JP2849416B2 - ボーリング孔内への圧力可変式注水装置 - Google Patents

ボーリング孔内への圧力可変式注水装置

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  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はボーリング孔内に加圧水を注入するための装
置に関し、更に詳しくは、注入時の孔内圧力を自由に可
変できる装置に関するものである。この装置は、例えば
地盤中での水の流動を調査する透水性試験に利用でき
る。
[従来の技術] 岩盤の透水性を求める試験としてシヌソイダル試験が
ある。これは岩盤中に形成した発信孔からサイン波状に
変化する加圧水を注入し、受信孔でその応答圧力を計測
するものであり、岩盤モデルを仮定して解析解によって
割れ目の透水係数を求める技術である。この試験はスウ
ェーデンの放射性廃棄物地層処分実験サイトで行われて
いる。
上記の試験は極めて小さな透水係数(平均的には1.0
×10-6cm/秒以下)の岩盤を対象としている。サイン波
状の水圧変化を発生させるため、注水装置にはピストン
の往復運動によって水を吸い込み所定の圧力に圧縮して
送り出す断続吐出形式のポンプ(往復ポンプ)を用いて
いる。
[発明が解決しようとする課題] 従来のピストン−シリンダ方式の往復ポンプは加圧力
変化の調節を比較的容易に行なえる利点がある。そして
前記のように透水係数が極めて小さい特殊な岩盤の試験
には対応できる。
しかし一般土木分野で問題となる高透水性の割れ目系
岩盤(例えば割れ目を含んだ岩盤の透水係数で1.0×10
-6〜1.0×10-2cm/秒程度)では浸透する水量が多くな
り、それに見合ったシリンダ容積が要求されるため、従
来装置では必然的に巨大化せざるを得ない。具体的には
例えば数百といったシリンダ容積が必要なことも起こ
り、野外でしかも場所を移動して行うこの種の試験装置
としては非現実的である。またピストン−シリンダ方式
では1ストロークの吐出容量が固定しているため、地盤
内への水の浸透量が大きいと加圧時間は当然短くなり、
必要な条件での試験ができなくなる不都合が生じる。
本発明の目的は、上記のような従来技術の欠点を解消
し、一般の土木分野(例えばトンネル、ダム基礎岩盤、
斜面、橋梁基礎、地下空洞周辺岩盤など)での透水係数
の大きな地層にも十分対応できるように大量の給水能力
があり、その供給水に長時間にわたって一定のあるいは
任意に変化する圧力をかけることができ、しかも比較的
小型化でき移動性にも優れたボーリング孔内への圧力可
変式注水装置を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明では、ポンプが大容量の水の供給源になると同
時に可変圧力発生機能を有するように改良し、その吐出
水をボーリング孔内の所定深度の区間に導くように構成
している。即ち前記のような技術的課題を解決できる本
発明は、連続吐出形式のポンプと、その吐出側から分岐
して吸込側に戻す戻り配管と、該戻り配管に設けた流量
調節弁と、ポンプ吐出水をボーリング孔内に導く吐出配
管とを具備しているボーリング孔内への圧力可変式注水
装置である。ここで実際には吐出配管にニードル開閉弁
や流量計を設ける。戻り配管は3系統以上並設し、その
うちの1系統の戻り配管に手動流量調節弁を設け、他の
系統の戻り配管には容量の異なる自動流量調節弁を設け
る。戻り配管を4系統以上設ける場合には、その1系統
に安全弁を組み込むのが好ましい。またニードル開閉弁
よりも下流側に複数の流量測定系統を設ける。各流量測
定系統は、流量計と手動切り換え弁の組み合わせを有
し、各系統の流量計には容量が異なるものを用いる。ま
たポンプは原理、構造並びに運転性能等の観点から渦巻
ポンプが望ましい。
透水性試験ではボーリング孔内に孔内圧力付加部を挿
