JP2905785B2 - 散乱係数推定方法 - Google Patents

散乱係数推定方法

Info

Publication number
JP2905785B2
JP2905785B2 JP8080086A JP8008696A JP2905785B2 JP 2905785 B2 JP2905785 B2 JP 2905785B2 JP 8080086 A JP8080086 A JP 8080086A JP 8008696 A JP8008696 A JP 8008696A JP 2905785 B2 JP2905785 B2 JP 2905785B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reverberation
scattering
sea
time
sea surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP8080086A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09269367A (ja
Inventor
和彦 太田
禄治 阿部
俊二 尾崎
恒夫 石渡
到 森下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
BOEICHO GIJUTSU KENKYU HONBUCHO
Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
BOEICHO GIJUTSU KENKYU HONBUCHO
Oki Electric Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by BOEICHO GIJUTSU KENKYU HONBUCHO, Oki Electric Industry Co Ltd filed Critical BOEICHO GIJUTSU KENKYU HONBUCHO
Priority to JP8080086A priority Critical patent/JP2905785B2/ja
Publication of JPH09269367A publication Critical patent/JPH09269367A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2905785B2 publication Critical patent/JP2905785B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measurement Of Velocity Or Position Using Acoustic Or Ultrasonic Waves (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクティブソーナ等の
水中音響機器の背景雑音となる残響を発生させる原因と
なる、海面、海底、及び体積散乱係数を推定する散乱係
数推定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、このような分野の技術としては、
例えば、次のような文献に記載されるものがあった。 文献1;J.Acoust.Soc.Am,95
(5)、Bernd Nutzel他著、「Acoustic backscatter
measurements in the North Sea:3-18 kHz」、P.24
88−2494 文献2;J.Acoust.Soc.Am,44
(2)、H.M.Merklinger著、「Bottom Reverberation M
easured with Explosive Charges Fired Deep in the O
cean 」、P.508−513 アクティブソーナー等で、音源から放射された音波は水
中を伝搬し、対象物に照射され、該対象物で散乱された
音波がエコーとして受波器に到来するとともに、海中に
広く広がって、海面、海底、及び海中の生物や浮遊物体
等で散乱して、戻り散乱(以下、残響と呼ぶ)として、
受波器に到来する。この残響は、音響機器にとって、対
象物からのエコーを検出する上での妨げとなり、音響機
器の性能に大きな影響を与える。したがって、散乱特性
を正確に把握することは、音響機器の性能を的確に把握
し、効果的な運用をしていく上で不可欠である。従来、
これらの散乱係数の推定は、パルス波を用い、海面、海
底、体積と、個々の要因毎に行われていた。そのため
に、他の要因による戻り散乱との時間的、空間的な分離
を図っていた。海面散乱係数の推定は、従来、次の手順
により散乱係数を求めている。
【0003】以下、前記文献1に記載された推定方法を
説明する。 1)海底散乱波が時間的に分離できるように送受波器を
海底から遠ざけて設置し、斜め上方に向けてパルス波を
照射して戻り散乱波の時間特性を推定する。空間的にも
