JP2635209B2 - プロセス制御方法及び装置 - Google Patents

プロセス制御方法及び装置

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JP2635209B2 JP2316128A JP31612890A JP2635209B2 JP 2635209 B2 JP2635209 B2 JP 2635209B2 JP 2316128 A JP2316128 A JP 2316128A JP 31612890 A JP31612890 A JP 31612890A JP 2635209 B2 JP2635209 B2 JP 2635209B2
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Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明はプロセス制御方式に係り、特に制御効果器の
制御効果待時間を考慮して制御タイミングを決定するフ
ァジイ制御方式に関する。 〔従来の技術〕 プロセス制御においては、近年、従来の線形モデルで
は把えられないプロセス状態を評価するためにファジイ
理論に基づくプロセス制御方法が提案されている。 このようなプロセスの一つとして空調がある。特開昭
63−131942号公報には、従来の物理モデルでは表わせな
い人間の快適感による評価をおこなって空調制御をおこ
なう方法であって、測定された温度、湿度を予め記憶さ
れている空調快適感に基くルールによってファジイ推論
し、冷媒圧縮機の操作量を決定する方法が開示されてい
る。 また、1990年3月に東京で開催されたセミナ「ファジ
イ実用化のポイントと応用の実際」(主催;(株)テク
ノシステム)の資料には、論文「ファジイ理論の空調お
よびプラント制御への応用」が掲載されている。そこで
は設定温湿度と計測温湿度の偏差等から制御目的量であ
る温度、湿度要求量をファジイ推論し、この要求量から
効果器である冷水弁、温水弁、加湿弁の各操作量をファ
ジイ推論によって決定する制御時点での状態推定型のフ
ァジイ制御法が示されている。この空調制御方法によれ
ば、従来のV型温湿度制御や露天温度制御に比べて立上
りのオーバシュート等が改善される。 〔発明が解決しようとする課題〕 上記従来技術におけるプロセスの要因はせいぜい1〜
2で、制御効果器もすくない。しかし、空調プロセスの
要因としては温湿度のほかに空気の汚れを見る透過率や
ガス濃度があり、測定困難ではあるが空気の拡散や乱流
の影響も無視できない。また、電力消費量など運転コス
トも考慮されなければならない。しかもこれらの要因は
互にい関連性をもっていて、例えば、換気動作によって
室内の温度、湿度は大きく変化する。 従来の技術はプロセスの状態推定と、限定された操作
案ルールでファジイ制御を行なうもので、多種の要因か
ら複数の制御目的を同時に満足させる最適制御は困難で
ある。 また、空調プロセスは一般に時定数が長く、効果器ご
とに異なる効果待時間を経てその効果が徐徐に現れる。
従来技術においては一定の周期で予測制御が行なわれて
おり、個々の効果待時間が考慮されていないので、異種
の効果器が同じタイミングで動作すると、制御目的量に
対する制御精度が低下したり、精度の高い制御を行なお
うとすると効果器の起動、停止が頻繁となって消費電力
量が増大する。 第35図はこの状況を示すもので、室内の温度を所定値
(T)℃に保つ空調制御の例である。空調機の効果器で
あるクーラと換気機が時間tcで動作を開始した場合、外
気が室温より高いと効果待時間bの短い換気機の効果に
よりtc+までは室温が逆に上昇する。クーラの効果は
tc+から徐々に現れtc+すなわち、効果待時間aを
過ぎるころから本格的に発揮される。このようにクーラ
の効果待時間aより短い時間でのプロセスを制御しよう
とすると上記のような場合、効率の悪い運転がなされる
ことになる。 本例の空調機では効果器はクーラと換気機のみである
が、現実にはヒータ、加湿器などの他の効果器が加わり
その挙動は一層複雑なものとなるから、効果待時間を考
慮することなしに最適な制御をおこなうことはますます
困難になる。 以上は空調システムを例にとった問題点であるが、こ
の他、時定数が長いか時定数が動的に変動するプロセ
ス、外乱などの不確定要素が多いプロセス、あるいは複
数の制御手段を備えて複数の制御目的を同時に満足する
必要のあるプロセスでは一般に上述した従来の状態推定
形のファジイ制御では、以下の問題が生ずる。 (1)常に一定周期による予測制御をおこなっていて、
効果器ごとに異なる効果待時間に対する考慮がなされて
いないので、効果器のハンチング、制御目的プロセス量
のオーバーシュートを発生しやすい。 (2)時定数が短いときは良好だか、そうでないときは
制御精度が悪化する。 (3)外乱等の局所要因が状態推定で考慮されていない
ので、局所的な不確定要因の急激な変化に追従できな
い。 (4)総合的なプロセス状態の判断と操作決定が困難な
ため、複数の機器を効率良くかつ、プロセスを最適に制
御することが困難になる。 本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、時定
数が長いまたは動的に変動するプロセス、不確定要素が
多いプロセスあるいは複数の制御手段を備えて複数の制
御目的を同時に満足させる必要のあるプロセス等の高精
度、高効率にファジイ制御できるプロセス制御方法およ
び制御装置を提供することにある。 本発明の他の目的は低運転コストで高精度でファジイ
制御できる空調プロセスの制御方式を提供することにあ
る。 本発明の更に他の目的は低運転コストで高精度にファ
ジイ制御できるトンネル等の換気プロセスの制御方式を
提供することにある。 〔課題を解決するための手段〕 本発明は上記目的を達成するために、各制御効果器と
プロセスの特性を考慮して定められる複数の効果待時間
後における目標プロセス量の推移を現在の運転状態から
定性的に予測し、この予測された1以上の目標プロセス
量の評価値の重畳が最も満足される運転操作案と効果待
時間から、制御出力と次回制御タイミングを決定するも
のである。 なお、本明細書において、制御効果器とは制御対象で
あるプロセスに何らかの影響を与え得る機器を言う。ま
た、制御効果待時間とは制御効果器による影響がそのプ
ロセスにおいて表われるまでの遅れ時間を言う。 このため本発明のプロセス制御方式は、現時点(制御
実行時点)の1以上の制御効果器の運転状態を入力し、
該運転状態から操作可能な運転操作案と制御効果器の特
性から定められた複数の効果待時間との組合せからなる
複数の運転パターンを生成し、入力された現時点の複数
のプロセス量を基に前記運転パターンによる操作を行な
った場合の制御目標プロセス量を予め定められたプロセ
スの定性的因果関係から定性的に予測し、これを複数の
前記運転パターンについておこない、予測された前記1
以上の前記制御目標プロセス量の各々を予め制御目標毎
に定められたメンバーシップ関数と推論ルールにより定
性的に評価して目標プロセス量評価値を求め、前記運転
パターンごとに1以上の前記評価値を予め定められた所
定の関係に重畳しその値が最も大きくなるときの前記運
転パターンを決定し、該決定された運転パターンの前記
運転操作案を現在時点の制御出力として前記制御効果器
の運転を制御するための信号を出力すると共に、該運転
パターンの前記効果待時間経過時点を次回制御タイミン
グとすることを特徴とする。 さらに、制御効果器の操作量が連続的に調整されるプ
ロセスの制御方式においては、入力された現在時点の制
御効果器の操作量に基づき運転可能な連続範囲をしだい
に間隔を広げるように離散化するアナログ操作量離散化
手段を設け、該離散化された制御量による制御効果器の
複数の操作案を生成し、この操作案と複数の効果待時間
との組合せから予測のための運転パターン群が用意され
る。 〔作用〕 このような本発明の構成によれば、複数の採用可能な
運転操作案の全てについてプロセスの推移を定性的に推
論し、制御効果待時間後における複数の制御目標量の予
測と評価を実時間で実現することができるので、全ての
制御目的を同時に最も満足する運転操作を決定し、プロ
セスの最適制御をおこなうことができる。しかも、上記
評価は最も満足する運転操作を実施した制御時点(現
在)からその効果が現れるまでの効果待時間も与えてい
