JP2736320B2 - 時空間微分法を用いた計測装置 - Google Patents

時空間微分法を用いた計測装置

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JP2736320B2
JP2736320B2 JP8114956A JP11495696A JP2736320B2 JP 2736320 B2 JP2736320 B2 JP 2736320B2 JP 8114956 A JP8114956 A JP 8114956A JP 11495696 A JP11495696 A JP 11495696A JP 2736320 B2 JP2736320 B2 JP 2736320B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、計測対象に関して
得られた時間的,空間的に変化する信号、例えば、画像
や音等を時間空間微分法に基づいて処理した結果から計
測対象の運動情報を抽出する計測装置に関する。 【0002】 【従来の技術】連続する画像系列から運動や立体の情報
を抽出する手法が計算機視覚(computervision)の研究
として近年、種々提案されている。特に、計測対象の運
動が画像面上に投影してできる画像の流れはオプティカ
ルフローと呼ばれ、対象と背景の分離,立体構造や配置
の決定などへ利用されている。このオプティカルフロー
決定の問題は計算機視覚ばかりでなく、純粋にパターン
計測の分野でも広い応用をもつものである。この観点か
ら従来の手法を考えると大きく分けて2つに分類されて
いる。一つは対応探索型の方法で、連続する2枚の画像
に関し、一方の特徴点を他方の特徴点に対応付ける手順
を十分密に繰り返すことにより実行される。これはいわ
ゆる対応問題と呼ばれる繁雑で不確かな手順であり、画
像の分解能を徐々に向上させる段階的探索法や種々の制
約条件の導入などがいろいろと試みられている。 【0003】もうひとつの方法は画像の時間空間微分に
基づくものである。これは最初TV画像の微少移動の検
出に用いられ、その後Lagrange微分を用いた定
式化や解析がなされた。 【0004】いま平面的に運動する物体を固定撮像体で
観測する系を考え着目点(x,y)付近の速度場を
(u,v)と置く。画像の時間変化要因を運動のみに限
定し、微少時間Δtをおいて2枚の画像f1(x,
y),f2(x,y)を観察することを考えると、これ
らは局所的に、 f2(x,y)=f1(x−uΔt,y−vΔt) …(1) の関係を満たしている。ずれ量(uΔt,vΔt)が小
さくかつ局所的に一定と近似できる場合、(1)式の右
辺は着目点のまわりでTaylor展開されて、 f1(x−uΔt,y−vΔt) ≒f1(x,y)−uΔtf1x(x,y) −vΔtf1y(x,y) …(2) のように1次項までで近似できる。ここで、f1
(x,y),f1y(x,y)はそれぞれf1(x,y)
のx,y偏微分を表す。すなわち、(1)式と結合し
て、 f1(x,y)−f2(x,y) ≒uΔtf1x(x,y)+vΔtf1y(x,y) …(3) の関係が得られる。両辺を−Δtで割ったとき左辺は時
間微分f1t(x,y)を示す。f1x(x,y),f1
y(x,y)は場の微分であるから画像データ上で即座
に計算でき、既知量として扱えるから、(3)式は、こ
れらを係数とし未知数u,vを含む線形方程式と見るこ
とができる。これが時空間微分法の原理である。 【0005】この原理を用いて速度場を決定する方法に
は、 1)1次元運動に限定する、 2)速度場の滑らかさを仮定して(3)式に矛盾せず粗
さの評価量を最小とする速度場を求める、 などがある。これを計測法として見ると、 1)数値計算のみで速度分布を形成できる明解さと高速
性、 2)対象の予備知識が不要で汎用性と客観性が有るこ
と、 3)分解能の高さ、 4)微少ずれ利用のためのパターン変形の影響を受けに
くく重大な誤りの可能性が少ないこと、 などに利点をもつ。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
対応探索型の手法は計測法としてみると、 1)対応誤りによる重大な誤差が混じる、 2)処理に非常に時間がかかる、 など不都合な点が多い。特に1)の問題は計算機視覚系
と異なって予備知識の導入を前提としない一般の計測系
においては対策が非常に困難である。 【0007】また、後者の時空間微分法は雑音の影響を
受けやすい弱点があり、またずれが微少な場合に応用が
限定されることから実用化が難しかった。このような問
題は、計測対象が運動している場合に限らず、静止立体
を左右に置いた2つの撮像体で撮影し、一対の画像から
立体像を抽出する場合にもあてはまる。また、音源から
の音を一対のマイクロフォンで集音し、一対の音響信号
の時間差を抽出して音源を定位する場合にもあてはま
る。更には、光像による画像処理以外でも、超音波,N
MR(核磁気共鳴),X線による画像処理についても広
くあてはまり、いずれの分野においても、上述した問題
から非常に多くの利点をもつ時空間微分法による処理が
実用化されていないのが実情である。 【0008】本発明の目的は、移動体の速度分布を精度
よく抽出する時空間微分法を用いた計測装置を提供する
ことにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】図1および図2は本発明
の概念的説明図であり、本発明は図1に示すように、計
測対象に関連した信号を時空間微分法により処理して計
測対象の物理量および自己評価量を演算する演算手段5
00と、その自己評価量に基づき、演算された物理量の
有効度を判定する判定手段501を含むものである。さ
らに具体的に説明すると、本発明は、図2に示すよう
に、計測対象に関連した信号を検出するセンサ502
と、そのセンサ502で得られた検出信号を時空間微分
法により処理して計測対象の物理量および自己評価量を
検算する演算手段503と、その自己評価量に基づき、
演算された物理量の有効度を判定する判定手段504
と、有効度の低い物理量があるときに、計測対象に対す
るセンサ502の計測条件を変更して再度検出信号を得
るとともに演算手段503および判定手段504を再起
動する制御手段505とを含めることができる。 【0010】本発明はこのような各手段を含むものであ
り、本発明を図20に対応づけて説明すると、移動体を
所定範囲を単位として所定の時間間隔で撮像し、撮像結
果である画像信号を出力する撮像装置61と、画像信号
の時間微分値および空間微分値に基づいて、移動体の速
度ベクトルを所定範囲ごとに演算する速度演算手段70
aと、演算された速度ベクトルの有効度を判定するため
の基準となる自己評価量を演算する自己評価量演算手段
70bと、演算された自己評価量に基づいて、所定範囲
ごとに速度ベクトルの有効度を判定する判定手段80
と、有効度が低いと判定された速度ベクトルが存在する
場合に時間間隔を変更する変更手段90と、有効度が高
いと判定された速度ベクトルに基づいて移動体の速度分
布を計測する速度合成手段110とを備えることによ
り、上記目的は達成される。 【0011】本発明では、撮像装置61を用いて移動体
を所定範囲を単位として所定の時間間隔で撮像し、撮像
結果である画像信号を撮像装置61から出力する。次
に、出力された画像信号の時間微分値および空間微分値
に基づいて移動体の速度ベクトルを所定範囲ごとに演算
し、演算された速度ベクトルの有効度を判定するための
基準となる自己評価量を演算する。次に、演算された自
