JP2918285B2 - ニトリル類の製造法 - Google Patents

ニトリル類の製造法

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は,高効率かつ高選択性にて所望の生成物が得
られるような条件下において,適切な触媒を存在させ
て,炭化水素,酸素含有ガス,及びアンモニアからニト
リル類を製造する方法に関する。
適切な触媒の存在下にて適切な炭化水素をアンモ酸化
することによってニトリルが製造されることはよく知ら
れている。例えば,プロピレン,アンモニア,及び空気
を含んだガス状供給物からのアクリロニトリルの製造に
ついては,ブルースE.ゲーツ(Bruce E.Gates)らによ
る「“Chemistry of Catalytic Processes",McGraw−Hi
ll(1979),pp.380−384」に説明されている。
該供給物がアンモ酸化反応器に送られ,そこで適切な
触媒の存在下にて,アクリロニトリル及び少量の他の窒
素含有化合物が製造される。アンモ酸化反応からの流出
物が水で急冷され,所望の生成物が液相の形で得られ
る。気相副生物(一般には,酸素,二酸化炭素,一酸化
炭素,及び未反応炭化水素等)に天然ガスを混合し,こ
れをボイラーに送って燃焼させる〔例えば,ヨシノ(Yo
shino)らによる米国特許第3,591,620号明細書及びキャ
ラハン(Callahan)らによる米国特許第4,335,056号明
細書に開示されている〕。
クービアー(Khoobiar)らによる米国特許第4,609,50
2号明細書は,出発物質としてプロパン(スチームの存
在下にて触媒反応により脱水素されてプロピレンを形成
する)を使用してアクリロニトリルを製造するための循
環プロセスについて開示している。該プロセスは,主と
してコスト上の理由からスチームの使用を避けている従
来の殆どの脱水素プロセスとは対照的である。アンモ酸
化を行った後,流出物を急冷し,所望の生成物を取り出
し,そしてプロピレンとプロパンを含んだ廃ガスを酸化
反応器に送り,水素との選択的反応によって酸素を除去
して水蒸気を形成させる。選択的酸化反応器を出たガス
混合物は,相応量のメタン,エタン,及びエチレン(こ
れらは脱水素反応の副生物である),未反応のプロピレ
ン,並びに炭素酸化物類を含む。任意操作として,該ガ
ス混合物が分割され,一部が分離器に送られて二酸化炭
素だけが除去される。分離器からの流出物の一部をパー
ジして軽質炭化水素類を除去する。パージしなかった流
れが,酸化反応器流出物の残部,新たなプロパン,及び
必要に応じてスチームと混合されて脱水素反応器に送ら
れ,そこでプロパンがプロピレンに転化される。他の任
意操作としては,C3炭化水素類を冷却・液化し,次いで
再循環する前にこれらを蒸発させる,という操作があ
る。
上記のプロセスはいくつかの欠点を有する。プロピレ
ンに転化されるプロパンの量は,パス一回当たり約20〜
60%の範囲(通常は約40%)であり,従って約60%のプ
ロパン供給物が系全体を再循環される。従来の速度にお
いては,このように多量のプロパン並びに水素や他のガ
スが存在すると,アンモ酸化反応ゾーンの圧力が高くな
り,従ってアクリロニトリルの収率が低下することとな
る。より効率的な脱水素触媒が市販されていれば,こう
した触媒を使用することによってこの問題を解決するこ
とができる。さらに,該プロセスでは,プロパン脱水素
反応の副生物(例えば,メタン,エタン,及びエチレン
等)を選択的に除去し,これによって系中における堆積
を防止できるような実際的な方法はない。パージ流れに
てこれらのガスを除去すると,循環しているプロパンと
プロピレンの一部が失われる。該プロセスは連続的な方
法で行われるので,このような出発物質の損失は,プロ
ピレンの収率の大幅な低下をきたす。前述したように,
プロパンとプロピレンは,排気する前にパージ流れから
回収することができる。このためには,プロパンとプロ
ピレンを液化するための冷却装置がさらに必要となる。
こうした装置,並びにプロパンやプロピレンを再循環す
る前に気化させるための装置が必要になると,プロセス
に対する資本経費が大幅にアップすることになる。
クービアーらによるプロセスの他の欠点は,急速冷却
器からのガス状流出物を処理するために選択的酸化反応
器を使用することから生じる。急速冷却器を出たガス
は,その温度が周囲温度となっており,酸素の除去を促
進するため,酸化反応器に導入する前に加熱しなければ
ならない。急速冷却器流出物中には相当量の酸素が存在
しているので,酸化反応器中で生成する反応熱により系
の温度が異常に高くなることがある。この問題を多少と
も解消するための対応策が3つある。第一に,酸化反応
器中に入る酸素の量を,他の手段によって減少させるこ
とができる。第二に,各対の反応器間に冷却手段を備え
た多段反応器(multiple reactors)を使用することが
できる。第三に,反応器からの流出物の一部を冷却手段
に通し,これを供給物に再循環して反応器の内部温度を
低下させることができる。コストと効率の観点から,こ
れらの対応策はいれも適切なものとは言えない。
クービアーらのプロセスにおける酸化反応器は,貴金
属(例えば白金等)を酸化触媒として使用して操作され
る。チャールズL.トーマス(Charles L.Thomas)による
