JP2835255B2 - 超硬合金 - Google Patents
超硬合金Info
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- JP2835255B2 JP2835255B2 JP34749992A JP34749992A JP2835255B2 JP 2835255 B2 JP2835255 B2 JP 2835255B2 JP 34749992 A JP34749992 A JP 34749992A JP 34749992 A JP34749992 A JP 34749992A JP 2835255 B2 JP2835255 B2 JP 2835255B2
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- Japan
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- cemented carbide
- carbide
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高強度,高靭性を有す
るとともに、優れた耐熱衝撃性を有する超硬合金に関
し、例えば、摺動部材,耐摩耗工具,切削工具等として
使用される超硬合金に関する。
るとともに、優れた耐熱衝撃性を有する超硬合金に関
し、例えば、摺動部材,耐摩耗工具,切削工具等として
使用される超硬合金に関する。
【0002】
【従来技術】従来、例えば、金属の切削加工に広く用い
られている超硬合金は、炭化タングステンを主体とする
硬質相と、コバルト等の鉄族金属の結合相からなるWC
−Co系合金、もしくは上記WC−Co系に周期律表第
4a,5a,6a族金属の炭化物,窒化物,炭窒化物等
を添加した系が知られている。これらの超硬合金は、切
削工具として、主に鋳鉄や炭素鋼等の切削に適用されて
いるが、最近ではステンレスの切削への適用も進められ
ている。
られている超硬合金は、炭化タングステンを主体とする
硬質相と、コバルト等の鉄族金属の結合相からなるWC
−Co系合金、もしくは上記WC−Co系に周期律表第
4a,5a,6a族金属の炭化物,窒化物,炭窒化物等
を添加した系が知られている。これらの超硬合金は、切
削工具として、主に鋳鉄や炭素鋼等の切削に適用されて
いるが、最近ではステンレスの切削への適用も進められ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】近年では、様々な使
用環境のもとで、熱衝撃及び繰り返し熱衝撃を受ける材
料、部品が数多いが、これらは熱衝撃のために硬質相及
び結合相が種々の疲労を受け、強度が大きく低下し、破
損して使用できなくなることが知られている。
用環境のもとで、熱衝撃及び繰り返し熱衝撃を受ける材
料、部品が数多いが、これらは熱衝撃のために硬質相及
び結合相が種々の疲労を受け、強度が大きく低下し、破
損して使用できなくなることが知られている。
【0004】例えば、摺動部材,耐摩耗工具,切削工具
などは急熱急冷の熱サイクルがかかり、定常状態で使用
した場合に比べて、寿命が大幅に減少するという問題が
あった。また、部品寿命を長くするため、使用する速度
を下げたり、部品に作用する荷重を減らしたり、雰囲気
を制御する等の対策を講じるが、当然、作業効率が下が
るという問題があった。
などは急熱急冷の熱サイクルがかかり、定常状態で使用
した場合に比べて、寿命が大幅に減少するという問題が
あった。また、部品寿命を長くするため、使用する速度
を下げたり、部品に作用する荷重を減らしたり、雰囲気
を制御する等の対策を講じるが、当然、作業効率が下が
るという問題があった。
【0005】
【問題点を解決するための手段】本発明の超硬合金は、
結合金属相として鉄族金属から選ばれた1種以上を1〜
20重量%、残部が炭化タングステンからなる硬質相を
80〜99重量%含有する超硬合金であって、硬質相成
分として炭化タングステンを、結合相成分としてコバル
トをそれぞれ含み、かつCo3 W3 C,Co6 W6 C,
Co2 W4 CおよびCo3 W9 C4 から選ばれる少なく
とも1種のコバルトタングステン炭化物を含有するとと
もに、該コバルトタングステン炭化物相の平均粒径が5