己評価量に基づいて所定範囲ごとに速度ベクトルの有効
度を判定し、有効度が低いと判定された速度ベクトルが
存在する場合には時間間隔を変更して再度移動体を撮像
する。そして、最終的には、有効度が高いと判定された
速度ベクトルに基づいて移動体の速度分布を計測する。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、図面に従い本発明の実施の
形態について説明する。まず、本発明の前提として、両
眼立体視により立体情報を再現する場合について説明
し、次いで本発明の動画像を再現する場合について説明
する。その後、他の実施の形態としての音源を定位する
のに用いる時間差抽出の場合についてそれぞれ説明す
る。 【0013】まず、両眼立体視により立体情報を再現す
る態様について説明する。図3および図4に示すよう
に、凹凸面OBに正対して高さH,間隔Dで2個の撮像
体ISL,ISRが置かれている系を考える。左右の撮像
体ISL,ISRの像面の原点はそれぞれxy平面の原点
を捉えるようにオフセットされている。簡単のため等倍
率で正立の撮像を仮定すると、左右の映像はfL(x,
y),fR(x,y)のように物体側の座標(x,y)
の関数として表せる。対象物体を、xy平面からの高さ
が z=h(x,y) …(1.1) で表されるような単純な凹凸面とし、凹凸面上には固有
の濃淡があり、同じく座標(x,y)の関数としてf
(x,y)と表されるとする。 【0014】このとき、左右の撮像体ISL,ISRが捉
える映像は表面の濃淡分布をxy平面に投影したものだ
から、凹凸h(x,y)の影響でf(x,y)に対しず
れを生ずる。このずれ(ΔRx,ΔRy),(ΔLx,ΔL
y)は図3および図4から、 【数1】 であり、これらを用いて左右映像fR(x,y),f
L(x,y)は fR(x,y)=f(x+ΔRx,y+ΔRy) …(1.3a) fL(x,y)=f(x+ΔLx,y+ΔLy) …(1.3b) のように表される。(1.2a)〜(1.2c)式を用
いると、 【数2】 であるから、凹凸h(x,y)の係数にも影響を与えて
いる。撮像系の仕組からわかるように、対象がレンズに
近づくと像は拡大される。これらの式のx,yの係数
{H−h(x,y)}/Hはこの像の拡大を表してい
る。凹凸面上の濃淡を絶対座標(x,y)の関数ではな
く、物体の濃淡分布としてあらかじめこのスケール拡大
が含まれたものを考えてかまわないから、濃淡(x,
y)を、 【数3】 と書くことができる。いま、凹凸h(x,y)の変化は
十分ゆるやかで、ずれΔRLxの程度では高さの変化は無
視できる、すなわちh(x,y)のx方向微分が、 hx(x,y)<<2H/D …(1.8) であるとするとΔRLxの変化は局所的には無視できる。
一方、濃淡(x,y)の変化は滑らかではあるがh
(x,y)の変化よりは急峻であるとすると、次のよう
に点(x,y)のまわりのx軸方向にTaylor展開
されて、 fR(x,y)=(x+ΔRLx,y) =(x,y)+ΔRLx(x,y) …(1.9a) fL(x,y)=(x−ΔRLx,y) =(x,y)−ΔRLx(x,y)…(1.9b) と近似される。これら2式の和と差をとると、 fR(x,y)+fL(x,y)=2(x,y) fR(x,y)−fL(x,y)=2ΔRLx(x,y) となり、第1式を微分して第2式に代入してf(x,
y)を消去すると、 【数4】 の関係が得られる。微分の定義を考えれば、ΔRLxが無
限に小さいときこの関係が成立するのは明らかである。
この式は画像のほとんどいたるところ成り立っていると
考えられる。 【0015】ここで、fR(x,y),fL(x,y)
は、対象立体の画像を撮像体ISL,ISRによって得た
量であるから、(1.10)式は、これらを係数とし、
ΔRLxを未知数とする線形方程式と見ることができる。
すなわち、 【数5】によって近似的に求められる。なお、Δxには画像の標
本化間隔を用いればよい。しかし(1.12)式は画像
の微分と差分からなる式のため明らかに雑音に大きく影
響される。また 【数6】 が偶然に零であるような悪条件への対処が十分でない。 【0016】したがって、立体像を時空間微分法に基づ
いて抽出する場合、演算量を少なくして雑音に強くする
必要がある。まず、「着目点の近傍(以下、この領域の
大きさを近傍サイズと呼ぶ)において、凹凸面の高さは
ほぼ一定と近似できる」ことを仮定し、近似点の多くの
データから一個の高さを求める。近傍サイズの大きさ
は、濃淡(x,y)の空間的細かさと凹凸測定の分解
能との兼ねあいで決まる(例えば5×5ないし7×7領
域)。この近傍領域をΓと置く(図5参照)。Γ内でΔ
RLxは一致と仮定したから、Γ内のすべての点(x,
y)で、 【数7】 が成立する。一方、 【数8】 の方はΓ内で変化すると仮定すると、Γ内の画素数の個
数だけ異なった方程式が立てられる。これらを連立して
ΔRLxを解けばよい。 【0017】(1.14)式を次のような最小二乗法で
解く場合、(1.14)式の成立の良さを表す左辺−右
辺の2乗のΓ内での総和を最小化する。 【数9】 これをΔRLxについて微分し零とおくと、 【数10】 が得られる。サフィックス付きのSはそれぞれ、 【数11】 で計算される微分の積の積分値を表わす。これらの値を
(1.16)式に代入するとΔRLxは、 【数12】 と表わせる。したがって、ずれの量ΔRLxと凹凸h
(x,y)の関係(1.7)式より、 【数13】に代入して凹凸の高さが推定される。 【0018】ここで(1.18)式が安定して求まるに
は、(1.18)式の分母が零より十分大きい必要があ
る。すなわち、最小二乗法が有効なためには(1.1
6)式の正規方程式の良さを決める 【数14】 が十分大なる必要がある。この 【数15】 すなわち模様のX軸方向の変化が近傍領域Γ内で一様に
零の場合であって、局所的に全く模様が無い場合には、
ずれの量を定めることができないので、近傍領域Γ内で
の濃淡がなるべく大きく変化するようにΓの大きさを選
ぶ必要がある。 【0019】(1.15)式における評価関数Jは最適
条件において、 【数16】 と書ける。この式の値は残留誤差を表すから、画像に含
まれる雑音の大きさ,近傍領域Γ内での等標高の仮定の
妥当性,視点の違いによる模様の変化(表面に光沢があ
る場合)の可能性,などの判断基準として用いることが
できる。 【0020】ここではずれが微少なときに成り立つ線形
関係(1.10)式を根拠とするため、凹凸が大きくな
ってずれが増大すると適切に画像処理ができない。この
ような誤差の主要部分は、位置ずれを伴った画像をTa
ylor展開の1次項までで近似した(1.9a,b)
式によって生ずる。この近似が妥当である範囲を見積も
るために(1.9a,b)式を2次の項まで展開する
と、 【数17】 となる。このとき2次の項の大きさが1次の項に比べて
十分に小さいための条件をそれらの分散を用いて表す
と、 【数18】 の関係が得られる。この関係は検出可能なずれの量の上
限が対象表面の濃淡の性質により決まることを示してい
る。すなわち濃淡の1階微分の平均エネルギーが2階微
分の平均エネルギーに比べて大きいほど測定範囲は広が
るため、低い空間周波数成分が主要な濃淡パターンがよ
り好ましい。一方、同一の性質をもった対象に対しては
この式より撮像系の満たすべき条件が定まる。(1.1
9)式を代入して凹凸の測定範囲を見積もると、 【数19】 の関係が得られるから、凹凸の測定範囲を増大させるに
は撮像距離Hに比べて左右撮像素子間隔Dを小さくする
のがよいことがわかる。これは三角測量における要求と
