JP2683799B2 - 昆虫寄生性線虫増殖用培地 - Google Patents
昆虫寄生性線虫増殖用培地Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、昆虫寄生性線虫増殖用
培地に関するものである。更に詳しくは、昆虫寄生性線
虫の大量増殖を可能にする培地に関するものである。
培地に関するものである。更に詳しくは、昆虫寄生性線
虫の大量増殖を可能にする培地に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、化学農薬の残留毒性や環境汚染、
更には害虫の化学農薬に対する抵抗性獲得等の化学農薬
の危険性と限界が顕在化する中で、自然生態系の中に存
在する天敵を利用した生物的防除に関心と期待が高まっ
ている。これら生物的防除手段として利用が期待される
天敵(ウイルス、細菌、糸状菌、線虫、昆虫)の中で
も、特に、線虫が注目されている。
更には害虫の化学農薬に対する抵抗性獲得等の化学農薬
の危険性と限界が顕在化する中で、自然生態系の中に存
在する天敵を利用した生物的防除に関心と期待が高まっ
ている。これら生物的防除手段として利用が期待される
天敵(ウイルス、細菌、糸状菌、線虫、昆虫)の中で
も、特に、線虫が注目されている。
【0003】ここで取りあげた線虫とは、Heterorhabdi
tis 属とSteinernema 属等の昆虫寄生性線虫(以下、線
虫と略す)であり、前記両属に属する線虫は有望な生物
的防除手段として古くから注目されてきた(Glaser, R.
W. and Farrell, C. C., J.N. Y. Entomol. Soc., 34:
345, 1935. )。
tis 属とSteinernema 属等の昆虫寄生性線虫(以下、線
虫と略す)であり、前記両属に属する線虫は有望な生物
的防除手段として古くから注目されてきた(Glaser, R.
W. and Farrell, C. C., J.N. Y. Entomol. Soc., 34:
345, 1935. )。
【0004】これらの線虫の特徴は、感染態幼虫(IJ)
と呼ばれる特異的なステージが、害虫である寄主昆虫の
排泄物や炭酸ガスに誘引され、寄主を積極的に探索する
ところにある。更に、寄主体内に侵入した感染態幼虫
(IJ)は、自らの腸内に保持していた共生細菌 Xenohab
udusを放出し、共生細菌による敗血症の進行が早いた
め、寄主昆虫は線虫侵入に対する防御反応を示す間もな
く死にいたる。
と呼ばれる特異的なステージが、害虫である寄主昆虫の
排泄物や炭酸ガスに誘引され、寄主を積極的に探索する
ところにある。更に、寄主体内に侵入した感染態幼虫
(IJ)は、自らの腸内に保持していた共生細菌 Xenohab
udusを放出し、共生細菌による敗血症の進行が早いた
め、寄主昆虫は線虫侵入に対する防御反応を示す間もな
く死にいたる。
【0005】これらの線虫が多くの昆虫に対して殺虫効
果を示すのは、この共生細菌がそれだけ多くの昆虫に寄
生できるためである(Poinar, G. O. Jr., CRC. Press
Inc., 277pp., 1979)。一方、両属線虫の野外における
施用試験は数多く行われており、特にわが国における施
用試験の成果と研究の経緯は石橋信義によってまとめら
れている(文部省試験研究(1)研究成果報告書. 課題
番号59860005, 1987.課題番号62860006, 1990. )。
果を示すのは、この共生細菌がそれだけ多くの昆虫に寄
生できるためである(Poinar, G. O. Jr., CRC. Press
Inc., 277pp., 1979)。一方、両属線虫の野外における
施用試験は数多く行われており、特にわが国における施
用試験の成果と研究の経緯は石橋信義によってまとめら
れている(文部省試験研究(1)研究成果報告書. 課題
番号59860005, 1987.課題番号62860006, 1990. )。
【0006】これらの線虫の内、特に1984年にわが国で
初めて発見されたSteinernema kushidaiは、今日有望な