分離できるように、できるだけ細いビームを形成する。 2)音線計算等により、伝搬時間と海面散乱角及び拡散
損失との関係を計算する。 3)次式(1)により、散乱角度毎に、海面散乱係数S
s を算出する。 10log(Ss(θ))=RL(t(θ))−SL+TL(t)−DI(θ) ・・・(1) ここで、 θ:海面への入射グレージング RL(t):受信レベル SL:音源レベル TL(t):往復伝搬損失 DI(θ):送受の指向性、パルス幅、海面への入射グ
レージング角等によって定まる係数 海底散乱係数についても同様である。海面散乱波が時間
的に分離できるように、海面から遠ざけて送受波器をお
き、海面散乱係数の推定と同様の手順で推定を行う。推
定方法の例が前記文献2に記載されている。一方、体積
散乱の推定では、海面・海底の両方からの散乱波の影響
を抑えるために、海面、海底散乱波が到来してくる前の
データで推定を行えるように設定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法を浅海域での散乱係数推定に適用しようとすると、
海面、海底で多重反射した音波が時間的、空間的に接近
して到来するため、要因毎に分離することが困難にな
る。特に、音波の到来ふ仰角が小さい経路では、時間的
にもふ仰角の面でも、海面、海底で反射した音波が極め
て接近した経路が生じるため、推定が原理上不可能とな
ってしまう。例えば、水深100mの等音速海洋(音速
1500m/s)中で海面散乱損失を推定する場合を考
える。送受波器深度を30mとすると、海面散乱波の到
来角と伝搬時間との関係は、図2の上段のようになる。
一方、送受波器←→海底、送受波器←→海面←→海底の
経路を通り、それぞれ同じ時間に到来する海底散乱波の
到来角は、図2の中段及び下段のようになる(例えば、
往復伝搬時間を5秒とすると、送受波器→←海底の到来
ふ仰角が−1.1degであり、送受波器←→海面←→
海底の到来ふ仰角が2.0degとなり、極めて接近す
る)。よって、これらを分離して抽出するには、極めて
シャープなビームを形成することが必要であり、極めて
大きなアレイを必要とする。特に、1kHz以下の低周
波では、このようなシャープなビームの形成はきわめて
困難である。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、前記課題
を解決するために、海中に置かれた送波器からパルス音
を放射し、海面、海底、及び体積散乱により受波器アレ
イに戻ってきた戻り散乱波である残響を測定して、その
測定結果から海面、海底、又は体積散乱係数を推定する
散乱係数推定方法において、以下を実行する。すなわ
ち、海面散乱係数及び海底散乱係数をそれぞれいくつか
の未定パラメータ及びグレージング角の関数としてモデ
ル化し、体積散乱係数を一つの未定パラメータとしてモ
デル化する散乱モデル化と、前記モデル化された散乱モ
デルに基づいて、前記受波器アレイの残響パワーの時系
列の前記パラメータの関数として表される推定値を算出
する残響計算処理と、前記受波器アレイにより受信した
残響音圧の時系列の測定結果を2乗し、平滑処理を行っ
て残響パワーの時系列の平滑化出力を求める残響観測値
生成処理と、前記残響パワーの時系列の平滑化出力と前
記残響パワーの時系列の推定値に基づいて、前記各パラ
メータを推定するパラメータ推定処理とを実行する。
【0006】
【作用】第1の発明によれば、以上のように散乱係数推
定方法を構成したので、残響計算処理により、時系列に
対応する各サンプル時刻でのパルス音の残響を海面散
乱、海底散乱、及び体積散乱について、散乱係数、送波
器と受波器アレイの指向特性、伝達特性、グレージング
角を用いて計算して、その散乱係数にモデルを代入し
て、残響をパラメータの関数として表す。残響観測値生
成処理により、受波器アレイにより受信した残響音圧の
時系列の測定結果を2乗し、平滑処理を行って残響パワ
ーの時系列の平滑化出力を求める。パラメータ推定処理
により、残響パワーの時系列の平滑化出力と残響パワー
の時系列の推定値との、例えば、時系列に対応するサン
プル時刻での正規化された差の2乗和が最小となるパラ
メータを求める。従って、前記課題を解決できるのであ
る。
【0007】
【実施例】本実施例の海面、海底、及び体積散乱係数の
推定方法が従来の推定方法と異なる点は、すべての戻り
散乱の重畳結果としての残響の時間特性を測定し、一方
で海面係数、海底散乱係数、及び体積散乱係数をパラメ
ータを用いてモデル化を行って、残響の時間特性を推定
し、それらの時間特性に最小自乗フィットさせることに
より、モデルのパラメータを推定するようにしたもので
ある。以下、本発明の実施例の散乱係数推定方法の原理
の説明をする。まず、海面散乱による残響について考え
る。周波数f、パルス幅Tのパルスを送波器から送信
し、エコー及び残響を受波器で受信するものとする。送
受波器からふ仰角θで出た音波が海面に角度θs で入射
し、同じ経路で送受波器に戻るとすると、その入射点か
ら海面上の次式(2)で与えられる距離幅Δrの散乱点
