JP2827316B2 - 小型水上ビークル - Google Patents

小型水上ビークル

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JP2827316B2
JP2827316B2 JP1224696A JP22469689A JP2827316B2 JP 2827316 B2 JP2827316 B2 JP 2827316B2 JP 1224696 A JP1224696 A JP 1224696A JP 22469689 A JP22469689 A JP 22469689A JP 2827316 B2 JP2827316 B2 JP 2827316B2
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豊 佐々木
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Suzuki Motor Corp
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【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) この発明は、ジェット推進で滑走する小型水上ビーク
ルに関する。
(従来の技術) 海とか湖においてオートバイ感覚で走行できるように
した水上ビークルがある。この水上ビークルは船体(ハ
ル)内にエンジンユニットが搭載され、デッキ上に備え
られた騎乗型のシートにライダが跨がって、前部のバー
ハンドルを操作して水上を滑走するようになっている。
この種の水上ビークルで小型のものでは、エンジンに
よって駆動されるプロペラで推力を与え、舵板により操
縦するようにすると、船尾底にこれらが突起し、水泳中
の人に危険を与える心配が大きいので、ジェット推進型
のものが多い。
ジェット推進型の小型水上ビークルは、船尾底にジェ
ットポンプユニットが埋設され、エンジンの駆動により
ジェット水流が後方へ噴射されて推進し、ハンドル操作
によりジェットノズルの方向を変えることで操舵され
る。船底に突起物がないので、危険が少なく、高速走行
を楽しむことができる。
ところで、小型水上ビークルのなかには、水上の滑走
に加えて潜航できるようにして、運動性能を拡大させた
ものがある。
例えば、特開昭64−16491号公報,特開昭64−16492号
公報に開示されたものは、常時水上に浮く推進艇と潜水
艇とが連結され、潜水艇に乗ったライダが推進艇の推力
を制御すると共に潜水艇を操舵し、かつ、推進艇のエア
ポンプから送られるエアにより浮力を調整することで、
潜水艇は水面上,水中の両方を航走できるようになって
いる。
しかしこの場合、船首部の船底の舵板が突出している
ので、前記のように水中にいる人などに接触した時危険
であり、なんらかの原因でエアの供給が不調になると、
潜水艇が浮上できなくなって、自力で浮上できるライダ
でない限り、重大なトラブルを招く恐れがある。また水
上滑走の場合はエアポンプは全く不要のものであり、推
進艇との連結運動では効率が低く、運動性能の低下につ
ながって高速航走しにくい憾みがある。
また、特開昭64−18798号公報には、船首部船底に上
下方向に傾斜できる受圧面を持つ舵板が設けられ、ハン
ドル操作によりこの舵板を上下に制御することによっ
て、潜水艇の水中への没入および水面上への浮上が行え
るようにしたものが記載されている。
この舵板は危険が伴うことは上記の通りであり、また
浮体を従えているので、水面上の滑走には邪魔であり、
運動性能を充分に発揮できない、という懸念がある。
(発明が解決しようとする課題) この発明は、潜水可能な小型水上ビークルに存在する
上記のような問題点に鑑みてなされたもので、ジェット
推進により船底に突起物を持たないで、かつ滑走艇単体
に航走でき、常に水面上に浮上する浮力を備え、時に応
じて潜航させることができる安全性の高い小型水上ビー
クルを得ることを目的とする。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) この発明に係る小型水上ビークルは、上述した課題を
解決するために、船体のデッキ部の前部にハンドルユニ
ットが前後スライド可能に設置され、デッキ部の後部に
は両側の溝状のフートレスト部に挟まれてシートが設置
され、ハル部内前部のエンジンルームに搭載されたエン
ジンユニットにより船底後端部に埋設されたジェットポ
ンプユニットが駆動され、そのジェットノズルが上記ハ
ンドルユニットにより左右に揺動制御されると共に、船
体のガンネルの前端部が前下方へ傾斜して形成され、か
つシート後方に、上記エンジンルームに通じる吸気ファ
ンネルが少くともライダの座高以上の高さに立設された
ものである。
また、上述した課題を解決するために、この発明に係
る小型水上ビークルは、請求項2に記載したように、船
