JP2637032B2 - 透磁率測定方法 - Google Patents

透磁率測定方法

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JP2637032B2
JP2637032B2 JP6812993A JP6812993A JP2637032B2 JP 2637032 B2 JP2637032 B2 JP 2637032B2 JP 6812993 A JP6812993 A JP 6812993A JP 6812993 A JP6812993 A JP 6812993A JP 2637032 B2 JP2637032 B2 JP 2637032B2
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卓也 木村
正雄 三寺
正二 寺坂
正照 野瀬
文夫 松本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は強磁性体の高周波での
透磁率を、強磁性体を内包した検出治具(通常インダク
タンスを発生するライン)のインピーダンスを測定する
ことにより算出する透磁率測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】強磁性体の1MHz程度以上の高周波帯
域における透磁率を求める方法には従来、以下に示す
(イ)、(ロ)の2つの方法がある。 (イ)ソレノイドコイルを検出治具としてインピーダン
スを測定する方法。 (ロ)8の字コイルを検出治具として磁界を検出するコ
イルとの電圧比をとる方法。 しかし、上記二つの方法では、測定可能な周波数の上限
は検出治具の共鳴周波数によって制限され、高々100
〜200MHz程度である。
【0003】100MHz程度以上GHzに近い領域ま
でには、並行平板型コイル(パラレルライン)を検出治
具として用いて、そのインピーダンスから透磁率を求め
る測定法が提案されている。この方法だと、検出治具で
あるパラレルラインの共鳴周波数が高いため、高周波領
域まで測定できるという特徴を持つ。しかし、この方法
は、同じ試料を測定しても、従来の(イ)、(ロ)の方
法と測定値が異なるという傾向があり、測定値の信頼性
を欠くものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法では、検出
治具の外に漏れる磁界を考慮せずに透磁率の評価を行な
っていた。
【0005】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
で、検出治具が発生する磁界のエネルギー分布を考慮し
て透磁率の評価を行なうことにより、測定値の信頼性を
向上し得る高周波透磁率測定方法を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、測定系の特性インピーダンスとマッチング
をとるようなライン長さa,ライン幅b,及びライン間
隔cを有する一端を閉じたパラレルライン構造を持つ検
出治具に、厚さt、幅wなる強磁性体を挿入し、インピ
ーダンスを測定して透磁率を算出する透磁率測定方法に
おいて、当該検出治具の入力信号印加により強磁性体挿
入空間ならびに検出治具外空間に発生する夫々の磁界エ
ネルギーE1 、E2 の比E2 /E1 をαとしたとき、複
素比透磁率(μ/μ0 )の実数成分(μ′/μ0 )及び
虚数成分(μ″/μ0 )を μ′/μ0 =(L/L0 −1)・(1+α)・S0 /S μ″/μ0 ={(R−R0 )/(ωL0 )}・(1+α)・S0 /S ここで、L、R:強磁性体挿入時のインダクタンス及び抵抗 L0 、R0 :強磁性体挿入しない時のインダクタンス及び抵抗 ω:角周波数(2π×周波数) S0 /S:ライン空間断面積(b×c)/強磁性体断面積(t×w) なる式にて評価することを特徴とするものである。
【0007】
【作用】本発明では、検出治具が発生する磁界のエネル
ギー分布を考慮して透磁率の評価を行なった。具体的に
は、強磁性体挿入空間ならびに検出治具外空間に発生す
る夫々の磁界エネルギーE1 、E2 の比E2 /E1 を係
数αとして導入する。磁界のエネルギーは
【0008】
【数1】 1 、E2 はそれぞれ検出治具の内外のエネルギーであ
る。ここで、 α=E2 /E1 (1) と定義する。このαを導入することによって、漏洩磁界
の影響を考慮して透磁率を評価する。
【0009】
【実施例】以下図面を参照して本発明の実施例を詳細に
説明する。
【0010】図1は本発明の一実施例を示すブロック図
である。即ち、特性インピーダンス50Ωの系で、高周
波でのインピーダンス測定に、ネットワークアナライザ
1を使用し、このネットワークアナライザ1にはアダプ
タまたはフィクスチャ2を介して検出治具3が接続され
る。この検出治具3は、図2に示すように、a≦30m
mの範囲のライン長さa,b≦30mmの範囲のライン
幅b,及びライン間隔cよりなる一端を閉じたパラレル
ライン構造を持ち、高周波伝送ラインの1つであるパラ
レルラインを先端でショートして用いる。この検出治具
3は、測定系の特性インピーダンスとマッチングをとる
ために、ライン間隔cに b/c=7.53±0.76 (2) という関係を持たせる。
【0011】前記検出治具3のライン長さaは測定する
厚さtの薄板状(薄帯、薄膜)強磁性材料よりなる試料
4の幅wによって決まる。例えば、幅w=10mmの試
料4を測る場合だと、試料4内包時の検出治具3の様子
は図3に示す様になっている。
【0012】この検出治具3を図1に示す様な測定系に
より検出治具3のインピーダンスを測定する。但し、検
出治具3のみのインピーダンスを測定するため、予め検
出治具3の直前までの較正を済ませているか、若しく
は、検出治具3の直前までの4端子定数等を測ってお
く。今 L、R:強磁性体よりなる試料4を挿入した時の検出治
具3のインダクタンス及び抵抗、 L0 、R0 :強磁性体よりなる試料4を挿入しない時の
検出治具3のインダクタンス及び抵抗、 ω:角周波数(2π×周波数)、 S0 /S:検出治具3のライン空間断面積(b×c)/
強磁性材料よりなる試料4の断面積(t×w)、
【0013】とし、検出治具3の入力信号印加により、
強磁性体よりなる試料4の挿入空間ならびに検出治具3
外空間に発生する夫々の磁界エネルギーE1 、E2 の比
2/E1 をαとしたとき、複素比透磁率(μ/μ0
の実数成分(μ′/μ0 )及び虚数成分(μ″/μ0
を、 μ′/μ0 =(L/L0 −1)・(1+α)・S0 /S (3) μ″/μ0 ={(R−R0 )/(ωL0 )}・(1+α)・S0 /S (4) なる式にて評価することにより、試料4の複素透磁率を
算出する。以下、本発明の具体的実施例を示す。
【0014】試料4には、GoNbZr組成のターゲッ
トを固定磁界中でスパッタリングすることにより作製し
た。1μm膜厚の強磁性材料を作製し、10mm×40
mmの大きさに切り出したものを使用した。
【0015】測定装置の配置は図1の通りで、ネットワ
ークアナライザ1にはHP4195AにHP41951
Aを装着したものを、フィクスチャ2にはHP1609
2Aを用いた。また、この測定で用いた検出治具3の仕
様を以下に示す。 ライン幅b=11.3mm ライン間隔c=1.5mm ライン長さa=15mm さらに、この試料4を以下の条件で熱処理した。 回転磁界中熱処理 250℃×1.5時間 固定磁界中熱処理 250℃×1.5時間
【0016】この試料4を本評価法(本発明による方
式)により測定した500MHzまでの結果、従来の評
価法(従来パラレルライン)により測定した500MH
zまでの結果、及び8の字コイル法(従来8の字方式)
による100MHzまでの測定結果を図4に示す。ま
た、ビオサバールの法則に従って行う磁界解析の結果、
検出治具のαは図5のようになっており、特性インピー
ダンス50Ωの系のときは、αはほぼ0.2である。
【0017】図4から見てわかるように、従来の並行平
板コイルを使用したパラレルラインの測定結果(〜50
0MHz)と従来の8の字方式(〜100MHz)によ
る測定結果は、共通の測定周波数帯域で測定値の絶対値
がかなりくいちがっているが、本発明方式による測定値
(〜500MHz)と従来の8の字方式による測定結果
は、共通の測定周波数帯域で測定値の絶対値がほぼ一致
している。
【0018】また、従来の方法では、同じ試料を治具の
サイズを変えて測定した場合、測定値が変わるという問
題があったが、本発明による方式では検出治具の固有の
αを導入することにより、測定値が検出治具形状に依ら
なくなった。
【0019】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、検出
治具が発生する磁界のエネルギー分布を考慮して透磁率
の評価を行なうことにより、測定値の信頼性を向上でき
る高周波透磁率測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す構成説明図である。
【図2】本発明に係る検出治具の一例を示す斜視図であ
る。
【図3】本発明に係る検出治具に被測定試料を挿入した
ところの一例を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る透磁率−周波数特性及び従来の透
磁率−周波数特性を示す特性図である。
【図5】本発明に係る検出治具の特性インピーダンスと
係数αとの関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1…ネットワークアナライザ、2…アダプタまたはフィ
クスチャ、3…検出治具、4…試料。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺坂 正二 宮城県仙台市青葉区南吉成6−6−3 株式会社アモルファス・電子デバイス研 究所内 (72)発明者 野瀬 正照 宮城県仙台市青葉区南吉成6−6−3 株式会社アモルファス・電子デバイス研 究所内 (72)発明者 松本 文夫 宮城県仙台市青葉区南吉成6−6−3 株式会社アモルファス・電子デバイス研 究所内 (56)参考文献 日本応用磁気学会誌第17巻第2号第 497頁〜第502頁,1993年

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定系の特性インピーダンスとマッチン
    グをとるようなライン長さa,ライン幅b,及びライン
    間隔cを有する一端を閉じたパラレルライン構造を持つ
    検出治具に、厚さt、幅wなる強磁性体を挿入し、イン
    ピーダンスを測定して透磁率を算出する透磁率測定方法
    において、当該検出治具の入力信号印加により強磁性体
    挿入空間ならびに検出治具外空間に発生する夫々の磁界
    エネルギーE1 、E2 の比E2 /E1 をαとしたとき、
    複素比透磁率(μ/μ0 )の実数成分(μ′/μ0 )及
    び虚数成分(μ″/μ0 )を μ′/μ0 =(L/L0 −1)・(1+α)・S0 /S μ″/μ0 ={(R−R0 )/(ωL0 )}・(1+α)・S0 /S ここで、L、R:強磁性体挿入時のインダクタンス及び抵抗 L0 、R0 :強磁性体挿入しない時のインダクタンス及び抵抗 ω:角周波数(2π×周波数) S0 /S:ライン空間断面積(b×c)/強磁性体断面積(t×w) なる式にて評価することを特徴とする透磁率測定方法。
JP6812993A 1993-03-26 1993-03-26 透磁率測定方法 Expired - Lifetime JP2637032B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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日本応用磁気学会誌第17巻第2号第497頁〜第502頁,1993年

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