JP2878296B2 - 海水淡水化装置 - Google Patents

海水淡水化装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は海水淡水化装置に関するものである。
(ロ) 従来の技術 従来、海水の淡水化には、海水中の水分の蒸発・凝縮
作用を利用して淡水を得る技術、海水を凍結・解凍させ
て淡水を得る技術、逆浸透法により淡水を得る技術など
がある。
(ハ) 発明が解決しようとする課題 しかしながら、上記の各技術には次のような未解決の
課題がある。
海水中の水分の蒸発・凝縮作用を利用する技術では、
海水を蒸発させるのに多量の熱エネルギを要し、また、
効率よく凝結を行わせるには冷却装置を必要とし、この
冷却装置にもエネルギを要して、コストがかさむという
欠点がある。
また、海水を凍結・解凍させる技術では、一回の凍結
・解凍では充分に塩分を取除くことができず、凍結・解
凍を繰返す必要があり能率がわるく海水を凍結させるの
に冷凍機を要し、この冷凍機にもエネルギを必要とし、
凍結・解凍を繰返すので多量のエネルギを要するという
欠点がある。
逆浸透法による技術は、現在、一部離島などで実用化
されてはいるが、一回の処理では充分に塩分を除去する
ことができず、数回の処理を要して能率が悪く、また、
海水中の浮遊物質による逆浸透膜の目詰まりなどの問題
が発生しやすく頻繁な保守作業を要し、更に、逆浸透膜
が脆弱であるため破損し易く、これらの面でのコストが
高くつくという欠点がある。
(ニ) 課題を解決する手段 本発明は、内部を減圧状態とし、海面付近の比較的高
温の温海水を導入可能としたフラッシュ室に、温海水を
噴霧可能とした多数のノズルを配設すると共に、同ノズ
ルは磁性を有するセラミック素材で構成し、同ノズルよ
り噴霧された温海水を蒸発可能とするとともに、深部の
比較的低温の冷海水にて冷却された凝縮器を第1ドレン
セパレータを介して前記フラッシュ室に連通連結し、フ
ラッシュ室で発生した水蒸気を同凝縮器に水蒸気流入管
を介して導入して凝結させ、淡水を生成可能とし、しか
も、凝縮器の下手側には更に第2ドレンセパレータを凝
結水流出管を介して連通し、更には、凝縮器は、冷海水
を注入可能としたケーシング中に、伝熱板の2枚合わせ
で中空状にした伝熱体を多数並設し、各伝熱体の中空部
を連通状態とし、伝熱体の中空部は水蒸気流入管と凝結
水流出管とに連通せしめて構成したことを特徴とする海
水淡水化装置に係るものである。
(ホ) 作用・効果 本発明によれば、海水の深度によって海水温度が異な
ることに着目して、水分を蒸発させる対象の海水を比較
的温度が高い海面付近から取り、これを減圧状態のフラ
ッシュ室に導いて低温で水分を蒸発させ、この蒸発した
水分を深部から取った比較的低温の海水で冷却された凝
縮器に導いて、水分を凝結させて淡水を得ることができ
る。
このように、蒸発・凝縮に要するエネルギを要せず、
単に、海水を装置に導くための動力と、フラッシュ室を
減圧するための動力を必要とするだけであるから、エネ
ルギ消費が少なくてすみ、低コストで海水から淡水を得
ることができる。
しかも、減圧条件のフラッシュ室には温海水を噴霧可
能とした多数のノズルを配設しているので、温海水は微
粒の海水滴となって蒸発表面積が増加し、効率よく温海
水中の水分を蒸発させることができる。
更には、フラッシュ室と凝縮器との間に海水ミストを
除去するドレンセパレータを設けたことにより、残留塩
分が極めて少ない高純度の淡水を製造することができ
る。
更には、第1、第2ドレンセパレータを設けて効率よ
くドレンの除去を行いうる効果を有し、しかもノズルは
磁性セラミック素材を用いたのでノズルの詰まりが生起
しにくく、ノズルから噴霧された海水滴の分散が促進さ
れ蒸発効率を高めることができ、また凝縮器は伝熱体の
構造を2枚の伝熱板の2枚合わせの中空部に水蒸気を流
