層以降にお
ける輪郭線場の傾斜ベクトルの合成について、まず説明
する。
【0037】図10は本発明の第1実施例によるニューラ
ルネットワークの図3におけるe1層、f1層、g1
層、h1層およびi層の部分を抽出し、より詳細に示し
た図である。
【0038】図10に示すように、各層間はシナプス結合
によって結合されている。e1層およびf1層は、ニュ
ーロンが2次元状に整列した構造になっている。e1層
内で興奮しているニューロンの分布は、e1層内のシナ
プス相互結合によって選択された、所定被写体の輪郭線
の円環方向の成分に相当している。
【0039】e1層からf1A層へと興奮信号を伝達す
るシナプス結合32の重み係数は、e1層内の興奮の分布
のうち、左上がりの傾き成分31のみを伝達しやすいよう
に設定されている。このため、図10においては、f1A
層では、傾き成分31の位置に相当するニューロン群33の
みが興奮する。次いで、f1A層から、方位ベクトルを
検出するために、g1A層へと興奮信号が伝達される。
g1A層は1次元に配列されたニューロン層で、f1A
層の同一方位にあるニューロン群からの信号を受けるよ
うにシナプス結合によって結合されている。この結果、
ニューロン群33の方位に対応する、g1A層のニューロ
ン34が興奮する。このニューロン34の方位と興奮の強さ
が方位ベクトルを表すものである。この際、より好まし
くは、ニューロン群33の方位とニューロン34の方位と
が、一定角度βだけずれる、すなわち位相シフトするよ
うにf1A層とg1A層との結合を設定するのがよい。
なお、位相シフトにかえて、図11に示すように、f1A
層とg1A層との結合は、注目領域から離れた位置に相
当するf1A層のニューロンからの結合重みほど、大き
くなるように重みWを加えるようにしてもよい。また、
位相シフトと重みWとを併用するようにすれば、より好
ましい。
【0040】同様に、右上がりの傾き成分30の興奮もf
1B層からg1B層へと伝達され、方位ベクトルを表す
ニューロン36が興奮する。この場合も好ましくは、位相
シフトβおよび/または重みWとを加えるとよい。
【0041】次に、このようにしてg1A層およびg1
B層において求められた方位ベクトルはh1層において
合成されてi層において輪郭線場の傾斜ベクトルが検出
される。この輪郭線場の傾斜ベクトルの合成は極座標上
で行なっても実空間座標上で行なってもかまわないもの
であり、図10では実空間座標上で合成した場合を示す。
ニューロン34,36からの興奮は、逆複素対数座標変換さ
れながらi層に伝達される。i層では各方位ベクトルの
重心が求められ、これが合成された輪郭線場の傾斜ベク
トルとして出力される。なお、ここでi層への入力は、
主要被写体の中心へ向かう方位ベクトルの検出とその合
成のみを説明してきたが、実際にはi層には、主要被写
体の輪郭の集中点に向かう方位ベクトルも入力され、後
述するように適切に合成される。
【0042】以下、上述した方法により、注目領域が所
定被写体の位置に近づくにつれて変化する輪郭線場の傾
斜ベクトルが求められる状態について説明する。
【0043】図12は注目領域の中心点と所定被写体と
が、様々な距離にある場合の輪郭線場の傾斜ベクトルの
求められる状態を複素対数座標と実空間座標とを対応さ
せて表した図である。なお、ここでは簡単のため所定被
写体を円形として、この円に向かう輪郭線場の傾斜ベク
トルの求め方について説明する。
【0044】以下、上述した方法により、注目領域が所
定被写体の位置に近づくにつれて変化する輪郭線場の傾
斜ベクトルが求められる状態について説明する。
【0045】まず、図12(a) に示すように、注目領域37
に所定被写体24の1部分が入っている場合、図12(a) の
複素対数座標において、複素対数座標変換された所定被
写体24′の輪郭線のうち一定角度αおよび−α傾いた成
分がf1層において検出される。この一定角度αは、f
1層において抽出された円環方向の輪郭線が円環方向に
対してなす角度であり、円環方向に対して右上がりを
正、左上がりを負としたものである。この一定角度αお
よび−α傾いた成分がg1層において方位ベクトル38,
38(実空間座標においては方位ベクトル25,25)として
検出される。ここで、輪郭線場がより一層被写体中心点
Oに向き易くするため一定角度αの方位ベクトルに対し
ては+βの、一定角度−αの方位ベクトルに対しては−
βの位相シフトを加えるとともに、注目領域中心点から
一定角度α,−α傾いた成分までの距離に応じた重みを
加え、実空間座標における方位ベクトル38′,38′を得
る。方位ベクトル38′,38′が得られると、h1層にお
いてこれらの合成ベクトルが求められ、この合成ベクト
ルが輪郭線場の傾斜ベクトル29となる。
【0046】次に図12(b) に示すように、所定被写体24
と注目領域中心点Qとがある程度近い距離にあり、注目