「“接触プロセスと有効触媒(Catalytic Processes an
d Proven Catalyst)",アカデミックプレス(1970),p
p.118−119」に開示されているように,オレフィン類と
一酸化炭素(これは脱水素反応器中で生成する)は,こ
れらの触媒を不活性化することが知られている。従っ
て,触媒を頻繁に再生するために多段酸化反応器を使用
しなければならず,これによって製造コストはさらに一
層増すことになる(米国特許第4,609,502号明細書,第
4欄,51〜56行を参照)。
従って,当業界では依然として,炭化水素類をニトリ
ル類に転化するための,原価効率の良い製造法が求めら
れている。発明者らは,原価効率が良くて且つ前記シス
テムの欠点が実質的に解消されるような製造法を見出し
た。さらに従来の製造法と比較すると,発明者らの製造
法における必要な熱量は大幅に少なくなっている。
本発明によれば,炭化水素,酸素含有ガス(好ましく
は酸素含量の多い空気),及びアンモニアガスを,パス
一回当たり比較的低い転化率及び比較的高い生成物選択
性にて所望の生成物が得られるような操作条件下におい
て,適切な触媒の存在下に適切な反応器中で反応させる
工程を含む,ニトリルの製造法が開示される。前記生成
物流れを液体で急冷して,所望の生成物を含有した液相
及び気相を形成させ,この気相を適切な選択分離器(好
ましくは圧力スウィング吸着ユニット)中に導入して未
反応炭化水素の実質的に全てを分離し,これを反応器に
再循環させる。本製造法では,有効量のガス状火炎抑制
剤(すなわち,約30〜約95容量%)のガス流れ中に供給
し,このガス流れが選択分離器中に導入される。
本発明の製造法においては,アンモ酸化触媒の存在下
にて,炭化水素を,高純度酸素,空気,又は空気より酸
素含量の多いガスを含んだ酸素含有ガスと反応させる。
適切なアンモ酸化触媒は,反応器に対して適用される条
件下にて所望のニトリルの生成に触媒作用を及ぼすよう
な触媒である。これらの触媒とその使用法は従来通りで
あり,当技術者にはよく知られている。本明細書で使用
している“炭化水素”とは,脂肪族化合物及び芳香族化
合物のいずれも含む。炭化水素出発原料はオレフィン又
はキシレンが好ましいが,触媒を適切に選択してアルカ
ンから直接ニトリルを形成させることも,明らかに本発
明の範囲内に含まれる。α,β−オレフィン性不飽和ニ
トリルはアルカンとアルケンから,そしてベンゼンニト
リルはキシレンから製造される。
本発明の製造法によって有利に製造することのできる
生成物及びそれらの各出発原料を示すと,例えば,プロ
ピレン又はプロパンからのアクリロニトリル,イソブチ
レン又はイソブタンからのメタクリロニトリル,そして
o−キシレン(すなわちオルトキシレン)からのフタロ
ニトリル等がある。説明を簡潔に行うため,プロピレン
からのアクリロニトリルの製造に関して本発明のプロセ
スを説明するが,これによって本発明が限定されるもの
ではない。
図面を参照すると,第1図は,アクリロニトリルを製
造するのに現在工業的に使用されているプロセスを示し
ている。適切なアンモ酸化触媒を含有した従来の反応器
にい,プロピレン,アンモニア,及び空気を供給する。
反応器は固定層型又は流動層型のいずれであってもよい
が,通常は後者が使用される。再循環工程を含まないこ
のようなプロセスは,反応器供給物中に空気又は酸素含
量の多い空気を使用するが,通常はコスト上の理由から
空気が使用される。反応器供給物中の酸素濃度は重要な
ポイントではないと考えられる。なぜなら,再循環が行
われないため,系中に他のガス類(主として窒素)が堆
積するという問題が起こらないからである。このような
プロセスの供給物中における酸素含量は,各プロセスの
態様に関して調整しなければならない,ということを当
技術者は周知している。
反応器からの生成物ガスを熱交換器(図示せず)にて
冷却してスチームを形成させ,次いで水急冷塔に送って
生成物(すなわち,アクリロニトリル,アセトニトリ
ル,アクロレイン,シアン化水素,及び未反応アンモニ
ア)を溶解させる。引き続きアクリロニトリルが従来法
によって水溶液から回収される。急冷塔からの廃ガス
は,天然ガスと混合された後,ボイラー中で燃焼されて
スチームを生成する。ボイラーからの廃ガスは排気され
る。このようなプロセスにおいては再循環が行われない
ので,得られるアクリロニトリルの収率は,反応器の効
率に直接関係する。
第2図は,プロパンからアクリロニトリルを製造する
ための循環プロセスを示している(クービアーらによる
米国特許第4,609,502号明細書に開示)。本プロセスに
おいては,プロパンとスチームが脱水素反応器に供給さ
れてプロピレンが形成され,次いでこのプロピレンが酸
素及びアンモニアと混合されて,第1図に示したような
アンモ酸化反応器に送られる。アンモ酸化反応器からの
生成物が,第1図に示したような水急冷塔に送られて,
生成物が溶液の形で取り出される。急冷塔からのガス状
取り出し物(通常は酸素,水素,一酸化炭素,二酸化炭
素,メタン,エタン,エチレン,プロパン,及びプロピ
レンを含有)が選択的酸化反応器に送られる。前述した
ように,このような反応器を効率的に作動させるために
は,一般には,前記ガス混合物を該反応器に導入する前
に前記ガス混合物を加熱することが必要である。
該酸化反応器からの廃ガスの一部が分離器に送られ,