生物的防除手段として注目されている(串田保・真宮靖
治・三橋淳 日林関東支論37:163-164, 1986. 真宮靖治
Appl. Ento. Zool., 23:313-320, 1988. )。本線虫
は、林業苗畑や芝草、並びに各種農作物の重要害虫であ
るコガネムシ類の幼虫に対して高い殺虫性を示し、さら
にその殺虫性は自然土壌中で3年間持続することが報告
されている(串田保・真宮靖治・三橋淳 日本応用動物
昆虫学会誌31(2):144-149, 1987. Koizumi, C., T. Kus
hida, J. Mituhashi J. Jpn. For. Soc. 70(9):417-41
9, 1988)。
初めて発見されたSteinernema kushidaiは、今日有望な
生物的防除手段として注目されている(串田保・真宮靖
治・三橋淳 日林関東支論37:163-164, 1986. 真宮靖治
Appl. Ento. Zool., 23:313-320, 1988. )。本線虫
は、林業苗畑や芝草、並びに各種農作物の重要害虫であ
るコガネムシ類の幼虫に対して高い殺虫性を示し、さら
にその殺虫性は自然土壌中で3年間持続することが報告
されている(串田保・真宮靖治・三橋淳 日本応用動物
昆虫学会誌31(2):144-149, 1987. Koizumi, C., T. Kus
hida, J. Mituhashi J. Jpn. For. Soc. 70(9):417-41
9, 1988)。
【0007】これらの線虫を、広く生物的防除手段とし
て使用するためには当該線虫の大量増殖が必要である。
これまで線虫の培地材料として各種の家畜の臓器や飼料
が用いられており、例えばブタの腸とペプトンを組み合
わせたもの、ブタの腎臓とウシの脂肪を組み合わせたも
の、ウシの心臓、ウシの凝固血液、小麦、トウモロコ
シ、サカナ、ハエの飼料、ドッグフードなどが利用され
ている(Hara, A. H., J. E. Lindegren and H. K. Kay
a. Adu. Agri. Technol., Western Series, USDA, No.1
6:1-8, 1981 )。
て使用するためには当該線虫の大量増殖が必要である。
これまで線虫の培地材料として各種の家畜の臓器や飼料
が用いられており、例えばブタの腸とペプトンを組み合
わせたもの、ブタの腎臓とウシの脂肪を組み合わせたも
の、ウシの心臓、ウシの凝固血液、小麦、トウモロコ
シ、サカナ、ハエの飼料、ドッグフードなどが利用され
ている(Hara, A. H., J. E. Lindegren and H. K. Kay
a. Adu. Agri. Technol., Western Series, USDA, No.1
6:1-8, 1981 )。
【0008】一方、合成培地としてビーフエキストラク
ト、ペプトン、コーンオイル等も利用したLipid agar培
地が報告されている(Wounts, W. M. J. Nematol., 13:
467-469, 1981 )。このうち、ニワトリの心臓、頭、
足、肝臓等の磨細物を容積当たり表面積の大きい増殖支
持体、例えばポリウレタンフォームや木くず、更には羊
毛くずなどに吸着させた培地及びこれを用いる培養方法
がこれまで最も線虫の効率的な増殖法として知られてい
る(Bedding, R. A. Ann. Appl. Biol., 104:117-120,
1984. 特開昭 52-41225 )。
ト、ペプトン、コーンオイル等も利用したLipid agar培
地が報告されている(Wounts, W. M. J. Nematol., 13:
467-469, 1981 )。このうち、ニワトリの心臓、頭、
足、肝臓等の磨細物を容積当たり表面積の大きい増殖支
持体、例えばポリウレタンフォームや木くず、更には羊
毛くずなどに吸着させた培地及びこれを用いる培養方法
がこれまで最も線虫の効率的な増殖法として知られてい
る(Bedding, R. A. Ann. Appl. Biol., 104:117-120,
1984. 特開昭 52-41225 )。