領域37内に所定被写体24が入っている場合、一定角度α
および−α傾いた点はそれぞれ2つずつ検出され、これ
に従い方位ベクトル38も4種類検出される。この場合
も、図12(a) に示した場合と同様に、それぞれの方位ベ
クトル38に対して位相シフト+βおよび−βと、重み付
けを加えて輪郭線場の傾斜ベクトル29が得られる。
【0047】以下、図12(c) に示す状態においても同様
に輪郭線場の傾斜ベクトル29が得られ、最終的に、注目
領域中心点Qと所定被写体24の中心点Oが一致した状態
で輪郭線場の傾斜ベクトルは0となる。
【0048】なお、上述した位相シフトβの値は、輪郭
線場の傾斜ベクトル29が所定被写体24の方向に向かうよ
うに、0度以上90−α度未満に設定される(90−α度を
越えると輪郭線場の傾斜ベクトル29が被写体24とは反対
方向に向いてしまうため)。
【0049】また、上述した方位ベクトル38,25に加え
る重みは、前述した輪郭線の一定角度αおよび−α傾い
た成分から注目領域中心点までの距離に応じて設定さ
れ、輪郭線場の傾斜ベクトル29が被写体の中心点を向く
ように、距離が離れているほど大きな重みで結合され
る。
【0050】なお、上述した一定角度αの値であるが、
注目領域中心点Qが所定被写体の外側にある場合は、α
は0度以上90度以下であれば必ずα点が存在する(αが
90度のときは方位ベクトルは所定被写体に接し、α点は
1点のみとなる)。逆に、注目領域中心点Qが所定被写
体の内側にあるときには、注目領域中心点Qと所定被写
体の中心点Oとの距離およびαの値によってはα点が存
在しない場合がある。実験から所定被写体が円の場合は
αが25度のとき、注目領域中心点Qと所定被写体の中心
点Oとの距離が所定被写体の半径の60%程度になると、
α点は存在しなくなる。さらに、αが45度のときは、注
目領域中心点Qと所定被写体の中心点Oとの距離が所定
被写体の半径の80%程度で、α点は存在しなくなる。し
たがって、αが小さいほど所定被写体の中心点Oにまで
注目領域中心点Qの移動が可能であるが、実際の所定被
写体は厳密な円ではなく種々多様な形状をしているた
め、抽出する所定被写体に応じてαを設定するのが好ま
しく、経験的にいって自然画像に関してはαを20〜30度
前後に設定するのが好ましい。
【0051】ここで、上述した円形の所定被写体の中心
点と注目領域中心点が一致した場合、注目領域の中心に
含まれる所定被写体の輪郭線は複素対数座標上において
は図4(a) に示すように円環方向に対して平行な直線と
なるものである。
【0052】次に、f2層、g2層およびh2層におけ
る輪郭線場の傾斜ベクトルの決定について説明する。
【0053】図13は注目領域の中心点と所定被写体の輪
郭線の交点とが様々な距離にある場合の輪郭線場の傾斜
ベクトルの求められる状態を複素対数座標と実空間座標
とを対応させて表した図である。
【0054】まず、図13(a) に示すように、注目領域37
に所定被写体40の一部分が入っている場合、図13(a) の
複素対数座標において、複素対数座標変換された所定被
写体40′の輪郭線のうち一定角度α′および−α′傾い
た成分がf2層において検出される。この一定角度α′
は、f2層において抽出された放射方向の輪郭線が円環
方向に対してなす角度であり、円環方向に対して右上が
りを正、左上がりを負としたものである。この一定角度
α′および−α′傾いた成分がg2層において方位ベク
トル42として検出される。ここで、注目領域中心点Qを
より一層所定被写体40の輪郭線の交点Tに移動し易くす
るため一定角度α′の方位ベクトルに対しては+β′
の、一定角度−α′の方位ベクトルに対しては−β′の
位相シフトを加えるとともに、重みを加え、実空間座標
における方位ベクトル42′を得る。方位ベクトル42′が
得られると、h2層においてこれらの合成ベクトルが求
められ、この合成ベクトルが輪郭線場の傾斜ベクトル43
となり、i層において出力される。
【0055】以下、図13(b) ,(c) ,(d) に示す状態に
おいても同様に輪郭線場の傾斜ベクトル43が得られ、最
終的に、注目領域中心点Qと所定被写体40の輪郭線の交
点Tが一致した状態で輪郭線場の傾斜ベクトルは0とな
る。
【0056】ここで、上述した一定角度α′の値である
が、頂角の角度が小さく、しかもα′の値が小さい値の
ときは、α′点は2つ、−α′点も2つ存在する。とこ
ろが、α′がある値より大きくなるとα′点は1つ(−
α′点も1つ)しか存在しなくなるがα′が90度未満で
あれば、少なくとも1つのα′点は存在する。α′点が
2つ存在するような条件下では、単に注目領域中心点か
らα′点に向かう方向ベクトルを合成したものが輪郭線
場の傾斜ベクトルであるが、問題となるのはα′点が1
つしか存在しないかまたは全く存在できない場合であ
る。実験により、一定角度α′の値が小さいと所定被写
体の頂角が大きくなる程α′点が存在しなくなってしま
