JP2885313B2 - 膨化成形品製造装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、玄米等の穀類及び
各種加工でん粉等を、所定の条件下で加熱圧縮するとと
もに、その後、これらを急激に減圧することによって膨
脹させ、これによって、所定の形態からなる膨化製品を
得るようにした膨化製品の製造装置に関するものであ
り、特に、上記膨化した状態の半製品状のものを所定の
立体形状に型成形するようにした膨化成形品の製造装置
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の膨化製品、特に膨化食品に関す
る、その製造装置としては、例えば、特公昭５８−８５
４号公報に記載の如く、上型及び下型等にて形成される
焼成室内に穀類等を投入するとともに、当該穀類等を所
定の温度及び所定の圧力下にて加熱及び圧縮し、その
後、急激に減圧することによって上記穀類等を膨脹さ
せ、これによって、いわゆる膨化食品を製造するように
しているものがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
ものは、穀類等のでん粉系素材を加熱圧縮した後、これ
らを急激に減圧することによって膨張させ、この膨張過
程において所定の形態に成形することとしているもので
ある。従って、その成形範囲も、丸形、四角形、三角形
等単純な形態からなるものに限られ、かつ、平面形態に
限定されるものである。従って、例えばトレイ状のもの
等、三次元形態からなるものの成形は難しいという問題
点がある。このような問題点を解決するために、膨化手
段と型成形手段とを別の工程からなるようにし、これら
によって、三次元形態からなる膨化成形品の製造を可能
にした膨化成形品製造装置を提供しようとするのが、本
発明の目的（課題）である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明においては次のような手段を講ずることとし
た。すなわち、請求項１記載の発明においては、上下動
する各型等にて形成されるキャビティを有するものであ
って、当該キャビティ内へ穀類等からなる素材が投入さ
れ、更に、これら素材が投入された状態の上記キャビテ
ィ内が所定の温度及び所定の圧力にて加熱圧縮され、そ
の後、これら加熱圧縮された素材が膨化されることによ
って所定の形態からなる加工物が形成されるようにした
膨化成形品の製造装置に関して、上記各型にて形成され
るキャビティを有するものであって、当該キャビティ内
へ投入された各種素材の焼成及び膨化を行なう焼成手段
を設け、更に、当該焼成手段にて所定の状態に焼成及び
膨化の成された半製品状の加工物（半製品）を所定の立
体形状に成形する成形手段を設けるようにした構成を採
ることとした。

【０００５】上記構成を採ることにより、本発明におい
ては、次のような作用を呈することとなる。すなわち、
焼成手段のキャビティ内に、穀類あるいは加工でん粉等
からなる所定の素材が投入されると、当該素材は、当該
キャビティ内にて、所定の温度及び所定の圧力にて所定
の時間保持される。そして、このような状態において、
上記キャビティ内を急激に減圧する。これによって、当
該キャビティ内にて加熱・圧縮されていた上記素材は急
激に膨張する。また、このとき、上記キャビティ内を大
気開放の状態にする。すなわち、キャビティの上方部に
自由空間を形成させる。これによって、上記キャビティ
内で膨張をして来た加工物は、半製品の状態で大気空間
内に放出されることとなり、一定の状態で膨張（膨化）
が止まることとなる。そして、この状態で半製品状の膨
化製品が形成されることとなる。なお、この半製品状の
ものは、上記穀類等の素材が上記キャビティ内で圧縮を
受けたときに当該穀類等の素材の内部から抽出された水
分によって、軟化した状態となっている。

【０００６】そして、このような半製品状の膨化加工物
を、次の成形手段にて、所定の立体形状からなる膨化成
形品に形成（製造）する。すなわち、本成形手段にて形
成される型内に、上記半製品を設置し、当該水分を含ん
で軟化した状態の半製品を、所定の圧力及び所定の温度
にて型成形する。そして、所定の時間経過後、本成形手
段を形成する各型を開いて、加工物を本成形手段から取
り出す。これによって、所定の立体形状を有する膨化成
形品が形成（製造）されることとなる。

【０００７】次に、請求項２記載の発明について説明す
る。このものも、その基本的な点は、上記請求項１記載
のものと同じである。その特徴とするところは、上記焼
成手段を、リング状の側型と、当該側型に嵌合するとと
もに、当該側型の中心線方向に上下動する上型と、同じ
く上記側型に嵌合するとともに、当該側型内にて上下動
をする下型とからなるようにするとともに、上記成形手
段を、リング状の形態を基礎として形成されるものであ
って、その内径部側に雌型の一部を有する側型と、当該
側型の中心線方向に上下動するものであって、当該側型
の雌型部と係合する雄型部を有する上型と、上記側型内
にて上下動をするものであって上記側型に形成された雌
型部と共同して雌型を形成する下型と、からなるように
したことである。

