JP2818971B2 - 磁気ヘッド支持装置 - Google Patents

磁気ヘッド支持装置

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JP2818971B2 JP2234196A JP23419690A JP2818971B2 JP 2818971 B2 JP2818971 B2 JP 2818971B2 JP 2234196 A JP2234196 A JP 2234196A JP 23419690 A JP23419690 A JP 23419690A JP 2818971 B2 JP2818971 B2 JP 2818971B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、磁気ディスク装置の磁気ヘッドを搭載し磁
気ディスクと微小な間隔を保って浮上するスライダを支
持する磁気ヘッド支持装置に係り、特に、高密度の磁気
ディスク装置に用いるに好適な磁気ヘッド支持装置に関
するものである。
〔従来の技術〕
従来の磁気ヘッド支持装置としては、米国特許USP4,1
67,765に示されているワトラス支持装置が広く用いられ
ている。この支持装置は、磁気ヘッドと、磁気ヘッドを
搭載したスライダと、スライダを磁気ディスクに平行な
2方向には剛に保持し磁気ディスクに垂直な方向および
3方向の回転運動に対しては柔に保持するジンバルと、
ジンバルに連接するとともに前記スライダに磁気ディス
ク面方向の荷重を与える荷重アームとからなる。荷重ア
ームのスライダとは反対側の他端は、磁気ヘッドをディ
スクの異なる半径位置に移動させるアクセス機構に連な
る剛なアームに連接されている。
他の構成の磁気ヘッド支持装置として、IBM J.Res.Re
v.Vol.25,No.5 pp677〜689に開示されているウインチェ
スタ形支持装置やUSP4,620,251等に示されている種々の
磁気ヘッド支持装置があるが、いずれもジンバルと荷重
アームとを備えていることは共通している。また、これ
ら従来の磁気ヘッド支持装置は、ステンレス材料で作ら
れている。
〔発明が解決しようとする課題〕
磁気ヘッドの浮上量すなわち磁気ヘッドと磁気ディス
クとの間隙は、記録密度を高めるために、できるだけ小
さくすることが要求されている。浮上量を小さくするに
は、浮上量の変動をできるだけ小さくして、安定な浮上
状態を実現する必要がある。
浮上量の変動の中には、ディスクの回転による空気の
流れで荷重アームが振動することや、磁気ヘッドをディ
スクの異なる半径位置に位置付けるアクセス動作による
加速度で支持装置が変動することなどによって浮上量が
時間的に変動する第1成分と、製造時の種々の寸法や材
質のばらつきによって浮上量が意図した値とは異なって
しまう第2成分とがある。第1成分は、支持機構の固有
振動成分、特に荷重アームの固有振動成分が主である。
したがって、第1成分を小さくするには、荷重アーム
の質量を小さくすることと、他の機構の振動との共振の
可能性を減らすために固有振動数をできるだけ高くする
ことが重要である。第2成分は、スライダにおける荷重
の上記ばらつきによる変化が小さいほど小さくなる。
従来の支持ばねでは、第1成分を小さくするために、
支持ばねにかかる力、または加速度を小さくするとか、
支持ばねを小形にして軽量化する等の努力がなされ、第
2成分を小さくするために、製造時の形状や部品接合強
度を一定にするとか、ディスクの積層精度ならびに支持
ばねの積層精度を上げる等の努力が払われ、これらの諸
点については、ほぼ最適化し限界精度に達していると考
えられる。
しかし、現在以上に浮上量を小さくし、記録密度を上
げるには、上記第1成分と第2成分とをさらに小さくす
ることが重要である。
従来は、上記の努力が払われてきたが、荷重アームお
よびジンバルの材料には、ステンレス材が専ら用いられ
てきた。ステンレス材は、入手が容易であり、安価だか
らである。
荷重アームの荷重を一定にする観点および荷重アーム
の質量を小さくする観点からは、材料を最適化する余地
はまだまだあるものと考えられる。
本発明の目的は、浮上量を安定的に小さくすることが
可能な材料からなる磁気ヘッド支持装置を提供すること