う。したがって、どのような大きさの頂角に対してもが
頂角に向うような輪郭線場の傾斜ベクトルを求めるため
には、まずα′点が存在しなければならない。そこで、
一定角度α′の値は、90度に近い値が好ましいといえ
る。
【0057】また、位相シフトβ′の値であるが、図14
に示すように注目領域中心点Qと頂角とが同一水平線上
にあり、頂角は水平線を挟んで上下に対称に広がり、か
つα′点が1つしか存在しないような場合には、方位ベ
クトル42の合成ベクトルである輪郭線場の傾斜ベクトル
43は、頂角とは反対の方向を向いてしまう。このため図
15に示すような位相シフトβ′を加えて、輪郭線場の傾
斜ベクトル43が頂角の方向を向くようにするには、少な
くとも方位ベクトル42が注目領域中心点Qを通る垂線44
の右側に達するまで位相シフトβ′を加えてやればよ
い。このβ′の値は、 β′>α′−C/2 かつ0<β′<90° (但しCは検出しようとしている頂角の値であり、0<
C<360 °)に設定される。
【0058】このようにして、適当な位相シフトと重み
付けを加えることにより、所定被写体40の輪郭線がいか
なる角度で交わっている場合にもその交点へと向かう輪
郭線場の傾斜ベクトルを求めることができる。
【0059】以上のようにして求められたh1層におけ
る輪郭線場の傾斜ベクトルおよびh2層における輪郭線
場の傾斜ベクトルはi層により適切に合成されて出力さ
れる。以下、i層の機能について説明する。
【0060】上述したh1層において決定される輪郭線
場の傾斜ベクトルおよびh2層において決定される輪郭
線場の傾斜ベクトルは、情況によりそれぞれ異なる場合
がある。例えば、注目領域中心点が被写体の外側にある
場合には、上述した2種類の輪郭線場の傾斜ベクトルは
同方向のベクトルとなるが、被写体のごく近傍や被写体
の内部においては2種類の輪郭線場の傾斜ベクトルは異
なるものとなってくる。このため、h1層およびh2層
で決定されるそれぞれのニューラルネットワークの出力
をバランスよく利用すれば、目的とする被写体に応じた
輪郭線場の傾斜ベクトルを求めることができる。例え
ば、被写体の輪郭線の交点に向かうような輪郭線場の傾
斜ベクトルを得たい場合は、i層においてh2層のニュ
ーラルネットワークの出力を重視し、また、被写体の中
心の方向に向かうような輪郭線場の傾斜ベクトルを得た
い場合は、i層においてh1層のニューラルネットワー
クの出力を重視する等すればよい。
【0061】本実施例によるニューラルネットワークは
以上の動作によって、所定被写体候補の中心点と注目領
域中心点とが離れている場合には、注目領域中心点から
所定被写体候補に向かって傾斜する傾斜ベクトルを検出
する。一方で、注目領域中心点と所定被写体候補とが一
致した状態では、傾斜0のベクトルを検出するのであ
る。
【0062】このように輪郭線場の傾斜ベクトルを求め
ることにより、被写体の中心方向を検出することができ
るため、傾斜ベクトルを注目領域移動ベクトルとして利
用し、これにより、注目領域の移動を繰り返せば、被写
体の中心に注目領域を移動させることができる。
【0063】例えば図16に示すような人間46が映し込ま
れた画像47において人間46に向かうように注目領域を移
動させる場合、最初に注目領域中心点が置かれた地点を
1とすると、注目領域は輪郭線場の傾斜ベクトルによ
り注目領域中心点Q1 ,Q2,Q3 と次第に人間46に近
づいてゆき、人間46の顔46a の中心点Q5 において停止
する。そして注目領域が停止した状態において、この顔
46a を抽出したり、この顔の判別等を行うことができ
る。
【0064】また、前述したニューラルネットワークの
h1層とh2層の情報を適切に合成することにより、被
写体の重心を求めることもできる。
【0065】さらに、求められた輪郭線場の傾斜ベクト
ルに直交する場の傾きを求めれば、被写体の輪郭線に沿
った方向を検出することができ、注目領域を被写体の輪
郭線に沿って移動させるようなこともできる。
【0066】さらに、画像中の輪郭線場の傾斜ベクトル
が大きい場所や、場が落ち込んでいく方向に存在する情
報を検出することにより、画像中から有効な情報のみを
選択的に検出し、画像情報の圧縮を行うことも可能であ
る。すなわち、輪郭線で囲まれた被写体の中心に向かっ
て落ち込んでいくような、すり鉢状の場においては、輪
郭線内部の情報を高品質に保って圧縮することが可能で
あり、また、輪郭線そのものの位置に対応して落ち込む
形状の場においては、輪郭線情報を優先して圧縮するこ
とが可能である。
【0067】このような圧縮を行うことができるのは、
画像中に場の傾斜がないような場所では、場の傾斜を与
えるだけの重要な輪郭情報が無いということであり、大
きくく場が傾いている場所では、そのような傾斜を与え
るような重要な輪郭線情報が存在しているためである。
ここで、場が落ち込んで行く方向とは、輪郭線で囲まれ