開示されていないメカニズムによって炭素酸化物類が除
去される。該分離器からの流出物の一部(軽質炭化水素
類と水素を含有)をパージし,処理してプロパンとプロ
ピレンを除き,そして廃棄してこれによって系中におけ
る副生物の堆積を防止する。プロパンとプロピレンを,
酸化反応器流出物及び分離器流出物の残部と合わせ,脱
水素反応器へと再循環する。当然のことながら,脱水素
反応器の能力が大幅に低下するのを防止するために,該
酸化反応器は,急冷塔流出物からの酸素を全て効率的に
除去できなければならない。さらに,酸素供給物は高純
度酸素でなければならない。なぜなら,空気又は酸素含
量の多い空気を使用すると,窒素が系中に急速に堆積す
るからである。従って,再循環流れの多くの部分をパー
ジする必要があり,このため効率の低下をきたす。
第1図と第2図に示したプロセスとは異なり,本発明
のプロセスは,アンモ酸化反応器に再循環できるよう,
炭化水素反応物の実質的な部分を有効に取り出すことの
できる選択分離器(好ましくは圧力スウィング吸着ユニ
ット)を組み込んでおり,これによって高いプロピレン
転化率と操作上の高い経済性が得られる。本明細書にお
いて炭化水素反応物の再循環に関して述べている“実質
的な部分”とは,アンモ酸化反応器への供給物中の酸素
含有ガスが空気である場合は少なくとも約80容量%を,
高純度酸素と空気との等重量部混合物が酸素含有ガスと
して使用される場合は少なくとも約90容量%を,そして
酸素含有ガスが高純度酸素である場合は少なくとも約95
容量%を意味する。もちろん,より少ない量の炭化水素
反応物を再循環させることもできるが,プロセスの効率
が低下し,これによって廃棄ガスの掃除コスト及び原材
料コストが増大する。いずれの場合においても,上記の
値が最小限必要なパーセントである。例えば,酸素含有
ガスとして高純度酸素を使用する場合,再循環される炭
化水素反応物の量は通常97〜99容量%である。
選択分離器は加圧された供給物を必要とするので,本
発明のプロセスでは,有効量のガス状火炎抑制剤を供給
して,圧力が増大されるサイクルの各ポイントにおける
燃焼の危険性を最小限に抑える。急冷塔からのガス状流
出物に対して圧縮機を配置するのが好ましいが,これは
サイクル中の他の適切な場所に設けてもよい(例えば圧
縮機は分離機の出口に配置してもよい)。圧縮器は1つ
だけでも,あるいはそれ以上存在してもよい。本発明の
ガス状火炎抑制剤は,1〜5個の炭素原子を有する実質的
に非反応性の炭化水素,二酸化炭素,及びアンモ酸化反
応器への供給物中の酸素含有ガスとして空気又は酸素含
量の多い空気が使用される場合は,窒素を含む。“実質
的に非反応性”とは,ガス状火炎抑制剤の少なくとも90
容量%の炭化水素成分が,変化を起こさずにアンモ酸化
反応器を通過する,ということを意味する。実質的に非
反応性の炭化水素は飽和又は不飽和の炭化水素であり,
好ましいのは飽和炭化水素である。
本発明の循環プロセスにおけるガス状火炎抑制剤混合
物の量は,火炎抑制剤が最も有効となるような系中のポ
イント(すなわち,圧力上昇手段への供給物)において
火炎抑制剤の量が最大となるよう制御される。“最大と
なる”とは,安全性のマージンを系の制約条件に含めて
(すなわち,所望のニトリルを効率的に生成させるとい
う主要な目的を損なうことなく),火炎抑制剤の量が最
少の燃焼危険性を得るのに最適である,ということを意
味する。
ガス状火炎抑制剤の量は,圧力を上昇させる手段の配
置場所に関係なく,急冷塔からのガス状流出物が約30〜
約95容量%のガス状火炎抑制剤を含有するような量であ
る。アンモ酸化反応器への供給物中の酸素含有ガスとし
て高純度酸素が使用される場合,窒素はガス状火炎抑制
剤の中の成分とはならないことに留意すること。本発明
のプロセスの実施態様においては,本発明のガス状火炎
抑制剤混合物の各成分は主要部の窒素を含む。
ガス状火炎抑制剤の成分として使用される実質的に非
反応性の炭化水素及びこれらの炭化水素が使用される反
応の例としては,プロピレンからアクリロニトリルを製
造する際のプロパン;プロパンからアクリロニトリルを
製造する際のメタン又はイソブタン;イソブチレンから
メタクリロニトリルを製造する際のn−ブタン;そして
イソブタンからメタクリロニトリルを製造する際のメタ
ン;等がある。
未反応の炭化水素反応物(例えばプロピレンやイソブ
チレン等)は,ガス状火炎抑制剤の主要部分を構成して
はいないものの,ガス状火炎抑制剤の火炎抑制能力を向
上させているようである。ガス状火炎抑制剤混合物中に
存在している未反応の炭化水素反応物の量は,アンモ酸
化反応器中に入る炭化水素反応物(生成物に転化され
る)のパス一回当たりの転化率によって変わる。当技術
者には明らかなことだが,アンモ酸化反応器が供給物中
における炭化水素反応物の所望の転化率にて作動するよ
う,触媒の選択や作動温度等のファクターを調整するこ
とができる。転化率が低い場合(例えば60%転化率),
系中にはより多くの量の未反応炭化水素反応物が循環し
ている。例えば,アンモ酸化反応器中に実質的に純粋な
酸素を使用し,本発明に従って80%転化率で作動させる
と,急冷塔流出物中には約10〜15%の未反応炭化水素反
応物が存在するが,60%及び90%転化率で作動させる
と,急冷塔流出物中にはそれぞれより多くの%の,及び
より少ない%の未反応炭化水素反応物が存在する。ガス
