JP2896494B2 - 無藻ミドリゾウリムシの創製方法及び得られた無藻ミドリゾウリムシ - Google Patents

無藻ミドリゾウリムシの創製方法及び得られた無藻ミドリゾウリムシ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細胞質内に多量の
共生藻を有する繊毛虫ミドリゾウリムシ(Parame
cium brusaria)から共生藻を除去し、共
生藻を有しないミドリゾウリムシ(以下、無藻ミドリゾ
ウリムシという)を創製する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】単一のミドリゾウリムシはその細胞質内
に、数百にも及ぶ多数のクロレラ属に属する藻を有する
ことが知られている。これらの内部共生藻(以下、「内
共生藻」とも言う)は、宿主の特殊な膜(perial
gal vacuole)内に個々に封入されており、
接合の際に保持され、細胞分裂において両娘細胞に伝達
される。ミドリゾウリムシの細胞質から共生藻を除去す
ることは可能であり、又、共生藻もその宿主とは独立し
て生育することができることも知られている。共生藻の
除去されたミドリゾウリムシを培養して得られる株には
外部共生藻を或いはその他の微生物さえも再感染させる
ことができる。更に、無藻ミドリゾウリムシに共生藻を
経口摂取させることにより共生関係を確立させることが
可能である。即ち、無藻ミドリゾウリムシが共生藻を口
から取り入れると、共生藻のほとんどはその後消化され
るが、幾つかはperialgal vacuoleに
包まれ、消化されずに共生が開始(=再共生)される。
この過程を研究するには、先ずミドリゾウリムシから共
生藻を除去して無藻ミドリゾウリムシを取得することが
必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】共生藻の除去に関して
は、既に幾つかの研究が報告されている。例えば、ジェ
ニングス(Jennings)は、内部共生藻よりもミ
ドリゾウリムシが急速に繁殖し得るような過剰の食物を
提供すれば、ゾウリムシの一連の急速な分裂によって内
部共生藻を宿主から除去し得ることを見いだした[Pr
oc.Natl.Acad.Sci.,USA,24
112−120(1938)]。その後、数人の研究者
が、種々の方法、例えば、暗黒下でミドリゾウリムシの
分裂を繰り返させる方法[Karakashian
M.W.,Physiol.Zool,36:52−6
8(1963)等]や、X線を照射する方法[Whic
hterman R,Biol.Bull.,94:1
13−127(1948)]、或いは光合成阻害剤であ
る3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチ
ル尿素(DCMU)に暴露する方法[Reisser
W,,Arch.Microbiol.,107:35
7−360(1976)]によって除去し得ることを報
告した。しかしながら、これらの方法は、株が一連の分
裂により老化してしまう可能性があること、長時間を必
要とすること、大型の装置が必要となることなどの他、
実際に追試が困難であるなど、幾つかの問題点がある。
更に、従来の方法は一般に再現性がなく、ミドリゾウリ
ムシの年齢や生育期は全く問題にされておらず、又、株
間で「共生藻の除去され易さ」に差異があるのかどうか
という点についても触れられていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
共生藻を有しないミドリゾウリムシ、即ち、無藻ミドリ
ゾウリムシの創製を指向して鋭意研究を重ね、DCMU
等の光合成阻害剤に比べて短時間で強力な除草作用を持
つ除草剤の主成分であるパラコート(1,1′−ジメチ
ル−4,4′−ビピリジリウム塩)に着目し、ミドリゾ
ウリムシを老化或いは損傷することなく、内共生藻を短
時間で、簡便かつ確実に除去することに成功し、本発明
を完成したものである。
【0005】即ち、本発明の無藻ミドリゾウリムシの創
製方法は、バクテリアを接種した培地を用いて、ミドリ
ゾウリムシ(Paramecium brusari
a)をその内部共生藻を破壊し得る有効量で且つ該ミド
リゾウリムシの生存許容量のパラコートの存在下に培養
することを特徴とする。ここで、特に「生存許容量」と
は、パラコートの動物毒性によりミドリゾウリムシに有
意な損傷或いは死滅の危険を実質的に与えない程度の量
を意味するものと解すべきである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明方法に用いる培地に予め接
種される前記バクテリアはミドリゾウリムシの有機栄養
源となるもので、特にクレブシエラ・ニューモニアイ
(Klebsiella pneumoniae)が好
適である。
【0007】前記培地は、野菜、特に緑色野菜の浸出液
