JP2899729B2 - ガスタービン燃焼器 - Google Patents

ガスタービン燃焼器

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JP2899729B2
JP2899729B2 JP8052491A JP8052491A JP2899729B2 JP 2899729 B2 JP2899729 B2 JP 2899729B2 JP 8052491 A JP8052491 A JP 8052491A JP 8052491 A JP8052491 A JP 8052491A JP 2899729 B2 JP2899729 B2 JP 2899729B2
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猛 渡辺
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジェットエンジン等の
ガスタービンの燃焼器に係り特に未燃炭化水素、一酸化
炭素、窒素酸化物、黒煙等の汚染排気物質の排出量の少
ない燃焼器に関する。
【0002】
【従来技術】ガスタービン燃焼器からは、低出力時には
未燃化炭化水素や一酸化炭素、高出力時には窒素酸化物
や黒煙を多く排出する傾向がある。これらの汚染排気物
質の排出量を減少させるには、燃焼器の一次燃焼領域に
おける燃焼状態をコントロールすることが有効である。
即ち、低出力時には燃料の噴射量が少ないので、それに
対応して空気旋回器を通る一次空気の流入量を少なくす
ると共に、強い旋回を与え、気流に適度の乱れを起させ
て、火焔伝播速度の増加を図るのがよく、逆に高出力時
には燃料の噴射量が多いので、それに対応して空気旋回
器を通る一次空気の流量を多くすると共に空気の旋回の
強さをおさえ、滞留時間を少なくするのがよい。
【0003】燃焼器の燃料ノズルの囲繞する空気旋回器
の羽根の動きを調節して、上述のような燃焼状態をコン
トロールするようにしたものとして、例えば特開昭57-8
7537がある。この発明では、空気旋回器は、半径方向に
延在する複数の開口を有する環状の板からなる固定の第
1要素と、第1要素の上流側に隣接して、かつ周方向に
回動可能に配置され、第1要素と類似の形状を有する第
2要素からなり、第2要素を第1要素に対して相対的に
回動させることにより、一次空気の風量と旋回角度を調
節するようになっている。
【0004】さらに燃焼室内の温度を検知し、その信号
により空気旋回器前につけられたカバーの開度の調節を
行うようにしたもの(U.S.Patent 4,041,694)、空気旋
回器を1次空気用と2次空気用に分け、1次空気旋回器
には常時空気を流し、2次空気旋回器は入口空気の温度
が一定値以上のときに入口の開口を全開とするべく、バ
イメタルにより開閉をするようにしたもの(U.S.Patent
4,606,190)等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】以上述べたような先
行技術のうち特開昭57-87537に開示された発明について
は次のような問題がある。
【0006】燃焼器外にアクチュエータを設けリンク機
構を介して第2要素を回動させることにより空気旋回器
を通る空気流入量と旋回角度を調節するようにしている
ので、外部のアクチュエータを必要とすることによるコ
ストと重量の増加をさけることができず、リンク機構が
複雑なため貫通部分などのエアのシールがしにくく、し
かもリンクがひっかかるなど信頼性に欠ける面がある。
さらにガスタービンには通常1台当り十〜数十個の空気
旋回器がついているので1個のアクチュエータですべて
の空気旋回器を作動させることには無理がある。
【0007】次にU.S.Patent 4,041,694に開示される発
明には上記と同様の問題の他空気旋回器を通る空気の旋
回角度を調節するようになっていないので低出力時の問
題解決にはなっていない。
【0008】次にU.S.Patent 4,606,190に開示される発
明には2次空気の量をその温度に感応するバイメタルに
より調節するようにしているが、空気の旋回角度を調節
するようになっていない。
【0009】本発明は従来技術のかかる問題点に鑑みて
なされたもので、外部のアクチュエータを必要とせずに
空気旋回器からの流入空気の流入量と旋回角度を調節で
きるガスタービン燃焼器を提供することを目的とする。
【0010】
【問題点を解決するための手段】 上記目的を達成する
ため本発明のガスタービン燃焼器は、燃焼器内の燃焼室
に燃料を供給する燃料噴射弁を囲繞して保炎のため配置
される多数の案内羽根を有する空気旋回器を備えたガス
タービン燃焼器において、上記案内羽根を通る空気流は
