JP2758632B2 - 薄膜を用いた光学部材 - Google Patents

薄膜を用いた光学部材

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JP2758632B2 JP1061875A JP6187589A JP2758632B2 JP 2758632 B2 JP2758632 B2 JP 2758632B2 JP 1061875 A JP1061875 A JP 1061875A JP 6187589 A JP6187589 A JP 6187589A JP 2758632 B2 JP2758632 B2 JP 2758632B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、薄膜を用いた光学部材に関する。
[従来の技術] 近来、光導波路や光学的多層膜等、薄膜を用いた光学
部材が光学技術の分野で重要な役割を演ずるようになっ
てきており、種々のものが実用化され、また提案されて
いる。
薄膜を用いた光学部材として望ましい条件を列挙して
みると、これらはおよそ以下の5条件に集約される。
条件I:薄膜の屈折率を設計値に応じて調整できること。
条件II:光の伝送における光減衰量が少ないこと。
条件III:薄膜の作製時に生ずる歪みが十分に小さいこ
と。
条件IV:薄膜の光学特性が長期間にわたって安定してい
ること。
条件V:薄膜の作製が低温度で可能なこと。
これら5条件の内、条件I,IIは光学部材としては当然
に要請される条件である。
条件IIIは、薄膜を用いた光学部材の作製の歩留まり
を良くするための条件である。作製時に生ずる歪みが大
きいと応力により薄膜が破壊され易く、光学部材作製の
歩留まりが低くなって光学部材の低コスト化が困難とな
る。また、薄膜の破壊に到らないまでも、光学部材に反
り等の変形を生じて光学部材作製上の支障となる。
条件IVが満足されないと光学部材の寿命が短く、製品
としての価値が低くなってしまう。
条件Vは、以下の如き理由で要請される。
即ち、薄膜を用いた光学部材の場合、発光素子や受光
素子、光スイッチや薄膜トランジスター等の半導体素子
が薄膜とともに集積される場合が多い。これら半導体素
子は、薄膜とは異なる独自の材料、独自の作製法で作製
されるため、素子完成後の耐熱温度も互いに異なる。例
えば、GaAlAsを用いた半導体レーザー素子の耐熱温度は
略500℃、α−Siを用いた受光素子の耐熱温度は略300
℃、KDP結晶による光スィッチでは略500℃、薄膜トラン
ジスターでは略300℃である。
従って、もし薄膜の成膜温度がこれら半導体素子の耐
熱温度より高い場合には、これらを集積する場合に、先
ず薄膜を作製し、次いで耐熱温度の高い素子から順に集
積を行なわねばならない。このため光学部材に用いられ
る薄膜の作製温度が高いと、素子集積プロセスの自由度
が大きな制限を受けることになる。また、光学部材に用
いられる薄膜の作製温度が高いと、薄膜を形成する基板
の材料が制限されることになりこれが光学部材のコスト
上昇の原因となる。例えば、基板に透光性が要求される
場合、薄膜の作製温度が高いと基板として高価な石英ガ
ラスを用いねばならなくなる。
従来、光学部材に用いられる薄膜で、上記条件I,III
を満足するものとして、シリコン酸窒化膜が知られてい
る(Appl.Phys.Lett.47(4)1985)。
シリコン酸窒化膜は、上述の如く条件I,IIIを満足す
るが、他の条件II,IV,Vを満足することができない。
即ち、このシリコン酸窒化膜は熱窒化法という熱平衡
状態での化学反応を利用して作製されるため、作製温度
はSiO2の融点から大きく下げることが出来ないためであ
り、実際に作製温度は1100℃という高温である。従って
条件Vを満足できない。さらに屈折率を調整するために
SiO2中にNを入れてSiONとする際に、OとNとで原子半
径、原子価が異なるため、膜に応力が発生するので、こ
れを避けるためにHを加えてSiONH組成とする必要があ
るが、Hが膜中にO−H結合として取り込まれるため、
これが原因となって光減衰量が増加し、特性の安定化の
低下が生ずる。従って条件II,IVが満足されない。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであ
り、その目的とするところは、上記条件I〜Vを有効に
満足し得る、薄膜を用いた新規な光学部材の提供にあ
る。
[課題を解決するための手段] 以下、本発明を説明する。本発明の光学部材は「基板
上に薄膜を形成して」なる。
請求項1の光学部材に於いて上記薄膜は、以下の如き
条件を満足する。
即ち、まず組成の面から見ると上記薄膜は、Si:28.5
〜42.8at%,O:0〜67.5at%,N:0.1〜57.1at%,H:0.1〜1
6.7at%により組成される。
Si,O,N,Hの内、HはN−H結合およびO−H結合の形
で取り込まれるが、N−H結合の形で取り込まれたHの
量;H(N−H)の、O−H結合の形で取り込まれたHの
量;H(O−H)に対する比;H(N−H)/H(O−H)が
1以上である。
光学特性の面からすると、上記薄膜の屈折率nは波長
632.78nmの光に対して、1.46≦n≦2.2の範囲内にあ
り、光学的バンドギャップEgは、1.8≦Eg≦6.5eVの範囲
内にあり、薄膜の赤外線吸収スペクトルは上記N−H結
合に起因する吸収ピークを波数3400cm-1付近に持ち、吸
収波数ν(N−H)は3330cm-1≦ν(N−H)≦3400cm
-1の範囲にある。
請求項2の光学部材は、上記請求項1の全ての特徴に
加えて、薄膜の屈折率が膜厚方向に変化しているという
特徴を有する。
薄膜に関する上記組成を原子結合模型により示すと以
下のようになる。即ちO,Nの量に就いては を核となるSi原子の原子数で、0.1%含むSiONH組成(S
i:33.3at%,O:67.5at%,N:0.1at%,H:0.1at%)から、 を核となるSi原子数で0.1%含むSiNH組成(Si:42.8at
%,N:57.1at%,H:0.1at%)までであり、またHの量に
就いては、光学部材として適正な範囲の上限がSi6N9H3
組成に於ける16.7at%である。O,N,Hの残部がSiの量と
なる。
[作用] 一般に、Si,O,N,Hから構成される薄膜は、赤外領域か
ら紫外領域にわたって高い光透過性を示すので光学部材
に適している。
屈折率に就いては、SiとOのみを含むSiO2の屈折率が
1.45、SiとNからなるSi3N4では2.2であるが、本発明の
光学部材に用いる薄膜は、上記SiO2とSi3N4の中間の任
意の組成をとることが可能であるので、上述の如く1.46
から2.2の屈折率範囲で任意に設定できる。この屈折率
範囲は、従来から光学部材の材料として用いられている
多くの他の材料、例えばAl2O3;1.45,ZrO2;2.05等の屈折
率を含んでいる。即ち、本発明の光学部材に用いる薄膜
は条件Iを有効に満足する。
光学的バンドギャップEgの範囲も薄膜の作製条件によ
り1.8〜6.5eVの範囲で任意に設定できるので、これを最
大に設定したときは波長200nm程度の紫外線の伝送が可
能であるし、最小に設定すると可視光を伝送できる。従
って、薄膜の吸収端を紫外領域から可視領域にわたる広
い波長領域に設定することができる。
次ぎに、条件IIの光減衰量に就いて見ると、本発明に
於いては光学部材に用いられる薄膜は、薄膜中に含まれ
るHに就いて、N−H結合の形で取り込まれたHの量;H
(N−H)の、O−H結合の形で取り込まれたHの量;
(O−H)に対する比;H(N−H)/H(O−H)が1以
上である。即ち、HはO−H結合の形に比べてN−H結
合の形でより多く薄膜中に取り込まれている。O−H結
合の形で取り込まれた場合は、前述のように伝送光に対
する光減衰が大きいが、本発明ではHの多くがN−H結
合の形で薄膜中に取り込まれるためO−H結合の割合が
相対的に低下し、O−H結合に起因する光減衰は有効に
軽減される。
また、薄膜中にHが添加されることにより薄膜作製中
に薄膜に歪みが発生しにくくなるので、条件IIIも有効
に満足される。
一方、シリコン酸窒化膜中のN−H結合による吸収に
就いては、Journal of Electro−chemical Society vo
l.133 No.7 1986のW.A.P.Claassen et alによる論文中
に検討されており、それによればN−H結合による吸収
波数は、Si原子と結合したN原子とO原子の数に対応し
て変化し、結合形と吸収波数の関係は次ぎの表1の如く
である。
シリコン酸窒化膜は、表1に示した4種の結合形が、