は逆の要求である。ただし雑音に弱くなるため小さくす
るのには実際上限界がある。 【0021】次に、画素の値に雑音が混入していると仮
定したときに凹凸測定結果に与える誤差について見積も
る。左右の画像の座標(x,y)における画素に加わる
雑音をそれぞれnL(x,y),nR(x,y)とする
と、 【数20】 雑音の存在を無視してずれの計算に(1.12)式をそ
のまま適用したとすると、 【数21】 で与えられる。すなわち雑音による影響は、1)画像の
濃淡勾配x(x,y)が大きいほど小さく、2)雑音
のうち左右画像に共通する成分の影響はずれに比例して
増大し、3)その差成分の影響はずれに無関係であるこ
とがわかる。さらに2)で雑音の共通成分は画像の標本
化間隔Δxで割られるため、4)画素の雑音が独立のと
きは標本化間隔が小さいほど誤差は増大することも示さ
れる。 【0022】一方、局所最小二乗法においては、同様な
計算により誤差項は、 【数22】 と求められる。この式における雑音による影響は、1)
画像の濃淡勾配x(x,y)の近傍領域Γ内での二乗
和が大きいほど小さく、2)雑音のうち左右画像に共通
する成分の影響はずれに比例して増大し、3)その差成
分の影響はずれに無関係であることがわかる。このよう
な性質は(1.24)式の場合と基本的に変わらない
が、雑音の相関が少ないときΓ内で雑音成分の平均化が
行われて相対的に誤差が減少する。さらに2)において
雑音の共通成分は画像の標本化間隔Δxで割られるた
め、4)画素の雑音が独立ならば一般的に標本化間隔が
小さいほど誤差は増大するが、5)画像の濃淡勾配
(x,y)の変化がΓ内でゆるやかならば(画像の平坦
さとは異なることに注意)、分子の被積分関数が相殺さ
れるから(1.24)式の場合より大幅に誤差が小さく
なる。 【0023】明らかなように(1.24)と(1.2
5)式は撮像時の配置のパラメータDとHには無関係に
ずれの量を計測するときの誤差を表す。したがって凹凸
を計測するときの誤差は(1.19)式によってずれを
高さに変換する際の係数2H/D倍される。 【0024】以上に、局所最小二乗法により、凹凸h
(x,y)は画像上の任意の点で求められることを示し
た。この演算は画像全体にわたる並列処理の構造を前提
として見ると、非常に組織立った演算法となっているこ
とがわかる。すなわち入力画像fに対して 【数23】 を段階的に施し、(1.19)式の係数2H/Dを乗ず
ることで凹凸h(x,y)がパターン的に同時に定まる
ことになる。個々の段階での処理はいずれも単純であ
り、原理的に並列処理はきわめて容易である。 【0025】次に以上説明した態様に基づいて立体像を
抽出する実施の形態について説明する。図6〜図12に
は、その実施の形態を示す。図6において、11,12
は、対象となる静止立体SOBのある基準面RP上で輻
輳角θにて各光軸が交差する2つの固体撮像素子カメラ
であり、ここでは、128×128画素のイメージセン
サ(RETICON社製MC−9000)を用いてい
る。このカメラ11,12は撮像体駆動回路13からの
画素クロックおよび同期信号により制御される。また、
カメラ11、12の光軸は、輻輳角制御装置20により
回動され、基準面RPを前後(図面上では上下)にずら
すことができる。すなわち、図7に示すように、両カメ
ラ11,12は、基台21上に設置され、カメラ11,
12のそれぞれは、連結機構22,23を介してステッ
プモーター24,25に連結されている。これらステッ
プモーター24,25は、駆動回路26からの信号によ
り回転される。すなわち、後述の自己判断/制御論理部
54からの輻輳角制御信号が駆動回路26に供給されて
ステップモーター24,25が所定ステップ数づつ回転
され、これによりカメラ11,12の光軸を回動させて
輻輳角θを変更し両光軸の交差位置を上述した基準面R
Pに対して前後に変更可能とされている。 【0026】両カメラ11,12からのアナログ画像信
号L,Rは、A/D変換器5で、デジタル信号L,Rに
変換され相対標高/自己評価量演算部30に入力され、
ここで後述する相対標高および自己評価量JDET,JERR
を演算して立体合成再現部50に出力する。 【0027】この立体合成再現部50は、後述の如き演
算を行ない、標高マップおよび誤差マップを出力する。
この標高マップにより対象物体SOBの立体情報が抽出
される。 【0028】次に、相対標高/自己評価量演算部30お
よび立体合成再現部50について詳述する。 (1)相対標高/自己評価量演算部30 これは、相対標高演算部30aと自己評価量演算部30
bとからなる。図8にこの演算部30の一例を示す。画
像信号L,Rは和差回路31に入力され、和画像信号R
+Lおよび差画像信号R−Lが演算される。和画像信号
R+LはX微分回路32に入力され 【数24】 この和分回路33は省略してもよい。X微分値は、2乗
回路34および乗算回路35に、平均値は、2乗回路3
6および乗算回路35に入力される。 【0029】2乗回路34は、 【数25】 を2乗し、その結果が平滑化回路37に入力される。こ
の平滑化回路37は、入力信号を予め定められた近傍サ
イズ(例えば5×5画素)で積分した出力Sxxを自己
評価量JDETとして立体合成再現部50および比回路4
0,43に出力する。 【数26】 その結果が平滑化回路38に入力される。この平滑化回
路38は、入力信号を上記近傍サイズで積分した出力S
xdを比回路40および乗算回路41に出力する。 【数27】 その結果が平滑化回路39に入力される。平滑化回路3
9は入力信号を近傍サイズで積分した出力Sddを減算
回路42に出力する。 【数28】 の演算を施し、相対標高値ΔRLxを出力する。乗算回路
41は、比回路40の出力ΔRLxと、平滑化回路38の
出力Sxdとを乗算してその結果ΔRLx×Sxdを得、
減算回路42に出力する。減算回路42は、入力信号Δ
RLx×Sxd,Sddに対して、 Sdd−ΔRLx×Sxd=JRES …(1.27) の演算を施し、自己評価量JRESを出力する。この
(1.27)式は(1.20)式に相当する。比回路4
3は、入力される減算回路42の出力JRESおよび平滑
化回路37の出力JDET(Sxx)に対して、 【数29】 の演算を施し、自己評価量JERRを出力する。すなわ
ち、相対標高/自己評価量演算部30から、自己評価量
DET,JERRおよび相対標高値ΔRLxが立体合成再現部
50に出力される。 【0030】(2)立体合成再現部50 図6に示すとおり、立体合成再現部50は次の各要素に
て構成される。 相対標高値分類部51 これは、図9に示す処理手順によるソフトウェアの形態
で実現され、入力される自己評価量JDET,JERRに基づ
いて、128×128の各画素について近傍サイズ毎に
分類が行なわれる。すなわち、手順P1において相対標
高/自己評価量演算部30からの自己評価量JDETを、
予め定められた閾値SS1と大小比較し、JDET≧閾値
SS1であれば、手順P2に進み、相対標高/自己評価
量演算部30からの自己評価量JERRを、予め定めた閾
値SS2と大小比較する。JERR≦閾値SS2ならば手
順P3において、自己評価量JERRの演算対象である近
傍サイズの中心画素に有効領域のラベルをセットする。 【0031】手順P1で否定判定されると、手順P4に
おいて、上述の近傍サイズの中心画素に対して無効領域
のラベルをセットする。また、手順P2が否定判定され
ると、手順P5において、同様に標高過剰領域のラベル
をセットする。すなわち、自己評価量JDETは、最小二
乗法が有効なために正規方程式(1.16)の良さを決
