JP2639880B2 - 流体の充満確認機能を有するスプリンクラーヘッドとこれを使用した流体の充満確認方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は流体の充満確認機能を有
するスプリンクラーヘッドとこれを使用した流体の充満
確認方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種スプリンクラーヘッドとし
ては、例えば本件出願人による実開平2-109661号なるも
のが存在する。

【０００３】即ち、この従来のものは図３に示すよう
に、栓体４を下方側から押圧保持せしめてスプリンクラ
ーヘッドの流出口５を閉鎖するように構成したものであ
り、該スプリンクラーヘッド内に消火用水を充満させた
状態で火災発生時等に作動すべく部屋の天井面等に取付
けられる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のものに於ける栓体４は単に流出口５を閉鎖するだけ
の機能しか持たず、実際にスプリンクラーヘッド内に消
火用水が充満しているか否かを外部から確認できないと
いう難点があった。

【０００５】従って、配管に接続不良等があって消火用
水がスプリンクラーヘッド内に充満していない場合、こ
れを事前に発見することができずに、スプリンクラーヘ
ッドによる消火作業に支障をきたすという大なる問題点
を有していたのである。

【０００６】それ故に、本発明は上記問題点を解決する
ためになされたものであり、スプリンクラーヘッドに消
火用水等が適切に充満されているか否かを外部から容易
に確認できるようにして、配管の接続不良等を事前に発
見しうるようにすることを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】即ち、上記課題を解決す
るために、本発明は常時はスプリンクラーヘッド本体30
から外部に裸出する可動棒31が、前記スプリンクラーヘ
ッド本体30に消火用水等が充満した際に、該スプリンク
ラーヘッド本体30の内側に進入するように構成されてな
るスプリンクラーヘッドである。

【０００８】また、本発明に係るスプリンクラーヘッド
に於ける流体の充満確認方法の特徴は、常時はスプリン
クラーヘッド本体30から裸出させ、且つ該スプリンクラ
ーヘッド本体30に消火用水等が充満した際に、その内側
に進入する可動棒31を外部から目視することによりスプ
リンクラーヘッド本体30内に消火用水等が充満されてい
るか否かを確認する点にある。

【０００９】

【作用】従って、上記構成を特徴とするスプリンクラー
ヘッドに於いては、例えば消火用水がスプリンクラーヘ
ッド本体30内に充満している場合は、該消火用水の水圧
により可動棒31がスプリンクラーヘッド本体30の内側に
進入する一方、消火用水が充満していない場合は可動棒
31は裸出した状態のまま進入することはない。即ち、か
かる可動棒31を外部から目視することにより消火用水が
スプリンクラーヘッド本体30内に充満しているか否かを
容易に確認できるのである。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の一実施例について図面に従っ
て説明する。

【００１１】図１に於いて、１は消火用水流入路２を形
成したヘッドフレームを示し、該ヘッドフレーム１の周
端縁下部に略円筒状のフレーム３が螺着されてなる。

【００１２】４はヘッドフレーム１の下部中央に形成し
た流出口５を閉塞するための栓体であり、該栓体４の下
端部周縁には鍔部６が形成されると共に、略中央には下
方側内周面にネジ部７を形成した貫通孔８が穿設されて
なり、該貫通孔８の上端は小径に形成されている。

【００１３】９は前記栓体４のネジ部７に螺着したネジ
体であり、該ネジ体９の中央には下部側が六角状に形成
された貫通孔10が前記栓体４の貫通孔８に連通して穿設
されてなる。

【００１４】11はネジ体９の貫通孔８に摺動自在に嵌入
された可動体で、該可動体11の中心には軸長方向に流通
路12が形成され、その下端部は側方に分岐されてネジ体
９の貫通孔８の内周面と可動体11の切欠部13間に形成さ
れる空間部14と連通してなり、可動体11は常時はコイル
バネからなる弾性体15により下向きに押圧付勢されてい
る。16はネジ体９と可動体11とのシールを図るためのＸ
リングを示す。

【００１５】尚、可動体11の切欠部13の上面Ｂの面積は
該可動体11の先端面Ａの面積よりも大に形成されてい
る。

【００１６】17は表面がフッ素樹脂コーティングされた
皿バネからなる弾発体であり、ヘッドフレーム１の流出
口５の下端部と栓体４の鍔部６の上面部間に一定の押圧
力を受けて緊張状態に介装されてなり、該弾発体17の内
周面は栓体４の鍔部６に形成された切欠6aに嵌合してい
る。