からの戻り散乱波が時間的に重なりを持つことになる。 Δr=C(0)・T/(2cos θs) ・・・(2) ここで、 C(0):海面での音波の伝搬速度 送波出力の方位特性をP(θ,φ)、受波パーワ感度の
方位特性をR(θ,φ)とする。
【0008】(θ,φ)方向に放射された音波が、t/
2秒後に送受波器から距離rの海面にグレージング角θ
s で入射するとし、そのときの片道のパワー伝達特性
((θ,φ)に放射された音波の出力パワーに対するそ
の入射点でのパワーの比率)をPrs(θ,θs)、海面散
乱係数Ss(θs)とおく(簡単のため、引き数fは省略し
てある)。海面散乱による残響パワー(単位強度音源当
たり)の時間特性((θ,φ)方向に放射された音波が
t秒後に受波器により受信される受信レベル)は、t/
2秒後に海面に到達して散乱する全ての散乱波と、その
散乱点の距離幅Δr以内に位置する海面で散乱した散乱
波を積分したものであり、次式(3)のようになる。 Rs(t)=r・Δr|Prs(θ(t),θs(t),t)|2 ・Ss(θ(t))PR(θ(t)) ・・・(3) ここで、 r:片道伝搬時間がt/2となる送波器から海面までの
距離 θ(t) :片道伝搬時間がt/2となる散乱波の送波器位
置でのふ仰角 θs(t):片道伝搬時間がt/2となる散乱波の海面のグ
レージング角 Δr:式(2)の通り PR(θ(t)):式(4)に示す ここで、媒質特性が水平方向に一様であるとして、式
(4)のように送受感度積をφ(0≦φ≦2π)につい
て積分しておく。
【0009】
【数1】 送受波器から海面まで、片道伝搬時間がt/2となる経
路は単一であるとは限らない(例えば、海底での散乱波
が海面で散乱する場合)。そこで、経路番号としてiを
添字で付けることにする。
【0010】
【数2】 海面散乱係数Ss(θ) については、次のChapman とHarr
isのモデルがよく知られている。 Ls(θ)=10×log[Ss(θ)]=3.3 β×log(θ/30)-42.4 ×log β+2.6 ・・・(6) β=107.46×(w・f1/3 -0.58 ・・・(7) ここで、 w:海面上の風速(m/s) f:音波の周波数 式(6)は、散乱係数がグレージング角θs の関数とし
て、次式(8)の形で表されること示している。 Ss(θs)=α1 θs **α2 ・・・(8) θs **α2 は、θs のα2 乗を表す。したがって、パラ
メータα1 とα2 とを定めれば、海面散乱係数が定まる
ことになる。
【0011】次に、海底散乱による残響について考え
る。海底散乱についても、(5)式と同様の形で海底で
の戻り散乱による残響が定式化できる。時刻t/2に海
底にグレージング角θbj で入射する経路の送受波器位
置でのふ仰角をθj とし、この経路の片道のパワー伝達
特性をPrs( θj (t),θbj )、海底での戻り散乱によ
る残響パワーは、次式(9)で表される。
【数3】 海底散乱係数については、次式(10)のように表すこ
とができる。 Sb(θb)=α3 (sinθb)2 + α4 exp(-100cot θb) ・・・(10) 右辺の第1項はインコヒーレントな散乱項であり、Lamb
ert の法則に従う。第2項は正反射付近のコヒーレント
な散乱項である。それぞれの係数α3 及びα4を定める
ことにより、海底散乱特性が定まる。体積散乱について
は、媒質特性が一様であると仮定し、単位体積当たりの
散乱係数をα5 とおく。送受波器位置から(θ,φ)の
方向に放射された音波がt/2秒後に散乱点(r,z)
(r:送受波器位置からの距離、z:深度)に到達する
とする。散乱点(r,z)における散乱波が、その散乱
点からC(Z)・T/2(C(Z)は深度zにおける音速)以内
のその散乱点と送受波器とを結ぶ線分上の点で散乱した
散乱波と時間的に重なりを持つ。
【0012】したがって、パワー伝達特性をPrv(r,
z)とすると、戻り体積散乱による残響は、次式(1
1)で表すことができる。
【数4】 ここで、 S(t):往復伝搬時間がtとなる断面 総合の残響の期待値は、Rs(t),Rb(t),Rv(t)の3つ
の要素を加算すれば得られる。
【0013】次に、残響の実測値から、海面、海底、お
よび体積散乱係数Ss,Sb,Sv を求める方法について説
明する。実測した残響と(12)式により求められる残
響の計算値との差の2乗和が最小となるように未知のパ
ラメータα1 〜α5 を定めればよい。(12)式で得ら
れる残響特性は、期待値であるが、実際の残響は様々な
散乱体からの戻り散乱が干渉し、激しく変動する。した
がって、実測した残響は距離方向に平滑化(実測した残
響を平滑回路によって平滑化することによって、計算値
には現われない、様々な散乱体からの戻り散乱の干渉に
よる変動の影響が小さくなる)して、滑らかな特性にし
た上で計算値と比較する必要がある。
【0014】実測した残響を平滑化した結果をRm(t)と
おき、一定の時間刻みでの実測値と計算値との差の2乗
和を次式(13)のように定義する。