めるものであり、十分大きくなくてはならない。また、
自己評価量JERRは、誤差の原因が画素雑音のみと仮定
すると、雑音分散Δ2に比例するから、予め測定誤差が
どの程度含まれているかを予測する量として用いること
ができ、小さいほどよい。 【0032】荷重標高/荷重累積部52 これは、図10に示す回路の形態で実現され、入力され
る相対標高ΔRLxと、自己評価量JERR(荷重として用
いる)と、後述の標高バイアスとに基いて、累積荷重標
高および累積荷重が演算される。すなわち、有効領域と
して分類された近傍領域毎に相対標高と標高バイアスと
が和回路521に入力され、両入力の和が比回路522
に入力される。比回路522には、自己評価量JERR
入力されており、 【数30】 が演算され、その出力は和回路523に入力される。こ
の和回路523には、スイッチ528を介して累積メモ
リ524が後続し、その累積メモリ524の出力が和回
路523に入力されている。したがって、和回路523
は、 【数31】 のように過去の累積データに新しいデータを加算し、そ
の結果を出力することになる。以上の回路構成により累
積メモリ524から各画素の累積荷重標高が出力され
る。 【0033】また、自己評価量JERRが逆数回路525
に入力され、逆数回路525から1/JERRが次段の和
回路526に出力される。この和回路526には、スイ
ッチ529を介して累積メモリ527が後続し、その累
積メモリ527の出力が和回路526に入力されてい
る。したがって、和回路526は、 【数32】 のような過去の累積データに新しいデータを加算し、そ
の結果を出力することになる。以上の回路構成により、
累積メモリ527から各画素の累積荷重が出力される。
なお、上述したスイッチ528,529は、後述する自
己判断/制御論理部54からの累積制御信号によりオン
・オフされる。 【0034】標高再現部53 これは、図10に示す回路の形態で実現され、前段の荷
重標高/荷重累積部52から入力される累積荷重標高と
累積荷重とに基づいて標高マップおよび誤差マップとが
出力される。すなわち、累積荷重標高と累積荷重とが比
回路531に入力され、 【数33】 が演算され、後述の自己判断/制御論理部54に出力さ
れるとともに、最終出力データとして取り出される。一
方、累積荷重が逆数回路532に入力されてその逆数が
演算され、 【数34】 として自己判断/制御論理部54に出力されるととも
に、最終出力データとして取り出される。 【0035】自己判断/制御論理部54 これは、図11に示す処理手順によるソフトウェアの形
態で実現される。相対標高値分類部51からの分類マッ
プと、相対標高演算部30aからの相対標高と、標高再
現部53からの標高マップおよび誤差マップとに基づい
て、標高バイアスと、累積制御信号と、輻輳角制御信号
と、撮像カメラ起動信号と、相対標高演算部起動信号と
を演算して出力する。 【0036】すなわち、図11において、手順P11で
累積領域および輻輳角の初期化を行ない、手順P12で
は、分類マップにしたがって有効領域の抽出を行う。手
順P13では、誤差マップにしたがって、累積確定領域
の抽出を行う。これは、予め設定された閾値SS3に対
して 誤差マップ≦閾値SS3 となるベき領域を抽出するものである。次いで、手順P
14において各手順P12,13で抽出された両領域の
オーバラップ領域を抽出する。そして、手順P15に進
みオーバーラップ領域での相対標高の平均値、すなわち
標高バイアス(平均標高差)を抽出し、図10の和回路
521に入力する。 【0037】なお、以上の手順P12〜P15に代え
て、図12に示すように、輻輳角の変化から基準面RP
の前後移動量を演算して標高バイアスを求めることもで
きる。 【0038】次いで、手順P16では累積制御信号を出
力して図10に示したスイッチ528,529を閉成
し、上述したように手順P15で求められた標高バイア
スと近傍領域内の各画素の相対標高とを加算するととも
に、その後、前述したように累積荷重標高を累積メモリ
524に格納し、また、そのときの累積荷重を累積メモ
リ527に格納する。その後手順P17,P18に順次
に進み標高荷重領域および標高不確定領域をそれぞれ抽
出する。ここで、標高不確定領域とは、先の手順P13
において抽出された累積確定領域以外の領域である。更
に手順P19で、これら両領域のオーバラップ領域、す
なわち未測定の測定可能領域を残存領域として抽出す
る。その後手順P20に進み、残存領域の有無を判定
し、残存領域があれば手順P21に進んで、両カメラ1
1,12を所定量制御するためステップモーター駆動回
路26に輻輳角制御信号を供給する。例えば、基準面R
Pが前側に2〓ずれるように輻輳角が制御される。カメ
ラ11,12の輻輳角が制御されると、手順P22にお
いて、撮像体駆動回路部13に撮像体起動信号を供給し
てカメラ11,12による対象物体SOBの撮影を指令
するとともに、相対標高演算部30aへその起動信号を
供給して起動する。手順P20において残存領域がなけ
れば、以上の処理を終了する。また、図には示していな
いが、カメラ11,12の輻輳角が限界値を超えるよう
な場合にもこの処理を終了する。 【0039】図7に示した表面にランダムドット模様を
つけた立方体を計測対象とした場合の実験結果の例を図
13〜図15に示す。図13および図14はそれぞれ輻
輳角θを異にして得た有効データによる標高マップであ
り、図15はこのような複数の標高マップを合成して得
た最終結果である。また、図16に示すようなくさびを
計測対象とした場合の実験結果を図17〜図19に示
す。各図は、それぞれ輻輳角θを異にして得た有効デー
タによる標高マップである。なお、計測にあたりくさび
にランダムドット模様をつけた。 【0040】以上説明したようにこの態様による立体抽
出は、所定の基準面RPに対して得た画像系列から 1)空間微分と左右画像差を画素値とする画像(微分画
像,差分画像)2種を形成し、 2)それらの積を画素値とする画像(積画像)を2種類
形成し、 3)それらを近傍領域Γのサイズの点拡がり関数で平滑
化し(平滑化積画像)、 4)それらの積和の比を画像全体で計算する、 ことにより行なわれる。従って、図8,図11に示すよ
うな多段並列演算回路によって実現でき、実時間にて立
体情報の抽出ができる。なお、上記4)のステップはさ
らに分解してもよい。 【0041】また、立体情報抽出の過程で演算された自
己評価量JDET,JERRにより抽出された立体情報を評価
してその有効,無効の判定を含む有効度の判定を行な
い、有効と判定された領域の立体情報に対して荷重J
ERRによる重みづけ(有効度に応じた重みづけ)を行な
って対象立体の画像を再現し、無効と判定された領域に
対しては、基準面RPを前後に、すなわち撮像体と対象
立体との距離Hを変更して同様な処理を繰り返して行な
う。従って、従来、雑音に大きく影響され、悪条件下で
の対処が不十分であることにより実現が難しいと言われ
ていた時空間微分法による立体像の再現を精度よく行な
うことができる。ここで、JDETは測定可能性を示す評
価量で大きいほど有効度が高く、JERRは測定誤差の推
定値を示す評価量で、JRESは測定条件の正当性を示す
評価量である。 【0042】なお、以上では対象物体にランダムドット
パターンを付したが、ランダムドトパターンをプロジェ
クトで対象物体に投影してもよい。また、表面に模様の
ないものに対しては、ランダムドットパターンをプロジ
ェクトにより投影して表面に濃淡パターンをつける必要
