JP2996078B2 - 赤外線ステルス装置 - Google Patents

赤外線ステルス装置

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JP2996078B2 JP5279416A JP27941693A JP2996078B2 JP 2996078 B2 JP2996078 B2 JP 2996078B2 JP 5279416 A JP5279416 A JP 5279416A JP 27941693 A JP27941693 A JP 27941693A JP 2996078 B2 JP2996078 B2 JP 2996078B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、戦闘車両等の外面か
ら放射される赤外線を抑制する赤外線放射抑制体および
その使用方法に関するものである。
【0002】またこの発明は、戦闘車両など高温部を有
する装備品の外面から放射される赤外線を隠蔽する装置
に関する。
【0003】
【従来の技術】戦車、装甲車、軍用トラックなどの戦闘
車両はエンジン部などから発する熱のため車両外面から
外方に向けて多量の赤外線が放射される。このような戦
闘車両は赤外線を感知しながら目標物を追尾するミサイ
ルや砲弾に容易に捕捉される恐れがある。本発明はこの
ような攻撃から車両を隠蔽、防御し同車両の戦術的効果
を高めることを目的とする。
【0004】従来、このような赤外線を感知しながら目
標物を追尾する飛翔体からの捕捉を回避するようにした
技術に関連するものとして、例えば特開昭52−542
99号公報に示された「赤外線誘導被弾防護装置」にあ
るように疑似熱源を曳航するものや、特開昭57−65
600号公報に示された「隠蔽装置」にあるように水を
霧化、拡散することによる水粒子の煙幕をはるものなど
が考えられているが、装置が大がかりとなり必ずしも実
用に適するものではなかった。また特開昭56−116
583号公報および特開昭57−209490号公報に
示された「船舶の赤外線放射低減装置」にあるように、
赤外線吸収板を熱源に対し所要の間隔をあけて配置し、
さらにこの吸収板を水冷するようにしたものがあるが、
これらの方法は熱源からの赤外線は遮断できても、吸収
板自身からの赤外線放射を抑制することはできず、これ
を抑制するため、吸収板を常に空冷、水冷等により冷却
しなければならず、実用上大きな問題があった。
【0005】一方、従来、車両、施設等の発見されにく
くする方法として、背景と類似の色に塗る、植物等の背
景と類似ものをつける、擬装ネット等の背景と類似のも
のを被せるといったものがあった。ところが光電子機器
の発達により、可視光以外の電磁波としての赤外線を照
射してその反射光を用いて背景の自然物の中から人工物
を発見するという技術が台頭してきた。これにより可視
光のみならず赤外線領域に関してもその反射率を下げる
という塗料が発明され、これに関しては以下に示す特許
が公開されている。しかしながら、赤外線を照射しなく
とも目標から放射される赤外線を感知する赤外線撮像装
置に対して、実際に赤外線撮像装置の感度領域である3
〜5μm帯および8〜10μm帯の放射率を抑えるもの
ではなく、赤外線領域での分光放射率を下げて、かつ可
視光領域の分光反射率を下げるという課題を解決するも
のではなかった。 a.「迷彩模様加工法」(特開昭58−136659
号) b.「赤外線反射材料」(特開昭62−68858号) c.「迷彩用材料」(特開昭62−79269号) d.「赤外線反射塗料」(特開平1−261466号) e.「赤外線反射塗料」(特開平2−97565号) f.「迷彩用着色組成物および迷彩着色物品」(特開平
1−297462号) g.「迷彩用着色塗料」(特開平3−205463号) h.「迷彩用着色塗料」(特開平3−205464号)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、キルヒホッ
フの法則によれば、不透明体の放射率εは、その反射率
をRとすればε=1−Rとなることが示されており、こ
れは、赤外線の反射体はその赤外線の放射率が小さいこ
とを示唆している。このため、赤外線放射を遮断する用
途には、赤外線の反射体を用いるのが望ましいが、アル
ミニウムミラーや金ミラーのような赤外線の反射体は同
時に可視光についてもこれをよく反射する。従って、こ
れらの材料だけで車両外面を覆った場合は赤外線放射に
ついてはこれを確実に抑制できるが、可視の反射光によ
って容易に視認されてしまうという問題点があった。
【0007】さらに、金属板の表面に可視光に対し不透
明な半導体材料と誘電体膜とをこの順序で積層した積層
体によって可視光の反射率をコントロールすることによ
り可視光でのカムフラージュ性を有し、かつ、赤外線の
反射率が高い材料によって車両など装備品の外面を覆う
ことが考えられるが、太陽光は強い可視光に加えて赤外
線をも放射しているため、晴天時はこの太陽の赤外線の
反射によって、赤外線カメラなどにより容易に視認され
る虞があった。
【0008】一方、可視光領域においても、ステルス性
能をもたせる必要から、可視光領域での反射率を下げな
ければならないという課題があった。
【0009】また3〜5μm帯および8〜10μm帯の
赤外線撮像装置に対してその領域の放射量を下げなけれ
ばならないという課題があった。
【0010】さらに赤外線放射体に簡単に被せられる、
あるいは曲率半径の小さな形状面に張り付けるという用
途に対して、薄いシート状にしなければならないという
課題があった。
【0011】また赤外線の放射量を低減させ、さらに背
景のいろいろな色に対応できなければならないという課
題があった。
【0012】さらに背景の変化に対応するために、可視
光において背景の反射量と自己の反射量が等しくなるよ
うに自己の反射量を制御しなければならないという課題
があった。
【0013】また背景の変化に対応するために、可視光
の反射量のみならず赤外線の放射量においても、背景の
赤外線放射量と自己の赤外線放射量を等しくなるよう自
己の放射量を制御しなければならないという課題があっ
た。
【0014】この発明は、上記のような問題点を解消す
るためになされたもので、板状あるいは箔状の物体によ
って車両等の外面を覆うだけの簡便な手法によって、車
両からの赤外線放射を抑制できるとともに、可視光に関
しても視認されにくい赤外線放射抑制体およびその使用
方法を提供することを目的とする。
【0015】またこの発明は、隠蔽する車両など装備品
からの赤外線放射を抑制するとともに、可視光に対して
のカムフラージュ性を保ちつつ、かつ、晴天時の太陽光
下においても高い隠蔽能力を有する、赤外線ステルス装
置を提供することを目的とする。
【0016】さらにこの発明に係る赤外線ステルス装置
は、赤外線領域において低い放射率をもち、可視領域に
おいて所望の反射率が得られる金属、半導体、誘電体の
組み合わせのシートを用いることにより赤外線放射体に
簡単に被せられる、曲率半径の小さな形状面に張り付け
られる赤外線ステルス装置を得ることを目的としてい
る。
【0017】またこの発明は、赤外線の放射量を低減さ
せ、かつ背景のいろいろな色に対応できる赤外線ステル
ス装置を得ることを目的としている。
【0018】実施例15. 図23は赤外線の放射を抑え、6種類の背景の色の変化
に対応できる赤外線ステルス装置の一例である。本装置
は中央に赤外線の放射を抑える多面体金属ブロック17
0を備えているため、どの面から赤外線が入射しても多
面体金属ブロック170で反射して入射した面の反対側
の面からはほとんど赤外線が放射されない構造となって
いる。多面体金属ブロック170は、厚さ1μmの半導
体膜a(Ge)205、厚さ110nm、可視光の反射
を抑える誘電体膜が積層されており、6種類の可視光反
射率を持つように設計されている。これにより赤外線の
放射を抑え、6種類背景の違いに対応できる赤外線ステ
ルス装置を実現できる。
【0019】またこの発明は可視光および赤外線におい
て背景の変化に対応できるように、自己の可視光反射量
と赤外線放射量を制御できる赤外線ステルス装置を得る
ことを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】この発明に係る赤外線放
射抑制体によれば、赤外線の放射体である車両の外面を
赤外線に対しては反射率が高く、可視光に対してはこれ
をほとんど吸収するか、あるいは特定の波長の光のみを
所望する反射率で反射するように調整された板状あるい
は箔状の物体により放射抑制体を構成するようにしたも
のである。
【0021】また、この発明に係る赤外線放射抑制体に
よれば、上記板状あるいは箔状の物体を、赤外線および
可視光を反射する金属、可視光に対し不透明となる半導
体、可視光の反射を抑制する誘電体膜をこの順序で積層