空気旋回器の半径方向外方から内方に向って流入するよ
うになっており、かつ、上記案内羽根付近に配置され該
案内羽根を通過する空気の温度により、自身の形状が変
化する温度変形部材により案内羽根の傾き角が一斉に変
えられることにより、空気温度が低いときには案内羽根
を通過する空気の通路面積が小さく、空気の旋回角度が
大きくなり、空気温度が高いときには空気通路面積が大
きく、空気の旋回角度が小さくなるようになっているこ
とを特徴とするものである。
【0011】
【作用】ガスタービンは負荷が小さいときは、圧縮機に
よる昇温が小さいので、燃焼器に入る空気の温度が低
く、逆に負荷が大きいときは、圧縮機による昇温が大き
いので燃焼器に入る空気の温度が高い。
【0012】案内羽根付近に配置される温度変形部材は
そこを通る空気の温度に対応して自身の形状が変化する
とともに、案内羽根を動かす駆動源として所要のリンク
を介して案内羽根の傾き角を一斉に変える。
【0013】低出力で空気の温度が低いときには燃料の
噴射量が少ないので案内羽根の傾き角を大きくする。そ
うすると空気通路の面積が絞られ、強い旋回を与えられ
るので火焔伝播速度が大きく、保炎がよくなり、未燃化
炭化水素や一酸化炭素の発生が抑制される。
【0014】一方高出力で空気の温度が高いときには燃
料の噴射量が多いので案内羽根の傾き角を立てるように
する。そうすると空気通路の面積が拡がり、旋回角度が
小さくなるので燃焼領域では燃料の濃度が低く、滞留時
間が短くなり、窒素酸化物や黒煙の発生が少くなる。
【0015】
【実施例】以下本発明の一実施例につき図面を参照しつ
つ説明する。
【0016】図1は本発明のガスタービン燃焼器の断面
図であり、図2は図1のII−II矢視断面図、図3は図1
のIII −III 矢視断面図である。
【0017】図はいわゆるアンニューラ型燃焼器を示し
ている。図中1は燃焼器ケースであり、略円筒状で、同
芯状に配置された燃焼器外側ケース1a と燃焼器内側ケ
ース1b とよりなり、1a と1b により円環状の空間を
形成している。
【0018】燃焼器ケース1内には同芯状に燃焼器ライ
ナ2が配設され円環状の燃焼室26を形成している。燃
焼室26の上流には円周方向に等間隔に多数の燃焼噴射
弁3が配設されている。噴射弁3の下流に燃焼器ライナ
2から燃焼室26内側に向って隔壁板4が設けられてい
て燃焼室26の上流端を形成している。
【0019】隔壁板4には燃料噴射弁3に向って截頭円
錐状の突起4a が設けられ、その頂部には内向きの溝4
b を有していて、その溝4b により空気旋回器13を把
持している。
【0020】 空気旋回器13は、燃料噴射弁3の円筒
状の先端部材3aに被嵌固定され、燃焼室26に向って
フランジ部9aを有する内筒9と、その下流側に位置
し、上記フランジ部9aと対峙する円環状の下板5b、
下板5bの下流側に並んで設けられるフランジ5cを有
する筒体5aと、フランジ部9aと下板5bとの間に放
射状に、かつ円周方向に等間隔に並んで多数配置される
案内羽根7と、フランジ部9aの外側に回動可能に被嵌
され下板5bとの間で上記案内羽根を挟むように配設さ
れる上板6とからなる。
【0021】筒体5a のフランジ5c は隔壁板4の溝4
b 内に固定するように把持されている。
【0022】下板5b と内筒9のフランジ部9a とは案
内羽根7の外側をまたぐようにU字状の4本の支え8に
より連結されている。該支え8の内側に上板6が摺接し
ている。
【0023】上板6は環状の円板であり、案内羽根7の
枚数に対応した数の外に向って開口するスリット18が
放射状に穿設されている。
【0024】案内羽根7には、その3隅にピン状の突起
14が設けられており、その内2個は上板6に向って羽
根の外端部と内端部に、1個は下板5b に向って羽根の
内端部に設けられている。
【0025】下板5b には上記突起14の1つを遊嵌す
る丸孔5d が案内羽根7と同数設けられており、円筒9
のフランジ部9a 上記丸孔5d と対峙する位置に丸孔9
b が設けられていて、上記突起14の1つを遊嵌してい
る。
【0026】さらに上板6のスリット18内にも案内羽
根7の外端部の突起14が収容されている。17は上板
6から突設されるストッパである。
【0027】10はスパイラル状に形成され、バイメタ
ルまたは形状記憶合金製の温度変形部材である。温度変
形部材10の外側の端部は上板6から突設された金具1
5に小ねじ16で固着され、内側の端部は内筒9に小ね
じ19により固着されている。
【0028】次に作用を説明する。図1において、矢印
11で示す、圧縮機(図示せず)出口からの空気流は、
その一部が矢印に示すように案内羽根7を通って空気旋
回器13に流入する。
