JP2942447B2 - 流体解析装置 - Google Patents

流体解析装置

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JP2942447B2
JP2942447B2 JP22573993A JP22573993A JP2942447B2 JP 2942447 B2 JP2942447 B2 JP 2942447B2 JP 22573993 A JP22573993 A JP 22573993A JP 22573993 A JP22573993 A JP 22573993A JP 2942447 B2 JP2942447 B2 JP 2942447B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、流体解析装置に関し、
特に住宅環境の設計等に用いるものに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ベクトル化計算あるいは同時平行
処理が可能な大型高速電子計算機等の発達、普及によ
り、複雑な境界条件を有する大きな空間内に複数の計算
格子を生成した上で、該空間内の物質等の変化を支配す
る物理法則を用いて諸物質の変化、状態を表現する方程
式群を作成し、これを反復計算を用いて解く装置が広く
利用されている。例えば有限要素法を使用した平板の応
力解析装置も広い意味でのこの装置の一例であり、また
SAPやNASTRAN等はこの装置のために使用され
るプログラムの例でもある。
【0003】なお、これらの解析の前提としている物理
法則、諸公式、技術、例えば質量保存則、運動量保存
則、連続の式、ナビアストークスの式、等角射像、有限
要素法や差分法を使用するに際しての解析対象とする空
間の格子分割(メッシュ分割)の手法や所定の差分、繰
り返し計算を行なうか否か等の判定に使用する判定値、
境界条件の与え方、繰り返し計算を行う際の繰り返しに
ついての手法、大型高速電子計算機による同時平行処理
の手法等については、例えば、日本機械学会編「機械工
学便覧」 1987年出版 のA5編流体工学、情報処
理学会編「情報処理ハンドブック」 1989年出版、
スハス.V.パタンカー著 水谷幸夫 香月正司共訳
「コンピュータによる熱移動と流れの数値解析」 森北
出版刊等に掲載され、また流体解析結果も、例えば日本
建築学会大会学術講演梗概集(中国)1990年10月
等に掲載されているいわば周知の技術である。このた
め、その説明は省略する。また、圧力、運動量、質量そ
の他熱量等を計算するあるいはそれらの物理量の補正量
を計算する、具体的には運動量が減少した分だけ流体の
熱量が増加し、更にこのため粘度の修正や流量の補正を
行うこと、またこれらの計算のために必要な流体の各温
度、圧力等に応じての密度や粘度等各種物性値等をあら
かじめ入力しておくこと等も自明の技術であるため、そ
の内容の説明も省略する。
【0004】さて、従来の一般的な解析装置で流体解析
を行なう場合には、対象とする空間を複数の格子に分割
し、その各格子毎に圧力方程式、運動量保存方程式、圧
力補正方程式その他熱量等を含む各種物理量の保存方程
式をたて、この上でその方程式を連立させて解くことを
行っていた。ところでこの際、分流部、合流部、屈曲
部、吹き出し部等の外部環境等が急激に変化する場所等
が存在するため流れ場が複雑になると予想される場合に
は、精度良く解析するため格子間隔を密にしていた。こ
の場合、そのままではどうしても必要以上に格子を密に
しがちなため、計算機の必要とする記憶資源や計算速度
の面から不都合な状況に陥ることがよくあった。このた
め、精度良く解析を行う必要のある場所のみ格子間隔の
密な副格子を配置する重畳格子法や局所的分割法に代表
される複合格子法を利用する試みがなされている。
【0005】次に、それらの解析手法の一例を具体的に
説明する。 1.解析対象の空間の形状、内部流体の物性値や流量
等、流動の原因となる外力の内容、解析に使用する諸公
式や物理法則等がCRT、キーボード、カードリーダー
等を介して入力される。 2.解析対象の空間の格子分割が所定の手順に従って行
なわれる。この場合、主格子の間隔(大きさ)、副格子
の間隔(大きさ)や配置位置等は解析者が指定するのが
原則である。 3.繰り返し計算の対象となる格子の選定の優先度、各
格子における繰り返し計算の回数が解析者により入力さ
れる。 4.優先順位の高い格子、そして多くの場合動力源近辺
かつ境界条件の与えられた格子から繰り返し計算の対象
とされる。 5.当該格子内の流体の各種状態を示す式が、その格子