に少量の無機成分を含む半合成培地であることが好まし
く、このような野菜浸出液としてはレタス浸出液が最も
好ましい。更に上記無機成分としては炭酸カルシウム等
のカルシウムを用いることがよい。このような野菜浸出
液は、例えば乾葉レタス粉末に少量のCaCO3 を加
え、約1000〜1500倍容の水で数分間煮沸浸出
し、濾過した後、オートクレーブして調製する。その
他、酵母抽出物、ペプトン、グルコース等、微生物用培
地に慣用される有機成分を適宜添加してもよいことは言
うまでもない。
【0008】本発明方法により、ミドリゾウリムシ(P
aramecium brusaria)の共生藻を除
去するには、上記のバクテリアを接種した培地を用い
て、ミドリゾウリムシ(Paramecium bru
saria)を、その生存許容量のパラコートの存在下
に培養する。広葉除草剤パラコートは、酸化されたフェ
レドキシンに優先的に対抗して、照明された葉緑体の光
システム1からの電子流の転換により植物に作用するの
で、この除草剤は内共生藻の葉緑体中の電子流に影響を
及ぼしてそれを損傷すると思われる。
【0009】共生藻をミドリゾウリムシより完全に除去
するには、ミドリゾウリムシの生育段階によって異なる
が、一般にはパラコートの濃度を高々105 μg/lと
なし、少なくとも5日間培養すればよい。特に対数期に
あるミドリゾウリムシの場合には、約103 μg/l〜
105 μg/lのパラコートの濃度で、約5日間培養す
れば完全無藻ミドリゾウリムシを得ることができる。パ
ラコート濃度を102μg/l程度に減少した場合に
は、培養期間を少なくとも10日、場合によっては15
日程度とすることによって共生藻の除去が可能である。
【0010】一方、定常期にあるミドリゾウリムシの場
合、少なくとも100 μg/lのパラコート濃度におい
て、少なくとも10日間、好ましくは、少なくとも15
日間の培養期間を要する。
【0011】上記パラコートの濃度及び培養期間が増加
する程、共生藻の除去率は増大することが一応想定され
る。しかしながら、パラコート濃度と培養期間が共生藻
除去率と必ずしも比例的関係にはないことが実験的に確
認されている。ミドリゾウリムシの増殖期の他に、株
種、株の年齢、パラコートの毒性等の及ぼす影響の可能
性を考慮しても、通常は高々105 μg/l程度のパラ
コート濃度と、少なくとも5日間の培養期間を以て目的
を達成することができる。然し乍ら、パラコート濃度及
び培養期間を必要以上に増大することは、ミドリゾウリ
ムシに対する動物毒性の観点から、或いは経済面からも
避けるべきである。
【0012】本発明方法により処理したミドリゾウリム
シの共生藻の有無は、ニコン社製ノマルスキー(Nom
arski)微分干渉コントラスト顕微鏡(DIC)に
よる観察で確認することができる。即ち、B2フィルタ
ーを標本と接眼レンズとの間に置いて紫外光を除けば、
ミドリゾウリムシ中の共生藻のクロロフィルは赤色に蛍
光を発するので、赤色の像として観察される。この蛍光
顕微鏡検査に基づき「無藻」を確認されたミドリゾウリ
ムシを取り出し、0.05%(v/v)のファント・ホ
ッフ人工海水で数回洗浄して除草剤を除去し、培養基中
に保存する。
【0013】
【実施例】本発明方法を以下の実施例について詳述す
る。実施例には、ミドリゾウリムシの同種異系の4種類
の株(OK−312,交配型I;H−4,II;HK−4
8,II;OZ−3,III ;OK−1a,IV)を用い
た。株OK−312とH−4は1991年に広島県東広
島市奥田大池から、又1992年に広島県加茂郡の白竜
湖からそれぞれ採集した。株OZ−3は1994年に広
島県大竹市の小瀬川から採集した。その他の2株(HK
−48とOK−1a)は、それぞれ株H−4×K−8と
K−312×OK−223のハイブリッド形成によって
本発明者等が新たに生成したものである。株K−8とO
K−223もそれぞれ1991年に広島県世羅郡の池及
び東広島市奥田大池から採集した。これらの株は、バク
テリア(Klebsiella pneumonia
e)を接種した培地中で24−48時間23℃で培養し
た後に使用した。培地の調製に使用する野菜浸出液は次
のようにして作った。即ち、レタスの葉を洗浄し30−
60秒間煮沸し、60−80℃で乾燥した後、粉末とな
しデシケーターに貯えた。この乾燥レタス粉末0.5g
をCaCO3 (片山化学)2mgと共に再蒸留水0.7
リットル中で5−10分煮沸して浸出液を調製し、室温
まで冷却後濾過する。濾液に再蒸留水を加えて全容10
00mlとし、及びオートクレーブ処理(約15分)
後、培地に使用した。
【0014】また、以下の実施例中で、ミドリゾウリム
シの個体数の測定は、ガラスシャーレを振動させて培養
液内の細胞の分布を一様にした後、マイクロピペットで
0.1mlを、窪みスライドに取り、捕れた個体を一体
ずつガラスシャーレに戻し、個体数を測定した。この操
