JP2717868B2 - 外科医療器具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、女性の失禁の治療に用いる外科医療器具
に関するものである。

この発明は、女性の失禁の治療のために繊維要素を体
内に挿入する医療器具であり、一端にハンドルを具え、
他端において湾曲している実質的に剛性で線形の管軸
と、この管軸の他端に摺動可能に収容され、一端におい
て繊維状要素を受け、かつ、他端に拡大した形状を具え
た針体とを有し、針体が管軸中に完全に収容されたとき
に針体の拡大部が管軸の他端に非鋭利な収斂した面を画
定し、針体の一端が管軸の一端から露出し、管軸はその
他端に向かって湾曲しており、使用時おいて湾曲部がヴ
ァギナの外壁から恥骨を通って腹部の外面に達している
ものである。

また、女性の失禁を治療するにあっては、ヴァギナの
壁と腸の壁との間の腹部の外側において、繊維状要素を
ループ状にして尿道の各側を通るようにし、このループ
を緊めてヴァギナの壁と尿道を恥骨に対して適正な位置
関係として、ヴァギナと腹部の外壁の間で傷跡筋肉を発
達せしめ、しかる後、繊維状要素を除去する方法もあ
る。

下記に説明したこの発明の実施例は、添付した図面に
基づいて詳細になされたものであり、一層理解されるも
のである。

以下、図面に基づいてさらに実施例によりこの発明を
説明する。

第１図は尿道会合部の脱垂状態を示す説明図、 第２、３、４図はこの発明の医療器具を体内に挿入す
る状態を示す各説明図、 第５図はこの発明の一医療器具の実施例を示した側面
図、 第６図は同じく針体を除いた状態の側面図、 第７図はこの発明の医療器具の他の実施例を示す斜視
図、 第８図は第７図に示した医療器具から針体を除いた状
態を示す斜視図である。

この実施例は、女性の失禁の治療に用いられる外科医
療器具にこの発明を応用したもので、失禁は、恥骨とヴ
ァギナの壁を連結する靱帯の劣化により発生するもので
ある。この症状になると尿道からの放尿の制御を失うこ
とになる。

この医療器具によれば、ヴァギナの壁と尿道とを恥骨
に対して適正な位置関係にすることにより、放尿抑制力
を取り戻すものである。

第５、６図および第７、８図に示すように、この医療
器具は、管軸11を有しており、この管軸は一端にハンド
ル12を具えるとともに、その他端はヴァギナの壁と腹部
の外表面との間の恥骨の湾曲に近似した湾曲をなしてい
る。

第７、８図に示す例では、ハンドル12は中央の半径方
向の中央アーム12aを有しており、このアームは位置決
めガイドである管軸の湾曲の面内にある。この中央アー
ム12aの両側には、同じ角度だけ離れて１対のアーム12b
がそれぞれ設けられており、これらのアーム12bは使用
時に梃子の働きをする。

この管軸は針体13を収受するもので、この針体は一端
に繊維状要素を受けるためのアイ14を有している。針体
の他端は、円錐状の拡大したヘッド15に形成されてお
り、これが管軸11の他端に受けられてそこを閉塞する。
このような円錐状としたことにより、体内への挿入を円
滑にするものである。

第２、３、４図に示すように使用に際しては、尿道の
会合域においてヴァギナ16の壁に切れ目を形成する。針
体13を内部に蔵した医療器具の他端をこの切れ目に通し
て、体内空所を通って腹部の外壁にある筋肉18に当るま
で恥骨17の周りを通過させる。ついでこの医療器具の他
端が当った位置において体壁に切れ目を作り、筋肉を通
って医療器具が進めるようにする。テープ状の繊維状要
素19を針体13のアイに挿通させて連結してから、この針
体を管軸から抜く。すると繊維状要素19は針体を通って
引っ張られる。繊維状要素19の位置が決まったら管軸を
体内から取り除き、繊維状要素はそのまま体内に残して
おく。

つぎに、第２の切れ目を尿道20の反対側において、ヴ
ァギナの壁16に形成する。ついで、針体を適正位置に内
蔵する医療器具を第２の切れ目に入れ、その管軸11を体
内空所を通って進め、最初の位置とは離れた位置におい
て、腹部の内壁にある筋肉18に当てる。それから腹体13
を管軸から除いて、体内にある繊維状要素の端部を、針
体のアイに通して契合させる。さらに、針体13を管軸中
に再挿入し、繊維状要素19を管軸の一端に持ってきて針
体13から脱離させる。その後、針体を管軸から抜き、さ
らに管軸11を体内から抜き出し、繊維状要素はそのまま
体内に残す。この結果、尿道20のいずれかの側において
繊維状要素は腹部の筋肉18の周りにループ状となり、両
端はヴァギナ中に延在する。

繊維状要素は、充分な期間に亘ってその状態のままに
され、腹部の外面においてヴァギナの壁と筋肉との間を
連結する靱帯状のものである。筋肉が充分に発達したら
繊維状要素の端部を解き、繊維状要素を体内から取り除
くものである。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】女性の失禁状態治療の目的で繊維状要素を
   体内に挿入する外科医療器具であって、一端にハンドル
   を具え、かつ、他端に湾曲部を具えた実質的に剛性の線
   形管軸を有しており、この管軸中に摺動可能に収受され
   た針体が、一端に繊維状要素を受け、かつ、他端に拡大
   部を有しており、管軸内に完全に収容されたときに針体
   の拡大部が管軸の他端に非鋭利な収斂した面を画定し
   て、かつ、針体の一端が管軸の一端から露出し、管軸が
   他端に向けて湾曲しており、使用時には湾曲部がヴァギ
   ナの外壁から恥骨を通って腹部の外面に延在する外科医
   療器具。
2. 【請求項２】管軸の湾曲が、ヴァギナと腹部外表面との
   間の恥骨の形状に近似していることを特徴とする請求項
   １に記載の外科医療器具。