内部の流速等幾つかの条件を仮定した上で繰り返し計算
で解かれる。そして、多くの場合、繰り返し回数がある
値に達するか、計算結果と前回の計算結果が所定値以内
に収束すれば当該格子を対称としての繰り返し計算は終
了する。そして計算結果は、当該格子に連続する、すな
わち端面を共通する、かつ繰り返し計算の優先順位の低
い格子の繰り返し計算に際して境界条件として使用され
るべく、転送されることとなる。 7.以下、優先順位に従って、全ての格子を対象として
の繰り返し計算の一サイクルが行なわれる。 8.以上のもとで、最後の格子の端面の計算結果が別途
与えられた流出口等についての境界条件と整合するか、
あるいは複数の境界条件(例えば、流入口と排出口)か
ら別個独立に計算してきた値が中央の格子で一致するか
否か、例えば、流入口から下流側へ向かっての計算と排
出口から上流側へ向かっての計算とで、調度中間部の計
算結果が一致するか否か等が判断される。 9.この結果が一致するならば、全格子を対象としての
繰り返し計算のサイクルそのものが終了する。若し一致
しないならば、最初の優先順位の格子から、当該格子内
の流速等幾つかの条件を計算結果が一致する方向に変更
した上で、再度全格子を対象としての繰り返し計算の新
たなサイクルがはじめられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法を採用する場合には複数の種類の格子が立体的に
配置されて存在することとなるため、端部のあらかじめ
境界条件の与えられた格子から直線に沿って順に並んで
いる格子を解いていくというようなわけにはいかない。
このため、計算に先立って解析者がどの格子から順に解
くかの順位付けを与えておく必要がある。しかし、最初
から適当な順位付けを行うことは熟練者でないかぎり困
難である。通常の場合には、まず研究者が適当な順番で
大雑把な計算を行わせ、流れ場の大体の様子を見きわめ
てから最適と予想される順番を判断し、この上で改めて
精密な計算を行うことがなされている。
【0007】また同じく、各格子間で主格子か副格子の
一を対象として、その内部を表現する数式を一旦適当な
回数で反復計算した後、その計算結果のデータを後の順
位の主格子又は副格子に境界条件として使用すべく転送
を行って、その格子を解くという操作を順次行う必要が
あったが、この場合にも、複数の種類の格子が存在する
ため、精密な計算に先立って各種格子の収束状況を実際
に大雑把な計算をなして同一の格子を反復計算の対象と
して選択し続けるのに最適な回数を決定し、この上で改
めて精密な計算を行なうという無駄な作業を要してい
た。
【0008】このため、流れ場が複雑になると予想され
る場所を主格子上に配置された副格子を用いて精度良く
解析する際に、いずれの格子から解くかの順位付けと同
一の格子を計算対象として選択し続ける際の回数の決定
が的確になしえる解析装置の実現が望まれていた。本発
明は、かかる課題に鑑みなされたものであり、最適な順
位付けと同一の格子を計算対象として選択し続ける際の
回数の決定を的確に行う流体解析装置を提供することを
目的としてなされてものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明においては、解析する空間に主格子
を生成する主格子生成部と、前記主格子生成部の生成し
た主格子の一部に重畳しかつ主格子よりも格子間隔の密
な副格子を生成する副格子生成部と、前記主格子および
前記副格子毎に対応する流体の圧力、速度、密度、温度
等の物理量を与えられた式及び境界条件をもとに計算す
る流体物理量解析部と、前記流体物理量解析部により算
出された圧力分布、速度分布等の流体の状態とあらかじ
め与えられた流体の各物理量における物性値や質量保存
則等の物理法則に基づき前記流体物理量解析部の結果を
近似補正する流体物理量補正解析部と、前記流体物理量
解析部から流体物理量補正解析部に至る計算を所定の手
順で繰り返す反復計算制御部と、前記主格子と前記副格
子との間で必要なデータの授受を行うデータ転送部とを
有する流体解析装置において、前記主格子および前記副
格子においてそれぞれのソース項の総和を求めるソース
項算出部と、いずれの格子を用いて解析するかに際し
て、前記ソース項算出部のもとめたソース項の総和の大
きい順に優先して選択する格子選択制御部とを有してい
ることを特徴とする流体解析装置としている。
【0010】請求項2の発明においては、前記格子選択
制御部は前記ソース項算出部に加えて更に主流方向算出
部を有し、該主流方向算出部の作用のもとで所定の反復