体のデッキ前部の両側に前後方向の凹溝が形成され、溝
状のフートレスト部に接続されたものである。
(作用) このように構成されたもので、ハンドルユニットを後
方位置に据えて運転するときは、、ライダが後方寄りに
位置し、その重量を加えた小型水上ビークル全体の重心
が比較的に後ろ寄りになり、浮力との関係で船首が上が
ってガンネルが水面上に浮上し、ジェット推力も船首を
持ち上げる方向に作用するので、一般的なこの種の水上
ビークルと同じ性能で、安全に、かつ高速に水面上を滑
走する。
ハンドルユニットを最前端に移して運転すると、ライ
ダと共に全体の重心が浮力中心の前方に寄り、船首が下
がってガンネル先端が水面下に没する。この状態で前進
すると、下向きに設定されたガンネルおよびデッキの一
部を含む船首部分全体に作用する水の抵抗力が後下方へ
向き、ある船速(緩加速時)では、この力が船首を持ち
上げる上記のモーメントや浮力を上回って、水中に潜入
してゆき、やがて船体全体が没して潜航状態になる。
潜航時エンジンに供給されるエアはエアファンネルの
上端から導入される。従って潜航の深さはエアファンネ
ルの高さ以下に限定されるが、ライダの顔が水没しない
ように潜航するのが原則なので、その水深はおのずから
保持される。
潜航状態から速度を緩めて船首部分の下向きの力を弱
めると、浮力が作用して浮上する。またハンドルユニッ
トを後方に移して重心を後よりにすれば、ジェット推力
と浮力による重心回りのモーメントが船首部分の下向き
の力を上回り、船首が上向きになって浮上し、滑走状態
に移る。
(実施例) 以下この発明の実施例を示す図に就いて説明する。
この小型水上ビークルは、第1図に示すように、船体
1が、ハル部2,デッキ部3,ガンネル部4に大別される。
ガンネル部4は大部分がほぼ水平で、前端部4aが前下
方へ傾斜するように設定される。
デッキ部3の前半部は、第3図の断面形状に示すよう
に、両側の凹溝部5を残してガンネル先端4bから後方へ
次第に高くなる膨出部6が形成され、デッキ部3の後半
部は、両側が上記凹溝部5から連続する溝状のフートレ
スト部7になり、中央部は上記膨大部6から連続するよ
うにシート8が設置される。
ハル部2内の前部は、第2図に示すように、エンジン
ルーム9となってエンジン10が搭載され、後方のジェッ
トポンプユニット11を駆動する。ジェットポンプユニッ
ト11後部のジャットノズル12は後方へジェット水流を噴
射して船体1を推進し、また左右に揺動して操舵性能が
与えられている。このジェットノズル12の左右揺動はバ
ーハンドル13により制御される。
バーハンドル13はハンドルユニット14に軸支され、レ
バー15先端に接続されたワイヤ16を介してジェットノズ
ル12をリモートコントロールする。ハンドルユニット14
は前記膨出部6の頂面に前後スライド自在に設置され、
バーハンドル13は前後に大きく位置調整される。すなわ
ち、第4図に示すように、膨大部6のベース面17にスラ
イドレール18が敷設され、ハンドルユニット14に形成さ
れたスライド片19が滑合して、前後スライド自在になっ
ている。20はハンドルユニット14の前後調整位置を固定
するストッパ、21はその操作ハンドルである。
シート8後方のデッキ3にはエアファンネル22が立設
される。エアファンネル22は上端部にエア導入口23が開
口し、シート8下方を通って、前記エンジンルーム9に
連通し、エンジン10にエアを供給する。エアファンネル
22の高さは、少なくともシート8に腰掛けたライダ24の
座高以上に設定される。
こうして、ハンドルユニット14を後方位置に据えて運
転すると、ライダ24が後方寄りに位置し、その重量を加
えた小型水上ビークル全体の重心Gが比較的に後ろ寄り
になり、浮力Fとの関係で船首が上がってガンネル前端
部4aが水面上に浮上し、ジェット推力も船首を持ち上げ
る方向に作用するので、ハル部2のみが水に接して、一
般的なこの種の水上ビークルと同様に、高速で操縦性よ
く、かつジェット推進により安全性高く、水面上を滑走
する。
ハンドルユニット14を最前端に移すと、ライダ24と共
に全体の重心Gが浮力F中心の前方に移り、船首が下が
ってガンネル先端部4aが水面下に没する。この状態で前
進すると、下向きに設定されたガンネル先端部4aおよび
デッキ3の膨大部6の前端部を含む船首部分全体に作用
する水の抵抗力が後下方へ作用し、ある船速(緩加速
時)では、この力が船首を持ち上げる上記のモーメント
や浮力Fを上回って、水中に潜入して行く。この時船首
が掬い上げた水は凹溝5からフートレスト部7に流入
し、その重量によって浮力が減少して、潜水を助長す
る。やがて船体全体が没して潜航状態になる。
潜航時にエンジン10に必要なエアは、エアファンネル
22の上端のエア導入口23が水面上に突出しているので、
支障なくエンジンルーム9に導入される。ライダ24の顔
が潜らないように潜航することによって、エアファンネ
ル22を水没させないようにして、エア供給を続けること
ができる。
潜航状態から速度を緩めると、船首部分の下向きの力
が弱まり、浮力Fにより浮上する。
またハンドルユニット14を後方に移して重心Gを後寄
りにすれば、ジェット推力と浮力Fによる重心G回りの
モーメントが船首部分の下向きの力を上回り、船首が上
向きになって浮上し、滑走状態に移る。
さらに潜航状態で急加速することによっても浮上す
る。すなわち、ジェット推進力Pが大きくなり、船首を
持ち上げる重心G回りのモーメントが大きくなる。一方
船首部に作用する水の抵抗Dも増大するが、水平方向後
方への分力Dxに比較して下方への分力Dyは比較的に増大
率が小さく、上記モーメントを吸収できなくなって船尾
が下がってゆく。その結果船体は水平方向に向き、これ
によりDy/Dxが急速に小さくなり、最終的にはDyが上向
きになって、船首を持ち上げて滑走するに至るものであ
る。
上記のように潜航と滑走が切替わる船速は、ガンネル
先端部4aの傾斜度や船首部の形状によって特定される。
このように、この小型水上ビークルは、特別な装備を
加えることなく、従来のものと殆ど変わらない構成にな
る単独の船体により、重心移動を伴う操縦技術を持って
潜航,滑走を選択してのスポーツ使用を楽しむことがで
きる。潜航中にエンジン停止などの何らかのトラブルが
あっても、船体は常時浮上できる浮力を具備しているの
で、大事に至ることなく、ジェット推進であって船底に
突出部がないことと相俟って安全性が高い。
〔発明の効果〕
以上に述べたように、この発明に係わる小型水上ビー
クルは、船体のデッキ部の前部にハンドルユニットが前
後スライド可能に設置され、デッキ部の後部には両側の
溝状のフートレスト部に挟まれてシートが設置され、ハ
ル部内前部のエンジンルームに搭載されたエンジンユニ
ットにより船底後端部に埋設されたジェットポンプユニ
ットが駆動され、そのジェットノズルが上記ハンドルユ
ニットにより左右に揺動制御されると共に、船体のガン
ネルの前端部が前下方へ傾斜して形成され、かつシート
後方に、上記エンジンルームに通じる吸気ファンネルが
少くともライダの座高以上の高さに立設されので、船底
に突起物がなく、単独の船底で自由に航送でき、常に水
面上に浮上する浮力を備えながら時に応じて潜航が可能
であって、安全性が高く、かつ幅広いスポーツ性を備え
る一方、ハンドルユニットをデッキ部前方に固定すると
船体全体の重心を前方に移動させて潜水力が働き、潜航
状態になる一方、ハンドルユニットを後方に固定すると
船首が上向きになって水上滑走状態になり、また、船体
のガンネル前端部を前下方へ傾斜させたので、潜航時に
船首を水中に入り易くし、かつ水の抵抗を小さくして適
切な水中進入角を得ることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例を示す小型水上ビークルの側
面図、第2図は第1図小型水上ビークルの構成を示す縦
断側面図、第3図は第1図A−A線に沿う縦断正面図、
第4図はハンドルユニットの拡大した縦断後面図、第5
図は第1図の小型水上ビークルが潜水する時の状態を示
す側面図である。 1……船体、2……ハル部、3……デッキ部、4……ガ
ンネル部、4a……ガンネル前端部、5……凹溝、6……
膨出部、7……フートレスト、8……シート、9……エ
ンジンルーム、10……エンジン、11……ジェットポンプ
ユニット、12……ジェットノズル、13……バーハンド
ル、14……ハンドルユニット、22……エアファンネル、
23……エア導入口。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B63B 35/73 B63H 21/00 B63C 11/46

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】船体のデッキ部の前部にハンドルユニット
    が前後スライド可能に設置され、デッキ部の後部には両
    側の溝状のフートレスト部に挟まれてシートが設置さ
    れ、ハル部内前部のエンジンルームに搭載されたエンジ
    ンユニットにより船底後端部に埋設されたジェットポン
    プユニットが駆動され、そのジェットノズルが上記ハン
    ドルユニットにより左右に揺動制御されると共に、船体
    のガンネルの前端部が前下方へ傾斜して形成され、かつ
    シート後方に、上記エンジンルームに通じる吸気ファン
    ネルが少くともライダの座高以上の高さに立設されたこ
    とを特徴とする小型水上ビークル。
  2. 【請求項2】船体のデッキ前部の両側に前後方向の凹溝
    が形成され、溝状のフートレスト部に接続されたことを
    特徴とする請求項1記載の小型水上ビークル。
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