JP2650862B2 - 芳香族炭化水素からメタキシレンの吸着分離法 - Google Patents

芳香族炭化水素からメタキシレンの吸着分離法

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JP2650862B2
JP2650862B2 JP6287706A JP28770694A JP2650862B2 JP 2650862 B2 JP2650862 B2 JP 2650862B2 JP 6287706 A JP6287706 A JP 6287706A JP 28770694 A JP28770694 A JP 28770694A JP 2650862 B2 JP2650862 B2 JP 2650862B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は他のキシレン類を含む芳
香族炭化水素の複合混合物からのメタキシレンを吸着分
離する方法に関するものである。さらに具体的には、本
発明は、ある種のアルミノシリケート・ゼオライト分子
ふるいと、種々の吸着温度および上記ふるいの水和レベ
ルを用いた選択的液相吸着法によるメタキシレンの回収
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、芳香族炭化水素の分離を行うため
に用いることができる多数の吸着分離法が知られてい
る。これらの方法におけるゼオライト吸着剤については
文献等で開示されている。例えば、米国特許第3,840,61
0号はナトリウムYゼオライトがp−キシレンからm−
キシレンを分離することを開示している。米国特許第4,
306,107号は、他のキシレン類との混合物からメタキシ
レンを回収するための、重量ベースで2〜7%の水分を
含んだゼオライトYを含んだナトリウムの使用について
開示している。この開示に付随して、脱着剤としてのト
ルエンの使用、およびゼオライトにシリカ、アルミナ、
あるいは粘土を含ませる可能性についても開示してい
る。米国特許第4,326,092号はまた、ナトリウム交換Y
ゼオライトを使用して、キシレン混入物からのメタキシ
レンの回収についても開示している。この開示は、シリ
カ対アルミナの比率との関連で使用可能な吸着剤につい
て述べており、吸着温度の具体例として150℃を挙げて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】メタキシレンは殺虫剤
およびイソフタル酸を含む多数の有益な製品の製造にお
いて用いられる貴重な製品である。標準的なナフサ改質
ゾーンからの流出液は高濃度の芳香族炭化水素を含んで
おり、現在パラキシレンが回収されているのと同じ方法
で吸着することにより、芳香族を豊富に含む炭化水素混
合物からメタキシレンを回収することが提案されてい
る。また、他の望ましいキシレン異性体の回収の前ある
いは後にキシレン異性化装置内を循環しているプロセス
・ストリームからメタキシレンを回収することも提案さ
れている。米国特許第3,700,744号、米国特許第3,729,5
23号および米国特許第3,773,846号参照。米国特許第4,5
85,526号では抽出蒸留によりでm−キシレンを回収する
ことも提案されている。しかしながら、メタキシレンの
回収はまだ商業的には成功しておらず、これらの原料中
の大量のメタキシレンがベンゼンまたはパラキシレンな
どの他の物質に転換されているだけである。
【0004】吸着分離はメタキシレンの回収のためにも
その使用が考えられており、メタキシレンあるいはメタ
キシレンと他のキシレン異性体を含んでいる混入物から
m−キシレンを選択的に分離する吸着剤も発見されてい
る。例えば、ナトリウムYゼオライト吸着剤と脱着剤と
してのトルエンの組み合わせがこうした分離に向いてい
ることが教示されている。しかしながら、パイロット・
プラント規模の操作でこのシステムをテストした場合、
大規模な商業化を阻む可能性が非常に高い2つの欠陥を
有していることが認められている。その欠陥は、(1)
吸着剤の体積(A)対供給原料ストリームの体積(F)
の比率(A/F比)が非常に高くなければならず、より
大型でコストのかかる商業的な規模のプラントの必要に
なること、および(2)いくつかの原料ストリームや、
このプロセスのために好ましい擬似向流移動床吸着シス
テムのいくつかのゾーンにおいて起きるような、高濃度
のo−キシレンが存在している場合、性能は低下するこ
とである。
【0005】本発明の目的は、他のC8芳香族炭化水素
からメタキシレンの商業的な規模でこれを分離する方法
を提供することである。本発明のさらに別の目的は、キ
シレンを豊富に含む炭化水素留分からメタキシレンを回
収する吸着プロセスを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、メタキシレン
と少なくとも1つの他のC8芳香族炭化水素とで構成さ
れている混合物からメタキシレンを分離するための方法
で、その1つの実施態様は前記混合物をナトリウムイオ
ンを含んだYゼオライトで構成される吸着剤と、吸着条
件下で接触させ、それによって、前記吸着剤上に選択的
にメタキシレンを吸着し、前記混合物の未吸着部分は該
吸着剤との接触から除外されて、メタキシレンが脱着条
件下で脱着剤によって除去され、そして、吸着条件が10
0〜150℃の温度であり、吸着剤が500℃で1.5〜3.0重量
%の灼熱減量(LOI)を示す水和レベルを有している
ことを特徴とする方法である。
【0007】本発明の他の好ましい実施態様はメタキシ
レンと少なくとも1つの他のキシレンとの混合物からメ
タキシレンを分離するための方法であり、該混合物が液
相吸着条件下でゼオライトYおよびアモルファス結合剤
とによって構成される吸着剤と接触させられ、メタキシ
レンが該吸着剤上に選択的に吸着され、該混合物の未吸
着部分は該吸着剤との接触から除外されて、該メタキシ
レンが脱着条件下での脱着剤による脱着によって取出さ
れ、さらに、その吸着剤が500℃で1.5〜3.0重量%の灼
熱減量(LOI)を示す水和レベルを有しており、ゼオ
ライトがリチウムとナトリウムの両方を含んでおり、そ
して、吸着条件が100〜150℃の範囲の温度であることを
特徴とする方法である。本発明は、脱着剤と共にゼオラ
イトYで構成される吸着剤およびプロセスの条件を組み
合わせて用いることによって達成される。特定なプロセ
ス温度および吸着剤水和レベルを保持することが、これ
ら両方の目的を完全に達成する上で極めて重要である。
タイプYゼオライトは米国特許第3,130,007号に基本的
に述べられている。このプロセスにおいて用いられるY
ゼオライトの基本的なシリカ:アルミナ比は好ましくは
4.0:1から6.0:1の範囲であり、より好ましくは5.