【００１７】18は栓体４の外周縁に複数本連結された屈
曲状のデフレクターで、その上端部にはヘッドフレーム
１の外周面に摺動自在なガイド部19ａを下向きに突設し
たガイドリング19が連結されてなり、栓体４が落下する
際のガイドとして機能する。20は一部切欠リング状に形
成されて、その直径が拡縮する弾性変形自在な係止体を
示す。

【００１８】21,22 は係止体20を挟装保持するための一
対の挟持体であり、上側の挟持体21の上面には前記ネジ
体９の下端部が嵌合可能な孔21ａが形成されると共に、
その筒状部21ｂの内周面にはネジ部21ｃが刻設されてな
り、下側の挟持体22の筒状部22ａには上側の挟持体21の
筒状部21ｂが挿入されている。

【００１９】23,24 は各挟持体21,22 の外周縁部に形成
されたテーパ面であり、その相互間に前記係止体20を拡
張状態で保持させるべく、その相互間の間隔が内側程狭
くなるように形成されてなり、該テーパ面23,24 とフレ
ーム３の下端部内周縁に形成された内向凸部25の内周面
間で係止体20が保持されている。

【００２０】26は上側の挾持体21のネジ部21ｃに螺着さ
れたロックネジを示し、その中央には貫通孔26ａが軸長
方向に穿設されてなる。27,28,29はロックネジ26の下端
に形成された鍔部26ｂと下側の挟持体22の下端との相互
間に介装された熱絶縁パッキン、感熱体、可溶性のリン
グ状可溶体を夫々示す。以上の各部材からスプリンクラ
ーヘッド本体30が構成されてなる。

【００２１】31はロックネジ26の貫通孔26ａに挿通され
た可動棒で、その上端部は前記可動体11の下端部に連結
されてなり、下端部はスプリンクラーヘッド本体30の下
端面を構成するロックネジ26の下面から裸出してなり、
可動棒31の下端面には蛍光塗料（図示せず）が塗着され
ている。

【００２２】本実施例に係るスプリンクラーヘッドは以
上のスプリンクラーヘッド本体30と可動棒31とから構成
されてなり、次にこれを使用する場合について説明す
る。

【００２３】先ず、配水用管（図示せず）に接続配管
（図示せず）を介して天井面の所定位置にスプリンクラ
ーヘッドを固定した後、配水用管に消火用水を流通せし
めるのであるが、該消火用水がヘッドフレーム１に消火
用水が充満している場合には、図２のように消火用水が
可動体11の流通路12を介して空間部14に流入する。

【００２４】この場合に於いて、可動体11の先端面Ａの
面積よりも該可動体11の切欠部13の上面Ｂの面積が大に
形成されてなるため、空間部14内に流入した消火用水の
水圧により切欠部13の上面Ｂが押圧されて、可動体11及
び可動棒31が弾性体15の付勢力に抗して上方に移動す
る。これにより、可動棒31の下端面がロックネジ26の下
面と面一となるようにスプリンクラーヘッド本体30内に
進入するのである。

【００２５】一方、消化用水がヘッドフレーム１に充満
していない場合は、可動棒31は内側に進入せず、裸出状
態が維持されることとなる。この場合は、配管の接続状
態等を再点検した後、同様にして確認を行えばよい。

【００２６】このようにして、可動棒31の裸出状態を外
部から目視することにより消火用水の充満の有無を容易
に確認できるため、配管の接続不良等を事前に発見する
ことが可能となるのである。しかも、かかる可動棒31の
下端面には蛍光塗料が塗着されてなるため、夜間等であ
ってもその裸出状態を確認できるという利点がある。

【００２７】また、かかるスプリンクラーヘッド30は非
常に簡易な構成からなるために、その製作が容易で且つ
安価に行える利点もある。

【００２８】そして、火災が発生して感熱板28に温度上
昇が生じれば、可溶体29が溶融又は軟化して下側の挟持
体22が下降するため、係止体20が収縮してフレーム３の
内向凸部25との係合状態が解除されることとなる。

【００２９】而して、弾発体17の弾発力により上側の挟
持体21，ネジ体９及び栓体４がヘッドフレーム１の下方
に落下し、開放された流出口５から流出した消火用水は
栓体４の上面に衝突した後、その四方に分散して放射状
に散水されるのである。