μm以下であり、X線回折測定における前記コバルトタ
ングステン炭化物のCo3 W3 Cの(333)と(51
1)の合成ピーク、Co6 W6 Cの(333)と(51
1)の合成ピーク、Co2 W4 Cの(333)と(51
1)の合成ピークおよびCo3 W9 C4 の(301)の
ピークのうちの最大ピークの強度をI1 、WCの(00
1)のピーク強度をI2 とした時、I1 /I2 で表され
るピーク強度比が0より大きく、0.15以下であり、
さらに前記超硬合金をガラスカプセル内に真空封入し、
温度差が600〜1200Kの熱衝撃を与えた後の抗折
強度が、熱衝撃前の抗折強度の80%以上であることを
特徴とする。
結合金属相として鉄族金属から選ばれた1種以上を1〜
20重量%、残部が炭化タングステンからなる硬質相を
80〜99重量%含有する超硬合金であって、硬質相成
分として炭化タングステンを、結合相成分としてコバル
トをそれぞれ含み、かつCo3 W3 C,Co6 W6 C,
Co2 W4 CおよびCo3 W9 C4 から選ばれる少なく
とも1種のコバルトタングステン炭化物を含有するとと
もに、該コバルトタングステン炭化物相の平均粒径が5
μm以下であり、X線回折測定における前記コバルトタ
ングステン炭化物のCo3 W3 Cの(333)と(51
1)の合成ピーク、Co6 W6 Cの(333)と(51
1)の合成ピーク、Co2 W4 Cの(333)と(51
1)の合成ピークおよびCo3 W9 C4 の(301)の
ピークのうちの最大ピークの強度をI1 、WCの(00
1)のピーク強度をI2 とした時、I1 /I2 で表され
るピーク強度比が0より大きく、0.15以下であり、
さらに前記超硬合金をガラスカプセル内に真空封入し、
温度差が600〜1200Kの熱衝撃を与えた後の抗折
強度が、熱衝撃前の抗折強度の80%以上であることを
特徴とする。
【0006】
【0007】
【0008】また、本発明の超硬合金は、炭化タングス
テンの一部を周期律表4a,5a,6a族金属の炭化
物,窒化物,炭窒化物のうち少なくとも一種で置換して
なるものである。そして、周期律表第4a,5a,6a
族元素およびAlの炭化物,窒化物,炭窒化物,酸化
物,炭酸化物,炭窒酸化物のうち少なくとも一種からな
る硬質層を、0.1〜10μmの厚みで被覆形成してな
るものが望ましい。
テンの一部を周期律表4a,5a,6a族金属の炭化
物,窒化物,炭窒化物のうち少なくとも一種で置換して
なるものである。そして、周期律表第4a,5a,6a
族元素およびAlの炭化物,窒化物,炭窒化物,酸化
物,炭酸化物,炭窒酸化物のうち少なくとも一種からな
る硬質層を、0.1〜10μmの厚みで被覆形成してな
るものが望ましい。
【0009】超硬合金の熱衝撃特性は、炭化タングステ
ンと置換する周期律表4a,5a,6a族金属の炭化
物,窒化物,炭窒化物の種類と置換量が影響することが
ある。
ンと置換する周期律表4a,5a,6a族金属の炭化
物,窒化物,炭窒化物の種類と置換量が影響することが
ある。
【0010】また、組成を制御して結合金属相に固溶す
る炭素量を低下させタングステン固溶量を増大させて結
合金属相が固溶強化されることも影響することがある。
また、極微量のη相(コバルトタングステン炭化物)を
含むこともある。
る炭素量を低下させタングステン固溶量を増大させて結
合金属相が固溶強化されることも影響することがある。
また、極微量のη相(コバルトタングステン炭化物)を
含むこともある。
【0011】熱衝撃試験後の抗折強度が試験前の抗折強
度の80%未満に低下すると、切削時の熱応力によって
材料,部品内にマイクロクラックが発生したり、長期切
削により硬質相,結合相内部に疲労による欠陥が生じる
ことなどして組織が脆化し、寿命や信頼性が著しく低下
する。よって、熱衝撃後の強度が熱衝撃前の強度の80
%以上を保持することが必要なのである。
度の80%未満に低下すると、切削時の熱応力によって
材料,部品内にマイクロクラックが発生したり、長期切
削により硬質相,結合相内部に疲労による欠陥が生じる
ことなどして組織が脆化し、寿命や信頼性が著しく低下
する。よって、熱衝撃後の強度が熱衝撃前の強度の80
%以上を保持することが必要なのである。
【0012】本発明の超硬合金は、硬質相と結合相で構
成されており、硬質相は炭化タングステンおよび炭化タ