がある。更に、測定毎に輻輳角を変更するとともに、対
象物体の表面の濃淡パターンを変更するために測定の都
度プロジェクトがランダムな模様を投影することにより
一層精度が向上する。 【0043】次いで、本発明の動画像を時空間微分法に
基づいて抽出する態様について説明する。従来の技術で
述べたように、動画像を時空間微分法に基づいて抽出す
る場合、演算量を少なくし雑音に強くする必要がある。
雑音を排除するには解の自由度を減らし、かつ解に実質
的に寄与するデータ量を多くすれば良いのであるが、こ
こでは、単純に、「着目点近傍において速度場はほぼ一
定と近似できる」ことを仮定し、近傍内のデータを連立
して一個の速度を求める。近傍の大きさは対象の濃淡の
細かさと速度場測定の空間分解能との兼ねあいで決め
る。この領域をΓと置くと、Γ内のいたるところ ufx(x,y)+vfy(x,y)+ft(x,y)=0 …(2.1) が成立していなければならない。いまこの式のΓ内での
一様な成立の良さ(悪さ)を左辺の二乗積分で評価し、
これを近傍ごとに最小化すると、 【数35】 ただし変数(x,y)の記述を省略した。これをu,v
に関して微分して零とおくと正規方程式、が得られる。サフィックス付のSはそれぞれ 【数36】 で計算される微分の積の積分値を表わす。これらの値を
代入し(2.3)式を解くと、速度ベクトル(u,v)
は 【数37】 のように求まる。 【0044】この演算は画像全体の並列処理に適した構
造をもっている。すなわち、多量の積和計算を含むSx
x,Sxy,Syy,Sxt,Syt,Sttの計算
は、入力画像fの全体に対して、 1)空間時間微分画像 fx,fy,ft 2)自己、相互積画像 fx2,fxfy,fy2,fxft,fyft,ft2 3)移動平均画像 Sxx,Sxy,Syy,Sxt,Syt,Stt を段階的に形成する並列演算に置き換わる。移動平均は
Γ上の積分に相当する。各段階での処理に特殊なものが
ないから汎用画像処理ハードウェアにて処理できる。 【0045】時空間微分法を用いた動画像処理では、上
述した雑音への鋭敏さ以上に、ずれが微小な場合に適用
を限定する必要性が重要である。従来の技術に示した
(2)式の近似が成立しないと解(2.5a,b)は全
く無意味となるが、解からはこれを判断できない危険が
ある。したがって、対象の速度がどの程度の範囲内にあ
る場合に実用上十分な測定精度が得られるかを把握し、
また実際に対象の速度がその範囲に入っているかを判定
する必要がある。 【0046】また、この画像処理に固有な問題として、
近傍の適切な大きさを選択して不必要な分解能の低下を
避け、また近傍内での速度の一様性を高める必要があ
る。そこで、以下にこれらの点に関係する評価量と判断
基準を説明する。 【0047】a)測定可能性の評価量 (2.3)式が安定して解かれるためには係数行列の行
列式が十分大きい必要がある。いま、これをJDET 2と置
くと、 【数38】 であるからSchwartz不等式の条件よりJDET 2
零となるのはΓ内のいたるところ、 fx(x,y)=Cfy(x,y) (C:任意定
数) のときである。この式は濃淡が一方向(x+y/c=一
定の直線上)に一様であることを表す。すなわち解の安
定性のためにはΓ内の濃淡が2方向に自由度をもって変
化する必要がある。これはΓの大きさ選択の指針となる
とともに、JDET 2によってΓが実際にこの条件を満たし
ている度合を評価できる。この意味でJDETは着目点で
の測定可能性を表していると見なせる。 【0048】b)仮定の正当性の評価量 評価関数Jに(2.3)式を代入し最適条件下での残留
誤差JRESを計算すると、 【数39】が得られる。この式の値は一般にモデル外要因の混入の
指標となるから、微小ずれ仮定の不成立,画素雑音の存
在,Γ内での速度変動等の判断の基礎情報となる。 【0049】c)測定誤差分散の評価量 (2.2)式の定義から分かるように残留誤差JRES
誤差が時間微分fxのみに含まれると仮定すると、おお
よそこの分散の面積分を表している。実際、画像ずれが
大きくなると支配的になるTaylor展開の一次近似
誤差は等価的にftに加わった誤差と見なせる。いまこ
の誤差の解への伝搬を調べるため、これを次式を満たす
白色雑音ε(x,y)で表わす。 【数40】 と求められる。このJERRは仮定の不成立度と着目点付
近の濃淡から予想される解のばらつきを示すから、おお
よそ測定誤差の自己評価量の意味をもつ。 【0050】測定が意味をもつにはJDETは画素雑音に
起因して不可避的に生ずる値よりも大きくなければなら
ない。いまΓが十分に大きい場合を想定し、画素雑音の
自己相関々数をΨ(x,y)とすると、相関々数の微分
定理より 【数41】 程度の値を雑音のみの寄与によりとり得る。画素雑音が
独立で画素間隔が1に規格化されている場合を想定し、
間隔1の標本化のNyguist帯域内で雑音が白色で
分散がσ2と仮定すると自己相関々数は、 【数42】 で与えられる。これを代入すると(2.11)式の値は
(πσ)4/4と求まり、測定可能なJDETの条件として 【数43】 が得られる。σ2=0.5量子化単位2,Γ=5×5画素
とすると右辺≒62となる。 【0051】JERRは測定誤差分散の見積りだから、
(2.13)式が満たされている測定点ではそのまま測
定誤差の大きさを表わすと考えられる。したがって最低
限許容できる絶対精度AABSないし相対精度ARELを前も
って与えて、 JERR≦AABS 2 or JERR≦AREL 2(u2+v2) …(2.14) を満たさない測定点を最終結果から排除する。 【0052】(2.13),(2.14)式を用いると
本実施の形態ではJDET,JRESの評価量を組みあわせて
対象上の速度場を、1)測定条件が適切で信頼できる速
度が得られた領域、2)模様の存在からは測定は可能と
見られるが速度が過剰なため信頼できる測定が行われな
かった領域、3)対象上に適切な模様がなく測定が不可
能な領域の3種に分類する事ができる。2)の原因とし
ては他に近傍での速度の不均一さえも考えられる。この
分類図は最終結果とともに出力されるばかりでなく、測
定条件の設定にも用いる。すなわち、1)の領域が十分
広くてJDETの値に余裕があるときには、近傍領域サイ
ズを下げて分解能と速度均一性の向上を図る。2)の速
度過剰領域が多く生じた時には、フレーム間隔を短くし
て画像のずれ量を抑える,3)の領域が広すぎる場合は
近傍領域サイズを上げる,等の方針をとる。 【0053】次に、以上説明した本発明の態様に基づい
て動画像を抽出する実施の形態について説明する。図2
0〜図31にその実施の形態を示す。図20において、
61は、対象となる移動物体MOBを所定フレーム間隔
で撮影する固体撮像素子カメラであり、ここでは128
×128画素のイメージセンサ(RETICON社製M
C−9128)を用いている。このカメラ61は、撮像
体駆動回路62からの画素クロックの周期に応じて、撮
像レートを10〜500フレーム毎秒の範囲で自由に設
定できる。この画素クロックの制御は、後述する自己判
断/制御論理部90からのクロック制御信号によりなさ
れる。 【0054】なお、計測対象の並進成分が零でないとき
に、追従機構63により撮像カメラ61を移動物体MO
Bの動きに角度θで追従するように構成し、これによ
り、計測範囲を拡大することができる。 【0055】撮像カメラ61の隣接する2フレームのア
ナログ画像信号がA/D変換器5でデジタル画像信号に
変換され速度分布/自己評価量演算部70に入力され、
後述する速度ベクトルマップ,誤差マップ(自己評価