状火炎抑制剤の組成は,それに従って調節することがで
きる。
本発明のプロセスは,第2図に示したプロセスから得
られる再循環による効率を有し,しかもより単純化され
ているために,第2図のプロセスに固有の欠点をもたな
い,という点で有利である。本発明の利点は,系中に未
反応炭化水素反応物の実質的な部分を保持する選択分離
器をプロセス中に組み込むことによって得られる。本発
明のプロセスのガス状火炎抑制剤は,作動条件及び系へ
の供給物に応じて,一部又は全部を再循環することがで
きる。好ましい実施態様においては,分離器は圧力スウ
ィング吸着ユニットである。
本発明の選択分離器の効率が良いことにより,低転化
率での系の作動が可能となる(すなわち,供給原料の一
回のパスで可能な最高収率の生成物を得るという従来の
目的からはずれる)。ある与えられた触媒を使用したと
きに,転化率を下げると選択性が増大する。所望の生成
物への選択性が1%増大(本発明のプロセスによって達
成される)したとしても,工業的なスケールにおいては
かなりの経済上の利点が実現される。なぜなら,本発明
のプロセスは極めて高いパーセントの未反応炭化水素反
応物を保持し且つ再循環するからである。転化率を97%
から90%へ下げると,選択性が約1%増大する。従っ
て,本発明の場合,ある与えられた触媒を使用したとき
に少なくとも約1%の選択性増大が得られるような最大
値未満の転化率レベルは低い転化率である。従って,所
望の選択性増大が得られるとしても,ここで使用してい
る低転化率は90%以上である。
これまでの説明において使用してきたパス一回当たり
の転化率,選択性,及び収率は,以下のように定義され
る。
式中,HR=反応した反応性炭化水素のモル数 HF=供給した反応性炭化水素のモル数 PP=与えられた所望の生成物のモル数 である。
圧力スウィング吸着(PSA)は,固定層内に保持され
た粒状吸着剤に対する吸着程度の差によってガス混合物
の成分を分離するための公知のプロセスである。一般に
は,比較的高い圧力下での吸着工程,及び比較的低い圧
力下又は減圧下での脱着工程,を含む2つ以上の固定層
が循環プロセスにて操作される。これらの工程を経て所
望の成分が得られる。本サイクルは,吸着と再生の基本
的な工程に加えて他の工程を含んでもよく,所望の生成
物の偽連続流れ(pseudo continuous flow)を確実に起
こさせるために,180゜ずらしてサイクル使用される2つ
以上の吸着剤層を有するのが普通である。PSAサイクル
の吸着工程は加圧下にて行われるのが通常であるが,周
囲圧力で行った後に減圧下にて脱着工程を行うこともで
きる。本システムの操作にとって必須のことは,吸着工
程と脱着工程との間に圧力差が存在することである。
第3図(アクリロニトリルを製造するためのプロセ
ス)を参照すると,従来のアンモ酸化反応器への供給物
は,プロピレン,アンモニア,及び空気もしくは酸素含
量の多い空気を含んでいる。本発明によれば,酸素含量
の多い空気は,好ましくは約30〜80重量%,最も好まし
くは約55〜65容量%の酸素を含有する。このような混合
物は,従来の酸素製造ユニット(例えば従来のPSAユニ
ット)の能力を調節することによって,あるいは高純度
酸素と空気とを適切な割合で混合することによって得る
ことができる。酸素含量の多い空気を使用すると,アン
モ酸化反応器の操作上の転化率に応じ,アンモ酸化反応
器への供給物において,供給物の約10〜20容量%という
最小濃度の窒素が得られる。反応器供給物における窒素
の濃度が最小となっていることにより,PSAユニット分離
器のための圧縮機への供給物においては所望のレベルの
窒素が得られる。
本発明のプロセスにおいて使用されるアンモ酸化反応
器は従来タイプのものであり,固定触媒層又は流動触媒
層のいずれを使用してもよい。アンモ酸化反応器の代表
的な例が,オングシュタット(Angstadt)らによる米国
特許第4,070,393号明細書,及びゲーツらによる前記文
献の381−383ページに開示されている(これらの文献を
参照の形でここに引用する)。本反応器は,酸化ビスマ
ス−酸化モリブデン,酸化鉄−酸化アンチモン,又は酸
化ウラン−酸化アンチモンをシリカ等に担持させた形
の,従来タイプのアンモ酸化触媒を含む。他の適切な触
媒は,例えば,「“触媒プロセスの化学(Chemistry of
Catalytic Processes)",ゲーツら,マグローヒル(19
79),pp.349−350」及びヨシノ(Yoshino)らによる米
国特許第3,591,620号明細書に開示されている(これら
の文献を参照の形でここに引用する)。この他にも適切
な触媒があり,当技術者にはよく知られている。例え
ば,プロピレンよりむしろプロセスが主要な供給原料で
ある場合には,酸化バナジウム−酸化アンチモン系のア
ンモ酸化触媒が使用される〔ガットマン(Guttmann)ら
による米国特許第4,746,641号明細書を参照〕。
アンモ酸化反応は,約375〜550℃(好ましくは約400
〜500℃)の温度,及び通常は約2〜30psig(好ましく
は約3〜20psig)の低圧にて行われる。反応物は、比較
的低い速度(通常は53.3〜67.1cm/秒(約1.75〜2.2フィ
ート/秒)の範囲)にて反応器に通される。供給物中に
おける酸素対プロピレンの比は,容量比にて1.3:1〜2.