である。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、上記目的を達成するために、磁気ヘッドを
搭載したスライダと、このスライダの6自由度の運動の
うち2方向の並行運動を剛に拘束し他の一方向の並行運
動および3方向の回転運動を柔に拘束して前記スライダ
を保持したジンバルと、このジンバルに連接し前記スラ
イダに前記柔に拘束した並行運動方向の荷重を加える荷
重アームと、この荷重アームの前記ジンバルとは反対側
の他端に連接され前記磁気ヘッドを移動させるアクセス
機構に連なる剛性アームとを含む磁気ヘッド支持装置に
おいて、前記荷重アームが、チタンを70%以上含み板厚
0.08mm以下のチタン合金からなる磁気ヘッド支持装置を
提案する。
この場合、前記ジンバルも、チタンまたはチタン合金
とすることができ、板厚は0.06mm以下が好ましい。
〔作用〕
本発明は、できるだけ弾性係数が低く、密度が小さ
く、許容応力が大きな材料で荷重アームを製作するとと
もに、荷重アームとの接合が容易な材料でジンバルを作
ることをめざした。
以下にその理由を説明する。
従来のヘッド支持ばねは、既に述べたように、ステン
レス材からなり、その形状と、板厚と、スライダにかけ
る荷重と、支持装置にかかる種々の静的/動的外力との
関係がそれぞれ適正化されている。支持装置の材質を変
えたときも、これらの関係は、やはり最適に保たれなけ
ればならない。そのための基本的な関係を次に考察す
る。
支持装置の荷重アームおよびジンバルの構成材料の密
度をρ,弾性係数をE,横弾性係数をG,許容応力をσa,引
っ張り強さをσB,板厚をt,荷重アームの荷重方向のばね
定数をk,ある特定モードの固有振動の周波数をf,支持ば
ねの質量をFとする。また、添字tで本発明の支持装置
を表し、添字sで従来の支持装置を表す。
両者の荷重アームの形状が板厚を除いて相似であると
きには、(1)式が成立つ。
ft/fs=α〔(Et/Es)(ρs)〕1/2 ×(tt/ts) ……(1) ただし、αは、振動モードにより変化するモード係数
であり、例えば、スライダ質量や荷重アーム質量等の影
響を受ける。
荷重アームの荷重方向のばね定数kについては、
(2)式が成立つ。
kt/ks=(Et/Es)(tt/ts ……(2) 板厚tについては、板の曲げ強度から、(3)式が成
立つ。
tt/ts=(σasat1/2 ……(3) 質量については、(4)式が成立つ。
Ft/Fs=(tt/ts)(ρt) ……(4) 第1図は、横軸にパラメータ(tt/ts)を取って、上
記(1)式から(3)式までの関係を両対数グラフの上
に示したものである。
(kt/ks)を小さくすることは、(Et/Es)と(tt/
ts)を小さくすれば達成できる。また、(ft/fs)を大
きくすることは、(Et)/(Es)と(tt/
ts)と大きくすれば達成できる。ただし、このとき、現
実の材料では、許容応力σの制限があるから、(tt/t
s)をむやみに小さくはできない。
そこで、実現の材料の本発明による選択は、第1図を
用いて次のように行なう。
a.検討対象材料の許容応力σから、(σasat)を
求める。
b.図の(σasat)線から、(tt/ts)の最低値を求め
る。最低値としたのは、ttはこの(σasat)線より
も右の領域で選択できるからである。
c.検討対象材料の(Et/Es)(ρs)を考慮しなが
ら、前記(tt/ts)の最低値に対応する(ft/fs)を読取
る。
d.検討対象材料の(Et/Es)を考慮しながら、前記(tt/
ts)の最低値に対応する(kt/ks)を読取る。
本発明の検討課題は、(ft/fs)を1以上とし、(kt/
ks)を1以下にすることである。もし、このようにして
読取った(ft/fs)が1以下であれば、(tt/ts)を選定
しなおし、新たな(tt/ts)に対応する(kt/ks)を求め
ればよい。この(kt/ks)が1以上のときは、(tt/ts
を更に小さくすることができないから、その材料による
(kt/ks)の改良はできないことになる。
〔実施例〕
現在のステンレス支持ばねが荷重アームは75〜80μm,
ジンバルは50〜60μmで最適化されていることを参考に
して、第2図に示したワトラス形の支持ばねの荷重アー
ムを板厚0.08mmのチタン材で、またジンバルを板厚0.06