作を5回繰り返し、その平均値を0.1ml中の個体数
とし、それを1mlに換算してその時点での細胞密度と
した。なお、窪みスライドに残った培養液は全てガラス
シャーレに戻した。
【0015】ミドリゾウリムシ一個体中の共生藻数の測
定は、スライドグラスの上に培養液がなるべく少なくな
るように細胞を乗せ、その上にカバーグラスを乗せてミ
ドリゾウリムシを押し潰し、顕微鏡下で共生藻の数を測
定した。数個体について測定し、平均値を求めてその値
をその時点の一個体中の共生藻数とした。
【0016】(実施例1)パラコートとして、和光純薬
のParaquat Standardを使用した。こ
のパラコート100mgを二重脱イオン水(DDW)1
mlに溶かして、108 μg/l濃度となし、これを1
7 〜10μg/lになるように10倍ごとにDDWで
希釈した。次に107 μg/lのパラコート溶液を20
μlとり、ミドリゾウリムシを含む培養液2mlと混合
してパラコートの最終濃度を105μg/lとし、3c
mプラスチックシャーレ中で培養した。同様にして最終
濃度105 〜10-2μg/lの濃度シリーズを作成し
た。これを5、10及び15日間培養し、個体密度の変
化と共生藻が除去された個体の割合を求めた。培養に際
しては、全ての標準培養基に昼光色蛍光ランプの人工照
明(400−5000ルックス)を1日当たり12時間
与え、残りは暗黒とした。処理されるミドリゾウリムシ
としては、株OK−312及びHK−48を用い、それ
ぞれ対数期及び定常期のものについて実験を行った。
【0017】その結果を図1(定常期)及び図2(対数
期)に示す。これらの図において、横軸はパラコートの
濃度(μg/l)を、縦軸は、各濃度でパラコート処理
した後のミドリゾウリムシ個体数の変化をコントロール
を1とした比率で示す。●、■はその濃度で共生藻が除
去された個体が得られたことを、また、○、□は、その
濃度では共生藻が除去されなかったことを示す。定常期
のミドリゾウリムシOK−312を種々のパラコート濃
度で処理したところ、10μgで10日或いは15日間
の培養期間で共生藻が除去された(図1)。しかし、対
数期のOK−312では、パラコート濃度102 μg/
lで10日間培養、或いは103 μg/lで15日間培
養により無藻ミドリゾウリムシの生成が観察されるとい
う結果が得られた(図2)。このことから、OK−31
2では定常期の方が対数期よりも共生藻が除かれ易いこ
とが分かる。この傾向はHK−48でもほぼ同様であっ
た。即ち、HK−48についての同様な結果を示す図3
および図4において、定常期ではパラコート濃度100
μg/lで15日間培養により除去された(図3)が、
対数期では、濃度102 μg/lで10日間培養、或い
は濃度103 μg/lで15日間培養でないと共生藻は
除去されなかった(図4)ことが分かる。しかしなが
ら、HK−48の場合には、定常期では、10日で全く
共生藻が除去されないなどの現象に鑑みれば、定常期の
方が対数期よりも共生藻を除去し易いという傾向は、O
K−312程顕著ではないといえる。このような共生藻
の除去され易さの差異の生ずる機序は、未だ完全には解
明されていないが、ミドリゾウリムシの増殖期に伴い細
胞質内の共生藻の形態が変化するという事実と関係があ
るものと推定される。
【0018】更に、共生藻が除去された個体が得られる
頻度が、OK−312の方がHK−48よりも高かっ
た。このように株間でも、共生藻の除去され易さに差異
があると思われる。しかし、この差異が、真に株の種類
による差異なのか、或いは株の年齢によるものかは明ら
かではない。また、パラコートの低濃度で共生藻が除去
され、高濃度で除去されないという現象が観察された。
低濃度で共生藻が除去されることから、パラコート耐性
を持った共生藻が存在或いは出現したとは考え難い。高
濃度のパラコートはミドリゾウリムシにも影響を与えた
と考えられるので、このことと、共生藻が除去されない
ということの間に何らかの関係があるとも推定される。
何れにせよ、従来全く問題視されなかった共生藻の除去
され易さについて、増殖期、或いは、株の種類により差
異があることが解明された。
【0019】(比較例)シーゲル[Siegel R
W:Exp.Cell.Res.,19,239−25
2(1960)]は、前掲ジェニングスが報告した連続
暗所における藻を含まないミドリゾウリムシの創製技法
を改変した。そこで、本発明者等は共生藻を含まないミ
ドリゾウリムシを創製するその技法を再実験した。12
日間連続的に暗所に置いた後では、ミドリゾウリムシ
(株H−4;定常期)当たり藻の数は400から150
に減少し、その後は一定を保った。ミドリゾウリムシの
別の株(株OK−312;定常期)においては、連続暗
所中で10日までの間、内共生藻は全く除去されなかっ
た。その結果を図5に示す。同図は、連続的暗所中、長
期間の飢餓状態下で培養したゾウリムシ当たり共生藻の