入する。この装置は水圧付加区間を設定するために遮水
する上部及び下部パッカーと、ほぼ中央に位置し該水圧
付加区間のみで開口している注水管と、該水圧付加区間
の圧力を直接測定する圧力トランスジューサを具備し、
前記注水管が吐出配管に接続されている。
[作用] 一般にポンプは水頭条件を一定とし定格動力で運転す
る限り、吐出水量と吐出圧はともに一定の値を示す。そ
して定格動力運転時における吐出水量と吐出圧は、吐出
圧が低い時に吐出水量が増す関係で変化し、それらの絶
対値はポンプの形式性能によって決まる。
地層中に浸透する水量は水の圧力に比例して増減する
が、透水性試験ではポンプの吐出水量−吐出圧の関係に
関わらず、自在に変化する圧力を孔内に付加して、その
際の水量変化、圧力伝播速度を知る必要がある。
本発明では、ポンプの吐出水を二方向に分岐し、一方
に流量調節弁を設けて吸込側に戻している。そして吐出
水は開閉弁を通ってボーリング孔内に至る。開閉弁及び
流量調節弁を開放すれば戻り水流の抵抗が低下し、また
ポンプの吸込力がかかるため、吐出水の大部分は戻り配
管−ポンプ中を循環し、ボーリング孔内にかかる圧力及
び流入する水量は非常に小さくなる。逆に流量調節弁を
完全に閉鎖すれば、戻り水量が遮断されるので孔内には
ポンプ能力いっぱいの流量、圧力をかけることができ
る。従ってこれらの中間に流量調節弁を制御することに
よって、孔内の地層状況に合致した水量と圧力に自在に
調節できることになる。但し、ボーリング孔側への流入
を完全に遮断するためには吐出配管に設けた開閉弁を閉
じる必要がある。
従って試験に必要な圧力が得られるように流量調節弁
を調節し、要求されるタイムサイクルで開閉弁を急激に
開閉すれば、所定圧力で、その圧力に比例する流量の、
所定タイムサイクルの矩形波状の水圧変化を孔内に付加
することができる。また開閉弁を開放し、流量調節弁の
開止を所定のプログラム・パターンに従って制御するこ
とによって、圧力と流量が連続的に変化する種々のパタ
ーン(例えばサイン波状の)の加圧水を孔内に付加する
ことができる。
ボーリング孔内に上下のパッカーにより区切られた水
圧付加区間を設定することによって、所定の限られた深
度、限られた長さの区間に各種の加圧パターンの水流を
供給できる。吐出水は注水管の開口から吐出する。その
時の圧力は圧力トランスジューサで検出される。孔内の
水圧付加区間の圧力を測定する理由は、水が地上の圧力
発生部から孔内の所定区間まで吐出配管と注水管内を移
動し到達する間に管の材質、流速に左右される抵抗が発
生し、その抵抗による圧力損失によって圧力発生部と圧
力付加装置との間に圧力差が生じるためである。地層の
透水性の評価に本当に必要な圧力は、孔内に実際にかか
る圧力であり、圧力トランスジューサによりそれを正確
に検出することができる。そしてこの圧力検出値が所定
の圧力変動になるように地上の圧力発生部を制御するこ
ともできる。
[実施例] 本発明に係る圧力可変式注水装置の一実施例を第1図
に示す。この装置は、渦巻ポンプ10と、その吐出水を二
方向に分岐して一方を吸込側に戻す戻り配管12を有す
る。戻り配管12は4系統あり、それぞれに手動調節弁1
4、自動調節弁16a,16b、安全弁18を組み込む。自動調節
弁16aは大容量用、自動調節弁16bは小容量用であり、何
れもプログラム・コントローラにより制御される。符号
20は水槽を示す。渦巻ポンプ10はポンプ制御盤22で制御
される。
分岐した吐出水の他方は吐出配管24によってボーリン
グ孔内に導かれる。吐出配管24には圧力計26、アキュム
レータ28、ニードル開閉弁30、流量測定系統32、圧力計
34が設けられる。流量測定系統32は4系統あり、それぞ
れ流量計36a,…,36dと手動切り換え弁38a,…,38dを有す
る。これらの流量計36a,…,36dはそれぞれ容量が異な
る。
ボーリング孔40内に孔内圧力付加部を挿入する。これ
は上部ニューマチック・パッカー42aと下部ニューマチ
