JP2814653B2 - 制御装置 - Google Patents

制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は制御装置、特に、複数の目標値を持ち、かつ
各目標値によって制御系の特性が大きく異なるものに対
して有効な制御装置に関する。
従来の技術 一般に、複数の目標値を持ち、かつ各目標値によって
制御系の特性が大きく異なるものに対する制御対象とし
てエアコンやロボット・マニピュレータがある。すなわ
ち、エアコンでは、同じ部屋であっても目標温度、季節
により制御対象のパラメータが変わってしまう。また、
ロボット・マニピュレータにおいては、腕を折り曲げて
物体をつかんでいる状態と、腕を伸ばして物体をつかん
でいる状態とでは慣性量が異なり、制御系のパラメータ
ーを変える必要がある。
従来、この種、制御系の構成は制御対象を線形近似
し、近似した結果を用いていた。非線形な対象を線形化
する方法は、例えばすなわち、制御目標値近傍における
制御対象を、制御量の微小変化に対する目標値の微小変
化量を求めている(小郷・美多「システム制御理論入
門」第1章」)。
このような線形近似を行う場合には、目標値により、
変化量の比が大きく変化する。したがって、一つの目標
値について設計した制御系であっても、目標値によって
は十分な制御性能が得られなくなる。
この従来の課題を解決するために、発明者は複数の目
標値における制御系をそれぞれ設計し、各目標値の間の
目標値に対しては、各々の制御系における評価関数の最
適値からのずれをあらかじめ求めておき、ずれに応じて
それぞれの制御系の出力を重みつき平均し、平均結果に
より制御対象を制御する方法を提案(特願平1−161640
号)している。
発明が解決しようとする課題 しかしながら、先の提案においては、目標値ごとに評
価関数のずれの比を実時間で計算するか、もしくは、比
の値を表としてあらかじめ持っておく必要がある。評価
関数のずれを実時間で計算することは非常に多くの計算
を必要とするので現実的ではない。また、比の値を記憶
しておく場合は計算時間は前者ほど必要としないが、制
御器の数が多くなると記憶しておく量が膨大となってし
まう。
課題を解決するための手段 本発明は、k(kは整数)次元の異なる目標値に対し
て制御系の特性が各々異なる制御対象において、可変で
きるk次元の目標値のうちいくつかであるN種類(Nは
整数)の目標値については、各々のk次元の目標値にお
ける各々の制御系の評価関数を最適化せしめるよう設計
したN個の制御系と、各々のN個の制御系の出力を重み
つき加算平均する重みつき平均手段と、前記重みつき平
均手段による平均結果により制御対象を操作する手段
と、前記N個数の出力端子数を有し、任意のk次元の目
標値を入力するk個の入力端子を有する神経回路網を具
備し、前記神経回路網は少なくとも前記いくつかのk次
元の目標値の各々に対して、対応する前記制御系の出力
の重みが100%となり、その他の目標値を与えた場合に
は、重みが100%となる目標値とのずれに応じてN個の
制御系への重みが実質的に補間される重みとなるように
予め学習しておき、前記学習された神経回路網のN個の
出力を前記複数の制御系の重みつき平均手段における重
み入力とし、前記重みつき平均手段の出力により制御対
象を操作することを特徴とする制御装置である。
作用 各目標値においては、それに対応する制御系の重みが
100%になるので、設計通りの性能が得られる。また、
目標値が設定した値では無い場合には、神経回路網が内
挿する効果を有しているので、設定した目標値からの距
離に応じた重み値が出力される。
実施例 本発明の一実施例を図面に基づき説明する。第1図に
おいて、異なるN通りの目標値に対して最適設計された
N個のコントローラ1、2・・、Nを用いて、目標値お
よび対象プラント13の出力状態を各々のコントローラに
入力して制御出力を得る。得られた各々の制御出力は重
み付き平均演算手段11に入力される。重み付き平均演算
手段11の重みは目標値を用いて、重み配分決定手段12に
より得られる。重み配分の具体方法は後述する。重み付
き平均演算手段11の演算結果により、対象プラント13を