【数5】 ここで、分母のRm 2 は、各距離での誤差を相対値で評
価するための正規化係数である。
【0015】(13)式を最小にするパラメータα1
α5 は、次式(14)により得られる。
【数6】 パラメータα1 〜α5 はそれぞれ仮定値(初期値)α10
〜α50が与えられており、真値との差Δα1 〜Δα5
微小であるとする。 αk =αk0+Δαk k=1〜5 Rc(tn )を仮定値の回りでテーラ展開すると
【数7】 ここで、 α0 =(α10,α20,α30,α40,α50T ・・・(17) T はベクトルの転置を表す。 Δα0 =(Δα1 ,Δα2 ,Δα3 ,Δα4 ,Δα5 T ・・・(18) 展開の第2項までで近似して、(15)式を(14)式
に代入すると、パラメータを推定する問題は、連立方程
式を解く問題に簡略化される。
【0016】 A・Δα=B ・・・(19) ここで、
【数8】 ここで、簡単のため、(5),(9),(11)式を次
のように書き改める。
【数9】 Ps i ( t),Pb j (t),Pv (t)は、それぞれ
次式(25)〜(27)で定義される。 Ps i (t)=ri (t)Δri (t) |Prs( θi (t),θs i (t))|2 PR(θi (t)) ・・・(25) Pb j (t)=r j (t)Δrj (t) |Prs( θj (t),θs j (t))|2 PR(θj (t)) ・・・(26)
【数10】 さらに(8),(10)式を用いると、(19),(2
0)式中の[∂Rc(α0 ,tn )/∂α]は、次式(2
8)〜(32)で表されることが分かる。
【0017】
【数11】 したがって、海洋環境条件に基づいて、(25)〜(2
7)式により、Ps i(t) ,Pb j (t) ,Pv(t)を計算
し、与えられたパラメータの初期値α10〜α50を用いて
(28)〜(32)式により行列方程式を構成すること
ができる。行列方程式(19)式は、 Δα=A-1B ・・・(33) により解くことができる。これまでの説明では、受信ビ
ームは1ビームであるとしているが、複数個のビームを
同時に形成し、連立させることによって、より精度の高
い推定が可能となる。特に、海面散乱と海底散乱との区
別を行う上で、特性の異なるビームを用いることは非常
に有効である。上記説明を複数ビームに拡張するには、
(13)式において、ビーム番号1〜Qについての累積
を付加し、
【数12】 それに伴い、(14),(20),(21)式もqにつ
いての累積が付加され、(16)および(22)〜(3
2)式に添字qが付加されることになる。ただし、(2
5)〜(27)式はPRの項だけがビームにより異な
り、他は同じ値を取る。
【0018】以下、上記散乱係数推定方法の原理に基づ
いて構成された散乱係数推定装置を用いて散乱係数推定
方法を詳細に説明する。図1は、本発明の実施例の散乱
係数推定方法を実施するための散乱係数推定装置の構成
図である。この散乱係数推定装置は、入力端子1,2,
3,8を有している。経路別伝搬特性を計算する伝搬特
性計算装置4には、入力端子1を通して環境条件が入力
される。送波器と受波器アレイの送受波感度積を計算す
る送受感度積計算装置5には、入力端子2を通して送受
指向性が入力される。受波器アレイ出力の2乗及び平滑
化処理を行い、残響パワー時系列を求める残響観測値生
成装置7には、入力端子3を通して残響観測データが入
力される。パラメータαの更新器9には、入力端子8を
通して、パラメータの初期値α0 が入力される。送受感
度積計算装置5の出力側には、補間器6が接続され、さ
らに補間器6の出力側には、伝搬特性計算装置4が接続
されている。補間器6には、伝搬特性計算装置4の出力
も接続されている。伝搬特性計算装置4とαの更新器9
の出力側には、残響計算装置10が接続されている。残
響観測値生成装置7及び残響計算装置10の出力側に
は、行列・ベクトル計算装置11が接続され、さらに行
列・ベクトル計算装置11に出力側には、収束判定器1
3が接続され、さらに収束判定器13の出力側には、α
の更新器9及び出力端子14が接続されている。
【0019】以下、図1を参照しつつ、本発明の実施例
の散乱係数推定方法の説明をする。まず、入力端子2か
ら送波器の感度特性P(θ,φ)及び受波器アレイの感
度特性Rq(θ,φ)(q=1 〜Q:受信ビーム番号)を入
力して、送受波感度積計算装置5に送る。ここで、受波
器アレイでは、受信の遅延時間を(θ,φ)について変
えて感度特性を変化させることにより、複数の受信ビー
ムを得る。送受波感度器積計算装置5では、(4)式の
積分式により、送受波感度積PRq(θ)のサンプル値
[ξk ,PRq(ξk )],−π/2≦ξk ≦π/2,k=
1,…,K,q=1,…,Qを計算し、補間器6に送る。補間
器6では、計算に用いる送受指向性の感度積を式(3
5)を計算することにより求めて、伝搬特性計算装置4
に送る。 PRq(θi )=PRq(ξk )+{[PRq(ξk+1 )-PRq(ξk )]}(θi - ξk ) ξk ≦θi <ξk+1 ・・・(35) 環境条件入力端子1から入力された音波周波数、音速分