ック・パッカー42bを設け、それらの間に注水管44の開
口が存在するように構成する。両ニューマチック・パッ
カー42a,42bにより区切られた区間が水圧付加区間とな
る。その区間内及び下部ニューマチック・パッカー42b
の下方にそれぞれ圧力トランスジューサ46a,46bを設
け、それらの信号をプログラム・コントローラや圧力指
示器に導く。なお符号48はニューマチック・パッカー42
a,42bを膨張させるためのガス供給装置を示す。
本実施例では渦巻ポンプを用いている。ポンプの最高
圧力で矩形波状の水量変動を与えて透水性試験を行おう
とする時に、戻り配管の調節弁14,16a,16bを全閉にし、
開閉弁30を開閉するが、開閉弁30が閉の時はポンプ吐出
を完全におさえて運転することになる。従ってその場合
でも破損や停止等に至らないような種類のポンプを用い
る必要がある。このような観点から渦巻ポンプを選定し
ている。しかし上記の条件が満たされるならば、他の形
式のポンプであっても差し支えない。
自動調節弁16a,16bは孔内に付加する圧力、流量を連
続的に変化させる場合に用いるものであり、圧力トラン
スジューサ46aで圧力を検出しながら予め決められた所
定のプログラムで開度を自動的に調節し孔内への付加圧
力を制御する。その際、ニードル開閉弁30は開放状態と
する。また簡単な圧力変動であれば自動調節弁16a,16b
を用いず(全閉にしておき)、圧力トランスジューサ46
aの検出圧力を見ながら手動調節弁14で開度調節を行う
こともできる。自動調節弁が2個あるのは、圧力変動幅
が大きい場合と、付加圧力が高く変動幅が小さい場合と
で使い分けるためである。
矩形波状の圧力変動を付加する場合は、手動調節弁14
を用いて圧力を調節した後、ニードル開閉弁30をタイマ
ー等の信号で開閉する。この際、急速な開閉によって開
閉弁30の前後域で圧力が瞬間的に上昇するウオーターハ
ンマー現象が生じる可能性がある。この現象は測定上、
また装置の破損の可能性もあり好ましくない。従って開
閉弁30としてこの現象が起こり難いニードル形式のもの
を用いている。安全弁18、アキュムレータ28もそれぞれ
万一ウオーターハンマーが発生した場合の防備として設
けている。アキュムレータ28にはポンプ10の脈動などの
変動を吸収し吐出水量を滑らかにする機能もある。
孔内に流入する水量は地質の状態によって数ml〜300
/分と大幅に変わる。これを1台の流量計で精度良く
測定することは不可能であり、本実施例では測定範囲の
異なる4台の流量計36a,…,36dを用いている。どの流量
計を用いるかの選択は予備試験の結果に基づき決定し、
手動切り換え弁38a,…,38dで経路を切り換える。
流量計を通過した加圧水は、孔内圧力付加部に導かれ
る。加圧水は上部ニューマチック・パッカー42aと下部
ニューマチック・パッカー42bの間で放出され、所定形
式の圧力変動がその区間に付加される。圧力トランスジ
ューサ46aは水圧付加区間にかかる圧力を検出する。孔
内に連続的圧力変化を付加する場合は、その圧力信号を
プログラム・コントローラにフィードバックして、高精
度のプログラム制御を可能にする。圧力トランスジュー
サ46bは下部ニューマチック・パッカー42bよりも下の孔
内圧力を測定するが、これにより下部ニューマチック・
パッカー42bの遮水状況を知り、透水性の結果の解析に
役立てることができる。
本発明の注水装置を用いた透水性試験の計測概念図を
第2図に示す。解析対象である割れ目系岩盤50に発信孔
52と受信孔54を掘削する。割れ目を符号51で示す。受信
孔54は、一般には異なる位置に複数本形成する。発信孔
52内に上下のニューマチック・パッカー55a,55bによっ
て遮水した発信区間56を設定し、地表の注水装置58から
加圧水を注入する。受信孔54は、ここでは多数のパッカ
ー59によって複数の受信区間に分けられており、それぞ
れの受信区間に圧力トランスジューサ60が設けられ、そ
