JP2985338B2 - マルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼の加工方法 - Google Patents

マルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼の加工方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はJIS−SUS63
0,SUS631等のマルテンサイト系の析出硬化型ス
テンレス鋼の加工方法に関する。
【0002】[従来の技術及び発明が解決しようとする
課題]ステンレス鋼は、鉄にCrを含有させて合金表面
にCrの酸化膜を形成せしめ、合金表面を不動体化した
ものであって、これにはCrを合金元素の主成分とし、
焼入れによってマルテンサイト組織となる中炭素のマル
テンサイト系ステンレス鋼,同じくCrを合金元素の主
成分とし、焼入れしてもフェライト組織のままの、即ち
硬化することのできない低炭素のフェライト系ステンレ
ス鋼,Cr−Niを主成分とし、オ−ステナイト1相か
ら成るオ−ステナイト系ステンレス鋼、更にCr−Ni
を主成分とし、これに特殊元素を加えた析出硬化型ステ
ンレス鋼などがある。
【0003】マルテンサイト系ステンレス鋼は強さ,硬
さ等に優れる反面耐食性,加工性が十分でなく、またフ
ェライト系ステンレス鋼は加工性,耐食性はマルテンサ
イト系ステンレス鋼よりも優れているが、硬さ,強度が
十分でない。
【0004】一方オ−ステナイト系ステンレス鋼は、加
工性が良くまた非常に耐食性が良いが、硬さが低く、機
械的強度も低いので構造用などに好適な材料とは言えな
い。
【0005】析出硬化型ステンレス鋼は、強度,耐食
性,加工性などの特性を兼備した材料として開発された
ものであって、Cu,Al,Tiなど特殊元素を硬化元
素として含有し、熱処理によって強度を発現する。
【0006】即ちこの析出硬化型ステンレス鋼の場合、
一般に1050℃程度の温度に加熱してオ−ステナイト
化し、特殊添加元素を固溶化した後急冷してマルテンサ
イト組織とし(焼き入れし)、次いで400〜500℃
の低温で時効処理を行う。この時効処理によって硬化元
素が急冷による過飽和状態から微細な析出物として析出
し始め、ここで硬さ,強度を発現する。
【0007】従ってこの析出硬化型ステンレス鋼の場
合、その加工手順として先ず素材を1050℃程度の高
温まで加熱してオ−ステナイトと成し、そのような高温
で熱間塑性加工して所要の形状を付与し、しかる後一旦
これを放冷により冷却した後上記のような熱処理、即ち
溶体化処理及び時効処理を行って強度を発現せしめる。
【0008】ところで析出硬化型ステンレス鋼にもマル
テンサイト系のものとオ−ステナイト系のものとがあ
り、このうちマルテンサイト系のものは、マルテンサイ
ト組織状態での加工が難しいために一般に上記のような
高温に加熱してオ−ステナイト状態とし、その温度で塑
性加工、即ち熱間加工を行うようにしている。
【0009】しかしながらこのような高温での熱間加工
の場合、その後の冷却によって大きな体積収縮が生じ、
加工寸法が大きく変化する。即ちこのような熱間加工で
は精密鍛造など精度の高い加工ができないのであり、そ
こで後において切削等加工が必要であってその際の削り
代も多くなり、製品の寸法出しも難しくなる。また加え
てこのような熱間加工の場合、表面に発生するスケール
の量が多いといった問題もある。
【0010】一方マルテンサイト系ステンレス鋼を冷材
から温間加工温度まで加熱してこれに塑性加工を施す方
法もあり、この場合その後の冷却による寸法変化を小さ
く抑え得、また発生するスケールの量を少なく抑え得る
が、この材料は温間加工温度ではマルテンサイト組織の
ままであり、従って硬い材料のままで加工を加えること
となるために加工し辛く、場合により材料割れが発生す
るなど加工性の点で問題がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願の発明はこのような
課題を解決するためになされたものであり、素材を一旦
1000℃以上に加熱した後Ms点以上の温間加工温度