して構成するようにしたものである。
【0022】また、この発明に係る赤外線放射抑制体に
よれば、該抑制体を凹凸状あるいは波状に加工するよう
にしたものである。
【0023】また、この発明に係る赤外線放射抑制体に
よれば、該抑制体の反射光を緑、青、黄、黒のどれかと
なるように調整し、これらの2種類以上を迷彩となるよ
うに組合せて抑制体を構成するようにしたものである。
【0024】また、この発明に係る赤外線放射抑制体に
よれば、その反射率を高くする赤外線の波長範囲を3〜
5ミクロン(μm)もしくは8〜13μmのうちの少な
くとも一方とするようにしたものである。
【0025】また、この発明に係る赤外線放射抑制体に
よれば、その反射率が3〜5ミクロン(μm)の赤外線
に対し、60%以上となるように構成したものである。
【0026】また、この発明に係る赤外線放射抑制体に
よれば、その反射率が8〜13ミクロン(μm)の赤外
線に対し、35%以上となるように構成したものであ
る。
【0027】また、この発明に係る赤外線放射抑制体の
使用方法によれば、赤外線の放射体である車両の外面を
赤外線に対してはその反射率が高く、可視光にて対して
これをほとんど吸収するか、あるいは特定の波長の光の
みを所望する反射率で反射するように調整された板状あ
るいは箔状の物体により構成した放射抑制体で赤外線放
射体の表面を覆うようにしたものである。
【0028】また、この発明に係る赤外線放射抑制体の
使用方法によれば、赤外線および可視光を反射する金
属、可視光に対し不透明となる半導体、可視光の反射を
抑制する誘電体膜をこの順序で積層して構成した板状あ
るいは箔状の物体により赤外線放射体の表面を覆うよう
にしたものである。
【0029】また、この発明に係る赤外線放射抑制体の
使用方法によれば、該抑制体を凹凸状あるいは波状に加
工したもので赤外線放射体の表面を覆うようにしたもの
である。
【0030】また、この発明に係る赤外線放射抑制体の
使用方法によれば、該抑制体の反射光を緑、青、黄、黒
のどれかとなるように調整し、これらの2種類以上を迷
彩となるように組合せて構成した抑制体により板状ある
いは箔状の物体により赤外線放射体の表面を覆うように
したものである。
【0031】また、この発明に係る赤外線放射抑制体の
使用方法によれば、その反射率を高くする赤外線の波長
範囲を、3〜5ミクロン(μm)もしくは8〜13μm
のうちの少なくとも一方とするようにした抑制体により
赤外線放射体の表面を覆うようにしたものである。
【0032】また、この発明に係る赤外線放射抑制体の
使用方法によれば、その反射率が3〜5ミクロン(μ
m)の赤外線に対し、60%以上となるように構成した
抑制体により赤外線放射体の表面を覆うようにしたもの
である。
【0033】また、この発明に係る赤外線放射抑制体の
使用方法によれば、その反射率が8〜13ミクロン(μ
m)の赤外線に対し、35%以上となるように構成した
抑制体により赤外線放射体の表面を覆うようにしたもの
である。
【0034】さらに、この発明による赤外線ステルス装
置は、赤外線を放射する高温部を有する装備品の該高温
部を覆うように取り付けられる赤外線放射の防止装置で
あって、複数の細長い金属板と、該金属板にその長辺と
平行に固定され該金属板を回転させる回転軸と、該回転
軸を支持すると共に前記複数の金属板をスダレ状に配列
する支持枠と、前記複数の金属板を回転せしめる駆動装
置とからなり、前記金属板は一方の面が前記装備品の外
観色とほぼ同じ色の塗装面とされ、他方の面が赤外線に
対しては反射率が高く、可視光に対しては特定の波長の
光のみを特定の反射率で反射するように処理された反射
面とされてなるものである。
【0035】また、前記反射面は、前記金属板の表面に
可視光に対して不透明な半導体材料と誘電体膜とがそれ
ぞれ1または複数層順次成膜された積層体で形成されて
なることが好ましい。
【0036】また、この発明の赤外線ステルス装置の態
様は赤外線を放射する高温部を有する装備品の該高温部
を覆うように取り付けられる赤外線放射の防止装置であ
って、前記反射面が形成され、前記高温部を覆う反射板
に前記防止装置が取り付けられてなるものである。
【0037】この発明に係る赤外線ステルス装置は、金
属シートの片面あるいは両面にそれぞれ可視光を吸収し
赤外線を透過する半導体膜、可視光領域の特定の波長の
みを反射し赤外線を透過する誘電体膜の順に積層するこ
とによって、シート形状にするという手段を用いたもの
である。
【0038】また、この発明に係る赤外線ステルス装置
は、赤外線の放射量を抑える多面体金属ブロックの各面
に、可視光を吸収して赤外線を透過する半導体膜を積層
して、さらにその上に可視光領域の特定の波長のみ反射
し赤外線を透過する誘電体膜を積層し、誘電体膜は多面
体の各面においてその反射率が異なるものを積層すると
いう手段を用いたものである。
【0039】また、この発明に係る赤外線ステルス装置
は、可視光を吸収して赤外線を透過する半導体膜、各面
においてそれぞれ異なる波長を反射し赤外線を透過する
誘電体膜が積層されている赤外線の放射量を抑える多面
体金属ブロックに、可視光分光反射光量計と、多面体金
属ブロックを駆動する駆動器、駆動器に指令を与える制
御器を取り付けたものである。
【0040】また、この発明に係る赤外線ステルス装置
は、可視光を吸収して赤外線を透過する半導体膜、各面
においてそれぞれ異なる波長を反射し赤外線を透過する
誘電体膜が積層されている赤外線の放射量を抑える多面
体金属ブロックに、可視光分光反射光量計と、赤外線分
光放射光量計と、赤外線放射器と、多面体金属ブロック
を駆動する駆動器と、駆動器と赤外線放射器に指令を与
える制御器を取り付けたものである。
【0041】
【作用】この発明における赤外線放射抑制体は、赤外線
に対しては反射率が高く、可視光に対してはほとんど吸
収するか、あるいは特定の波長の光のみを所望する反射
率で反射するように調整された板状あるいは箔状の物体
によりこれを構成するようにしたので、赤外線での反射
率の高さは必然的に放射率が低く、また可視光の吸収や
反射光が調整され、可視光に対しては目立たないものと
なる。
【0042】また、この発明における赤外線放射抑制体
は、1層目が赤外線および可視光を反射する金属、2層
目が赤外線を透過するが可視光に対し不透明である半導
体、3層目が2層目の半導体の可視光の反射を抑制する
誘電体膜である各層をこの順序で順次積層するようにし
たので、このような構成とすることによって実際に赤外
線放射抑制体を得ることができ、かつ半導体と誘電体膜
の材料および誘電体膜の層数、厚さを調整することで所
望する反射率が得られる。
【0043】また、この発明における赤外線放射抑制体
は、これを構成する板状あるいは箔状の物体が、光学的
な多層膜構造によってその特性が得られているために、
鏡面となることは避けられない。従って、この多層膜を
凹凸面あるいは波状面にすることによって可視光の乱反
射を起こさせるようにすることで、遠方から該物体によ
って覆われた車両をみた場合に、粗面(つや消し面)に
近い面となる。
【0044】また、この発明における赤外線放射抑制体
は、これを構成する板状あるいは箔状の物体を、この物
体のその反射光が緑、青、黄、黒のどれかとなるように
調整したものの2種以上を迷彩となるように組合せて構
成することにより、森林、草木地などの複雑な背景にお
いて可視光に対する隠蔽の効果が高くなる作用がある。
【0045】また、この発明における赤外線放射抑制体
は、上記板状あるいは箔状の物体を、その反射率を高く
する赤外線の波長範囲が、少なくとも3〜5ミクロン
(μm)もしくは8〜13μmのうちの少なくとも一方
であるようにしたので、赤外域での反射率の高さは必然
的に放射率が低く、また可視光の吸収や反射光の調整
は、可視に対しては目立たないものとなる。
【0046】また、この発明における赤外線放射抑制体
は、上記板状あるいは箔状の物体を、その赤外線の反射
率が3〜5ミクロンの赤外線で60パーセント以上であ
るようにしたので、赤外域での反射率の高さは必然的に
低く、また可視光の吸収や反射光が調整され、可視光に
対しては目立たないものとなる。
【0047】また、この発明における赤外線放射抑制体
は、上記板状あるいは箔状の物体を、その赤外線の反射
率が8〜13ミクロンの赤外線に対し35パーセント以
上であるようにしたので、赤外域での反射率の高さは必
然的に放射率が低く、また可視光の吸収や反射光が調整
され、可視光に対しては目立たないものとなる。
【0048】また、この発明における赤外線放射抑制体
の使用方法は、赤外線の放射体である車両の外面を赤外
線に対してはその反射率が高く、可視光にて対してこれ
をほとんど吸収するか、あるいは特定の波長の光のみを
所望する反射率で反射するように調整された板状あるい
は箔状の物体により構成した放射抑制体で赤外線放射体