4:1の範囲が適切である。供給物中におけるアンモニア
対プロピレンの比は,容量比にて0.7:1〜2.0:1の範囲が
適切である。
アンモ酸化反応により,主要量のアクリロニトリル,
並びに少量のアクロレイン,シアン化水素,アセトニト
リル,及び炭素酸化物類,そして未反応の酸素,プロピ
レン,及び窒素が得られる。一般に市販のプロピレン
は,プロセスを除去するためのコストのかかる追加処理
が施されていない限り,少量のプロパンを含有してい
る。プロパンは本発明のプロセスのガス状火炎抑制剤に
対して好ましい影響を及ぼすので,このことは有利なこ
とであると言える。本実施態様においては,プロパンは
実質的にPSAユニットから再循環される。このガス状混
合物を液体(例えば水)で急冷又はスクラビング処理し
て水溶性の化合物を溶解させ,次いでアクリロニトリ
ル,アセトニトリル,及びシアン化水素を分離・回収す
る。急冷塔からの廃ガスをH2SO4を含んだ別の塔に通し
て,NH3を完全に除去する。以下の説明においては,急冷
塔からの廃ガスは,たとえさらに使用されるとしても吸
着剤を通った後の最終的な廃ガスを意味する。
急冷塔からの気相流出物がPSAユニット分離器中に導
入され,そこで未反応のプロピレンが混合物中における
他のガスと分離される。PSAユニットの吸着工程は周囲
圧力にて行うことができるけれども,急冷塔からのガス
状流出物を圧縮機又は他の適切な手段に通して,PSAユニ
ット中に導入する前にガス状流出物の圧力を増大させる
のが好ましい。経験によれば,本システムの燃焼危険性
は圧縮機中において最も高い。従って,燃焼の危険性を
最小限に抑えるために,ガス状火炎抑制剤のトータル量
は,急冷塔からの気相(すなわち圧縮機への供給物)に
おいて最大となる。こうした状況が得られるよう,本シ
ステムの操作条件を調節することができる。
急冷塔からの気相流出物は,容量基準にて,約1〜3
%の一酸化炭素,約3〜5%のプロピレン,約6〜8%
の酸素,約10〜15%の二酸化炭素,約50〜70%の窒素,
及び約10〜20%のプロパンを含有しており,後者の三成
分(二酸化炭素,窒素,及びプロパン)がガス状火炎抑
制剤を構成している。この例は,約60容量%の酸素を含
有した酸素含量の多い空気をアンモ酸化反応器(プロピ
レンの60%転化率にて作動する)への酸素含有供給物と
して使用したときの,プロピレンからのアクリロニトリ
ルの合成に関して与えられていることに留意しなければ
ならない。急冷塔流出物中におけるプロピレン,窒素,
及び一酸化炭素の容量%は,約35〜70容量%であるのが
さらに好ましい。第3図に示したプロセスにおいては,
好ましい選択分離器は,圧縮機によって与えられる圧力
下で作動するPSAユニットである。この圧縮機は,急冷
塔からの気相の圧力を,PSAユニットの好ましい作動圧力
(通常は約3〜50psig,好ましくは約20〜40psig)に上
昇させる。好ましい作動圧力の範囲は,使用する吸着剤
の種類によって幾分変わることがある。
PSAユニット中の吸着剤は,プロパンは二酸化炭素よ
りプロピレンを実質的に大きい程度に吸着するような物
質であれば,当業界に公知のいかなる物質でもよい。好
ましい吸着剤物質はシリカゲルである。
PSAユニットにおける吸着剤を適切に選択することに
よって,PSAユニットの作動は,PSAユニットにおいて形成
される再循環流れが実質的な部分のプロピレン及びより
少ないパーセントのプロパンと二酸化炭素を含有するよ
う,当業界に公知の操作法を使用して容易に制御するこ
とができる。選択分離器への入口において圧縮機が必要
とされないよう,再循環流れの圧力が,例えば圧縮機に
より増大される。窒素,酸素,及び炭素酸化物類とプロ
パンの残部は系から取り出され,好ましくは燃焼処理さ
れ,そして排気される。ここでは,排気流れから酸素を
回収し,そして反応器供給物に再循環して系の作動効率
を向上させている。
約60容量%の酸素を含有した酸素含量の多い空気を反
応器供給物として,そして窒素,二酸化炭素,及びプロ
パンからなる混合物をガス状火炎抑制剤(窒素がその主
要部分を構成する)として使用してアクリロニトリルを
製造するのに第3図に示したシステムを適用した場合に
つき,得られるアクリロニトリルの100モルを基準とし
て,システム中の重要なポイントにおけるモル%表示の
流量を求め,その値を第I表と第II表に示した。第I表
におけるオキシダント供給物は等量部の空気と高純度酸
素とを混合することによって得られ,また第II表におけ
るオキシダント供給物は空気である。第I表と第II表に
示されているデータは,アンモ酸化反応器へのそれぞれ
60%と90%のプロピレン供給物が生成物に転化されるよ
うな条件下でのシステムの作動状況を示している。第I
表と第II表において,ポイントAはアンモ酸化反応器へ
の供給物であり,ポイントBはアンモ酸化反応器からの
流出物であり,ポイントCは急冷塔からの流出物であ
り,ポイントDはPSA分離器からの再循環流れであり,
そしてポイントEはPSA分離器からの排出流れである。
第I表と第II表のデータは,約95%がプロピレンで残
りがプロパンである典型的な工業用プロピレン源からの
結果を示している。
第III表は,等量部の酸素と空気からなるオキシダン
ト供給物を使用して,プロパンからアクリロニトリルを
製造する例を示している。第III表におけるポイント
は,第I表の場合のポイントと同じである。
第4図には,反応器への供給物として高純度酸素を使
用したシステム(ガス状火炎抑制剤はプロパンと二酸化
炭素を含んでいる)が示されている。容積対容積を基準
として,プロパンが本発明の火炎抑制剤混合物中の最も
有効な成分である。第4図のシステムにおいては,急冷
塔からの気相流出物を分離器(好ましくはPSAユニッ