5:1以下である。
【0008】本発明の1つの実施態様では、ナトリウム
Yゼオライトが用いられる。好ましい別の実施態様にお
いては、天然ナトリウムの少部分がイオン交換によって
リチウムイオンと置換される。この発明において用いら
れるゼオライトの調製には、当業者に公知の交換方法を
用いることができる。ナトリウムイオンの5モルパーセ
ントがリチウムイオンにより置換され、より、好ましく
は、少なくとも10〜15パーセントのナトリウムイオンが
リチウムイオンにより置換されることが好ましい。ゼオ
ライトのリチウム・イオン含有率は50%以下であり、好
ましくは40%以下、そして最も好ましくは35%以下であ
る。リチウム交換の適切な範囲はしたがって5〜35%で
あり、好ましくは10〜30%である。
【0009】特定の分離における吸着剤の性能は、その
組成とは関係ない、運転条件、供給原料の組成、水分含
有率、そして脱着剤の組成など、多数の要因により大き
く影響される。したがって、吸着剤の性能は多数の相互
に関係しあった変数に依存している。
【0010】吸着剤組成の変数のうちのひとつの非常に
重要なものは、認知されている灼熱減量(LOI)テス
トで表現される吸着剤の水分含有率である。例えば、上
に引用したBroughtonは、水分含有率が2〜7%の範囲
が望ましいとしている。ここでは、LOIテストにおい
て、ゼオライト吸着剤の揮発性物質の含有量は、窒素ガ
スなどの不活性ガスを重量の一定化を達成するのに必要
な時間だけ除去しつつ500℃の温度下で吸着剤の試料を
乾燥する前と後とで得られる重量差によって判定され
る。500℃で2時間焼成した後の試料の最初の重量のパ
ーセントとし計算される重量の差が500℃での灼熱減量
として報告される。そして、本発明の目的を達成するた
めには、1.5%以上のLOIが絶対に必要である。吸着
剤の水分含有率は500℃で3.5%以下のLOI、好ましく
は1.5〜3.0の範囲のLOIであることが望ましい。2.0
〜2.5重量%のLOIは非常に望ましい。
【0011】通常、分離プロセスで用いられる吸着剤粒
子はアルミナや粘土などアモルファス状無機マトリック
ス内に分散された小さなゼオライト結晶を含んでいる。
シリカおよびアルミナの両方を含んでいる粘土、例え
ば、Minugelなどが望ましい。ゼオライトは通常、吸着
剤粒子内で揮発性物質を含有しない組成物を基にして75
〜98重量%の範囲である。揮発性物質を含有しない組成
物は、通常、すべての揮発性物質を排除するために900
℃で吸着剤を焼成した後に判定される。吸着剤の非ゼオ
ライト性部分は、通常、ゼオライトの小さな粒子との混
合物との間に存在している無機マトリックス物質であ
る。このマトリックス物質はゼオライトの製造方法(例
えば、その製造中にゼオライトを意図的に純化する方
法)からの副産物であり、あるいは比較的純粋なゼオラ
イトに加えることもできるが、いずれの場合も、その通
常の機能はゼオライト形成、あるいはゼオライトを押し
出し成型物、団粒、タブレット、大型粒子、あるいは望
ましい粒子サイズを有する粒子に粒状化するのを促進す
るための結合剤としてのものである。標準的な吸着剤の
粒子サイズは0.25〜1.19mmの粒子に対応して16〜60メッ
シュ(標準USメッシュ)の粒子サイズを有している。
【0012】多くの吸着分離方法においては液相および
気相の両方での操作が行われるが、液相での操作が望ま
しい。吸着条件は、100℃〜150℃の温度で、100℃〜145
℃の温度が良い結果が得られるので好ましい。更に、12
0〜130℃の範囲の温度が非常に好ましい。温度が高くな
ると、滞留体積が減少する傾向があり、本発明の課題を
達成するために必要である。一般的に吸着条件には101
〜3550kPa(大気圧〜500psig)の圧力範囲であるが、こ
れは液相での操作を保証するために、101〜1825kPa(大
気圧〜250psig)の圧力範囲が望ましい。脱着条件は好
ましくは吸着の場合と同様の温度および圧力を含んでい
る。
【0013】本発明においては、m−キシレンの分離
は、C8芳香族炭化水素の混合物を含む供給原料をm−
キシレンを選択的に吸着するが、供給原料の他の成分は
その吸着ゾーンを通過させる吸着剤上を通過させること
によって行われる。この供給原料混合物は、上に述べた
ような改質または分離装置から得ることができる。こう
した分離は不正確で、原料は、C9芳香族化合物など、
一般的には不純と考えられる他の組成物を含んでいる。
吸着剤を取り囲んでいる非吸着物質を除去するために
は、供給原料の流れを止めて、吸着ゾーンに対してフラ
ッシングを行う。その後、m−キシレンは、好ましくは
トルエンやインデインなどの芳香族炭化水素を含む脱着
剤によって吸着剤を処理することにより、吸着剤から脱
着される。脱着剤の物質は、通常、脱着ステップ前に吸
着ゾーンから吸着された物質をフラッシングするために
も用いられる。
【0014】本発明の目的において、ここで用いられる
種々の用語は以下のように定義される。『供給原料混合
物』とは、このプロセスにより分離される1つまたは複
数のエキストラクト成分および、1つまたは複数のラフ
ィネート成分を意味している。『供給原料ストリーム』
とは、プロセスで用いられる吸着剤に送られる供給原料