平均数を縦軸にとり、連続暗所中の日数を横軸としてプ
ロットしたものである。●はOK−312、○はH−4
を示す。又、垂直の棒線は1標準偏差を表す。ゾウリム
シ(2株共)当たり共生藻の平均数は暗所中10日まで
は徐々に減少し、その後、一定を保った。結果は2−4
個のゾウリムシの平均として表した。この期間中、両方
の株において藻を含まないゾウリムシは何れの株でも観
察されなかった。
【0020】(実施例2)対数期にあるミドリゾウリム
シOK−312を10-1〜105 μg/lの種々の濃度
のパラコートと共に培養した。ノマルスキーDICの像
においては、パラコート処理された資料中に藻を含まな
いミドリゾウリムシがパラコートの添加後5日目に観察
されたことを示した。結果を図6に示す。同図はミドリ
ゾウリムシ(OK−312)をパラコート(■;105
μg/l,○;103 μg/l,□;101 μg/l,
●;10-1μg/l)と共に培養し、藻を有しないゾウ
リムシを数え、横軸にパラコート添加後の日数をとり、
縦軸に(藻除去ゾウリムシの数)/(ゾウリムシ全数)
(%)をプロットしたものである。濃度103 μg/l
以上のパラコートの存在において処理されたミドリゾウ
リムシは全く藻を有しなかった。
【0021】処理されたミドリゾウリムシが藻を全く含
まないことを確認するために、我々は更に、それらを蛍
光顕微鏡で観察した。細胞を水素ランプで照明すると、
藻中のクロロフィルは放射線を吸収して励起され、より
長い波長の放射線を再放射する。そこでミドリゾウリム
シ中の藻のクロロフィルは赤色に蛍光を発する。図7
は、有藻(A及びB)及び無藻(C及びD)のミドリゾ
ウリムシ(OK−312)のノマルスキー微分干渉コン
トラスト顕微鏡映像(A及びC)及びそれらの蛍光映像
(B及びD)を示す。無藻ミドリゾウリムシはパラコー
ト103 μg/l添加後5日で生成した。その細胞は紫
外光源で照明されている。フィルター(B2)を試料と
接眼レンズとの間に置いて、紫外光を除去したので、蛍
光色だけが見える。ここで、藻のクロロフィルは(B)
に見られるように赤色の蛍光を発する。パラコートで処
理された細胞は赤色の蛍光を発しない(D)。標線の長
さは20μm である。このような蛍光顕微鏡観察で、パ
ラコートと共に5日間培養した後のゾウリムシ中には藻
は全く存在しないことが分かった。この蛍光顕微鏡検査
に基づいて「無藻」として予め採点されたゾウリムシ
を、0.05%(v/v)のファント・ホッフ人工海水
で3回洗浄して除草剤を除去し、一個の培養基当たり一
個のゾウリムシとして別々に保存した。1週間後、各培
養基中で増殖した数個のゾウリムシを再び蛍光顕微鏡で
観察し、内共生藻の不存在を確認した。
【0022】また、本発明方法によって株OK−312
より得られた無藻ミドリゾウリムシの株(OKw−31
2)はバクテリアの供給に依存して生存し、相補的交配
型の共生ミドリゾウリムシ(OZ−3)と混合すると接
合体に入る。接合対を単離して、それぞれの外接合体を
新鮮な培地中で培養した。2週間後に、藻を含まない外
接合体の生存率を正常な緑色外部接合体の生存率と対比
した。ミドリゾウリムシと無藻ミドリゾウリムシの生存
率は94.0〜98.5%であった(4回の実験)。次
いで、共生藻を持たない接合完了体の子孫を培養する。
このようにしてクローンを確立させた無藻ミドリゾウリ
ムシを以下の実験に用いた。
【0023】[感染率の測定]以下の応用例において、
無藻ミドリゾウリムシに共生藻を感染させるには共生藻
を経口摂取させて行った。無藻ミドリゾウリムシに、共
生藻を持つミドリゾウリムシを破砕して得た共生藻を与
えて感染率を求める方法は次のようである。まず、個体
群成長の各期のミドリゾウリムシを1000rpm、5
分間遠心し、ミドリゾウリムシを集め、上清を捨てた後
に超音波によりミドリゾウリムシの細胞を破砕する。そ
の後、共生藻の濃度を測定し、3.3×106 /mlに
なるように調整し、15μlの水滴に分け、それぞれの
水滴に、個体群の成長各期の無藻ミドリゾウリムシを一
体ずつ入れる。これでミドリゾウリムシ一個体につき
5.0×104 個の共生藻を与えることになる。24時
間培養した後(共生藻を無藻ミドリゾウリムシに与えた
時間と感染率との関係を調べた実験では培養時間を6、
12、及び24時間と変える)、体外の共生藻を除去す
る為に一つの水滴中のミドリゾウリムシを3回洗う。洗
浄後、ミドリゾウリムシをマイクロプレート1ウェルに
入れたレタス浸出液(バクテリア接種済み)に接種す
る。3回洗うことで体外の共生藻が全て除去されること
は、洗浄に用いた後の塩類溶液を寒天を含むCA培地に
撒き、後に共生藻のコロニーが検出されないことで確認
した。2週間後、1ウェル内に共生藻を持ったものが一
体もいない場合は感染しなかったとしてU(uninf
ected)、共生藻を持ったものが一体でもいた場合
は感染したとしてI(infected)とした。感染
率(IR)は下記の式で求めた。 IR(%)={I/(U+I)}×100 さらに、CA培地中で培養した共生藻についても同じよ
うに無藻ミドリゾウリムシに与え、感染率を求めた。
【0024】ここに用いたCA培地の組成は次の通りで
ある Ca(NO3 2 ・4H2 0 20mg KNO3 100mg β−Na2 グリセロ燐酸塩5水和物 30mg MgSO4 ・7H2 O 20mg ビタミンB1 10μg ビタミンB12 0.1μg ビオチン 0.1μg P IV metals sol. 1ml Fe(as EDTA;1:1モル)sol. 1.5ml HEPES 400mg NH4 NO3 100mg 再蒸留水(RDW) 999ml pH:7.2に調整 但し、 P IV metals sol.: FeCl3 ・6H2 O 19.4mg MnCl2 ・4H2 O 8.2mg ZnCl2 1mg CoCl2 0.4mg Na2 Mo4 ・2H2 O 0.8mg Na2 EDTA・2H2 O 150mg RDW 100ml Fe(as EDTA;1:1モル)sol.: Fe(NH4 2 (SO4 2 ・6H2 O70.2mg Na2 EDTA 66mg RDW 100ml
【0025】(応用例1) [共生の確立と生育期の関係]定常期のOK−312を
5μmのメッシュを用いて集め、洗浄後、超音波破砕
し、共生藻の濃度が3.3x106 algae/mlと
なるように、共生藻を含む破砕懸濁液を調製した。この
懸濁液15μlに対し、定常期のOKw−312を1個
体加え(5.0x104 algae/parameci
um)、24時間培養した。その後、洗浄し、1個体ず
つウェルに移し、細胞除去液中で培養した。15日後、
各ウェルのミドリゾウリムシについて、共生藻の有無を
確認し、1ウェル中に1個体でも共生藻を持ったものが
いれば、そのウェル中のミドリゾウリムシは、共生藻が
感染、共生したものとして、共生を確立したものの割合
を求めた。同様にして、定常期のOK−312より得ら
れた共生藻を対数期のOKw−312に与えた場合、対
数期のOK−312より得られた共生藻を定常期、対数
期のOKw−312に与えた場合のそれぞれの共生を確
立する割合を求めた。
【0026】対数期のOK−312より得られた共生藻
を、対数期のOKw−312に与えた場合、86.4%
と高い割合でミドリゾウリムシが共生を確立した。一
方、定常期のOK−312より得られた共生藻を、対数
期のOKw−312に与えた場合、表1に示すように、
明かに共生を確立する割合が低いことが分かった。
【0027】
【表1】
【0028】共生藻、ミドリゾウリムシ共に、定常期の
ものを用いた場合でも、かなり高い割合で共生を確立す
ることが分かったので、以下の実験では、OK−31
2,OKw−312とも定常期のものを用いた。
【0029】(応用例2) [共生藻のミドリゾウリムシへの再共生] (i)共生藻を含む細胞質画分の調製 定常期のミドリゾウリムシ(OK−312)をキムワイ
プ、37μmのメッシュで濾過しゴミなどを除去した。
次に、5μmのメッシュで濾過し、メッシュ上に残った
ミドリゾウリムシに人工海水(0.05%)を加え、数
回洗った。この操作でミドリゾウリムシが1×103
5×103 cells/mlになるように調整した。こ
れを超音波破砕し、共生藻を得た。超音波破砕はSON
IFIER450(BRANSON)を用い、出力2
で、30秒間とした。
【0030】(ii)無藻ミドリゾウリムシの調製 定常期の無藻ミドリゾウリムシ(OKwー312)をキ
ムワイプで濾過し手回し遠心して1000〜5000c
ells/mlとした。
【0031】(iii)無藻ミドリゾウリムシによる共生藻
の補食と共生 上記(i)で得られた共生藻を含む溶液1mlに対し
(ii)で得られた無藻ミドリゾウリムシを約5.0×1
4 algae/parameciumとなるように数
百cells加え、1.5mlチューブ中で24時間培
養した。24時間後ミドリゾウリムシをピペット操作に
より3回洗浄した後、細胞除去液中に移し、培養を続け
た。細胞除去液に移した日を0日とし、0、2、4及び
10日目に、5個体ずつとり、個体中のalgae数を
数えて平均し、1個体中のalgae数を調べた。al
gaeは、紫外線により強い赤色の自家蛍光を発するた
め、algae数の観察は蛍光顕微鏡下の観察により行
った。
【0032】(iv)細胞除去液 餌としてバクテリア(Klebsiella pneu
moniae)を接種したレタス浸出液中でゾウリムシ
Paramecium caudatum(KI−1
4)、Paramecium tetraurelia
(V−1)及び、Paramecium trichi
um(MM−6)をそれぞれ培養し、定常期あるいは死
滅期のものを濾過後、オートクレーブした。
【0033】(応用例3) [ミドリゾウリムシ共生藻のゾウリムシへの共生] (i)共生藻を含む細胞質画分の調製 前記応用例2の(i)と同様にしてミドリゾウリムシよ
り共生藻を得た。 (ii)ゾウリムシの調製 前記応用例2の(ii)と同様にしてゾウリムシを得た。 (iii)ゾウリムシによる共生藻の捕食と共生 前記応用例2の(iii)と同様にして観察を行った。
【0034】上記応用例2及び3の結果は次の通りであ
った。即ち、共生藻を無藻ミドリゾウリムシに与えた場
合、無藻ミドリゾウリムシは24時間共生藻を与えた直
後の観察では、体内に数十個の共生藻を取り込んでい
た。蛍光顕微鏡観察では、そのうちの幾つかはミドリゾ
ウリムシにより消化されているようであった。しかし、
培養液から共生藻を除去した後も、1個体中のalga
e数が増加した。一方、共生藻をKI−14,V−1,
MM−6に与えた場合、2日までに速やかに消化され
た。これら3種の場合、24時間共生藻を与えた直後
(0日)の観察で、体内のalgaeの数が少ないが、
顕微鏡観察で、多くの食胞が観察されたことから、これ
は、取り込まれたalgaeが速やかに消化されたため
と考えられる。或いは、これら3種は、もともと共生藻
を取り込まなかったとも思われる。ゾウリムシ1個体当
たりの共生藻の個体数の変化を図8に示す。同図におい
て、横軸は、培養液から共生藻を除去した日を0日とし
た以降の日数を、縦軸はゾウリムシ1個体当たりの共生
藻の個体数を示す。バーは標準偏差を示す。
【0035】(応用例4) [クロレラのゾウリムシへの共生] (i)クロレラ(Chlorella ellipso
idea)の調製 マイヤース−4NA5培地中で培養したChlorel
la ellipsoideaを遠心(1700×g,
5分)し、細胞除去液中に再懸濁した。マイヤース−4
NA5培地の組成は次の通りである。 KNO3 5.0g KH2 PO4 1.25g MgSO4 ・7H2 O 2.5g Fe sol. 1.0ml A5 sol. 1.0ml 再蒸留水(RDW) 1000ml pH:5.0〜5.8に調整 但し、 Fe sol.:FeSO4 ・7H2 O 2.8g conc.H2 SO4 1.0ml RDW 1000ml A5 sol.:HBO3 2.86g MnCl2 ・4H2 O 1.81g ZnSO4 ・7H2 O 0.22g CuSO4 ・5H2 O 0.08g Na2 Mo4 0.021g conc.H2 SO4 1.0ml RDW 1000ml (ii)無藻ミドリゾウリムシの調製 前記応用例2の(ii)と同様にして無藻ミドリゾウリム
シ(OKw−312)を得た。 (iii) 無藻ミドリゾウリムシによるクロレラの捕食と
共生 前記応用例2の (iii)と同様にして観察を行った。
【0036】クロレラ(C.ellipsoidea)
をそれぞれゾウリムシ(Paramecium)へ与え
た場合、いずれも殆どが2日までに速やかに消化され、
4日後では体内に留まっているものは観察されなかった
(図9)。
【0037】(応用例5) [抗血清の作成と共生に与える影響] (i)抗クロレラ血清の作成 マイヤース−4NA5中で培養したクロレラ(C.el
lipsoidea)約1mlを、1700×g、5分
間、遠心した。得られたC.ellipsoideaの
ペレットにアジュバント(1回目、2回目はTiter
Max、3回目、4回目はフロイントの不完全アジュ
バント)を加え、シリンジを用いて乳化させた。これを
抗原とし、ウサギに注射した。抗原の注射は、2回ず
つ、計4回行った。1回目の注射から約25日後に2回
目の注射、約80日後に3回目、約100日後に4回目
の注射を行った。2回目の注射から約25日後に1回
目、4回目の注射から約20日後に2回目の採血を行っ
た。採血した血液を、1700×g、15分間、遠心
し、上清を抗血清として用いた。
【0038】(ii)抗血清のタイターアッセイ マイヤース−4NA5中で培養したクロレラ(C.el
lipsoidea)を1700×g、15min、遠
心し、C.ellipsoideaのペレット200μ
lに、200μlのドデシル硫酸ソーダ(SDS)と少
量のフェニルメタンスルホニルフルオライド(PMS
F)を加え、BRANSONの超音波洗浄機を用いて、
30分超音波破砕した。これに、SDS200μlと少
量のPMSFを加え、3分間煮沸した後、1700×
g、15分、遠心した。この上清に200μlに、RD
W200μlを加え、SDS−PAGEを行った(25
mA、1.5時間)。ゲルは、マルチゲル10/20
(Multi gel 10/20:第一化学)を用い
た。これを、メンブレン(Transfer Memb
ranes.MILLPORE)に転写(100mA、
2時間)し、ウェスタンブロッティングを行った。1s
t antibodyには、1回目の採血による血清
と、非免疫血清を用い、それぞれ、×10、×100、
×1000の濃度で用いた(37℃、30分)。2nd