【００３０】尚、上記実施例に於いては、消火用水がヘ
ッドフレーム１内に充満した場合、可動棒31の下端面が
ロックネジ26の下面と面一となるように構成してなる
が、必ずしもこのように構成する必要はなく、要はスプ
リンクラーヘッド本体30に消火用水等が充満された場合
に、該スプリンクラーヘッド本体30の内側に可動棒31が
進入して消火用水等の充満を確認できればよい。

【００３１】また、本発明が適用可能なスプリンクラー
ヘッドは決して上記実施例の如きものに限定されず、エ
ア等の気体がヘッドフレーム１内に充満される構成から
なる乾式スプリンクラーヘッドにも勿論適用可能であ
る。

【００３２】さらに、該実施例にあっては可溶体29をリ
ング状に形成してなるが、該可溶体29の形状はこれに限
定されず、棒状に形成してその中央部に可動棒31が挿通
可能な孔を穿設してもよい。

【００３３】その他、栓体４や可動棒31の形状等の具体
的な構成も全て本発明の意図する範囲内で任意に設計変
更自在である。

【００３４】

【発明の効果】叙上の様に、本発明はスプリンクラーヘ
ッド本体内に消火用水等が充満している場合には、可動
棒が該スプリンクラーヘッド本体の内側に進入するよう
に構成してなるため、スプリンクラーヘッドの配管施工
後に於いて、可動棒を外部から目視することにより、消
火用水等がスプリンクラーヘッド本体内に充満している
か否かを容易に確認することができる。

【００３５】従って、従来のスプリンクラーヘッドでは
不可能であった配管の接続不良等を事前に発見できると
いう格別の効果を得るに至った。

【００３６】また、本発明に係るスプリンクラーヘッド
は非常に簡易な構成からなるため、容易に且つ安価にそ
の製作が行えるという実用的な効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すスプリンクラーヘッド
の正面断面図。

【図２】作動状態を示す正面断面図。

【図３】従来例を示す正面断面図。

【符号の説明】 １…ヘッドフレーム ４…栓体 ５…流出口 ８…貫通孔 ９…ネジ体 10…貫通孔 11…可動体 12…流通路 14…空間部 15…弾性体 30…スプリンクラーヘッド本体 31…可動棒

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 常時はスプリンクラーヘッド本体(30)か
   ら外部に裸出する可動棒(31)が、前記スプリンクラーヘ
   ッド本体(30)に消火用水等が充満した際に、該スプリン
   クラーヘッド本体(30)の内側に進入するように構成され
   てなることを特徴とする流体の充満確認機能を有するス
   プリンクラーヘッド。
2. 【請求項２】 前記可動棒(31)がスプリンクラーヘッド
   本体(30)の中心に設けられてなる請求項１記載の流体の
   充満確認機能を有するスプリンクラーヘッド。
3. 【請求項３】 ヘッドフレーム(1) の流出口(5) を閉塞
   するための栓体(4) に該流出口(4) と連通する貫通孔
   (8) が穿設され、且つ該貫通孔(8) にはネジ体(9) が螺
   着されると共に、該ネジ体(9) に穿設した貫通孔(10)に
   は、下端部に可動棒(31)を有する可動体(11)が弾性体(1
   5)により常時は下向きに押圧付勢されて、前記可動棒(3
   1)がスプリンクラーヘッド本体(30)から外部に裸出する
   ように進退自在に嵌入されてなり、しかも前記ヘッドフ
   レーム(1) に消火用水等が充満した際に、前記弾性体(1
   5)の付勢力に抗して可動棒(31)をスプリンクラーヘッド
   本体(30)の内側に進入させるべく、前記可動体(11)に穿
   設した流通路(12)が該可動体(11)の側面とネジ体(9) の
   内周面間に形成される空間部(14)と連通されてなること
   を特徴とする流体の充満確認機能を有するスプリンクラ
   ーヘッド。
4. 【請求項４】 常時はスプリンクラーヘッド本体(30)か
   ら裸出させ、且つ該スプリンクラーヘッド本体(30)に消
   火用水等が充満した際に、その内側に進入する可動棒(3
   1)を外部から目視することによりスプリンクラーヘッド
   本体(30)内に消火用水等が充満しているか否かを確認す
   ることを特徴とするスプリンクラーヘッドの流体の充満
   確認方法。