ト)に導入してプロピレンとプロパンの少なくとも一部
と分離し,次いでこれを反応器供給物へ再循環させる。
第3図のシステムの場合と同じように,反応器供給物中
におけるプロパンの容量%は,急冷塔から圧縮機へのガ
ス状供給物中におけるプロパン濃度に関して,存在する
二酸化炭素と組み合わさって燃焼危険性を少なくするよ
うな濃度が得られるよう定められる。
急冷塔からの気相流出物は,容量基準にて好ましく
は,約10〜40%のプロピレン,約5〜25%の酸素,約10
〜45%の二酸化炭素,約2〜5%の一酸化炭素,及び約
5〜50%(好ましくは約40%)のプロパンを含有する。
急冷塔流出物におけるプロピレン,プロパン,及び一酸
化炭素を合わせた容量%は,約35〜70容量%であるのが
さらに好ましい。
再循環流れにおけるプロパンの量は,前記したような
所定の最少量であってもよいが,通常は,プロピレン供
給物中に不純物として存在するプロパンの量を補償する
ためにより少ない量である。PSAユニットの選択分離能
力により,未反応プロピレンの実質的な部分を反応器に
再循環できるだけでなく,システム中に比較的一定のレ
ベルのプロパンが得られる。
プロパンを主要成分としたガス状火炎抑制剤混合物を
使用してアクリロニトリルを製造するために第4図のシ
ステムを使用し,システム中の重要ポイントにおける流
量(モル%にて表示)を求めた。その値を第IV表に示
す。組成は,得られるアクリロニトリルの100モルを基
準としたモル%により表わされている。第IV表に示され
ているデータは,アンモ酸化反応器へのプロピレン供給
物のそれぞれ60%及び90%が生成物に転化されるような
条件下におけるシステムの作動を表わしている。第IV表
において,各重要ポイントは第I表の場合と同じであ
る。
第IV表に記載のデータは,約95%がプロピレンで残り
がプロパンである典型的な工業用プロピレン源を使用し
たときの結果を示している。純度が約98%である高純度
プロピレンを使用して検討を繰り返した。その結果を第
V表に示す。
第5図に示した本発明の実施態様においては,二酸化
炭素を主要成分として含有したガス状火炎抑制剤混合物
を使用し,アンモ酸化反応器への供給物としては高純度
酸素を使用した。本実施態様の場合,選択分離器への供
給物中の二酸化炭素の容量%は,約25〜70(好ましくは
約35〜65)容量%である。選択分離器は,PSAユニットで
も又は公知のベンフィールド(Benfield)プロセスに従
って作動する従来の液体分離器であってもよく,このと
き二酸化炭素は,吸着剤溶液(例えば炭酸カリウム水溶
液等)中に溶解させることによって,流出物から除去さ
れる。しかしながら,いずれの場合においても分離器は
周囲圧力で作動させることができるけれども,分離器へ
の供給物は,第5図に示すような圧縮機を使用して,加
圧下にて導入するのが好ましい。液体分離器が使用され
るときは,得られた溶液を再生して二酸化炭素を放出さ
せる。分離器がPSAユニットである場合,吸着剤は,ゼ
オライト・モレキュラーシーブ(例えば4Aモレキュラー
シーブ)やシリカゲルが適切である(好ましいのは後者
である)。
アンモ酸化反応器中には,望ましくない副生物として
二酸化炭素が生成されるので,その少量だけを反応器供
給物に再循環させるのが好ましい。さらに,望まくない
圧力上昇(プロセスの効率を低下させる)を防ぐため
に,反応器中における二酸化炭素の含量を最小限に抑え
るのが有利である。通常,アンモ酸化反応器への供給物
は,プロピレン,酸素,アンモニア,及び約5容量%以
下の二酸化炭素を含んでいる。
第5図に示した実施態様においては,分離器にて分離
された二酸化炭素が圧縮機の上流にて少なくとも一部再
循環されて,圧縮機に入る濃度が約25〜70重量%とな
る。反応器は高い初期濃度の二酸化炭素を有する必要は
ないので,二酸化炭素の再循環は,ガス状火炎抑制剤中
における所望の濃度を得るためにシステム内にて行われ
る。再循環流れは,急冷塔の上流もしくは下流にて,又
は第5図に示す如く両方の場所にて再びシステムに入っ
ていく。圧縮機に入る流れ中の二酸化炭素の濃度が大き
くなりすぎる場合,第5図に示す如く,再循環流れの一
部がシステムから排気される。選択分離器の運転圧力
は,通常約10〜50psig(好ましくは約20〜40psigであ
る)。第5図に示した二酸化炭素の再循環は,選択分離
器が周囲圧力付近で運転され,そしてシステム中に圧縮
機が組み込まれていないような場合にも行われる。なぜ
なら,再循環により,システム中の二酸化炭素の量に対
する調節がしやすくなるからである。
選択分離器を出たガス混合物は,二酸化炭素,一酸化
炭素,酸素,及び未反応のプロピレンを含む。ベンフィ
ールドプロセスによる選択分離器は,一般に流出ガス混
合物の二酸化炭素含量を約5容量%に低下させる。PSA
ユニットの選択分離器は,一般に流出物の二酸化炭素含
量を約10容量%に低下させる。システム中には,未反応
の炭化水素反応物がある程度(転化率に従って変わる)
存在しており,その実質的に全てが選択分離器から再循
環される。新たな炭化水素反応物を本混合物に加えてそ
の圧力を上昇させ,そしてアンモ酸化反応器に再循環さ
せて,そこで流入してくる酸素,アンモニア,及び追加
の炭化水素反応物(例えばプロピレン)と混合されて,
約1容量%以下の最終的な二酸化炭素濃度が得られる。
第VI表により,第5図に示したアクリロニトリルを合
成するためのシステムの運転パラメーターが得られ,こ
のとき二酸化炭素がガス状火炎抑制剤の主要成分であ
り,選択分離器は従来タイプの液体分離器である。前出
の表の場合と同じように,第VI表のデータも,得られる
アクリロニトリルの100モルを基準としたモル表示で表
わす。第VI表のデータは,プロピレンのパス一回当たり