入させて冷却し、ドレン化する構造としているので、凝
縮効率もよい効果を有する。
また、本発明装置には逆浸透膜のような脆弱な部分が
なく、保守点検の間隔を長くすることができ、この点で
もコストを引下げることができる。
(ヘ) 実施例 本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明すれば、第
1図は本発明による海水淡水化装置(A)の概略構成を
示しており、(1)は温海水ポンプであり、海面付近の
比較的高温の海水(15℃〜33℃)を海水淡水化装置
(A)に取込むためのものである。
なお、(31)は逆止弁付バルブである。
以下、温海水ポンプ(1)からの温海水の装置内の流
れに沿って説明する。
温海水ポンプ(1)から吐出された温海水は、まず脱
気器(2)に導かれて、蒸発・凝結作用の障害になる温
海水に混入若しくは溶解した空気が除去される。
ついで、減圧状態のフラッシュ室(3)に導かれて、
温海水中の水分が急速に蒸発する。
フラッシュ室(3)の内部は、第2図に示すように、
後述する真空ポンプ(4)により約10〜20mmHgに減圧さ
れており、温海水は同フラッシュ室(3)内部の上部に
多数配設したノズル(5)から、同室(3)内に下方向
に噴霧される。
ノズル(5)は磁性を有するセラミック素材で構成さ
れており、かかるノズルに磁力を作用させると、同ノズ
ルの汚れや詰まりが起こり難くなるということが経験的
に知られている。また、磁場中を海水が運動することで
誘導電圧が励起され、この誘導電圧による電荷によっ
て、ノズル(5)から噴霧された海水滴の分散が促進さ
れ、蒸発の効率を高めることが考えられる。
上記のように、高度に減圧されたフラッシュ室(3)
の内部の雰囲気中に、温海水がノズル(5)から噴霧さ
れ微粒の海水滴になって、温海水の蒸発表面積が増加す
るので、効率よく温海水中の水分を蒸発させることがで
きる。
また、噴霧された温海水のうち、蒸発しなかった海水
はフラッシュ室(3)の下部に溜まり、排出ポンプ
(6)で室外に排出される。
このようにして、フラッシュ室(3)に導かれた温海
水は、水蒸気と、蒸発した残りの海水とに分離され、水
蒸気は第1ドレンセパレータ(9)に導かれて、水蒸気
中に混入した温海水のミストを分離し、第1、第2凝縮
器(7)(8)に導かれる。
なお、第1ドレンセパレータ(9)で分離された温海
水のミストは、同第1ドレンセパレータ(9)の底部に
溜まり、排出ポンプ(6)で前記フラッシュ室(3)中
の蒸発した残りの海水と共に排出される。
第1、第2凝縮器(7)(8)は、冷海水ポンプ(1
0)で海の深部(海面下約800m)から汲上げた比較的低
温(通年約4℃〜6℃)の冷海水で冷却されており、同
凝縮器(7)(8)に導かれた水蒸気は凝結して同凝結
器(7)(8)の底部に溜まり、第2ドレンセパレータ
(11)を介して淡水ポンプ(12)で、淡水タンク(13)
に送出される。
なお、第1、第2ドレンセパレータ(9)(11)に
は、サイクロン式、ラビリンス式などの気液分離器を用
いることができる。
第1、第2凝縮器(7)(8)は、ほぼ同一構成であ
り、第3図に示すように、チタニュウム製薄板で、中央
部に浅い凹部(15)を凹設した縦長皿状の伝熱板(14)
を形成し、かかる伝熱板(14)を2枚腹合わせ状に重ね
合わせて外周を溶接により密封し、同伝熱板(14)の上
下部にそれぞれ水蒸気流入口(16)と凝結水流出口(1
7)とを穿設して伝熱体(18)を構成している。
そして、第4図に示すように、伝熱体(18)多数をケ
ーシング(19)の内部に、水蒸気流入口(16)を上方
に、凝結水流出口(17)を下方にして立て並べ、水蒸気
流入口(16)に水蒸気流入管(20)を、凝結水流出口
(17)に凝結水流出管(21)をそれぞれ連通連結させる
と共に、ケーシング(19)に冷海水の流入路(22)と流