【0009】しかしながら、ドッグフードや家畜の内臓
等を使用した培地は、含まれている成分が不明なため安
定した線虫の増殖が困難であり、また、Lipid agar培地
はドッグフードや家畜の内臓等を使用した培地と比較し
て線虫の増殖数が著しく少なかった。
等を使用した培地は、含まれている成分が不明なため安
定した線虫の増殖が困難であり、また、Lipid agar培地
はドッグフードや家畜の内臓等を使用した培地と比較し
て線虫の増殖数が著しく少なかった。
【0010】従って、従来行われてきた線虫の大量増殖
は、上記の材料を培地として用いているため安定した線
虫の供給が困難であり、このため産業上効率が悪く、多
くの改善点が残されている。
は、上記の材料を培地として用いているため安定した線
虫の供給が困難であり、このため産業上効率が悪く、多
くの改善点が残されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、昆虫
寄生性線虫の大量増殖に関し、これまでドッグフードや
家畜の内臓等の内容成分が不明な材料、あるいはビーフ
エキストラクト、ペプトン、コーンオイル等を培地とし
て用いた場合の問題点を解消し、安定した線虫の大量増
殖を可能にする増殖用培地を提供するものである。
寄生性線虫の大量増殖に関し、これまでドッグフードや
家畜の内臓等の内容成分が不明な材料、あるいはビーフ
エキストラクト、ペプトン、コーンオイル等を培地とし
て用いた場合の問題点を解消し、安定した線虫の大量増
殖を可能にする増殖用培地を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の昆虫寄生性線虫
増殖用培地は、ソルブルスターチ、グルコース、ラー
ド、ペプトン、及びイーストエキストラクトを有効成分
とするものである。以下、本発明に用いる昆虫寄生性線
虫、培地の調整法、さらに当該培地を用いた昆虫寄生性
線虫の増殖法について詳しく説明する。
増殖用培地は、ソルブルスターチ、グルコース、ラー
ド、ペプトン、及びイーストエキストラクトを有効成分
とするものである。以下、本発明に用いる昆虫寄生性線
虫、培地の調整法、さらに当該培地を用いた昆虫寄生性
線虫の増殖法について詳しく説明する。
【0013】昆虫寄生性線虫 本発明が対象とする昆虫寄生性線虫は、特に限定される
ものではないが、例えばSteinernema kushidai、S. car
pocapsae、S. feltiae、S. glaseri、Heterorhabditis
sp. OJ-N2 、H. heriothidis等である。
ものではないが、例えばSteinernema kushidai、S. car
pocapsae、S. feltiae、S. glaseri、Heterorhabditis
sp. OJ-N2 、H. heriothidis等である。
【0014】培地の調整法 本発明の昆虫寄生性線虫増殖用培地は、ソルブルスター
チを0.1〜1.0%、グルコースを0.2〜1.5%、ラード
を1.5〜3.5%、ペプトンを0.5〜2.0%、及びイース
トエキストラクトを1.0〜2.0%の濃度になるように水
または緩衝液に溶解させて調整する。なお、本発明にお
いて用いる緩衝液の種類は、特に限定されるものではな
いが、リン酸緩衝液(33mM KH2 PO4 と 33mM Na 2 HPO
4を混合してpH6.0〜7.5に調整する)、ビス−トリス
緩衝液(33mM C8 H19NO5 に1N HClを添加してpH6.0〜
7.5に調整する)、モプス緩衝液(33mM C7 H15NO4 S
に1N KClを添加してpH6.0〜7.5に調整する)等が例示
される。
チを0.1〜1.0%、グルコースを0.2〜1.5%、ラード
を1.5〜3.5%、ペプトンを0.5〜2.0%、及びイース
トエキストラクトを1.0〜2.0%の濃度になるように水
または緩衝液に溶解させて調整する。なお、本発明にお
いて用いる緩衝液の種類は、特に限定されるものではな
いが、リン酸緩衝液(33mM KH2 PO4 と 33mM Na 2 HPO