60%及び90%の転化率に対するものであり,そしてプロ
セス中の次のようなポイントに対するものである:Aはア
ンモ酸化反応器への供給物であり;Bはアンモ酸化反応器
からの流出物であり;Cは再循環の二酸化炭素が加わる前
における急冷塔からの流出物であり;Dは圧縮機への供給
物であり;Eは選択分離器から反応器への再循環流れであ
り;そしてFは選択分離器からの二酸化炭素の再循環流
れである。
第VII表に記載のデータは,第5図に示したシステム
を使用し,分離器としてPSAユニットを使用したときに
得られたデータである。第VII表においては,ポイント
A〜Dは第VI表の場合と同じであり,ポイントEはPSA
ユニットからの再循環ガス流れであり,そしてポイント
FはPSAユニットからのCO2再循環流れである。
二酸化炭素又は実質的に非反応性の炭化水素が本発明
のプロセスにおけるガス状火炎抑制剤の主要成分である
場合,先ず充分な量の火炎抑制剤をアンモ酸化反応器又
は酸化反応器に加えて,所望の濃度のガス状火炎抑制剤
を確実に得ることが必要である,と考えられる。しかし
ながら,酸素含量の多い空気を反応器供給物として使用
するときは,このことは必要でなく,この場合,ガス状
火炎抑制剤の主要成分は窒素である。完全に自動化して
効率的な方法で連続的に運転できるよう,従来の装置を
使用してシステム内のガスの流量をモニターし,そして
自動的に調節することも,本発明の範囲内に含まれると
考えられる。
本発明のプロセスは,単純であること,操作が簡単で
あること,資本経費と運転コストが安いこと,及び燃焼
の危険性が実質的に低下していること等の点において,
従来技術のプロセスより有利である。第3図に示したプ
ロセスにおいては,より安価なグレードのプロピレン
(相当量のプロパンを不純物として含有)を使用するこ
とができる。同様に,空気又は酸素含量の多い空気を出
発物質として使用すると(このときガス状火炎抑制剤の
主要成分は窒素である),さらにコストの節減がはから
れる。本発明のプロセスは,炭化水素供給物から所望の
生成物への比較的低い転化率にて運転して,実質的に改
良された選択性を得ることができる。パス一回当たり比
較的低い転化率にて運転され,しかもより安価なグレー
ドの供給原料を使用して所望の生成物への高い選択性が
得られるようなシステムは極めて有利である,と考えら
れる。
【図面の簡単な説明】
第1図は,アクリロニトリルを製造する従来プロセスの
ブロック図である。 第2図は,再循環工程を使用してアクリロニトリルを製
造する従来プロセスのブロック図である。 第3図は,空気又は酸素含量の多い空気をアンモ酸化反
応器への供給物として,そして圧力スウィング吸着ユニ
ットを分離器として使用し,このときガス状火炎抑制剤
が窒素を主要部分として含有している,という形の本発
明によるアクリロニトリル製造プロセスの実施態様のブ
ロック図である。 第4図は,ガス状火炎抑制剤がプロパンを主要部分とし
て含有している,という形の本発明によるアクリロニト
リル製造プロセスの実施態様のブロック図である。 第5図は,ガス状火炎抑制剤がプロパンを主要部分とし
て含有している,という形の本発明によるアクリロニト
リル製造プロセスの実施態様のブロック図である。
フロントページの続き (72)発明者 ヤギャ・シュクラ アメリカ合衆国ニュージャージー州 07204,ローゼル・パーク,ウォーレ ン・アベニュー 141 (72)発明者 ドナルド・エル・マクリーン アメリカ合衆国ニュージャージー州 08801,アナンデイル,ペティコート・ レイン 102 (56)参考文献 特公 平6−37451(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 253/24 - 253/28

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)(i)アルカン、アルケン、及びキ
    シレンからなる群から選ばれる反応物; (ii)酸素含有ガス;及び (iii)アンモニア; を、低供給量での転化及び高い生成物選択性にてニトリ
    ルを含有した流出物が得られるような条件下において、
    反応器中、アンモ酸化触媒の存在下に気相で反応させる
    工程; (b)前記流出物を液体で急冷して、前記ニトリルを含
    有した急冷液相、及び未反応物を含むガス状生成物を含
    有した気相を形成させる工程; (c)前記ニトリルを前記液相から回収する工程; (d)前記気相を加圧された供給物として選択分離器に
    導入し、これによって未反応物の実質的な部分を除去す
    る工程;及び (e)前記未反応物を加圧下にて前記反応器に再循環さ
    せる工程; の各工程を含む、α,β−オレフィン性不飽和ニトリル
    類及びベンゼンニトリル類の循環製造法であって、 ガス状火炎抑制剤の存在下にて行われ、火炎抑制剤の量
    が工程(b)において形成される気相中で最大になるよ
    うに制御され、このとき火炎抑制剤の量が前記気相の30
    〜95容量%である、製造法。
  2. 【請求項2】前記酸素含有ガスが、高純度酸素、空気、
    及び空気より酸素含量の多いガスからなる群から選ばれ
    る、請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】前記酸素含有ガスが空気又は空気より酸素
    含量の多いガスであり、前記ガス状火炎抑制剤が、1〜
    5個の炭素原子を有する実質的に非反応性の炭化水素、
    二酸化炭素、及び窒素を含む、請求項2記載の製造法。
  4. 【請求項4】前記の実質的に非反応性の炭化水素が飽和
    炭化水素である、請求項3記載の製造法。