まで冷却して塑性加工を施すことを特徴とするものであ
る。
【0012】また本願の別の発明は、素材を一旦100
0℃以上に加熱した後Ms点以上の温間加工温度まで冷
却して塑性加工を施し、その後これを冷却した後に別途
溶体化処理を行うことなく時効処理することを特徴とす
る。
【0013】[作用及び発明の効果]このように本発明
は、マルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼を一旦1
000℃以上に加熱した後Ms点以上の温間加工温度
(例えば300℃程度の温度)で塑性加工を加えるよう
にしたものである。
【0014】一般に温間加工と言われるものは冷材を所
定の加工温度まで加熱した後その温度において鍛造など
の加工を加えるものであり、マルテンサイト系の析出硬
化型ステンレス鋼の場合、マルテンサイト組織状態で加
工することとなって前述したような不具合を発生する。
【0015】しかるに本発明では鋼材を一旦1000℃
以上の高温に加熱した後Ms点以上の温間加工領域まで
降温して塑性加工するようにしており、この場合鋼材を
軟らかいオ−ステナイト組織状態で加工できるため、加
工を容易に行うことができる。
【0016】これはマルテンサイト系析出硬化型ステン
レス鋼の場合、一旦加熱してオ−ステナイトにするとこ
れを降温した場合でも長時間オ−ステナイト状態を保つ
特性がある(Ms点以上で)ことを利用したものであ
る。
【0017】因みに図2は鋼材(SUS630)を一旦
1050℃まで昇温した後にMs点以上の温度範囲内で
冷却して塑性加工(グリーブル試験)を行った場合と
(□印)、従来の方法に従って冷材を直接加工温度まで
加熱して塑性加工した場合(○印)とで変形抵抗,絞り
率(変形能)がどのように違ってくるかを示したもので
ある。但し図中横軸は加工時の温度を、縦軸は変形抵抗
及び絞り率を示している。
【0018】従来の方法による具体的な処理条件が図1
(イ)に示してある。具体的には冷材(SUS630)
を200℃/秒で温度T℃まで昇温し、その温度に10
0秒間保持した後引張り試験している(引張速度2イン
チ/秒)。
【0019】一方本発明に従う処理方法による具体的処
理条件が図1(ロ)に示してある。具体的には冷材(S
US630)を200℃/秒の速度で1050℃まで昇
温して100秒間保持した後温度T℃まで降温し、そし
てその温度に100秒間保持した後引張り試験してい
る。
【0020】図2に示されているように、図1(ロ)の
処理方法の場合、(イ)の処理方法に比べて変形抵抗が
小さく、また絞り率も大きくなっている。これは(イ)
の処理方法の場合には鋼材をマルテンサイト状態のまま
で加工することとなるのに対し、(ロ)の方法の場合に
は鋼材をオ−ステナイト状態で加工できることによるも
のである。
【0021】このように本発明によれば例えば300℃
程度の低い温度での加工が可能であって加工性も良好で
あり、加工中に材料割れ等の不具合を発生しない。また
低い温度で加工を行うためにその後の冷却時に寸法変化
が少ない。即ち精密加工が可能となるのであり、加えて
低い温度での加工であるので表面に発生するスケールも
少なく抑えることができる。
【0022】本願の別の発明は、温間領域における塑性
加工後、溶体化処理を施すことなくこれを直接時効処理
をするものであり、これによって従来の処理におけると
同等以上の特性を得ることができる。
【0023】上述したように析出硬化型のステンレス鋼
の場合、塑性加工後においてこれを1050℃程度の高
温まで昇温して溶体化処理し、しかる後急冷して焼入れ
し、その後400〜500℃程度の低い温度に昇温して
硬化元素を微細に析出させ若しくは析出直前の状態にも
ちきたす時効処理を施すのが従来行われている熱処理方
法である。
【0024】しかるに本発明ではこの溶体化処理を省略
して直接に時効処理を行うのであり、これによって十分
な硬さ,強度が得られることが確認されている。
【0025】これはマルテンサイト系析出硬化型ステン
レス鋼の場合、1050℃といった高温からの急冷によ
らなくても、即ち300℃程度の温間加工温度からの冷
却によっても、これを1000℃程度の高温から急冷し
