JP2739508B2 - 人工島の構築方法 - Google Patents

人工島の構築方法

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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、海、川等の水中において、函体を設けて構
築する人工島の構築方法に関するものである。
<従来の技術> 従来の人工島の形式としては、着底式又は座底式を用
いるものが存在する。
これらの函体の底面は、いずれも平板状である。
そして、函体を水底に着底させるには、函体内に水又
は土等を注入し、荷重を加えるといった方式がとられて
いる。
又、スカート式という方法もあるが、これは、函体の
重量だけで水底地盤に食い込ませるものである。
<本発明が解決しようとする問題点> 前記した従来の工法にあたっては次のような問題点が
ある。
<イ>函体の底板が平板式な場合を考える。
函体の底板が平面であるため、函体を水底に着底、安
定させるためには、水底面が平でなけれはならない。
そのため、水底に凸凹がある場合、函体の着底前に着
底予定地の水底面を掘削、捨石等によって均し、平面に
しなければならない。
しかし、波、潮流によって常時海底面が変動する海域
においての施工は困難である。
しかも、施工作業の妨げとなる流石等による海面の変
動を防ぐために、施工する周囲に仮説の護岸等を築造し
なければならないといった手間がかかる。
<ロ>着底後に発生する波、地震等による衝撃を考慮に
入れる時、従来の函体を用いた場合、安定性維持のめ
に、着底後の函体を水底にアンカーリングする必要があ
る。
その場合、杭又は錨鎖の使用によってその函体を水底
に固定しなければならない。
<ハ>海流(潮流)及び波による函体周辺の洗掘の対策
も必要となる。
従来の函体においては、据付直後、速やかに洗据付対
策として砂袋又は捨石の投入をする必要がある。
<ニ>現在、人工島築造時に使用する安定性、持続性、
耐久力を有し且つ、容易に施工可能な函体の提案か望ま
れている。
<本発明の目的> 本発明は、以上の問題点を解決するために成されたも
ので、安定性、持続性を有し、耐久性に優れ且つ容易に
施工できる人工島の構築方法を提供することを目的とす
る。
<本発明の構成> 以下、図面を参照しながら本発明の一実施例について
説明する。
<イ>函体 第1、2図には、本発明に関連する函体の一例を示し
た。
函体1は四方を囲む外壁2と、その外壁2上部の天井
板3とからなり、下部が開口し、その内部を内壁4で仕
切るよう構成する。
その結果、天井板3、外壁2及び内壁4で囲まれ、開
口部分を水面で密封した多数の気密室5に分割されるこ
ととなる。
函体1は、鉄鋼、鉄筋コンクリート又はその複合より
なり、円形、四角形、多角形のいずれの形にも対応でき
る。
<ロ>吸排装置 函体1の上には、吸排装置を設ける。
その吸排装置は、複数の吸排パイプ7と、吸排ポンプ
11とより構成する。
各気密室5上部には、吸排孔9を設け、吸排管弁8を
はさんで吸排パイプ7を接続する。
その各吸排パイプ7を集めて合流するよう集合パイプ
10を取り付ける。
集合パイプ10で合流した一本の吸排パイプ7は、吸排
弁8をはさんで吸排パイプ11に接続する。
<ハ>充填筒 充填筒13は、気密室5上部の天井板3に設ける。
充填筒13は、上方に給土弁12を取り付け、下方が開口
するように構成する。
この充填筒13は、土砂等を注入するためのものであ
る。
<ニ>ウオータージェットノズル 数個のウオータージェットノズル6は、各外壁2及び
内壁4の下部に設ける。
このウオータージェットノズルは、外壁2及び内壁4
を地中に圧入す際に噴射するよう構成する。
<作用> 次に函体1の作用について説明する。
<イ>曳航 あらかじめ構築しておいた函体1を海、川等に浮かべ
る。
次に、船舶等により人工島構築予定地まで曳航し、函
体1をその構築予定地に沈降する。
<ロ>沈降 函体1の天井板3に設けた吸排孔9より排出を行い、
下部が開口した函体1を沈降する。
気密室5内には、高圧で圧縮された空気が充填してい
る。
従って、吸排管弁8の開放によって気密室5内の空気
は、急激に上方に排出される。