ある割合で混合した組成を有しており、波数3400cm-1
近の吸収ピークは、上記4種の結合形に応じた吸収が、
上記組成における含有量に応じた強度で重畳したものと
して与えられる。
一方に於いて、薄膜の屈折率は薄膜を構成する物質の
特性の外に、一般に薄膜に於ける充填係数の影響を強く
受ける。
「充填係数」は、薄膜中の実質部分と隙間部分の比を
表すものであり、隙間の多い膜ほど充填係数は小さい。
薄膜の屈折率は薄膜の組成が同じでも充填係数により変
化する。
一般に、充填係数の小さい、即ち隙間の多い薄膜は、
屈折率、誘電率、光透過率、絶縁耐電圧等の特性が経時
的に変化しやすいため、光学部材への使用に適さない。
さて、本発明のようにN−H結合の吸収波数を「N−
H結合に起因する吸収ピークを波数3400cm-1付近に持
ち、吸収波数ν(N−H)が3330cm-1≦ν(N−H)≦
3400cm-1の範囲にある」ように規定すると、結合形と吸
収波数に関する表1の対応関係を用いて、吸収波数から
N−Si結合とO−Si結合の組成比が明かになり、これに
より薄膜の有するべき屈折率(充填率1に於ける値)が
決定される。従って、薄膜の設計上のN−H結合に対応
する吸収波数から決定した組成に於いて薄膜が有するべ
き屈折率(充填率1に於ける値)と、実際の薄膜の屈折
率を比較することにより薄膜の充填率が1であるか否か
を知ることができ、充填率1となった薄膜の薄膜形成条
件により充填率を1とする条件も知ることができる。
このようにして、充填率が略1の薄膜を確実に作製で
きる。この薄膜は充填率が略1であるため経時的な変化
が少なく、その特性が長期にわたって安定している。従
って、条件IVが有効に満足される。
事実、N−H結合による吸収波数が3300cm-1〜3400cm
-1の範囲にある上記薄膜は、上記条件I〜IVを良好に満
足することが実験的に確認された。
また、本発明の光学部材に使用される薄膜は、適当な
作製法を用いることにより250℃以下という極めて低温
での作製が可能である。従って、本発明の光学部材に使
用される薄膜は、条件Vをも満足する。
本発明の光学部材に用いる薄膜の作製方法としては、
高周波プラズマCVD法、ECRプラズマCVD法等、各種の薄
膜作製法を利用できる。
高周波プラズマCVD法を使用するときはシリコン源と
してSiH4、酸素および窒素供給源としてCO2,N2,NH3の混
合ガスを用い、SiH4に対する上記混合ガスの比が1:5〜
1:200好ましくは1:200前後で行なうことが可能である。
さらに、混合ガス中のCO2/(NH3+N2)を0〜10好まし
くは0〜2の範囲で変化させると薄膜の屈折率を連続的
に変化させることができる(請求項2の発明)。
またシリコン源としては、SiH4の他に、Si2H6,SiCl4,
SiF4等、Siを含む無機化合物や、Si(OCH44,Si(OC2H
54,Si(CH3等のSiを含む有機化合物でガス化し得
るものが使用可能であり、酸素および窒素供給源の混合
ガスとしては上記のもののほか、CO,N2O,NO,O2等のうち
のいくつかを組合せたものを用いることができる。
また、薄膜作製時の条件は原料ガス圧力が10-2〜10To
rr、RF電力は電力密度が0.01〜10W/cm2、好ましくは0.1
〜3W/cm2、基板温度は100〜500℃、好ましくは150〜250
゜で良好な薄膜作製が可能である。
またECRプラズマCVD法で薄膜作製を行なうときも、上
記高周波プラズマCVD法の場合と同様の原料ガス、基板
温度で薄膜作製が可能であり、原料ガスの圧力範囲は10
-5〜10-2Torr、μ波電力100W〜5KWで行ない得る。
次ぎに、請求項2の発明に就き説明すると、前述のよ
うに本発明の光学部材に用いる薄膜は、作製条件により
屈折率を変えることが出来るので、薄膜作製中に作製条
件を変化させることにより薄膜中の屈折率を膜厚方向へ
変化させることができる。換言すれば薄膜中に、複数
の、互いに屈折率の異なる領域を任意の厚さで作製でき
る。
厚み方向に屈折率のことなる構造の薄膜は、屈折率の
異なる薄膜を積層して堆積し、実現することも出来る
が、この作製方法では屈折率の異なる各層の界面部が、
作製環境中に浮遊する不純物粒子に一旦さらされること
になり、これら粒子の影響により上記界面部が凹凸ある
荒れた状態となることを避け難い。各層を作製する際に