布、送受波器深度、海況等の環境条件等のデータは、伝
搬特性計算装置4に送られる。伝搬特性計算装置4で
は、入力された環境条件等に基づき、(25)〜(2
7)式により、所定の往復伝搬時間tn (n=1,…,N,
n = t0 +nΔt)に対応する海面、海底散乱経路の経
路別伝搬特性Psqi (tn )、Pbqj (tn )及び体積
散乱に対応する伝搬特性Pv(tn ),n=1,…,Nを計算
すると、その結果を残響計算装置10に送る。ただし、
式(25),(26)中のri (t)、rj (t)は、送受
波器の深度、海中での音速、ふ仰角θi によって求めら
れる。また、(25)〜(27)式中の送受感度積PR
(θ)は、伝搬特性計算装置4から補間器6にふ仰角θ
を送り、補間器6で前記送受感度積のサンプル値を補間
して、補間結果を再び伝搬特性計算装置4に送ることに
よって求められる。
【0020】一方、入力端子8から入力されたパラメー
タベクトルの初期値α0 は、α0 の更新器9に送られ
る。α0 の更新器9では、α0 の値を α0 ←α0 +Δα ・・・(36) により更新して、更新された該パラメータベクトルの初
期値を残響計算装置10に送る。ここで、パラメータベ
クトルαの増分値Δαは、初期値は0としておく。残響
計算装置10では、伝搬特性計算装置4から送られてき
たPsqi (tn ),Pbqj (tn ),θi (tn ),θ
j (tn )及びPv(tn ),n=1,…, N及びα0 更新器9
から送られてきたパラメータベクトルの初期値α0 を用
いて、(8)、(10)、(12)式及び(22)〜
(24)式によりRcq(tn )を、また(28)〜(3
2)式により∂Rc(α0 ,tn )/∂αを計算し、その結
果を行列・ベクトル計算装置11に送る。
【0021】一方、入力端子3から入力された残響時系
列の受波器アレイ出力R'mq(t),q=1,…,Qは、残響観
測生成装置7に送られる。残響観測値生成装置7では、
該残響時系列の受波アレイ出力器R'mq(t)が送られる
と、雑音を除去するため所定の帯域の帯域通過フィルタ
で帯域制限した後、受波パワーを算出するため2乗及び
平滑化処理を行い、平滑化されたデータを所定のサンプ
ル時間 tn = t0 +nΔt,n=1,…, Nにサンプリングし
て、残響パワー時系列Rmq(tn )n=1,…,Nとして、行
列・ベクトル計算装置11に送る。行列・ベクトル計算
装置11では、残響計算装置10から送られてきた残響
パー時系列Rcq(tn )及び∂Rc(α0 ,tn )/∂α、並
びに残響パワー時系列Rmq(tn ) を用いて、(20),
(21)式により行列A及びベクトルBを計算するとと
もに、(13)式により定義されている残響計算値と残
響パワー観測値との正規化誤差の2乗和Eを求めて、行
列A及び、ベクトルBをΔα推定器12に、そして、該
正規化誤差の2乗和Eを収束判定器13に送る。Δα推
定器12では、行列・ベクトル計算装置11から行列
A、及びベクトルBを受け取ると、(33)式によりΔ
αの推定値を求め、結果を収束判定器13に送る。
【0022】収束判定器13では、行列・ベクトル計算
装置11から正規化誤差の2乗和Eを、そしてΔα推定
器13から、該Δαの推定値を受け取ると、前周期にお
けるE及びΔαの推定値とそれぞれ比較し、Eの減少が
頭打ちになるか、Δαが微小になるかのいずれかによ
り、解の収束判定を行う。例えば、 E(new)/E(old) ≧Eの減少率の閾値 ・・・(38) |Δαi (new) /Δαi (old) |≦Δαの増分の閾値 ・・・(39) という閾値判定により、収束の判断を行うことができ
る。収束判定器13では、収束判定の結果、解が収束し
たと判断すると、α0 またはα0 + Δαを出力端子14
から出力する。以上説明したように、本実施例によれ
ば、海面、海底、及び体積散乱係数をいくつかのパラメ
ータの関数としてモデル化し、残響の観測値の距離特性
とモデルに基づく計算値の距離特性とが最小2乗フィッ
トするようにモデルのパラメータを定めるようにしたた
め、浅海域におけるように海面、海底、及び体積残響の
影響が時間的に重なりあう場合にも、それぞれの影響を
分離して把握することができ、精度の高い散乱係数の推
定を行うことができる。
【0023】なお、本発明は、上記実施例に限定されず
種々の変形が可能である。その変形例としては、例えば
次のようなものがある。 (1) 本実施例では、海面散乱のモデルとして、最も
広く用いられているChapman とHarrisのモデルを用いた
が、Chapman とScott のモデル Ls(θ)=10log[Ss(θ)]=−10×log[8 πγ2 )-2.17γ-2(cotθ)2 ・・・(39) γ=0.003+5.12×10-3w ・・・(40) この場合、例えば(39)式を Ss(θ)=α1 exp[- α2 cot 2 θ] ・・・(41) とおけば、本実施例と同様の方法でパラメータα1 及び
