JP2713102B2 - 音信号ピッチ抽出装置 - Google Patents

音信号ピッチ抽出装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】この発明は音信号のピッチを抽出す
るピッチ抽出装置に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】音信号のピッチを抽出する技
術は既知である。例えば、弦の振動をピックアップで検
出した信号や、マイクロホンで変換した楽音信号から、
その波形のピーク点やゼロクロス点の繰返しの間隔を測
定して、音信号の基本ピッチを抽出する波形処理ピッチ
抽出装置がある。また、音声信号処理の分野でも、サン
プリングした音声信号系列やその残差信号系列に相関処
理を施し、相関関数列に表われるピークを検出すること
で音声信号(有声信号)のピッチを抽出する相関式ピッ
チ抽出方式や、音声信号のフーリエ変換、対数変換、逆
フーリエ変換、リフタリングにより音声信号のスペクト
ル包絡と微細構造を低ケフレンシー部と高ケフレンシー
部とに分離し、高ケフレンシー部のピークを検出するこ
とにより、音声信号の基本ピッチを抽出するケプトスラ
ム分析ピッチ抽出方式が知られている。しかしながら、
これらの従来技術は、分析対象である音信号入力に含ま
れる基本ピッチが高々1つであることを想定しており、
和音のように複数のピッチを含む楽音信号(複音信号)
に対しては十分な分析結果を与えることができない。複
音信号入力から複数のピッチを抽出するために、楽音信
号が取り得る各々のピッチに対応してそのピッチ成分を
通すデジタルバンドパスフィルタを設け、これらのフィ
ルタ出力に基づいてピッチを検出するアプローチが考え
られる。しかし、音楽への応用のように正確なピッチの
評価が要求される用途ではフィルタ間の周波数分解能を
十分高くとらなければならず、例えば、通常の音階音を
考慮しただけでも、各フィルタのパスバンドを1/2半
音以下のきざみにする必要があり、必要なデジタルバン
ドパスフィルタの数、信号処理量、装置の規模が非常に
大きくなってしまう。
【0003】
【発明の目的】したがって、この発明の目的は、比較的
簡単な構成でありながら、1つのピッチを含む音信号
(モノフォニック信号)のみならず、複数のピッチを含
む音信号(ポリフォニック信号)にも対応できる音信号
ピッチ抽出装置を提供することである。
【0004】
【発明の構成、作用】上記の目的を達成するために、こ
の発明によれば、サンプリング周波数を可変に設定する
可変サンプリング周波数設定手段と、設定されたサンプ
リング周波数で音信号入力をサンプリングする音信号サ
ンプリング手段と、サンプリングした音信号入力のスペ
クトルを抽出するスペクトル抽出手段と、抽出したスペ
クトルと設定されたサンプリング周波数とに基づいて、
音信号入力に従って数が可変のピッチを抽出する可変数
ピッチ抽出手段と、抽出されたピッチを量子化する量子
化手段と、を有することを特徴とする音信号ピッチ抽出
装置が提供される。この構成によれば、スペクトル領域
での条件マッチングに従い、条件に合う周波数成分をす
べて音信号入力のピッチとして抽出することができるの
で、従来ではピッチ抽出が困難であった複音信号(ポリ
フォニック信号)に対しても、それに含まれる複数のピ
ッチ評価が可能になる。条件マッチングの方式としては
代表的には、比較等を含む種々の理論操作によってピッ
チ候補を減少させる減少式ピッチ抽出ロジックが採用で
きる。一構成例において、ピッチ抽出手段は、抽出され
たスペクトルのなかで所定の基音レベルを超える周波数
成分(振幅スペクトル成分)を検出する手段と、検出さ
れた周波数成分のなかで、その倍音成分(高調波成分)
が所定の倍音レベルを超えるピッチ成分を音信号入力の
ピッチあるいはその候補として選択する手段とで構成さ
れる。分析する音信号入力の多様性に鑑み、ピッチ抽出
手段が条件マッチングの各テストで比較参照する設定条
件(基準値やしきい値、あるいは基準パターン)はユー
ザープログラム可能であるのが好ましい。例えば、分析
する音信号の音色等がある程度、特定できれば、そのス
ペクトル上の特性をしぼり込めるので、音色ごとに基準