るので、この制御効果待時間経過後の時点を次回の制御
タイミングとすることで、プロセスの動的変化にも効率
よく追従でき、制御精度の向上や低運転コストを可能に
する。 さらに、制御効果器の運転操作がオン/オフのパター
ンでなく、効果器の操作量が連続的に可変されるような
場合でも、この連続量を制御精度を低下させること無く
現実的な有限個の離散値に変換することで複数運転パタ
ーンの予測を行なう本発明の制御を可能にしている。 〔実施例〕 以下、本発明の一実施例を第1図以降により説明す
る。 第1図は、本発明による構成したプロセス制御装置を
示している。対象とするプロセスにはプロセスを制御す
る為の複数または異種の制御効果器と、複数または異種
の検知手段が設置されている。 検知手段で検知されたプロセス量は、制御装置1に入
力し、制御装置1は制御効果器に対し制御情報を出力す
る。 制御装置1は、制御タイミングにおける運転状態を取
り込み、制御効果器の操作可能な全ての運転操作案と制
御効果器の制御効果待時間の組合せ(運転パターン)を
生成する運転操作効果待時間組合せ生成手段2と、組合
せられた運転パターンを実行した場合のその制御効果待
時間後の複数の制御目標プロセス量を定性的に予測模擬
する定性予測シミュレータ3と、予測された複数の制御
目標量を定性的に評価し、各定性評価値に重みを付け総
合評価としての満足度を演算する運転予見ファジイ推論
手段4と、前記全ての組合せについての上記3,4の処理
完了後、前記満足度の最大値を有する運転操作案をプロ
セスに出力し、該制御効果待時間を、次回処理タイミン
グとしてタイマー6にセットする最適操作効果待時間決
定出力手段5と、セットされた時間分遅延して制御装置
1を起動するタイマー6により構成される。本装置の動
作を、空調機制御適用した2種類の実施例を用いて説明
する。 第1の実施例は、居住室内空調に多い空調機のオン・
オフ動作制御に応用したもので、第2図から第22図を用
いて説明する。 第2の実施例は連続可変制御法で、半導体製造用のク
リーンルームやバイオプラント等で要求される高精度な
恒温恒湿制御に応用したもので、第23図から32図を用い
て述べる。 第2図は、ビル等の一般的な空調プロセス設備を示し
たものである。プロセス状態の検知手段として室内の温
度を測定する室内温度センサー15、湿度を測定する湿度
センサー16、室内の煙草、外部よりの粉塵により悪化す
る透過率(以後VIと略記する)を測定するVIセンサー1
7、室外温度を測定する室外温度センサー18等が設置さ
れる。果実栽培、熟成用の室制御の場合には必要に応じ
てCO2等のガス濃度検知分析装置が設置される場合もあ
る。 一方プロセスの制御を行なう制御効果器として、熱量
を低減するクーラー11、熱量を増大させるヒーター12、
湿度を増大させる加湿機13、空気を新鮮な室外の空気と
入れ替える換気機14が設置される。 第3図は、第1図に示した本発明の実施例を空調機制
御に適用した場合の構成を示している。制御装置は前述
の検知手段により検出された室内の温度(℃)、湿度
(%)、VI値(%)、室外温度(℃)を入力し、前述の
制御効果器であるクーラー、ヒーター、加湿機、換気機
に起動(ON)/停止(OFF)指令信号を出力する。 以下、本装置の詳細構成、及び動作を説明する。 A.運転操作効果待時間組合せ生成手段2 前述のように、本発明の特徴は制御タイミング(現時
点)での運転状態に対して各制御効果器をどのように、
どれくらいの時間動作させると、最も優れた結果が得ら
れるかを実時間でシミュレーション予測し、評価する点
にある。本装置はこの予測、評価の繰り返し処理に与え
る運転パターンの組合せを生成する。 効果待時間まで考慮した運転パターン集合をS(ΔO
P)とすると、 S(ΔOP)=ΔEC×TC ここでΔECは制御時点(現在)の運転状態から操作し
得る運転操作案の集合である。例えば現在運転状態ECC
を ECC=(クーラー、ヒーター、加湿機、換気機) =(ON,OFF,OFF,ON) =(1,0,0,1) (以下ON状態を1,OFF状態を0と表記する) とすると、例えばクーラーをOFFする操作は、 ΔEC=(−1,0,0,0) (以下、操作に関してON→OFFを−1、現状維持を0,OFF
→ONを1にて表記する) で表現できる。クーラーとヒーター、加湿機と換気機を
それぞれ排他運転する場合の運転操作案集合 となる。 一方、 は制御効果器の能力、特性、及び制御対象プロセス規模
により決定される効果待時間集合である。例として とすると、運転パターン集合S(ΔOP)は第20図に示す
様に45通りの組合せ集合となる。 S(ΔOP)=S{(クーラー、ヒーター、 加湿機、換気機、効果待時間)} =(0,0,0,0,60), (0,0,0,0,120), ……, (−1,1,1,−1,300)} 運転操作効果は待時間組合せ生成手段2は、このS
(ΔOP)を生成する。 例として、 ΔOP=(−1,1,1,−1,300) を定性的に表現すると 「クーラーを停止し、ヒーターを起動し、加湿機を起動
し、換気機を停止した場合の300秒後のプロセス状態」 となる。このように、効果待時間を運転操作組合せの一
要素とすることで、従来制御手法に比べプロセスへの追
従性を格段に向上させることが可能となる。 B.定性予測シミュレーター3 第4図は、定性予測シミュレーター3の構成を示し、
定性項目生成手段21、定性ファジイ推論手段22から成
る。これらの詳細構成、動作を第5図以下を用いて説明
する。 第5図は、対象プロセスの挙動を定性的に推定する為
の定性的な因果関係をネットワークで示したものであ
る。例えば室温変位(▲ΔTf in▼:以下、記号Δは時
間当りの変位量、小文字fは一定時間後を示す)は総合
熱量変位(ΔTQ)と、現在時点までの室温変位(▲ΔT
c in▼:小文字Cは現在(current)量を示す)により定
まる。熱量変位(ΔTQ)は自然熱量変位(ΔNQ)と機械
的熱量変位(ΔQ)により定まる。自然熱量変位(ΔN
Q)は室内外の温度差(T0-i)と換気機運転時間(tv
により定まる。また、機械的熱量変位(ΔQ)は、クー
ラー運転時間(tc)とヒーター運転時間(tH)で定ま
る。このようにして、物理的に検知可能な室温
(Tin)、外温(T0)、クーラー運転時間(tc)、ヒー
ター運転時間(tH)を用いて定性的に推論していくこと
で、室温変位(▲ΔTf in▼)を予測することができ
る。記号を定性的推論和記号と定めると、▲ΔTf in
▼は のように表現される。各項目を定性変数と定義し、それ
らは定量値でなく、後述の定性値をもつ。同様にして、 ΔHf(湿度変位)=ΔA(湿量変位) ΔHc(該時点までの湿度変位) ΔVIf(透過度変位)=ΔSV(換気機運転時間) ΔVIc(該時点までの透過度変位) このようにプロセスを表現すると、例えば夏期のよう
に外温が室温よりかなり高く、クーラー運転中に換気機
を動作させた場合、本発明では内外温度差T0-iと換気機
運転時間tvを考慮して一定時間後の室温▲ΔTf in▼を
予測するので、外気温度による影響を見落とすることが
無い。また、プロセス量の変位度合いが検討されること
により、オーバーシュートやハンカチ現象を抑制するこ
とも可能になる。以下、上記の実現の為の具体的構成と
動作を説明する。 第6図は、第5図の定性因果ネットワークに基づいて
構成した定性項目生成手段21と、定性ファジイ推論手段
22の詳細構造である。 定性項目生成手段21は、前記検知手段で検出された入
力情報から、定性ファジイ推論に必要な項目を下記のよ
うに生成する。 T0 _ (温度差分):T0(外温)−Tin(室温)(℃) ΔSV(換気時間):(現在時刻)−(換気気起動時刻) (但し停止中はゼロ)(秒) ΔQ(熱量変位):(ヒータ運転時間)−(クーラー運
転時間) 但し、ヒーターとクーラーは排他運転とし (ヒーター運転時間)=(現在時刻)−(ヒーター起動
時刻) (クーラー運転時間)=(現在時刻)−(クーラー起動
時刻) (停止中はゼロとする)(秒) ▲ΔTc in▼(温度変位):(現在温度)−(一定時前
の室温)(℃) ΔA(湿量変位):(加湿機運転時間)−(換気機運転
時間) 但し、加湿機と換気機は排他運転とし (加湿機運転時間)=(現在時刻)−(加湿機起動時
刻) (換気機運転時間)=(現在時刻)−(換気機運転時