ングステンの一部を周期律表第4a,5a,6a族金属
の炭化物,窒化物,炭窒化物で置換したものからなり、
炭化タングステン以外の成分が配合される場合、硬質相
は、WC相と複合炭化物固溶体相あるいは複合炭窒化固
溶体相からなる。
成されており、硬質相は炭化タングステンおよび炭化タ
ングステンの一部を周期律表第4a,5a,6a族金属
の炭化物,窒化物,炭窒化物で置換したものからなり、
炭化タングステン以外の成分が配合される場合、硬質相
は、WC相と複合炭化物固溶体相あるいは複合炭窒化固
溶体相からなる。
【0013】そして、Co等の鉄族金属を1〜20重量
%の割合で含有させたのは、鉄族金属が1重量%未満で
は、組織が脆化するからであり、20重量%より多くな
ると硬度が低く、高温強度が低くなるからである。
%の割合で含有させたのは、鉄族金属が1重量%未満で
は、組織が脆化するからであり、20重量%より多くな
ると硬度が低く、高温強度が低くなるからである。
【0014】また、本発明の超硬合金では、上記の硬質
相,結合相以外にコバルトタングステン炭化物からなる
相が存在していることが望ましい。このコバルトタング
ステン炭化物としては、Co3 W3 C,Co6 W6 C,
Co2 W4 C,Co3 W9 C4 の化合物が知られてい
る。これらのコバルトタングステン炭化物のX線回折曲
線における最大ピークは、Co3 W3 Cでは(333)
と(511)の合成ピーク、Co6 W6 Cでは(33
3)と(511)の合成ピーク、Co2 W4 Cでは(3
33)と(511)の合成ピーク、Co3 W9 C4 では
(301)であるが、これらのコバルトタングステン炭
化物のピークの内、最も強度の大きいピーク高さを
I1 、炭化タングステンの最大ピークであるWCの(0
01)のピーク高さをI2 とした時、I1 /I2 で表さ
れるピーク強度比は0より大きく、0.15以下、特に
0.01〜0.10であることが望ましい。ピーク強度
比を上記の範囲に設定したのは、この強度比が0である
と合金中にコバルトタングステン炭化物の析出がなく耐
摩耗性が低下して工具摩耗量が増加するためであり、
0.15を越えると過剰のコバルトタングステン炭化物
の析出のため、合金強度が低下し、工具損傷が激しくな
るためである。
相,結合相以外にコバルトタングステン炭化物からなる
相が存在していることが望ましい。このコバルトタング
ステン炭化物としては、Co3 W3 C,Co6 W6 C,
Co2 W4 C,Co3 W9 C4 の化合物が知られてい
る。これらのコバルトタングステン炭化物のX線回折曲
線における最大ピークは、Co3 W3 Cでは(333)
と(511)の合成ピーク、Co6 W6 Cでは(33
3)と(511)の合成ピーク、Co2 W4 Cでは(3
33)と(511)の合成ピーク、Co3 W9 C4 では
(301)であるが、これらのコバルトタングステン炭
化物のピークの内、最も強度の大きいピーク高さを
I1 、炭化タングステンの最大ピークであるWCの(0
01)のピーク高さをI2 とした時、I1 /I2 で表さ
れるピーク強度比は0より大きく、0.15以下、特に
0.01〜0.10であることが望ましい。ピーク強度
比を上記の範囲に設定したのは、この強度比が0である
と合金中にコバルトタングステン炭化物の析出がなく耐
摩耗性が低下して工具摩耗量が増加するためであり、
0.15を越えると過剰のコバルトタングステン炭化物
の析出のため、合金強度が低下し、工具損傷が激しくな
るためである。
【0015】なお、上記コバルトタングステン炭化物相
は、合金中に平均粒径が5μm以下、特に3μm以下の
相として存在することが望ましい。これは、平均粒径が
5μmを越えると、コバルトタングステン炭化物が本来
脆性であるために、合金全体の強度が低下するためであ
る。最適には平均粒径2μm以下である。
は、合金中に平均粒径が5μm以下、特に3μm以下の
相として存在することが望ましい。これは、平均粒径が
5μmを越えると、コバルトタングステン炭化物が本来
脆性であるために、合金全体の強度が低下するためであ
る。最適には平均粒径2μm以下である。
【0016】また、上記の場合、コバルトタングステン
炭化物相の生成に伴い、結合相であるCo中にWが固溶
するためにCoの格子定数が変動するが、超硬合金のC
