JP2975707B2 - 核融合炉またはトリチウム取扱装置を収納する室 - Google Patents

核融合炉またはトリチウム取扱装置を収納する室

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JP2975707B2 JP3064913A JP6491391A JP2975707B2 JP 2975707 B2 JP2975707 B2 JP 2975707B2 JP 3064913 A JP3064913 A JP 3064913A JP 6491391 A JP6491391 A JP 6491391A JP 2975707 B2 JP2975707 B2 JP 2975707B2
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    • Y02E30/10Nuclear fusion reactors

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  • Structure Of Emergency Protection For Nuclear Reactors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は重水素(D)とトリチウ
ム(T)を核融合させる核融合炉やトリチウム取扱装置
を収納する室の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の室においては、その室の
壁構造は、構造材であるコンクリートをむき出しにして
いるか、又はトリチウムを付着、拡散させにくいステン
レス鋼等の金属ライニングをコンクリートに内張りする
等の構造が採られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、事故
時トリチウムが室内に放出された場合、室壁の放射能汚
染の除去が困難であるという問題、あるいは、換気系に
よるトリチウムの室内からの除去を行なっても室内のト
リチウム濃度を低下させるまでに長時間を要するという
問題がある。このことを以下に説明する。
【0004】事故時、室内に放出されたトリチウムの化
学形はT2 及びDTであるが、時間の経過とともに、室
中の水蒸気(H2 O)と同位体交換して、HTO,T2
Oに転換していく。HTO,T2Oは、室壁がステンレ
ス鋼で代表される金属でライニングされている場合は、
金属表面で吸着、脱着をくり返すのみで、内部に拡散す
ることはない。トリチウムのうち、HT,あるいはT2
のような水素形の化学種が極く僅かステンレス鋼に溶解
し内部に拡散するが、温度が室温付近のときは拡散は殆
ど無視できる。従って室内のトリチウム濃度は換気系に
よる室外部でのトリチウム除去処理に依存する。換気容
量を1日に室の内容積1回分とした場合100日以上に
亘って室内のトリチウム濃度は許容濃度以上になってし
まう。
【0005】他方、コンクリート壁がむき出しの場合に
は、HTO,T2Oはコンクリート中の自由水と交換
し、拡散係数が室温でも比較的大きいこともあって、厚
さ数10cmに亘ってコンクリート内部に拡散し、室中
のトリチウム濃度も比較的短時間に減少することになる
が、但し、トリチウムはコンクリート壁内部へ10cm
以上に亘って拡散・侵透するので、トリチウムで汚染さ
れたコンクリート壁が膨大な量に達し、これを除去する
ことは容易ではない(特開昭61−89596号公報参
照)。
【0006】本発明の目的は、重水素とトリチウムを核
融合させる核融合炉やトリチウム取扱装置などを格納す
る室において、事故時に室内に放出されたトリチウムを
吸収する手段を設けて室内トリチウム濃度を短時間に低
下させること、コンクリート壁の放射能汚染を防止し
て、それによる放射性廃棄物の発生量を減らすことにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的の達成のため、
本発明の核融合炉またはトリチウム取扱装置を格納する
室は特許請求の範囲の各請求項に記載の構成を有する。
【0008】
【作用】固化体パネルは代表的には水硬性無機固化体
(例えばセメント固化体)で出来ており、これは水分を
結晶水及び自由水の形で含有している。自由水の含有割
合は、水硬性無機固化体の作成時には大量に存在する
が、年月を経るに従って結晶水に取り込まれたり、蒸発
したりして、その含有割合は次第に小さくなる。しかし
水硬性無機固化体パネルに保水剤を含有させておくこと
によって、水硬性無機固化体パネル中の自由水の含有割
合を高く保つことができる。トリチウム放出事故時に
は、固化体パネルに水を散水し、固化体パネル中の保水
材の作用で自由水の含有量を高める。但し、散水しなく