スペクトルパターン(基音−倍音振幅パターン)のデー
タを用意しておき、使用者からの音色指定入力に応答し
て、指定音色の基準スペクトルパターンデータを呼び出
し、この呼び出した基準スペクトルパターンを音信号入
力のピッチ抽出のために使用するとよい。また、電子音
源を通してピッチ抽出結果を可聴表示して、使用者に原
音との間での聴覚によるピッチ比較を可能にし、その判
断結果の入力に従って設定条件を変更するようにしても
よい。この発明のもう1つの特徴はピッチ抽出の量子化
(例えば音階量子化)に係っており、いま、サンプリン
グ周波数f、分析サンプル数Nとすると、このN個のサ
ンプリング音信号系列のスペクトル抽出による周波数分
解能Δfは Δf=f/N である。換言すると、抽出したスペクトル(線スペクト
ルのセット)のなかで最初の線スペクトルの周波数がf
/N、2番目が2×f/N、同様にしてi番目がi×f
/Nの周波数値をもつ。これらの線スペクトルのなかで
条件に合う線スペクトルが原音のピッチを評価するわけ
であるが、評価したピッチと原音の実際のピッチとは完
全に一致するわけでなく、最悪のケースで周波数分解能
の1/2分ずれる。したがって、抽出したピッチに量子
化を施す場合に、原音のピッチより半音上、あるいは半
音下の音階音に量子化する可能性がある。このような場
合に、サンプリング周波数を変更して、抽出される線ス
ペクトルの位置をずらし、音信号のピッチとして評価さ
れる線スペクトルの周波数と原音の実際の音階音ピッチ
とのサンプリングを十分小さくすることにより、誤りの
ない音階量子化が可能になる。サンプリングの作業をや
り直さないですむように、一回のサンプリングの処理の
なかで、サンプリング周波数を切り替えるようにすれ
ば、更に都合がよい。例えば、最初のN個のサンプルを
第1のサンプリング周波数でサンプリングし、次のN個
のサンプルを第1のサンプリング周波数と若干、異なる
サンプリング周波数でサンプリングするといった具合で
ある。
【0005】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例を説
明する。本実施例の全体構成を図1に示す。デジタルシ
グナルプロセッサ(DSP)1はCPUの一種であり、
乗算命令が1マシンサイクルで実行できる等、高速デジ
タル演算に適した設計になっており、プログラムデータ
ROM2aのプログラムやデータテーブルに従って演算
を実行し、対応する処理として各種要素に制御信号を出
力し外部回路との入出力を行う。プログラムデータRO
M2aにはDSP1の動作に必要なプログラムと各種デ
ータテーブルが記憶されておりDSP1のバーMEN信
号により選択される。RAM26はDSP1でフーリエ
変換を行うとき大量のデータを扱うために必要でありバ
ーMEN信号で選択されバーWE信号で書き込まれる。
デコーダ3はDSP1で外部ポートの入出力命令が実行
されたとき、どのポートが選択されたかを解読するもの
である。バストランシーバ4は入出力方向の切り替えが
できるバッファでありDSP1が外部ポートの入力命令
が実行されたときに出力されるバーDEN信号により入
出力方向を切り替える。通常(バーDEN信号が出てい
ない“H”のとき)はAポートが入力でBポートが出力
である。ラッチ5、ラッチ6の出力は通常ハイインピー
ダンスであるがロジックゲート部7によりバーDENと
バーPORT1との負論理AND7cによりADIが、
バーDENとバーPORT2との負論理AND7bによ
りバーSWIが出力し、これによりラッチ5、ラッチ6
の出力がアクティブ状態になる。各種制御スイッチ部8
は本実施例の動作に必要な各種制御スイッチで構成され
ておりTRIG信号により、ラッチ6に16ビットデー
タをセットする。
【0006】外部から入力されるアナログ音信号はアン
チエリアシングフィルタ9によりサンプリング周波数の
1/2以上の高調波成分を除去したあと、サンプル・ホ
ールド回路10でサンプリングクロックSCKによりホ
ールドしA・Dコンバータ11によりサンプリングクロ
ックバーSCKによりアナログデジタル変換を行いSC
K信号によりラッチ5にセットする。
【0007】パラレルシリアル変換器12は、DSP1
でポート0に出力命令が実行されたときにロジックゲー