間) (停止中はゼロとする)(秒) なお、本実施例では、換気により湿度が常時現象する
プロセス、すなわち高位に湿度を保つ必要があるプロセ
スを想定している。 ΔHc(湿度変位):(現在湿度)−(定時間前の湿度)
(%) ΔVIc(VI変位):(現在VI値)−(定時間前のVI値)
(%) 定性ファジイ推論装置22は、前記生成された定性項目
値より、以下のようにして各制御目標プロセス量を予測
する。 <1>.定温定性ファジイ推論 第9図は、予め先験的情報に基づいて決定した各入力
項目に対する定性的評価、すなわちファジイメンバーシ
ップ関数を示したものである。例えば、内外温度差T0 _
は記号〔+〕,
〔0〕,〔−〕で示される三種類の定
性評価値を持つ、縦軸は評価適合度(メンバーシップグ
レード)を示しており、0.0から1.0の範囲の値をもつ。
横軸は内外温度差T0 _ を示している。評価は一意でな
く、他面的に行なわれる。例えば、外温が24(℃)、室
温が18(℃)のときは差分6(℃)であるから評価
〔+〕(外温が室温より高い評価)の度合いは0.8、評
〔0〕(同程度の評価)の度合いは0.2、評価〔−〕
(室温が外温より高い評価)の度合いは0.0である。こ
れは下記のように表現される。 ここで、μは適合関数、小文字+,0,−は評価種類を
示す。 一方、空調機を動作させた場合の効果の度合い予測値
は、効果待時間集合TCの要素αにより異なる。例えば
第9図のΔSV(換気時間)に対するメンバーシップ関数
のように、横軸を運転継続時間としたものを用いて計算
される。換気器をONとしてα秒後には換気効果が不変
〔0〕の度合いは1.0であり、効果有〔+〕の度合いは
0.0である。これは、現タイミングで換気器をOFF→ONと
してもα秒後には効果がほとんど表われてこないこと
を示している。ところがα(>α)秒後は不変
〔0〕の度合いは0.17で、効果有〔+〕の度合いは0.7
となり、かなり効果が出てくることを示している。この
ように、運転パターンの要素である効果待時間は本例で
はΔSV,ΔQ(熱量変位)、ΔA(湿量変位)に対する
メンバーシップ関数の横軸として評価するようにしたこ
とで、前記従来方法の欠点を解決できるようにしてい
る。 なお、第7図は、制御目標プロセス量である室温変位
(▲ΔTf in▼)のα時間後の値を推論する場合の推
論ルール群とその関連を示している。 推論は第5図の定性因果ネットワークに従い、プロセ
ス入力側より次のように行なわれる。 自然熱量変位(ΔNQ) 自然熱量変位ΔNQについては、この要因となる温度差
T0 _ と換気機運転時間に対し、効果無し
〔0〕と、効
果有〔+〕の2種類の定性評価を第9図のように予め行
なっている。第10(a)図に示されるように、ΔNQの定
性評価は下記6個のルールより推論される。 (rule1)If T0 _ i is〔+〕,ΔSV is〔+〕,Then ΔN
Q is〔++〕 これを定性的に表現すると、 「もし、室外の温度が室内の温度より高く、かつ換気機
が運転中ならば、自然熱量はかなり増加する。」 以下同様にして、 (rule2)If T0 _ i is〔+〕,ΔSV is
〔0〕,Then ΔN
Q is〔+〕 (rule3)If T0 _ i is
〔0〕,ΔSV is〔+〕,Then ΔN
Q is
〔0〕 (rule4)If T0 _ i is
〔0〕,ΔSV is
〔0〕,Then ΔN
Q is
〔0〕 (rule5)If T0 _ i is〔−〕,ΔSV is〔+〕,Then ΔN
Q is〔−−〕 (rule6)If T0 _ i is〔−〕,ΔSV is
〔0〕,Then ΔN
Q is〔−〕 熱量変位(ΔTQ)の定性的推論 ΔTQは、上記で得られたΔ(VQ)の定性評価集合と熱
量変位(ΔQ)により推論される。熱量変位(ΔQ)は
第9図に示すような定性評価メンバーシップ関数で予め
評価されている。本例ではヒーターとクーラーは互いに
排他的な運転を行なっているので、ヒーターの運転継続
時間とクーラーの運転継続時間を横軸にとり、熱量増加
〔+〕、熱量一定
〔0〕、熱量減少〔−〕の3種類の定
性評価を行なっている。熱量変位(ΔTQ)の定性評価は
第10(b)図に示されるように下記13個のルールより推
論される。 (rule11)If ΔNQ is〔++〕,ΔQ is〔+〕,Then Δ
TQ is〔+〕 これを定性的に表現すると、 「もし、自然熱量がかなり増加し、かつ機械的熱量が増
加ならば、総合熱量は増加する。」 以下同様にして、 (rule12)If ΔNQ is〔++〕,ΔQ is
〔0〕,Then Δ
TQ is〔+〕 (rule13)If ΔNQ is〔++〕,ΔQ is〔−〕,Then Δ
TQ is〔+〕 (rule14)If ΔNQ is〔+〕,ΔQ is〔+〕,Then ΔTQ
is〔+〕 (rule15)If ΔNQ is〔+〕,ΔQ is
〔0〕,Then ΔTQ
is〔+〕 (rule16)If ΔNQ is
〔0〕,ΔQ is〔+〕,Then ΔTQ
is〔+〕 (rule17)If ΔNQ is
〔0〕,ΔQ is
〔0〕,Then ΔTQ
is
〔0〕 (rule18)If ΔNQ is
〔0〕,ΔQ is〔−〕,Then ΔTQ
is〔−〕 (rule19)If ΔNQ is〔−〕,ΔQ is
〔0〕,Then ΔTQ
is〔−〕 (rule20)If ΔNQ is〔−〕,ΔQ is〔−〕,Then ΔNQ
is〔−〕 (rule2A)If ΔNQ is〔−−〕,ΔQ is〔+〕,Then Δ
TQ is〔−〕 (rule2B)If ΔNQ is〔−−〕,ΔQ is
〔0〕,Then Δ
TQ is〔−〕 (rule2C)If ΔNQ is〔−−〕,ΔQ is〔−〕,Then Δ
TQ is〔−〕 室温変位(▲ΔTf in▼)の定性的推論 ▲ΔTf in▼はΔTQは室温変位▲ΔTc in▼による推論
される。室温変位▲ΔTc in▼は第9図のように、増加
〔+〕、一定
〔0〕、減少〔−〕の三種類の定性評価に
より予め評価されている。室温度変位▲ΔTf in▼の定
性評価は第11図に21〜27で示されるように7個のルール
により推論される。 以上説明した、先験的情報によるメンバーシップ関数
と推論ルール群に基づいて推論された一定時間後の室温
変位▲ΔTf in▼は定量値変換され、現在の室内温度▲
ΔTc in▼に加算されて予測室温▲ΔTf in▼が出力され
る。 本実施例の動作を、第14図と第15図を用いて説明す
る。第14図は換気機停止中の室温の推移を予測する例で
ある。 本例はクーラー運転中で、他の機器は停止していて、
熱量減少が他の影響を受けない場合である。運転操作組
合せ案は ΔOP=(0,0,0,0,α) である。これは現時点での運転をそのまま継続した場合
のα秒後のプロセス状態を示している。またプロセス
値としては T0 _ (温度差)=4.1(℃) ΔSV(換気機運転時間)=0(秒) ΔQ(熱量変位)=−(140+α)(秒) ▲ΔTc in▼(室温変位)=−1.0(℃) が、それぞれ入力されている。 なお:ΔQはクーラーがONしてから140(秒)、その
ままα(秒)継続する運転パターンを示している。こ
れらの値は第9図に示すメンバーシップ関数に基づき、
ファジイ定性評価関数により評価される。各プロセス入
力値の定性評価集合は、本例では下記のようになる。 前記1〜7のルールにより、まず自然熱量変位ΔNQが
推論される。推論は全てのルールについて、条件部(I
f)に含まれる評価値の積が演算された後、結論部(The
n)の各評価値として最大値を採用する。例えば、(rul
e1)によれば、 (rule1)If T0 _ i is〔+〕,ΔSV is〔+〕,Then ΔN
Q is〔++〕 であるから、条件部の積は μ+(T0 _ )×μ+(ΔSV)=0.65×0.0=0.0 となり、結論部に評価〔++〕を持つルールはこれのみ
であることから μ++(ΔNQ)=MAX(0.0)=0.0 となる。但しMAX(n1,n2,…nm)はn1からnmまでの最大
値を決定する関数である。 (rule3)と(rule4)と共に結論部に定性評価
〔0〕
を有している。(rule3)では μ(T0 _ )×μ+(ΔSV)=0.5×0.0=0.0 一方で(rule4)では μ(T0 _ )×μ(ΔSV)=0.5×1.0=0.5 であるから μ(ΔNQ)=MAX(0.0,0.5)=0.5 同様にして他の評価についても演算が行なわれ、自然