oの格子定数は3.55〜3.58の範囲にあることが
望ましい。さらに、上記の例では、η相(コバルトタン
グステン炭化物)を含有した超硬合金について説明した
が、本発明ではη相を含有しない超硬合金であっても良
い。
炭化物相の生成に伴い、結合相であるCo中にWが固溶
するためにCoの格子定数が変動するが、超硬合金のC
oの格子定数は3.55〜3.58の範囲にあることが
望ましい。さらに、上記の例では、η相(コバルトタン
グステン炭化物)を含有した超硬合金について説明した
が、本発明ではη相を含有しない超硬合金であっても良
い。
【0017】また、本発明によれば、上記超硬合金を母
材としてその表面に硬質相を形成し、切削特性を改善す
ることもできる。被覆される硬質層は、TiC,Ti
N,TiCNをはじめとする周期律表第4a族元素,A
lの炭化物,窒化物,炭窒化物,酸化物,炭酸化物,炭
窒酸化物のうち少なくとも一種からなり、この硬質層は
0.1〜10μmの厚みでCVD法あるいはPVD法に
より形成することができるが、特に、PVD法により形
成することが望ましい。これは、PVD法における膜生
成温度がCVD法に比べて低いために、硬質層−超硬母
材界面における層状のコバルトタングステン炭化物の生
成が抑制されるためである。
材としてその表面に硬質相を形成し、切削特性を改善す
ることもできる。被覆される硬質層は、TiC,Ti
N,TiCNをはじめとする周期律表第4a族元素,A
lの炭化物,窒化物,炭窒化物,酸化物,炭酸化物,炭
窒酸化物のうち少なくとも一種からなり、この硬質層は
0.1〜10μmの厚みでCVD法あるいはPVD法に
より形成することができるが、特に、PVD法により形
成することが望ましい。これは、PVD法における膜生
成温度がCVD法に比べて低いために、硬質層−超硬母
材界面における層状のコバルトタングステン炭化物の生
成が抑制されるためである。
【0018】ここで、周期律表第4a,5a,6a族元
素およびAlの炭化物,窒化物,炭窒化物,酸化物,炭
酸化物,炭窒酸化物で被覆したのは、これらの化合物は
母材に用いたWC基超硬合金に比べ、特に耐摩耗性に優
れているためである。また、硬質層の厚みを0.1〜1
0μmの厚みとしたのは、0.1μmよりも薄いと、耐
摩耗性被膜としての効果が期待できず、10μmよりも
厚いと被膜の本来有する脆性が顕著となるため、耐欠損
性が低下することに起因する寿命の劣化を引き起こすか
らである。
素およびAlの炭化物,窒化物,炭窒化物,酸化物,炭
酸化物,炭窒酸化物で被覆したのは、これらの化合物は
母材に用いたWC基超硬合金に比べ、特に耐摩耗性に優
れているためである。また、硬質層の厚みを0.1〜1
0μmの厚みとしたのは、0.1μmよりも薄いと、耐
摩耗性被膜としての効果が期待できず、10μmよりも
厚いと被膜の本来有する脆性が顕著となるため、耐欠損
性が低下することに起因する寿命の劣化を引き起こすか
らである。
【0019】本発明の超硬合金を製造するに当たって
は、原料粉末としてWC粉末、周期律表第4a,5a,
6a族金属の炭化物,窒化物,炭窒化物から選ばれた1
種または2種以上の粉末、および鉄族金属粉末を前述し
た量だけ秤量後、混合粉砕し、プレス成形などの公知の
成形方法により成形後、焼成する。
は、原料粉末としてWC粉末、周期律表第4a,5a,
6a族金属の炭化物,窒化物,炭窒化物から選ばれた1
種または2種以上の粉末、および鉄族金属粉末を前述し
た量だけ秤量後、混合粉砕し、プレス成形などの公知の
成形方法により成形後、焼成する。
【0020】焼成は、真空度10-1〜10-3Torrの
真空中で1623〜1773Kの温度範囲で10分〜2
時間行う。なお、コバルトタングステン炭化物の析出
は、一次原料の炭素量中および炭素粉末の添加量を含め
た総炭素量、炭化タングステンの一部を置換する周期律
表第4a,5a,6a族金属の炭化物,窒化物,炭窒化
物の添加量で制御することができる。例えば、使用する
原料の炭素量が化学量論組成よりも低い場合に析出し易
い。
真空中で1623〜1773Kの温度範囲で10分〜2
時間行う。なお、コバルトタングステン炭化物の析出
は、一次原料の炭素量中および炭素粉末の添加量を含め
た総炭素量、炭化タングステンの一部を置換する周期律
表第4a,5a,6a族金属の炭化物,窒化物,炭窒化