α2 を求めることができる。 (2) 残響の観測値の距離特性とモデルに基づく計算
値の距離特性との差の絶対値の和が最小となる場合のパ
ラメータを求めてもよい。
【0024】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、第1〜第6
の発明によれば、海面、海底、及び体積散乱係数をいく
つかのパラメータの関数としてモデル化し、モデルに基
づく残響のパワーの時系列に推定値と残響パワーの時系
列の平滑化出力との差に基づいてモデルのパラメータを
定めるようにしたため、浅海域におけるように海面、海
底、及び体積残響の影響が時間的に重なるあう場合に
も、それぞれの影響を分離して把握することができ、精
度の高い散乱係数の推定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の散乱係数推定方法を実施する
ための散乱係数推定装置の構成図である。
【図2】海面、海底からの戻り散乱波の到来ふ仰角を示
す図である。
【符号の説明】
1〜3,8 入力端子 4 伝搬特性計算装置 5 送受感度積計算装置 6 補間器 7 残響観測値生成装置 9 αの更新器 10 残響計算装置 11 行列・ベクトル計算装置 12 Δα推定器 13 収束判定器
フロントページの続き (72)発明者 石渡 恒夫 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電 気工業株式会社内 (72)発明者 森下 到 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電 気工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−44517(JP,A) 特開 平7−44516(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01S 7/527 G01S 7/526 G01S 7/536

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海中に置かれた送波器からパルス音を放
    射し、海面、海底、及び体積散乱により受波器アレイに
    戻ってきた戻り散乱波である残響を測定して、その測定
    結果から海面、海底、又は体積散乱係数を推定する散乱
    係数推定方法において、 海面散乱係数及び海底散乱係数をそれぞれいくつかの未
    定パラメータ及びグレージング角の関数としてモデル化
    し、体積散乱係数を一つの未定パラメータとしてモデル
    化する散乱モデル化と、 前記モデル化された散乱モデルに基づいて、前記受波器
    アレイの残響パワーの時系列の前記パラメータの関数と
    して表される推定値を算出する残響計算処理と、 前記受波器アレイにより受信した残響音圧の時系列の測
    定結果の2乗及び平滑処理を行って残響パワーの時系列
    の平滑化出力を求める残響観測値生成処理と、 前記残響パワーの時系列の平滑化出力と前記残響パワー
    の時系列の推定値に基づいて、前記各パラメータを推定
    するパラメータ推定処理とを、 実行することを特徴とする散乱係数推定方法。
  2. 【請求項2】 残響観測値生成処理は、 前記受波器アレイにより複数の受信ビームを形成するこ
    とにより得られたそれぞれの受信ビームについて前記残
    響パワーの時系列の平滑化出力を求め、 前記残響計算処理は、 前記複数の各受信ビームについて、前記残響パワーの時
    系列の推定値を算出し、 前記パラメータ推定処理は、 前記複数の各受信ビームについての前記残響パワーの時
    系列の平滑化出力と前記残響パワーの時系列の推定値に
    基づいて、前記各パラメータを推定する、 構成にしたことを特徴とする請求項1記載の散乱係数推
    定方法。
  3. 【請求項3】 前記パラメータ推定処理は、 前記残響パワーの時系列の平滑化出力と前記受波器アレ
    イの残響パワーの時系列の推定値との、前記時系列に対
    応する各サンプル時刻における正規化された差の2乗和
    が最小になるように前記各パラメータを推定することを
    特徴とする請求項1記載の散乱係数推定方法。
  4. 【請求項4】 前記パラメータ推定処理は、 前記複数の各受信ビームについての前記残響パワーの時
    系列の平滑化出力と前記残響パワーの時系列の推定値と
    の、前記時系列に対応する各サンプル時刻における正規
    化された差の2乗和の総和が最小となるように、前記各
    パラメータを推定することを特徴とする請求項2記載の
    散乱係数推定方法。
  5. 【請求項5】 前記残響計算処理は、 海面散乱、及び海底散乱については、前記時系列に対応
    する各サンプル時刻に、前記パルス音の始まりの音が前
    記受波器アレイに戻って来る伝達経路の海面、及び海底
    での散乱点の位置、及び前記散乱点でのグレージング