【０００８】このような構成を採ることにより、本発明
のものにおいては、次のような作用を呈することとな
る。すなわち、焼成手段内のキャビティ内に、穀類ある
いは加工でん粉等からなる所定の素材が投入されるとと
もに、当該素材は、当該キャビティ内にて、所定の温度
及び所定の圧力にて所定の時間保持される。そして、こ
のような状態において、上記上型を所定の速度で上方に
移動させる。このような上型の上方移動によって上記キ
ャビティ内は急激に減圧されることとなり、当該キャビ
ティ内にて加熱・圧縮されていた上記素材は急激に膨張
する。また、このとき、上記上型を、その嵌合している
側型の上縁部よりも、更に上方部まで移動させる（スト
ロークさせる）ようにする。これによって、上記キャビ
ティ内は、急激に減圧され、大気開放の状態となる。そ
して、これに続いて、すなわち、わずかの時間遅れをも
って、上記下型を上昇させ、上記キャビティ内に存する
膨化途上中の加工物（素材）を上方に持ち上げる。その
結果、当該膨化途上中の加工物は、上記側型の上方部に
形成された自由空間内へと放出されることとなり、最終
的には、上記側型の内径よりも大きな値の径を有するよ
うに自由膨張し、その状態で膨張、すなわち、膨化が止
まることとなる。そして、このような状態で、半製品状
の膨化製品が形成されることとなる。なお、この半製品
状のものは、上記穀類等の素材が上記キャビティ内で圧
縮を受けたときに当該穀類等の素材の内部から抽出され
た水分によって、軟化した状態となっている。すなわ
ち、軟化した状態の相隣る素材どうしが融合（融着）す
ることによって、半製品状のものが形成されることとな
る。

【０００９】そして、このような半製品状の膨化加工物
を、次の成形手段にて、所定の立体形状からなる膨化成
形品に成形する。具体的には、内部に、ある程度の水分
を有するものであって、円盤状の形態からなる半製品
を、側型及び下型にて形成される雌型の内部（上方部）
に設置する。そして、このように設置された半製品の上
方部から上型にて形成される雄型を降下させ、上記水分
を含んで軟化した状態の半製品を、所定の圧力及び所定
の温度にて型成形する。そして、所定の時間経過後、本
成形手段を形成する各型を型開きするとともに下型を上
昇させ、上記立体形状に型成形された加工物（製品）
を、本成形手段から取り出す。これによって、所定の立
体形状を有する膨化成形品が形成（製造）されることと
なる。

【００１０】次に、請求項３記載の発明について説明す
る。このものも、その基本的な点は、上記請求項１及び
請求項２記載のものと同じである。その特徴とするとこ
ろは、上記請求項１及び請求項２記載の発明に加えて、
上記成形手段のところに、膨化成形品（加工物）の周辺
部を所定の形状に整形する切断刃物等からなるトリミン
グ手段を設けるようにしたことである。すなわち、上記
成形手段を、リング状の形態を基礎として形成されるも
のであって、その内径部側に雌型の一部を有する構成か
らなる側型と、当該側型の中心線方向に上下動するもの
であって、上記側型の雌型部と係合する雄型部を有する
上型と、上記側型内にて上下動をするものであって、上
記側型に形成された雌型部と共同して雌型を形成する下
型と、からなるようにするとともに、上記上型の側面部
であって上記側型の上方部に、上記上型との間におい
て、その上下方向の相対摺動運動が可能なように設けら
れるものであって、本成形手段にて所定の形態に型成形
された加工物のトリミング加工を行なうトリミング手段
を設けるようにした構成からなるようにしたことであ
る。

【００１１】このような構成を採ることにより、本発明
においては、次のような作用を呈することとなる。すな
わち、上記焼成手段及び成形手段にて、所定の立体形状
を有する膨化成形品（加工物）が型成形された後に、上
記トリミング手段を作動させることによって、当該加工
物の周縁部が、所定の形態（形状）に整形されることと
なる。すなわち、型成形された加工物のフランジ部等が
所定の形状に整えられることとなる。なお、このような
機能を有する本トリミング手段は、例えば図２に示す如
く、上型と連動して作動するようになっているものであ
り、当該上型の降下等によって上記型成形が行なわれる
のに連動して作動するようになっているものである。具
体的には、上記上型の降下に対して若干の作動遅れを伴
った状態で、本トリミング手段を形成する切断刃物（刃
先部）が降下し、当該刃先部と上記側型の上端面との間
において、上記加工物の周縁部の切断が行なわれるよう
になっているものである。このようなトリミング工程を
経ることによって、その周縁部が所定の状態に整形され
た膨化成形品が形成（製造）されることとなる。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、図
１及び図２を基に説明する。本発明の実施の形態に関す
るものの、その構成は、図１に示す如く、各型の集合体
からなるものであって、穀類あるいは加工でん粉等から
なる素材９９を、所定の温度及び所定の圧力にて加熱・
圧縮するとともに、所定の条件下にて膨張（膨化）させ
るように作動する焼成手段１と、当該焼成手段１にて半
製品状態に形成された膨化加工物９５を、所定の立体形
状に型成形する成形手段５と、これら成形手段５及び焼
成手段１の各型等を駆動するパワーシリンダあるいはア
クチュエータ等からなる作動手段２と、当該作動手段２
を所定の状態に作動させるように制御をする制御手段３
と、からなることを基本とするものである。