ト回路7によりバーPORT0とバーWEとの負論理A
ND7aから出力されるバーPSO信号により、パラレ
ルシリアル変換を実行しシリアル出力をバッファ13を
通しMIDIOUT信号として出力する。クロックジェ
ネレータ14は、図2に詳細を示すように、発振回路1
4aにてDSP1の動作クロックCK(20MHz)を
生成する。更に実施例の特徴の1つとして、クロックジ
ェネレータ14は微調整可能なサンプリングクロックS
CK、バーSCKを生成可能であり、ロジックゲート回
路7により、バーPORT3とバーWEとの負論理AN
D7dにより生成されるバーFQS信号に応答して、1
6ビットデータバスからのサンプリング周波数指定デー
タをラッチするデータラッチ回路14bと、このデータ
ラッチ回路14bからのサンプリング周波数指定データ
と、20MHzクロックCKで動作する16ビットカウ
ンタ14cからのカウントとを比較するコンパレータ1
4dとを有しており、コンパレータ14dの一致信号パ
ルスで16ビットカウンタ14cをクリアするととも
に、この一致信号パルスをトグル回路14eに通し、そ
のトグル出力によって、サンプリング周波数指定データ
に対応するサンプリング周期でレベルが切り替わるサン
プリングクロック信号SCKを得、更にインバータ14
fを通して相補なサンプリングクロック信号バーSCK
を得ている。例えば、20MHzのサンプリングクロッ
クを得る場合には、図3に示すように、サンプリング周
波数指定データを5000(10進)即ち、1388
(16進)に選べばよい。
【0008】図4と図5に本実施例の動作フローを示
す。動作フローは図4に示すメイン処理とサンプリング
周期ごとに発生するバーINT信号(バーSCK)によ
りメイン処理からジャンプしてA・D値等を取り込む図
5に示すインタラプト処理とで構成されている。
【0009】まず図4に示すメイン処理を説明する。電
源がオンになるとパワーオンイニシャル処理(S1)に
より、DSP1の外部・内部RAMのクリア及び初期設
定とDSP1に接続されて外部回路の初期設定を行う。
この処理なかには、当初のサンプリング周波数を20M
Hzにするため、値1388(16進)のサンプリング
周波数指定データをクロックジェネレータ14のデータ
ラッチ回路14bに初期設定する処理も含まれる。外部
メモリ(ROM2a、RAM2b)のアドレスマップを
図6に示す。アドレス0000h〜03FFhに割り当
てられた外部ROM2aには本実施例の動作フローのプ
ログラムと制御データテーブルが記憶されている。DS
P1はアドレス0400h〜0FFFhに割り当てられ
た外部RAM2bを波形処理とA・Dコンバータ11に
より取り込む波形データの記憶バッファとして用い、そ
の他汎用レジスタとしてDSP1の内部のRAMを使用
する。詳細には、外部RAM2bの第1エリア0400
h〜07FFhと第2エリア0800h〜08FFhは
第1エリアを波形バッファ(A・Dコンバータからのサ
ンプル記憶バッファ)として使用する動作サイクルでは
第2エリアを波形処理DFT演算における実数エリアR
(n)として使用し、第1エリアにサンプルが書き込ま
れた後の動作サイクルでは第1エリアを波形処理DFT
演算における実数エリアとし、第2エリアを波形バッフ
ァとして使用することにより、頻繁にあるいは連続的に
サンプリングが行われる状況をサポートしている。外部
RAM2bの第3エリア0C00h〜0FFFhは波形
処理DFT演算における虚数エリアI(n)として使用
される。メインルーチンのS2ではインタラプト処理で
取り込んだ波形バッファが1024個確保されたかをバ
ッファフルフラグにより判定し、1024個のデータが
取り込まれていればインタラプトを禁止し(S3)、オ
フセット値(ベースアドレス)の切替により、外部RA
M2bの波形処理DFT演算用エリアと、サンプリング
波形のバッファエリアとを変換する(S4)ことによ
り、インタラプト禁止解除後、ただちに音波形のサンプ
リングができるようにする。次に、インタラプト処理で
A・D変換した波形データの(相対)アドレスを示すア
ドレスカウンタをクリアし、バッファフルフラグもクリ
アし(S5)インタラプトを許可する(S6)。次に取
り込んだ1024個の波形データR(n)、n=0〜1
