JP2962669B2 - ナトリウム冷却型原子炉の腐食生成物除去装置 - Google Patents
ナトリウム冷却型原子炉の腐食生成物除去装置Info
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Description
原子炉の腐食生成物除去装置に係わり、特にニッケルお
よび永久磁石を備えた腐食生成物除去装置に関するもの
である。
は、その冷却材として通常液体ナトリウムで代表される
アルカリ液体金属が用いられている。そしてこのような
液体金属冷却材は、図2にも示されているように、原子
炉容器1内の炉心部2で加熱された後、容器外に設けら
れた1次冷却系へと導かれ、中間熱交換器5および主循
環ポンプ6を経由し再び原子炉容器内へと戻され、循環
するように形成されている。
7、9の被覆管、制御棒8、中性子遮へい体10および
炉内構造物11は、通常ステンレス鋼で構成されている
のが普通であり、これらの構造材料が中性子の照射をう
けると、その構造材料に含まれている鉄、コバルト、ニ
ッケルなどが放射化され、マンガン−54、コバルトー
60、コバルトー58などの放射性核種が多量に生成さ
れ、冷却材中に溶出して放射性腐食生成物となる。
却材の流れに従って1次冷却系各部へと運ばれ、この1
次冷却系の機器や配管の壁面に沈着する。機器・配管の
壁面に沈着した放射性腐食生成物から放射されるγ線
は、ポンプ、熱交換器、バルブ、流量計などの機器やこ
れらの機器に接続された配管の保守、補修などの作業に
影響を与える可能性がある。特に、マンガン−54、コ
バルトー60、コバルトー58などは生成量も多く、半
減期も長いためにその影響について考慮する必要があ
る。
ために、金属ニッケルが高温の液体金属ナトリウム中の
マンガン−54、コバルトー60などを効率よく捕獲す
る性質を有していることを利用した放射性腐食生成物捕
獲装置を原子炉容器1内に設置することが考えられてい
る。この一例として、例えば特開昭53−90600号
公報に記載されているように放射性腐食生成物が沈着し
易いニッケルの捕獲材を冷却材の流路、例えば炉心部2
の出口、すなわち炉心部2の燃料集合体上方に複数配置
し、炉心から流出した冷却材を上記捕獲材に直接接触さ
せることによって、放射性核種を吸着するようにしてい
る。
示されているように、前述した図2の一次冷却系の流路
とは別の流路を設け、そこに腐食生成物を磁気力で吸着
させる電磁フィルタを設置するものもある。さらに、特
開昭56−150145号公報に記載されているように
ニッケルによりコーティングした永久磁石小片を充填し
た容器により、腐食生成物を吸着させるようにしたもの
もある。
腐食生成物除去装置においては次のような問題点があ
る。すなわち、ニッケルの捕獲材では、放射性腐食生成
物のうちのマンガン−54に対しては、高い吸着効率を
示すが、コバルトー60に対してはマンガン−54に比
して吸着効率が低い(約1桁低い)。また、電磁フィル
タを用いたものでは、コバルトー60、Feなどの強磁
性を示す腐食生成物の吸着効率は高いが、マンガン−5
4など磁性の弱いものに対しては吸着効率が低い。放射
性腐食生成物のコバルトー60、マンガン−54を同時
に効率的に除去するため、前述の2つの設備を設置する
のでは設備が複雑かつ大型化し、設備コストも大きく、
また運転操作およびメンテナンスにおいて多大な労力を
要する嫌いがある。
久磁石小片を充填した容器による除去装置では、磁石の
充填状態により磁石小片同志の接触および吸着により、
効果的な腐食生成物の吸着が行われない部分が生じ、や
はり吸着効率が低い問題があった。
目的とするところは、装置を大型化することなく種々の
腐食生成物を効率よく除去することが可能なこの種ナト
リウム冷却型原子炉の腐食生成物除去装置を提供するに
ある。
炉の1次冷却系内に配置され、かつニッケルを含む永久
磁石を備えているナトリウム冷却型原子炉の腐食生成物
除去装置において、前記永久磁石をほゞ同一形状に成形
するとともに、その表面にニッケルを被覆し、かつこの
ニッケル被覆された複数個の永久磁石を、磁石同志ある
いは非磁性体を介して整列させ、全体を一体化し、かつ
この一体化された永久磁石を、燃料集合体および中性子
遮へい体に組込むようにし所期の目的を達成するように
したものである。また、本発明は、原子炉の1次冷却系
内に配置され、かつニッケルを含む永久磁石を備えてい
るナトリウム冷却型原子炉の腐食生成物除去装置におい
て、前記永久磁石をほゞ同一形状に成形するとともに、