【００１３】このような基本構成において、上記焼成手
段１は、図１に示す如く、リング状の形態からなるもの
であって、穀類あるいは加工でん粉等の素材９９の投入
されるキャビティ１９を形成する、その基礎となる側型
１５と、当該側型１５に嵌合するとともに、当該側型の
中心線方向に上下動をし、これによって上記キャビティ
１９内に投入された上記素材９９を加熱及び圧縮する上
型１１と、上記側型１５内にて上下動をするとともに上
記上型１１と共同して上記キャビティ１９内の素材９９
を加熱及び圧縮する下型１２と、からなることを基本と
するものである。そして更に、このような構成からなる
ものにおいて、上記側型１５は、当該側型１５を下方か
ら支えるアタッチメント、更には、当該アタッチメント
を支持するステー等（図示せず）を介してテーブル８上
に支持（固定）されるようになっているものである。そ
して更に、このような構成からなる本焼成手段１の上記
キャビティ１９内へは、図１に示すような構成からなる
フィーダ装置２９を介して、ホッパ９８に収納された所
定の素材９９が供給されるようになっているものであ
る。

【００１４】次に、上記上型１１は、その内部にヒータ
４を有するようになっており、これによって、上記キャ
ビティ１９内の穀類等からなる素材９９が所定の温度に
て加熱されるようになっているものである。なお、この
ヒータ４の加熱温度及び加熱時間等は、後記制御手段３
の制御作用によって行なわれるようになっているもので
ある。このような構成からなる上型１１は、図１に示す
如く、アタッチメント等を介して上部プレート１１２に
固定されるとともに、当該上部プレート１１２は昇降ロ
ッド１１３を介して、更には下部プレート２１２を介し
て作動手段２のパワーシリンダ２１のピストン２１１に
連結されるようになっているものである。そして、当該
上型作動用のパワーシリンダ２１のピストン２１１の作
動に応じて、上記下部プレート２１２、昇降ロッド１１
３、及び上部プレート１１２等が上下動をし、最終的に
上型１１が上下動をするようになっているものである。

【００１５】次に、上記側型１５内にて上下動をする下
型１２は、上記上型１１と同様、その内部にヒータ４を
有する構成からなるものであり、このヒータ４の作動制
御は、上記上型１１に設けられたものと同様、制御手段
３の制御作用に基づいて行なわれるようになっているも
のである。また、このような構成からなる本下型１２
は、その下方部において、下型１２を作動させるための
アクチュエータ（焼成手段作動用）２２の、そのピスト
ン２２１に連結されるようになっている。そして、この
ような構成からなる各型１１、１２、１５にてキャビテ
ィ１９が形成されるようになっているものである。ま
た、このキャビティ１９内に所定の穀類等からなる素材
９９がフィーダ装置２９を介して投入（導入）されると
ともに、上記上型１１及び下型１２による加熱及び圧縮
作用を受けることによって、上記穀類等の素材９９の焼
成あるいは膨化等の諸工程が成されるようになっている
ものである。

【００１６】次に、上記焼成手段１にて半製品状に膨化
された加工物（半製品）９５を、所定の立体形状に成形
加工する成形手段５は、図１及び図２に示す如く、リン
グ状の形態を基礎として形成されるものであって、その
内径部側の上方部に雌型の一部（雌型部）５３９を有す
る側型５３と、当該側型５３の中心線方向に上下動する
ものであって本側型５３の雌型部５３９等と係合する雄
型部５１９を有する上型５１と、上記側型５３内にて上
下動するものであって上記側型５３に形成された雌型部
５３９と共同して雌型を形成する下型５２と、からなる
ことを基本とするものである。そして、更に、このよう
な構成からなる本成形手段５の上記上型５１の、その側
面部には、切断刃物等からなるトリミング手段５５が設
けられるようになっているものである。