熱量変化ΔNQの総合評価集合 と定まる。これを定性的に表現すると、 「α秒後の自然熱量は増加の度合いが0.65、一定の度
合いが0.5であり、他の定性的度合いは0.0である。」 次にα秒後の総合熱量変位ΔTQを上記の自然熱量変
位評価集合 と機械的熱量変位ΔQにて推論する。ここで は概念量であり、定量変換する必要が無いため、具体的
なメンバーシップ関数は不要で、仮想的なメンバーシッ
プ関数があるものとして扱われる。 上記と同手順にて、 はルール11〜2Cにより と推論される。 次に、α秒後の室温変位▲ΔTf in▼は上記総合熱
量変位評価集合 と現時点までの室温変位▲ΔTc in▼より同手順で推論
が行なわれ、 となる。 上記室温変位定性評価集合ΔTinを定量値変換するに
は重心演算(de−fuzzy)が行なわれる。重心演算は第1
4図に示されるように下記手順にて行なわれる。 (手順1)予めΔTinに対し定められているメンバーシ
ップ関数の一致する定性評価グラフを、上記定性評価値
で切断する。 (手順2)上記切断された線と横軸、縦軸で囲まれた図
形の重心を演算し、横軸の値を定最値とする。 この結果、一定時間後の予測室温変位▲ΔTc in▼は と定まる。現時点tiでの室内温度▲Tc in▼は17.5
(℃)であるから、α分後の室内温度Tinとなる。この結果を定性的に表現すると、 「クーラーをα秒継続運転し、他の条件は同一とした
場合、現在17.5(℃)の室内温度はα秒後に16.4
(℃)に低下する。」 となる。これは、感覚的にも物理現象的にもよく適合し
ている。 つぎに、換気機が動作中で室外温度の影響を強く受け
始めた例を第15図を用いて説明する。なお、換気機運転
以外の条件は同一とする。運転操作組合せ案としては、
現在のクーラーと換気機がON、他はOFFの状態に対して ΔOP=(0,0,0,0,α) である。前述の例と同手順により下記のように推論が行
なわれる。但し、前述の例では換気機がOFF→OFFのため
ΔSV=0であったが、本例では換気機はON→ONで既に90
秒間運転され、α秒後には(90+α)となり となる。したがってα秒後のΔSVは ΔSV=(μ+ΔSV),μ(ΔSV)) =(0.9,0.15) ΔTin=+0.3(℃) 従って、α分後の室内温度は この結果を定性的に表現すると 「クーラーと換気機をα秒継続運転し、他の条件は同
一とした場合、現在17.5(℃)の室内温度はα秒後に
17.8(℃)に上昇する。」 となる。これは感覚的、経験的によくプロセスを表現し
ている。 これらの例では、室内温度変化(ΔTin:変化速度)を
考慮しているので、熱量変化によく追従し、また、室内
温度と室外温度の差分(T0 _ )を考慮しているので、
自然の環境変化にもよく追従する効果がある。 <2>.湿度定性ファジイ推論 湿度変位(ΔHf)は、第5図の定性因果ネットワーク
に従い、湿量変位(ΔA)と現時点までの湿度変位(Δ
Hc)により推論する。ΔAに対して、第9図に示すよう
な定性評価メンバーシップ関数が予め定められている。
本例では、湿度目標値は高位であり、室外湿度より常に
高く保持するプロセスを想定して、換気機が除湿動作を
行なうものである。すなわち加湿機と換気機は排他運転
を行なうため、加湿機の運転継続時間と換気機の運転時
間を横軸にとり、加湿〔+〕、一定
〔0〕、減湿〔−〕
の3種類の定性評価を予め先験的情報により行なってお
く。また湿度変位ΔHcも第9図に示すように、変化度合
いにより、増加〔+〕、一定
〔0〕、減少〔−〕の3種
類の定性評価を予め先験的情報により行なっておく。 第8図(a)は、制御目標プロセス量である定時間後
の湿度変位(ΔHf)を推論する場合の推論ルール群と、
その関連を示している。 第12図に示すようにΔHfはNo.31〜37の7個のルール
により推論される。 (rule31)If ΔA is〔+〕,ΔHc is〔+〕,Then ΔHf
is〔+〕 これを定性的に表現すると、 「もし、湿量が増加し、かつ該時点までの湿度が増加傾
向ならば湿度は増加する。」 となる。以下同様にして、 (rule32)If ΔA is〔+〕,ΔHc is
〔0〕,Then ΔHf
is〔+〕 (rule33)If ΔA is
〔0〕,ΔHc is〔+〕,Then ΔHf
is〔+〕 (rule34)If ΔA is
〔0〕,ΔHc is
〔0〕,Then ΔHf
is
〔0〕 (rule35〕If ΔA is
〔0〕,ΔHc is〔−〕,Then ΔHf
is〔−〕 (rule36〕If ΔA is〔−〕,ΔHc is
〔0〕,Then ΔHf
is〔−〕 (rule37〕If ΔA is〔−〕,ΔHc is〔−〕,Then ΔHf
is〔−〕 このように、先験的情報によるメンバーシップ関数と
推論ルールに基づいた推論により一定時間後の湿度変位
ΔHfが予測され定量変換される。そして現在の室内湿度
Hcに加算され、予測湿度Hfが出力される。 本実施例の動作を第16,17図を用いて説明する。 まず、加湿機が動作中で、湿度が増加しつつある例の
湿度推移の予測を第16図を用いて説明する。所定時間後
の運転操作組合せとして、 ΔOP=(0,0,0,0,α) の場合、すなわち加湿機のみONで、他の機器がOFFを継
続した場合のα秒後の状態を示している。また、プロ
セス値としては、 Hc=1.8(℃) および加湿機が既に120秒運転されているので ΔA=120+α(秒) が入力されている。上記プロセス値と、第9図に示され
ているメンバーシップ関数によりプロセス入力値の定性
評価値集合は、 と求められる。そして、第12図に示すルールに従って推
論が行なわれ と定まる。 これを定性的に表現すると 「湿度は増加の度合いが0.3、一定の度合いが0.105であ
る。」 となる。この湿度変位定性評価集合 を定量値変換して、 Hf=+1.6(%) を得る。現時点での室内湿度Hcは44.7(%)であるか
ら、α分後の室内湿度Hfは、 Hf=Hc+ΔHf=44.7+1.6=46.3(%) となる。この結果を定性的に表現すると、 「加湿機をα秒後まで継続運転し、他の条件は同一と
した場合、現在44.7(%)の室内湿度はα秒後に46.3
(%)に上昇する。」 となる。 つぎに、換気機が動作中で、湿度がやや減少しつつあ
る例を第17図にもとづいて説明する。運転操作組合せ
は、 ΔOP=(0,0,0,0,α) の場合である。すなわち換気機のみONで、他の機器がOF
Fを継続した場合のα秒後の状態を示している。ま
た、 ΔHc=1.8(%) ΔA=−(180+α)(秒) が入力している。上記よりプロセス入力値の定性評価集
合は、それぞれ と求められる。第12図に示すルールに従って推論が行な
われ、 と定まる。これを定性的に表現すると、 「湿度は増加の度合いが0.075、一定の度合いが0.052
5、減少の度合いが0.3325である。」 となり、さらに 定量変換すると、 ΔH=−0.6(秒) が得られる。現時点での室内湿度Hc=44.7(%)よりα
秒後の室内湿度Hfは、 Hf=Hc+ΔH=44.7−0.6=44.1(%) となる。この結果を定性的に表現すると、 「換気機をα秒後まで継続運転し、他の条件は同一と
した場合、現在44.7(%)の室内湿度はα秒後に44.1
(%)に下降する。」 となる。これより、換気により、低湿度の外気の影響を
受け始めたために、上昇傾向にあった室内湿度が下降に
転ずるという自然現象によく追従していることがわか
る。 <3>.透過度定性ファジイ推論 所定時間後のVI変位(ΔVIf)は、第5図の定性因果
ネットワークに従い、換気時間ΔSVと該時点までのVI変
位(ΔVI)により推論する。居住空間での透過度劣化は
主に煙草の煙、工場から粉塵等が原因であり不確定要素
が大きい。植物栽培用の温室、加工室等の空気制御で
は、ガス発生量(濃度)が制御対象となることも多い
が、後述のように、全く同一の手法で予測することが可
能である。 ΔVIは第9図に示される様に、変化度合いにより、良
化〔+〕、一定
〔0〕、劣化〔−〕の3種類の定性評価
を予め先験的情報により行なっておく。 第8図(b)は、制御目標プロセス量である定時間後
のVI変位(ΔHf)を推論する場合の推論ルール群と、そ
の関連を示している。 第13図に示されるように、ΔVIfは41〜45の5個の先