制御する。また対象プラントの制御結果すなわちプラン
ト出力は各々のコントローラ1、2、・・、Nに再び入
力され、閉ループ制御系を構成する。
次に重み配分決定手段12の決定方法を説明する。第2
図は制御系の設計における評価関数の考え方の一例を示
すものである。プラントの状態(出力)がずれた状態か
ら、目標値へと戻る際の応答を示したものである。この
制御性能を示す手法として、目標値yrefに対するプラン
トの出力yのずれ(偏差)の2乗の時間積分値などがあ
る。第2図では偏差の2乗の時間積分値と目標値の変化
に対して評価関数が変化する状態を示すとともに重み配
分を計算する手法を示すものである。目標値x1に対して
設計されたコントローラ1では目標値xが変化するにし
たがって評価関数J1は例えば曲線J1(x)のように変化
する。曲線J1(x)は、x=x1のとき、最小値J1min
なる。同様に目標値x2に対して設計されたコントローラ
2では、評価関数曲線J2(x)が得られ、x=x2のとき
最小値J2minをとる。次にJ1minとJ2minとを結んだ直線J
min(x)を作成する。この直線は2つの目標値間にお
ける別のコントローラを設けた場合の設計値に仮想的に
対応する。この直線と2つのコントローラの評価関数と
のずれをそれぞれ△J1、△J2とし、この値の比でコント
ローラの出力の重みを決定する。2つのコントローラの
出力をC1、C2とすると、重みつき平均演算結果すなわち
制御器の出力Cは次のようになる。
C=(△J2*C1+△J1*C2)/(△J1+△J2) したがって、x=x1においては△J1=0となるので、
C=C1となる。また、xがx1からずれてx2に近ずくにし
たがって、△J1は大きくなり、△J2は小さくなってい
き、徐々にC2の重みが高くなっていく。この変化は連続
的であり、主として有効になっているコントローラが、
徐々に切り替わっていくことを示している。
第3図は、重み配分を決定するために用いる神経回路
網の構成を示すブロック図である。目標値r(r1、r2、
r3、・・・)はそれぞれ三次元の値であり、それぞれの
軸(X、Y、Z)の値が各々入力層ニューロンNi(i=
1、2、3)に適当な重みをつけて入力される。すなわ
ち、第3図における一番上の目標値はX軸成分であり、
真ん中の目標値はY軸成分、下の目標値はZ軸成分であ
る。また、神経回路網の出力はコントローラの数と同じ
数の出力層ニューロンと出力端子数を有しており、第3
図の場合ではコントローラの数は3個になる。入力層の
各ニューロンN1iでは適当な重みをつけた入力値の総和
を求め、その値を関数S(t)の入力tとして入力し、
関数S(t)の出力値を出力とする。関数S(t)は例
えば次のような関数が用いられる。
S(t)=1/(1+exp(−t)) S(t)はt の値により0から1までの実数の値となる。各ニューロ
ンN1iの出力は中間層ニューロンN2jに入力され、入力層
ニューロンN1iと同様の処理が行われる。中間層ニュー
ロンN2jの出力は出力層ニューロンN3kに送られ、同様の
処理が行われる。このようにして得られた出力結果が第
2図で説明した重みに略等しくなるように、すなわち、
ある制御器の重みが100%となる目標値を入力して、そ
の出力が100%となるように、本来得られる出力結果と
の誤差を入力層に逆伝播させるバックプロパゲーション
法を用いて、各ニューロンに入る重みを学習する。学習
方法については文献(D.E.Rumelhart,J.L.McClelland a
nd the PDP Research Group:“Parallel Distributed P
rocessing",MIT Press 1986(ディー.イー.ルメルハ
ルト,ジェイ.エル.マクレランド アンド ザ ピー
ディーピー リサーチグループ:“パラレル ディスト
リビューテド プロセシング",エムアイティ プレス
1986))に詳しい。このようにして学習された神経回路
網の出力により、第1図の各々の制御器の出力値を重み
付き加算平均する重み量とする。ここで用いた神経回路
網には入出力関係を内挿する効果があるため、学習に用
いたデータ以外の目標値に対しても、適度な重み値を出