【００１７】このような構成からなるものにおいて、上
記上型５１は、図２に示す如く、その下面部に凸面の形
態からなる雄型部５１９を有するようになっているもの
である。そして、このような構成からなる本上型５１
は、上記焼成手段１における上型１１と同様、所定のア
タッチメント等を介して上部プレート１１２に取り付け
られるようになっているものである。そして、当該上部
プレート１１２は、図１に示す如く、昇降ロッド１１
３、下部プレート２１２を介してパワーシリンダ２１に
連結され、最終的に、このパワーシリンダ２１の作動に
応じて、上下動をするようになっているものである。す
なわち、これらによって本上型５１の上下動が行なわれ
るようになっているものである。なお、このような構成
からなる本上型５１の、その内部には、制御手段３の制
御に基づいて作動するヒータ４が設けられるようになっ
ており、本成形手段５のところに送られて来た半製品９
５を所定の温度に加熱するようになっている。

【００１８】このような構成からなる上型５１の雄型部
５１９と係合する雌型部５３９を、その内径部側に有す
る側型５３は、基本的にはリング状の形態からなるもの
であり、上記焼成手段１における側型１５と同様、本側
型５３を下方から支えるアタッチメント、更には当該ア
タッチメントを支持するステー等を介してテーブル８上
に支持（固定）されるようになっているものである。ま
た、このような構成からなる側型５３内にて上下動をす
る下型５２は、その上面部５２９が、上記側型５３の内
径部側であって、その上方部に形成された凹面状の雌型
部５３９と共同して雌型を形成するようになっているも
のである。そして、当該下型５２の、その内部には、制
御手段３の制御に基づいて作動するヒータ４が設置され
るようになっている。また、このような構成からなる本
下型５２は、図１に示す如く、その下方部において、下
型５２を作動させるためのアクチュエータ（成形手段作
動用）２５の、そのピストン２５１に、連結ロッド６５
を介して連結されるようになっているものである。そし
て、このような構成からなる各型５１、５２、５３にて
雌雄一対の成形型が形成されるようになっているもので
ある。

【００１９】このような構成からなる本成形手段５の、
上記上型５１の側面部には、図１に示す如く、円環状の
形態からなるものであって成形加工物９の周縁部の形状
等を整えるように作動するトリミング手段５５が設けら
れるようになっている。このトリミング手段５５の構成
は、図２に示す如く、円環状の形態を基礎に形成される
ものであって、その下方部のところには、切断刃物を形
成する刃先部５５５が設けられるようになっているもの
である。そして、このような構成からなる本トリミング
手段５５は、上記上型５１の上方部に形成されたフラン
ジ部５１１のところに取付ボルト５１５を介して取り付
けられるようになっているものである。なお、本トリミ
ング手段５５の、その取付状態は、上記上型５１の側面
部を上下方向に摺動運動することができるようになって
いるものである。そして更に、本トリミング手段５５と
上記上型５１のフランジ部５１１との間にはスプリング
５６が設けられるようになっており、このスプリング５
６のバネ反力によって、本トリミング手段５５は下方部
へ常時押し付けられるようになっているものである。従
って、本トリミング手段５５の下方部に設けられた上記
刃先部５５５は、上記側型５３の上端面５３３側へ常時
押し付けられることとなる。すなわち、このバネ反力に
よって、上記刃先部５５５は、上記成形加工された加工
物９の周縁部を所定の形状に整形（トリミング）するこ
とができるようになっているものである。なお、このよ
うなトリミング手段５５としては、上記のようなスプリ
ング５６を介して上記上型５１の側面部に設けられるも
のの外に、スプリング等を介さず、パワーシリンダ等に
て直接駆動されるような構成からなるものであっても良
い。

【００２０】次に、上記構成からなる焼成手段１の上下
各型１１、１２、及び成形手段５の各型５１、５２等を
作動させる（上下動させる）作動手段２は、図１に示す
如く、上記各上型１１、５１の上下動を担うパワーシリ
ンダ２１と、焼成手段１の下型１２の上下動を担うアク
チュエータ（焼成手段作動用）２２と、成形手段５の下
型５２の上下動を担うアクチュエータ（成形手段作動
用）２５と、からなることを基本とするものである。な
お、本実施の形態のものにおいては、上記各上型１１、
５１を作動させるパワーシリンダ２１としては、焼成手
段用と成形手段用とが共用化されているが、このような
共用化されているものに必ずしも限定されるものではな
い。本実施の形態においては、省スペース化等の観点か
ら共用化を図ったが、焼成手段用及び成形手段用を、別
個独立に設けることも可能である。そして、これらパワ
ーシリンダ２１及びアクチュエータ２２、２５が上記焼
成手段１及び成形手段５の設置されるテーブル８の下方
部にコンパクトに設けられるようになっている。なお、
このような構成において、上記パワーシリンダ２１及び
アクチュエータ２２、２５としては、ここではエアシリ
ンダが採用されている。後に述べるように、上記焼成手
段１の上型１１にクイックモーションを起こさせる必要
があるところから、動力源として、ここでは油圧に代わ
って高圧エアが採用されている。従って、高圧エアを生
成するためのポンプ２４もエアポンプが採用されるよう
になっている。このようにして生成された高圧エアが切
換バルブ３１、３２、３３、３４等を介してパワーシリ
ンダ２１及び各アクチュエータ２２、２５等に供給され
るようになっているものである。