回数の計算を越えた後は前記主格子および前記副格子に
おける局所毎の各速度成分を総和することにより流れの
主流方向を算出し、この上でこの主流の上流方向にある
主格子および副格子を計算対象として優先して選択する
ことを特徴とする請求項1記載の流体解析装置としてい
る。
【0011】請求項3の発明においては、前記格子選択
制御部は前記ソース項算出部と前記主流方向算出部に加
えて更に残差をもとめる残差算出部を有し、該残差算出
部の作用のもとで、前記主格子あるいは前記副格子のう
ち計算対象として選択された格子における計算結果の残
差が所定の値に落ちるまでこの格子を繰り返し計算の対
象として選択し続けることを特徴とする請求項2記載の
流体解析装置としている。
【0012】
【作用】上記構成により、請求項1の発明においては、
主格子生成部が解析する(解析対象とされている)空間
に主格子を生成する。副格子生成部が主格子生成部の生
成した主格子の一部に重畳し(重なって若しくは替え
て)かつ主格子よりも格子間隔の密な(一辺の長さが短
い)副格子を生成する。流体物理量解析部が、主格子お
よび副格子毎に対応する流体の圧力、速度、密度、温度
等の物理量を与えられた式及び境界条件をもとに繰り返
し計算で解く。流体物理量補正解析部が、流体物理量解
析部により算出された圧力分布、速度分布、等の流体の
状態とあらかじめ与えられた流体の各物理量における物
性値や質量保存則等の物理法則に基づき前記流体物理量
解析部の解析結果を近似補正する。反復計算制御部が、
前記流体物理量解析部から流体物理量補正解析部に至る
計算を所定の手順で、具体的には多くの場合、計算結果
そのものの絶対値や隣接する格子等との計算結果の差が
判定値以下となるまで繰り返し、更にこの繰り返しのサ
イクルの結果が境界条件等を充たすまで各サイクルの計
算を繰り返す。データ転送部が、先の計算順位の主格子
や副格子と後の計算順位の主格子や副格子との間で必要
なデータの授受を行う。以上の解析作用において、ソー
ス項算出部が、主格子および副格子においてそれぞれの
ソース項(エアコンにおける吹き出し口、ダクトにおけ
る送風機等流体の流れの基本、原因となっている力を取
り扱う項。)の総和(流れの起因となる力の大きさの総
和)を求める。格子選択制御部が、ソース項算出部のも
とめたソース項の総和の大きい順に主格子および前記副
格子に各サイクルにおける繰り返し計算での優先順位を
つけることにより各格子のいずれを用いて解析するかを
選択する。
【0013】請求項2の発明においては、格子選択制御
部はソース項算出部に加えて更に主流方向算出部を有
し、該主流方向算出部の作用のもとで所定の反復回数の
計算を越えた後は主格子および副格子において局所毎に
各方向速度成分を総和することにより流れの主流方向
(渦や局所的な乱れを除いた流れ全体の方向)を算出
し、主格子および副格子を計算対象として順に選択する
際に上流より順に優先度をつける。
【0014】請求項3の発明においては、格子選択制御
部はソース項算出部と主流方向算出部に加えて更に残差
をもとめる残差算出部を有し、該残差算出部の作用のも
とで前記主格子あるいは副格子のうち計算対象として選
択された格子における残差(今回の計算結果と前回の計
算結果との差)が所定の値以下になるまで同じ格子を繰
り返し計算の対象として選択し続ける。残差が所定の値
以下となった場合には、次の優先順位の格子を選択して
繰り返し計算を行なう。
【0015】
【実施例】以下、本発明の流体解析装置を実施例に基づ
いて説明する。図1は、本発明に係る流体解析装置の一
実施例の概略構成図である。図2は、その動作流れ図で
ある。図1において、1は主格子あるいは副格子のいず
れを解析するかを選択する格子選択制御部であり、各格
子におけるソース項の総和を算出した上でその値の大き
い順に格子の優先順位を決定するソース項算出部2と、
主流方向を求めた上で上流から順に格子の優先順位を決
定する主流方向算出部3と、各格子における残差を算出
しこの上で格子の選択を決定する残差算出部4とを内蔵
している。5は、解析対象とする空間の格子毎に流体圧
力を計算する圧力解析部である。6は、運動量の保存則
に基づき流体の速度を計算する運動量解析部である。7
は、圧力解析部5により算出される圧力分布と運動量解
析部6により算出される速度分布とから質量保存則に基
づき流体の圧力あるいは速度を近似補正する圧力補正量
解析部である。8は、質量保存則に基づき運動量解析部
6において求めた流体の速度を補正する質量補正量解析
部である。9は、温度、粘度等の圧力および速度以外の
物理量を計算する他物量解析部である。10は、主格子