の表面を覆うようにしたので、赤外線の放射体である車
両外面からの赤外域での反射率の高さは必然的に放射率
が低く、また可視光の吸収や反射光が調整され、可視光
に対しては目立たないものとなる。
【0049】また、この発明における赤外線放射抑制体
の使用方法は、1層目が赤外線および可視光を反射する
金属、2層目が赤外線を透過するが可視光に対し不透明
である半導体、3層目が2層目の半導体の可視光の反射
を抑制する誘電体膜である各層をこの順序で順次積層し
た赤外線放射抑制体で赤外線放射体の表面を覆うように
したので、実際に赤外線放射を抑制できる物体を得るこ
とができ、半導体と誘電体膜の材料および誘電体膜の層
数、厚さを調整することで所望する反射率が得られる。
【0050】また、この発明に係る赤外線放射抑制体の
使用方法は、該抑制体を凹凸状あるいは波状に加工した
もので赤外線放射体の表面を覆うようにしたので、その
表面形状が凹凸面あるいは波状面にすることによって可
視光が乱反射を起こし、遠方から該物体によって覆われ
た車両をみた場合に、粗面(つや消し面)に近い面とな
る。
【0051】また、この発明に係る赤外線放射抑制体の
使用方法は、該抑制体の反射光を緑、青、黄、黒のどれ
かとなるように調整し、これらの2種類以上を迷彩とな
るように組合せて構成した抑制体により板状あるいは箔
状の物体により赤外線放射体の表面を覆うようにしたの
で、森林、草木地などの複雑な背景において可視光に対
する隠蔽の効果が高くなる作用がある。
【0052】また、この発明に係る赤外線放射抑制体の
使用方法は、その反射率を高くする赤外線の波長範囲を
少なくとも3〜5ミクロン(μm)もしくは8〜13μ
mのうちの少なくとも一方とするようにした抑制体によ
り赤外線放射体の表面を覆うようにしたので、赤外域で
の反射率の高さは必然的に放射率が低く、また可視光の
吸収や反射光の調整は、可視に対しては目立たないもの
となる。
【0053】また、この発明に係る赤外線放射抑制体の
使用方法は、その反射率が3〜5ミクロン(μm)の赤
外線で、60%以上となるように構成した抑制体により
赤外線放射体の表面を覆うようにしたので、赤外域での
反射率の高さは必然的に放射率が低く、また可視光の吸
収や反射光が調整され、可視光に対しては目立たないも
のとなる。
【0054】さらに、この発明に係る赤外線放射抑制体
の使用方法は、その反射率が8〜13ミクロン(μm)
の赤外線に対し、35%以上となるように構成した抑制
体により赤外線放射体の表面を覆うようにしたので、赤
外域での反射率の高さは必然的に放射率が低く、また可
視光の吸収や反射光が調整され、可視光に対しては目立
たないものとなる。
【0055】また、この発明の赤外線ステルス装置によ
れば、細長い金属板の塗装面が装備品の外観色と同じ色
に塗装され、他方の反射面が赤外線に対しては反射率が
高く、可視光に対しては特定の波長の光のみを特定の反
射率で反射するように処理されているため、移動時は塗
装面を外側にすることによって赤外線の反射面を汚れ、
キズなどから保護し、戦闘時など敵からの察知を防止す
るには、反射面を外側にすることによって車両からの赤
外線放射を抑制できる。しかも、赤外線放射の防止装置
が車両などの側面に取り付けられた場合には金属板が地
表線に垂直の方向から下側を向くように反射面を向け、
また車両などの上部(水平面の方向)に取り付けられた
場合は、金属板の向きを、天候や昼夜の別、敵などの脅
威の所在により塗装面と反射面とを使い分けることがで
きるので、車両からの赤外線放射を抑制すると共に、可
視光に対してのカムフラージュ効果を有し、さらに晴天
時の太陽光下においても高い隠蔽能力を付与できる。
【0056】さらにスダレ状の金属板と熱源となる装備
品とのあいだに反射板を設け該反射板の前記金属板と対
向する面を前記金属板の反射面と同じ構成とすることに
より、前記金属板をどのような角度へ向けても装備品の
熱源から赤外線が外部に洩れることがない。
【0057】また、この発明の赤外線ステルス装置にお
いて、金属シートは赤外線放射体から赤外線を反射する
役割をもち、鏡面にするほどその反射率は増大するため
金属シートからの赤外線放射量が抑制される。その外側
にある半導体膜は赤外線に対して高い透過率を持ち、可
視光に対しては吸収特性を持つ。さらに外側の誘電体膜
はやはり赤外線に対して高い透過率を持ち、可視光に対
して高い吸収特性を持つことによって反射率を小さくす
るか、特定の波長の可視光のみを所望する反射率で反射
するよう調整されている。これらの作用をシート状にし
て持たせているため曲率半径の小さな形状にも張り付け
ることが可能となり、曲率半径の小さな形状にも赤外線
ステルス性能を持たせることを可能にしている。また容
積をあまりとらないことから重ね合わせることができ、
1枚目のシートが赤外線ステルス装置としての機能を果
たさなくなったとしてもそのシートを剥すことによって
容易に対処できる。
【0058】また、金属シートを中心に両側にそれぞれ
半導体膜と誘電体膜を持つ構造にした赤外線ステルス装
置としているため、表裏のどちらの方向においても可視
光の反射率、赤外線の放射率をともに低くとることがで
き、赤外線ステルス装置としての取り扱いが容易にな
る。
【0059】また、金属シートを中心にした表と裏の各
面において、半導体膜の種類と厚みおよび誘電体膜の種
類と厚みと積層数とを組み合わせることによって、可視
光に対する反射率を変えることが可能になり、可視光に
対する背景の変化に対応できるようになる。
【0060】さらに赤外線の放射量を抑える多面体金属
ブロックの各面に、積層する半導体膜の種類と厚みおよ
び誘電体膜の種類と厚みと積層数とを変えることによっ
て多面体ブロックは可視光において反射率が異なる複数
の面を持つことになり、いろいろな場合の背景の変化に
対応できるようになる。
【0061】またこの発明は可視光分光反射光量計にて
背景の分光反射光量を測定し、そのデータを制御器に入
力する。制御器は入力された背景の情報をもとに駆動器
に指令を与え、駆動器は制御器からの指令を受けて多面
体金属ブロックを回転させ最も背景の反射率に近い面が
表に来るように制御する。赤外線の放射を抑制する多面
体金属ブロックの表面には、可視光を吸収し赤外線を透
過する半導体膜、背景に最も近い反射率を有し赤外線を
透過する誘電体膜が積層されていることになるため、赤
外線の放射量が少なくて自己の可視光の反射光量が背景
と等しくなるよう制御できる。
【0062】さらにこの発明は赤外線分光放射光量計と
可視光分光反射光量計を用いて背景における赤外線分光
放射光量と可視光の分光反射量を測定し、その情報を制
御器に入力する。制御器は入力された背景の情報をもと
に赤外線放射器に指令を与え赤外線放射器からの放射量
を制御するとともに駆動器に指令を与え、駆動器は多面
体金属ブロックを回転させて背景反射率と同じ反射率を
持つ面を選択する。これにより背景と同等の可視光の反
射光量、背景と同等の赤外線の放射光量になるよう自己
の反射光量、放射光量を制御できる。
【0063】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の一実施例を図について説明
する。図1はこの発明の一実施例による赤外線放射抑制
体の使用方法を示す図である。図において、1は装甲車
などの戦闘車両、2は赤外線追尾機能が搭載された砲弾
などからの追尾を防止すべく、戦闘車両1の運転時に高
温となるエンジン部などを覆う装甲部分から赤外線が放
射されるのを抑制するために、この部分の装甲表面に装
着される、赤外線放射抑制用の積層構造体、3は積層構
造体2の赤外線放射抑制効果を調べるための赤外線撮像
装置である。
【0064】図1の積層構造体2として、図9に示すよ
うに、例えば基板としての厚さ35μmのアルミニウム
箔201の表面に、装置による真空蒸着法によって半導
体としてシリコン(Si)202を2μmで形成し、誘
電体としてジルコニア(ZrO2 )203を光学膜厚
(=厚さ×屈折率)で125nm、誘電体としてフッ化
マグネシウム(MgF2 )204を光学膜厚で(A)
162nmあるいは(B)121nmとなるように、こ
の順序で順次コーティングすることにより、可視光域に
おける最大の反射率が15%以下で、反射光の色が自然
光下で(A)緑色あるいは(B)青色となるような、赤
外線に対しては反射率が高く、可視光に対しては所望の
反射光が得られる積層構造体を作製した。
【0065】図15はこの積層構造体2を製造するため
の真空蒸着装置を示す。図において、101はその内部
に真空蒸着すべき基板105を収容する真空容器、10
2,103はこの基板105に対し蒸着すべき物質蒸気
を噴出する、蒸着物質ごとに用意されたるつぼ、104
はこのるつぼ102,103を搭載する回動自在なステ
ージであり、基板105に蒸着すべき層の種類に応じて