気密室5内の空気の排出とともに函体1が、沈降し始
める。
排出の際には、各気密室5ごとに吸排管弁8を開閉し
て函体1のバランスを取る。
排出された空気は、複数の吸排パイプ7及び、吸排管
弁8を通過し、集合パイプ10で合流する。
集合パイプ10で合流した空気は吸排ポンプ11を通りそ
のまま排出する。
<ハ>荷重増加 より深く函体を圧入したい場合がある。
その際には、吸排ポンプ11を作動させる。
吸排ポンプ11の作動に伴い気密室5内が徐々に負圧と
なる。
すると、上方からの大気圧によって荷重が増加し、函
体1の外壁2及び内壁4は、水底深く更に圧入する。
圧入時に外壁2及び内壁4下部に設けたウオータージ
ェット6を噴射すれば、周囲の土砂を拡散し、スムーズ
に圧入することも可能である。
以上のような手順で函体を強固な盤に確実に着底す
る。
<ニ>土砂の充填 函体の圧入完了後、充填筒13より土砂等を注入する場
合もある。
土砂等を注入することにより受圧抵抗が増大する。
その結果、長期的に考えた場合に発生する可能性のあ
る不等沈下を防止できる。
<ホ>水載荷 更に、より大きな載荷荷重が必要な場合がある。
その際には、気密室5の天井板3上に追加の壁を設
け、その壁で枠を形成し、その枠内に水を搭載する。
これによって、更に大きな載荷荷重が得られる。
<ヘ>函体の拡張 上記までの作業で、1個の函体1の着底が完了する。
この函体の面積を拡張したい場合は、追加の函体を既
設の函体1に接続する。
これによって函体面積の拡張が可能となる。
<本発明の効果> 本発明は、以上に説明したようになるので次のような
効果が得られる。
<イ>自重着底した後、更により深く確実に着底させた
い場合がある。
その際、本発明では、吸排装置を使用し、気密室内を
負圧化することによって、函体を更に深い水底内へと圧
入することができる。
<ロ>従来の座底式、着底式を利用した函体は、底板が
平板であった。
従って、着底前に着底予定地を平にするための掘削機
械、杭打機械等の大型海洋作業機械及び作業船団等が必
要となっていた。
だが、本発明の函体の底は開口している。
そのため、着底前に掘削、捨石等の処理の必要がな
く、吸引ポンプを主体とした、一般的かつ小規模な建設
機械のみでの施工が可能となる。
又、上記の作業が必要ないので、施工する周囲の海域
での波、潮流等による海面の変動防止のために仮説する
護岸等も不要となる。
従って、大幅な施工の経済性が図れ、しかも、工期が
極端に短くなるといった効果がある。
<ハ>函体沈降は、各気密室上の吸排管弁の開閉によ
り、気密室内の空気を排出して行う。
従って、各吸排管弁の開閉を行い、気密室内の空気の
排出を夫々調整することにより函全体の傾斜を容易に修
正することができる。
<ニ>本発明では、気密室内を負圧化することにより、
函体を底深く圧入する。
そのため、洗掘されても函体の安定を維持することが
できる。
<ホ>両壁のみの支持力では、不足な場合もある。
その場合は、気密室の天井板に設けた充填筒から気密
室内に土砂等を注入する。
これにより、函体全面積で支持力を受け持つことがで
きる。
<ヘ>従来の函体においては、転用は不可能であった。
しかし、本発明の函体では、転用が可能である。
そのためには、気密室内に水又は、空気を圧入し、再
浮上させるという方法が考えられる。
<ト>更に、より大きな載荷荷重が必要な場合もある。
その際には、気密室の天井板上に追加の壁を設ける。
そして、その壁で枠を形成し、枠内に水を搭載するこ
とによって可能となる。
<チ>着底前に水底を掘削、捨石等の処理をして平にす
る必要がない。
そのため、上記処理の際に伴う周囲の環境破壊に対す
る心配がない。
【図面の簡単な説明】
第1図:本発明の函体の水底圧入前の断面図 第2図:本発明の函体の水底圧入時の断面図

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】底部のみを開口した函体と、 函体内部の空気又は水を排出する排出手段とよりなる、 函体を曳航し、 函体内部の空気又は水を排出しながら沈降し、 着底後更に函体内を負圧にし、 函体を地盤中に圧入して行う 人工島の構築方法。
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