基板を外気に曝さないロードロック機構を用いて、極め
て高度の真空中で成膜を行なっても作製環境中には依然
として多数の有機物粒子等の浮遊があり、これらが界面
に吸着して凹凸を形成する問題は避けがたい。
しかるに、本発明の光学部材に使用される薄膜の形成
の際、作製条件を変化させることにより得られる薄膜で
は、屈折率を変化させた膜厚部分の形成の際、界面部に
不純物が集中して混入することがないので屈折率の変化
する界面が極めて平滑に作製される。
また、屈折率の異なる膜厚間の屈折率が連続して変化
する領域は、例えばRFプラズマCVD法の場合、その堆積
速度が、数10Å/分から1μm/分程度の範囲であるか
ら、屈折率を変化させるための操作に要する時間を数秒
以内で終了することも可能であり、また原料ガスを徐々
に変化させることも可能であるから、上記領域の厚さも
10Å以下から100μm以上まで制御することが可能であ
る。従って、例えば原料ガスを急激に変化させることに
より導光路や光導波路、カットオフフィルターや増反射
コーティング、無反射コーティング、マイクロレンズ
等、屈折率の異なる複数の領域を持つ光学部材に於いて
重要な、屈折率の急峻な変化を持つ界面を厚さ数Åのオ
ーダーで容易に得ることもできる。
また、原料ガスの徐々の変化により膜厚方向に連続し
た屈折率の分布を持つ薄膜が得られる。この薄膜は屈折
率分布型導波路や屈折率分布型レンズアレイ等に利用で
きる。
もっとも、請求項2の発明は請求項1の発明の特徴に
加えて、薄膜の屈折率が厚み方向に変化している点を特
徴とするものであるから、屈折率の異なる薄膜を積層し
たものであっても、積層された各薄膜が、請求項1の薄
膜の特徴を有するならば、やはり請求項2の発明の光学
部材を構成する。このような例は、後に説明する実施例
2のマイクロレンズの場合が、これに該当する。
[実施例] 以下、具体的な実施例を5例説明する。
実施例1,2は請求項1の発明に関する実施例であり、
実施例3〜5は請求項2に関する実施例である。
実施例1 実施例1は、請求項1の発明を単層光導波路として実
施した例である。
第1図は、この単層光導波路を説明図として示してい
る。符号10は基板、符号12は薄膜を示している。薄膜12
はSiH4,N2,NH3,CO2の混合ガスを原料とする高周波プラ
ズマCVD法により作製された。作製条件は以下の通りで
ある。
薄膜作製条件 作製圧力 :1.0Torr 基板材料 :ホウケイ酸ガラス 基板温度 :250℃ RF電力密度:300mW/cm2 上記条件で作製されたサンプル1〜5に対する評価を
表2に示す。
この表2に於いて、吸収波数とあるのはN−H結合に
より吸収される光波の波数で単位はcm-1、光減衰量の単
位はdB/cm、Egとあるのは光学的バンドギャップで単位
はeV、膜応力の単位は108dyn/cm2である。勿論A,Bは前
述したように薄膜中にそれぞれO−H結合、N−H結合
の形で取り込まれたHの量を表す。
実施例2 実施例2も、請求項1の発明を単層光導波路として実
施した例であり、実施例1の単層光導波路と同じく第1
図の如き構成である。
薄膜の作製方法は、高周波プラズマCVD方であり、作
製条件は以下の通りである。
薄膜作製条件 作製圧力 :1.0Torr 基板材料 :ホウケイ酸ガラス RF電力密度 :300mW/cm2 流量(SCCM):SiH4 N2 CO2 NH3 1 140 20 40 このように、この実施例では各サンプル1〜5の作製
に於ける原料ガスの流量は共通であるが、各サンプルご
とに基板温度が異なる。
上記条件で作製されたサンプル1〜5に対する評価を
表3に示す。
各量の単位等は、実施例1に関する表2に準拠する。
このように、本発明を単層光導波路として実施する場
合、実施例1に示すように原料ガスの流量の比率を変え
ることにより屈折率を広い範囲で再現性良く変化させる
ことができ、実施例2に示すように基板温度150℃とい
う極めて低い温度でも良好な薄膜形成を実現できる。
さらに、実施例1,2に示すようにこれら単層光導波路
は十分に大きな光学的バンドギャップに於いても光減衰
量が小さい。成膜時に発生する歪みも十分に小さく、薄
膜作製中に薄膜が破断したり、あるいは成膜後に基板が
反ったり、膜が剥離したりすることがない。また薄膜の
充填率が1に極めて近いため特性も長期にわたって安定
している。
実施例3 実施例3は、請求項2の発明をマイクロレンズとして
実施した例である。
第2図に示すように、基板10として厚さ1mmのホウケ
イ酸ガラスを準備した。
この基板10の上に、高周波プラズマCVD法により低屈
折率の薄膜14を厚さ20μmに堆積する。具体的には、実
施例1のサンプル5の作製条件と同じ条件で、サンプル
5のとものと同じ薄膜として、薄膜14を形成した。従っ
て、この薄膜14に於ける組成は、上記実施例1のサンプ
ル5と同じく、Si:33.9at%,O:59.0at%,N:5.0at%,H
(O−H):0.1at%,H(N−H):2.0at%であり、N−
H結合による赤外吸収波数3400cm-1、屈折率1.47であ
る。
この薄膜14の上に、フォトリソグラフィーによりマイ
クロレンズの直径より若干小さい開口径(40μm)を持
つレジストマスクを形成し、薄膜14を、フッ化アンモニ
ウムとフッ酸の10:1混合液をエッチング液として5μm
の深さまで化学エッチングした。このようにして直径50
μmの窪みが薄膜14に形成された。
続いて、酸素プラズマによりレジストマスクを除去
し、再び高周波プラズマCVD法により、高屈折率薄膜を
堆積する。具体的には、実施例1におけるサンプル2の
作製条件と同一条件で成膜し、高屈折率薄膜として、S
i:40.9at%,O:14.5at%,N:37.5at%,H(O−H):0.1at
%,H(N−H):7.0at%、N−H結合による赤外吸収波
数3340cm-1、屈折率1.67の薄膜を厚さ5μmに形成し
た。
その後、マイクロレンズとなる部分にレジストマスク
をフォトリソグラフィーにより作製し、レジストマスク
の下の部分を除き、高屈折率の薄膜部分をドライエッチ
ング法で除去し、第2図に示すように高屈折率部分16を
レンズ形状に残し、マイクロレンズを得た。
なおドライエッチング法は、CHF3:50SCCM、圧力10-1T
orr、高周波電力1000W、イオンエネレギー400eVの条件
によるリアクティブイオンエッチング法で行った。
このようにして得られたマイクロレンズの焦点距離は
473μmである。マイクロレンズの特性としてのこの焦
点距離は、500℃の温度下による1時間のアニールの前
後で全く変化しなかった。
実施例4 実施例4は請求項2の発明を多層構造光導波路として
実施した例である。第3図(I)は、その構成を説明図
として示している。符号10は、第1図、第2図と同じく
基板を示し、この基板はホウケイ酸ガラスである。基板
10上には、3層の薄膜16,18,20が積層される。
即ち、基板10の表面を清浄にしたのち、真空中にて加
熱して、基板温度を250℃に設定した。
そして先ず、実施例1に於けるサンプル5と同一の作
製条件で、屈折率1.47の低屈折率層16を成膜した。続い
て、実施例1のサンプル2と同一の作製条件で、屈折率
1.67の高屈折率層18を成膜し、その後、上記低屈折率層
16と同一条件で、低屈折率層20を成膜した。
従って、低屈折率層16,20は屈折率1.47で、その組成
は、Si:33.9at%,O:59.0at%,N:5.0at%,H(O−H):
0.1at%,H(N−H):2.0at%であり、高屈折率層18は
屈折率1.67で、組成はSi:40.9at%,O:14.5at%,N:37.5a
t%,H(O−H):0.1at%,H(N−H):7.0at%であ
る。
第3図(II)に示すように、第1層16と第3層20、即
ち低屈折率層の厚さは4.5μm、第2層18の厚さは10.2
μmである。
また、各層間の境界部に於いて、原料ガスの成分比率
を変化させる時間は0.5秒とした。膜の堆積速度は略10
Å/secであるので、各層の境界面部を構成する屈折率変
化層の厚さは5Åに抑えることができた。
走査型電子顕微鏡により観察したが上記境界面部分に
は凹凸が見られず、急峻な屈折率変化を持つ滑らかな境
界面が形成された。
このようにして得られた多層構造型光導波路の光減衰
量を測定したところ0.1dB/cmであった。この値は、薄膜
により作製された光導波路としては未だかって達成され
なかったものである。
また、この光減衰量は500℃の温度下による1時間の
アニールの前後で全く変化しなかった。
実施例5 実施例5は請求項2の発明を屈折率分布型光導波路と
して実施した例である。第4図(I)に示すように、こ
の光導波路は基板10上に、厚み方向に屈折率分布を有す
る薄膜30を形成してなる。
基板10として厚さ1mmのホウケイ酸ガラスを用い、基
板温度を250℃にして、高周波プラズマCVD法により成膜
を行った。
原料ガスとしてSiH4,N2,NH3,CO2を用い、まず、これ
らの流量を屈折率1.47に合わせてSiH4:1SCCM,N2:105SCC
M,NH3:5SCCM,CO2:100SCCMに設定し、この流量から、屈
折率1.51の条件であるSiH4:1SCCM,N2:110SCCM,NH3:10SC
CM,CO2:80SCCMまで、時間を10分間かけて徐々に変化さ
せ、その後、再び10分間かけて上の状態を逆に辿ること
により、厚さ1.1μmの薄膜を得た。薄膜の厚さ方向に
於いて、Si,O,N,Hの組成は、第4図(II)に示す如く変
化している。
図に示す、第1、第2の低屈折率領域での組成は基板
10の直上と薄膜30の表面で、Si:33.9at%,O:59.0at%,
N:5.0at%,H(O−H):0.1at%,H(N−H):2.0at%
であり、高屈折率領域の中央部で、Si:34.2at%,O:46.5
at%,N:16.1at%,H(O−H):0.1at%,H(N−H):3.
1at%であり、上記中央部を境にして膜厚方向へ対称的
に変化しており、これに応じて屈折率の変化も上記中央
部を境として厚み方向へ対称的に変化している。
この屈折率分布のため、薄膜30を伝わる光は薄膜30内
に閉じ込められて伝送される。光減衰量は0.1dB/cmと極
めて小さい。
この光減衰量は500℃の温度下による1時間のアニー
ルの前後で全く変化しなかった。
[発明の効果] 以上、本発明によれば、薄膜を用いた新規な光学部材
を提供できる。この光学部材は、これに使用される薄膜
が、上記の如き構成となっているので、屈折率を再現性
良く変化させることができ、光減衰量が小さい。従っ
て、光学部材として良好な適性を有している。また、薄
膜作製時に膜中に発生する歪みが十分に小さいから、製
造の歩留まりも良く、製造後も基板の反りや、膜剥がれ
が生じない。さらに特性が長期にわたって安定している
から製品としての価値も高い。
また、低温で作製が可能であるから、半導体素子と集
積する場合に、半導体素子の作製後に集積を行っても半
導体素子を損なうことがない。また本発明の光学部材に
用いる上記薄膜は耐熱性が良いので、薄膜形成後に半導
体素子の集積を行っても熱により損なわれることは無
い。従って、素子集積の自由度が大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は、請求項1の発明の実施例を説明するための
図、第2図は、請求項2の発明の1実施例たるマイクロ
レンズを説明するための図、第3図は、請求項2の実施
例である多層構造型導波路を説明するための図、第4図
は請求項2の発明の実施例である屈折率分布型光導波路
を説明するための図である。 10……基板、12……薄膜

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成された薄膜を用いた光学部材
    であって、 上記薄膜は、Si:28.5〜42.8at%,O:0〜67.5at%,N:0.1
    〜57.1at%,H:0.1〜16.7at%により組成され、薄膜中に
    N−H結合の形で取り込まれたHの量の、O−H結合の
    形で取り込まれたHの量に対する比が1以上であり、 上記薄膜の屈折率nは、波長632.78nmの光に対して、1.
    46≦n≦2.2の範囲内にあり、光学的バンドギャップEg
    は、1.8≦Eg≦6.5eVの範囲内にあり、 且つ上記薄膜が、その赤外線吸収スペクトルにおいて、
    上記N−H結合に起因する吸収ピークを波数3400cm-1
    近に有し、その吸収波数ν(N−H)が3330cm-1≦ν
    (N−H)≦3400cm-1であることを特徴とする、薄膜を
    用いた光学部材。
  2. 【請求項2】請求項1に於いて、 薄膜の屈折率が膜厚方向に変化していることを特徴とす
    る、薄膜を用いた光学部材。
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