ても固化体パネル中の自由水の含有量が十分高いなら
ば、散水は必ずしも必要でない。
【0009】室中のトリチウム水(HTO,T2 O)は
固化体パネルが保持する自由水と交換反応によって短時
間のうちに水硬性無機固化体中に取り込まれ、表面から
内側に向って、その濃度勾配のため、拡散する。したが
って、固化体表面は常にトリチウムと交換する能力を持
たせることができる。
【0010】この様にして、室中に漏洩したトリチウム
を固化体パネルに吸収し、室内のトリチウム濃度を短時
間に低下させることができる。室壁の構造材であるコン
クリート壁には金属ライニングが張られているので、ト
リチウムがコンクリート壁中へ浸透することはない。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1により説明す
る。核融合炉1及び付属するトリチウム取扱系2は炉本
体建屋3内に設置される。炉本体建屋3は事故時にトリ
チウムが建屋内に漏洩した場合、環境への放出を防ぐ最
終格納系としての働きを有している。炉本体建屋3内の
トリチウムを含む気体は建屋換気系4にブロア5の働き
で導びかれ、ここでトリチウムをトリチウム水に完全に
酸化し水化した後、モレキュラシーブ等の脱湿剤に吸収
される。
【0012】図2は本発明に基づく炉本体建屋3の壁の
断面を示す図である。建屋構造体であるコンクリート壁
6はステンレス製等の金属ライニング7で覆い、その上
に固化体パネル8をネジ等で機械的にとめてある。具体
的には、金属製ライニング7を貫通してコンクリート壁
6に、内側をネジ構造とした金属管9を打ち込み、これ
に固化体パネル8をネジ10で止めてある。固化体パネ
ル8は、水硬性無機固化体(例えばセメント固化体)で
出来ているブロックであり、保水剤を含有させてある。
【0013】万一事故で核融合炉1あるいはトリチウム
取扱系2からトリチウムが炉本体建屋3内に放出された
場合トリチウムモニタ11で検知し、炉本体建屋3内の
トリチウム濃度が所定濃度以上であることを確認した
後、散水系12から壁に向って散水して建屋内の水分濃
度、及び、固化体パネル8が保持する水分量を高める。
固化体パネルには保水剤が含有されているので大量の水
分を保持することが可能となる。保水剤は結晶水の形で
水分を大量に含むシリカゲル等の吸水剤を用いてもよい
が、アクリル系重合体の高吸水性樹脂からなる保水剤が
適している。保水剤g当り10〜100mlの水分を保
持することも可能であり、固化体パネルg当り10mg
の高吸水性樹脂を含ませた場合では固化体パネルg当り
数100mgの水分を保持させることができる。この場
合固化体パネル中の水分はほぼ自由水として挙動するの
で内部への拡散は容易であり、一旦トリチウム水と交換
するとトリチウムがパネル内に容易に拡散することがで
きる。したがってパネル表面の水分は長時間に亘ってガ
ス状のトリチウム水(HTO,T2O)と交換する能力
を保持することになる。
【0014】漏洩したトリチウムを上記の如く固化体パ
ネル8で吸収している間、建屋換気系4も働かせること
により、炉本体建屋3内のトリチウム濃度を短時間に低
下させることができる。図3に、20gのトリチウムが
建屋内に放出された場合の建屋内のトリチウム濃度の変
化を、建屋のコンクリート壁6に金属ライニング7を施
したのみの場合と、その上を更に平板状の固化体パネル
8で覆った場合とを比較して示す。
【0015】なお、トリチウムは固化体パネル8でその
大部分が吸収され、コンクリート壁6には金属ライニン
グ7が張られているので、トリチウムがコンクリート壁
6中へ浸透することはない。
【0016】トリチウムを十分吸収し、建屋内トリチウ
ム濃度が十分低下した段階で、固化体パネル8をコンク
リート壁6から取りはずし、放射性廃棄物として処理す
る。そのまま固化体パネルを張り付けたままにしておい
たのではトリチウムの再放出によって建屋内のトリチウ
ム濃度が再び上昇することになるが、固化体パネルを廃
棄物として処理することにより上記トリチウムの再放出
を防止し、新しい固化体パネルに張り替えることによ
り、炉本体建屋3を再度利用することが可能となる。
【0017】固化体パネル8の表面積が大きい程、トリ
チウム水の吸収速度は大きくなり、建屋内のトリチウム
濃度を短時間減少させることができる。図4は実効的
な表面積を増加させるため固化体パネル表面に多数の円
柱状の穴を設けた固化体パネルを示す。穴径としては大
気圧下での気体分子の平均自由行程以上であればよく、
工作上の点から数mm径の穴を設ければ十分である。例え
ば、縦300mm×横300mm×厚さ50mmのパネルに、
5mm径の穴を20mm間隔で格子状配列にて深さ25mmで
設けた場合、平面状の固化体パネル面積に比べ有効表面
積を1.85倍増加させることが可能となる。