ている場所の内側のことをいう。一般に、輪郭線の内側
を「面」、外側を「地」と呼び、「面」は対象、「地」
は背景であると認識されることからもわかるように、輪
郭線の内側は、外側に比べてより重要なことが多い。し
たがって、場の傾いている部分の他に、場が落ち込んで
いく方向に存在する情報も重要かつ有効であると見なす
のが適当である。このように、選択された重要な情報
が、画像の圧縮などにおいて、高い品質の圧縮を行うこ
とができる。
【0068】次に、本発明による輪郭線場の傾斜検出方
法の第2実施例について説明する。
【0069】本発明による輪郭線場の傾斜検出方法の第
2実施例は、所定の大きさの注目領域の範囲で切り出し
た画像を複素対数座標変換しないで実空間座標状のニュ
ーロン配列をしたニューラルネットワークを用いて輪郭
線場の傾斜ベクトルを求めるものである。
【0070】図18は本発明の輪郭線場の傾斜検出方法の
第2実施例により輪郭線場の傾斜ベクトルを求めるニュ
ーラルネットワークの1例を表わす図である。本発明の
第2実施例のニューラルネットワークは、与えられた画
像90から所定の大きさの注目領域の範囲に画像を切り出
す入力層100 、切り出した画像から所定被写体の円弧状
の輪郭線を検出する輪郭線検出層101 、切り出した画像
から所定被写体の放射状の輪郭線を検出する輪郭線検出
層101 ′、放射状の輪郭線の端点を検出する端点検出層
102 、連続する円弧状の輪郭線を選択する相互結合層10
3 、連続する放射状の輪郭線を選択する相互結合層103
′、選択された円弧状の輪郭線から注目領域中心点を
囲む同心円の円周方向に対して所定角度傾いた輪郭線の
成分を全て抽出する傾き成分抽出層104 、選択された放
射状の輪郭線から注目領域中心点を囲む同心円の円周方
向に対して所定角度傾いた輪郭線の成分を全て抽出する
傾き成分抽出層104 ′、抽出された円弧状の輪郭線の傾
き成分から所定被写体の注目領域中心点を囲む同心円の
円周方向に対する方位ベクトルである方位と強度とを検
出する方位ベクトル検出層105 、抽出された放射状の輪
郭線の傾き成分から所定被写体の注目領域中心点を囲む
同心円の円周方向に対する方位ベクトルである方位と強
度とを検出する方位ベクトル検出層105 ′、検出された
円弧状の輪郭線の成分の方位と強度とから方位ベクトル
を合成する方位ベクトル合成層106 、検出された放射状
の輪郭線の成分の方位と強度とから方位ベクトルを合成
する方位ベクトル合成層106 ′および合成された各方位
ベクトルから輪郭線場の傾斜ベクトルを検出する輪郭線
場の傾斜ベクトル出力層107 のニューロン層からなる。
すなわち入力層100 は図3における複素対数座標で輪郭
線場の傾斜ベクトルを求めるニューラルネットワークの
a層と、輪郭線検出層101 ,101 ′はc1層,c2層
と、端点検出層102 はd層と、相互結合層103 ,103 ′
はe1層,e2層と、傾き成分抽出層104 ,104 ′はf
1層,f2層と、方位ベクトル検出層105 ,105 ′はg
1層,g2層と、方位ベクトル合成層106 ,106 ′はh
1層,h2層と、そして輪郭線場の傾斜ベクトル出力層
107 はi層とそれぞれ対応している。
【0071】まず入力層100 において、所定の大きさの
注目領域の範囲の画像が切り出されて外界から取り込ま
れる。入力層100 において取り込まれた画像は輪郭線検
出層101 ,101 ′において円弧状および放射状の輪郭線
が検出される。この検出を行なうために、入力層100 か
ら輪郭線検出層101 ,101 ′へのシナプス結合の重みは
それぞれ図18(a) 、図20(a) に示すように設定されてい
る。すなわち、輪郭線検出層101 においては注目領域中
心点を取り囲むように円弧状の輪郭線を検出しやすいよ
うなシナプス結合が同心円状に配置され、しかもそのシ
ナプス結合のサイズは、注目領域中心点に近いほど結合
範囲が狭くなるようなシナプス結合群108 となってい
る。一方、輪郭線検出層101 ′においては、注目領域中
心点の中心から放射状に延びる輪郭線を検出しやすいよ
うなシナプス結合が同心円状に配置され、しかもそのシ
ナプス結合のサイズはシナプス結合群108 と同様に注目
領域中心点に近いぼど結合範囲が狭くなるようなシナプ
ス結合群108 ′となっている。ここで、中心点までの距
離に応じて結合範囲が変化するのは、複素対数座標変換
を行なう第1実施例において、放射方向の距離が非線形
に対数変換されるのに対応している。円弧状および放射
状の輪郭線が検出されると、次いで端点検出層102 にお
いては、放射状の輪郭線が検出された輪郭線検出層101
′の画像から、ある被写体が手前に存在する別の物体
に遮ぎられた場合にその境界で発生する放射状の輪郭線
の端点を抽出する。次いで相互結合層103 ,103 ′にお
いて連続する円弧状および放射状の輪郭線が選択され