その表面にニッケルを被覆し、かつこのニッケル被覆さ
れた複数個の永久磁石を、磁石同志あるいは非磁性体を
介して同心円状に整列させ、全体を一体化し、かつこの
一体化された永久磁石を、中性子遮へい体のラッパ管内
に、中性子遮へい体の遮蔽金属に代えてはめ込み溶接固
着するようにしたものである。
除去装置であると、整列され、かつ一体化された永久磁
石により、鉄、ニッケル、コバルトおよび酸化物のうち
強磁性を示すものはこの整列設置された永久磁石に効率
よく吸着され、したがって、コバルトー60、コバルト
ー58はこの磁気的吸着により一次冷却材中から除去さ
れる。一方、マンガンは強磁性を示さないが、金属ニッ
ケルに選択的に吸着されるため、マンガン−54も充分
吸着除去される。
性子遮へい体に組込まれていることから、特に場所もと
らず,すなわち装置の体格を増すことなく遮蔽効果をも
達成することができるのである。
あると、腐食生成物捕獲材が腐食生成物を磁力により吸
着する作用と金属に選択的に吸着する作用を同時に効率
よく起こすため、コバルトー60、コバルトー58、マ
ンガン−54について確実にかつ、1つの装置によって
除去することができるのである。
発明を詳細に説明する。図1にはその腐食生成物除去装
置を備えた炉心部分が平面図で示されている。炉心部に
は、中心部の燃料集合体7、制御棒8、外周側近傍の部
分に配置されているブランケット燃料集合体9および最
外周部分に配置されている中性子遮へい体10が設けら
れており、腐食生成物除去装置は、この燃料集合体7、
9および中性子遮へい体10の位置に設置される。
に形成されている。すなわち、ほゞ同一形状をなし、か
つニッケル被覆された複数個の永久磁石を非磁性体を介
して整列させその全体を一体化するようにして形成され
ている。
込みは、図1の枠内に示されているように組み込まれ
る。すなわち、通常の中性子遮へい体ではラッパ管12
内に遮へい用金属(通常ステンレス鋼)が設置されてい
るが、本発明ではこの遮へい用金属の代わりに前述した
腐食生成物除去装置(例えばニッケル被覆された複数個
の棒状磁石を同心円状に配列して全体を一体化したも
の)を格納させ、この装置に腐食生成物を吸着させて除
去するとともに、遮へい機能も合わせ持つようになされ
ている。
て棒状磁石を用いた場合を例に説明してきたが、磁石形
状はこれに限定されることなく、種々の形状が考えられ
る。例えば図3の(a)に示すように、複数個の平板短
冊形磁石を整列させて一体に形成しても良いであろう
し、また、図3の(b)に示すように、中空筒状の磁石
を整列させて一体に形成するようにしてもよいであろ
う。さらにこの図のようにこの一体化したものを2段重
ねるようにしてもよいであろう。
非磁性体であるオーステナイト鋼製支持金具を用いてネ
ジ止めなどにより固定する。なお、ラッパ管への固定に
関しては、図3の(a)を代表させて説明するが固定金
具21とともに磁石全体をラッパ管にはめ込み溶接固定
する。
造を使うことにより、熱流動、遮へい性能への影響を引
き起こさないことが可能である。またこのような磁石の
設置方法をとることにより、図1に示す中性子遮へい体
への適用範囲を拡げることができる。
ように、本除去装置を上部、下部遮へい体17、18に
組み込むようにしてもよい。すなわち、ブランケット燃
料集合体(図1の9)の燃料要素16の上にある遮へい
体17をこの除去装置により形成するのである。上部遮
へい体を磁石で形成する場合の一例が、図5の(a)
(b)に示されている。すなわち、鍔状の磁石を重ね合
わせたたり、あるいは棒状の磁石を周方向に積層したり
して形成するのである。
ち図4の上部出口15から一次冷却系に流れてゆくの
で、上部遮へい体17側に設置するのが腐食生成物除去
には効果的であると考えられるが、一次冷却系内を循環
するので、下部遮へい体でも除去効果はある。
い性能への影響を考える必要があるが、遮へい性能は遮
へい体材質、密度、厚みおよび形状により決まるので、
磁石組込の場合にも形状を類似形とし必要な厚さおよび
長さを確保することで、遮へい性能を確保できる。
食生成物除去装置は前述した炉心部への設置のみなら
ず、一次冷却系内または一次冷却系のバイパス流路を設
けて設置することも可能である。
れた腐食生成物除去装置であると、ニッケルが被覆さ
れ、かつ整列された永久磁石による腐食生成物除去装置
により、強磁性および反強磁性の腐食生成物であるF
e、Co、Mnおよびこれらの放射性核種であるコバル
ト−60、同58、マンガン−54などを効果的に除去
することができる。