4を混合してpH6.0〜7.5に調整する)、ビス−トリス
緩衝液(33mM C8 H19NO5 に1N HClを添加してpH6.0〜
7.5に調整する)、モプス緩衝液(33mM C7 H15NO4 S
に1N KClを添加してpH6.0〜7.5に調整する)等が例示
される。
【0015】また、本発明の培地に寒天を0.3〜1.0%
の濃度で添加して固体培地として使用してもよく、ある
いは、溶液のまま液体培地として使用してもよい。(以
下、当該培地をSGLPY培地と略記する。)上記方法
で調整した培地を10〜100ml の培養ビンあるいはシャー
レなどに注いで高圧蒸気滅菌(121℃、15分)して
培地を作成する。
の濃度で添加して固体培地として使用してもよく、ある
いは、溶液のまま液体培地として使用してもよい。(以
下、当該培地をSGLPY培地と略記する。)上記方法
で調整した培地を10〜100ml の培養ビンあるいはシャー
レなどに注いで高圧蒸気滅菌(121℃、15分)して
培地を作成する。
【0016】昆虫寄生性線虫の増殖法 上記方法で作成した培地を放冷後、前記線虫の感染態幼
虫(IJ)をそれぞれ培養ビン或いはシャーレ当たり10
0〜1000頭接種する。ここで用いる感染態幼虫(I
J)は、ドッグフード・ペプトン培地(Ogura, N. and
Y. Mamiya Appl.Ent. Zool.,24(1):112-116, 1989. )
で継代培養してきた感染態幼虫(IJ)を滅菌ベールマン
装置と滅菌蒸留水を用いて分離したものである。
虫(IJ)をそれぞれ培養ビン或いはシャーレ当たり10
0〜1000頭接種する。ここで用いる感染態幼虫(I
J)は、ドッグフード・ペプトン培地(Ogura, N. and
Y. Mamiya Appl.Ent. Zool.,24(1):112-116, 1989. )
で継代培養してきた感染態幼虫(IJ)を滅菌ベールマン
装置と滅菌蒸留水を用いて分離したものである。
【0017】また、0.1%ホルマリン液で3〜5回予備
洗浄して0.1〜0.3%のメルチオレートで表面殺菌した
後、滅菌水で3〜5回洗浄したものでもかまわない。接
種後、23〜28℃の温度下で15〜30日間培養す
る。
洗浄して0.1〜0.3%のメルチオレートで表面殺菌した
後、滅菌水で3〜5回洗浄したものでもかまわない。接
種後、23〜28℃の温度下で15〜30日間培養す
る。
【0018】培養後、培養ビンあるいはシャーレなどに
蒸留水を注いで10〜1000倍に希釈し、ピーター1ml計数
盤を用いて感染態幼虫(IJ)数を計数する。
蒸留水を注いで10〜1000倍に希釈し、ピーター1ml計数
盤を用いて感染態幼虫(IJ)数を計数する。
【0019】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例により何等制限
されるものではない。
に説明するが、本発明はこれらの実施例により何等制限
されるものではない。
【0020】実施例1SGLPY培地の調整 ソルブルスターチを0.6%、グルコースを1.0%、ラー
ドを3.0%、ペプトンを1.5%、イーストエキストラク
トを1.5%、及び寒天を0.5%の濃度になるようにビス
−トリス緩衝液(33mM C8 H 19NO5 に1N HClを添加して
pH6.7 に調整する)に加え攪拌溶解後、培地 5mlを50ml
容の培養ビンにいれ、121℃で15分間高圧蒸気滅菌
して冷却固化させた。
ドを3.0%、ペプトンを1.5%、イーストエキストラク
トを1.5%、及び寒天を0.5%の濃度になるようにビス
−トリス緩衝液(33mM C8 H 19NO5 に1N HClを添加して
pH6.7 に調整する)に加え攪拌溶解後、培地 5mlを50ml
容の培養ビンにいれ、121℃で15分間高圧蒸気滅菌
して冷却固化させた。
【0021】線虫の培養及び調査法 上記方法で調整したSGLPY培地にドッグフード・ペ
プトン培地で継代培養したSteinernema kushidai、S. c
arpocapsae、S. feltiae、およびHeterorhabditis sp.