antibodyには、Biotin Rabbit
(BIOTINYLATED ANTI RABBIT
IgG(H+L).VECTOR)を37℃、30
分、発色にはVECTASTAINABCKIT(VE
CTOR)を用いた(37℃、30分)。
【0039】得られた抗血清のタイターアッセイを行っ
たところ、抗原であるC.ellipsoideaに由
来すると考えられる特異的なバンドは検出されなかっ
た。そこでこの抗血清において藻類の共生に影響を与え
るかどうかという点について、バイオアッセイを行っ
た。
【0040】(iii) 抗血清のバイオアッセイ 前記応用例2の(i)と同様にして共生藻或いはクロレ
ラ(Chlorella ellipsoidea)を
調製し、これに1回目或いは2回目に採血により得られ
た血清を10%、1%、或いは2.5%の割合で、37
℃、30分混合した後、細胞除去液で3回洗浄した(1
700×g、5分)。得られた共生藻或いはクロレラを
前記応用例2の(ii), (iii)と同様にして、無藻ミド
リゾウリムシに与え、共生に与える影響を検討した。
【0041】共生藻の共生に与える影響を図10に示
す。同図の横軸は、培養液から共生藻を除去した日を0
日として以降の日数を、縦軸はParamecium1
個当たりの共生藻の個体数を示し、バーは標準偏差を示
す。図中、+血清は11.30(4回目の抗原注射から
約20日目)に採血した血清を作用させた結果、non
は非免疫血清を作用させた結果、controlは、血
清を作用させなかったものを示す。同図が示す通り、抗
血清を作用させた共生藻の共生の過程は、コントロール
(control)に比べ、差異が見られなかった。
【0042】図11は、クロレラ(C.ellipso
idea)の共生に与える影響を示す。図の横軸、縦軸
は図10のものと同じである。同図から明らかな通り、
抗血清を作用させたC.ellipsoideaは、コ
ントロールと同様に、速やかに消化され、共に、共生を
確立することができなかった。
【0043】(応用例6) [共生藻の単離培養]前記応用例2の(i)と同様にし
てミドリゾウリムシを濃縮した後、細胞除去液で3回洗
浄した。これを試験管中に移し、超音波洗浄機により破
砕し、懸濁液を2%寒天で固めたCA培地、マイヤース
−4NA5培地に撒き、20℃、24時間照明下で培養
した。約80日後形成されたコロニーを液体CA培地、
マイヤース−4NA5培地に溶き、26℃、24時間照
明下で震盪培養した。一部は再び寒天CA培地、マイヤ
ース−4NA5培地に撒き、26℃、24時間照明下で
培養した。
【0044】ミドリゾウリムシの破砕懸濁液を、CA培
地(2%寒天)に撒いたところ、約80日でコロニーを
形成した。これを、CA培地、マイヤース−4NA5培
地に溶き、60日以上震盪培養したが、いずれも共生藻
の増殖は見られなかった。また、一部は再び寒天で固め
たCA培地に撒いたところ、約20日で再びコロニーを
形成した。
【0045】
【発明の効果】上述の実施例で例証した通り、本発明方
法により、除草剤パラコートに適宜に暴露すると、対数
期にあるミドリゾウリムシの共生藻を含まない株が生成
する。除草剤の動物毒性理論は完全には解明されていな
いが、本発明者等の観察では、共生藻はその宿主よりも
パラコートに対してより敏感であることを明瞭に示し
た。本発明者等の予備実験においては、本発明方法によ
り処理された定常期にあるミドリゾウリムシも共生藻を
全く有しなかった。これらの知見は、共生藻は宿主の生
育サイクルの段階を通じてパラコートに敏感であること
を示唆する。
【0046】従来提案された方法により、ミドリゾウリ
ムシを暗所(図5)或いは光合成阻害剤(DCMU)に
暴露して生育が長引くと、共生藻が消滅しないことがあ
るにも拘わらず、本発明方法によれば、除草剤パラコー
トの添加後5日で共生藻は確実に然も短期間に消滅する
という顕著な効果が認められる。前述のジェニングスは
ミドリゾウリムシ中の内部共生藻は、藻よりもゾウリム
シが急速に繁殖し得るような過剰の食物を提供すること
によってミドリゾウリムシから完全に除去し得ることを
報告した。その結果得られる無藻ミドリゾウリムシはそ
のような一連の急速な分裂によって極めて老化する。然
し乍ら、本発明方法によれば、無藻ミドリゾウリムシは
老化することなく数日内に確立させることができ、更に
これらの確立した無藻ミドリゾウリムシの株は、正常な
ミドリゾウリムシと同等の生存率を示す。これらの結果
は、除草剤パラコートが、無藻ミドリゾウリムシ株を有
意な損傷を与えずに生成することを示唆する。
【0047】また、過去の研究で、ボンフォード[Bo
mford R:J.Protozool.,12,2
21−224(1965)]、ニース等,[Niess
et al.:Planta.156,475−48
0 (1982)〕は、共生藻以外にも自由生活性の藻