【0018】なお、前記実施例では、固化体パネル8に
散水系12により散水する様にしたが、固化体パネル8
中の自由水の含有量が充分高い場合には、散水は必ずし
も必要ではない。
【0019】図5は本発明の参考例として、保水剤を含
有する球状の固化体14を充填した吸収層13を収納し
た容器を炉本体建屋3内に設置し、トリチウム放出事故
時ブロア15の働きで、大量の建屋3内の気体を該容器
中の吸収層13に流入させて、強制的にトリチウム水を
吸収させるようにした例を示す。室外に設けた従来通常
の換気系とは独立に上記の操作を行うことにより、室内
のトリチウム水濃度を急速に下げることができる。本
例では、壁面に張った前述の固化体パネルとは異な
り、強制循環により室内気体を吸収層13中に流すので
吸収の効率が良いため、トリチウム吸収用固化体の容積
は少くてよい。なお、必要ならば、上記の吸収層13を
収納している容器内に散水してもよい。また、図5に示
した上記のトリチウム吸収装置は、前記の固化体パネル
8を施した壁面を有する建屋に設置してもよいことは勿
論である。
【0020】なお、保水剤を混入させておくことは本質
的には本発明にとって必ずしも必要ではなく、トリチウ
ム吸収用固化体パネルや固化体小粒子中の自由水含有量
が十分である場合には保水剤は必ずしも含有させておか
なくともよい。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、室内へのトリチウム放
出事故時、トリチウム水を、換気系とは別に室の壁面に
張った固化体パネルおよび/又は室内に設置した固化体
粒充填層に吸収できるので、換気系のみによるトリチウ
ムの除去の場合に比べて、室内のトリチウム濃度を所定
値まで低下させる時間を大幅に短縮できる。
【0022】また、室の躯体コンクリート壁に内張りし
た金属ライニングを固化体パネルで覆うことにより、従
来の如く躯体コンクリート壁の面を室の内壁面とする場
合に比べて、トリチウムの壁内部への拡散を抑制できる
ため、その放射能汚染を防止できるので、室を解体した
ときの放射性廃棄物発生量を大幅に低下できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の炉本体建屋の概略を示す
図。
【図2】炉本体建屋壁の断面を示す図。
【図3】トリチウム放出後の建屋内トリチウム濃度の変
化を示す図。
【図4】固化体パネルの表面積を増加させる手段の一例
を示す斜視図。
【図5】トリチウム吸収用固化体を充填した吸収層を建
屋内に設置した参考例の概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関 泰 茨城県那珂郡那珂町大字向山801番地の 1 日本原子力研究所那珂研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−140193(JP,A) 特開 昭61−274298(JP,A) 特開 昭62−105093(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 室の構造壁であるコンクリート壁表面
    に、トリチウムが拡散しにくい金属ライニングを施し
    該金属ライニングをトリチウム水を吸収し易い固化体パ
    ネルで覆ったことを特徴とする、核融合炉またはトリチ
    ウム取扱装置を収納する室。
  2. 【請求項2】 固化体パネルは水硬性無機固化体で作ら
    れている請求項1記載の核融合炉またはトリチウム取扱
    装置を収納する室。
  3. 【請求項3】 固化体パネルには、水、水蒸気を吸収し
    易い保水剤を混入させてあり、これにより固化体パネル
    中の自由水の含有量を高め、トリチウム水を交換反応に
    より固化体パネル中に吸収させ内部に拡散させる様にし
    たことを特徴とする請求項1又は2記載の核融合炉また
    はトリチウム取扱装置を収納する室。
  4. 【請求項4】 室内気体と接触する実効表面積を増すた
    めの多数の小穴を前記固化体表面に穿った請求項1,2
    または3記載の核融合炉またはトリチウム取扱装置を収
    納する室。
  5. 【請求項5】 固化体パネルを、金属ライニングを介し
    てコンクリート構造壁に機械的手段で着脱可能に固定し
    た請求項1,2,3又は4記載の核融合炉またはトリチ
    ウム取扱装置を収納する室。
  6. 【請求項6】 前記固化体パネルに向って散水する装置
    を室内に設けた請求項1,2,3,4または5記載の核
    融合炉またはトリチウム取扱装置を収納する室。
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