回動することによりるつぼ102,103を移動させ
る。
【0066】この真空蒸着装置はその真空容器101内
に上述のアルミニウム箔などの基板105を装着し、容
器101の真空引きを行ったのち、るつぼ102,10
3を加熱し、積層すべき層の種類に応じてステージ10
4を回転させて所要の物質蒸気を噴出しているるつぼを
基板105の直下に移動させて、これにより真空蒸着を
行い、その蒸着層が所要の厚さとなったとき、ステージ
104を回転させて、今までのるつぼとは異なる種類の
るつぼを基板105の下に移動させて、その蒸気を基板
105に向けて射出させ、第2層目の蒸着層を形成す
る。以下、同様にして順次異なる種類の蒸着層を形成
し、真空を破ることなく1工程で複数の層からなる蒸着
層を形成する。なお、この真空蒸着装置は後述する各実
施例においてもその積層体の形成に使用されるものであ
る。
【0067】そして、このようにして形成された積層構
造体の赤外線放射の抑制効果については、図1のよう
に、大日本塗料(株)製のポリウレタン系塗料(色番号
2314(OD色7.5Y3/1))で塗装した車体の
車両運転時に高温となるエンジン部等の部位に該積層構
造体を両面テープにより張りつけ、車両外面の温度を積
層構造体についても(A)50℃あるいは(B)70℃
とし、その際の赤外線放射を熱画像としてとらえること
のできる、三菱電機(株)製の赤外線撮像装置(赤外線
感度域3〜5μm)および日本電気三栄(株)製のサー
モトレーサー(赤外線感度域8〜13μ)によって車両
に該製造構造体を張りつけたときと張りつけないときと
で別々に撮像し、これらの撮像装置が示す車両表面のみ
かけ温度の違いによってこれを確認した。
【0068】なお、この積層構造体のはりつけには両面
テープの代わりに接着剤等を使ってもよいが、本積層構
造体はその表面に泥や垢がついた場合、赤外線放射の抑
制効果が著しく劣化するため、容易にとりかえられるも
のを使用することが望ましい。また赤外線放射の抑制効
果の確認には赤外線の感度域が3〜5μmおよび8〜1
3μmにある赤外線撮像装置を用いているが、戦闘車両
の検知には通常、「大気の窓」といわれる3〜5μmか
8〜12μmに感度域を有するものを使うため、本発明
の目的が達成できるか否かは本実施例の波長域での抑制
効果を確認するだけで十分といえる。
【0069】また、この積層構造体の可視光および赤外
域における分光反射率は、(株)島津製作所製の自記分
光光度計および(株)堀場製作所製のフーリエ変換赤外
分光光度計によってそれぞれ測定した。
【0070】実施例2.図1の積層構造体2として、図
10に示すように、例えば厚さ35μmのアルミニウム
箔201の表面に真空蒸着法によって半導体としてゲル
マニウム(Ge)205を厚さ1μmで形成し、次い
で、誘電体としてチタニア(TiO2 )206を光学膜
厚で110nm、誘電体としてシリカ(SiO2 )20
7を光学膜厚で150nmとなるように、それぞれをこ
の順序で実施例1と同様の真空蒸着法により順次コーテ
ィングすることによって、可視光域における最大の反射
率が20%以下で反射光の色が黄色となるような、赤外
線に対しては反射率が高く、可視光に対しては所望の反
射光が得られる積層構造体を作製した。
【0071】該積層構造体の赤外線放射の抑制の効果お
よび可視光、赤外光における反射率は実施例1と同様の
方法によって調べた。
【0072】実施例3.図1の積層構造体2として、図
11に示すように、例えば厚さ35μmのアルミニウム
箔201の表面に、真空蒸着法によってゲルマニウム
(Ge)205を厚さ1μmで形成し、次いで、誘電体
として硫化亜鉛(ZnS)208を光学膜厚で(A)9
4nmまたは(B)122nmまたは(C)153nm
のいずれかとなるように、それぞれをこの順序で真空蒸
着法により順次コーティングすることによって、可視光
域における最大の反射率が50%以下で反射光の色が
(A)橙色または(B)紫色または(C)青色となるよ
うな、赤外線に対しては反射率が高く、可視光に対して
は所望の反射光が得られる積層構造体を作製した。
【0073】該積層構造体の赤外線放射の抑制の効果お
よび可視光、赤外光における反射率は実施例1と同様の
方法によって調べた。
【0074】実施例4.図1の積層構造体2として、図
12に示すように、図9に示す厚さ35μmのアルミニ
ウム箔201に代えてその蒸着する面を鏡面に仕上げた
厚さ1nmのアルミニウム板211を用いるようにした
ことの他は、実施例1と同様の方法で、同様の層をコー
ティングすることにより、赤外線に対しては反射率が高
く、可視光に対しては所望の反射光が得られる積層構造
体を作製した。
【0075】該積層構造体の赤外線放射の抑制の効果
は、該構造体をボルトで車体外面に取り付けることの他
は、実施例1と同様の方法によって調べた。また該積層
構造体の可視光、赤外光における反射率は実施例1と同
様の方法によって調べた。
【0076】実施例5.図1の積層構造体2として、図
13に示すように、バルクの半導体、即ち、両面を鏡面
に仕上げた厚さ2mmのアルミニウム板215の片面に
実施例2と同じ方法で誘電体としてチタニア206とシ
リカ207をコーティングし、その反対側の面に真空蒸
着法により金属としてのモニブデン(Mo)212を5
00nmコーティングすることによって、赤外線に対し
ては反射率が高く、可視光に対しては所望の反射光が得
られる積層構造体を作製した。
【0077】該積層構造体の赤外線放射の抑制の効果
は、実施例4と同様の方法によって、また可視光、赤外
光における反射率は実施例1と同様の方法によって調べ
た。
【0078】実施例6.図1の積層構造体2として、図
14に示すように、成膜する面を鏡面に仕上げた厚さ1
mmのアルミニウム板221に、CVD法によってシリ
コン222を4μm、真空蒸着法によって誘電体として
硫化ひ素(As23 )223を光学膜厚で136n
m、誘電体としてジルコニア224を光学膜厚で134
nm、誘電体としてフッ化マグネシウム225を光学膜
厚で138nmを、それぞれこの順序でコーティングす
ることによって、可視光域における最大の反射率が5%
以下となりほとんど可視光を吸収し黒色となるような、
赤外線に対しては反射率が高く、可視光に対しては所望
の反射光が得られる積層構造体を作製した。
【0079】該積層構造体の赤外線放射の抑制の効果
は、実施例4と同様の方法によって、また可視光、赤外
光における反射率は実施例1と同様の方法によって調べ
た。
【0080】実施例7.図1の積層構造体2として、実
施例1によって作製した箔状の積層構造体に一旦しわを
入れてこれを適度に伸ばすことにより凹凸面状とした積
層構造体を作製した。この凹凸面状となった積層構造体
の赤外線放射の抑制の効果は、実施例1と同様の方法に
よってこれを確認した。
【0081】また可視光に関しては、これがその凹凸面
により乱反射されるので、目視にて該積層構造体がはり
つけられた車両を見た場合、10〜30mの至近距離で
は若干のぎらつきが残るが、50m以上ではぎらつきを
感じることはなく、視認のしづらさが向上できているこ
とを確認した。
【0082】ここで、この箔状の積層構造体は容易に塑
性変形するので、凸状の細かい突起が凹状の細かい穴を
並べた板の上に該積層構造体を置き、上から軽く押し付
けることなどによってその表面に凹凸を与えるようにし
てもよい。
【0083】実施例8.また、図1の積層構造体2に相
当するものとして、実施例4によって作製した板状の積
層構造体を、20cm角に切断し、これをさらにプレス
機によりその形状を波状に変形させることにより、波状
の積層構造体を作成し、この波状の積層構造体を図2に
示すように波の向きがランダムになるように組み合わせ
て車両にとりつけることにより赤外線放射抑制体4を作
製した。そして、この波の向きがランダムになるように
組み合わせて車両にとりつけた赤外線放射抑制体の赤外
線放射の抑制の効果を、実施例4と同様の方法によって
確認した。
【0084】また、可視光に関しては、これがその波状
面より乱反射されるので、目視にて該積層構造体がとり
つけられた車両を見た場合、50m以内の距離では若干
のぎらつき感が残るが、70m以上ではぎらつきを感じ
ることはなく、視認のしづらさが向上していることを確
認した。
【0085】実施例9.さらに、図1の積層構造体2に
相当するものとして、実施例1で作製した反射光が緑色
および青色となる箔状の積層構造体と、実施例2で作製
した反射光が黄色となる箔状の積層構造体を、それぞれ
不規則に裁断し、図3のように迷彩となるように両面テ
ープによって車両にはりつけることにより、赤外線放射
抑制体5,6,7からなる赤外線放射抑制体8を作製し
た。そして、この迷彩となるように作製した赤外線放射
抑制体の赤外線放射の抑制の効果を、実施例1と同様の
方法によって確認した。