OJ-N2の感染態幼虫(IJ)を滅菌ベールマン装置と滅菌
蒸留水を用いて分離した。ついで、それぞれの感染態幼
虫を培養ビン当たり1000頭接種し、25℃で20日
間培養した後、培養ビンに蒸留水を注いで100倍に希
釈してピーター1ml計数盤を用いて線虫の数を計数し
た。結果を表1に示す。
プトン培地で継代培養したSteinernema kushidai、S. c
arpocapsae、S. feltiae、およびHeterorhabditis sp.
OJ-N2の感染態幼虫(IJ)を滅菌ベールマン装置と滅菌
蒸留水を用いて分離した。ついで、それぞれの感染態幼
虫を培養ビン当たり1000頭接種し、25℃で20日
間培養した後、培養ビンに蒸留水を注いで100倍に希
釈してピーター1ml計数盤を用いて線虫の数を計数し
た。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1に示すように、本発明のSGLPY培
地により、線虫が45〜68万頭の増殖を示した。
地により、線虫が45〜68万頭の増殖を示した。
【0024】比較例1 培地の調整 Lipid agar培地、即ちビーフエキストラクトを0.6%、
ペプトンを1.0%、コーンオイルを1.0%、及び寒天を
1.5%の濃度になるように蒸留水に溶解させた後、培地
5mlを50ml容の培養ビンにいれ同様に高圧蒸気滅菌し
た。線虫の培養及び調査法 実施例1の場合と同様の方法で、Steinernema kushidai
の感染態幼虫(IJ)を接種し、培養して、線虫の数を計
数した。結果を表2に示す。
ペプトンを1.0%、コーンオイルを1.0%、及び寒天を
1.5%の濃度になるように蒸留水に溶解させた後、培地
5mlを50ml容の培養ビンにいれ同様に高圧蒸気滅菌し
た。線虫の培養及び調査法 実施例1の場合と同様の方法で、Steinernema kushidai
の感染態幼虫(IJ)を接種し、培養して、線虫の数を計
数した。結果を表2に示す。
【0025】比較例2 培地の調整 ブタの腸とペプトンを組み合わせた培地(小倉信夫 森
林防疫39(2) 27:7-12,1990)、即ち、家庭用ミキサーで
破砕したブタの腸の磨細物を26.4%、ペプトンを1.2
%、および寒天を0.3%の濃度になるようにリン酸緩衝
液(pH 6.5)に加えて、実施例1と同様に培地5mlを培
養ビンにいれ高圧蒸気滅菌した。以下、この培地をブタ
腸・ペプトン培地と記載する。線虫の培養及び調査法 実施例1の場合と同様の方法で、Steinernema kushidai
の感染態幼虫(IJ)を接種し、培養して、線虫の数を計
数した。結果を表2に示す。
林防疫39(2) 27:7-12,1990)、即ち、家庭用ミキサーで
破砕したブタの腸の磨細物を26.4%、ペプトンを1.2
%、および寒天を0.3%の濃度になるようにリン酸緩衝
液(pH 6.5)に加えて、実施例1と同様に培地5mlを培
養ビンにいれ高圧蒸気滅菌した。以下、この培地をブタ
腸・ペプトン培地と記載する。線虫の培養及び調査法 実施例1の場合と同様の方法で、Steinernema kushidai
の感染態幼虫(IJ)を接種し、培養して、線虫の数を計
数した。結果を表2に示す。
【0026】比較例3 培地の調整 ドッグフード(商標:ゲインズハーティー、味の本ゼネ
ラルフード社製)とペプトンを組み合わせた培地(Ogur
a, N. and Y. Mamiya Appl. Ent. Zool.,24(1):112-11
6., 1989.)、即ち、家庭用ミキサーで破砕したドッグ
フードの粉砕物を8.8%、ペプトンを1.2%、及び寒天を
0.2%の濃度になるようにリン酸緩衝液(pH6.5)に加
えて、実施例1と同様に培地5mlを培養ビンにいれ高圧
蒸気滅菌した。以下、ドッグフード・ペプトン培地と略
する。線虫の培養及び調査法 実施例1の場合と同様の方法で、Steinernema kushidai
の感染態幼虫(IJ)を接種し、培養して、線虫の数を計
数した。S.Kushidaiを培養した結果を表2に示す。
ラルフード社製)とペプトンを組み合わせた培地(Ogur
a, N. and Y. Mamiya Appl. Ent. Zool.,24(1):112-11
6., 1989.)、即ち、家庭用ミキサーで破砕したドッグ
フードの粉砕物を8.8%、ペプトンを1.2%、及び寒天を
0.2%の濃度になるようにリン酸緩衝液(pH6.5)に加