【００２１】このような構成からなる上型作動用のパワ
ーシリンダ（上型作動用パワーシリンダ）２１は、その
内部に、上記ポンプ（エアポンプ）２４からの高圧エア
を受けて作動するピストン２１１を有するとともに、当
該ピストン２１１の上下には上型降下用のシリンダ室
（上型降下用シリンダ室）２１９及び上型上昇用のシリ
ンダ室（上型上昇用シリンダ室）２１８を有するように
なっている。そして、これら各シリンダ室２１８、２１
９には、切換バルブ３１を介してエアポンプ２４からの
高圧エアが導入されるようになっている。また、このよ
うな構成からなる上記上型降下用シリンダ室２１９側に
は、急速排気弁等からなる大容量排気装置３９が連結さ
れるようになっている。また、上記ピストン２１１に
は、上記各上型１１、５１を作動させるための下部プレ
ート２１２、昇降ロッド１１３、上部プレート１１２が
連結されるようになっている。なお、このような構成か
らなる上型作動用のパワーシリンダ２１は、図１に示す
如く、剛体からなるテーブル８の下方部に、タイロッド
２８を介して、更には、当該タイロッド２８に連結され
ているタイロッドプレート２６を介して取り付けられる
ようになっている。すなわち、本パワーシリンダ２１
は、剛性の高いテーブル８を基礎にして、その下方部
に、上記焼成手段１及び成形手段５と対向するようにコ
ンパクトに設けられるようになっているものである。こ
れらによって、本装置全体のスリム化が図られるように
なっている。

【００２２】次に、上記焼成手段１を形成する下型１２
の作動を規制する下型作動用のアクチュエータ（焼成手
段作動用）２２は、上記テーブル８の下方部であって上
記上型作動用パワーシリンダ２１の上方部に設けられる
ようになっている。そして、当該アクチュエータ２２内
には、ピストン２２１が設けられるようになっており、
当該ピストン２２１は連結ロッド６１を介して上記下型
１２に連結されるようになっている。また、本アクチュ
エータ２２の内部には、上記ピストン２２１を作動させ
るためのシリンダ室２２９が設けられるようになってお
り、当該シリンダ室２２９内へは、上記エアポンプ２４
にて生成された高圧エアが、制御手段３からの信号に基
づいて作動する切換バルブ３２を介して、適宜導入され
るようになっている。

【００２３】次に、上記焼成手段１に隣接して設けられ
る成形手段５の、その下型５２を作動させるアクチュエ
ータ（成形手段作動用）２５は、上記テーブル８の下方
部であって、上記焼成手段１用のアクチュエータ２２と
並んだ状態で設けられるようになっているものである。
そして、当該アクチュエータ２５内には、ピストン２５
１が設けられるようになっており、当該ピストン２５１
は、連結ロッド６５を介して上記下型５２に連結される
ようになっている。また、本アクチュエータ２５の内部
には、上記ピストン２５１を作動させるためのシリンダ
室２５９が設けられるようになっており、当該シリンダ
室２５９内へは、上記エアポンプ２４にて生成された高
圧エアが、制御手段３からの信号に基づいて作動する切
換バルブ３３を介して適宜導入されるようになってい
る。

【００２４】次に、このような構成からなる上記焼成手
段１のキャビティ１９内へ、ホッパ９８内に収納されて
いる穀類等からなる素材９９を供給するフィーダ装置２
９は、図１に示す如く、供給プレート２９１等からなる
ものであり、この供給プレート２９１には適宜形状から
なるポケット２９５が設けられるようになっている。そ
して、このポケット２９５内に上記穀類等の素材９９が
一定量収納された状態で上記キャビティ１９へと送り出
されるようになっている。すなわち、本フィーダ装置２
９によって、上記キャビティ１９へは常に一定量の素材
９９が供給されるようになっているものである。また、
このような構成からなる本フィーダ装置２９は、その供
給プレート２９１の作動によって、上記焼成手段１にて
形成された半製品９５を、次の成形手段５へと送り出す
ことができるようになっているものである。

【００２５】このような構成からなるフィーダ装置２９
の駆動機構としては、図１に示すようなラックアンドピ
ニオン方式が採用されている。すなわち、本フィーダ装
置２９を形成する供給プレート２９１にはラック２３２
が取り付けられるとともに、当該ラック２３２には当該
ラック２３２を直線往復運動させるピニオンギヤ２３１
が噛み合うようになっている。そして、このピニオンギ
ヤ２３１にはモータ２３が同軸上に設けられるようにな
っているものである。また、このモータ２３は、本実施
の形態のものにおいては、高圧エアにて作動するロータ
リアクチュエータが採用されるようになっており、上記
エアポンプ２４からの高圧エアが切換バルブ３４を介し
て導入されるようになっているものである。この切換バ
ルブ３４は、後に述べる制御手段３の制御信号に基づい
て切換作動をするようになっているものである。そし
て、この切換作動に基づいて、上記モータ２３及びピニ
オンギヤ２３１が正転あるいは逆転をし、上記ホッパ９
８からの素材９９を上記キャビティ１９へと供給した
り、更には焼成手段１から成形手段５へと、上記半製品
９５を移送したりするようになっているものである。

【００２６】次に、これら構成からなる作動手段２の作
動等を制御する制御手段３は、図１に示す如く、マイク
ロプロセッサユニット（ＭＰＵ）等からなる演算手段を
主体とするマイクロコンピュータにて形成されているも
のであり、作動手段２の各種パワーシリンダ２１、及び
アクチュエータ２２、２５、更にはモータ２３等を作動
させるための切換バルブ３１、３２、３３、３４の切換
作動を制御するようになっているものである。そして更
に、本制御手段３としては、この外に、上記上型作動用
のパワーシリンダ２１を作動させて上記焼成手段１の上
型１１が所定のストローク量だけ降下したときに、上記
パワーシリンダ２１内のピストン２１１の一部に設けら
れたリング状のマグネット（マグネットリング）２１５
と相互作用をして、その位置を検出するセンサ３５、３
６等を有するようになっているものである。なお、この
ようなセンサ３５、３６はリードスイッチ機構等からな
るものである。また、上記制御手段３を形成するマイク
ロプロセッサユニット（ＭＰＵ）には、ヒータ４にて加
熱されるキャビティ１９内の温度を制御する機能、上記
センサ３５が作動した後、所定時間、上記キャビティ１
９内を所定の状態に保持するタイマ機能、及び当該所定
時間経過後に上記大容量排気装置３９を作動させる機
能、更には上記各上下両型１１、１２、５１、５２の作
動を制御する切換バルブ３１、３２、３３等の制御を行
なう機能、更には上記フィーダ装置２９の作動を規制す
る切換バルブ３４の制御をする機能等を発揮させる手段
が組み込まれるようになっている。

【００２７】このような構成からなる本実施の形態のも
のについての、その作動態様等について説明する。ま
ず、図１に示す如く、焼成手段１内のキャビティ１９内
に、穀類あるいは加工でん粉等からなる所定の素材９９
を、フィーダ装置２９を作動させることによって投入す
る。このような状態において、上記キャビティ１９内
を、所定の温度及び所定の圧力にて所定の時間保持する
ようにする。これら温度及び圧力の制御は制御手段３か
らの信号に基づいて行なわれる。具体的には本制御手段
３からの制御信号に基づき、切換手段３１を作動させ、
パワーシリンダ２１のピストン２１１を作動（降下）さ
せる。これによって焼成手段１の上型１１が降下し、キ
ャビティ１９内の素材９９が圧縮される。ところで、こ
の上型１１の下方への所定量ストローク作動によって、
上記パワーシリンダ２１内のピストン２１１のところに
設けられたマグネットリング２１５の磁力が上記センサ
３５を作動させる。これによって、制御手段３に組み込
まれたタイマ機能が作動し、所定の時間、上記パワーシ
リンダ２１を所定の状態、すなわち、上型１１を降下さ
せた状態に維持する。これによって、上記キャビティ１
９内に供給された素材９９は、気密状態にて、所定の温
度及び所定の圧力下で加熱及び圧縮を受けることとな
る。