【0086】また、該赤外線放射抑制体をはりつけた車
両を森林中に置き、目視により該車両を観察することに
より、車体を迷彩色としたことにより視認のしづらさが
向上していることを確認した。
【0087】実施例1から実施例9の赤外線放射の抑制
の効果については、これを表1、表2にまとめた。表1
は車体外面の温度を70℃とし、赤外線撮像装置で直接
車体を見たときと各実施例の積層構造体を車体にとりつ
けたときとの赤外線撮像装置が示す見かけの温度をそれ
ぞれ示した。また、表2は車体外面の温度を50℃とし
たときの赤外線撮像装置が示すみかけの温度を示した。
なお、本積層構造体は車体に完全に接しているため、車
体と同じ温度になっており、また、このときの大気温は
どちらも26.0℃であった。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】表1、表2から明らかなように、本発明の
各実施例はこれにより戦闘車両を覆うことによって車両
から発する赤外線放射を反射して、車両から外部に放射
するのを抑制できる効果があることがわかる。
【0091】また、実施例1〜6の積層構造体の可視光
380nmから780nmの分光反射率は図4、図5、
図6に、赤外線3μmから13μmの分光反射率は図
7、図8に示した。さらにこのときの可視光での最大反
射率と自然光下での反射光の色を表3にまとめた。
【0092】
【表3】
【0093】この、表3と図4、図5、図6から明らか
なように、本発明の各実施例による積層構造体の可視光
で不透明な半導体とその表面にコーティングする誘電体
膜を調整することによって、可視光をほとんど吸収する
か(実施例6)、あるいは所望する反射率と反射光の色
が得られる(実施例1ないし実施例5)効果があること
がわかる。
【0094】また、図7、図8に示すように、波長3〜
13μmの赤外線で高い反射率が得られていることは、
間接的に波長3〜5μm、8〜12μm域での赤外線放
射率が小さいことを示唆している。
【0095】従って、本発明の各実施例による積層構造
体を直接車両の高温となる部位に直接接するように装着
し、この積層構造体自身の温度が上昇したとしても、こ
の積層構造体自体から赤外線が放射されることは少な
く、従って、本発明の各実施例によれば、空冷や水冷な
どの冷却を行うことなく、車両からの赤外線放射を抑制
することが可能になるという、実用上多大なる効果が得
られる。
【0096】なお、上記各実施例では戦闘車両のエンジ
ン部のみに適用する場合のみについて示したが、その全
体を覆うようにしてもよく、より確実に赤外線放射を抑
制できる。
【0097】また、本発明は戦闘車両だけでなく、船
舶、ヘリコプター等に対してもこれを適用可能であるこ
とはいうまでもない。なお、この場合、戦闘車両の場合
と同様、船舶、ヘリコプター等の全体を覆うようにして
もよいが、高温となる部位であるその排気筒を覆うだけ
でも充分な効果が得られる。
【0098】図16はこの発明の赤外線ステルス装置の
一実施例を示す説明図、図17はこの発明の赤外線放射
の防止装置を車両に取り付けた例を示す説明図、図18
はこの発明の赤外線ステルス装置の他の実施例を示す説
明図、図19は金属板の反射面の可視光に対する反射率
を示すグラフ、図20は金属板の反射面の赤外線に対す
る反射率を示すグラフである。
【0099】つぎに、図面を参照しながらこの発明につ
いて詳しく説明する。この発明の赤外線ステルス装置は
図16に示すように、細長い金属板9の一方の面が、例
えば軍用車両など、本装置を装着する赤外線を放射する
装備品に着色する通常の塗装と同じ色(例えば緑色、黄
色、青色など)に塗装され(以下、塗装面という)、他
方の面が赤外線に対しては反射率が高く、可視光に対し
ては特定の波長の光のみを特定の反射率で反射するよう
に処理された(以下、反射面という)ものがスダレ状に
配列されるとともに、この金属板9にその長辺と平行に
固定された回転軸15が支持枠16により支持されて、
該回転軸15を回転させるように駆動装置10が設けら
れたものである。この装置はスダレ状の金属板9が、例
えば車両のエンジン部など高温になり、赤外線を放射し
易い部分を覆うように取り付けられ、車両など装備品か
らの赤外線放射を防止することにより、敵などからの察
知を防止するものである。
【0100】本装置は金属板9の回転により、車体の外
側を塗装面にしたり反射面にしたりすることができる。
反射面は、例えば吉田貞史著「太陽熱コレクター用選択
吸収面」応用物理第45巻第5号に開示されているよう
に、アルミニウム(A1)−ゲルマニウム(Ge)−一
酸化ケイ素(SiO)の3層構造にすることによって、
赤外線の反射率は高く、可視光の反射率を低くすること
ができる。
【0101】アルミニウム層はベースメタルとして用い
るもので、蒸着膜のような薄膜から、取り扱いの容易な
0.5〜15mm程度の厚さのアルミニウム板を使用す
ることができるが、アルミニウム以外にも赤外線に対し
て高い反射率を有する金属であればよく、ステンレス、
モリブデン、タングステンなどの金属板でも同様に赤外
線の反射率が高く、可視光の反射率が低い反射面を形成
できる。また、ゲルマニウムは例えば蒸着法、CVD
法、スパッタ法などにより200〜30000Åの厚さ
に設けられ、さらに一酸化ケイ素は例えば蒸着法、スパ
ッタ法などで、500〜720Åの厚さに設けられる。
【0102】前記ゲルマニウム層は可視光に対して不透
明で、赤外線に対して透明であればよく、ゲルマニウム
以外にもシリコン、テルル化鉛、ヒ化インジウムなどの
可視光に対し不透明な半導体材料を、単層または複数層
にして使用することができる。また、前記一酸化ケイ素
層は前記半導体層に対する可視光域での反射防止膜の目
的で使用するもので、これ以外にジルコニア、フッ化マ
グネシウム、チタニア、酸化タンタル、硫化亜鉛、イッ
トリアなどの誘電体材料を単層または複数層にして使用
することができ、多層化することによって分光反射率を
比較的自由に調整することができる。このような反射面
は、赤外線の反射率が高いため、必然的に放射率は低
く、また可視光の反射率をコントロールすることにより
可視光でのカムフラージュ効果も高い。
【0103】一方、塗装面は敵などに見つからないよう
にカムフラージュするもので、車両など本装置が装着さ
れる装備品の外装塗料の色などと同じ色の塗料が塗布さ
れ、特に陸上などの環境の色と同種の色である黄色とか
緑色や、海上での青色などの色にされる。
【0104】この一方の面が反射面とされ、他方の面が
塗装面とされた細長い金属板9は、例えば図16に示す
ように、長辺に平行な線を軸として回転するように、回
転軸15を金属板9の中心部に設け、その両端部は軸受
けで受けて回転できるように支持され、複数枚が連続す
るようにスダレ状に配列され、ギヤ11を介してサーボ
モータなどの駆動装置10により、全部の金属板9が同
時に同じ方向に回転するように構成されている。なお、
12は車両など装備品の外壁である装甲板である。
【0105】例えば、図17に示すように、この発明の
装置13を備えた車両1は、移動時においては塗装面を
外側にすることによって反射面の汚れ、キズなどから保
護することができ、また戦闘時においては反射面を外側
にすることによって車両1からの赤外線放射を抑制して
敵に察知されるのを防止できる。ただし、晴天時はすで
に述べた太陽光の反射が問題となるため、運用において
は以下のように設定する必要がある。まず、車両1側面
に本装置13が設けられているときは金属板9の反射面
を地表線に垂直な方向(水平線に90゜)から少し地表
側に向けておく。こうすることによって反射面を照らす
太陽光はすべて地表面に当たるだけで遠方に到着するこ
とはない。また反射面が遠方に発散する光は、地表から
の赤外線と可視光のみであるため、カムフラージュ効果
は極めて高い。このような金属板の角度制御には、車両
1に傾斜計を備えることによって車両1が地表面に対し
てどれだけ傾斜しているかを検出し、金属板9の角度の
調整を行うことによってより完全なものとなる。つぎに
車両1上部に取り付けられた本装置13については、曇
天時や夜間は太陽光の反射の問題がないため反射面が外
側でよいが、晴天時は上空からの脅威(例えば飛行機、
ヘリコプターなど)がない場合や、太陽が高い位置にあ
る場合には反射面を外側にすることもできるが、それ以
外は車両1からの赤外線の放射の問題があっても、察知
されやすい太陽の反射光を地表遠方に向けることを避け
るために、塗装面を外側にするといった、運用上の使い
分けが必要となる。ただし、上部が塗装面であっても大
部分の脅威は地表面にあるか、遠方の低高度にある場合
が多く、側面のみのカムフラージュであっても赤外線放
射防止の効果は大きい。
【0106】また、スダレ状の金属板9を回転させると
きや金属板を水平線に垂直方向から比較的大きく下を向
けるときに、金属板と金属板のあいだに透き間が生じる
が、このときの車両からの赤外線放射の漏れを防止する
ために、図18に示すように前述の金属板9の反射面と
同等の特性を有し、かつ、前記車両などの高温部を覆う
反射板14の上に前述の防止装置を取り付けてもよい。
こうすることによって、車両などにはりつけられた反射
板14による太陽光の反射については敵の方向に反射さ
せないなどの工夫が必要であるが、車両など装備品の高
温部からの赤外線が、金属板9の傾きによる透き間から
漏れ出る赤外線放射を効率よく抑制できる。
【0107】つぎに具体的な実施例について、さらに詳
細に説明する。
【0108】実施例10.厚さ3mmの細長いアルミニ
ウム板の片面を鏡面に研磨し、この研磨面に真空蒸着法
によりシリコン(Si)を厚さ2000nm、ジルコニ
ア(ZrO2 )を光学膜厚(厚さ×屈折率)で125n
m、フッ化マグネシウム(MgF2 )を光学膜厚で16
2nm、この順序でコーティングすることにより、可視
光域における最大の反射率が15%以下で、反射光の色
が自然光下で緑色となり、赤外線に対しては反射率が高
く、可視光に対しては所望の反射率である反射面を形成
した。このアルミニウム板の反対側の面には、大日本塗
料株式会社製ポリウレタン系塗料(色番号2314(O
D色7.5Y3/1))で塗装を行い、塗装面とした。
【0109】このようにして両面をコーティング処理し
たアルミニウム板9を、図16に示すようにスダレ状に
配置し、回転軸15にギヤ11を介してサーボモータ
(駆動装置)10を設け、すべてのアルミニウム板9が
同一方向に、同時に、回転できるようにした。
【0110】この装置13を、図17に示すように隠蔽
する車両1の側面と上面に取り付け、金属板9の回転を
前述のように操作することにより、赤外線の放射を防止
する装置とした。
【0111】本実施例による赤外線ステルス装置の反射
面における可視光および赤外線の反射率を測定した結果
を図19〜図20に示す。波長が380nmから780
nmの可視光に対しての分光反射率は図19のAで、波
長が3μmから13μmの赤外線に対する分光反射率を
図20のAに示した。図20に示される波長が3〜13
μmの赤外線で高い反射率80〜100%であること
は、前述のキルヒホッフの法則により3〜13μmの波
長での赤外線放射率が小さいことを示している。
【0112】実施例11.厚さ3mmの細長いアルミニ
ウム板の研磨面に、真空蒸着法によってゲルマニウム
(Ge)を厚さ1000nm、チタニア(TiO2 )を
光学膜厚で110nm、シリカ(iO2 )を光学膜厚で
150nm、この順序でコーティングすることにより、
可視光域における最大の反射率が20%以下で、反射光
の色が黄色となり、赤外線に対しては反射率が高く、可
視光に対しては所望の反射率である反射面を形成した。
アルミニウム板9の反対側の面は実施例10と同様の方
法によって塗装面とした。
【0113】本実施例による赤外線放射防止装置の反射
面における、波長が380nmから780nmの可視光
および波長が3μmから13μmの赤外線に対する分光
反射率を実施例10の場合と同様に測定し、それぞれ図
19、図20にBとして示した。本実施例の場合も実施
例10の場合とほぼ同様に反射率を示し、実施例10と
同様に波長が3〜13μmの赤外線放射率が小さいこと
を示している。
【0114】実施例12.比較的大きなアルミニウム板
の片面を鏡面に研磨し、この研磨面に真空蒸着法によっ
て実施例10の反射面と同じ方法で赤外線に対しては反
射率が高く、可視光に対しては所望の反射率である反射
面とする反射板を形成して車両にはりつけた。この上
に、図18に示すように、実施例10に記載した赤外線
ステルス装置を取り付けることにより、赤外線を隠蔽す
る装置とした。本実施例によれば、太陽光の反射光によ
る探知を避けるためスダレ状金属板の反射面をやや下側
に向けて地表に太陽光を反射させる際に、金属板同士の
あいだにできる透き間から車両の発熱部により発生する
赤外線の放射を防止するのに効果がある。
【0115】前記各実施例では、反射面における可視光
での発色光の色を緑色、黄色とすることによって、陸上
の車両に対するカムフラージュ効果を高めているが、青
色系の反射色とすることにより、船舶などにおいても適
用可能であり、誘電体膜の材料、組合せ、膜厚などを調
整することにより任意の反射光に調整できる。
【0116】実施例13.図21は、戦車に応用した赤
外線ステルス装置の一例である。砲身71の外側に厚さ
35μmの金属シート(アルミ箔)201、厚さ1μm
の半導体膜a(Ge)205、厚さ110nmの誘電体
膜a(TiO2 )206、厚さ146nmの誘電体膜b
(SiO2 )207がこの順に積層されている。これに
よって可視光領域における最大の反射率が20%以下
で、反射光の色が緑色を発する。また赤外線放射量は、
70℃のものが3〜5μm帯では見かけ上36℃に、8
〜13μm帯では見かけ上34℃に抑制される。これは
金属シート(アルミ箔)201が高い赤外線反射体であ
り、半導体膜膜a(Ge)205、誘電体膜a(TiO
2 )206、誘電体膜b(SiO2 )207が高い赤外
線透過材料であるためである。このため、射撃をするこ
とにより高い熱を持つ砲身からの赤外線放射が抑えられ
るとともに可視光においてもその反射が少なくなり、人
間の眼、可視カメラ、3〜5μm帯の赤外線撮像装置、
8〜13μm帯の赤外線撮像装置により発見されにくく
なる。また、戦車における砲塔72および戦闘車両1に
は赤外線を反射させる金属ブロック(鉄)17の両側に
可視光を吸収し赤外線を透過する半導体膜a(Ge)2
05、その外側に可視光を反射し赤外線を透過する誘電
体膜a(TiO2 )206とb(SiO2 )207が積
層されたものを張り付けている。これにより、人間の
眼、可視カメラ、3〜5μm帯の赤外線撮像装置、8〜
13μm帯の赤外線撮像装置により発見されにくくなる
だけでなく金属ブロック(鉄)17を用いていることか
ら戦車としての防弾性能が向上するという利点を持って
いる。しかも金属ブロック(鉄)17の両側に同じ機能
をもたせているため、取り付けるときに表裏を間違えて
取り付ける可能性を少なくしている点にも特徴がある。
【0117】実施例14.図22は戦車に応用した赤外
線ステルス装置の他の例である。厚さ35μmの金属シ
ート(アルミ箔)201の片側に厚さ1μmの半導体膜
a(Ge)205、厚さ110nmの誘電体膜a(Ti
2 )206、厚さ146nmの誘電体膜b(SiO
2 )207がこの順に積層してあり、さらにもう片方に
厚さ1μmの半導体膜a(Ge)205、厚さ94nm
の誘電体膜c(ZnS)208が積層されたシートにな
っている。このシートは戦車からの赤外線放射を抑え、
1つの面は緑色にその裏面は橙色になっているため、背
景が植物の場合と土の場合にシートの面を変えるだけ
で、背景の色と類似の色にすることができる。これを戦
闘車両1全体に被せることにより人間の眼、可視カメ
ラ、赤外線撮像装置に対してステルス性能を持たせるこ
とが可能になる。このシートの特徴は、シートの表と裏
に2種類の可視光反射率を持った赤外線ステルス性能を
持たせている点で、これにより2種類の背景の色の変化
に対応できるようになる。
【0118】実施例15.図23は赤外線の放射を抑
え、6種類の背景の色の変化に対応できる赤外線ステル
ス装置の一例である。本装置は中央に赤外線の放射を抑
える多面体金属ブロック170を備えているため、どの
面から赤外線が入射しても多面体金属ブロック170で
反射して入射した面の反対側の面からはほとんど赤外線
が放射されない構造となっている。多面体金属ブロック
170は、厚さ35μmの金属シート(アルミ箔)20
1に厚さ1μmの半導体膜a(Ge)205、厚さ11
0nmの誘電体膜a(TiO2 )206、厚さ146n
mの誘電体膜b(SiO2 )207の順で積層された最
大反射率が20%の緑色の面170a、厚さ1μmの半
導体膜a(Ge)205に厚さ94nmの誘電体膜c
(ZnS)208が積層され最大反射率が50%の橙色
の面170b、厚さ1μmの半導体膜a(Ge)205
に厚さ122nmの誘電体膜c(ZnS)208が積層
され最大反射率が50%の紫色の面170c、厚さ1μ
mの半導体膜a(Ge)205に厚さ153nmの誘電
体膜c(ZnS)208が積層され最大反射率が50%
の青色の面170d、厚さ7μmの半導体膜b(Si)
202に厚さ121nmの誘電体膜f(ZrO2 )20
3に厚さ162nmの誘電体膜g(MgF2 )204が
積層され最大反射率が15%の暗緑色の面170e、厚
さ10μmの半導体膜c(Si)202に厚さ136n
mの誘電体膜h(As23 )223に厚さ134nm
の誘電体膜i(ZrO2 )203に厚さ138nmの誘
電体膜j(MgF2 )204が積層され最大反射率が8
