JP2668181B2 - 灯浮標用灯ろう - Google Patents

灯浮標用灯ろう

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JP2668181B2
JP2668181B2 JP4190049A JP19004992A JP2668181B2 JP 2668181 B2 JP2668181 B2 JP 2668181B2 JP 4190049 A JP4190049 A JP 4190049A JP 19004992 A JP19004992 A JP 19004992A JP 2668181 B2 JP2668181 B2 JP 2668181B2
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裕司 麻生
忠浩 有村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】航路標識等に用いる標識用灯ろう
の製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】航路標識等に用いる標識用灯ろうは、灯
台等の固定構造物およびブイ等の浮遊構造物に取り付け
て用いる。灯浮標等の浮遊構造物の場合、波浪により動
揺し灯火の光軸が動揺するため、視認効果が低下するこ
とがあり、固定構造物の灯ろうの場合より垂直発散角の
大きい灯ろうが適している。
【0003】従って、固定構造物用灯ろうにはピーク光
度が大きい灯ろう(発散角は小さい)、灯浮標等の浮遊
構造物には発散角の大きい灯ろう(ピーク光度は小さ
い)を使用するのが理想的である。図1および図2に固
定構造物と浮遊構造物の理想的垂直配光特性図を示す。
【0004】しかし、現実には同一の灯ろうを使用して
おり、集光効率の良い焦点位置に光源を置いたピーク光
度が大きい発散角の小さい灯ろうを固定構造物にも浮遊
構造物にも使用してきた。
【0005】従来の焦点位置と光源位置が一致する円筒
フレネルレンズの灯ろうでは、垂直発散角は光源の高さ
(フィラメント長さ)と円筒フレネルレンズの焦点距離
(レンズの半径)によって一義的に決まる。電球は大量
に一括生産され、レンズは金型によるプラスチック射出
成形で生産するため、フィラメント長さもレンズの直径
もコスト面、性能面から容易に変えることは困難であっ
た。従って、浮遊構造物に用いる灯ろうも、常時荒天で
動揺するとは限らず、灯光の遠達のはかれるピーク光度
の大きい発散角の小さい焦点位置と光源位置が一致した
灯ろうが用いられてきた。
【0006】また、焦点距離と光源とレンズの距離Rが
一致する灯ろう(中心に光源がある灯ろうではレンズの
円筒半径と焦点距離が一致)では、灯ろうの発散角は電
球のフィラメントの高さhに比例し、焦点距離fに反比
例し、ほぼa×h/fとなり、aは1ないし2.0と云
われている。灯浮標用灯ろうで一番多く用いられる15
0mm径の灯ろうで、一般に用いられる4ないし6mm
のフィラメント高さの電球を用いた灯ろうの発散角は約
6度となる。
【0007】一方浮遊構造物の灯浮標は、波面の波形勾
配で傾くが、少し荒れると波形勾配は1/10(5.7
度)になり、灯浮標の動揺角は灯浮標の形状によっても
異なるが、この倍程度の動揺角になり、灯ろうの動揺角
も同様に11度程となり、動揺中常時灯光を視認しうる
ためには灯光の発散角は22度も要るようになる。この
ように一旦荒天になると従来の灯ろうでは視認が困難と
なることもあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】近年、衛星利用による
航法の発達普及により、浮遊構造物用灯ろう例えば航路
標識用灯浮標の灯ろうは灯光の遠達よりもむしろ波浪の
ある時に視認が容易であることが望まれるようになっ
た。即ち、ピーク光度は多少劣っても発散角の大きい灯
ろうが望まれるようになった。
【0009】本発明は、上記従来技術の欠点を解消し、
