JP2863931B2 - 床反力計の制御方法 - Google Patents

床反力計の制御方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、床反力計の制御方法に係り、具体的には、
機能障害者等に対する動的平衡機能訓練装置に使用する
床反力計の制御方法に関する。
[従来の技術] 社会の高齢化が進み、脳卒中等の病気による身体機能
の麻痺あるいは機能低下を来した人口の増大、あるいは
高ストレス化社会を反映して壮年層における脳卒中等に
よる運動機能障害者の増加、交通事故に起因する運動機
能障害者の増加など、さまざまな要因で身体機能のうち
の特に運動機能、平衡機能に障害を持つ人が増大してい
る。
重度の障害においては他機能の障害と併存している場
合が多く、機能回復の可能性は多くは期待できない面も
ある。しかし、軽度の障害においては、訓練によって健
常者に近いレベルまで機能を回復させることが可能であ
ることは過去の治療や実験に基づいて確認され、各種療
法によって機能回復訓練が行われている。
[発明が解決しようとする課題] 従来、前記のような機能回復訓練の用に供するさまざ
まな装置が提供され、目的に応じて利用されている。
これらの従来の装置は、特定機能に的をしぼった単能
的な装置が多かった。すなわち、被訓練者の左右方向に
交互に床面を傾斜させるもの、同じく前後方向に交互に
傾斜させるもの、無端軌道によって床面を連続的に移動
させるものなどが使用されていた。この種の装置は同一
の運動を反復的に行う単一機能に限定しているため、安
価な装置として提供される反面、日常生活に即した複合
運動が単一の装置で行えないという問題があった。
一方、被訓練者の機能回復度を定量的に把握し訓練に
役立てる試みが研究室レベルではあるが行われている。
すなわち、被訓練者のデータを健常者のそれと比較し
て、被訓練者の機能障害度あるいは機能回復度を定量的
に把握し、その後の訓練を計画的に行おうとするもので
ある。この場合、主として立位の被訓練者の足を通して
重心の移動軌跡を得る方法が用いられ、その検出手段と
して床反力計が使用されている。従来の床反力計につい
ては、水平面に安定に設置された場合は良好に作用する
が傾斜面や移動面においては荷重検出が不正確になり適
用し難いものであった。
さて、このような機能訓練用のシステムにおいて、例
えば第3図に示すような床反力計を使用した場合、床反
力計に加わる荷重、すなわち被訓練者の体重が軽いほど
重心位置の検出誤差が大きくなる。なぜならば、床反力
計100の検出器103で検出された荷重をそれぞれf1〜f4
床反力計100の一辺の長さをlx,lyとすると、重心位置
の床反力計100上における座標は、 で表わすことができる。理想的には、床反力計100の中
心(0,0)に荷重を加えた場合にそれぞれの検出器103に
は均等に荷重配分され、 f=f1=f2=f3=f4 となるが、現実には各種機械誤差等によって荷重配分が
不均一になる。
それぞれの検出器103の出力をA/D変換した値がf1=f
+a,f2=f+b,f3=f+c,f4=f+dであるとき、重心
位置誤差をΔx,Δyとすると、 で求められる。また、(f1+f2+f3+f4)はすなわち全
荷重であるから、上式の誤差は全荷重が小さいほど大き
くなると言える。荷重が極めて小さい場合はこの誤差が
無視できないほど大きくなり、実用上の測定誤差となっ
て正確に機能訓練の目的を達成できなくなる恐れがあ
る。
[目的] そこで本願発明において、傾斜や移動等の複合運動を
自由に組み合わせて行うことができ、かつ、あらゆる状
態において良好に荷重を検出できるとともに検出の誤差
を極力小さくできる制御方法を得んとするものである。
[課題を解決するための手段] 前記のような課題を解決するために本発明では次のよ
うにしている。すなわち、支持板と、該支持板に対向し
て配設した上板と、前記支持板もしくは上板のいずれか
に係止された一組の軸部材と、該軸部材に係合し前記上
板もしくは支持板のいずれかで前記軸部材が係止されな
い側の部材に配設した軸受け部材と、前記上板と支持板
とのいずれかの対向面に配設された複数の検出手段と、
該検出手段で検出された検出値を演算処理する演算装置
とで構成された床反力計において、検出手段で検出され
た被訓練者の体重の5%乃至15%を閾値とし、検出手段
に加わる荷重が前記閾値以下の場合はこの検出値を演算
対象から除外し、閾値を超えた場合のみ演算対象とする
ようにしたものである。
[実施例] 以下、図面に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
実用的な床反力計として、第3図に示すものが有効に
利用されている。このような装置では、上板101及び支
持板102は共にその剛性を充分に考慮してあるとはい
え、完全な剛体ではありえない。従って上板101に荷重
が作用すれば必ず撓みを生じ、同時に支持板102並びに
該支持板102を載置する部材も同様に撓みを生じること