えて、実施例1と同様に培地5mlを培養ビンにいれ高圧
蒸気滅菌した。以下、ドッグフード・ペプトン培地と略
する。線虫の培養及び調査法 実施例1の場合と同様の方法で、Steinernema kushidai
の感染態幼虫(IJ)を接種し、培養して、線虫の数を計
数した。S.Kushidaiを培養した結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】表2から明かなように、本発明のSGLP
Y培地は、従来のLipid agar培地、ブタ腸・ペプトン培
地、及びドッグフード・ペプトン培地と比較して約2〜
20倍に線虫を増殖させた。
Y培地は、従来のLipid agar培地、ブタ腸・ペプトン培
地、及びドッグフード・ペプトン培地と比較して約2〜
20倍に線虫を増殖させた。
【0029】実施例2および比較例4 培地の調整 実施例1と同様にして、ソルブルスターチを0.5%、グ
ルコースを0.5%、ラードを2%、ペプトンを1%、イ
ーストエキストラクトを1%、および寒天を0.5%の濃
度になるようにビス−トリス緩衝液に加えて作成したS
GLPY培地を基本培地として、表3に示すような寒天
以外のいずれかの成分を添加しない5種類の培地を作成
した。線虫の培養及び調査法 実施例1の場合と同様の方法で、上記の各培地にSteine
rnema kushidaiの感染態幼虫(IJ)を接種し、培養し
て、線虫の数を計数した。結果を表3に示す。
ルコースを0.5%、ラードを2%、ペプトンを1%、イ
ーストエキストラクトを1%、および寒天を0.5%の濃
度になるようにビス−トリス緩衝液に加えて作成したS
GLPY培地を基本培地として、表3に示すような寒天
以外のいずれかの成分を添加しない5種類の培地を作成
した。線虫の培養及び調査法 実施例1の場合と同様の方法で、上記の各培地にSteine
rnema kushidaiの感染態幼虫(IJ)を接種し、培養し
て、線虫の数を計数した。結果を表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】表3から明かなように、基本培地に比較し
て、いずれかの成分を添加しない培地では、線虫の増殖
は劣るものであった。特にラードおよびイーストエキス
トラクトの影響が顕著である。
て、いずれかの成分を添加しない培地では、線虫の増殖
は劣るものであった。特にラードおよびイーストエキス
トラクトの影響が顕著である。
【0032】実施例3 SGLPY培地の調整 ソルブルスターチを0.6%、グルコースを1.0%、ラー
ドを3.0%、ペプトンを1.5%、及びイーストエキスト
ラクトを1.5%の濃度になるようにビス−トリス緩衝液
(pH6.7 )に加え攪拌溶解後、培地5mlを50ml容の培養
ビンにいれ、高圧蒸気滅菌(121℃、15分)した後
冷却させた。線虫の培養及び調査法 実施例1の場合と同様の方法で、Steinernema kushidai
の感染態幼虫(IJ)を接種し、培養して、線虫の数を計
数した。結果を表4に示す。
ドを3.0%、ペプトンを1.5%、及びイーストエキスト
ラクトを1.5%の濃度になるようにビス−トリス緩衝液
(pH6.7 )に加え攪拌溶解後、培地5mlを50ml容の培養
ビンにいれ、高圧蒸気滅菌(121℃、15分)した後
冷却させた。線虫の培養及び調査法 実施例1の場合と同様の方法で、Steinernema kushidai
の感染態幼虫(IJ)を接種し、培養して、線虫の数を計
数した。結果を表4に示す。
【0033】比較例5 培地の調整 比較例3のドッグフード・ペプトン培地から寒天を除い
た液体培地を用いて、比較例3と同様にして培地の調整
を行った。線虫の培養及び調査法 実施例1の場合と同様の方法で、Steinernema kushidai
の感染態幼虫(IJ)を接種し、培養して、線虫の数を計
数した。結果を表4に示す。
た液体培地を用いて、比較例3と同様にして培地の調整
を行った。線虫の培養及び調査法 実施例1の場合と同様の方法で、Steinernema kushidai
の感染態幼虫(IJ)を接種し、培養して、線虫の数を計
数した。結果を表4に示す。
【0034】
【表4】
【0035】表4から明かなように、液体培地において
も、本発明のSGLPY培地は、従来使用されているド
ッグフード・ペプトン培地よりも約1.5倍良好な線虫
の増殖が認められた。しかしながら、寒天を添加した固