%以下のほとんど可視光を吸収する面170fという特
徴を持つ6つの面からできている。六角形をした本装置
は六角形の中心軸Gを中心に回転できるようになってい
るため背景の色と類似の面を合わせることにより、赤外
線に対しては多面体金属ブロック170が赤外線の反射
を抑え、可視光に対しては多面体金属ブロック170の
持つ6種類の反射率の違う面を用いて6種類の背景の色
への対応が可能である。
【0119】実施例16.図24は背景の色の変化に自
動的に対応できる赤外線ステルス装置の例である。可視
光分光反射光量計21は、背景の分光反射光量を測定し
制御器a22に背景の分光反射情報を与える。分光反射
情報を得た制御器a22は駆動器a23に指令を与え、
六角形の多面体金属ブロック170の6つの面の中で最
も背景に近い可視光反射率をもった面が表面に来るよう
多面体金属ブロック170を回転させる。これによって
自己のもつ可視光反射量を、背景の変化にともない常に
背景の可視光反射量との差が小さくなるよう自動的に制
御することができる。ここで、六角形の多面体金属ブロ
ック170は赤外線の放射を抑える機能を持ち、また多
面体金属ブロック170の各面には可視光を吸収し赤外
線を透過する半導体膜、可視光の反射を抑える誘電体膜
が積層されており、6種類の可視光反射率を持つよう設
計されている。これにより赤外線の放射を抑え、6種類
背景の違いに対応できる赤外線ステルス装置を実現でき
る。
【0120】実施例17. 図25は背景の可視光反射量、赤外線の放射量に変化に
対応できるようにした赤外線ステルス装置の一例であ
る。赤外線ステルス装置して重要なのは背景との差をな
くすことであり、赤外線分光反射光量計24で背景の赤
外線分光放射光量を測定し、可視光分光反射光量計21
で背景の可視光の分光反射量を測定する。測定された背
景の分光放射光量と分光反射光量は制御器b25に入力
され、このデータから制御器b25は赤外線放射器26
と駆動器b27を制御する。自己の赤外線放射量および
可視光反射量と背景の赤外線放射量および可視光反射量
との差をなくすために、駆動器b27は六角形の多面体
金属ブロック170を回転させて背景の反射率に最も近
い反射率を持った面が表面に来るようにする。また多面
体金属ブロック170は赤外線放射率が低いため、赤外
線放射器26からの赤外線放射量を制御することによっ
て多面体金属ブロック170の表面からの赤外線放射量
を背景からの赤外線放射量と等しくなるようにする。こ
れにより、自動的に背景の可視光反射量、赤外線の放射
量に変化に対応できるようにした赤外線ステルス装置が
可能になる。なお、六角形の多面体金属ブロック170
は赤外線の放射を抑える機能を持ち、また多面体金属ブ
ロック170の各面には可視光を吸収し赤外線を透過す
る半導体膜、可視光の反射を抑える誘電体膜が積層され
ており、6種類の可視光反射率を持つよう設計されてい
る。
【0121】
【発明の効果】以上のように、この発明に係る赤外線放
射抑制体によれば、赤外線に対しては反射率が高く、可
視光に対してはほとんど吸収するか、あるいは特定の波
長の光のみを所望する反射率で反射するように調整され
た板状あるいは箔状の物体によりこれを構成するように
したので、赤外線での反射率の高さは必然的に放射率が
低く、また可視光の吸収や反射光の調整は、可視に対し
ては目立たないものとなる効果がある。
【0122】また、この発明に係る赤外線放射抑制体に
よれば、1層目が赤外線および可視光を反射する金属、
2層目が赤外線を透過するが可視光に対し不透明である
半導体、3層目が2層目の半導体の可視光の反射を抑制
する誘電体膜である各層をこの順序で順次積層するよう
にしたので、このような構成とすることによって実際に
赤外線放射抑制体を得ることができ、半導体と誘電体膜
の材料および誘電体膜の層数、厚さを調整することで所
望する反射率が得られる効果がある。
【0123】また、この発明に係る赤外線放射抑制体に
よれば、これを構成する板状あるいは箔状の物体を凹凸
面あるいは波状面にすることによって可視光の乱反射を
起こさせるようにしたので、遠方から該物体によって覆
われた車両をみた場合に、粗面(つや消し面)に近い面
となる効果がある。
【0124】また、この発明に係る赤外線放射抑制体に
よれば、これを構成する板状あるいは箔状の物体を、こ
の物体のその反射光が緑、青、黄、黒のどれかとなるよ
うに調整したものの2種以上を迷彩となるように組合せ
て構成するようにしたので、森林、草木地などの複雑な
背景において可視光に対する隠蔽の効果が高くなる作用
がある。
【0125】また、この発明に係る赤外線放射抑制体に
よれば、上記板状あるいは箔状の物体を、その反射率を
高くする赤外線の波長範囲が少なくとも3〜5ミクロン
(μm)もしくは8〜13μmのうちの少なくとも一方
となるようにしたので、赤外域での反射率の高さは必然
的に放射率が低く、また可視光の吸収や反射光の調整
は、可視に対しては目立たないものとなる効果がある。
【0126】また、この発明に係る赤外線放射抑制体に
よれば、上記板状あるいは箔状の物体を、その反射率が
3〜5ミクロンの赤外線で60パーセント以上であるよ
うにしたので、赤外域での反射率の高さは必然的に放射
率が低く、また可視光の吸収や反射光の調整は、可視光
に対しては目立たないものとなる効果がある。
【0127】また、この発明に係る赤外線放射抑制体に
よれば、上記板状あるいは箔状の物体を、その反射率が
8〜13ミクロンの赤外線に対し35パーセント以上で
あるようにしたので、赤外域での反射率の高さは必然的
に放射率が低く、また可視光の吸収や反射光の調整は、
可視に対しては目立たないものとなる効果がある。
【0128】また、この発明に係る赤外線放射抑制体の
使用方法によれば、赤外線の放射体である車両の外面を
赤外線に対してはその反射率が高く、可視光に対しては
これをほとんど吸収するか、あるいは特定の波長の光の
みを所望する反射率で反射するように調整された板状あ
るいは箔状の物体により構成した放射抑制体で赤外線放
射体の表面を覆うようにしたので、赤外線の放射体であ
る車両外面からの赤外域での反射率の高さは必然的に放
射率が低く、また可視光の吸収や反射光の調整は、可視
に対しては目立たないものとなる効果がある。
【0129】また、この発明に係る赤外線放射抑制体の
使用方法によれば、1層目が赤外線および可視光を反射
する金属、2層目が赤外線を透過するが可視光に対し不
透明である半導体、3層目が2層目の半導体の可視光の
反射を抑制する誘電体膜である各層をこの順序で順次積
層した赤外線放射抑制体で赤外線放射体の表面を覆うよ
うにしたので、実際に赤外線放射を抑制できる物体を得
ることができ、半導体と誘電体膜の材料および誘電体膜
の層数、厚さを調整することで所望する反射率が得られ
る効果がある。
【0130】また、この発明に係る赤外線放射抑制体の
使用方法によれば、該抑制体を凹凸状あるいは波状に加
工したもので赤外線放射体の表面を覆うようにしたの
で、その表面形状が凹凸面あるいは波状面にすることに
よって可視光が乱反射を起こし、遠方から該物体によっ
て覆われた車両をみた場合に、粗面(つや消し面)に近
い面となる効果がある。
【0131】また、この発明に係る赤外線放射抑制体の
使用方法によれば、該抑制体の反射光を緑、青、黄、黒
のどれかとなるように調整し、これらの2種類以上を迷
彩となるように組合せて構成した抑制体により板状ある
いは箔状の物体により赤外線放射体の表面を覆うように
したので、森林、草木地などの複雑な背景において可視
光に対する隠蔽の効果が高くなる。
【0132】また、この発明に係る赤外線放射抑制体の
使用方法によれば、その反射率を高くする赤外線の波長
範囲を少なくとも3〜5ミクロン(μm)もしくは8〜
13μmのうちの少なくとも一方とするようにした抑制
体により赤外線放射体の表面を覆うようにしたので、赤
外域での反射率の高さは必然的に放射率が低く、また可
視光の吸収や反射光の調整は、可視に対しては目立たな
いものとなる効果がある。
【0133】また、この発明に係る赤外線放射抑制体の
使用方法によれば、その反射率が3〜5ミクロン(μ
m)の赤外線で、60%以上となるように構成した抑制
体により赤外線放射体の表面を覆うようにしたので、赤
外域での反射率の高さは必然的に放射率が低く、また可
視光の吸収や反射光が調整され、可視光に対しては目立
たないものとなる効果がある。
【0134】さらに、この発明に係る赤外線放射抑制体
の使用方法によれば、その反射率が8〜13ミクロン
(μm)の赤外線に対し、35%以上となるように構成
した抑制体により赤外線放射体の表面を覆うようにした
ので、赤外域での反射率の高さは必然的に放射率が低
く、また可視光の吸収や反射光が調整は、可視光に対し
ては目立たないものとなる効果がある。
【0135】また、この発明による赤外線ステルス装置