発散角の大きい容易に製作しうる灯浮標用灯ろうであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するた
め、本発明では円筒フレネルレンズを用いた標識用灯ろ
うにおいて、レンズ焦点位置と光源位置が一致した固定
構造物用灯ろうのレンズ焦点位置と光源位置をずらし、
例えばレンズ焦点距離fが光源レンズとの距離Rより大
きくなるようにし、灯光の垂直発散角を大きくした灯浮
標用灯ろうとする
【0011】そのために、円筒フレネルレンズを微細な
プリズム状リニヤフレネルレンズ面を形成した薄い透明
フィルムを円筒状に曲げた円筒フレネルレンズとし、円
筒フレネルレンズの円筒径を変えることによりレンズ焦
点位置をずらし垂直発散角を大きくした灯浮標用灯ろう
とする
【0012】また、円筒フレネルレンズの透明な円筒カ
バーの内面に微細なプリズム状リニヤフレネルレンズ面
を形成した薄い透明フィルムを曲げ添わせた円筒フレネ
ルレンズとし、円筒カバー内面に添わすリニヤフレネル
レンズを焦点距離の異なるリニヤフレネルレンズと交換
することによりレンズ焦点位置をずらし灯光の垂直発散
角を大きくした灯浮標用灯ろうとする
【0013】また、円環状光源の場合は、円環状光源の
円環径を変えることによりレンズ焦点位置と光源位置を
ずらし、灯光の垂直発散角を大きくした灯浮標用灯ろう
とする
【0014】
【作用】円筒フレネルレンズのレンズ焦点距離fが、た
とえば光源とレンズとの距離Rより大きくなるようずら
したため、灯光の垂直発散角は、焦点距離と光源が一致
していた場合より大きな灯ろうとなり、波浪による動揺
があっても視認が容易となる。
【0015】また、円筒フレネルレンズを微細なプリズ
ム状フレネルレンズ面を形成した薄い透明フィルムを円
筒状に曲げた円筒フレネルレンズとし、この円筒径を変
え(焦点距離fは同一のままRを変え)ることは容易
で、レンズ焦点位置と光源位置をずらし灯光の垂直発散
角を大きく調節でき波浪中でも視認の容易な灯浮標用
ろうとなる
【0016】また、透明円筒カバーの内面に添わす微細
なプリズム状リニヤフレネルレンズ面を形成した薄い透
明フィルムをレンズの焦点距離fが光源とレンズ間の距
離R(光源が円筒中心にある場合は円筒の半径)と一致
するものと、fがRより少し大きいものを2通り用意し
ておけば容易に交換でき、同一の灯ろうを固定構造用に
も、灯浮標用にも容易に変換できる。
【0017】また、LEDを円周上に放射状に配置した
基盤を持つ灯ろうでは、光源の円環状直径をfとRが一
致した固定構造用とfがRより少し大きい浮遊構造用と
2通り用意しておけば、同一の灯ろうを固定構造用にも
灯浮標用にも容易に変換できる。
【0018】
【実施例】固定構造物用と浮遊構造物用灯ろうの理想的
な垂直配光特性図をそれぞれ図1および図2に示す。発
光エネルギー(曲線と垂直軸で囲む面積)が同一とすれ
ば、ピーク光度が大きい程、灯光の遠達ができるが発散
角は小さく、発散角を大きくとればピーク光度は小さく
なる。ここでいう発散角とは垂直配光特性図においてピ
ーク光度の1/10光度値となる鉛直角の上下2点間の
角度を云う。
【0019】図3は円筒レンズの焦点が円筒の中心にあ
り、光源の電球と焦点が一致した場合を示す概念図で1
は円筒フレネルレンズ、fは焦点距離、2は電球、3は
フィラメント、hはフィラメントの高さである。光源を
左右に移動させた場合たとえば図のA方向に移動させた
場合ピーク光度は小となるが垂直発散角が大となり、本
願の目的を達する。図のB方向に光源を移動させた場
合、極く微少の移動では、光源のフィラメント3の高さ
hがあるため、極く微少の移動範囲ではピーク光度が大
となり、垂直発散角は小となるが、すぐにピーク光度が
小となり、垂直発散角が大となり、この場合も本願の目
的を達する。B方向に移動させた場合は一時垂直発散角
が小となる場合があるので、図のA方向即ち焦点位置よ
り光源をレンズに近づけるようにずらす方が好ましい。