混合物のストリームを示す。『エキストラクト成分』と
は、その吸着剤により選択的に吸着される成分、あるい
は一定の成分を意味し、『ラフィネート成分』とは選択
的な吸収性がより低い成分、あるいはそうした種類の成
分を意味する。『脱着剤物質』とは、一般的に、吸着剤
からエキストラクト成分を脱着することができる物質を
意味する。『ラフィネート・ストリーム』または『ラフ
ィネート取出しストリーム』はラフィネート成分が吸着
剤床から除去されるストリームを意味する。ラフィネー
ト・ストリームの組成は基本的に100%脱着剤から100%
ラフィネート成分までの範囲で変化する。『エキストラ
クト・ストリーム』または『エキストラクト取出しスト
リーム』とは脱着剤物質によって脱着されたエキストラ
クト物質が吸着剤床から除去されるストリームを意味す
る。エキストラクト・ストリームの組成は基本的に100
%の脱着剤物質から基本的に100%エキストラクト成分
までの範囲で変化する。エキストラクト・ストリームお
よびラフィネート・ストリームの少なくとも一部は分離
手段、通常は分留塔に送られ、そこで、少なくとも脱着
剤物質の一部が回収されて、エキストラクト製品および
ラフィネート製品がつくりだされる。『エキストラクト
製品』および『ラフィネート製品』とはその方法でつく
りだされた、それぞれエキストラクト成分とラフィネー
ト成分をエキストラクト・ストリームおよびラフィネー
ト・ストリーム内に見いだされるよりも高い濃度で含ん
でいる製品を意味する。
【0015】脱着剤によるエキストラクト成分の交換速
度は、一般的には、パルス・テスト中に得られる吸着ゾ
ーン流出液内の種々の種の組成をプロットして得られる
半強度でのピーク・エンベロープを時間で割った幅で示
される。このピーク幅が狭ければ狭い程、脱着速度は速
い。脱着速度はまた、トレーサー・ピーク・エンベロー
プの中央と脱着されたばかりのエキストラクト成分の消
失との距離としても示すことができる。この距離は時間
に依存しており、したがって、この時間帯中にくみ上げ
られた脱着剤の体積の尺度(measure)である。トレー
サーは通常、分離される物質より高速でカラム内を移動
する比較的吸着されない組成物である。1つの種類の混
合物が吸着剤に出入する速度はステージ時間と称される
量でも報告される。ステージ時間は成分ピークの半幅に
基づいて計算され、他の場合、個々の種類の総滞留体積
での観察結果を訂正するのに役立つ。ステージ時間の計
算については、John Wiley & Sons社が1984年に発行し
たDouglas M. Rutbvenによる“Principles of Adsorpti
on and Adsorption Processes”に述べられている。ス
テージ時間が短いということは成分の吸着ゾーンにおけ
る滞留時間が短いことを意味しているわけではない。し
かし、短いステージ時間は、商業化を目的とした、した
がってプラント、装置、および吸着剤などに多額の投資
を必要とするどのようなシステムにおいても望ましいも
のである。
【0016】ラフィネート成分に対するエキストラクト
成分の選択性(β)は、エキストラクト成分ピーク・エ
ンベロープの中央とトレーサー・ピーク・エンベロープ
(あるいは他の基準点)との間の距離と、ラフィネート
成分ピーク・エンベロープの中央とトレーサー・ピーク
・エンベロープとの間の距離との比によって特徴づける
こともできる。選択性は1つの供給原料化合物対他の化
合物に関するだけでなく、いずれかの供給原料混合物成
分と脱着剤との間の関係でも表すことができる。本明細
書全体で用いられている選択性(β)は吸着相における
2つの成分の比率を均衡状態での未吸収相における同じ
2つの成分の比で割ったものとして定義されている。相
対的な選択性は、以下の数1から計算することができ
る。
【0017】
【数1】
【0018】ここで、CおよびDは重量パーセントで示
される供給原料内の2つの成分であり、下付文字Aおよ
びUはそれぞれ吸収相および未吸収相を示している。均
衡状態は吸着剤床上を通過する供給原料がその組成を変
えない場合、言い換えれば、未吸着相と吸着相との間で
の物質の移動がない場合と定義される。2つの成分の選
択性が1.0に近づくと、吸着剤によって一方の成分が他
方の成分に比較して優先的に吸着されることはなくな
る。それらは両方とも他方とほぼ同じ程度に吸着され
る。βが1より大きくなったり、あるいは1より小さく
なると、吸着剤により、一方の成分が他方の成分に比較
して優先的に吸着される。吸着剤による成分Cの成分D
に対する選択性と比較した場合、βが1.0以上の場合
は、吸着剤内部の成分Cが優先的に吸着されることを示
している。またβが1.0以下の場合は、成分Dが優先的
に吸着され、未吸着相内には成分Cの方が多くなり、吸
着相には成分Dの方が多くなる。
【0019】ラフィネート成分からのエキストラクト成
分の分離は論理的には可能であるが、ラフィネート成分
に対しての、その吸着剤のその成分に対する選択性が1
よりずっと大きくない場合は、そうした選択性が2に近
い方が望ましい。分別蒸留における相対的な揮発性の場
合と同様、選択性が高ければ高い程、吸着分離の実行が
容易になる。選択性がより高い程、使用される吸着剤の
量は少量ですむ。