【００２８】このような状態において、所定の時間が経
過すると、制御手段３からの信号に基づき、上記大容量
排気装置３９が開かれ、パワーシリンダ２１のシリンダ
室（上型降下用シリンダ室）２１９内の高圧エアが急速
に排出される。このような状態において、上記上型１１
を所定の速度で上方に移動させる。このような上型１１
の上方移動によって上記キャビティ１９内は急激に減圧
されることとなり、当該キャビティ１９内にて加熱・圧
縮されていた上記素材９９は急激に膨張する。また、こ
のとき、上記上型１１を、その嵌合している側型１５の
上縁部よりも、更に上方部まで移動させる（ストローク
させる）ようにする。これによって、上記キャビティ１
９内は、急激に減圧され、大気開放の状態となる。そし
て、これに続いて、すなわち、制御手段３からの信号に
基づく、わずかな時間遅れをもって、上記下型１２を上
昇させ、上記キャビティ１９内に存する膨化途上中の加
工物（素材）を上方に持ち上げる。その結果、当該膨化
途上中の加工物は、上記側型１５の上方部に形成された
自由空間内へ放出されることとなり、最終的に、上記側
型１５の内径よりも大きな値の径を有するように自由膨
張する。そして、この状態で、その膨張、すなわち、膨
化が止まることとなる。そして、このような状態で、半
製品状の膨化製品９５が形成されることとなる。なお、
この半製品状のもの（９５）は、上記穀類等の素材が上
記キャビティ１９内で圧縮を受けたときに当該穀類等の
素材９９の内部から抽出された水分によって、軟化した
状態となっている。すなわち、軟化した状態の相隣る素
材どうしが融合（融着）することによって、半製品状の
もの（９５）が形成されることとなる。なお、このよう
な半製品９５の、その径の大きさ（値）は、主に、上記
上型１１の上昇速度によって決定されることとなる。そ
こで、本実施の形態のものにおいては、使用される素材
９９、あるいは次の成形手段５における成形条件等を考
慮して、上記上型１１の上昇速度、延いてはキャビティ
１９内の減圧速度を、上記制御手段３からの制御信号に
基づき最適の状態となるように調整することとしてい
る。

【００２９】そして、このような半製品状の膨化加工物
（半製品）９５を、次の成形手段５にて、所定の立体形
状からなる膨化成形品９に成形する。具体的には、内部
に、ある程度の水分を有するものであって円盤状の形態
からなる半製品９５を、成形手段５の側型５３及び下型
５２にて形成される雌型部５２９、５３９の内部（上方
部）に設置する（図２参照）。そして、このように設置
された半製品９５の上方部から上型５１にて形成される
雄型部５１９を降下させ、上記水分を含んで軟化した状
態の半製品９５を、所定の圧力及び所定の温度にて型成
形する。なお、この上型５１の降下等は、制御手段３か
らの制御信号に基づく切換手段３１の作動によって行な
われる。

【００３０】そして、このようにして上記成形手段５に
て、所定の立体形状を有する膨化成形品（加工物）が型
成形された後に、図２に示すトリミング手段５５を作動
させることによって、当該加工物の周縁部を、所定の形
態（形状）に整形する。すなわち、型成形された加工物
のフランジ部等が所定の形状に整えられることとなる。
なお、このような機能を有する本トリミング手段５５
は、例えば図２に示す如く、上型５１と連動して作動す
るようになっているものである。すなわち、当該上型５
１の降下等によって上記型成形が行なわれるのに連動し
て作動するようになっているものである。具体的には、
スプリング５６のバネ反力による若干の作動遅れを伴っ
た状態で、本トリミング手段５５を形成する切断刃物
（刃先部）５５５が降下し、当該刃先部５５５と上記側
型５３の上端面５３３との間において、上記加工物９の
周縁部が切断されることとなる。このようなトリミング
工程を経ることによって、その周縁部が所定の状態に整
形された膨化成形品９が形成（製造）されることとな
る。そして更に、このような状態において、上記制御手
段３の制御作用に基づいて決められた所定の時間経過
後、本成形手段５を形成する各型５１、５２が型開きさ
れる。これとともに下型５２を上昇させ、上記立体形状
に型成形された加工物（製品）９を、本成形手段５から
取り出す。なお、これら型開き作業及び成形加工物（製
品）の取出作業等は、上記制御手段３にて制御されるよ
うになっている。これらによって、所定の立体形状を有
する膨化成形品９が形成（製造）されることとなる

【００３１】

【発明の効果】本発明によれば、上下動する各型等にて
形成されるキャビティを有するものであって、当該キャ
ビティ内へ穀類等からなる素材が投入され、更に、これ
ら素材が投入された状態の上記キャビティ内が所定の温
度及び所定の圧力にて加熱圧縮され、その後、これら加
熱圧縮された素材が膨化されることによって所定の形態
からなる加工物が形成されるようにした膨化成形品の製
造装置に関して、上記各型にて形成されるキャビティを
有するものであって、当該キャビティ内へ投入された各
種素材の焼成及び膨化を行なう焼成手段を設け、更に、
当該焼成手段にて所定の状態に焼成及び膨化の成された
半製品状の加工物（半製品）を所定の立体形状に成形す
る成形手段を設けるようにした構成を採ることとしたの
で、まず、焼成手段にて、膨化した半乾燥状態の半製品
が製造され、続いて、次の成形手段にて、まだ水分を含
んでおり柔軟性のある状態のものを型成形することによ
って、立体形状を有する膨化成形品が製造されるように
なった。すなわち、これら膨化成形品を連続一貫工程に
て、効率良く形成（製造）することができるようになっ
た。