た場合と同様の組織(マルテンサイト組織)状態を得る
ことができるという事実を利用したものである。
【0026】
【実施例】次に本発明の特徴を更に明確にすべく、以下
にその実施例を詳述する。 [実施例1]鋼材としてSUS630を用い、これを表
1に示す処理手順に従い且つ図3に示す工程(工程
(I)→(IV))で棒材10からM10ボルト12を
製造し、その硬さを測定した。尚表中STとあるのは溶
体化処理で、AGとあるのは時効処理である。それぞれ
の条件は、 ST:1050℃で30分保持した後空冷 AG:480℃で一時間保持した後空冷 とした。
【0027】
【表1】
【0028】この表から分かるように冷材を直接300
℃まで加熱して温間鍛造した場合(比較例)には実際
上加工ができなかったのに対して、一旦1050℃まで
加熱した後200℃以上の温度に降温して加工した場合
(実施例)、加工が容易に行い得、また加工後に溶体化
処理を行うことなく直接時効処理した場合でも従来の一
般的な加工処理方法(比較例)による場合と同等以上
の硬さを得ることができた。尚比較例に示してあるの
が従来の一般的な温間加工方法とされるもので、この場
合には溶体化処理が必須である。
【0029】[実施例2]鋼材としてSUS630を用
い、これを1050℃に加熱して表2に示す各時間保持
し、その後300℃まで降温してグリーブル試験を行
い、変形抵抗,絞り率を測定した。結果が同表に併せて
示してある。
【0030】
【表2】
【0031】この表から、極めて短時間の保持でも十分
特性を発現させ得ることが分かる
【0032】[実施例3]SUS630を1050℃ま
で加熱してオーステナイト化した後Ms点以上の300
℃まで降温して同温度で塑性加工(グリ−ブル試験)を
行い、冷却後480×1時間保持,その後空冷の条件で
時効処理を施した。結果が従来の加工処理方法との比較
において表3に示してある。
【0033】
【表3】
【0034】この表から分かるように本発明に従って加
工処理を行った場合、加工後別途に溶体化処理を行わな
くても従来と同等ないしそれ以上の特性を発現させるこ
とができる。
【0035】以上本発明の実施例を詳述したが、これは
あくまで一例示であって、本発明はSUS631その他
のマルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼にも適用可
能であるなど、その主旨を逸脱しない範囲において、当
業者の知識に基づき様々な変更を加えた態様で実施可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の特徴を説明するために示した鋼材に対
する加工手順を具体的に表した図である。
【図2】その加工方法の効果を示す図である。
【図3】本発明の一実施例に従ってボルトを製造する際
の工程説明図である。
【符号の説明】
10 棒材 12 ボルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21J 1/06,5/00 C21D 8/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 素材を一旦1000℃以上に加熱した後
    Ms点以上の温間加工温度まで冷却して塑性加工を施す
    ことを特徴とするマルテンサイト系析出硬化型ステンレ
    ス鋼の加工方法。
  2. 【請求項2】 素材を一旦1000℃以上に加熱した後
    Ms点以上の温間加工温度まで冷却して塑性加工を施
    し、その後これを冷却した後に別途溶体化処理を行うこ
    となく時効処理することを特徴とするマルテンサイト系
    析出硬化型ステンレス鋼の加工方法。
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DE19821797C1 (de) * 1998-05-15 1999-07-08 Skf Gmbh Verfahren zur Herstellung von gehärteten Teilen aus Stahl
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