物の添加量で制御することができる。例えば、使用する
原料の炭素量が化学量論組成よりも低い場合に析出し易
い。
【0021】硬質層の被覆は、焼結体を所定形状に加工
し、洗浄処理した後に、その表面に硬質層を形成する。
硬質層は単一層から構成されていても良いが、異なる材
料からなる複数層から構成されていても良い。例えば、
硬質層をTiNからなる層とTiCからなる層を順次積
層して構成しても良い。
し、洗浄処理した後に、その表面に硬質層を形成する。
硬質層は単一層から構成されていても良いが、異なる材
料からなる複数層から構成されていても良い。例えば、
硬質層をTiNからなる層とTiCからなる層を順次積
層して構成しても良い。
【0022】熱衝撃試験は、試料をガラスカプセルに真
空封入した後、ガラスカプセルごと加熱することにより
試料を加熱し、水等の冷却媒体中に投下するとと同時に
ガラスカプセルを破砕して、試料に熱衝撃を加えること
により行う。
空封入した後、ガラスカプセルごと加熱することにより
試料を加熱し、水等の冷却媒体中に投下するとと同時に
ガラスカプセルを破砕して、試料に熱衝撃を加えること
により行う。
【0023】即ち、試料はJIS抗折試験片形状に加工
され、例えば、内径8mmのバイコールガラス管内に真
空封入し、水中でガラスカプセルの密閉性を確認した
後、所定温度に保持した炉にガラスカプセルをいれて所
定時間保持した後、例えば、273Kの水槽内に投下し
た。この際、ガラスカプセルを水中に投下すると同時に
機械的衝撃を加えて水と接触するようにした。熱衝撃を
加えた後、3点曲げ法で抗折強度を測定し、熱衝撃試験
前後の強度変化を調査した。試料を真空封入して加熱す
るため、試料の酸化を防止した状態で熱衝撃試験を行う
ことができ、材料本来の耐熱衝撃性を得ることができ
る。
され、例えば、内径8mmのバイコールガラス管内に真
空封入し、水中でガラスカプセルの密閉性を確認した
後、所定温度に保持した炉にガラスカプセルをいれて所
定時間保持した後、例えば、273Kの水槽内に投下し
た。この際、ガラスカプセルを水中に投下すると同時に
機械的衝撃を加えて水と接触するようにした。熱衝撃を
加えた後、3点曲げ法で抗折強度を測定し、熱衝撃試験
前後の強度変化を調査した。試料を真空封入して加熱す
るため、試料の酸化を防止した状態で熱衝撃試験を行う
ことができ、材料本来の耐熱衝撃性を得ることができ
る。
【0024】
【作用】本発明によれば、超硬合金の組成,組織を制御
し、熱衝撃試験後の抗折強度を試験前の抗折強度の80
%以上とすることにより、優れた耐熱衝撃性を有すると
ともに、マイクロクラック等の欠陥の発生を防止して組
織の脆化を防止し、信頼性を大幅に向上する。
し、熱衝撃試験後の抗折強度を試験前の抗折強度の80
%以上とすることにより、優れた耐熱衝撃性を有すると
ともに、マイクロクラック等の欠陥の発生を防止して組
織の脆化を防止し、信頼性を大幅に向上する。
【0025】また、表面に、周期律表第4a族元素およ
びAlの炭化物,窒化物,炭窒化物,酸化物等からなる
硬質層を形成することにより、耐摩耗性をさらに向上す
ることができる。
びAlの炭化物,窒化物,炭窒化物,酸化物等からなる
硬質層を形成することにより、耐摩耗性をさらに向上す
ることができる。
【0026】
【実施例】以下、本発明を次の例で説明する。
【0027】実施例1 WC粉末,TiC粉末,TaC粉末およびCo粉末を表
1,2に示す量比で混合し粉砕した後、SDK1203
形状に成形して10-2Torr以下の真空中で、167
3Kで1時間焼成した。尚、調合時に炭素粉末,WC,
TiC,TaCの混合比を変え、コバルトタングステン
炭化物量の異なる試料、コバルトタングステン炭化物の
出現しない試料を作製した。
1,2に示す量比で混合し粉砕した後、SDK1203
形状に成形して10-2Torr以下の真空中で、167
3Kで1時間焼成した。尚、調合時に炭素粉末,WC,
TiC,TaCの混合比を変え、コバルトタングステン
炭化物量の異なる試料、コバルトタングステン炭化物の
出現しない試料を作製した。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】得られた試料の表面を研磨後、抗折強度片
を三点曲げ試験法により測定するとともに、X線回折測