【0029】空気流12は案内羽根7同志の最小間隔で
決められる通路面積に応じた空気流量で、かつ案内羽根
の傾き角θに応じた旋回角度で空気旋回器13内に流入
し、一次燃焼用空気として供給される。
【0030】ガスタービンが低出力のときは圧縮機でな
される仕事量が少く、従って空気流11の温度も低い。
空気流11の温度が低いときは温度変形部材10は変形
前の原形状を保っており、その状態を図2の上図(a) に
示す。そのとき案内羽根7は図3の上図(a) に示す状
態、即ち空気旋回器13の半径方向に対する傾き角θが
大きい状態となっている。
【0031】傾き角θが大きいと、図3で矢印21で示
すように案内羽根7同志の最小間隔が小さくなり、空気
流の通路面積が小さくなるので矢印22で示す流入空気
流の流量は少なく制限され、かつ矢印23で示すように
強い旋回流となる。そのため燃焼室26内の一次燃焼領
域では燃料濃度が過濃でしかも強い旋回流により安定し
た燃焼が得られ、未燃炭化水素や一酸化炭素の発生が抑
制される。
【0032】一方ガスタービンが高出力のときには圧縮
機でなされる仕事量が大きく、従って空気流11の温度
も高い。空気流11の温度が高くなると、温度変形部材
10は自身で温度を感知し、自分自身の変形する力によ
り、図2の下図(b) で示すように上板6を矢印20のよ
うに、ストッパ17が支え8に当るまで回転させる。
【0033】そうすると案内羽根7は図3の下図(b) の
ような状態、即ち傾き角0で案内羽根7は中心を向くよ
うになり案内羽根7同志の最小間隔は矢印24で示すよ
うに最大となり、通路面積も最大となる。空気旋回器1
3に流入する空気流は矢印25で示すように旋回成分が
なくなり、その量も増加する。そのため高出力時には燃
焼室26内の一次燃焼領域では燃料濃度が稀薄でしかも
滞留時間が短くなり窒素酸化物や黒煙の発生が抑制され
る。
【0034】 なお、本発明は上記実施例に限定される
ものではなく、例えば、温度変形部材10はスパイラル
状ではなく他の形でもよい。
【0035】
【発明の効果】以上述べたように本発明のガスタービン
燃焼器は排ガス中の有害成分である窒素酸化物、未燃炭
化水素、一酸化炭素および黒煙の低減を図るに当り以下
の効果がある。 (1) バイメタルや形状記憶合金などの温度変形部材自
身が温度センサと装置を動かすための駆動源とを兼ねて
いるので、他に独自のセンサや外部のアクチュエータを
必要とせず、その分コストダウンが図れる。 (2) 上述のように独自のセンサーや外部アクチュエー
タを必要としないので全体重量が軽く、動く部分の摩耗
やシールのもれ、ひっかかりなどの不具合の心配がな
く、信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスタービン燃焼器の横断面図であ
る。
【図2】図1のII−II矢視断面図である。
【図3】図1のIII −III 矢視断面図である。
【符号の説明】
3 燃料噴射弁 7 案内羽根 10 温度変形部材 13 空気旋回器 26 燃焼室 θ 案内羽根の傾き角
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−87536(JP,A) 米国特許3577878(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F23R 3/26 F23R 3/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼器内の燃焼室に燃料を供給する燃料
    噴射弁を囲繞して保炎のため配置される多数の案内羽根
    を有する空気旋回器を備えたガスタービン燃焼器におい
    て、上記案内羽根を通る空気流は、空気旋回器の半径方
    向外方から内方向に向って流入するようになっており、
    かつ、上記案内羽根付近に配置され該案内羽根を通過す
    る空気の温度により、自身の形状が変化する温度変形部
    材により案内羽根の傾き角が一斉に変えられることによ
    り、空気温度が低いときには案内羽根を通過する空気の
    通路面積が小さく、空気の旋回角度が大きくなり、空気
    温度が高いときには空気通路面積が大きく、空気の旋回
    角度が小さくなるようになっていることを特徴とするガ
    スタービン燃焼器。
JP8052491A 1991-03-20 1991-03-20 ガスタービン燃焼器 Expired - Lifetime JP2899729B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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