量)JERRが最終出力として取り出されるとともに、自
己評価量JDET,JERRが後述の速度分布データ分類部8
0に入力される。この速度分布データ分類部80は、入
力信号JDET,JERRに基づいて、128×128の各画
素に対して近傍サイズ毎に分類を行ない、各近傍領域の
中心画素に対して有効領域、速度過剰領域、および無効
領域の各ラベルをセットする。このようにして、各ラベ
ルがセットされた各画素の情報と、速度分布/自己評価
量演算部70からの速度ベクトルマップと自己評価量J
ERRとが自己判断/制御論理部90に入力され、後述す
る近傍サイズの拡大、縮小および画素クロック周波数の
増大、減少がそれぞれ制御される。 【0056】次に以上の各要素について詳述する。 (1)速度分布/自己評価量演算部70 図21および図22にこの演算部70の一例を示す。こ
れは、図21に示す速度分布演算部70aと、図22に
示す自己評価量演算部70bとからなる。 【0057】速度分布演算部70a 図21において、この演算部70aは、まず撮像カメラ
61による隣接2フレームの画像データを取り込み実時
間で微分画像fx,fy,ftを形成する。すなわち、
入力画像fはX微分回路71、Y微分回路72およびT
微分回路73に入力されてそれぞれの回路から、空間時
間微分画像fx,fy,ftが出力される。微分画像f
x,fy,ftは、それぞれ2乗回路74,76,79
で2乗されるとともに乗算回路75,77,78で相互
に乗算され、各回路74〜79から自己・相互積画像f
2,fxfy,fy2,fxft,fyft,ft2
出力される。これらの自己・相互積画像fx2,fxf
y,fy2,fxft,fyft,ft2はそれぞれ次段
の平滑化回路80〜85に入力されて、各平滑化回路8
0〜85から移動平均画像Sxx,Sxy,Syy,S
xt,Syt,Sttが出力される。ここで、移動平均
画像Sxx,Sxy,Syy,Sxt,Syt,Stt
は、所定の近傍サイズΓ上の積分値に相当し、後述する
自己判断/制御論理部90で演算されて決定される近傍
サイズ制御信号によりその積分領域が変更される。 【0058】平滑化回路80および82の出力Sxx,
Syyは乗算回路86に入力され、その結果SxxSy
yが差回路92に出力される。また、平滑化回路81の
出力Sxyは2乗回路87に入力され、その結果Sxy
2が差回路92に出力される。したがって、差回路92
は、入力信号SxxSyyおよびSxy2に対して、 SxxSyy−Sxy2=JDET …(2.15) の演算を施し、自己評価量JDETが出力される。この式
は(2.6)式に相当する。 【0059】平滑化回路80および84の出力Sxx,
Sytは、乗算回路88に入力され、その結果SxxS
ytが差回路93に出力される。また平滑化回路81お
よび83の出力Sxy,Sxtは乗算回路89に入力さ
れ、その結果SxySxtが差回路93に入力される。
したがって、差回路93は、入力信号SxxSytおよ
びSxySxtに対して、 SxySxt−SxxSyt …(2.16) の演算を施す。そして、差回路92の出力JDETおよび
差回路93の出力SxySxt−SxxSytが比回路
95に入力されて、 【数44】 が出力される。ここでuは速度ベクトルを表す。 【0060】一方、平滑化回路82および83の出力S
yy,Sxtは乗算回路90に入力され、その結果Sy
ySxtが差回路94に出力される。また、平滑化回路
81および84の出力Sxy,Sytは乗算回路91に
入力され、その結果SxySytが差回路94に出力さ
れる。したがって差回路94は、入力信号SyySxt
およびSxySytに対して、 SxySyt−SyySxt …(2.18) の演算を施す。そして、差回路92の出力JDETおよび
差回路94の出力SxySyt−SyySxtが比回路
96に入力されて、 【数45】 が出力される。ここで、vは速度ベクトルを表す。 【0061】図23に平滑化回路80〜85の一例を示
す。画像Sxxの平滑化回路80について以下説明す
る。平滑化回路80は、最大近傍サイズNгに相応した
Nг段のシフトレジスタ群201と、加算器202と、
そのレジスタのNг×Nгの領域と加算器202とを接
続するスイッチ群203とから成る。画像Sxxをスキ
ャンすると、シフトレジスタ群201に順次にデータが
入力される。今、近傍サイズがその制御信号によりNг
×Nгの数に設定されると、スイッチ群203のすべて
がオンするから、レジスタ群201のNг×Nг領域の
データが加算器202で加算されて平滑化回路80の出
力とされる。一方、近傍サイズ制御信号により近傍サイ
ズが5×5となると、スイッチ群203の各スイッチが
それに相応してオン・オフし、レジスタ群201の例え
ば5×5領域データが加算器202で加算されて出力と
される。 【0062】自己評価量演算部70b 図22において、この演算部70bは速度分布演算部7
0aに後続して自己評価量JERRを演算する。速度ベク
トルuと移動平均画像Sytは乗算回路97に入力さ
れ、乗算回路97はu×Sytを出力する。一方、速度
ベクトルvと移動平均画像Sxtは乗算回路98に入力
され、乗算回路98はv×Sxtを出力する。乗算回路
97,98からの出力u×Syt,v×Sxtおよび前
段の演算部70aからの移動平均画像Sttは和回路9
9に入力される。和回路99はこれらの入力信号に対し
て u×Syt+v×Sxt+Stt=JRES …(2.20) の演算を施して、自己評価量JRESを比回路101に出
力する。比回路101には、前段の演算部70aで求め
られた自己評価量JDETも入力されており、JRES/J
DETが演算され、その結果が次段の乗算回路102に出
力される。和回路100には、前段の演算部70aから
移動平均画像Sxx,Syyが入力され、この結果Sx
x+Syyが乗算回路102に出力される。乗算回路1
02は両入力信号に対して、 【数46】 の演算を施して、その自己評価量JERRを出力する。
(2.21)式は(2.9)式に相当する。 【0063】次に、速度分布データ分類部80について
図24に基づき説明する。これはソフトウエアの形態で
実現され、入力される自己評価量JDET,JERRに基づい
て128×128の画素に対して各近傍サイズ毎に分類
が行なわれる。すなわち、手順P31において、前段の
演算部70aからの自己評価量JDETを、予め定められ
た閾値SS4と大小比較し、JDET≧閾値SS4であれ
ば、手順P32に進み、演算部70bからの自己評価量
ERRを、予め定めた閾値SS5と大小比較する。JERR
≦閾値SS5ならば手順P33において、自己評価量J
E RRの演算対象である近傍サイズの中心画素に対して有
効領域のラベルをセットする。 【0064】手順P31で否定判定されると、手順P3
4において、上述の近傍サイズの中心画素に対して無効
領域のラベルをセットする。また、手順P32が否定判
定されると、手順P35において、同様に速度過剰領域
のラベルをセットする。これらの分類マップは次段の自
己判断/制御論理部90に出力される。 【0065】図25は自己判断/制御論理部90をソフ
トウエアの形態で実現したものである。この自己判断/
制御部90は、入力される分類マップにしたがって、後
述の演算を行ない、近傍サイズの拡大,縮小およびカメ
ラ61のフレーム間隔であるクロック周波数の増大,減
少の制御を行う。 【0066】手順P41において無効領域の面積を算出
し、手順P42において速度過剰領域の面積を算出す
る。また、手順P43において、有効領域内での自己評