【0020】吸着剤のひとつの重要な特性は、供給原料
混合物物質のエキストラクト成分に対する脱着剤の交換
速度、言い換えれば、エキストラクト物質脱着の相対的
な速度である。この特性は吸着剤からエキストラクト成
分を回収するためプロセスで用いなければならない脱着
剤物質の量と直接関係している。交換速度が速ければ速
い程、エキストラクト成分除去のために必要な脱着物質
の量は少なくなり、したがって、プロセスの運転コスト
の低減が可能になる。交換速度が速ければ、プロセスを
通じて汲み上げられ、そのプロセス内で再使用するため
にエキストラクト・ストリームから分離されねばならな
い脱着剤物質の量も少なくてすむ。理想的には、脱着剤
物質が適切な流速の場合に、エキストラクト成分のすべ
てが1つのクラス(種類)として脱着されるようにする
ため、そして、エキストラクト成分がその後の吸着ステ
ップで脱着剤と置き換わることができるようにするため
に、脱着剤物質はほぼ1と等しいか、あるいは1よりや
や低い選択性をもつべきである。
【0021】液相を維持できるようにするために通常ほ
ぼ一定の圧力と温度で継続的に操作される吸着分離プロ
セスにおいては、脱着剤物質は多くの基準を満たすよう
に慎重に選択しなければならない。第1に、脱着剤物質
は吸着剤からのエキストラクト成分と適切な質量流速
で、しかも、それ自体はエキストラクト成分が次の吸着
サイクルで脱着剤物質と置き換わる上で妨げになる程強
くは吸着されないで、吸着剤からのエキストラクト物質
と置き換われねばならない。選択性の観点で言えば、吸
着剤はラフィネート成分に比較しての、すべてのエキス
トラクト成分の選択性が、ラフィネート成分と比較して
の脱着剤物質に対する選択性よりも高いことが望まし
い。第2に、脱着剤物質は特定の吸着剤および特定の供
給原料混合物に対して共存できるものでなければならな
い。より具体的に言うと、それらはラフィネート成分に
対してのエキストラクト成分に対する脱着剤の基本的な
選択性を低下させる、あるいはそれを解消するものであ
ってはならない。加えて、吸着剤はエキストラクト成分
またはラフィネート成分のいずれとも化学的に反応した
り、化学反応を起こさせたりしてはならない。エキスト
ラクト・ストリームとラフィネート・ストリームは、通
常、共に吸着剤から脱着剤物質との混合物の形態で取出
され、脱着剤物質およびエキストラクト成分あるいはラ
フィネート成分を巻き込むいずれの化学反応も生成物の
回収を難しくしたり、不可能にしてしまう。本発明によ
る分離のためには、トルエンまたはインダンによりなる
脱着剤が最も好ましい。
【0022】ラフィネート・ストリームとエキストラク
ト・ストリームは両方とも、通常、脱着剤物質を含んで
いるので、脱着剤物質はさらにそのプロセス内に送り込
まれた供給原料混合物から簡単に分離できる物質でなけ
ればならない。エキストラクト・ストリームおよびラフ
ィネート・ストリーム内に存在する脱着剤物質の少なく
とも一部を分離する方法がなければ、エキストラクト生
成物内のエキストラクト成分の濃度とラフィネート生成
物内のラフィネート成分の濃度はそれ程高くはならず、
その脱着剤物質をそのプロセスで再使用するために用い
ることはできないであろう。したがって、脱着剤物質の
少なくとも一部は、通常、蒸留あるいは蒸発によって吸
着分離プロセスのエキストラクトおよびラフィネートの
ストリームから分離されるが、逆浸透など他の分離方法
もそれ自体単独か、あるいは蒸留または蒸発と組み合わ
せて用いることもできる。最後に、脱着物質はすぐに手
に入れることができ、そしてコストも適切なものでなけ
ればならない。
【0023】吸着能力、選択性、分解能(resolutio
n)、そして交換速度などの吸着剤の特性を測定するた
めに、吸着剤を特定の供給原料および脱着剤物質と共に
テストするためにダイナミック・テスト『パルス・セッ
ト』装置を用いることもできる。ここで用いられる装置
は両側に取入口部分と取出口部分とを有する体積70cc程
度の吸着室で構成されている。この室は温度制御手段内
に配置され、その室を一定の予め決められた圧力でその
室を運転するために圧力制御装置が用いられる。レフラ
クトメーター、偏向計、およびクロマトグラフなどの定
量的および定性的分析装置をその室の取出しラインに取
りつけて、その吸着剤室から出てくる流出液ストリーム
における1つ、あるいは複数の成分を定量的に検出した
り、あるいは定性的に判定するために用いることもでき
る。パスル・テスト中に、吸着剤は先ず最初に脱着剤を
吸着剤室を通過させることによって、その特定の脱着剤
物質と均衡させる。次に、場合によっては、脱着剤内で
希釈された供給原料混合物が1分間以上、断続的に噴射
される。そして脱着剤の流れが再開され、供給原料成分
が液体−固体クロマトグラフィー操作の場合と同様に流
出される。この流出液をオン−ストリームで分析するこ
とも可能であるし、あるいは、流出液試料を定期的に回
収して、後で個別に分離し、対応する成分ピークのエン
ベロープのトレースを成分濃度と流出液の量との比較で
プロットすることもできる。
【0024】パルス・テストから得られる情報に基づい
て、吸着剤の性能を、空隙体積、エキストラクト成分ま
たはラフィネート成分に対する保持容量、1つの成分の
他の成分に対する選択性、ステージ時間、成分間の分解
能、そして脱着剤によるエキストラクト成分の脱着速度
などの観点で評価することができる。エキストラクト成
分またはラフィネート体積の保持容量は、エキストラク
トまたはラフィネート成分のピーク・エンベロープの中
央と、トレーサー成分または他の知られている基準ポイ
ントとの間の距離からも判定することができる。それは
ピーク・エンベロープ間の距離で示されるこの時間帯に
吸い上げられる脱着剤の体積(立方センチメートル)で
示される。優良な候補システムの保持容量は商業的な設
計に対する外挿によって設定される範囲内にある。保持
容量が非常に小さい場合、それは、2つの成分間に余り
分離が行われないことを示している。(1つの物質が十
分には吸着されない)エキストラクト保持容量が大きな
場合、それは脱着剤にエキストラクト成分を保持するこ
とが難しいことを示している。ここで述べられているパ
ルス・テストにおいては、通常、30〜90ccの保持容量が
望ましい。
【0025】吸着剤/脱着剤に関する貴重な情報は、逆
パルス・テストとして知られるテスト手順からも得るこ
とができる。この手順は標準的なパルス・テストの場合
と同様の装置および条件を用いて行うことができる。し
かしながら、供給原料『パルス』および脱着剤の組成は
異なっている。対象となる吸着システムに関するパルス
・テストにおいては、供給原料パルスは通常の供給原料
に存在する可能性のあるすべての成分、例えば、エチル
ベンゼン、および各キシレン異性体などを含んでいる
(しかし、実際の供給原料はこれらすべての物質を含ん
でいるわけではない)。逆パルス・テストにおいては、
優先的に吸着される(エキストラクト物質)は供給原料
内には存在していないが、脱着剤として用いられる。例
えば、本方法においては、逆パルス・テストのための供
給原料パルスはエチルベンゼン、オルトおよびパラ・キ
シレンおよびトルエンを含んでいる。そして脱着剤とし
てはメタキシレンが用いられる。この供給原料パルスは
通常の希釈剤またはノナンなども含んでいる場合があ
る。通常、逆パルス・テストにおいては低いステージ時
間が望ましい。逆パルス・テストで得られる情報は、こ
の例であれば、ここで述べられている擬似向流移動床の
操作におけるゾーン2およびゾーン3において起きるよ
うに、エキストラクト濃度が高い場合の吸着剤および脱
着剤の性能を示すことによってパルス・テストの情報を
補ってくれる。これらのゾーンはエキストラクト成分の
濃度が40〜80%と高い範囲で稼働する。合理的な規模の
施設において満足すべき性能をもたらす、つまり本発明
の目的を達成する商業的な規模のプロセスを提供するた
めには、これらの条件でのステージ時間および総保持容
量における有意差も必要である。
【0026】商業的な装置においては、吸着剤は供給原
料混合物および脱着剤物質とに交互に接触される固定床
の形態で用いられてもよい。本発明の最も単純な実施態
様においては、吸着剤は、プロセスが継続的なものでな
い場合、単一静止床の形態で用いてもよい。他の実施態
様で、2つ以上の静止床を適切なバルブ機構と共に用い
て、供給原料混合物が1つ以上の吸着剤床を通じて送ら
れ、脱着剤がセット内の1つまたは複数の他の床を通じ
て送られるようにすることもできる。吸着剤と通じての
供給原料および脱着剤の流れは昇流でも降流でもよい。
静止床液体−固体接触において用いられるいずれの従来
の装置でも、このプロセスの商業的な実施態様において
用いることができる。しかしながら、向流移動床あるい
は擬似移動床向流フロー・システムの場合、分離効率が
固定吸着剤床システムと比較してずっと高く、したがっ
て、商業的な施設のためには非常に好ましい。こうした
移動床システムの一例が米国特許第4,385,993号に開示
されている。移動床または擬似移動床プロセスにおいて
は、吸着動作と脱着動作が継続的に行われ、エキストラ
クト・ストリームとラフィネート・ストリームの継続的
な生成と、供給原料および脱着剤ストリームの継続的な
使用の両方を可能にする。
【0027】1つの好ましい吸着剤接触法は、先行技術
において移動床向流フロー・システムとして知られてい
るものを利用する。こうしたフロー・システムの作動原
理および作動手順については、ここに引例されている米
国特許第2,985,589号および米国特許第3,310,486号に述
べられている。こうしたシステムにおいては、その内部
に含まれている吸着剤の上方への動きを擬似的に再現す
る、吸着室内での複数の液体アクセス・ポイントの下方
への動きである。通常、その室への多数のアクセス・ラ
インのうちの4つ:つまり、供給原料投入ストリーム、
脱着剤投入ストリーム、ラフィネート取出しストリー
ム、およびエキストラクト取出しストリーム・アクセス
・ラインだけが随時稼働している。装填された吸着剤床
の空隙体積を占めている液体の動きは固体吸着剤のこの
擬似的に再現される昇流と一致している。この擬似的に
つくりだされる動きを維持するためには、吸着剤室内で
の液体の下方への流れをポンプによって起こしてもよ
い。有効な液体アクセス・ポイントが循環を通じて、つ
まり、室の上部から底部へ移動すると、室循環ポンプが
異なった流速をつくりだす。これらの流速をつくりだ
し、調節するために、プログラムされたフロー制御装置
を設けてもよい。この有効なアクセス・ポイントは吸着
剤室をそれぞれ別個の機能を有する複数の個別ゾーンに
分割する。通常、この操作を行うためには3つの個別動
作ゾーンが存在することが必要であるが、いくつかの例
では、任意に4番目のゾーンを用いる場合もある。擬似
移動床プロセスについての上の説明でのゾーンの数は、
これも本明細書に引例として挙げている米国特許第3,39
2,113号および米国特許第4,475,954号において用いら
れ、図示されているものと同様である。
【0028】吸着ゾーン、ゾーン1は供給原料投入スト
リームとラフィネート取出しストリームとの間に配置さ
れている吸着剤として定義される。このゾーンにおい
て、供給原料は吸着剤と接触し、エキストラクト成分が
吸着され、そしてラフィネート・ストリームが取出され
る。ゾーン1を通じての全体的な流れはそのゾーンに送
り込まれる原料ストリームから、そのゾーンから取出さ
れるラフィネート・ストリームへの流れであり、このゾ
ーンにおける流れは供給原料投入ストリームからラフィ
ネート取出しストリームに移行する際は下向きの動きと
考えられる。ゾーン1のすぐ上流に精製ゾーン(ゾーン
2)がある。この精製ゾーンはエキストラクト取出しス
トリームと供給原料投入ストリームとの間の吸着剤とし
て定義される。ゾーン2において起きる基本的な動作は
吸着剤の非選択的空隙体積からのゾーン2に運び込まれ
たすべてのラフィネート物質の取出しと吸着剤の選択的
な微孔体積内に吸着された、あるいは吸着剤粒子の表面
に吸着されたすべてのラフィネート物質の脱着である。
精製はゾーン3から脱着したエキストラクト・ストリー
ム物質をゾーン2の昇流境界ゾーン2′に、エキストラ
クト取出しストリーム内に送り込むことによってラフィ
ネート物質の置換を起こさせることによって行われる。
ゾーン2内の物質のフローはエキストラクト取出しスト
リームから原料投入ストリームへの下向きの流れであ
る。ゾーン2内を流れる液体を基準としてゾーン2のす
ぐ上流に脱着ゾーン(ゾーン3)が存在する。この脱着
ゾーンは脱着剤投入ストリームとエキストラクト取出し
ストリームの間の吸着剤として定義されている。脱着ゾ
ーンの機能はこのゾーンに送り込まれる脱着剤が前の作
動サイクルでゾーン1内で供給原料との接触中に吸着剤
上に吸着されたエキストラクト成分を置換できるように
するためのものである。ゾーン3での液体の流れは基本
的にはゾーン1および2での流れと同じ方向である。
【0029】いくつかの事例においては、任意に緩衝ゾ
ーン(ゾーン4)が用いられる場合もある。このゾーン
はラフィネート取出しストリームと脱着剤ストリームと
の間の吸着剤として定義され、用いられる場合、ゾーン
3の液体の流れを基準としてゾーン3のすぐ上流に配置
される。ゾーン4は、ゾーン1から取出されるラフィネ
ート・システムの一部がゾーン4に送り込まれて、その
ゾーン内に存在している脱着剤をそこから脱着ゾーンの
方向に移してしまうので、脱着ステップで用いられる脱
着剤の量を一定に保持するために用いられる。ゾーン4
はゾーン1から送り出されてゾーン4に送り込まれるラ
フィネート流内に存在するラフィネート物質がゾーン3
内に送り込まれ、それによって、ゾーン3から取出され
るエキストラクト・ストリームを汚染するのを防ぐのに
十分なだけの吸着剤を含んでいる。第4の作動ゾーンが
用いられない事例においては、ゾーン1からゾーン3へ
のラフィネート・ストリーム内に存在するラフィネート
物質がエキストラクト取出しストリームが汚染されない
ようにする上で十分な量だけ存在している場合に、ソー
ン1からゾーン3への直接の流れを停止することができ
るように、ゾーン1からゾーン4に送られるラフィネー
ト・ストリームを注意深く観察する必要がある。吸着剤
固定床を通じての投入および取出しストリームの循環的
な動きは、投入および取出しストリームを変換させて、
それによって固体吸着剤に対しての向流としての液体の
流れが可能になるような連続的な方法でマニフォルド内
のバルブが作動されるマニフォルド・システムを用いる
ことによって行われる。液体に対しての固体吸着剤の向
流を起こすことができるもう1つの方法は、その内部に
おいて、投入ストリームと取出しストリームとはそれぞ
れバルブによって吸着剤室に接続された多数のラインの
1つに向けられ、また、それによって、供給原料投入ス
トリーム、エキストラクト・ストリーム、脱着剤投入ス
トリーム、およびラフィネート取出しストリームがその
室から出たり入ったりすることが出来る位置が吸着剤床
と同じ方向になるようにされる回転バルブの使用を伴
う。マニフォルドの構成と円盤バルブは先行技術におい
ても知られている。米国特許第4,434,051号では多重バ
ルブ装置について詳細に述べられている。この動作にお
いて使用が可能な回転円盤バルブは米国特第3,040,777
号、米国特許第4,632,149号、米国特許第4,614,204号お
よび米国特許第3,422,848号に開示されている。これら
の特許は固定原料からの種々の投入および取出しストリ
ームの適切な動きが困難を伴わずに実現できる回転タイ
プの接続バルブを開示している。
【0030】多くの事例で、1つの作動ゾーンは他の作
動ゾーンよりずっと多くの良の吸着剤を含んでいる。例
えば、いくつかの例で、緩衝ゾーンが吸着および精製ゾ
ーンに必要な吸着剤と比較して、少量の吸着剤を含んで
いるような場合がある。また、吸着剤からエキストラク
ト物質を簡単に脱着できる脱着剤が用いられるような事
例において、緩衝ゾーンまたは吸着ゾーンまたは精製ゾ
ーン、あるいはそれらのすべてで必要とされる吸着剤よ
りも少量の吸着剤が脱着ゾーンで必要な場合がある。吸
着剤を1つの反応塔に配置しなければならない理由はな
いから、複数の室あるいは一連のカラムの使用も本発明
の範囲内である。すべての投入および取出しストリーム
を同時に用いなければならない必要はなく、多くの例
で、ストリームの一部を閉じて、他方のストリームで物
質を投入/取出しさせるような場合もある。本発明によ
るプロセスを実行するために用いることができる装置
は、導管で接続された一連の個別床を含んでいる場合も
ある。投入/取出しタップは多数の場所に取りつけられ
るが、有効なタップは継続的に動作を行わせるために定
期的に変更される。通常、少なくとも、エキストラクト
・ストリームの一部が分留塔などの精製手段に送り込ま
れ、そこで、脱着剤の一部を回収して、低い濃度のエキ
ストラクト生成物と脱着剤循環ストリームをつくりだす
ことも可能である。好ましくは、ラフィネート取出しス
トリームの一部は分離手段に送り込まれ、そこで、脱着
剤の一部が回収されて、脱着剤および低下した濃度の脱
着剤物質を含んでいるラフィネート生成物がつくりださ
れる。こうした分別蒸留施設の設計は、分離される物
質、脱着剤の組成などに依存する。本発明によるプロセ
スでの使用に適した擬似移動床フロー・システムのもう
1つのタイプは、ここに引例されている米国特許第4,40
2,832号および米国特許第4,478,721号に開示されている
向流高効率擬似移動床プロセスである。やや低い純度の
製品でも構わない場合、そのエネルギーの高さと資本コ
ストの低さの故に、このプロセスが好ましい。本発明に
よるプロセスを利用できる装置の大きさは、パイロット
・プラントの規模(例えば、米国特許第3,706,812号参
照)から商業的な規模までの範囲で自由に変えることが
でき、流量も1時間あたり数ccから数千ccまでの範囲で
変えることができる。
【0031】
【実施例I】この一連のテストは、選択性および吸着量
に対する温度の効果を判定するために、温度をいろいろ
に変えて実行された。テストは上に述べたように標準的
なパルス・テストであり、70ccのカラムと、等量のn−
9トレーサー(ノナン)、エチルベンゼン、および3
つのキシレン異性体のそれぞれを含んでいる2.0cc供給
原料パルスを用いて実施された。吸着剤はナトリウムY
ゼオライトで、テスト前に500℃で2.0重量%のLOIに
調整された。脱着剤はトルエンであった。選択性、総保
持容量(NRV)、およびステージ時間を表1に示す。
また、同じ装置および条件を用いた個別逆パルス・テス
トにおいて判定されたo−キシレンに対するステージ時
間についても示す。
【0032】
【表1】
【0033】このデータは温度が上昇すると、m−キシ
レンの選択性およびステージ時間がいずれも低下するこ
とを示している。これらの矛盾する傾向の間のバランス
を求めなければならない。表1のデータを詳しく検討す
ると、100℃での選択性が示すように、温度が低い方が
選択性が優れていることが分かる。しかしながら、低い
温度での稼働が持つ利点と、低い温度での稼働の欠陥と
の対比を行ってみる必要がある。低い温度での運転の最
も重大な欠陥は、種々の供給原料成分の吸着剤への移動
量の低下(ステージ時間の増大)である。移動量が低下
すると、個々の成分のエンベロープの吸着プロフィール
の拡大をもたらす。これはどの条件の組み合わせに対し
てもエンベロープの重なり(ひとつの成分の他の成分の
『テイリング』)の増大をもたらす。エンベロープ手段
の重なりは、2つ以上の成分が重複しているエキストラ
クト・ストリームの部分に2つ以上の成分が存在してお
り、回収されたストリームの純度が低下することを意味
している。これを補うために、同じ程度の分離度で分離
を行うために用いられる吸着剤の量を増大することが必
要である。このことはコストの増大を意味する。
【0034】
【実施例II】選択性および移動量に対する500℃でのL
OIによって測定した吸着剤の水分含有量の影響を測定
するために、一連のテストが行われた。吸着剤はナトリ
ウムYゼオライトであった。脱着剤はトルエンで、テス
トは等しい容量のノルマルC9パラフィン・トレーサ
ー、エチルベンゼン、p−キシレンおよびo−キシレン
を含む2ccの供給原料パルスを標準的な70ccカラムにお
いて125℃の温度下で行われた。m−キシレンによる結
果を以下の表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】10モル%リチウムおよび90モル%のナトリ
ウムイオンを含むYゼオライトを用いて、2番目の一連
のテストが125℃の温度で実施された。これらのテスト
は100%ナトリウム分子ふるいで用いられるのと同様の
条件および手順で行われた。結果を表3に示す。このデ
ータは吸着剤のLOIが減少すると、選択性、NRVお