る。相互結合層103 の層内で互いに結合しているシナプ
ス結合の重みは図18(b) に示すように設定されており、
注目領域中心点Qを中心として注目領域中心点Qをとり
囲む形で円周方向の輪郭線は互いに協調し合い、円周方
向に連続性が高く、しかも強度が強い輪郭線は強調され
て、背景等により円周方向に途切れていた輪郭線は連続
するようになる一方で放射方向の輪郭線は円周方向に連
続性が高く強度が強い輪郭線と競合し、円周方向の輪郭
線が発する抑制信号により抑制されて消去されるような
シナプス結合群109 となっている。一方、相互結合層10
3 ′の層内での互いに結合しているシナプス結合の重み
は図20(b) に示すように設定されており、注目領域中心
点Qを中心として注目領域中心点Qをとり囲む形で放射
方向の輪郭線は互いに協調し合い、放射方向に連続性が
高く、しかも強度が強い輪郭線は強調されて、背景等に
より放射方向に途切れていた輪郭線は連続するようにな
る一方で、円周方向の輪郭線は放射方向に連続性が高く
強度が輪郭線と競合し、放射方向の輪郭線が発する抑制
信号により抑制されて消去されるようなシナプス結合群
109 ′となっている。次に傾き成分抽出層104 ,104 ′
において、強調された輪郭線から注目領域中心点を囲む
同心円の円周方向に対して所定角度傾いた輪郭線の成分
が全て抽出される。
【0072】ここで、相互結合層103 から傾き成分抽出
層104 へのシナプス結合の重みは傾き成分抽出層104aお
よび104bにおいてそれぞれ図18(c) および(d) に示すよ
うになっており、図18(c) の輪郭線検出シナプス結合11
0 は注目領域中心点を取り囲む同心円群の円周方向に対
して右上りに、図18(d) の輪郭線検出シナプス結合111
は左上がりにそれぞれ一定角度α,−α傾いており、か
つそのシナプス結合のサイズは、注目領域中心点に近い
ほど結合範囲が狭くなるようなシナプス結合群110 ,11
1 となっている。そして、このシナプス結合群により、
被写体の円弧状の輪郭線が注目領域の中心点を中心とす
る円周に沿った方向に対して所定の角度傾いた部分を検
出するものである。例えば図19に示すような位置に円形
の被写体112 が存在する場合には、相互結合層103 で選
択された被写体の輪郭線112 のうち、右上がりの傾き成
分がシナプス結合群110 の中のシナプス結合110aにより
検出され、左上がりの傾き成分がシナプス結合群111 の
中のシナプス結合111aにより検出される。このようにし
て検出された各傾き成分の方位と強度のうち右上がりの
傾き成分の方位と強度が方位ベクトル検出層105aにおい
て、左上がりの傾き成分の方位と強度が方位ベクトル検
出層105bにおいてそれぞれ検出される。次いで方位ベク
トル合成層106 において、方位ベクトル検出層105a,10
5bにおいて検出された方位と強度とから方位ベクトルが
合成される。このようにして合成された方位ベクトルは
輪郭線場の傾斜ベクトル出力層107 へと伝達され、輪郭
線場の傾斜ベクトルとして出力される。
【0073】一方、相互結合層103 ′から傾き成分抽出
層104 ′へのシナプス結合の重みは傾き成分抽出層104
a′および104b′についてそれぞれ図20(c) および(d)
に示すようになっており、図20(c) の輪郭線検出シナプ
ス結合110 ′は注目領域中心点を取り囲む同心円群の円
周方向に対して左上りに、図20(d) の輪郭線検出シナプ
ス結合111 ′は右上がりにそれぞれ一定角度α′,−
α′傾いておりかつそのシナプス結合のサイズは、注目
領域中心点に近いほど結合範囲が狭くなるようなシナプ
ス結合群110 ′,111 ′となっている。そして、このシ
ナプス結合群により、被写体の放射状の輪郭線が注目領
域の中心点を中心とする円周に沿った方向に対して所定
の角度傾いた部分を検出するものである。例えば図21に
示すような位置に被写体112 ′の輪郭線の交点が存在す
る場合には、相互結合層103 ′で選択された被写体の輪
郭線112 ′のうち、左上がりの傾き成分がシナプス結合
群110′の中のシナプス結合110a′により検出され、右
上がりの傾き成分がシナプス結合群111 ′の中のシナプ
ス結合111a′により検出される。このようにして検出さ
れた各傾き成分の方位と強度のうち左上がりの傾き成分
の方位と強度が方位ベクトル検出層105a′において、右
上がりの傾き成分の方位と強度が方位ベクトル検出層10
5b′においてそれぞれ検出される。次いで方位ベクトル
合成層106 ′において、方位ベクトル検出層105a′,10
5b′において検出された方位と強度とから方位ベクトル
が合成される。このようにして合成された方位ベクトル
は輪郭線場の傾斜ベクトル出力層107 へと伝達され、輪
郭線場の傾斜ベクトルとして出力される。
【0074】このようにして方位ベクトル合成層106 ,
106 ′において合成された輪郭線場の傾斜ベクトルは注