【００３２】また、上記成形手段のところに、当該成形
手段の上型と連動して作動するトリミング手段を設ける
ようにしたので、上記成形手段の作動に伴って、膨化成
形品の外形形状を整えることができるようになり、形態
の整った製品を一連の工程にて、効率良く製造すること
ができるようになった。

【００３３】また、これら構成からなる焼成手段及び成
形手段の、それぞれの上型を作動させるパワーシリンダ
を、両者共用化するようにしたので、パワーシリンダを
一個設ければ良いようになり、装置全体の小形化及び軽
量化を図ることができるようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の全体構成を示すスケルトン図である。

【図２】本発明にかかる成形手段のところに設けられた
トリミング手段の構成を示す縦断面図である。

【符号の説明】

１ 焼成手段 １１ 上型 １１２ 上部プレート １１３ 昇降ロッド １２ 下型 １５ 側型 １９ キャビティ ２ 作動手段 ２１ パワーシリンダ（上型作動用パワーシリンダ） ２１１ ピストン ２１２ 下部プレート ２１５ マグネット（マグネットリング） ２１８ 上型上昇用シリンダ室 ２１９ 上型降下用シリンダ室 ２２ アクチュエータ（焼成手段作動用） ２２１ ピストン ２２９ シリンダ室 ２３ モータ ２３１ ピニオンギヤ ２３２ ラック ２４ ポンプ（エアポンプ） ２５ アクチュエータ（成形手段作動用） ２５１ ピストン ２５９ シリンダ室 ２６ タイロッドプレート ２８ タイロッド ２９ フィーダ装置 ２９１ 供給プレート ２９５ ポケット ３ 制御手段 ３１ 切換バルブ ３２ 切換バルブ ３３ 切換バルブ ３４ 切換バルブ ３５ センサ ３６ センサ ３９ 大容量排気装置 ４ ヒータ ５ 成形手段 ５１ 上型（雄型） ５１１ フランジ部 ５１５ 取付ボルト ５１９ 雄型部 ５２ 下型 ５２９ 雌型部（上面部） ５３ 側型 ５３３ 上端面 ５３９ 雌型部 ５５ トリミング手段 ５５５ 切断刃物（刃先部） ５６ スプリング ６１ 連結ロッド（焼成手段用） ６５ 連結ロッド（成形手段用） ８ テーブル ８８ ベース ８９ ステー ９ 膨化成形品（加工物） ９５ 半製品 ９８ ホッパ ９９ 素材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A23P 1/14 - 1/16 A23G 3/00 A23L 1/18

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下動する各型にて形成されるキャビテ
   ィを有するものであって、当該キャビティ内へ穀類等か
   らなる素材が投入され、更に、これら素材の投入された
   状態の上記キャビティ内が所定の温度及び所定の圧力に
   て加熱圧縮され、その後、これら加熱圧縮された素材が
   膨化されることによって所定の形態からなる加工物が形
   成される焼成手段と、当該焼成手段にて所定の状態に焼
   成及び膨化の成された半製品状の加工物を所定の立体形
   状に成形する成形手段と、からなることを特徴とする膨
   化成形品製造装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の膨化成形品製造装置にお
   いて、焼成手段を、リング状の側型と、当該側型に嵌合
   するとともに、当該側型の中心線方向に上下動をする上
   型と、同じく上記側型に嵌合するとともに、当該側型内
   にて上下動をする下型と、からなるようにし、更に、成
   形手段を、リング状の形態を基礎として形成されるもの
   であって、その内径部側に雌型の一部を有する構成から
   なる側型と、当該側型の中心線方向に上下動するもので
   あって、当該側型の雌型部と係合する雄型部を有する上
   型と、上記側型内にて上下動をするものであって上記側
   型に形成された雌型部と共同して雌型を形成する下型
   と、からなるようにしたことを特徴とする膨化成形品製
   造装置。
3. 【請求項３】 請求項１または請求項２記載の膨化成形
   品製造装置において、上記成形手段を、リング状の形態
   を基礎として形成されるものであって、その内径部側に
   雌型の一部を有する構成からなる側型と、当該側型の中
   心線方向に上下動をするものであって、上記側型の雌型
   部と係合する雄型部を有する上型と、上記側型内にて上
   下動をするものであって、上記側型に形成された雌型部
   と共同して雌型を形成する下型と、からなるようにする
   とともに、上記上型の側面部であって上記側型の上方部
   に、上記上型との間において、その上下方向の相対摺動
   運動が可能なように設けられるものであって、本成形手
   段にて所定の形態に成形された成形加工物のトリミング
   加工を行なうトリミング手段を設けるようにしたことを
   特徴とする膨化成形品製造装置。