024に窓関数(無限時間から切り取った1024個の
有限データの両端をなめらかにする関数で、ハニング
窓、ハミング窓、ブラックマン窓等が用いられる。例え
ばハニング窓は W=(n)=0.5-0.5cos(2πn/N) 0≦n≦N-1・ 0 上記範囲以外 で定められる)をかけ(S7)た後、DFT(離散フー
リエ変換)サブルーチンにより(S8)演算されたデー
タR(n)、I(n)n=0〜1023により512個
のデータで構成される振幅(線)スペクトルを演算し
(S9)、外部スイッチにより入力された(S10)条
件を示すデータにより、条件を満たすスペクトルナンバ
ーを1個もしくは複数個選択し音階音データに変換し
(S11)さらにMIDIデータに変換し、パラレルシ
リアル変換器に出力する(S12)。
【0010】次に、図5のインタラプト処理について説
明する。インタラプトがかかるとA・Dコンバータ11
により取り込んだデータを波形バッファにセットする
(T1)。次に波形バッファのアドレスカウンタを+1
する(T2)。なお、実際の波形バッファの外部RAM
上のアドレスはこのカウンタと波形バッファオフセット
値(波形バッファベースアドレス値)とにより決定さ
れ、オフセット値はS4を1回通過するごとに0400
【外1】 0800hの変化をくり返す(図6参照)。アドレスカ
ウンタが1024になったかを判定し(T3)、102
4になったときアドレスカウンタをクリアしバッファフ
ルフラグをセットする(T4)。最後に本実施例で使用
したDSP1はバーINT信号によりインタラプト処理
にジャンプしたときハードウェア的にインタラプト禁止
状態になっているのでインタラプトを許可し(T5)メ
イン処理に戻る。
【0011】以下、図4のS11に示した設定条件参照
について詳しく説明する。本実施例で振幅スペクトルか
ら1個または複数個のスペクトルナンバーを選択する条
件は基音の音程範囲と基音レベルと倍音レベル(高調波
レベル)である。図4のDFTサブルーチンS8と振幅
スペクトル演算S9により図7に示す振幅スペクトルが
得られたときを例に図8の動作フロー(設定条件参照サ
ブルーチン)を追ってみる。ここでは基音の音程範囲を
4〜A6で基音レベル0.5以上、2倍音レベル0.2 以
上、3倍音レベル0.1 以上に外部スイッチ8によりS1
0で設定されたときを例にして説明する。なおスペクト
ルナンバーと音階音の関係はサンプリング周波数20K
Hzで1024点データをサンプルしたとき周波数分解
能が20000/1024=19.53125(Hz)であり、19.53125
×スペクトルナンバーがスペクトルナンバーの周波数
(Hz)となるためあまりサンプル数が少ないと半音ご
との分解能を得ることはできない。まず指定音程範囲が
4からA6の間でA4を440HzとしたときA6=17
60Hzなので、それぞれスペクトルナンバーを逆算し
スペクトルナンバー22から91の間で振幅0.5以上の
ものをサーチする(U1)。その結果、スペクトルナン
バーが27、28、30、37、38、45、46、5
3のデータが条件を満たしている。この中でさらに、そ
れぞれのスペクトルナンバーを基音としたときの2倍音
(53、56、60、74……)が条件を満たすかサー
チする(U2)。その結果、スペクトルナンバーが2
7、30、38、45が残る。その中でさらに3倍音が
満たすかサーチする。その結果スペクトルナンバー3
0、38、45が残りそれをスペクトルナンバーから周
波数に変換すると、それぞれ580Hz、742Hz、
879Hzとなり、これらに最も近い音階音に変換する
とD4、F4=、A5になるのでそのための音階音コード
変換(音階音量子化処理)を行う(U4)。以上で、設
定条件マッチングによる入力音信号のピッチ評価を終え
次の出力処理に進む。
【0012】以上のように、本実施例では音信号入力か
ら抽出したスペクトルに対し、基音/倍音系列の設定レ
ベルを設定条件として参照し、設定条件を満たす基音/
倍音系列の基音となる線スペクトルを見つけ出すことに
より、音信号入力に含まれる1つあるいは複数のピッチ
を評価している。したがって単音だけでなく複音のピッ
チも抽出可能であり、音信号入力として和音信号が与え
られるような場合に特に有益である。