  5. 【請求項5】前記酸素含有ガスが高純度酸素であり、前
    記ガス状火炎抑制剤が、二酸化炭素及び1〜5個の炭素
    原子を有する実質的に非反応性の炭化水素を含む、請求
    項2記載の製造法。
  6. 【請求項6】前記選択分離器が圧力スウィング吸着ユニ
    ットである、請求項1記載の製造法。
  7. 【請求項7】前記圧力スウィング吸着ユニットが、シリ
    カゲル又はゼオライトモレキュラーシーブからなる吸着
    剤を含む、請求項6記載の製造法。
  8. 【請求項8】二酸化炭素が前記ガス状火炎抑制剤の主要
    成分であり、前記選択分離器が液体分離器であって、こ
    のとき二酸化炭素を吸着剤溶液中に溶解させることによ
    って二酸化炭素が除去される、請求項5記載の製造法。
  9. 【請求項9】前記吸着剤溶液が炭酸カリウム水溶液であ
    る、請求項8記載の製造法。
  10. 【請求項10】前記分離器において得られた二酸化炭素
    の少なくとも一部が、工程(a)にて形成された流出
    物、工程(b)にて形成された気相、又は前記流出物と
    前記気相の両方に再循環される、請求項9記載の製造
    法。
  11. 【請求項11】前記ニトリルがアクリロニトリルであ
    り、前記アルケン反応物がプロピレンであり、前記ガス
    状火炎抑制剤が二酸化炭素、プロパン、及び窒素を含
    み、そして前記酸素含有ガスが空気又は空気より酸素含
    量の多いガスである、請求項1記載の製造法。
  12. 【請求項12】前記ニトリルがアクリロニトリルであ
    り、前記アルケン反応物がプロピレンであり、前記ガス
    状火炎抑制剤が二酸化炭素及びプロパンであり、工程
    (b)にて形成された気相が未反応のプロピレン、酸
    素、二酸化炭素、一酸化炭素、及び5〜50容量%のプロ
    パンを含み、そして前記選択分離器が圧力スウィング吸
    着ユニットである、請求項5記載の製造法。
  13. 【請求項13】前記ニトリルがアクリロニトリルであ
    り、前記アルカン反応物がプロパンであり、前記ガス状
    火炎抑制剤が二酸化炭素、メタン、エタン、及び窒素を
    含み、そして前記酸素含有ガスが空気又は空気より酸素
    含量の多いガスである、請求項1記載の製造法。
  14. 【請求項14】前記ニトリルがアクリロニトリルであ
    り、前記アルカン反応物がプロパンであり、前記ガス状
    火炎抑制剤が二酸化炭素、メタン、及びエタンであり、
    工程(b)にて形成された前記気相が未反応のプロパ
    ン、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、及び5〜50容量%
    のメタンとエタンを含み、そして前記選択分離器が圧力
    スウィング吸着ユニットである、請求項5記載の製造
    法。
  15. 【請求項15】前記ニトリルがメタクリロニトリルであ
    り、前記アルケン反応物がイソブチレンであり、前記ガ
    ス状火炎抑制剤が二酸化炭素、メタン、エタン、イソブ
    タン、及び窒素を含み、そして前記酸素含有ガスが空気
    又は空気より酸素含量の多いガスである、請求項1記載
    の製造法。
  16. 【請求項16】前記ニトリルがメタクリロニトリルであ
    り、前記アルケン反応物がイソブチレンであり、前記ガ
    ス状火炎抑制剤が二酸化炭素、メタン、エタン、及びイ
    ソブタンであり、工程(b)にて形成された前記気相が
    未反応のイソブチレン、酸素、二酸化炭素、一酸化炭
    素、並びに5〜50容量%のメタン、エタン、及びイソブ
    タンを含み、そして前記選択分離器が圧力スウィング吸
    着ユニットである、請求項5記載の製造法。
  17. 【請求項17】前記ニトリルがメタクリロニトリルであ
    り、前記アルカン反応物がイソブタンであり、前記ガス
    状火炎抑制剤が二酸化炭素、メタン、エタン、及び窒素
    を含み、そして前記酸素含有ガスが空気又は空気より酸
    素含量の多いガスである、請求項1記載の製造法。
  18. 【請求項18】前記ニトリルがメタクリロニトリルであ
    り、前記アルカン反応物がイソブタンであり、前記ガス
    状火炎抑制剤が二酸化炭素、メタン、及びエタンであ
    り、工程(b)にて形成された前記気相が未反応のイソ
    ブタン、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、及び5〜50容
    量%のメタンとエタンを含み、そして前記選択分離器が
    圧力スウィング吸着ユニットである、請求項5記載の製
    造法。
  19. 【請求項19】前記ニトリルがフタロニトリルであり、
    前記キシレン反応物がオルトキシレンであり、前記ガス
    状火炎抑制剤が二酸化炭素、メタン、及び窒素を含み、
    そして前記酸素含有ガスが空気又は空気より酸素含量の
    多いガスである、請求項1記載の製造法。
  20. 【請求項20】前記ニトリルがフタロニトリルであり、
    前記キシレン反応物がオルトキシレンであり、前記ガス
    状火炎抑制剤が二酸化炭素及びメタンであり、工程
    (b)にて形成された前記気相が未反応のオルトキシレ
    ン、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、及び5〜50容量%
    のメタンを含み、そして前記選択分離器が圧力スウィン
    グ吸着ユニットである、請求項5記載の製造法。
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