出路(図示せず)とを連通させて、第5図の模式図で示
すように、水蒸気(V)は伝熱体(18)の内部を上方か
ら下方に流れ、冷海水(W)は伝熱体(18)の表面に沿
って水平横方向に流れるようにしている。
また、伝熱板(14)の表面には、第3図に示すよう
に、縦方向の短い突条(24)を多数形成しており、この
突条(24)の上端が略山形状を形成するように各突条
(24)を配設し、伝熱板(14)の内面に発生した凝結水
の水滴を速やかに流下させて、同内面に水蒸気が直接接
触する機会を増加させる事により、水蒸気と冷海水間の
熱交換効率を高めている。
かかる第1、第2凝縮器(7)(8)には、水蒸気は
第1凝縮器(7)→第2凝縮器(8)の順で流れ、冷海
水は第2凝縮器(8)→第1凝縮器(7)の順で流れる
ようにしている。
つまり、個々の凝縮器内では、水蒸気と冷海水とは伝
熱板(14)を隔てて略直交して流れ、第1、第2凝縮器
(7)(8)の間では互いに逆方向に流れるようにし
て、熱交換効率を高めるようにしている。
第1、第2凝縮器(7)(8)で発生した凝結水は第
2ドレンセパレータ(11)で気液分離され、凝結水は淡
水ポンプ(12)で淡水タンク(13)に送出され、気体は
真空ポンプ(4)で装置外に排出される。
また、この真空ポンプ(4)で発生した負圧は、水蒸
気の配管を介してフラッシュ室(3)の内部に伝達さ
れ、同内部を減圧している。
なお、第2凝縮器(8)と真空ポンプ(4)との間に
小型の水蒸気冷却器を介設して、気液分離された気体中
の水蒸気を更に凝結させて、真空ポンプ(4)の負担を
軽くすると共に、淡水の収率を高めることができる。
特に、海水を淡水化するのに、水分の蒸発・凝縮作用
を利用し、更に第1ドレンセパレータ(9)でフラッシ
ュ室(3)からの水蒸気中の海水ミストを除去している
ので、残留塩分が極めて少ない高純度の淡水を製造する
ことができる。
本発明の実施例は上記のように構成されており、表層
の海水と深部の海水との温度差を、海水の水分を蒸発・
凝結させる為の熱源に利用することで、所要動力が少な
くてすみ、また、残留塩分が極めて少ない純粋な淡水
を、効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による海水淡水化装置の概略構成を示す
ブロック図、第2図はフラッシュ室の断面説明図、第3
図は伝熱板の正面図、第4図は凝縮器の断面説明図、第
5図は凝縮器中における水蒸気と冷海水との流れの方向
を示す模式図。 (A):海水淡水化装置 (3):フラッシュ室 (7)(8):第1、第2凝縮器

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部を減圧状態とし、海面付近の比較的高
    温の温海水を導入可能としたフラッシュ室に、温海水を
    噴霧可能とした多数のノズルを配設すると共に、同ノズ
    ルは磁性を有するセラミック素材で構成し、同ノズルよ
    り噴霧された温海水を蒸発可能とするとともに、深部の
    比較的低温の冷海水にて冷却された凝縮器を第1ドレン
    セパレータを介して前記フラッシュ室に連通連結し、フ
    ラッシュ室で発生した水蒸気を同凝縮器に水蒸気流入管
    を介して導入して凝結させ、淡水を生成可能とし、しか
    も、凝縮器の下手側には更に第2ドレンセパレータを凝
    結水流出管を介して連通し、更には、凝縮器は、冷海水
    を注入可能としたケーシング中に、伝熱板の2枚合わせ
    で中空状にした伝熱体を多数並設し、各伝熱体の中空部
    を連通状態とし、伝熱体の中空部は水蒸気流入管と凝結
    水流出管とに連通せしめて構成したことを特徴とする海
    水淡水化装置
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