目領域中心点が置かれた情況によりそれぞれ異なるもの
であるが、前述した本発明による第1実施例と同様に、
輪郭線場の傾斜ベクトル出力層107 において2種類の輪
郭線場の傾斜ベクトルの出力をバランス良く利用するこ
とにより、適切な輪郭線場の傾斜ベクトルを求めること
が可能となる。
【0075】また上記実施例においては、ニューラルネ
ットワークを用いて、輪郭線場の傾斜ベクトルを求める
ようにしているが、画像全体の輪郭線場の傾斜ベクトル
を求め画像全体のポテンシャン場のマップを作成するよ
うにしてもよい。
【0076】ここで、「ポテンシャル場」について説明
する。人間が、画像を見る際には、画像を見まわして、
その画像の中にある被写体の中心に視点を移動して、そ
の部分が顔であるということを認識する。画像上におい
ては、被写体から離れた位置では、視点を被写体に向け
て大きく動かす必要があり、被写体の近傍では、わずか
に視点を動かせば所定被写体に到達し、その被写体にお
いて視点は安定する。すなわち、視点を移動する方向と
量を視点移動ベクトルとすると、この視点移動ベクトル
は視点が現在ある位置からみた視点安定点の方向と移動
量を示すものであり、本発明における輪郭線場の傾斜ベ
クトルと同一のものである。したがって視点安定点、す
なわち所定被写体の中心点においては、視点移動ベクト
ルは0となる。ここで画像に視点安定度の「場」という
ものがあると考えると、視点安定点ではその「場」は平
坦であり、視点移動の必要な不安定点では「場」は傾い
ている。このように、視点移動ベクトルは「場」の傾き
を表現していると見なすことができ、視点の移動は
「場」のポテンシャルの低い方へと移動する動作に等し
いと見なすことができる。この視点安定度の「場」を
「ポテンシャル場」として、以後用いることとする。
【0077】このように、ポテンシャル場は、人間の眼
の視点安定点の場であり、これを、前述した輪郭線場の
傾斜ベクトル算出のためのニューラルネットワークで考
えると、ポテンシャル場は注目領域中心点の安定点の場
とみなすことができる。すなわち、注目領域中心点の安
定点である所定被写体の中心においてはポテンシャル場
は平坦であり、注目領域の移動が必要な不安定点におい
ては、ポテンシャル場は傾いているとみなすことができ
る。この場合、ポテンシャル場の傾きを表現しているも
のは、前述した抽出のニューラルネットワークで求めら
れた輪郭線場の傾斜ベクトルの方向である。このため、
与えられた画像の全面を前述したニューラルネットワー
クの注目領域で走査しながら、画像上の各地点での輪郭
線場の傾斜ベクトルをポテンシャル場の傾斜ベクトルと
し、このポテンシャル場の傾斜ベクトルを画像に記録し
ていくことで、画像のポテンシャル場のマップを作成す
ることができる。
【0078】図22は、上述した本発明の第1または第2
実施例により求めた輪郭線場の傾斜ベクトルをポテンシ
ャル場の傾斜ベクトルとし、このポテンシャル場の傾斜
ベクトルを画像に記録することにより作成したポテンシ
ャル場のマップを表す図である。
【0079】画像120 には楕円121 ,三角形122 および
四角形123 が映し込まれている。この画像120 全体の輪
郭線場の傾斜ベクトルをポテンシャル場の傾斜ベクトル
とし、このポテンシャル場の傾斜ベクトルを、前述した
ニューラルネットワークにより算出し、このポテンシャ
ル場の傾斜ベクトルが求められた位置と対応する画像12
0 の各位置において画像120 に記録すると、ポテンシャ
ル場のマップが得られる。図22において、ポテンシャル
場の傾斜ベクトルは、楕円121 ,三角形122 および四角
形122 それぞれの中心点P1 ,P2 およびP3 へと向っ
ている。このポテンシャル場の傾斜ベクトルの方向をポ
テンシャル場の傾きとみなせば、ポテンシャル場のマッ
プは、楕円121 ,三角形122 および四角形123 それぞれ
の中心点P1 ,P2 およびP3 において極小点となる。
【0080】図23にポテンシャル場の傾きを表わすグラ
フを示す。図23は、図22における画像120 を注目領域12
3 で走査し、注目領域24の中心点Nのポテンシャル場の
傾斜ベクトル25が四角形123 の中心点P3 に向っている
様子を示している。
【0081】図23の上半分のグラフ124 は前述のように
してポテンシャル場の傾きを求め、画像120 のI-I 線で
ポテンシャル場の断面をとりポテンシャル場の1次元グ
ラフとして表わしたものである。
【0082】グラフ124 には3つの極小点P1 ′,
2 ′およびP3 ′があり、それぞれが画像120 におけ
る楕円121 の中心点P1 、三角形122 の中心点P2 およ
び四角形123 の中心点P3 と対応している。また、グラ
フ124 の点N′は画像120 の注目領域24の中心点Nと対
応している。このように画像120 全体の輪郭線場の傾斜