は、移動時は塗装面を外側にすることによって反射面を
保護し、戦闘時には、車両の側面に取付けた金属板につ
いては水平線に垂直方向から下側を向くように反射面を
向け、車両上部に設けられた金属板については天候や昼
夜の別、敵など脅威の所在により塗装面と反射面を使い
分けることができるため、車両など赤外線を放射する高
温部を有する装備品からの赤外線放射を抑制するととも
に、可視光に対してのカムフラージュ効果を合わせも
ち、さらに晴天時の太陽光下においても高い隠蔽能力を
付与できる効果がある。
【0136】また、この発明に係る赤外線ステルス装置
は、金属シートの両側に半導体膜、さらにその外側に誘
電体膜というように金属シートの両側に同等の赤外線ス
テルス性能を持たせたシート形状にすることにより、車
両等への張り付けや曲率半径の小さな形状への張り付け
が容易になるとともに取り扱いが容易になる効果があ
る。
【0137】さらに、この発明は、金属シート上に半導
体膜、その上に誘電体膜という構成にし、金属シートの
表面と裏面において、可視光の反射率が異なるように半
導体膜と誘電体膜を積層したシートにしたため、車両等
への張り付けや曲率半径の小さな形状への張り付けが容
易、取り扱いが容易になる他に、2種類の背景の反射率
の違いに対応できるという効果がある。
【0138】また、この発明は、可視光を吸収して赤外
線を透過する半導体膜、さらに可視光においていろいろ
な反射率を持つよう設計され赤外線を透過する誘電体膜
が、それぞれ赤外線の放射を抑制する多面体ブロックの
各面に積層されている。このため赤外線放射体からの赤
外線放射量を抑え、背景の持ついろいろな色の変化に対
応できるという効果がある。
【0139】さらにこの発明は、背景の可視光反射光量
を可視光分光反射光量計にて測定し、その結果から背景
の反射率に最も近い反射率を算出して駆動器に指令する
制御器、多面体金属ブロックの外面にでてる面が背景の
反射率に最も近い反射率を持つ面になるように駆動する
駆動器を持つことによって、背景の変化に自動で対応で
きるという効果がある。
【0140】またこの発明は、背景の持つ分光放射光量
と分光反射光量を測定する赤外線分光放射光量計、可視
光分光反射光量計をもち、背景の赤外線放射量と等しい
赤外線を多面体ブロックの外面から放射するようにする
赤外線放射器、多面体金属ブロックの外面にでてる面が
背景の反射率に最も近い反射率を持つ面になるように駆
動する駆動器、全体を制御する制御器を持つことによっ
て、自己から放つ赤外線放射量と可視光反射量を背景の
持つ赤外線放射量と可視光反射量に等しくするよう制御
できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の各実施例による赤外線放射の抑制の
効果を調べる配置図である。
【図2】この発明の第7の実施例による波状の積層構造
体の取付法を示す図である。
【図3】この発明の第8の実施例による積層構造体を迷
彩状にしてはりつけた状態を示す図である。
【図4】この発明の第1、第4の実施例の可視光域での
分光反射率を示す図である。
【図5】この発明の第3の実施例の可視光域での分光反
射率を示す図である。
【図6】この発明の第2、第5、第6の実施例の可視光
域での分光反射率を示す図である。
【図7】この発明の第1、第2、第3、第4の実施例の
赤外域での分光反射率を示す図である。
【図8】この発明の第5、第6の実施例の赤外域での分
光反射率を示す図である。
【図9】この発明の第1の実施例の積層構造体の断面構
造を示す図である。
【図10】この発明の第2の実施例の積層構造体の断面
構造を示す図である。
【図11】この発明の第3の実施例の積層構造体の断面
構造を示す図である。
【図12】この発明の第4の実施例の積層構造体の断面
構造を示す図である。
【図13】この発明の第5の実施例の積層構造体の断面
構造を示す図である。
【図14】この発明の第6の実施例の積層構造体の断面
構造を示す図である。
【図15】この発明の各実施例の積層構造体を製造する
のに用いられる真空蒸着装置の概念図である。
【図16】この発明の赤外線ステルス装置の一実施例を
示す図である。
【図17】この発明の赤外線ステルス装置を車両に取り
付けた実施例を示す図である。
【図18】この発明の赤外線ステルス装置の他の実施例
を示す図である。
【図19】金属板の反射面の可視光に対する反射率を示
すグラフである。
【図20】金属板の反射面の赤外線に対する反射率を示
すグラフである。
【図21】この発明の実施例13の赤外線ステルス装置
を示す図である。
【図22】この発明の赤外線ステルス装置の実施例14
を示す図である。
【図23】この発明の実施例15を示す図である。
【図24】この発明の実施例16を示す図である。
【図25】この発明の実施例17を示す図である。
【符号の説明】
1 戦闘車両 2 赤外線放射抑制用積層構造体 3 赤外線撮像装置 4 矢印が波の向きである波状の積層構造体 5 反射光が緑色の積層構造体 6 反射光が青色の積層構造体 7 反射光が黄色の積層構造体 8 反射光が迷彩色の積層構造体 9 金属板 10 駆動装置 11 ギア 12 車両の装甲板 13 赤外線ステルス装置 14 反射板 15 回転軸 16 支持枠 17 金属ブロック 21 可視光分光反射光量計 22 制御器 23 駆動器 24 赤外線分光放射光量計 25 制御器 26 赤外線放射器 27 駆動器 170 多面体金属ブロック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高田 良雄 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電 機株式会社 材料デバイス研究所内 (56)参考文献 特開 平3−28697(JP,A) 特表 平2−500731(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F41H 3/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 赤外線を放射する高温部を有する装備品
    の該高温部を覆うように取付けられる赤外線ステルス装
    置であって、複数の細長い金属板と、該金属板にその長
    辺と平行に固定された該金属板を回転させる回転軸と、
    該回転軸を支持すると共に前記複数の金属板をスダレ状
    に配列する支持枠と、前記複数の金属板を回転せしめる
    駆動装置とからなり、前記金属板は一方の面が前記装備
    品の外観色とほぼ同じ色の塗装面とされ、他方の面が赤
    外線に対しては反射率が高く、可視光に対しては特定の
    波長の光のみを特定の反射率で反射するように処理され
    た反射面とされてなる赤外線ステルス装置。
  2. 【請求項2】 前記反射面は、前記金属板の表面に可視
    光に対し不透明な半導体材料と誘電体膜とが順次成膜さ
    れた積層体で形成されてなる請求項1記載の赤外線ステ
    ルス装置。
  3. 【請求項3】 赤外線を放射する高温部を有する装備品
    の該高温部を覆うように取付けられる赤外線ステルス装
    置であって、赤外線に対しては反射率が高く、可視光に
    対しては特定の波長の光のみを特定の反射率で反射する
    ように処理された反射面が形成された、前記高温部を覆
    う反射板に、請求項1記載の赤外線ステルス装置が取付
    けられてなる赤外線ステルス装置。
  4. 【請求項4】 背景における可視光の分光反射光量を測
    定する可視光分光反射光量計と、可視光を吸収し赤外線
    を透過する半導体膜とこの半導体膜上に赤外線を透過し
    それぞれ異なる波長の光を反射する誘電体膜とが各面に
    積層された多面体金属ブロックと、前記多面体金属ブロ
    ックを回転駆動する駆動器と、前記可視光分光反射光量
    計の出力に基づいて前記駆動器に指令を与える制御器と
    を有する赤外線ステルス装置。
  5. 【請求項5】 背景の赤外線分光放射光量を測定する赤
    外線分光放射光量計と、背景における可視光の分光反射
    光量を測定する可視光分光反射光量計と、可視光を吸収
    し赤外線を透過する半導体膜とこの半導体膜上に赤外線
    を透過しそれぞれ異なる波長の光を反射する誘電体膜と
    が各面に積層された多面体金属ブロックと、赤外線を放
    射する赤外線放射器と、前記多面体金属ブロックを回転
    駆動する駆動器と、前記赤外線分光放射光量計および可
    視光分光反射光量計の出力に基 づいて上記駆動器と赤外
    線放射器に指令を与える制御器とを有する赤外線ステル
    ス装置。
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