および副格子間でのデータの授受を行わせるデータ転送
部である。11は、格子選択制御部1からデータ転送部
10に至る各種の計算を繰り返すこと及びこの一連の繰
り返し計算のサイクルを繰り返すことを制御する反復計
算制御部である。以上の他、数値解析を行うためには、
各種入力装置、各種記憶装置、出力装置等を必要として
いるが、これらは本発明の主旨には直結せず、また自明
の技術でもあるため、その図示と説明は省略する。
【0016】次に、図2に基づいて本発明に直結する動
作について説明する。 (S1)解析対象となる空間領域に主格子および副格子
が用意される。この場合、例えば室内環境ならば、大広
間等は格子が粗くされ、結果的に主格子で区分けされる
こととなる。一方、エアコン等の空調機器の吹き出し
口、排気口、机やベッドまわり等は格子が細かくされ、
結果的に主格子と空間的に重複した若しくは主格子とは
空間的には重複せず単に更に小さく分割した副格子で区
分けされることとなる。
【0017】(S2)いくら、格子の優先順位を自動的
に選択するといっても、解析者から入力された解析対象
の空間と流体の流動源の情報のみでは不可能であり、こ
のため必要な判断資料を得るべく大雑把な計算を開始す
る。この場合、主格子と副格子は更に大きなものが選定
され、各格子内での繰り返し計算回数も少なくされる。
【0018】(S3)ソース項算出部で、各格子におけ
るソース項の総和を計算する。具体的には、エアコンの
吹き出し口近傍は吹き出し圧力となり、室内空気の排気
口は外気圧に近い圧力となり、エアコンの吹き出し口近
傍は吸い込み圧力となる。この上で、各格子内で圧力に
ついての式がたてられ、解かれる。この際、相隣あう格
子において相接触する面の圧力は等しいこと、吹き出し
口、吸い込み口の格子においては境界条件としての吹き
出し圧力、吸い込み圧力が端面の圧力となること、ボイ
ル・シャールの法則等が計算に使用される。
【0019】(S4)各格子間の吹き出し、吸い込みに
よる圧力分布が求められる。この上で、計算対象として
選択すべき格子の順位づけとして、ソース項の総和の大
きいもの、本実施例では圧力、が優先される。 (S5)主流方向算出部で、各格子における局所的な流
れの各座標方向の速度成分の総和(ベクトル和、三次元
であるためより正確にはテンソルの和)を求める。具体
的には、各格子毎に空気流れの方向、速さがもとめられ
る。この場合、エアコンの吹き出し口、室内空気の排気
口等における空気の流れ方向、速さ、量等はあらかじめ
境界条件として与えられており、これをもとに相連続す
る格子内の空気の流れ方向、速さ等がおおよそ連続して
いることが利用される。また、本実施例では、主流を求
めるに際しては空気温度や密度までは考慮していない。
【0020】(S6)速度成分のベクトルの総和から主
流の存在の有無を判断する。具体的には、相連続する、
かつ一かたまりの格子内の空気の流れ方向、速さ等がほ
ぼ同じならば主流があるものと判断され、またこれらの
格子の流れ方向と速さの各平均値が主流の方向と速さと
判断される。なお、分岐するダクト内の空気の流れの解
析等の場合には、原則として流量の大きい分岐や断面積
の大きい分岐が主流と判断される。また、各分岐したダ
クト内でもその分岐内だけの主流が存在することとな
る。このため、結果的にはソース項と主流の傾向はほぼ
一致することとなる。
【0021】(S7)主流が存在する場合には、上流に
ある格子より順に計算対象として選択する際の優先度を
つける。 (S8)残差算出部で選択されている格子の残差を計算
する。具体的には、前回の計算結果との差が原則である
が、その他目下繰り返し計算の対象としている格子にお
いて、当該格子に計算順序が優先するかつ相連続する格
子の速度、流量等の計算結果と、共通する面における速
度、流量等の計算結果の相違が所定値以内か否かを比較
したりする等である。
【0022】(S9)各時間内毎の繰り返し数の逆数に
所定の打ち切りの値を乗じたものを打ち切りの判断値と
する。 (S10)残差の値が打ち切りの判断値より小さいか否か
の判断を行う。 (S11)大きいならば、同一の格子を計算対象として選
択し続ける。 (S12)小さいならば、当該格子を対象とする繰り返し
計算を打ち切り、次の優先順位の格子を計算対象として
選択する。
【0023】(S13)圧力解析部、運動量解析部、圧力
補正量解析部、質量補正量解析部および他物理量解析部
は、計算対象となっている格子内での流れ場およびその
他の物理量を解く。この場合、各格子の端面は当該格子
に計算順序が優先する、かつ端面を共通する格子の先に