ベクトルを上述した第1または第2実施例により求め、
この注目領域をポテンシャル場の傾斜ベクトルとしてポ
テンシャルマップを作成すれば、場の極小点を求めるこ
とができ、この極小点を基準として所定被写体に向けて
注目領域を移動させたりこの極小点付近の情報のみを選
択的に抽出することが可能である。
【0083】また、上述した本発明による第1および第
2実施例においては、ニューラルネットワークを用いて
輪郭線場の傾斜ベクトルを検出しているが、とくにニュ
ーラルネットワークを用いる必要はなく、いかなる手法
を用いてもよいことはもちろんである。
【0084】さらに、本発明による輪郭線場の傾斜検出
方法は人の顔等が映し込まれた静止画像における所定被
写体に向かう輪郭線場の傾斜ベクトルの検出のみでな
く、所定被写体が移動する動画像の追跡を行うための輪
郭線場の傾斜ベクトルの検出に用いることができる。こ
の場合、前述した本発明の輪郭線場の傾斜ベクトルの検
出の実施例に見られるように注目領域を移動させて、移
動する所定被写体を追跡してやればよい。
【0085】また、上記実施例においては、画像からの
注目領域の範囲の画像の切り出しから輪郭線場の傾斜ベ
クトルの算出までの全てのステップにニューラルネット
ワークを用いているが、とくに全てのステップに用いる
必要はなく、輪郭線場の傾斜ベクトルの検出の少なくと
も1つのステップに用いればよい。
【0086】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
る輪郭線場の傾斜検出装置は、非常に簡単に輪郭線場の
傾斜ベクトルを得ることができるため、この輪郭線場の
傾斜検出装置を用いて被写体の中心方向を予測すること
により被写体を抽出する装置、被写体の輪郭線に沿う方
向を予測する装置、もしくは画像情報を圧縮する装置等
への負担が著しく軽減され、演算時間を短縮でき本発明
を用いたシステムの能力を向上させることが可能とな
る。
【0087】また、本発明による輪郭線場の傾斜検出装
置は、輪郭線場の傾斜ベクトルの向かう方向を2種類設
定し、それぞれの方向を独立に検出することができる。
このため、それぞれの方向に注目領域を移動させるニュ
ーラルネットワークの出力をバランスよく利用すること
により、目的に応じた所定被写体の方向へ向かう輪郭線
場の傾斜ベクトルの検出が可能となる。
【0088】さらに、上述したように画像全体のポテン
シャル場の傾きを求めてポテンシャルマップを作成すれ
ば、ただちに場の極小点、すなわち所定被写体の中心点
を求めることができ、この極小点を基準として注目領域
を移動させたり、画像情報の圧縮等を行うことが可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による輪郭線場の傾斜検出方法を用いて
所定被写体の抽出を行う実施例の基本的概念を示すブロ
ック図
【図2】人間の視点が図形のどの部分において安定する
かを説明するための図
【図3】本発明の第1実施例による所定被写体に向かう
輪郭線場の傾斜ベクトルの検出を行うニューラルネット
ワークの一例を表わす図
【図4】様々な図形が複素対数座標変換された結果を示
す図
【図5】c1層およびc2層において輪郭線を抽出する
シナプス結合を表す図
【図6】c1層において抽出された輪郭線が協調、競合
する状態を表す図
【図7】c2層において抽出された輪郭線が協調、競合
する状態を表す図
【図8】円環方向の輪郭線から円環方向に対してある一
定角度傾いた成分が抽出される状態を表わす図
【図9】放射方向の輪郭線から円環方向に対してある一
定角度傾いた成分が抽出される状態を表わす図
【図10】本発明の第1実施例によるニューラルネット
ワークの図3におけるe1層、f1層、g1層、h1層
およびi層部分を抽出した図
【図11】ニューロンの出力に加える重み付けを表わす
【図12】注目領域が所定被写体の中心点へ向かうにつ
れて輪郭線場の傾斜ベクトルが求められる状態を複素対
数座標と実空間座標とを対応させて表した図
【図13】注目領域が所定被写体の輪郭線の交点へ向か
うにつれて輪郭線場の傾斜ベクトルが求められる状態を
複素対数座標と実空間座標とを対応させて表した図
【図14】注目領域の中心点が所定被写体の内側から輪
郭線の交線に向かう場合の輪郭線場の傾斜ベクトルの検
出方法を表わす図
【図15】位相シフトを加えることによって輪郭線場の
傾斜ベクトルを検出する方法を表わす図
【図16】人間が映し込まれた画像上を注目領域中心点
が移動する状態を表わす図
【図17】本発明の第2実施例による注目領域中心点を
所定被写体の中心へ移動させることによって所定被写体
に向かう輪郭線場の傾斜ベクトルの検出を行うニューラ
ルネットワークの1例を表わす図
【図18】本発明の第2実施例によるニューラルネット
ワークの各層のシナプス結合の重みを表わす図
【図19】本発明の第2実施例により、注目領域中心点
と所定被写体の偏心度が検出される状態を表わす図