定を行い、コバルトタングステン炭化物(Co3 W
3 C)のピーク高さI1 と、WC(001)のピーク高
さI2 の強度比を算出した。そして、試料を内径8mm
のバイコールガラス管内に真空封入し、水中でガラスカ
プセルの密閉性を確認した後、873、1073、12
73、1473Kの各温度に保持した炉にガラスカプセ
ルをいれて30分間保持した後、273Kの水槽内に投
下した。この際、ガラスカプセルを水中に投下すると同
時に機械的衝撃を加えて水と接触するようにした。熱衝
撃を加えた後、3点曲げ試験法で抗折強度を測定し、熱
衝撃試験前後の強度変化を調査した。これらの結果につ
いては表1,2に記す。さらに各々の試料について次の
切削テストを行った。
を三点曲げ試験法により測定するとともに、X線回折測
定を行い、コバルトタングステン炭化物(Co3 W
3 C)のピーク高さI1 と、WC(001)のピーク高
さI2 の強度比を算出した。そして、試料を内径8mm
のバイコールガラス管内に真空封入し、水中でガラスカ
プセルの密閉性を確認した後、873、1073、12
73、1473Kの各温度に保持した炉にガラスカプセ
ルをいれて30分間保持した後、273Kの水槽内に投
下した。この際、ガラスカプセルを水中に投下すると同
時に機械的衝撃を加えて水と接触するようにした。熱衝
撃を加えた後、3点曲げ試験法で抗折強度を測定し、熱
衝撃試験前後の強度変化を調査した。これらの結果につ
いては表1,2に記す。さらに各々の試料について次の
切削テストを行った。
【0031】〔切削条件1〕 フライス切削試験 被削材 SUS304 工具形状 SDK1203 カッター形状 MSD45125R 速度 200m/min. 送り 0.2mm/tooth 切込み 2mm 乾式切削 切削時間 810(sec) 工具寿命判定条件(平均フランク摩耗0.2mm、最大
フランク摩耗0.5mm)に達するか、または最大81
0秒まで切削を行った。切削後のフランク摩耗量および
最大フランク摩耗量を測定した。
フランク摩耗0.5mm)に達するか、または最大81
0秒まで切削を行った。切削後のフランク摩耗量および
最大フランク摩耗量を測定した。
【0032】〔切削条件2〕 フライス切削試験 被削材 SUS316 カッター形状 MSD45125R 速度 200m/min. 送り 0.2mm/tooth 乾式切削 切込み 2mm 工具寿命判定条件(平均フランク摩耗0.2mm、最大
フランク摩耗0.5mm)に達するまでの切削長を求め
た。なお、寿命要因として、平均フランク摩耗0.2m
mに達したものをVB、最大フランク摩耗が0.5mm
に達したものをVBM、欠損によるものをBRとした。
結果を表3に示す。
フランク摩耗0.5mm)に達するまでの切削長を求め
た。なお、寿命要因として、平均フランク摩耗0.2m
mに達したものをVB、最大フランク摩耗が0.5mm
に達したものをVBM、欠損によるものをBRとした。
結果を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】そして、図1に試料No.2と試料No.6と
試料No.8の耐熱衝撃試験の結果を示す。ここで、縦軸
は抗折強度を表し、横軸は熱衝撃温度を表している。熱
衝撃温度ΔTは高温保持温度と冷却媒体との温度差を示
す。図1によれば、本特許範囲外の超硬合金No.8は8
00Kの熱衝撃を与えると、その強度が水中投下前の5
0%以下に低下する。これは、急激な温度変化により、
超硬合金の構成成分の熱膨張係数の違いにより、マイク
ロクラックが発生するなどして合金全体が脆化すること
が原因と考えられる。このため、切削試験における評価
も低いものであった。
試料No.8の耐熱衝撃試験の結果を示す。ここで、縦軸
は抗折強度を表し、横軸は熱衝撃温度を表している。熱
衝撃温度ΔTは高温保持温度と冷却媒体との温度差を示
す。図1によれば、本特許範囲外の超硬合金No.8は8
00Kの熱衝撃を与えると、その強度が水中投下前の5
0%以下に低下する。これは、急激な温度変化により、
超硬合金の構成成分の熱膨張係数の違いにより、マイク
ロクラックが発生するなどして合金全体が脆化すること
が原因と考えられる。このため、切削試験における評価
も低いものであった。
【0035】これに対し、本特許範囲内の超硬合金No.
6は1200Kからの熱衝撃を与えても、強度は熱衝撃
前の80%以上を保っており、優れた耐熱衝撃性を有す
ることが明かである。このため、切削試験における評価
も良好であった。従って、本発明の超硬合金を切削工具
として用いた場合、断続的な熱衝撃が加わるために切削
が困難であった、難削材のフライス加工や複雑形状品の
切削加工を行うことができる。
6は1200Kからの熱衝撃を与えても、強度は熱衝撃
前の80%以上を保っており、優れた耐熱衝撃性を有す
ることが明かである。このため、切削試験における評価
も良好であった。従って、本発明の超硬合金を切削工具
として用いた場合、断続的な熱衝撃が加わるために切削
が困難であった、難削材のフライス加工や複雑形状品の
切削加工を行うことができる。
【0036】実施例2 WC粉末,TiC粉末,TaC粉末およびCo粉末を表
4に示す量比で混合し粉砕した後、SDK1203形状
(フライス用)およびCNMG120408形状(旋削
用)に成形して10-2Torr以下の真空中で、167
3Kで1時間焼成した。尚、調合時に炭素粉末,WC,
TiC,TaCの混合比を変え、コバルトタングステン
炭化物量の異なる試料を作製した。そして、各試料を切
削工具形状に加工した後、その表面にPVD法あるいは
CVD法により表4に示す膜組成の硬質層を所定厚み形
成した。
4に示す量比で混合し粉砕した後、SDK1203形状
(フライス用)およびCNMG120408形状(旋削
用)に成形して10-2Torr以下の真空中で、167
3Kで1時間焼成した。尚、調合時に炭素粉末,WC,
TiC,TaCの混合比を変え、コバルトタングステン
炭化物量の異なる試料を作製した。そして、各試料を切
削工具形状に加工した後、その表面にPVD法あるいは
CVD法により表4に示す膜組成の硬質層を所定厚み形
成した。
【0037】
【表4】
【0038】得られた試料の表面を研磨後、上記実施例
1と同様、抗折強度、X線回折測定、熱衝撃試験を行
い、ピーク高さI1 とピーク高さI2 の強度比を算出
し、さらに各々の試料について次の切削テストを行っ
た。
1と同様、抗折強度、X線回折測定、熱衝撃試験を行
い、ピーク高さI1 とピーク高さI2 の強度比を算出
し、さらに各々の試料について次の切削テストを行っ
た。
【0039】〔切削条件3〕 フライス切削試験 被削材 SUS304 工具形状 SDK1203 カッター形状 MSD45125R 速度 200m/min. 送り 0.2mm/tooth 切込み 2mm 乾式切削 切削時間 810(sec) 工具寿命判定条件(平均フランク摩耗0.2mm、最大
フランク摩耗0.5mm)に達するか、または最大81
0秒まで切削を行った。切削後のフランク摩耗量および
最大フランク摩耗量を測定した。
フランク摩耗0.5mm)に達するか、または最大81
0秒まで切削を行った。切削後のフランク摩耗量および
最大フランク摩耗量を測定した。
【0040】〔切削条件4〕 旋削試験 被削材 SUS304 カッター形状 CNMG120408 速度 120m/min. 送り 0.3mm/rev 切込み 2mm 切削液 有(水溶性) 切削時間を600秒とし、切削後のフランク摩耗、最大
フランク摩耗、ノーズ摩耗量、二次境界摩耗量を測定し
た。結果を表5,6に示す。
フランク摩耗、ノーズ摩耗量、二次境界摩耗量を測定し
た。結果を表5,6に示す。
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】表5,6によれば、ステンレス切削におい
て優れた切削性能を発揮することができた。また、硬質
層を形成すると、特に旋削において優れた切削性能を発
揮することが判る。
て優れた切削性能を発揮することができた。また、硬質
層を形成すると、特に旋削において優れた切削性能を発
揮することが判る。
【0044】尚、上記実施例では、本発明を切削工具に
適用した例について説明したが、摺動部材や耐摩耗部品
等に適用しても良いことは勿論である。
適用した例について説明したが、摺動部材や耐摩耗部品
等に適用しても良いことは勿論である。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、超硬合金の組成,組織
を制御し、熱衝撃試験後の抗折強度を試験前の抗折強度
の80%以上とすることにより、優れた耐熱衝撃性を有
するとともに、マイクロクラック等の欠陥の発生を防止
して組織の脆化を防止し、信頼性を大幅に向上する。
を制御し、熱衝撃試験後の抗折強度を試験前の抗折強度
の80%以上とすることにより、優れた耐熱衝撃性を有