価量JERRの平均値および√(u2+v2)の平均値を算
出する。次いで、手順P44において、無効領域が過剰
か否かを判定する。肯定判定されると手順P48に進
み、近傍領域を拡大すべく近傍サイズ制御信号(図21
の平滑化回路80〜85の積分領域を定める信号)を変
更する。手順P44が否定判定されると手順P45に進
み、速度過剰領域が過剰か否かを判定する。肯定判定さ
れると手順P50に進み、フレーム間隔を短くすべくク
ロック周波数を増大させる。 【0067】手順P45が否定判定されると手順P46
に進み、平均JERRに余裕があるか否かを判定する。肯
定判定されると手順P49に進み、近傍サイズを縮小す
べく近傍サイズ制御信号を変更する。手順P46が否定
判定されると、手順P47に進み、平均√(u2+v2
が過小か否かを判定する。肯定判定されると手順P51
に進み、フレーム間隔を長くすべくクロック周波数を減
少させる。否定判定されると、この一連の手順を終了す
る。 【0068】図26〜図28に、この実施の形態により
流体の流速分布を実時間計測した結果を示す。墨汁を混
ぜてアルミ粉末を浮かせた水面に平板を差し込み水面に
沿って動かすと、平板の後方に捲き込み渦の発生が容易
に観察される。この模様を実時間で速度ベクトル分布と
して計測した。32×32の格子点上で得られた速度
u,vと評価量JDET,JERRの値が0.15秒ごとに計
算機の拡張記憶にストアされ一連の計測のあとでこれを
表示した。表示を同時に行わせることもできるが計測間
隔がその分大幅に長くなる。図26〜図28において、
升目付きの印は、速度範囲が適切で正しい測定が行なわ
れた領域を示し、線分のみの印は対象に模様があって測
定は可能だが速度が過剰なため正しい測定ができなかっ
た領域を示し、中心点のみの印は、対象に模様がなく測
定が不可能な領域を示している。下部の空白領域が平板
を表しており、これが下方に動くにつれて上方から水面
が引きずられ捲込まれてゆく様子が計測されている。渦
の中心に近い部分は速度が過剰ないし速度の不均一性が
高いと判断されていることも読み取れる。 【0069】図29〜図31に他の実験結果を示す。計
測対象は回転軸に取付けた直径32cmの白色円板の上に
数mm大の黒色斑点模様をランダムに吹き付けたものであ
る。円板の回転速度はギヤヘッドにより0.0833回
転/秒に減速し、カメラのクロックを0.25MHz,
0.5MHz,1MHzに変化させて等価的に3段階の
物体速度に相応する画像ずれを生じさせた。対応するフ
レーム間隔はそれぞれ約68ms,34ms,17ms
であり、そのとき隣接フレーム画像間での最大ずれは円
板の縁でそれぞれ2.27画素,1.14画素,0.5
7画素である。フレーム間隔を変えたときの感度変化は
照明強度で補償した。画像データ(各画素8ビット)は
必ず隣接する2フレームを連続して取り込み、ディジタ
ルのハードウエアにより実時間で微分画像を形成する。
このときの機構上の理由により後フレームが空間微分画
像の形成に用いられ、前フレームは時間微分のみに利用
される。空間微分計算には空間異方性の導入を避けるた
め中心差分法が使われている。実験では平滑化の近傍領
域には主に5×5画素を用い、1画素分のオーバラップ
を許して32×32の標本化を用いた。これ以後の処理
は逐次処理となるため、この間引き計算方式は高速化に
大きな効果がある。さらに今回の実験では中心点を指定
すると上記の6種の積和が同時に計算されるハードウエ
ア機構を用いて高速化を図った。最終出力は速度成分u
とv,測定可能性を示す評価量JDET,測定誤差の評価
量JERRが納められた4個の32×32配列である。上
の条件で画素の取り込みから最終出力までに要する時間
は約0.15秒である。 【0070】図29〜図31に示す測定結果はプロッタ
表示であり、各々フレーム間隔が17ms,34ms,
68msに対するもので、線分の方向と長さがその点で
の速度ベクトル(u,v)を(先端が下流向き)、中心
点での升目の有無が測定誤差の評価量JERRが規定の範
囲に納まっているかを表している。前者の規定値は0.
25(画素長/フレーム間隔)2、後者の規定値は64
(明度量子化単位)2が用いられている。図29の結果
では円板全体でほぼ正しい速度分布が求まっているが、
図30,図31では速度が大きな周辺部から異常な測定
結果が広がってきている。また升目で示されるJERR
規定以下の測定点の範囲も狭まっている。 【0071】上の実験からも分かるように、本方法では
自己評価量JERRとJDETを用いることにより、対象物体
上の領域を、1)速度範囲が適切で正しい測定が行なわ
れた領域、2)対象に模様があって測定は可能だが速度
が過剰なため正しい測定ができなかった領域、3)対象
に模様がなく測定が不可能な領域、の3種に分類するこ
とができる。それらが、1)升目付き、2)線分のみ、
3)中心点のみ、の格子点集合として表示されている。
2)の場合の速度過剰領域が多く生じた時にフレーム間
隔を短くするような動的制御を導入すれば測定範囲を適
応的に拡大することが可能と予想される。 【0072】なお、図20に破線で示す合成部110に
速度ベクトルマップと誤差マップとを入力し、図29〜
図31のようなデータを合成することもできる。このよ
うな合成は、定常パターンが移動するようなもの、例え
ば人工衛星からとらえた地球の雲の動きのようなものに
対して有効である。 【0073】以上説明したようにこの本発明の実施の形
態による動画像抽出は、所定のフレーム間隔で得た隣接
2フレームの画像系列から、 1)空間微分と時間微分とを画素値とする画像(微分画
像)3種を形成し、 2)それらの積を画素値とする画像(積画像)を5種類
形成し、 3)それらの近傍領域Γのサイズの点拡がり関数で平滑
化し(平滑化積画像)、 4)それらの積和の比2種類を画像全体で計算する、 ことにより行なわれる。従って、図21、22に示すよ
うな多段並列演算回路によって実現でき、実時間にて動
画像の抽出が行なえる。なお、上記4)のステップは更
に分解しても良い。 【0074】また、動画像抽出の過程で演算された自己
評価量JDET,JERRにより、抽出された動画像情報を評
価してその有効、無効の判定を含む有効度の判定を行な
い、その判定結果に基づいてフレーム間隔を増減し、ま
た、近傍サイズの拡大、縮小を行ない、理想的な測定条
件に収れんさせるようにしたので、雑音に影響されず、
また、計測対象の速度範囲を適応的に拡大することがで
きる、時空間微分法による動画像処理が実現できる。 【0075】以下、音源を定位するための時間差を抽出
する際に、時空間微分法を適用した態様について説明す
る。図32に示すように、音源をS、中心点0から等距
離dだけ離れて設置された左右一対のマイクロフォンを
ML,MRで示し、中心点0と音源Sとのなす角度を
θ、距離をDとしたとき、マイクロフォンML,MRで
受信する音響信号をそれぞれfL(t),fR(t)、中
心0での仮想的な信号をf0(t)で表すと、 fL(t)=f0(t−τ) …(3.1) fR(t)=f0(t+τ) …(3.2) で示される。ここで、τは、fL(t),fR(t)の時
間差を表わす。ここで、τが十分小さいものとすれば、
(3.1)式,(3.2)式をTaylor展開して1
次項で近似すると、 【数47】 となる。 【0076】ここで、時空間微分法により時間差τを求
める場合、演算量を少くして雑音に強くする必要があ
る。そこで、「ある一定の時間内(t1〜tm)では時間
差τは一定である」と仮定し、最小二乗法により解の安
定を図る。つまり、 【数48】 を、求める時間差τ1とする。ここで、(3.9)式が