験的情報より得られたルールにより推論される。 (rule41)If ΔVIc is〔+〕,ΔSV is〔+〕,Then Δ
VIf is〔+〕 これを定性的に表現すると、 「もし、VIが良好になりつつあり、かつ換気時間が長い
ならば、VIはさらに良好になる。」 以下同様にして、 (rule42)If ΔVIc is〔+〕,ΔSV is
〔0〕,Then Δ
VIf is〔+〕 (rule43)If ΔVIc is
〔0〕,ΔSV is〔+〕,Then Δ
VIf is〔+〕 (rule44)If ΔVIc is
〔0〕,ΔSV is
〔0〕,Then Δ
VIf is
〔0〕 (rule45)If ΔVIc is〔−〕,ΔSV is
〔0〕,Then Δ
VIf is〔−〕 となる。 このように先験的情報によるメンバーシップ関数と推
論ルールに基づいて推論が実行され、一定時間後のVI推
移ΔVIfが予測され、定量値変換される。そして現在の
透過度VIcと加算され、予測VI値が出力される。具体的
動作例は上述の湿度定性ファジイ推論装置32の場合と同
様な動作を行なうため、詳細な説明は省略する。 C.運転予見ファジイ推論装置4 つぎに第1図の運転予見ファジイ推論装置4の詳細構
成を第18図によって説明する。本装置4は、上述の定性
予測シミュレーター3が予測した室温▲ΔTf in▼や湿
度Hfなどの予測値を入力とし、この予測値を先験的情報
により、予め定めらている各項目毎のメンバーシップ関
数を用いて評価し、総合的な評価値としての満足度を演
算する。 運転予見ファジイ推論装置4は、室温ファジイ評価手
段41、湿度ファジイ評価手段42、透過率ファジイ評価手
段43、電力量ファジイ評価手段44、切替ファジイ評価手
段45の各評価手段と、総合評価手段46によって成ってい
る。 第19図は、前記各評価項目毎の定性評価であるメンバ
ーシップ関数と、本装置4の動作を示したものである。
本例では、温度と湿度が定められたパターンで変化し、
それに精度良く追従させるような居住室、植物栽培用温
室等を例としている為、温度、湿度の評価は目標値に対
する偏差としている。たとえば図のように、目標温度20
(℃)に対し、±4(℃)の偏差範囲をプラント(プロ
セス)毎の先験的情報に基づいて定性評価している。湿
度も同様である。しかし、例えば人間の感覚である「快
適」、「不快」、「暑い」、「寒い」、「むし暑い」等
従来数値で表現することが困難である様な評価としても
同様である。このような応用例については後述する。 第20図は、本装置の動作の詳細を示したものである。
現時点での制御機器動作状態を、 クーラー=ON(1) ヒーター=OFF(0) 加湿機=OFF(0) 換気機=ON(1) とし、この状態からの操作パターンと、5種類の制御効
果待時間候補(60,120,180,240,300(秒))の積より成
る、前記運転操作効果待時間案集合、S(ΔOP)を縦軸
に定義している。各案に対して、運転予見ファジイ推論
装置4にて評価される。各制御目標プロセス量の評価値
が示されており、最右端には、総合評価を表わす満足度
が表記されている。以下、動作説明の為、第20図におけ
るi番目の運転操作パターン、 ΔOPi=(−1,0,0,0,120) すなわち、クーラーを停止させ、他の機器は継続運転
させた場合の120秒後のプロセス状態の評価を例とし、
第19図により動作を説明する。 (1)室温ファジイ評価 本例では、第19図(a)に示すように、目標温度が20
(℃)、現在(tc)の温度が18(℃)、前記定性シミュ
レーター3による120秒後の予測値が19.6(℃)となっ
ている。メンバーシップ関数内の定性評価「良好」(Go
od)は目標との偏差0(℃)を中心に双方になだらかに
下降する評価特性を持つ。すなわち±1.5(℃)程度の
偏差は、このプロセスである程度許容され、±4(℃)
以上の偏差は許されないことを示している。室温の時刻
tfにおける定性評価Goodに対する適合度をμTG(Tf)と
すると、室温偏差は0.4℃であるから μTG(Tf)=1.0 となる。これは、室温は十分良好であることを示してい
る。 (2)湿度ファジイ評価 前記室温と同様に、第19図(b)に示す目標値55
(%)に対する偏差で評価される。現在湿度49.5
(%)、120秒後の予測値が51.0(%)である為、時刻t
fにおける湿度の定性評価Very Goodに対する適合度をμ
VG(Hf)とすると、湿度偏差は4.0(%)であるか
ら μVG(Hf)=0.85 となる。これは、湿度の大変良好な度合いが0.85でかな
り適合していることを示している。 (3)透過率ファジイ評価 透過率のメンバーシップ関数の評価Goodは、透過率65
(%)以上が適合度1.0,65(%)以下は徐々に下降し、
20(%)で適合度0.0となる。第19図(c)の例では、
現在VIが74.0(%)、120秒後の予測値が76.0(%)で
あるから、時刻tfにおけるVIの定性評価Goodの適合度を
μVI(VIf)とすると、 μVI(VIf)=1.0 となる。 (4)電力ファジイ評価 制御機器動力費用である電力は、少ないほど経済的に
優れている。第19図(d)に示す運転パターンでは、換
気機が継続運転されている為、115(KW/h)が消費され
ることが予見される。従って時刻tfにおける電力Pの定
性評価L0ωの適合度をμ(Pf)とすると、 μ(Pf)=0.95 となる。尚、電力量は制御機器毎の電力特性情報より定
量的な演算を行なって求めている。 (5)切替ファジイ評価 制御機器の起動、停止頻度はできるだけ小さいことが
望ましい。特に空調プロセスの場合、一般的に時定数が
大である為、余分な起動、停止は電力量消費、寿命短縮
のみならず、制御精度の低下を招く。ここでは機器毎の
起動、停止切替の良否を、予め測定された突入電流等に
よる過渡電力に置換え定性評価している。第19図に示す
メンバーシップ関数は切替頻度の頻繁さを表わしてお
り、少ないほど良好となっている。本例では、クーラー
を停止させている為、時刻tfにおける切替CPの定性評価
L0ωの適合度をμCP(CPf)とすると、 μCP(CPf)=0.90 となる。 (6)総合評価 以上の手順で、前記各評価手段により項目毎の評価が
行なわれ、第20図の様な結果を得る。 総合評価手段46は、次式により運転操作効果待時間案
ΔOPiに対する満足度Siを演算する。 は正規集合であり、評価項目毎のゲインを定義する。本
例では、室温の推移安定化と制御機器切替頻度の低減を
重視し、電力量の低減をやや重視して、下記ゲインを設
定している。 GT(室温ゲイン)=0.3 GH(湿度ゲイン)=0.1 GVI(透過度ゲイン)=0.1 GP(電力量ゲイン)=0.2 GCP(切替ゲイン)=0.3 従って、本運転パターンiの満足度Siは、 と演算される。この様にして、第20図に示されるよう
に、全ての運転パターンに対し、満足度Sが演算され
る。 D.最適操作・効果待時間決定出力手段5 本手段は、前記全ての運転パターン組合せのなかか
ら、最も大きい満足度Sを持つ運転パターンを選択し、
プロセスへ現在時点の制御信号を出力すると共に、該制
御効果待時間を次回の制御実行タイミングとするよう
に、起動タイマーを設定する。 以上説明したように、本実施例は、制御実行時点(現
時点)の運転状態から制御実行時に操作可能な全ての運
転操作案と、複数の制御効果待時間集合の積よりなる運
転パターン集合に対し、現時点のプロセス入力量から制
御目標項目の推移を先験的情報に基づき定性的に予測
し、複数の制御目的に対する先験的情報により前記予測
された制御目標項目を定性的に評価し総合的な満足度を
演算し、全ての制御目標を同時に最も満足する運転パタ
ーンを決定し、プロセスに制御出力すると共に、次回の
制御実行タイミングを最適な制御効果待時間に基づき効
果的に定めている。このためプロセスの局所的な変化、
複雑な相互影響、不確定要素をよく把え、正確にプロセ
ス挙動推移を予測することができるようになり、低い動
力費用で、機器の起動/停止頻度が少なく、かつ安定し
た制御結果が得られるという効果がある。 第21,22図は、本実施例の効果を説明する為の特性図
である。第21図は、制御機器毎に個別に設置されるPID
制御装置による制御結果、第22図は、本発明実施例によ
る制御効果をそれぞれ示したものである。以下、各評価
項目毎の比較を行なう。 (1)室温 従来のPID制御効果では、下記問題がある。 目標に達すると制御効果器(クーラー/ヒータ)がOF