するとともに、マイクロクラック等の欠陥の発生を防止
して組織の脆化を防止し、信頼性を大幅に向上する。
【0046】また、表面に、周期律表第4a族元素,A
lの炭化物,窒化物,炭窒化物,酸化物のうち少なくと
も一種からなる硬質層を形成することにより、切削加工
時の耐摩耗性をさらに向上することができる。
lの炭化物,窒化物,炭窒化物,酸化物のうち少なくと
も一種からなる硬質層を形成することにより、切削加工
時の耐摩耗性をさらに向上することができる。
【図1】熱衝撃温度と抗折強度との関係を示すグラフで
ある。
ある。
Claims (3)
- 【請求項1】結合金属相として鉄族金属から選ばれた1
種以上を1〜20重量%、残部が炭化タングステンから
なる硬質相を80〜99重量%含有する超硬合金であっ
て、硬質相成分として炭化タングステンを、結合相成分
としてコバルトをそれぞれ含み、かつCo3 W3 C,C
o6 W6 C,Co2 W4 CおよびCo3W9 C4 から選
ばれる少なくとも1種のコバルトタングステン炭化物を
含有するとともに、該コバルトタングステン炭化物相の
平均粒径が5μm以下であり、X線回折測定における前
記コバルトタングステン炭化物のCo3 W3 Cの(33
3)と(511)の合成ピーク、Co6 W6 Cの(33
3)と(511)の合成ピーク、Co2 W4 Cの(33
3)と(511)の合成ピークおよびCo3 W9 C4 の
(301)のピークのうちの最大ピークの強度をI1 、
WCの(001)のピーク強度をI2 とした時、I1 /
I2 で表されるピーク強度比が0より大きく、0.15
以下であり、さらに前記超硬合金をガラスカプセル内に
真空封入し、温度差が600〜1200Kの熱衝撃を与
えた後の抗折強度が、熱衝撃前の抗折強度の80%以上
であることを特徴とする超硬合金。 - 【請求項2】炭化タングステンの一部を周期律表第4
a,5a,6a族金属の炭化物,窒化物,炭窒化物のう
ち少なくとも一種で置換してなることを特徴とする請求
項1記載の超硬合金。 - 【請求項3】周期律表第4a族元素およびAlの炭化
物,窒化物,炭窒化物,酸化物のうち少なくとも一種か
らなる硬質層を、0.1〜10μmの厚みで被覆形成し
てなる請求項1または2記載の超硬合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34749992A JP2835255B2 (ja) | 1992-12-28 | 1992-12-28 | 超硬合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34749992A JP2835255B2 (ja) | 1992-12-28 | 1992-12-28 | 超硬合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06192782A JPH06192782A (ja) | 1994-07-12 |
JP2835255B2 true JP2835255B2 (ja) | 1998-12-14 |
Family
ID=18390642
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34749992A Expired - Fee Related JP2835255B2 (ja) | 1992-12-28 | 1992-12-28 | 超硬合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2835255B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5393004B2 (ja) * | 2007-06-27 | 2014-01-22 | 京セラ株式会社 | 超硬合金製小径棒状体および切削工具ならびにミニチュアドリル |
GB201105150D0 (en) | 2011-03-28 | 2011-05-11 | Element Six Holding Gmbh | Cemented carbide material and tools comprising same |
-
1992
- 1992-12-28 JP JP34749992A patent/JP2835255B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06192782A (ja) | 1994-07-12 |
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