安定して求まるには、(3.9)式の分母が零より十分
大きい必要がある。また、(3.8)式における評価関
数Jは最適条件において、 【数49】と書ける。この式の値は残留誤差を表すから、音響信号
に含まれる雑音の大きさ等の判断基準となりうる。 【0077】以上の態様の実施の形態について以下説明
する。図33〜図35はその実施の形態を示す。図33
において、111,112は計測対象である音源AOB
に対して方位角θで正対する左右一対のマイクロフォン
であり、角度制御部113により方位角θが制御され
る。両マイクロフォン111,112で集音された音響
信号は、時間差演算/自己評価量演算部120に入力さ
れ、時間差τ1、自己評価量JDET,JERR,JRESが演
算される。自己判断/制御論理部140にはそれらの信
号が入力され、自己評価量JDET,JERRにより演算部1
20での演算を評価し、予め定めた評価に達っしていな
い場合には、方位角θを制御して分解能を高めて所定の
評価が得られるようにする。そして、そのときの時間差
τ1を最終データとして出力する。 【0078】次に、時間差演算/自己評価量演算部12
0を図34に基づいて説明する。マイクロフォン11
1,112からの信号fL(t),fR(t)はアンプ1
31,132にそれぞれ入力される。アンプ131,1
32の出力は減算器133および加算器134にそれぞ
れ入力され、 【数50】 を演算し、時間差τ1として出力するとともに、その信
号が乗算回路144に入力される。その乗算回路144
には信号Stdも入力されているから、 【数51】 が演算され、差回路145に入力される。 【数52】 を演算し、自己評価量JRESを出力する。この自己評価
量JRESは比回路146にも入力されている。比回路1
46には信号Stt=JDETも入力されており、両入力
信号に対して、 【数53】 を演算し、自己評価量JERRが得られる。 【0079】次に、自己判断/制御論理部140につい
て説明する。これは図35に示すソフトウエアの形態で
実現される。まず、手順P61では、自己評価量JDET
≧閾値SS6か否かを判定する。肯定判定されると手順
P62に進み、JERR≦閾値SS7か否かを判定する。
肯定判定されると手順P63において、時間差τ1を出
力する。手順P61または手順P62が否定判定される
と手順P64に進み方位角制御部113を駆動して方位
角θを制御する。以上のようにして得られた時間差τ1
に基づいて音源AOBを定位することができる。 【0080】以上説明した態様においても時間差τ1
を、図34に示す多段並列演算回路により実時間で抽出
できる。また、その抽出過程で演算された自己評価量J
DET,JERRにより抽出された時間差情報を評価してその
有効、無効を判定し、有効な時間差τ1のみとり出す。
従って、雑音等による精度の悪い情報が排除され、時空
間微分法による時間差抽出が可能となる。 【0081】以上、本発明を説明したが、本発明は、X
線透視画像による背景と個々の物体との分離を時空間微
分法により実現する場合、超音波やNMRによる画像抽
出等、光像によらない画像処理の分野にも十分適用でき
る。 【0082】 【発明の効果】本発明による計測装置によれば、移動体
を所定範囲を単位として所定の時間間隔で撮像して得ら
れた画像信号を時間微分および空間微分し、それらの微
分値に基づいて移動体の速度ベクトルを演算するととも
に、演算された速度ベクトルの有効度を判定するための
基準となる自己評価量を演算し、この自己評価量に基づ
いて所定範囲ごとに速度ベクトルの有効度を判定して、
有効度が低いと判定された速度ベクトルが存在する場合
に撮像する時間間隔を変更し、有効度が高いと判定され
た速度ベクトルに基づいて移動体の速度分布を計測する
ようにしたので、すなわち、移動体の速度ベクトル演算
値の有効度が高くなるように撮像装置の撮像時間間隔を
制御して有効度の高い計測結果から速度分布を計測する
ようにしたので、移動体の速度ベクトルを精度よく抽出
できる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の概念的説明図 【図2】本発明の概念的説明図 【図3】撮影体と対象物体との位置関係を上方から見た
図 【図4】図3の左側面から見た図 【図5】近傍サイズを説明する図 【図6】立体情報を再現する態様の一実施の形態を示す
全体構成図 【図7】撮像カメラと対象物体とを示す斜視図 【図8】相対標高/自己評価量演算部の一例を示すブロ
ック図 【図9】相対標高値分類部の一例を示すフローチャート 【図10】荷重標高/荷重累積部および標高再現部の一
例を示すブロック図 【図11】自己判断/制御論理部の一例を示すフローチ
ャート 【図12】標高バイアスを算出する他の例を示す図 【図13】立体像抽出の実験結果を示す図 【図14】立体像抽出の実験結果を示す図 【図15】立体像抽出の実験結果を示す図 【図16】立体像が抽出されるくさびを示す図 【図17】立体像抽出の実験結果を示す図 【図18】立体像抽出の実験結果を示す図 【図19】立体像抽出の実験結果を示す図 【図20】本発明を動画像抽出に適用した態様の一実施
の形態を示す全体構成図 【図21】速度分布演算部の一例を示すブロック図 【図22】自己評価量演算部の一例を示すブロック図 【図23】平滑化回路の一例を示すブロック図 【図24】速度ベクトル分類部の一例を示すフローチャ
ート 【図25】自己判断/制御論理部の一例を示すフローチ
ャート 【図26】動画像抽出の実験結果を示す図 【図27】動画像抽出の実験結果を示す図 【図28】動画像抽出の実験結果を示す図 【図29】動画像抽出の実験結果を示す図 【図30】動画像抽出の実験結果を示す図 【図31】動画像抽出の実験結果を示す図 【図32】時空間微分法を音源定位に供される時間差抽
出に適用した態様における音源とマイクロフォンとの位
置関係を示す図 【図33】時空間微分法を音源定位に供される時間差抽
出に適用した態様の一例を示す全体構成図 【図34】時間差/自己評価量演算部の一例を示すブロ
ック図 【図35】自己判断/制御論理部の一例を示すフローチ
ャート 【符号の説明】 61 撮像装置 70 速度分布/自己評価量演算部 80 速度分布データ分類部 90 自己判断/制御論理部 110 合成部 500 演算手段 501 判定手段 502 センサ 503 演算手段 504 判定手段 505 制御手段

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.移動体を所定範囲を単位として所定の時間間隔で撮
    像し、撮像結果である画像信号を出力する撮像装置と、 前記画像信号の時間微分値および空間微分値に基づい
    て、前記移動体の速度ベクトルを前記所定範囲ごとに演
    算する速度演算手段と、 前記演算された速度ベクトルの有効度を判定するための
    基準となる自己評価量を演算する自己評価量演算手段
    と、 前記演算された自己評価量に基づいて、前記所定範囲ご
    とに前記速度ベクトルの有効度を判定する判定手段と、 前記有効度が低いと判定された前記速度ベクトルが存在
    する場合に前記時間間隔を変更する変更手段と、 前記有効度が高いと判定された前記速度ベクトルに基づ
    いて前記移動体の速度分布を計測する速度合成手段とを
    備えることを特徴とする時空間微分法を用いた計測装
    置。
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