食生成物除去装置により、高速増殖炉の一次除去系ナト
リウム中の放射性腐食生成物を効果的に低減させ、機器
配管表面に沈着する放射性腐食生成物による線量当量率
も低減でき、延いては原子力施設の従事者の被爆線量当
量を低減することができる。
ば、装置を大型化することなく種々の腐食生成物を効率
よく除去することが可能なこの種ナトリウム冷却型原子
炉の腐食生成物除去装置を得ることができる。
除去装置を備えた原子炉炉心部の平面および腐食生成物
除去装置の一部破断斜視図である。
である。
図である。
(高温部、低温部)、5…中間熱交換器、6…主循環ポ
ンプ、7…燃料集合体、8…制御棒、9…ブランケット
燃料集合体、10…中性子遮へい体、11…炉内構造
物、12…ラッパ管、13…永久磁石、14…エントラ
ンスノズル、15…上部出口、16…燃料要素、17…
上部遮へい体、18…下部遮へい体、19…磁石エレメ
ント、20…支持金具、21…固定金具、22…多孔質
磁石、23…被覆管、24…スプリング。
Claims (2)
- 【請求項1】 原子炉の1次冷却系内に配置され、かつ
ニッケルを含む永久磁石を備えているナトリウム冷却型
原子炉の腐食生成物除去装置において、 前記永久磁石をほゞ同一形状に成形するとともに、その
表面にニッケルを被覆し、かつこのニッケル被覆された
複数個の永久磁石を、磁石同士若しくは非磁性体を介し
て整列させ、全体を一体化し、かつこの一体化された永
久磁石を、燃料集合体および中性子遮へい体に組込むよ
うにしたことを特徴とするナトリウム冷却型原子炉の腐
食生成物除去装置。 - 【請求項2】 原子炉の1次冷却系内に配置され、かつ
ニッケルを含む永久磁石を備えているナトリウム冷却型
原子炉の腐食生成物除去装置において、 前記永久磁石をほゞ同一形状に成形するとともに、その
表面にニッケルを被覆し、かつこのニッケル被覆された
複数個の永久磁石を、磁石同士若しくは非磁性体を介し
て同心円状に整列させ、全体を一体化し、かつこの一体
化された永久磁石を、中性子遮へい体のラッパ管内に、
中性子遮へい体の遮蔽金属に代えてはめ込み溶接固着す
るようにしたことを特徴とするナトリウム冷却型原子炉
の腐食生成物除去装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7338679A JP2962669B2 (ja) | 1995-12-26 | 1995-12-26 | ナトリウム冷却型原子炉の腐食生成物除去装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7338679A JP2962669B2 (ja) | 1995-12-26 | 1995-12-26 | ナトリウム冷却型原子炉の腐食生成物除去装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09178886A JPH09178886A (ja) | 1997-07-11 |
JP2962669B2 true JP2962669B2 (ja) | 1999-10-12 |
Family
ID=18320442
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP7338679A Expired - Fee Related JP2962669B2 (ja) | 1995-12-26 | 1995-12-26 | ナトリウム冷却型原子炉の腐食生成物除去装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2962669B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111739671B (zh) * | 2020-05-29 | 2023-05-23 | 中国原子能科学研究院 | 一种铅及铅基合金装置用磁性净化器 |
KR102571214B1 (ko) * | 2021-03-26 | 2023-08-28 | 한국수력원자력 주식회사 | 원자로 상부 압력하우징의 부식생성물 필터링구조 |
-
1995
- 1995-12-26 JP JP7338679A patent/JP2962669B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH09178886A (ja) | 1997-07-11 |
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