    角、該グレージング角での前記散乱モデルにより前記パ
    ラメータの関数として表された散乱係数、前記散乱点に
    到達するまでの伝達特性、前記伝達経路の前記送波器及
    び前記受波器アレイからのふ仰角、前記送波器及び受波
    器アレイの方位特性に基づいて、前記各サンプル時刻に
    おける海面及び海底散乱波の残響を推定する海面・海底
    残響計算処理と、 体積散乱については、前記各サンプル時刻に、前記パル
    ス音の始まりの音が前記受波器アレイに戻って来る伝達
    経路の散乱点の位置、前記モデルにより1つのパラメー
    タで表された散乱係数、前記散乱点に到達するまでの伝
    達特性、前記伝達経路の前記送波器及び前記受波器アレ
    イからのふ仰角、前記送波器及び受波器アレイの方位特
    性に基づいて、前記各サンプル時刻における体積散乱波
    の残響を推定する体積残響計算処理と、 前記海面・海底残響計算処理と体積残響計算処理により
    推定された残響を重畳する残響加算処理とを、 実行することを特徴とする請求項1記載の散乱係数推定
    方法。
  6. 【請求項6】 前記残響計算処理は、 前記複数の各受信ビームについて、 海面散乱、及び海底散乱については、前記時系列に対応
    する各サンプル時刻に、前記パルス音の始まりの音が前
    記受波器アレイに戻って来る伝達経路の海面、及び海底
    での散乱点の位置、及び前記散乱点でのグレージング
    角、該グレージング角での前記散乱モデルにより前記パ
    ラメータの関数として表された散乱係数、前記散乱点に
    到達するまでの伝達特性、前記伝達経路の前記送波器及
    び前記受波器アレイからのふ仰角、前記送波器及び前記
    受信ビームの方位特性に基づいて、前記各サンプル時刻
    における海面及び海底散乱波の残響を推定する海面・海
    底残響計算処理と、 体積散乱については、前記各サンプル時刻に、前記パル
    ス音の始まりの音が前記受波器アレイに戻って来る伝達
    経路の散乱点の位置、前記モデルにより1つのパラメー
    タで表された散乱係数、前記散乱点に到達するまでの伝
    達特性、前記伝達経路の前記送波器及び前記受波器アレ
    イからのふ仰角、前記送波器及び前記受信ビームの方位
    特性に基づいて、前記各サンプル時刻における体積散乱
    波の残響を推定する体積残響計算処理と、 前記海面・海底残響計算処理と体積残響計算処理により
    推定された残響を重畳する残響加算処理とを、 実行することを特徴とする請求項2記載の散乱係数推定
    方法。
JP8080086A 1996-04-02 1996-04-02 散乱係数推定方法 Expired - Lifetime JP2905785B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8080086A JP2905785B2 (ja) 1996-04-02 1996-04-02 散乱係数推定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8080086A JP2905785B2 (ja) 1996-04-02 1996-04-02 散乱係数推定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09269367A JPH09269367A (ja) 1997-10-14
JP2905785B2 true JP2905785B2 (ja) 1999-06-14

Family

ID=13708401

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8080086A Expired - Lifetime JP2905785B2 (ja) 1996-04-02 1996-04-02 散乱係数推定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2905785B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3153880B1 (en) 2014-06-09 2021-12-01 Nec Corporation Target detection device
CN111220961B (zh) * 2020-01-21 2021-12-17 中科卫星应用德清研究院 一种Ku波段VV极化水面后向散射特性的半经验模型
CN111650159B (zh) * 2020-06-17 2023-07-18 自然资源部第一海洋研究所 一种海面反向散射强度测量方法
CN112415495B (zh) * 2020-11-06 2024-02-13 海鹰企业集团有限责任公司 一种海底混响信号模拟方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09269367A (ja) 1997-10-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2030041B1 (en) Methods and systems for passive range and depth localization