類がミドリゾウリムシに共生することを報告している。
しかし、自由生活性の藻類の種名が明らかにされておら
ず、共生を確立したとする基準も不明であるなど、不明
瞭な点が多い。本発明者等は、前記の応用例で述べたよ
うに、共生藻の他に種名の判っている藻類をミドリゾウ
リムシやその他のゾウリムシ(Paramecium)
に与え、その共生の有無を調べ、自由生活性の藻類がミ
ドリゾウリムシに共生できるのか、又ミドリゾウリムシ
以外のParameciumには藻類は共生できないの
か、即ち、共生における種の特異性を検討した。
【0048】更に、無藻ミドリゾウリムシの共生藻によ
る感染は、研究の端緒を得た所であり、本発明方法によ
って得られた無藻ミドリゾウリムシは、動物細胞中の内
細胞生態における細胞間認識および伝達の性質を研究す
るのに極めて有用な信頼性ある試験を可能とすることが
期待される。このように、本発明方法は、ゾウリムシを
始め動物内細胞生態における感染過程を解明するための
頗る重要な研究材料を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により、定常期のミドリゾウリムシ
OK−312からのパラコートによる共生藻の除去比率
を示すグラフである。
【図2】本発明方法により、対数期のミドリゾウリムシ
OK−312からの、パラコートによる共生藻の除去比
率を示すグラフである。
【図3】本発明方法により、定常期のミドリゾウリムシ
HK−48からの、パラコートによる共生藻の除去比率
を示すグラフである。
【図4】本発明方法により、対数期のミドリゾウリムシ
HK−48からの、パラコートによる共生藻の除去比率
を示すグラフである。
【図5】従来公知の方法により、連続的暗所中、長期間
の飢餓状態下で培養したゾウリムシ(OK−312およ
びH−4)中の個体当たり共生藻の数を示すグラフであ
る。
【図6】本発明方法により処理したミドリゾウリムシ
(OK−312)中の共生藻に対するパラコートの影響
を示すグラフである。
【図7】未処理の共生藻を有するミドリゾウリムシ(A
及びB)及び本発明方法によって創製された無藻ミドリ
ゾウリムシOK−312(C及びD)のノマルスキー微
分干渉コントラスト映像(A及びC)及びそれらの蛍光
映像(B及びD)の写真である。
【図8】共生藻のミドリゾウリムシへの再共生を示すグ
ラフである。本発明方法によって得られた無藻ミドリゾ
ウリムシは体内に数十個の共生藻を取り込み、引き続き
algae数が増加する。通常のゾウリムシは共生藻を
速やかに消化する。
【図9】ゾウリムシ1個体当たりのクロレラ(C.el
lipsoidea)個体数の経日変化を示すグラフで
ある。
【図10】抗血清が共生藻の共生に及ぼす影響を示すグ
ラフである。
【図11】抗血清がクロレラの共生に及ぼす影響を示す
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 1/20 C12R 1:22) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 1/10 C12N 1/12 C12N 1/20

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バクテリアを接種した培地を用いて、ミ
    ドリゾウリムシ(Paramecium brusar
    ia)を、その内部共生藻を破壊し得る有効量で且つ該
    ミドリゾウリムシの生存許容量のパラコートの存在下に
    培養することを特徴とする無藻ミドリゾウリムシの創製
    方法。
  2. 【請求項2】 前記バクテリアがクレブシエラ・ニュー
    モニアイ(Klebsiella pneumonia
    e)である請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 前記培地が野菜浸出液に少量の無機成分
    を含む半合成培地である請求項1の方法。
  4. 【請求項4】 野菜浸出液がレタス浸出液であり、無機
    成分がカルシウムである請求項3の方法。
  5. 【請求項5】 103 μg/l〜105 μg/lの濃度
    のパラコートの存在下に少なくとも5日間培養する請求
    項1の方法。
  6. 【請求項6】 パラコートの濃度を少なくとも102 μ
    g/lとなし、少なくとも10日間培養する請求項1の
    方法。
  7. 【請求項7】 パラコートの濃度を少なくとも101 μ
    g/lとなす請求項6の方法。
  8. 【請求項8】 前記培養期間を少なくとも15日間とな
    す請求項6または7の何れか1項の方法。
  9. 【請求項9】 前記請求項1〜8の何れか1項によって
    創製された無藻ミドリゾウリムシ。
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