計算された値等を保持しているものとされ、この上で連
続の式、ナビアストークスの式、ファンデル・ワールス
の式、ボイル・シャールの法則等が解かれていく。な
お、これらの式は解析対象となる空間や流体の種類に応
じてあらかじめ解析者により与えられている。例えば、
流体が水等の事実上非圧縮性のものである場合において
はボイル・シャールの法則やファン・デル・ワールス
(Van der Waals)の従態式が使用される
ことはまずないであろう。また、室内環境におけるエア
コンからの空気の吹き出し及び吸い込みの流れ解析にお
いては、圧力、運動量、質量の他に熱量及び熱量の変化
に伴う圧力、体積の変化を考慮する必要があるし、また
第一回の解析、更にこの解析結果をふまえて第二回の解
析を行なう等の物理量の補正計算をも繰り返し行なうこ
とが不可欠となる。
【0024】(S14)データ転送部にて、各主格子およ
び各副格子間で必要なデータの授受を行う。これにより
繰り返し計算の順位の優先する各主格子及び副格子で計
算された各端面の流速、流量等の値は、計算順位が後位
のかつ相隣接する主格子若しくは副格子あるいは内包す
る副格子や包含されることとなる主格子における繰り返
し計算やの次のサイクルでの繰り返し計算に際して、そ
の格子の境界値とされる。
【0025】(S15)反復計算制御部は、反復計算の終
了の判定を行う。なお、反復計算の終了は、計算結果が
与えられた境界条件と適合するか否かや前のサイクルの
結果と相違しないかの他に各格子の残差の収束、各格子
を対象としての繰り返し計算のサイクルの回数の他に計
算時間等も判断資料とされるのは、いうまでもないこと
である。
【0026】(S16)計算を終了する。この上で、結果
が所定の手順で出力されることとなる。 以上、本発明を実施例にもとづき説明してきたが、本発
明は何も上記実施例に限定されないのは勿論である。即
ち、例えば、 (1)実施例では1サイクルにおける自動格子選択につ
いて説明したが、他のサイクルで流れの様子が変化する
場合においては、自動的にそのサイクル毎に最適な格子
選択の順番を決定するようにしてもよい。
【0027】(2)実施例では、格子選択制御部がソー
ス項算出部、主流方向算出部および残差算出部からなる
場合について述べたが、格子選択部がソース項算出部の
みを有していてもよく、この場合には繰り返し計算を行
なう格子を選択する際に、各主格子および副格子におい
てソース項を総和し、その総和の大きい順に各格子に優
先順位付けを行うこととなる。
【0028】また、解析対象の流体の性質、空間の情況
等に応じては、優先順位付けに際してソース項の総和と
主流方向とに重みづけを行なうようにしてもよい。例え
ば、全体の流れよりも主流の状態を解析したい場合に
は、主流方向が優先される(重みを付ける)こととな
る。 (3)流体解析の対象としては、水や空気等の物質でな
く、機器等からの放散熱、外部から加えられる応力の流
れ等無体のものに流用してもよい。なお、これらの場
合、ソース項は各々発熱源、外部荷重等となり、質量、
運動量、粘度等は総熱量、総荷重、熱伝導率、温度差、
弾性率等となり、分流部等はヒートダムや切り欠き部等
となる。この上で、双対原理を適用して解析することと
なる。
【0029】(4)流体の流れの原因が複数存在する場
合に、それらの動力、発熱量順に優先順位をつけ、即ち
各ソース項に優先順位をつけ、この上でソース項の総和
を求める際には優先順位の高いソース項から該ソース項
による値を計算し、最終的に全てのソース項値を足し算
するようにしてもよい。この場合、勿論各ソース項に重
み付けを行なってもよい。具体的には、室内における暖
房用のエアコンとストーブのごとく空気の吹き出しとい
う動力的ソース項と発熱というソース項のごとく、二種
の異質のソース項がある場合には、情況に応じていずれ
か一方を優先する、あるいは一のソース項を他のソース
項におき換える、具体的には発熱量を空気の強制的な対
流に換算し、ソース項としては動力のみとする等の機能
が付加されていてもよい。
【0030】また、ボイラ内における水と蒸気の流れの
場合には、水が沸騰しだすまではソース項は発熱源から
の入熱となるが、一旦沸騰が始まり出すと気泡の上昇に
よる機械的な力となる。
【0031】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の流体
解析装置においては、格子を選択する際に、解析装置で
自動的に先行する大雑把な計算を行い主格子および副格
子毎にソース項を総和し、その総和の大きいものを優先
して計算対象とするため、流体解析を行う技術者があら