よびステージ時間が減少し、逆パルス・テストではo−
キシレンのステージ時間が3%以下の最低となった。
【0037】
【表3】
【0038】
【実施例III】一連のパルス・テストで、リチウムの量
を増大した場合のナトリウムイオン比に対する影響を調
べるために、Yゼオライトに交換されるリチウムの量を
変えて実験が行われた。テストはn−C9トレーサー、
エチルベンゼン、および6つのキシレン異性体を含んだ
2.0cc供給原料パルスおよび70ccカラムを用いて、2.0%
の吸着剤LOIで、125℃の温度下で行われた。m−キ
シレンに対する総保持容量およびステージ時間を表4に
示す。脱着剤はトルエンであった。結果を表4に示す。
この場合も、逆パルス・テストは中間テストでの最善の
条件を示唆し、NRVおよび選択性とは安定した一定の
傾向を示した。NRVの低下は望ましいが、選択性が低
下する傾向は望ましくない。
【0039】
【表4】
【0040】
【実施例IV】脱着剤としてのインダンの性能をテストす
るためにパルス・テストを行った。テストは70ccのカラ
ムおよびエチルベンゼン、ノナン、および3つのキシレ
ン異性体を含む2.0cc供給原料パスルを用いて、2.0%の
吸着剤LOIで90℃の温度下で実施された。メタキシレ
ンに対する総保持容量は19.5、そしてステージ時間は2
9.8であった。パラおよびオルトキシレンに対する選択
性はそれぞれ1.72および1.93で、この脱着剤/吸着剤の
組み合わせが優れた分離性を有することが示された。吸
着剤はナトリウムイオンだけを含んだYゼオライトであ
った。
【0041】
【実施例V】この実例では、0.2重量%LOIおよび150
℃の操作条件で実施される先行技術で得られた結果と2
重量%LOIおよび125℃の温度で脱着剤としてトルエ
ン共に100%ナトリウムYゼオライトを用いた本発明の
実施例との比較を行った。先行技術での条件では3.30の
供給原料体積比率に対して吸着剤で99.4%の純度が得ら
れた。本発明による条件では、この比率を2.0まで低下
させても、同じ99.5%の純度と同じ回収率が達成され
た。このことは、本発明がメタキシレン回収のための分
離装置の大きさと運転コストをかなり回収させることが
できることを示している。
【0042】
【発明の効果】前述の通り、本発明は商業的規模でC8
芳香族炭化水素原料よりメタキシレンを選択的に回収す
る工業的に極めて有用な方法である。

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタキシレンと少なくとも1の他のC8
    芳香族炭化水素とにより構成される混合物からメタキシ
    レンを分離する方法において、上記混合物を吸着条件で
    ナトリウムイオンを含むYゼオライトで構成される吸着
    剤と接触させ、それによって、該吸着剤上にメタキシレ
    ンを選択的に吸着すると同時に、該混合物の未吸着部分
    を該吸着剤との接触から取出し、メタキシレンを脱着条
    件下で脱着剤によって回収する。そして、吸着条件が10
    0〜150℃の温度で、吸着剤が500℃で1.5〜3.0重量%の
    灼熱減量(LOI)を示す水和レベルを有することを特
    徴とするメタキシレン分離方法。
  2. 【請求項2】 Yゼオライトがリチウムおよびナトリウ
    ムイオンと交換されている請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 吸着剤が500℃の温度で2〜3重量%の
    灼熱減量(LOI)を有している請求項1の方法。
  4. 【請求項4】 メタキシレンと少なくとも1つの他のキ
    シレンの混合物からメタキシレンを分離する方法におい
    て、該混合物をゼオライトYおよびアモルファス結合剤
    によって構成される吸着剤と液相吸着条件下で接触し、
    メタキシレンが該吸着剤上に選択的に吸着され、該混合
    物の未吸着部分を該吸着剤との接触から取出し、該メタ
    キシレンが脱着条件下での脱着剤との接触によって回収
    し、そして、上記吸着剤が500℃で1.5〜3.0重量%の灼
    熱減量(LOI)を示す水和レベルを有しており、ゼオ
    ライトがリチウムとナトリウムの両方のイオンを含んで
    おり、そして吸着条件が100〜150℃の範囲の温度である
    ことを特徴とするメタキシレン分離方法。
  5. 【請求項5】 吸着条件が100〜145℃の範囲の温度であ
    る請求項4の方法。
  6. 【請求項6】 アモルファス結合剤が粘土を含んでいる
    請求項4の方法。
  7. 【請求項7】 Yゼオライトの交換部位の5〜35%がリ
    チウムイオンによって占められている請求項4の方法。
  8. 【請求項8】 吸着条件が120〜130℃の範囲の温度であ
    る請求項4の方法。
  9. 【請求項9】 ゼオライトが500℃で2.0〜2.5重量%の
    灼熱減量(LOI)を有する請求項4の方法。
  10. 【請求項10】 脱着剤がトルエンまたはインダンであ
    る請求項4の方法。
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