【0020】図4は本願の概念説明図で、円筒レンズ1
の円筒の中心に電球の光源があり(円筒レンズの半径
R)、レンズの焦点距離fはRより大きく、光源は焦点
位置Fよりずれている状態を示している。
【0021】図5は本願の1実施例で微細なプリズム状
リニヤフレネルレンズ面を形成した(プリズム状の刻み
のピッチは約0.1mm程度に小さく肉眼では殆ど見え
ないため図示の断面形状では直線状に表示している)薄
い透明フィルム(厚さ約0.5mm程度の)を円筒状に
曲げた円筒フレネルレンズを透明フード内に納めた灯ろ
うである。図5は電球2のフィラメント3が円筒中心に
あリ、フレネルレンズの焦点距離fが円筒フレネルレン
ズの円筒半径R(レンズと光源の距離)と一致していな
い、ずらした状態を示し、本例ではfがRより大きい場
合で、灯ろうの発散角は大きく、灯浮標用灯ろうとな
る。
【0022】この灯ろうで、フレネルレンズ1の焦点距
離fがレンズの円筒半径Rと一致するフレネルレンズを
取りつければ、光源の位置とレンズの焦点位置が一致
し、灯ろうの発散角が小で光度が大きい固定構造物用灯
ろうとなる。この灯ろうに用いる微細なプリズム状リニ
ヤフレネルレンズ面を形成した薄い透明フィルムを円筒
状に曲げた円筒フレネルレンズであるため、製造が容易
であり、同一の灯ろうで、フレネルレンズの選択だけで
灯浮標用或は固定構造物用の灯ろうが容易に製造できる
灯ろうの構造である。
【0023】図6および図7は図5のA部およびB部の
円筒フレネルレンズを固定する部分すなわち、円筒フレ
ネルレンズの支持手段を改良した実施例である。リニヤ
フレネルレンズの薄い透明フィルムの巻径を変えた(従
ってレンズ焦点距離は同じ)円筒フレネルレンズを挿入
可能とした例で、図6aおよびbはフレネルレンズ上縁
を挿入するフード4の溝5およびレンズ下縁を挿入する
フード固定用パッキン7に設けた挿入溝5を2重に設け
た例、図7aおよびbは溝のかわりにリング状スペーサ
6を挿入する(レンズの筒径を大きくした)場合を示し
たものである。いずれもリニヤフレネルレンズのレンズ
筒径を変えるだけで光源位置とレンズ焦点位置をずらす
ことが容易にでき、発散角が大きい灯浮標用灯ろうも、
発散角が小さく光度の大きい固定構造物用灯ろうも容易
変換することができる。
【0024】本図示例ではリニヤフレネルレンズ筒の半
径Rが焦点距離fと一致した方を固定構造物用灯ろうと
し、Rがfより小さいリニヤフレネルレンズの方を灯浮
用としたが、この逆にRがfより大きいリニヤフレネ
ルレンズの方を灯浮標用としてもよいことは勿論であ
る。この例を図8に示す。
【0025】図9は灯ろうの光源をLED8′を円周上
に放射状に並べた円環状光源8とし、フレネルレンズを
微細なプリズム状リニヤフレネルレンズ面を形成した薄
い透明フィルム1を円筒状に曲げ、円筒フード4の内面
に添わした灯ろうである。
【0026】図10は図9のA−A視図である。この実
施例ではリニヤフレネルレンズはその継ぎ目9をフレネ
ルレンズのフィルムの端面で合してフード4の内面にそ
わしただけであるので容易に取り外して取り替えること
ができる。従ってリニヤフレネルレンズを焦点距離f
が、光源とフレネルレンズの焦点距離Rが一致するもの
(固定構造物用の)と、灯浮標用の相違したものと2通
り用意して目的に応じてフード4内面に添わすようにす
る。
【0027】また、LEDを配した基盤10を、円環状
光源の半径が異り、光源とフレネルレンズ間の距離Rが
フレネルレンズの焦点距離fと一致するもの(固定構造
物用)と、ずれるもの(灯浮標用)と2通り用意し、
に応じ選択取りつけるようにする。
【0028】
【発明の効果】請求項1記載の灯浮標用灯ろうは固定構
造物用灯ろうに対して、同一焦点距離のリニヤフレネル
レンズを曲げた円筒フレネルレンズの円筒レンズ径を変
えるだけであり、発散角の小さい光度の大きい固定構造
物用灯ろうから、発散角の大きい灯ろうに容易に変換す
ることができ、灯ろうが波浪で傾斜しても航行船舶より