mmのチタン材で製作した。第1表は、実用薄板ばね材料
の物性値および機械的性質を日本機械学会編『機械工学
便覧』(昭和59年版)B4材料学・工業材料から集めて整
理したものである。ただし、許容応力σは、材料値と
しては、記載されていないので、引っ張り強さσで代
用する。
第1表から、(Et/Es),〔(Et)/(Es/
ρ)〕,(σBtBs)を求め、第2表に示した。な
お、添字sが示す材料は、従来から用いられてきたステ
ンレス材である。
次に、第2表の値を用いて第1図から読取った(kt/k
s),(ft/fs),(tt/ts)を第3表に示す。
第3表から明らかなように、第2表の(σBtBs
に対応する(tt/ts)の最低値を用いたときに、(kt/
ks)が1以下となるのは、チタンおよびベリリウム銅だ
けである。しかし、いずれも(ft/fs)が1以下である
点が物足りない。そこで、(ft/fs)を1に選定したと
きの諸値を両種についてのみ示したのが第4表である。
チタン合金は、(ft/fs)を小さくしないで(kt/ks
を実現できる点で、ステンレス材に代わる磁気ディスク
用磁気ヘッドの支持ばねの材料として最適である。
また、本実施例では、ジンバルも荷重アームとの点溶
接が容易であるという利点があるので、チタン材とし
た。しかし、荷重アームのみをチタン合金材としても、
同様の効果が得られるのは勿論である。
さらに、本実施例では、ワトラス形支持ばねに関する
ものであったが、上記従来の説明で掲げた様々なタイプ
の支持アームに対してもチタン材が有効である。
〔発明の効果〕 本発明によれば、固有振動数を低下させずに支持ばね
のばね定数を小さくできるので、浮上量の小さな磁気ヘ
ッドを、負荷荷重が小さく浮上量の変化が少ないよう
に、支持できる磁気ヘッド支持装置が得られる。
また、本発明の磁気ヘッド支持装置を用いると、高記
録密度の磁気ディスク装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の材料選定に用いる特性図、第2図は本
発明を適用するワトラス形支持ばねの斜視図である。 1……スペーサ、2……荷重アーム、3……ジンバル、
4……スライダ、5……磁気ヘッド。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今井 郷充 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所機械研究所内 (56)参考文献 特開 昭59−123747(JP,A) 特開 平2−83871(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 21/21

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気ヘッドを搭載したスライダと、当該ス
    ライダの6自由度の運動のうち2方向の並行運動を剛に
    拘束し他の一方向の並行運動および3方向の回転運動を
    柔に拘束して前記スライダを保持したジンバルと、当該
    ジンバルに連接し前記スライダに前記柔に拘束した並行
    運動方向の荷重を加える荷重アームと、当該荷重アーム
    の前記ジンバルとは反対側の他端に連接され前記磁気ヘ
    ッドを移動させるアクセス機構に連なる剛性アームとを
    含む磁気ヘッド支持装置において、 前記荷重アームが、チタンを70%以上含み板厚0.08mm以
    下のチタン合金からなることを特徴とする磁気ヘッド支
    持装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の磁気ヘッド支持装置にお
    いて、 前記ジンバルが、チタンまたはチタン合金からなること
    を特徴とする磁気ヘッド支持装置。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の磁気ヘッド支持装置にお
    いて、 前記ジンバルが、板厚0.06mm以下のチタンまたはチタン
    合金からなることを特徴とする磁気ヘッド支持装置。
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