Fしてしまったり、室外温度が室内温度に比べ、十分高
いにもかかわらず、ヒーターをONしてしまったりしてい
る為、温度変化が頻繁で不安定である。 目標値の変化時にオーバーシュートが発生している。 換気機運転時大きな影響を受けており、温度推移が不
安定である。 これらに対し、本実施例による結果では、自然熱量を
有効に利用し、かつ換気機運転の影響を考慮した巧みな
運転を行なっている為、上記問題を解決していることが
わかる。 (2)湿度または透過度 従来の制御結果に比べ、本発明による制御結果では、
よく安定し、目標値によく追従していることがわかる。 (3)制御機器運転 従来制御の結果では、起動停止が頻繁(クーラー48
回、ヒーター3回)に行なわれているのに対し、本実施
例による制御結果では、起動停止回路が激減(クーラー
21回、ヒーター3回)していることがわかる。これは、
本例では外温が内温よりかなり高いことを有効に利用
し、また目標値に対する許容域を有効に利用し、はた換
気機運転の影響を考慮に入れた運転操作を行なっている
為である。加湿機、換気機についても同様であり、制御
に要する動力費用も大きく低減されている。 つぎに本発明の第2の実施例である連続可変制御法に
ついて説明する。 第23図は半導体クリーンルーム、植物栽培・実験、実
験動物飼育室など製品の品質管理上、温度や湿度の変動
を極力、抑制する必要のあるプロセスに本発明を適用し
た場合の設備、及び制御装置の構成を示したものであ
る。 同図の空調設備は冷水コイル、温水コイル、蒸気スプ
レー、ファン等が組込まれたものである。この空調機
は、外気と制御対象室からの還気を混合し、前記2つの
コイルと蒸気スプレーを介し、ファンで送気する。第1
の実施例との相違は、各効果器の出力を回転式バルブで
連続的に変化させることができる点にある。 温水バルブでコントロールされる温水コイルは熱量を
増加させ、蒸気バルブでコントロールされる蒸気スプレ
ーは湿量を増加させる。冷水バルブでコントロールされ
る冷水コイルは冷却と除湿の2つの作用を同時に行な
う。これは露点温度により決まり、室温が露点より低い
場合コイル上に水分が結露して除湿され空気中の水分量
が減少する。 このプロセスでは効果器のON/OFFで制御を行なう上述
の空調プロセスの問題点に加え、除湿と冷却を同一効果
器で実施するため、温度、湿度の変動を小さく抑えなが
らの最小化運転を行なうことは極めて難しい課題であっ
た。 これに対し、本実施例では以下のように上記問題を解
決する。 第23図に示される本実施例の制御装置100の構成は、
制御対象ルーム内に設置される温度計、湿度計、及びル
ーム外の温度計にてそれぞれ測定された室温(T
i(℃)、湿度(H(%))、外温(T0(℃))を入力
とする。一方制御効果器として前述の温水コイル、冷水
コイル、ファンが設置され、それぞれ温水バルブ、冷水
バルブ、加湿バルブの開度度合(0〜100(%))の信
号が制御装置100より出力され、制御される。 制御装置100は、アナログ操作量離散化手段101、運転
操作効果待時間組合せ生成手段102、定性予測シミュレ
ータ103、運転予見ファジイ推論手段104、最適操作効果
待時間決定出力105、起動タイマー106で成っている。こ
のうち、102,103,104,105,106は既に説明した第1図、
あるいは第3図における2,3,4,5,6と同等のものであ
り、以下の説明では異なる点を中心に述べる。 前述の通り、本発明の特徴の1つである運転操作効果
待時間組合せの数は有限かつ、現実的なものでなければ
ならない。ところが本実施例における対象効果器の操作
は連続量(アナログ量)であるから、これを有限に分割
して、組合せ数を現実的な数にする必要がある。 例えば、三種類の制御効果器があり、各々0〜100
(%)の範囲で1(%)毎に制御量を変えることが可能
とすると、ある時点での運転状態に対する可変運転パタ
ーンは、各々の効果器毎に100段階である為 100×100×100=1,000,000(通り) 存在する。制御同期が十分長いプロセス制御においては
上記運転パターン全てについての予見処理を行なうこと
は不可能ではないが、一般的なプロセスでは実質的には
不可能である。従って、この組合せ数を制御精度を低下
させずに減らすことが必要になる。本発明ではプロセス
制御における、次の性質を利用して、これを達成する。
すなわち、スムーズで良い設備運転操作は、 (1)現在の運転状態からの操作量(変位量)ができる
だけ小さいこと。 (2)状態の急激な変化時の操作量については、きめ細
い変化量についての検討は不要である。 という性質を利用する。具体的には現在運転量近傍で細
かく運転パターンを検討し、大きな操作量については代
表点に限定して運転パターンを生成する。 本例の離散化手段101について説明する。 ΔOP(V)をあるバルブの現在値Vcに対する操作可能
操作量集合にすると ΔOP(V)=(0,±(1.8)i,(100−Vc),((−1)
×Vc 但し、i=1,2,3,……, (1.8)<100, 各要素は互いにユニーク。 と定義する。この中で0は現状値を維持すること、(10
0−Vc)は100(%)のバルブ開、((−1)×Vc)は0
(%)のオペレーションを示している。これは現在の運
転状態を対し、徐々に操作量を拡大することで、処理性
の向上と、スムーズな運転を実現する。同図の例では、
温水バルブHωの現在値が0(%)、冷水バルブCωの
現在値が40(%)、加湿バルブHSの現在値が100(%)
であるので ΔOP(Hω)=(0,+1,+3,+5,+10, +18,+34,+61,+100) ΔOP(Cω)=(0,±1,±3,±5,±10, ±18,±34,±60,−40) ΔOP(HS)=(0,−1,−3,−5,−10, −34,−61,−100) となる(単位は(%)) この動作により連続量が現実的な複散値に変換され
る。上記した1,000,000通りの組合せは17×17×15=433
5(通り)と1/230に減少し、しかも、これによる質的な
低下は事実上みられない。 運転操作効果待時間組合せ生成手段102は予測、評価
の繰り返し処理に与える組合せを以下のようにして生成
する。 効規待時間まで考慮した操作組合せ集合をS(ΔOP)
とすると、 前述の通り は該運転状態から操作し得る運転操作パターンの集合で
あるから、本実施例では集合ΔOP(Hω)、ΔOP(C
ω)、ΔOP(HS)の積演算で得られる。すなわち となる。したがって効果待時間候補集合 とすると、S(ΔOP)は第30図に示すように3240通りの
組合せ集合となる。このS(ΔOP)は となり、1例として ΔOP=(+100,+60,0,20) を文章表現すると 「温水バルブを100(%)開き、冷水バルブを60(%)
開き、加湿バルブを現状維持とした場合の20秒後のプロ
セス状態」 となる。 定性予測シミュレーター103は各プロセス入力値に対
する定性評価メンバーシップ関数と定性因果ネットワー
クが以下のように異なる。 第25図は、本実施例のプロセスの挙動を定性的に推定
するための定性因果ネットワークを示したものである。
対象プロセ課の室温変位(▲ΔTf in▼)は総合熱量変
位(ΔTQ)と現時点までの変温変位(▲ΔTc in▼)に
より定まる。総合熱量変位(ΔTQ)は、内外温度差(T0
_ )と機械的熱量変位(ΔQ)は温水バルブ効果(H
ω)と冷水バルブ効果(Cω)により定まる。各バルブ
は連続可能であるから、第1の実施例が単に稼動時間と
一定能力の積で熱量を評価していたのに対し、下式の様
な積分値で評価する必要がある。すなわち ここで、Eは総合熱量(Kcal)、tiは評価時間、Hω
(t)は時刻tにおける出力熱量を示す。 第26図は、温水バルブHωの運転を例に説明したもの
であ、斜線部が温水バルブ効果量である。冷水バルブC
ω、加湿バルブHSも同様である。 第25図において、湿度本位(ΔHf)は湿量変位(Δ
A)と現時点までの湿度変位(ΔHc)で定まる。湿量変
位(ΔA)は冷水バルブ効果(Cω)と加湿バルブ効果
(HS)にて定まる。加湿バルブ効果は前述の温水バルブ
効果と同等の考え方で定義する。 第27図は、第23図におけるプロセス入力情報、あるい
は演算された各項目に対する定性的評価としてのメンバ
ーシップ関数を示したものである。 第28図(a)〜(e)は、第25図の定性因果ネットワ