になる。一方、検出器103についても、一定精度で製作
されてはいるものの、ある範囲の誤差を有している。こ
のような撓みや検出器103の誤差は、上板101に加えられ
た荷重を検出器103で検出した際に累積されて検出値に
含まれる。これらの誤差は、一般的に、大きな荷重に対
しては大きな撓みを生じて累積誤差が大きくなり、逆に
小さな荷重では撓みが小さく従って累積誤差も小さくな
るものである。
さて、本発明の対象である機能訓練用装置において、
仮に体重100kgfと体重40kgfの被訓練者について比較し
てみる。いま、閾値を10kgfに設定し、各種誤差が累積
された装置全体の誤差が検出値の5%であったるとす
る。閾値以下の検出値を演算対象から除外するとき、前
記体重に対して閾値はそれぞれ10%と25%となり、体重
10kgfの人に比べて体重40kgfの人の方が演算から除外さ
れる割合が当然多くなる。更に別の見方をすれば、閾値
に対する誤差は10kgfに対して5%では0.5kgfとなり、
この誤差を加えると閾値は10±0.5kgfでそれぞれの体重
に対しては10±0.5%及び25±1.25%となる。つまり、
体重100kgfの人は10.5%以下の分が演算対象から除外さ
れるのに対し、体重40kgfの人では26.25%以下の分が除
外対象となるものである。すなわち、同一の閾値で演算
を行った場合一方は約1/10、他方は1/4のデータが除外
されるということになる。
では、体重に対してどの程度の値を閾値として設定す
るのが適切であるかという問題になる。本願の目的とす
る範囲において種々試験を行った結果、被訓練者の体重
の5%以下では、床反力計の上板101の重量や検出器103
の感度等の影響で体重の変化が必要以上に過敏に検出さ
れ、検出データの解析を困難にする。逆に被訓練者の体
重の15%以上では、大きな体重の移動しか検出されず、
必要とするデータが除外されてしまう。検出値をどのよ
うに定量化し、どのような目的で利用するかによって異
なるが、実用的には概ね10%前後が適当である。
第2図に示したように床反力計は2台が隣接して配置
され、それぞれに被訓練者の左右の足を載せて、重心バ
ランスと移動を同時に検出するようにしてある。従っ
て、被訓練者が床反力計に乗って測定を開始すると、左
右の床反力計にかかる体重によって重心位置が算出さ
れ、同時に左右それぞれの床反力計の4点の検出器103
にかかる体重の配分によって左右それぞれの足にかかる
体重のバランスが算出されるものである。
[発明の効果] 前述の通り本発明では、支持板と、該支持板に対向し
て配設した上板と、前記支持板もしくは上板のいずれか
に係止された一組の軸部材と、該軸部材に係合し前記上
板もしくは支持板のいずれかで前記軸部材が係止されな
い側の部材に配設した軸受け部材と、前記上板と支持板
とのいずれかの対向面に配設された複数の検出手段と、
該検出手段で検出された検出値を演算処理する演算装置
とで構成された床反力計において、検出手段で検出され
た被訓練者の体重の5%乃至15%を閾値とし、検出手段
に加わる荷重が前記閾値以下の場合はこの検出値を演算
対象から除外し、閾値を超えた場合のみ演算対象とする
ようにしたことにより、傾斜や移動等の複合運動を自由
に組み合わせて行う際に、被訓練者の体重に応じた適切
な範囲で荷重を検出することができるため、誤差を効果
的に低減することができたものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は平衡機能訓練装置の一例を示す外観図、第2図
は第1図の装置の所要断面における縦断側面図、第3図
は床反力計の分解斜視図である。 9:演算装置、100:床反力計 101:上板、102:支持板 103:検出手段、105:軸部材 106:軸受け部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A63B 22/14 A63B 22/16 A63B 24/00 G01M 1/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持板と、該支持板に対向して配設した上
    板と、前記支持板もしくは上板のいずれかに係止された
    一組の軸部材と、該軸部材に係合し前記上板もしくは支
    持板のいずれかで前記軸部材が係止されない側の部材に
    配設した軸受け部材と、前記上板と支持板とのいずれか
    の対向面に配設された複数の検出手段と、該検出手段で
    検出された検出値を演算処理する演算装置とで構成され
    た床反力計において、検出手段で検出された被訓練者の
    体重の5%乃至15%を閾値とし、検出手段に加わる荷重
    が前記閾値以下の場合はこの検出値を演算対象から除外
    し、閾値を超えた場合のみ演算対象とするようにしたこ
    とを特徴とする制御方法。
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