容易に視認し得る灯浮標用灯ろうとなる。
【0029】請求項2記載の灯浮標用灯ろうを用いれ
ば、さらに円筒フレネルレンズが取り付け、取り外し容
易となり、リニヤフレネルレンズを取り替えることによ
り、焦点位置と光源位置を合すこともずらすことも容易
となり、同様の効果を達することができる。
【0030】請求項3記載の灯浮標用灯ろうを用いれ
ば、固定構造物用或は灯浮標用の灯ろうを容易に製造す
ることができ、同様の効果を達することができる。
【0031】請求項4記載の灯浮標を用いれば、同一の
灯ろうに固定構造物用円筒フレネルレンズ或いは灯浮標
用フレネルレンズの何れについても支持手段を有するの
で、固定構造物用灯ろうにも灯浮標用灯ろうにも容易に
変換できるので、目的に適合した特性が得られ、灯ろう
の標準化もすすむ。
【図面の簡単な説明】
【図1】固定構造物用灯ろうの理想的な垂直配光特性図
【図2】浮遊構造物用灯ろうの理想的な垂直配光特性図
【図3】本発明の灯ろうの光源と焦点の関係の概念説明
【図4】本発明の浮遊構造物用灯ろうの概念説明図
【図5】本発明の1実施例の説明図
【図6b】本発明の1実施例の説明図
【図7a】本発明の1実施例の説明図
【図7b】本発明の1実施例の説明図
【図8a】本発明の1実施例の説明図
【図8b】本発明の1実施例の説明図
【図9】本発明の1実施例を示す1部切断正面図
【図10】図9のA−A視図
【符号の説明】
1 フレネルレンズ 2 電球 3 フィラメント 4 フード 5 溝 6 スペーサ 7 フード固定用パッキン 8 リング状光源 9 継ぎ目 10 基盤 f レンズの焦点距離 R 光源とレンズの距離 h フィラメントの高さ F 焦点位置

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微細なプリズム状リニヤフレネルレンズ面
    を形成した薄い透明フィルムを円筒状に曲げた円筒フレ
    ネルレンズを用いた標識灯用灯ろうにおいて、レンズ焦
    点位置と光源位置が一致した固定構造物用灯ろうの円筒
    フレネルレンズの円筒径を変えることによりレンズ焦
    点位置と光源位置をずらし灯光の垂直発散角を大きくし
    ことを特徴とする灯浮標用灯ろう
  2. 【請求項2】 透明な円筒カバーの内面に微細なプリズム
    状リニヤフレネルレンズ面を形成した薄い透明フィルム
    を曲げ添わせた円筒フレネルレンズを用いた標識灯用灯
    ろうにおいて、レンズ焦点位置と光源位置が一致した固
    定構造物用灯ろうのフレネルレンズを焦点距離が光源と
    レンズ間の距離と異なるフレネルレンズとし、レンズ焦
    点位置と光源位置をずらすことにより灯光の垂直発散角
    大きくしたことを特徴とする灯浮標用灯ろう
  3. 【請求項3】円環状光源を有し、透明な円筒カバーの内
    面に微細なプリズム状リニヤフレネルレンズ面を形成し
    た薄い透明フィルムを曲げ添わせた円筒フレネルレンズ
    を用いた標識灯用灯ろうにおいて、レンズ焦点位置と光
    源位置が一致した固定構造物用灯ろうの円環状光源の円
    環径を変えることによりレンズ焦点位置と光源位置をず
    らし灯光の垂直発散角を大きくしたことを特徴とする
    浮標用灯ろう
  4. 【請求項4】微細なプリズム状リニヤフレネルレンズ面
    を形成した薄い透明フィルムを円筒に曲げた円筒フレネ
    ルレンズを用いた標識灯用灯ろうにおいて、レンズ焦点
    位置と光源位置が一致した固定構造物用灯ろうの円筒フ
    レネルレンズの上縁及び下縁を灯ろう内面に支持する手
    段とは別に、前記円筒フレネルレンズ半径と異なる半径
    の円筒フレネルレンズの上縁及び下縁の支持手段を設け
    て支持し、灯光の垂直発散角を大きくしたことを特徴と
    する請求項1記載の灯浮標用灯ろう。
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