ークで示される先験的情報により得られた、定性的ファ
ジイ推論ルール群を示したものである。推論の詳細手順
は第1の実施例と同様である。 第29図は、前述定性予測シミュレーター103にて予測
された各項目値を運転予見ファジイ推論手段104で定性
的に評価するためのメンバーシップ関数を示したもので
ある。ここでは室温の目標値との偏差、湿度の目標値と
の偏差、電力、切替電力の4項目を同時に評価する。 第30図は、本手段104の動作詳細を示したものであ
り、第24図で示した現在運転量、すなわち Hω=0(%)(温水バルブ開度) Cω=40(%)(冷水バルブ開度) HSc=100(%)(加湿バルブ開度) からの操作パターンと、3種類の制御効果待時間候補
(20,40,60)(秒)の積についての運転予見ファジイ推
論結果である。 また、本実施例では温湿度の変動最小化を重視し、室
温VGに対するゲインを0.4、湿度VGに対するゲインを0.3
としている。これにより第30図に示されるように、全て
の運転パターンに対し、満足度Sが演算される。 最適操作効果待時間決定出力手段105は、全ての運転
パターン組合せの中から、最大の満足度Sを持つ運転パ
ターンを選択し、プロセスへ制御信号を出力すると共
に、該制御効果待時間を、次回の制御実行タイミングと
なる様に、起動タイマーを設定する。第30図の例では運
転パターンi、すなわち全てのバルブを現状のままとし
た20秒後が、最も良い操作であることを示している。 第31図、第32図は、本実施例の効果を示すための特性
図である。第31図は従来の状態推定型のファジイ制御装
置による制御結果、第32図は本発明の実施例による結果
を示したものである。 第31図に示す従来例では下記問題がある。 4時から7時にかけて湿度が目標より高くなったた
め、冷水バルブが開いている。この影響を受け、室温が
目標を下廻ってしまっているこの現象は13時から16時に
もみられる。 各バルブの起動、停止がかなりあり、また開度(%)
の変動が大きい。 上記に対し、本発明の実施例による第32図の結果で
は、自然熱量を有効に利用し、かつ冷水バルブの複雑な
影響度をよく考慮し、また非常に多くの運転パターン
を、総合的に検討評価した運転を行なっているので、上
記問題を解決していることがわかる。 第23図は、本発明を植物栽培温室制御へ応用した例を
示したものである。植物栽培には、温室の促成栽培、バ
イオコントロール、果実の熟成制御等があるが、これら
への本発明の応用は極めて容易でかつ効果が大である。 本例では、プロセス状態の情報として室温、湿度、ガ
ス濃度(CO2等)、室外温度等を入力とし、制御効果と
して、クーラー、ヒーター、加湿機、除湿機、ガス発生
器、換気機が設置されている。これは最も一般的な植物
栽培設備である。 本発明の応用は、前記実施例とほぼ同様である。すな
わち、定性予測シミュレーター3は温度予測手段53、温
度予測手段54、ガス濃度予測手段55で成っており、運転
予見ファジイ推論装置4は、温度ファジイ評価手段61、
湿度ファジイ評価手段62、ガス濃度ファジイ評価手段6
3、電力ファジイ手段64、切替ファジイ評価段段65、総
合評価手段46で成っている。他の装置は前記実施例と同
様である。温室内は極めて複雑な空気プロセスであり、
温度、湿度、ガスが相互に影響しながら推移するが、本
発明による制御装置は温度、湿度、ガスを所望の特性に
精度良く制御することができ、かつ所要電力を削減する
ことができる、という効果がある。 第34図は、本発明を縦流換気式の道路トンネルへ応用
した場合の制御装置構成を示したものである。 縦流換気式のトンネル換気制御の目的は、見通しの程
度を示す透過度VIを一定以上良好に保ち、CO(一酸化炭
素)濃度を許容値以下に維持しながら、制御に要する電
力量を最小にすることである。しかし、トンネル換気プ
ロセスは、交通量増減、排気ガス発生量の不確実さ、空
気の利流現象等の不確定要因が多く、従来の数値制御、
または簡単な構成のファジイ制御では効果的な制御は不
可能であった。これらの可能は、本発明による第24図の
制御装置により解決することができる。 プロセスより交通流計(トラフィックカウンター)に
より検知された、一定時間毎の大型車台数、小型車台
数、走行速度等の交通情報、VI計によるVI値、CO計によ
るCO値、微気圧計により自然風、車道内風速計による車
道内風速値が入力する。また、処理結果として、ジェッ
トファンの運転台数指令、複数台設置される集塵機の風
量指令がプロセスに出力される。ここでジェットファン
とは、空気の流れを加速し、トンネル出口より媒煙、CO
等を押し出すことでトンネル内環境を良好にする制御効
果器であり、集塵機とは、空気の流れを加速するのみな
らず、媒煙等一定の大きさ以上の粒子により成る汚染物
質を強制的に除去することでトンネル内環境を良好にす
る制御効果器である。 本発明の応用は下記を除き、前記実施例と同様であ
る。 定性予測シミュレーター3は、交通流予測手段71と、
これにより予測された交通流定性評価集合と前記プロセ
ス入力値を入力として一定時間後のCO(一酸化炭素)濃
度を予測するCO予測手段72、前記交通流定性評価集合と
プロセス入力値を入力として一定時間後のVIを予測する
VI予測手段73で成っている。また運転予見ファジイ推論
装置4は、COファジイ評価手段74、VIファジイ評価手段
75、電力ファジイ評価手段76、切替ファジイ評価手段7
7、総合評価手段46で成っている。他の装置構成は前記
実施例と同様である。 この構成により、不確実な交通流推移を的確に把える
ことが可能となり、これよりCO、VIが精度良く予測され
る。精度良く予測された項目は先験的情報に基づき総合
的に判断される為、適正な制御指令が出力される。また
制御効果器の効果待時間が考慮されている為、無駄な機
器起動停止回数が減少する。この結果、環境基準値を維
持しながら、低動力費用の制御が実現される。 本発明は、これ以外にもダムの水位制御、原子炉給水
制御、エレベータ群管理制御、クレーン運転制御など広
い範囲の制御に応用することが可能である。 〔発明の効果〕 本発明によれば、操作可能運転操作案と複数の制御効
果待時間の組合せの全てに対して、制御目標プロセス量
の推移を定性的に予測、かつ、評価し、全ての目的を同
時に最も満足する運転操作案を制御出力とし、そのとき
の制御効果待時間を次回の制御タイミングとするように
したので、プロセスの局所的あるいは時間的な変動によ
く追従し、プロセスの制御精度を向上できる。 また、複数の制御目的を同時に満足する複数の制御機
器の制御をすることができるので、複雑なプロセスの最
適制御を可能にする。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の基本構成を示すプロセス制御装置の全
体構成図、第2図から第22図は本発明の第1図の実施例
を説明するもので、第2図はON/OFF制御法の空調プロセ
スの設備図、第3図は第2図の制御装置の構成図、第4
図は定性予測シミュレータの構成図、第5図は空調プロ
セスの定性因果ネットワーク図、第6図は定性項目の生
成及び定性ファジイ推論手段の構成図、第7図から第17
図は第1の実施例のプロセス状態推定の動作を説明する
ための図、第18図は運転予見ファジイ推論装置の構成
図、第19図及び第20図は運転予見ファジイ推論装置の動
作を説明するための図、第21図及び第22図は第1の実施
例の効果を説明するための図である。 第23図から第32図は本発明の第2の実施例である連続可
変制御の空調プロセスにおける構成と動作を説明するた
めの図、第33図は本発明を植物栽培プロセスに応用した
構成図、第34図は本発明を縦流式トンネル換気プロセス
に応用した構成図、第35図は従来技術の問題点を説明す
るための図である。 1,100……プロセス制御装置、2,102……運転パターン生
成手段、3,103……定性予測シミュレータ、4,104……運
転予見ファジイ推論手段、5,105……最適運転パターン
決定出力手段、6,106……タイマー、101……アナログ操
作量離散化手段。
フロントページの続き (72)発明者 八尋 正和 茨城県日立市大みか町5丁目2番1号 株式会社日立製作所大みか工場内 (72)発明者 大島 啓二 茨城県日立市大みか町5丁目2番1号 株式会社日立製作所大みか工場内 (56)参考文献 特開 平1−243102(JP,A) 特開 平1−251202(JP,A) 特開 平2−165302(JP,A) 特開 昭59−95603(JP,A)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プロセス量の時間的推移を予測し、それに