【0013】サンプリング周波数を変えたときの、音階
音とスペクトルナンバーの示す周波数との対応を第9図
に示す。同図の(b)に示すように、1024点のサン
プルでサンプリング周波数が20KHzの場合、スペク
トルナンバ−26が音階音B4とC4の中間になってしま
いどちらか判定できない。このようなポイントが各サン
プリング周波数で必ず生じてしまい、特に低い周波数帯
ほど音程間の周波数サンプリングがせまいため判定でき
ないことが多くなる。この問題を改善するためにはサン
プルポイントを多くして各スペクトルナンバー間の周波
数分解能を上げれば良いがそうするとDFT演算時間が
増大するという欠点がある。そこで、この実施例では、
サンプリング周波数を微調整可能にすることでピッチの
音階音量子化エラーの問題を克服している。例えば、2
0KHzのサンプリング周波数に対する音信号スペクト
ルのピッチ抽出でスペクトルナンバー26が基音として
評価されたとすると、このスペクトルナンバー26の周
波数が音階音C4とB4の丁度、中間にあるので、正しい
音階音量子化を行い得ない。しかし、サンプリング周波
数を例えば、21KHzに切り替えて、再度、ピッチ抽
出を試み、それにより、スペクトルナンバー25が基音
として評価されたとすると、このスペクトルナンバー2
5の周波数は513HzでC4 に十分近いので、C4
判定することができる。このようなサンプリング周波数
の切替は制御スイッチ部8で設定でき、メインフロー
(図4)のS10でサンプリング周波数の指定変更が読
まれたとき、そのサンプリング周波数指定データがクロ
ックジェネレータ14のデータラッチ回路14bにセッ
トされ、指定された周波数のサンプリングクロックSC
K、バーSCKが形成される。この場合、サンプル数は
固定なので、例えば1024のような2のべき乗のサン
プル数を選択することにより、DFT(離散フーリェ変
換)を基数2による通常の高速フーリェ変換(FFT)
で実現てきる。
【0014】以上で、実施例の説明を終えるが、この発
明の範囲内で種々の変形、変更が容易である。
【0015】例えば、ピッチ量子化に関し、一般的な状
況では、音信号入力のソース(音源)の音階音の周波数
は不明である。しかし、マイクロチューニングの操作子
を設けることで、音源に合ったピッチ量子化も可能であ
る。例えば、原音とMIDI出力され、再生される評価
ピッチの楽音とを使用者が聴き比べ、合わなければ、マ
イクロチューニング操作子を動かす。このマイクロチュ
ーニング操作子からのデータを修正パラメータとして音
階音コードをDSP1で再評価し、再評価したピッチの
楽音を再生する。聴覚テストで一致したときのマイクロ
チューニング操作子データを利用することにより、音信
号入力ソース(音源)の音階音の周波数を正確に評価で
きる。音源のすべての音階音について個別に聴覚テスト
を行ってその周波数を評価してもよいが、平均律に従う
音源であれば、1点の音階音を評価することで残る音階
音は自動的に評価できる。また、そうでないような場合
でも、何点(例えば1オクターブ間隔)かの音階音を評
価することで、残りの音階音を補間によって近似し得
る。
【0016】音源の音階音ピッチが既知の場合、あるい
は上述したような方法で音源の各音階音のピッチを決定
した後で、音源からの和音等のピッチを音階音で評価す
るような場合において、スペクトル抽出、ピッチ分析の
処理速度が十分速ければ、実時間ベースで音階音を再生
可能である。例えば、実施例のように20KHz程度の
サンプリング周波数で1024ポイントをDFT処理
し、ピッチ抽出する処理は今日の高速DSPの能力によ
ってサンプリング時間より短い時間内で実現し得る。こ
のような場合、サンプリングしながら、ピッチ抽出が可
能なので、サンプリング周波数を分析区間ごとに切り替
えてサンプリングを行うことによ り、誤りのない音階
音量子化を効率よく行える。例えば、最初の1024ポ
イントのサンプルを20KHzでサンプリングし、それ
に対して、DFT処理を施し、得られたスペクトルから
設定条件に従う成分(スペクトルナンバー)を得、その
スペクトルナンバーの周波数と既知の音階音ピッチとを
比較し、スペクトルナンバーの周波数に十分近い音階音