かじめ大雑把な計算を行い、これを解析することにより
流れ場を予測し、この上で格子の優先順位を決定する必
要がなくなり、解析の手間が省けまた計算費用の低減も
図れる。
【0032】また、同じく主格子および副格子において
局所的に存在する各方向速度成分を総和し、流れの主流
方向を算出し、もし流れに主流方向が存在する場合に
は、上流より優先して計算することにより、各格子の計
算結果等の情報の伝搬を速やかに行ことが可能となる。
さらに、選択された各格子上で流れ場を収束させた後、
他の格子にデータを転送することとなるので非常に高精
度な解析が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る流体解析装置の一実施例の構成図
である。
【図2】上記実施例の動作流れ図である。
【符号の説明】
1 格子選択制御部 2 ソース項算出部 3 主流方向算出部 4 残差算出部 5 圧力解析部 6 運動量解析部 7 圧力補正量解析部 8 質量補正量解析部 9 他物理量解析部 10 データ転送部 11 反復計算制御部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−89212(JP,A) 特開 昭62−249267(JP,A) 下村信雄ほか「複合格子法による放熱 評価シミュレーションシステムの開発」 第31回日本伝熱シンポジウム講演論文集 (1994−5)p.1180−82 中野明ほか「空調空間の快適性評価シ ミュレーションシステムの開発」空調調 和衛生工学会学術後援会講演論文集(92 −10)p.21−24

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 解析する空間に主格子を生成する主格子
    生成部と、前記主格子生成部の生成した主格子の一部に
    重畳しかつ主格子よりも格子間隔の密な副格子を生成す
    る副格子生成部と、前記主格子および前記副格子毎に対
    応する流体の圧力、速度、密度、温度等の物理量を与え
    られた式及び境界条件をもとに計算する流体物理量解析
    部と、前記流体物理量解析部により算出された圧力分
    布、速度分布等の流体の状態とあらかじめ与えられた流
    体の各物理量における物性値や質量保存則等の物理法則
    に基づき前記流体物理量解析部の結果を近似補正する流
    体物理量補正解析部と、前記流体物理量解析部から流体
    物理量補正解析部に至る計算を所定の手順で繰り返す反
    復計算制御部と、前記主格子と前記副格子との間で必要
    なデータの授受を行うデータ転送部とを有する流体解析
    装置において、 前記主格子および前記副格子においてそれぞれのソース
    項の総和を求めるソース項算出部と、 いずれの格子を用いて解析するかに際して、前記ソース
    項算出部のもとめたソース項の総和の大きい順に優先し
    て選択する格子選択制御部とを有していることを特徴と
    する流体解析装置。
  2. 【請求項2】 前記格子選択制御部は、前記ソース項算
    出部に加えて更に主流方向算出部を有し、該主流方向算
    出部の作用のもとで所定の反復回数の計算を越えた後は
    前記主格子および前記副格子における局所毎の各速度成
    分を総和することにより流れの主流方向を算出し、この
    上でこの主流の上流方向にある主格子および副格子を計
    算対象として優先して選択することを特徴とする請求項
    1記載の流体解析装置。
  3. 【請求項3】 前記格子選択制御部は、前記ソース項算
    出部と前記主流方向算出部に加えて更に残差をもとめる
    残差算出部を有し、該残差算出部の作用のもとで、前記
    主格子あるいは前記副格子のうち計算対象として選択さ
    れた格子における計算結果の残差が所定の値に落ちるま
    でこの格子を繰り返し計算の対象として選択し続けるこ
    とを特徴とする請求項2記載の流体解析装置。
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下村信雄ほか「複合格子法による放熱評価シミュレーションシステムの開発」第31回日本伝熱シンポジウム講演論文集(1994−5)p.1180−82
中野明ほか「空調空間の快適性評価シミュレーションシステムの開発」空調調和衛生工学会学術後援会講演論文集(92−10)p.21−24

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