    応じてプロセスを制御する制御効果器を制御するプロセ
    スの制御方法において、 前記制御効果器の現在の運転操作状態から前記制御効果
    器の運転についての複数の操作案について操作を行った
    場合のプロセス量の時間的推移を、前記制御効果器の効
    果待時間後について定性的に予測し、その後重心演算し
    て定量的に予測し、 前記予測されたプロセス量をプロセスの制御目標値に関
    してファジイ推論により評価し、前記制御目標の総合評
    価が最も高くなる操作案に基づいて前記制御効果器を運
    転させるとともに、前記効果待時間を次回の制御タイミ
    ングとするようにしたことを特徴とするプロセス制御方
    法。
  2. 【請求項2】任意のプロセスにおける複数の制御目標を
    同時に満足させる制御効果器の運転パターンを推論して
    予測制御をおこなうプロセス制御装置において、 現時点の制御効果器の運転状態を入力し、前記運転状態
    から、操作可能な運転操作案と、前記制御効果器の特性
    に基づいて予め定められた複数の効果待時間との組合せ
    からなる複数の運転パターンを生成する運転パターン生
    成手段と、 現時点の入力プロセス量を基に前記運転パターンによる
    操作を行なった場合の前記効果待時間後の複数の前記制
    御目標のプロセス量を予め定められた前記プロセスの定
    性的因果関係に基づいて予測する定性予測シュミレータ
    と、 予測された複数の前記制御目標のプロセス量を予め前記
    制御目標毎に定められたメンバーシップ関数と推論ルー
    ルとにより評価して前記制御目標毎の定性評価値を求
    め、前記定性評価値の各々に予め定められた重みを付け
    て総合評価をおこなう運転予見ファジイ推論手段と、 これらの予測と評価との処理を前記複数の運転パターン
    について実行して前記総合評価が最も高くなる前記運転
    パターンを決定し、前記決定された運転パターンの前記
    運転操作案に基づいて前記制御効果器を運転するための
    信号を出力すると共に前記運転パターンの前記効果待時
    間を次回の制御タイミングとする運転パターン決定出力
    手段と、 を有することを特徴とするプロセス制御装置。
  3. 【請求項3】室内の空気をヒータ、クーラ、加湿機、換
    気機の制御効果器群を含んで構成される空調機を制御す
    る空調機制御装置において、 前記制御効果器の現在の運転状態から前記制御効果器の
    運転についての操作案と、前記制御効果器の制御開始時
    点からその効果の現れるまでの効果待時間と、の組み合
    せからなる運転パターンを生成する運転パターン生成手
    段と、 測定された現在の室内の温度、湿度、室外の温度のプロ
    セス量とそれらの因果関係を基に、前記操作案の各々に
    ついて運転を行なった場合の前記効果待時間後の空調機
    の使用電力量、切替電力量の制御目的項目の推移を予測
    する予測シュミレータと、 前記制御目的項目の各々について予め記憶されているメ
    ンバーシップ関数と推論ルールとに基づき前記予測され
    た制御目的項目の量を定性的に評価し、その結果を重畳
    して得られる満足度を求める空調機運転予見ファジイ推
    論手段と、 前記運転パターン群の中から前記満足度が最大となるパ
    ターンを選択し、選択された前記パターンに基づいて前
    記制御効果器の運転を制御するための信号を出力すると
    共に、前記パターンの前記効果待時間を次回制御タイミ
    ングとして制御タイマーに設定する運転パターン決定出
    力手段と、 を有することを特徴とする空調機制御装置。
  4. 【請求項4】請求項3において、前記因果関係は、室内
    の温度の変化度合いを総合熱量の変位度合いと室内の温
    度の現時点までの変位度合いとから定性的に推論し、前
    記総合熱量の変位度合いを自然熱量の変位度合いと機械
    的熱量の変位度合いとから定性的に推論し、前記自然熱
    量の変位度合いを室内外の温度差と換気機運転時間とか
    ら定性的に推論し、前記機械的熱量の変位度合いを前記
    クーラの運転継続時間と前記ヒータの運転継続時間とか
    ら定めることを特徴とする空調機制御装置。
  5. 【請求項5】請求項3において、前記因果関係は、湿度
    の変化度合いを湿量の変化度合いと湿度の現時点までの
    変位度合いとから定性的に推論し、前記湿量の変位度合
    いを前記加湿機の運転継続時間と換気機の運転継続時間
    とから定めることを特徴とする空調機制御装置。
  6. 【請求項6】請求項3において、前記因果関係は、透過
    度の変化度合いを前記換気機の運転継続時間と透過度の
    現時点までの変位度合いとから定性的に推論することを
    特徴とする空調機制御装置。
  7. 【請求項7】温室内の雰囲気をヒータ、クーラ、加湿
    機、換気機、ガス発生器の制御効果器群で制御する温室
    制御装置において、 前記制御効果器群の現在の運転状態から運転可能な複数
    の前記制御効果器群の操作案と制御時点からその効果の
    現れるまでの効果待時間の複数の候補との組み合せから
    なる運転パターン群の生成手段と、 測定された現在の室内の温度、湿度、透過度、ガス濃
    度、室外の温度のプロセス量とそれらの因果関係を基
    に、前記操作案の各々について運転を行なった場合の前
    記効果待時間後の室内の温度、湿度、ガス濃度、空調機
    の使用電力量、切替電力量の各制御目的項目の推移を予
    測する予測シュミレータと、 前記制御目的項目の各々について予め記憶されているメ
    ンバーシップ関数と推論ルールとに基づき前記予測され
    た制御目的項目の各量を定性的に評価し、その結果を重
    畳して満足度を求める運転予見ファジイ推論手段と、 前記運転パターン群の中から前記満足度が最大となるパ
    ターンを選択し、前記パターンの前記操作案に基づいて
    前記制御効果器群の運転を制御するための信号を出力す
    ると共に、前記パターンの前記効果待時間を次回制御タ
    イミングとして制御タイマーに設定する運転パターン決
    定出力手段と、 を有することを特徴とする温室制御装置。
  8. 【請求項8】ジェットファン、集塵機の換気設備によっ
    てトンネル内空気の透過度、CO濃度を所定値以下に維持
    するトンネル換気制御装置において、 制御実行時点の前記換気設備の運転状態から操作可能な
    複数の操作案と制御時点からその効果の現れるまでの効
    果待時間の複数の候補との組み合せからなる運転パター
    ン群の生成手段と、 測定された現在のトンネル内の透過度(VI値)およびCO
    濃度、自然風速、車両台数、車両速度平均値からなるプ
    ロセス量とそれらの因果関係を基に、前記操作案の各々
    について運転を行なった場合の前記効果待時間後のトン
    ネル内の交通量、CO濃度、VI値の推移を予測する予測シ
    ュミレータと、 前記予測されたCO濃度、VI値と測定値から演算される換
    気設備の使用電力量および切替電力量の各制御目的項目
    の各々について予め記憶されているメンバーシップ関数
    と推論ルールとに基づき前記予測および演算された制御
    目的項目の各量を定性的に評価し、その結果を重畳して
    満足度を求める運転予見ファジイ推論手段と、 前記運転パターン群の中から前記満足度が最大となるパ
    ターンを選択し、前記パターンの前記操作に基づいて前
    記換気設備の運転を制御するための信号を出力すると共
    に、前記パターンの前記効果待時間を次回制御タイミン
    グとして制御タイマーに設定する運転パターン決定出力
    手段と、 を有することを特徴とするトンネル換気制御装置。
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