ピッチがあればその音階音を音源からの音信号の音階音
ピッチとして評価、再生し、音階量子化が困難なスペク
トルナンバーについては評価を打ち切る。このようなD
FT処理、ピッチ抽出処理と並行して、2回目の102
4ポイントの音信号サンプルが20KHzとは少し異な
るサンプリング周波数で取り込まれる。2回目の102
4ポイントのサンプルに対するDFT処理、ピッチ抽出
処理により、前回、量子化できなかったピッチを多分、
量子化することが可能になる。あるいは、音階量子化が
困難なスペクトルナンバーを得た場合に、量子化誤差
(例えばスペクトルナンバーの周波数と最寄りの音階音
の周波数との比で与えられる)を計算し、この量子化誤
差をキャンセルするようなサンプリング周波数(例え
ば、上記比を元のサンプリング周波数に乗じたもの)を
選択し、そのサンプリング周波数で次の1024ポイン
トの音信号サンプルを取り込み、それに対してスペクト
ル分析を行うようにすれば、確実なピッチ量子化が可能
になる。
【0017】更に、ピッチ量子化に関し、量子化エラー
をなくすために、スペクトルの分析区間を定める音信号
のサンプル数を若干、変更できるようにしてもよい。例
えば、1024個のサンプル数の代りにこれより、若
干、少ないサンプル数をDFT処理することにより、周
波数分解能を少しずらして、評価するピッチについては
量子化の判定が確実になるような線スペクトル(スペク
トルナンバー)が得られるようにする。この場合、DF
T処理を高速化するために、例えば、チャープZ変換
(chirp Z transform:CZT)処理を採用できる。
【0018】
【発明の効果】最後にこの発明の効果について述べる。
本発明によれば、音信号のスペクトル分析において、所
定の条件を満足するスペクトル成分を検出することによ
り音信号の種類に応じて数の可変のピッチを抽出してい
るので、比較的簡単な構成でありながら単音(モノフォ
ニック)だけでなく和音のような複音(ポリフォニッ
ク)のピッチも抽出できるばかりでなく、サンプリング
周波数を可変に設定できるので、ピッチの音階音量子化
エラー少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例に係るピッチ抽出装置の全体
構成図である。
【図2】図1のクロックジェネレータ14の構成図であ
る。
【図3】サンプリング周波数を20KHzにしたときの
クロックジェネレータの動作のタイムチャートである。
【図4】図1のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)
1のメイン処理のフローチャートである。
【図5】図1のDSP1のインタラプト処理のフローチ
ャートである。
【図6】外部メモリのアドレスマップを示す図である。
【図7】サンプル数1024、サンプリング周波数20
KHzの下での音信号のスペクトルを例示する図であ
る。
【図8】設定条件を参照してスペクトルからピッチを抽
出する処理のフローチャートである。
【図9】異なるサンプリング周波数におけるスペクトル
ナンバーと音階音との対応を示す図である。
【符号の説明】
1 デジタルシグナルプロセッサ 2a プログラムデータROM 2b 演算用RAM 8 各種制御スイッチ部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】サンプリング周波数を可変に設定する可変
    サンプリング周波数設定手段と、 設定されたサンプリング周波数で音信号入力をサンプリ
    ングする音信号サンプリング手段と、 サンプリングした音信号入力のスペクトルを抽出するス
    ペクトル抽出手段と、 抽出したスペクトルと設定されたサンプリング周波数と
    に基づいて、音信号入力に従って数が可変のピッチを抽
    出する可変数ピッチ抽出手段と、 抽出されたピッチを量子化する量子化手段と、 を有することを特徴とする音信号ピッチ抽出装置。
JP5148325A 1993-05-28 1993-05-28 音信号ピッチ抽出装置 Expired - Lifetime JP2713102B2 (ja)

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