の検出信号が記録・解析装置62に送られる。
各圧力トランスジューサ60で検出した信号は受信圧力
の時間的変化を表し、そのデータが記録・解析装置62で
解析される。このように同時に多数の受信区間で応答圧
力を検出する方法は、同一解析対象領域で行う試験回数
を低減できるため試験作業時間を短縮できるし、また解
析対象領域への注水量も減少することになり、注水量の
増加による岩盤の変化を最小限に抑えることができる等
の利点がある。
[発明の効果] 本発明は上記のようにポンプが大容量の水の供給源に
なると共に可変圧力発生機能を有するように改良し、そ
の吐出水をボーリング孔内の所定区間に導き圧力変動を
付加する装置であるから、水量を大きくでき透水係数の
大きな地盤にも十分対応できる。そして供給水に長時間
にわたって一定あるいは変化した圧力をかけることがで
き、且つその圧力を種々の形式に変化させることができ
る。そのため一般の土木分野における地下水調査、透水
性試験の装置として極めて好ましく、また連続吐出形式
のポンプを用いるため水量の割には小型化でき、試験現
場への移動性にもすぐれている。
また加圧水を地層のボーリング孔内に導き圧力を付加
する孔内圧力付加部も非常に小さく且つ細くでき、ボー
リング孔内の所定の区間のみに集中して加圧水を付加す
ることができ、その区間の圧力を正確に測定できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る圧力可変式注水装置の一実施例を
示す系統図、第2図はそれを用いた透水性試験の計測概
念図である。 10……渦巻ポンプ、12……戻り配管、14……手動調節
弁、16a,16b……自動調節弁、24……吐出配管、30……
ニードル開閉弁、32……流量測定系統、40……ボーリン
グ孔、42a,42b……ニューマチック・パッカー、44……
注水管、46a,46b……圧力トランスジューサ。
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 一誠 東京都千代田区九段北4丁目2番6号 応用地質株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−80618(JP,A) 特開 昭59−185218(JP,A) 実開 昭61−130638(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E02D 1/02 E21B 49/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続吐出形式のポンプと、その吐出側から
    分岐して吸込側に戻す3系統以上並設した戻り配管と、
    そのうちの1系統の戻り配管に設けた手動流量調節弁及
    び他の系統の戻り配管に設けた容量の異なる自動流量調
    節弁と、ポンプ吐出水をボーリング孔内に導く吐出配管
    と、該吐出配管に設けたニードル開閉弁と、該ニードル
    開閉弁よりも下流側に設けた複数の流量測定系統とを具
    備し、各流量測定系統は、流量計と手動切り換え弁の組
    み合わせを有し、各流量測定系統の流量計に容量が異な
    るものを用い選択可能としたボーリング孔内への圧力可
    変式注水装置。
  2. 【請求項2】ボーリング孔内に挿入される孔内圧力付加
    部を有し、該孔内圧力付加部は、水圧付加区間を設定す
    るために遮水する上部パッカー及び下部パッカーと、ほ
    ぼ中央に位置し該水圧付加区間のみで開口している注水
    管と、該水圧付加区間の圧力を直接測定する圧力トラン
    スジューサを具備し、前記注水管が吐出配管に接続され
    ている請求項1記載のボーリング孔内への圧力可変式注
    水装置。
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