【図20】本発明の第2実施例による注目領域中心点を
所定被写体の輪郭線の交線へ移動させることによって所
定被写体に向かう輪郭線場の傾斜ベクトルの検出を行う
ニューラルネットワークのシナプス結合の重みを表わす
【図21】本発明の第2実施例の注目領域中心点を所定
被写体の輪郭線の交線へ移動させることにより、注目領
域中心点と所定被写体の偏心度が検出される状態を表わ
す図
【図22】楕円,三角形,および四角形が映し込まれた
画像のポテンシャル場のマップを表わす図
【図23】ポテンシャル場の傾きを表わす図
【符号の説明】
3 探索ニューラルネット部 7,8 協調競合用シナプス結合 24,40 所定被写体 38,38′,42,42′ 方位ベクトル 29,43 輪郭線場の傾斜ベクトル 30 所定被写体の輪郭線のうち円環方向に連続性の高
い成分 31,34,35,36 ニューロン 32,33 シナプス結合 37 注目領域 46 人間 47 画像 121 楕円 122 三角形 123 四角形 124 ポテンシャル場の傾きを表すグラフ Q 注目領域中心点 O 所定被写体の中心点 P1 ,P2 ,P3 所定被写体の中心点 P1 ′,P2 ′,P3 ′ ポテンシャル場の極小点
フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平4−13092 (32)優先日 平成4年1月28日(1992.1.28) (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像中に設定された所定の大きさを有す
    る注目領域内に含まれる被写体の情報に基づいて輪郭線
    場の傾斜を検出する装置であって、 前記画像から前記注目領域の範囲の画像を切り出す手段
    と、 該切り出された画像から前記被写体の所定方向の輪郭線
    を検出する手段と、 該検出された輪郭線から前記注目領域の中心点を囲む同
    心円の円周方向に対して所定角度傾いた前記輪郭線の成
    分を全て抽出する手段と、 該抽出された各成分の前記注目領域中心点に対する方位
    と強度とを方位ベクトルとして検出する手段と、 該各方位ベクトルを輪郭線場の傾斜ベクトルとして合成
    する手段とを備えたことを特徴とする輪郭線場の傾斜検
    出装置。
  2. 【請求項2】 前記輪郭線を検出する手段は、前記被写
    体の所定方向の輪郭線の検出を、前記切り出された画像
    を前記注目領域の中心点を極として複素対数座標変換し
    た後に行う手段であり、 前記輪郭線の成分を抽出する手段は、前記輪郭線の成分
    の抽出を、前記複素対数座標変換された画像において検
    出された輪郭線から前記複素対数座標の円環方向に対し
    て所定角度傾いた該輪郭線の成分を全て抽出することに
    より行う手段であり、 前記方位ベクトルを検出する手段は、該抽出された各成
    分の前記複素対数座標上での方位と強度とを検出するこ
    とにより、前記方位ベクトルを検出する手段であること
    を特徴とする請求項1記載の輪郭線場の傾斜検出装置。
  3. 【請求項3】 前記検出された輪郭線のうち、前記所定
    方向と略同一方向に連続性が高い輪郭線および/または
    強度が大きい輪郭線を互いに協調させることによって強
    調するとともに、前記各輪郭線と前記方向に連続性が低
    い輪郭線および/または強度が小さい輪郭線とを互いに
    競合させることによって該連続性が低い輪郭線および/
    または強度が小さい輪郭線を消去する手段をさらに備
    え、 前記輪郭線の成分を抽出する手段は、前記強調された輪
    郭線から前記複素対数座標の円環方向に対して所定角度
    傾いた該輪郭線の成分を全て抽出する手段であることを
    特徴とする請求項1または2記載の輪郭線場の傾斜検出
    装置。
  4. 【請求項4】 前記方位ベクトルを合成する手段は、前
    記方位ベクトルの合成を、前記各方位に所定角度の位相
    シフトを加えて行う手段であることを特徴とする請求項
    1,2または3記載の輪郭線場の傾斜検出装置。
  5. 【請求項5】 前記方位ベクトルを合成する手段は、前
    記方位ベクトルの合成を、前記注目領域の中心点と前記
    輪郭線の成分との距離に応じて前記方位ベクトルに重み
    を加えて行う手段であることを特徴とする請求項1から
    4のいずれか1項記載の輪郭線場の傾斜検出装置。
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JP3-323342 1992-01-28
JP4-13092 1992-01-28
JP3-233213 1992-01-28
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