力することができ、一旦学習しておけば、学習しなかっ
た目標値に対しても適度な重み値を出力することが可能
になる。制御器の数が多い場合でも、膨大な表を用いる
ことなく実現する事が可能になる。第4図は目標値によ
って各コントローラの重みが切り替わっていく様子を示
したものであり、最も簡単な例として目標値が一次元で
ある場合を示している。第4図では、演算を簡略化する
ため、△Jが零に近いときには、1つのコントローラか
らの出力のみで制御する場合を示している。目標値x1で
はコントローラ1の評価関数の最適値からのずれはゼロ
であるのでコントローラ1の重みは1、その他のコント
ローラの重みはゼロになる。目標値がx2に近づくとコン
トローラ2の評価関数の最適値からのずれが小さくな
り、コントローラ2の重みが大きくなりはじめる。そし
て目標値がx2になると、コントローラ2の評価関数の最
適値からのずれがゼロになるので、コントローラ2の重
みは1となりその他のコントローラの重みはゼロにな
る。そして目標値が2xをずれていくと、コントローラ2
の評価関数のずれが大きくなっていくのでコントローラ
2の重みは再び小さくなって行き、その他のコントロー
ラの重みが増加する。
ここで学習していない目標値xuを入力した場合に
は、神経回路網はその特性により、あらかじめ学習して
いる目標値x3、x4のときの重みからxuの重みを類推す
る作用があるので、実用上問題のない重みを出力するこ
とができる。したがって、あらかじめ学習した神経回路
網を用いることにより、目標値における準最適な制御系
を、多くのパラメータを準備することなく実現できる。
なお、実施例では、制御器を複数個用いるようにして
説明したが、ディジタル計算機を用いて、時分割処理を
行って実施することも可能である。
発明の効果 以上説明したように、本発明は従来の制御系にはな
い、複数の目標値に対して異なる制御アルゴリズムが必
要な場合における、制御系の構成方法を提供するもので
あり、かつ、目標値の種類、制御器もしくは制御パラメ
ータのパターン(表)が増加した場合でも実現可能にで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の制御装置のブロック構成図
で、第2図は各コントローラの重み配分の決定方法を示
す原理図、第3図は各々の制御器の重みを計算する神経
回路網の構成図、第4図は目標値と各コントローラの重
みの変化例を示す特性図である。 1、2……コントローラ、11……重み付き平均演算手
段、12……重み配分決定手段、13……対象プラント。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G05B 13/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】k(kは整数)次元の異なる目標値に対し
    て制御系の特性が各々異なる制御対象において、可変で
    きるk次元の目標値のうちいくつかであるN種類(Nは
    整数)の目標値については、各々のk次元の目標値にお
    ける各々の制御系の評価関数を最適化せしめるよう設計
    したN個の制御系と、各々のN個の制御系の出力を重み
    つき加算平均する重みつき平均手段と、前記重みつき平
    均手段による平均結果により制御対象を操作する手段
    と、前記N個数の出力端子数を有し、任意のk次元の目
    標値を入力するk個の入力端子を有する神経回路網を具
    備し、前記神経回路網は少なくとも前記いくつかのk次
    元の目標値の各々に対して、対応する前記制御系の出力
    の重みが100%となり、その他の目標値を与えた場合に
    は、重みが100%となる目標値とのずれに応じてN個の
    制御系への重みが実質的に補間される重みとなるように
    予め学習しておき、前記学習された神経回路網のN個の
    出力を前記複数の制御系の重みつき平均手段における重
    み入力とし、前記重みつき平均手段の出力により前記制
    御対象を操作することを特徴とする制御装置。
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