US7007555B2 (en) System and method of horizontal wave measurement
US5475651A (en) Method for real-time extraction of ocean bottom properties
Zedel et al. Resolving velocity ambiguity in multifrequency, pulse-to-pulse coherent Doppler sonar
JP2905785B2 (ja) 散乱係数推定方法
CN110471032B (zh) 一种水下目标被动定位的方法
US20060083110A1 (en) Ambient bistatic echo ranging system and method
Kim et al. Passive ranging sonar based on multi-beam towed array
KR101135456B1 (ko) 수동 소나의 센서 신호 모의 장치
Prieur et al. Theoretical improvements when using the second harmonic signal in acoustic Doppler current profilers
Ahmed et al. Simulation of ultra short baseline system for positioning of underwater vehicles
More et al. Multipath Modeling under Tank Environment for Underwater Acoustic Communication
Soares et al. Matched field processing: Environmental focusing and source tracking with application to the north elba data set
Keary et al. Simulation of the correlation velocity log using a computer based acoustic model
Nakamura et al. Indoor 3D Positioning Method for a Microphone using a Single Speaker
CA2794966C (en) Method and device for measuring a ground profile
Verrier et al. Simulations and Experiments with a 1D Interferometric Doppler Velocity Sonar
Chen et al. Inversion of the sound speed profiles with an AUV carrying source using improved ensemble Kalman filter
JPH11211809A (ja) 水中位置測定方法
Blanford et al. Design and Evaluation of a Compact Correlation Velocity Log for Small Underwater Vehicles
XU et al. Inversion of Ocean Environmental Parameters with Radiated Noises of an Autonomous Underwater Vehicle: At-Sea Experimental Results
Dexin et al. Matched-field Source Localization with a Mobile Short Horizontal Linear Array in Offshore Shallow Water
JPS603556A (ja) 超音波流向流速計におけるとくに船速を測定する方法
Lohrasbipeydeh et al. Diver range estimation based on shallow water cavitation
Dalton et al. Bistatic spatial coherence for micronavigation of a downward-looking synthetic aperture sonar

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19981117

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term