体培地よりは増殖が劣るものであった。これは、液体培
地では線虫が培地中に沈澱してしまい、さらに未孵化の
卵が多数認められたことから、酸素不足のために増殖が
阻害されたものと思われる。しかしながら、液体培地中
に適当量の無菌酸素を送ることにより、充分実用性は生
まれるものと思われる。
も、本発明のSGLPY培地は、従来使用されているド
ッグフード・ペプトン培地よりも約1.5倍良好な線虫
の増殖が認められた。しかしながら、寒天を添加した固
体培地よりは増殖が劣るものであった。これは、液体培
地では線虫が培地中に沈澱してしまい、さらに未孵化の
卵が多数認められたことから、酸素不足のために増殖が
阻害されたものと思われる。しかしながら、液体培地中
に適当量の無菌酸素を送ることにより、充分実用性は生
まれるものと思われる。
【0036】
【発明の効果】本発明の昆虫寄生性線虫増殖用培地を使
用することによって、昆虫寄生性線虫の安定的かつ効率
的な大量増殖が可能となった。
用することによって、昆虫寄生性線虫の安定的かつ効率
的な大量増殖が可能となった。
Claims (1)
- 【請求項1】 ソルブルスターチ、グルコース、ラー
ド、ペプトン、及びイーストエキストラクトを有効成分
とする昆虫寄生性線虫増殖用培地。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32135992A JP2683799B2 (ja) | 1992-11-06 | 1992-11-06 | 昆虫寄生性線虫増殖用培地 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32135992A JP2683799B2 (ja) | 1992-11-06 | 1992-11-06 | 昆虫寄生性線虫増殖用培地 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06225665A JPH06225665A (ja) | 1994-08-16 |
JP2683799B2 true JP2683799B2 (ja) | 1997-12-03 |
Family
ID=18131695
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32135992A Expired - Lifetime JP2683799B2 (ja) | 1992-11-06 | 1992-11-06 | 昆虫寄生性線虫増殖用培地 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2683799B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103875605A (zh) * | 2014-03-12 | 2014-06-25 | 中国科学院东北地理与农业生态研究所 | 食细菌类Plectus线虫的培养方法 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100390535B1 (ko) * | 2000-05-31 | 2003-07-04 | 송미향 | 곤충병원성 선충 배양용 배지 및 그를 이용한 선충의 대량배양방법 |
CN113317281A (zh) * | 2021-06-11 | 2021-08-31 | 杭州师范大学 | 一种富集培养海洋食细菌线虫的方法 |
-
1992
- 1992-11-06 JP JP32135992A patent/JP2683799B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103875605A (zh) * | 2014-03-12 | 2014-06-25 | 中国科学院东北地理与农业生态研究所 | 食细菌类Plectus线虫的培养方法 |
CN103875605B (zh) * | 2014-03-12 | 2015-10-28 | 中国科学院东北地理与农业生态研究所 | 食细菌类Plectus线虫的培养方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06225665A (ja) | 1994-08-16 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |