JP2746521B2 - Al−Zn−Mg系合金の巨大化合物の発生防止方法 - Google Patents

Al−Zn−Mg系合金の巨大化合物の発生防止方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、航空機、車両等に使用
される展伸用Al-Zn-Mg系合金の巨大化合物の発生防止方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】展伸用Al合金のなかで、Al-Zn-Mg系合金
は強度、溶接性等の諸特性に優れるため、鉄道車両等の
溶接構造材料として汎用されている。このようなAl-Zn-
Mg系合金においては、強度、耐応力腐食割れ性、溶接性
等の改善のため、主要合金元素であるZn、Mg以外にMn、
Cr、Ti、Zr等の合金元素が添加されるのが普通であり、
現在、これら元素を含有した合金として実用化されてい
る。
【0003】このように、Al-Zn-Mg系合金においては、
Mn、Cr、Ti、Zr等の合金元素が添加されるが、これらの
元素は、強度、耐応力腐食割れ性、溶接性等の諸性質が
最も良好となるように適正量が添加されている。例え
ば、代表的Al-Zn-Mg系合金であるJIS 7N01合金の場合、
Mn、Cr、Zr、Tiの規格値は、Mnは 0.2〜0.7 %、Crは0.
3 %以下、Zrは0.25%以下、Tiは0.2 %以下である。
【0004】しかしながら、このような規格範囲におい
て、これら元素を添加した場合、次のような問題点があ
った。これら元素の添加量が多い合金溶湯を溶製し、半
連続鋳造等の通常の方法で鋳造し、鋳塊を製造した場
合、鋳塊内には凝固時、巨大な金属間化合物(以下、巨
大化合物という)が生成してしまうという問題があっ
た。
【0005】このような巨大化合物は通常数10ミクロン
〜数100 ミクロン、極端な場合には数ミリメートルにも
達するものであり、これらが鋳塊内に生成した場合、こ
れら巨大化合物は、その後の圧延、押出、鍛造等の加工
工程中に消失することはなく、最終製品の板材あるいは
押出材等の加工材中に残存することになる。最終製品中
に残存したこれら巨大化合物は、鉄鋼等の金属材料中に
おける介在物と同様、最終製品の強度、延性、靱性、疲
労強度等の諸性質を劣化させたり信頼性を低下させたり
することは既によく知られるところである。
【0006】例えば、巨大化合物の発生が多く、鋳塊全
体に発生した場合、その鋳塊から押出等の加工工程を経
て製造された製品あるいは部品は巨大化合物を含むの
で、これら巨大化合物が疲労破壊の起点となったり、亀
裂の進展を助長するため、疲労強度の低下を引き起こす
ことになる。また、巨大化合物の発生が比較的少なく、
鋳塊内に局部的に散在して巨大化合物が存在する場合、
巨大化合物を含んだ部分の鋳塊から製造された製品ある
いは部品は、含まない物に比べて疲労強度特性が低くな
る。
【0007】このように、巨大化合物が発生する場合、
その発生の程度により、健全な特性を示す製品および部
品の歩留りが変化し、安定して信頼性の高い製品および
部品を供給することが困難となる。また、巨大化合物は
圧延、押出、鍛造等の加工時に割れ等の原因となり、加
工を阻害する原因になる場合もある。
【0008】以上のような有害な巨大化合物に関して
は、これまでいくつかの合金系について比較的詳細に調
査されており、以下のように報告されている。まず、高
力系Al-Zn-Mg-Cu 系合金であるJIS 7075合金ならびにAl
-Mg 系合金であるJIS 5083合金においては、巨大化合物
は凝固時α-Al が晶出する以前に初晶として晶出し、ま
た、その組成はMn、Fe等を含有したCrAl7 金属間化合物
であるとされている(参考文献、(1)M.K.B.Day:J.I.M
85(1956-57),263 、(2)L.E.Steele,et al:J.I.M88(1959
-60),260、(3)Donald J.Beerntsen:Metallurgical Tran
sactions B 8B(1977)687、(4) 吉川 他: 軽金属 29(19
79)4、144 )。その防止方法としては、CrAl7 相の初晶
線以下にMn、Cr濃度を低減、制御することが必要とさ
れ、種々の初晶線に関する式が提案されている。
【0009】また、Al-Mn 系合金であるJIS 3004合金で
は、巨大化合物は7075、5083合金と同様、初晶化合物で
あり、その組成は(Fe,Mn)Al6と報告されている(参考文
献、吉川 他: 軽金属 33(1983)10 、602 )。さらに、
Al-Zn-Mg系合金では、上述の合金と同様、巨大化合物は
Tiを含有したZrAl3 系の初晶化合物(以下、(Ti,Zr)Al3
という)であり、ZrならびにTi量の低減がその防止に効
果があるとされている(参考文献、佃 : 軽金属学会第
19回シンポジウム、「アルミニウムの連続鋳造技術と鋳
塊組織」、P.65)。しかしながら、その低減の目標値に
ついては、Zrに関しては定量的な値が提案されているも
のの、Tiに関しては明確な定量値は提案されていない。
【0010】以上のように、これまでの研究によれば、
巨大化合物は初晶として晶出する金属間化合物であり、
その組成は合金系により種々異なるものの、各合金系に
ついていずれも1種類の巨大化合物が生成し、その防止
のための初晶線が提案されてきた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、各合金
系について巨大化合物を防止するための初晶線が提案さ
れ、Al-Zn-Mg系合金についても、ZrAl3 系巨大化合物を
対象としてその初晶線が提案されてきた。これまで提案
されてきた初晶線は主として平衡実験の結果より決定さ
れたものであり、従って、Al-Zn-Mg系合金溶湯が平衡に
近い条件下で冷却、凝固する場合、すなわち、極めて長
時間を要して冷却、凝固する場合の晶出挙動から決定さ
れたものである。
【0012】しかしながら、現在、工業的にAl-Zn-Mg系
合金鋳塊を製造するプロセス、例えば、半連続鋳造法、
あるいは砂型、金型等の重力鋳造法では、鋳造された溶
湯は、通常非平衡的に冷却、凝固する、すなわち、ある
程度の冷却、凝固速度を有して凝固するのが普通であ
る。
【0013】このような非平衡凝固条件下では、前述の
初晶線は必ずしも巨大化合物の挙動を正確に表しておら
ず、ある程度の誤差が発生するのが普通である。例え
ば、凝固時の冷却速度が比較的大きい場合、初晶化合物
は溶湯中で核生成、成長する時間的余裕がなくなるた
め、前述の初晶線を越えるZr、Ti濃度でも大きく成長し
ないか、あるいは、極端な場合には全く生成しない場合
がある。
【0014】従って、平衡値に基づく初晶線から決定さ
れたZr、Ti濃度は巨大化合物の発生に対しては安全側の
低目の値となり、前述の特性を満足させるには、濃度が
不足する場合が発生するのである。
【0015】一方、近年、金属材料製品に要求される特
性はますます多様化、高度化してきており、そのために
は要求特性に応じて特性を制御する必要性が極めて重要
となってきている。Al-Zn-Mg系合金製品についても例外
ではなく、用途、ユーザ等に応じて強度、延性、耐応力
腐食割れ性、溶接性等の諸特性を種々に制御し、作り分
けることが要求されており、そのためには目標特性に応
じてZr、Ti等の合金元素の添加量を種々のレベルに制御
する必要がある。
【0016】このように、要求特性に応じて、Zr、Tiの
添加量を種々に変化させ、合金の特性を制御することが
要求される中で、従来の平衡論的に求められた初晶線に
基づいてZr、Ti量を一律に一定値以下に規制して巨大化
合物を防止する従来の方法では、種々の特性を有する合
金を製造することは極めて困難であり、Zr、Tiの添加量
を初晶線濃度以上に増加させても巨大化合物が発生しな
い製造方法を確立する必要があった。
【0017】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたもので、Zr、Tiを添加したAl-Zn-Mg系合金の鋳
造に際し、(Ti,Zr)Al3巨大化合物の生成温度からα-Al
の晶出する共晶温度間の冷却通過時間を制御することに
より、Zr、Tiの添加量を初晶線濃度以上に増加させても
(Ti,Zr)Al3巨大化合物の発生を防止するAl-Zn-Mg系合金
の巨大化合物の発生防止方法を提供することを目的とす
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】第1の手段は、初晶線か
ら決まる平衡値以上にTi、Zrを添加したAl-Zn-Mg系合金
の鋳造に際し、(Ti,Zr)Al3巨大化合物の生成温度からα
-Al の晶出する共晶温度間の冷却通過時間taを、 ta< 79.39・ exp[-47.91〔 (%Zr+0.909%Ti)-0.127
〕] となるように溶湯の冷却条件を制御することにより(Ti,
Zr)Al3巨大化合物の発生を防止するAl-Zn-Mg系合金の巨
大化合物の発生防止方法である。
【0019】第2の手段は、(Ti,Zr)Al3巨大化合物の生
成温度Tzを Tz=589.0+470.5(%Zr+0.909%Ti) から求める請求項1記載のAl-Zn-Mg系合金の巨大化合物
の発生防止方法である。
【0020】
【作用】本発明者らは、JIS 7N01合金のZr系巨大化合物
について鋭意研究した結果、Zr系巨大化合物((Ti,Zr)Al
3)の生成は、凝固時の冷却速度に強く依存し、冷却速度
が大きい程その生成は抑制され、従って、冷却速度(も
しくは凝固速度)に応じてZr、Tiの添加量を制御すれば
巨大化合物の発生を防止可能であるという知見にもとづ
いて本発明に至ったものである。
【0021】本発明者らは、Zr、Ti以外の合金元素の組
成がJIS 7N01合金の規格内にある組成範囲において、平
衡実験を重ねた結果、(Ti,Zr)Al3初晶化合物はα-Al の
晶出温度(648.8℃) 以上で晶出し、その晶出温度Tz
(℃) は、 Tz=589.0+470.5(%Zr+0.909%Ti) ………………………………(1) であること、また、この結果より(Ti,Zr)Al3初晶化合物
の初晶線は 648.8℃で %Zr+0.909%Ti=0.127 ……………………………………………(2) となることを明らかにした。
【0022】従って、凝固速度(もしくは冷却速度)に
よらず(Ti,Zr)Al3初晶化合物の生成を防止するには%Zr
+0.909%Ti<0.127 を満足するZr、Ti濃度を選択すれば
よいことが明らかとなった。
【0023】本発明者らは、これらの結果をもとにさら
に研究を重ねた結果、JIS 7N01合金溶湯が凝固する時、
(Ti,Zr)Al3初晶化合物が生成するのに要する時間t(分)
とZr、Ti濃度との間には、以下の関係があることを明ら
かにした。 t = 79.39・ exp[-47.91〔 (%Zr+0.909%Ti)-0.127 〕]…(3)
【0024】ここに、t は、鋳造された溶湯が冷却する
際、前記式(1) で求められる(Ti,Zr)Al3初晶化合物の生
成温度Tzからα-Al の晶出温度(648.8℃) までの間を通
過するに要する時間である。すなわち、Zr、Ti濃度があ
る値に決まれば、その時の凝固条件が前記式(3) から計
算される時間t 以下であれば(Ti,Zr)Al3初晶化合物を発
生せずに凝固させることができるのである。
【0025】上記式(1) 、(2) 、(3) を用いれば、例え
ば、次のようにして巨大化合物を防止することが可能で
ある。
【0026】 式(2) から決まる平衡値以上にZr、Ti
を添加したい場合、所望のZr、Ti濃度を上記式(3) に代
入することにより時間t を算出する。この値をtaとす
る。
【0027】 上記で決定した所望のZr、Ti濃度と
式(1) から(Ti,Zr)Al3初晶化合物の晶出温度Tzを求め
る。次に、半連続鋳造、重力鋳造等使用する実際のプロ
セスにおいて、溶湯が凝固する時の冷却条件、具体的に
は、溶湯の冷却曲線、降温曲線、冷却速度等から溶湯が
実際に温度Tzと 648.8℃間を冷却通過する時間を求め
る。この時間をtbとする。
【0028】ここで、溶湯が凝固する時の冷却曲線等を
求める方法としては、実際のプロセスについて温度測定
を実施する方法、あるいは、近年盛んに行われている数
値解析によるシミュレーション法等いずれでもよく、要
は実際のプロセスにおける冷却条件が把握できればよ
い。
【0029】 上記で求めたtaと上記で求めたtb
の両者の比較により、tb<taであれば(Ti,Zr)Al3初晶化
合物の発生なく鋳造が可能である。
【0030】 また、計算の結果、tb>taとなった場
合には、tb<taを実現できるように鋳造条件を変更すれ
ばよい。例えば、半連続鋳造の場合では、鋳塊寸法、引
き抜き速度、冷却水量等を変更して溶湯が冷却するとき
の条件を変更、制御するのである。また、重力鋳造の場
合には、鋳物の形状、寸法、鋳型材質、チルの位置、大
きさ等を変更して溶湯が冷却するときの条件を変更、制
御する。その他、水、空気等による強制冷却等も冷却条
件の変更に有効である。
【0031】 また、上記とは逆に、使用するプロセ
スが決定され、溶湯の冷却条件を変更できない場合、そ
のプロセスから決まる時間tbを上記式(3) のt に代入す
ることにより、%Zr+0.909%Tiの上限値を求め、この値
以下になるようにZr、Ti量を決定すれば、同様に、(Ti,
Zr)Al3初晶化合物の発生なく鋳塊あるいは鋳物を製造す
ることも可能である。
【0032】以上述べたように、本発明によれば、平衡
論的に求められた初晶線濃度以上にZr、Tiを添加したい
場合、所望のZr、Ti濃度に応じて、鋳造条件、すなわち
凝固条件を選択すれば巨大化合物の生成なしに鋳造する
ことが可能であり、また、逆に、鋳造条件に応じて巨大
化合物の発生しないZr、Ti濃度を選択することも可能と
なった。
【0033】
【実施例】以下に、本発明の実施例について説明する。 実施例1 Ti、Zr濃度を種々に変化させ、これら元素以外のMg、Z
n、Cr、Mn等の元素濃度はJIS 7N01合金相当とした表1
に示す種々の合金150gを黒鉛るつぼ中で 750℃で溶製し
た。溶解後の溶湯を、凝固時の冷却速度を種々に変化さ
せることができるように、金型、耐火物等の材質が種々
の鋳型に鋳造し、鋳塊を作製した。作製した鋳塊の寸法
は直径40mm、高さ約50mmである。この時、鋳型内に事前
に設置した熱電対により、凝固時の温度変化を測定し
た。作製された鋳塊を中心で縦方向に切断後、断面の顕
微鏡観察により、(Ti,Zr)Al3巨大化合物の生成の有無を
調査した。得られた結果を表2に示す。なお、ZrとTi濃
度(%Zr+0.909%Ti)は平衡論的に求めた初晶線濃度を
越えている。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】表2のtaは前述したように、Ti、Zrの組成
から式(3) で計算された時間(冷却通過時間)t であ
る。また、tbは熱電対により測定した温度変化(冷却曲
線)より前述の定義に基づき求めた時間であり、前述の
ように、(Ti,Zr)Al3化合物の生成温度からα-Al の晶出
温度 648.8℃間を温度降下するに要した時間(冷却通過
時間)に相当する。また、表2には、前述の巨大化合物
の生成温度TzおよびTzと648.8℃間の冷却速度も合わせ
て示した。
【0037】同表のNo.1-1、1-2 、1-3 は同一組成の溶
湯を冷却速度を変えて凝固させたものであり、tbの値か
ら分かるように、No.1-1が最も冷却速度が大きく、次い
でNo.1-2、1-3 の順に冷却速度が小さくなっている。N
o.1-1〜1-3 の結果から分かるように、ta>tbの条件を
満足するNo.1-1では、巨大化合物は発生していないこと
が確認された。すなわち、式(3) から予測される冷却通
過時間taより短い時間で凝固したNo.1-1の場合には、巨
大化合物は発生しな。しかし、No.1-2、1-3 はta>tbの
条件を満足していないため、すなわち、式(3) から予測
される冷却通過時間taより長い時間で凝固しているた
め、巨大化合物が発生している。
【0038】同様に、No.2-1〜2-3 、 No.3-1 〜3-2 に
ついても、ta>tbの条件を満足するNo.2-1、2-2 、3-1
では、巨大化合物は発生していな。また、No.2-3、3-2
はta>tbの条件を満足していないため、巨大化合物が発
生している。
【0039】以上のように、平衡論的に求められた初晶
線濃度を越える組成でも、溶湯の冷却速度を本発明の冷
却条件に制御すれば巨大化合物を発生させることなく凝
固させることが可能となった。
【0040】実施例2 Ti、Zr濃度を種々に変化させ、これら元素以外のMg、Z
n、Cr、Mn等の元素濃度はJIS 7N01合金相当とした表3
に示す種々の溶湯を溶製し、断面寸法が各々300×1200m
m、400 ×1200mm、500 ×1200mmの鋳塊を半連続鋳造法
で造塊した。なお、鋳造長さは全て4000mmである。この
時、各鋳塊について、冷却速度の最も小さい鋳塊中心部
の冷却速度を熱電対により測定した。鋳造後の鋳塊の内
部組織を顕微鏡観察し、(Ti,Zr)Al3巨大化合物の生成の
有無を調査した。得られた結果を表4に示す。なお、Zr
とTi濃度(%Zr+0.909%Ti)は平衡論的に求めた初晶線
濃度を越えている。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】表4には、実施例1と同様、Ti、Zrの組成
から式(3) で計算される時間(冷却通過時間)ta、なら
びに凝固時の温度測定から得られる冷却通過時間tb、そ
の他、巨大化合物の生成温度Tz、Tzとα-Al の晶出温度
648.8℃間の冷却速度も合わせて示した。
【0044】同表から分かるように、鋳塊厚さが増すに
従い、鋳塊中心部の冷却速度が小さくなっている。厚さ
300mm 鋳塊のNo.1、2 の比較から分かるように、ta>tb
の条件が実現されているNo.1では(Ti,Zr)Al3巨大化合物
の発生は認められず、ta<tbのNo.2では(Ti,Zr)Al3巨大
化合物の発生が認められた。
【0045】同様に、鋳塊厚さが異なるNo.3、4 、5 の
場合についても、ta>tbの条件が満足されるNo.3、5 に
は、前記巨大化合物の発生は認められない。しかし、ta
<tbのNo.4では巨大化合物の発生が認められた。
【0046】これらの結果より、連続鋳造においては、
鋳塊厚さの減少にともない、鋳塊中心部の冷却速度が増
大するため、前述の式(2) に示される初晶線の平衡値以
上にTi、Zrを添加しても、巨大化合物を発生させずに鋳
造が可能であることが明らかである。従って、所望のT
i、Zr濃度に応じて、連続鋳造時の鋳塊寸法あるいは鋳
造条件(冷却条件)を変更すれば巨大化合物の発生が防
止可能となる。
【0047】
【発明の効果】本発明は、初晶線から決まる平衡値以上
にTi、Zrを添加したAl-Zn-Mg系合金の鋳造に際し、(Ti,
Zr)Al3巨大化合物の生成温度からα-Al の晶出する共晶
温度間の冷却通過時間を、前記巨大化合物の生成しない
冷却通過時間になるように溶湯の冷却条件を制御してい
るため、平衡論的に求められた初晶線を越えるTi、Zr濃
度でも、(Ti,Zr)Al3巨大化合物を発生させることなく鋳
造可能である。
フロントページの続き (72)発明者 飯塚 健三 栃木県真岡市鬼怒ケ丘15番地 株式会社 神戸製鋼所 真岡製造所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 1/02 503 B22D 21/04 B22D 27/04 C22C 21/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 初晶線から決まる平衡値以上にTi、Zrを
    添加したAl-Zn-Mg系合金の鋳造に際し、(Ti,Zr)Al3巨大
    化合物の生成温度からα-Al の晶出する共晶温度間の冷
    却通過時間taを、 ta< 79.39・ exp[-47.91〔 (%Zr+0.909%Ti)-0.127
    〕] となるように溶湯の冷却条件を制御することにより(Ti,
    Zr)Al3巨大化合物の発生を防止することを特徴とするAl
    -Zn-Mg系合金の巨大化合物の発生防止方法。
  2. 【請求項2】 (Ti,Zr)Al3巨大化合物の生成温度Tzを Tz=589.0+470.5(%Zr+0.909%Ti) から求める請求項1記載のAl-Zn-Mg系合金の巨大化合物
    の発生防止方法。
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