JP2630964B2 - 複合型全領域保護ヒユーズ - Google Patents

複合型全領域保護ヒユーズ

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JP2630964B2
JP2630964B2 JP62323652A JP32365287A JP2630964B2 JP 2630964 B2 JP2630964 B2 JP 2630964B2 JP 62323652 A JP62323652 A JP 62323652A JP 32365287 A JP32365287 A JP 32365287A JP 2630964 B2 JP2630964 B2 JP 2630964B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電力設備等に用いられる事故電流を限流して
遮断する限流ヒューズに関し、特にその小電流遮断性能
の改良に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、低圧用,高圧用ヒューズにかかわらず、限流ヒ
ューズには最低溶断電流付近の小電流遮断を行うことが
難しという難点があり、このため、小電流遮断が可能な
ように種々の広域保護限流ヒューズが案出された。以下
にこれらの代表的なものについて説明する。
第9図はこの種のヒューズに用いられるヒューズ・エ
レメントの斜視図を示し、主にヨーロッパで採用されて
いるものである。このリボン状のヒューズ・エレメント
1には数多くの第1の狭小断面部1Aが設けられ、さら
に、これらの間の所定部分には第2の狭小断面部1Bが設
けられている。これをヒューズ筒体の端子間に張る場合
には、端子間に螺旋状に巻いてヒューズ・エレメント1
の長さを長くし、ヒューズ筒体内に充填された消弧砂中
に埋めて使用する。
第2の狭小断面部1Bは、第1の狭小断面部1Aの断面積
よりも大きく、かつ、長さLが長く形成されている。こ
のため、大電流の事故電流がこのヒューズ・エレメント
1に流れると、狭小断面部1Aは狭小断面部1Bよりも断面
積が小さいため、狭小断面部1Aはより早く溶断してアー
ク電圧が瞬時に高まり、大電流の事故電流は限流されて
遮断される。一方、小電流の事故電流がヒューズ・エレ
メント1に流れると、狭小断面部1Aに発生する熱はヒュ
ーズ・エレメント1の本体1Cに近接しているために即座
にこれに吸収されるが、狭小断面部1Bに発生する熱は放
散しにくいために熱が蓄積し、終には長い狭小断面部1B
は一度に溶断するので遮断に十分なアーク電圧が得られ
て小電流の事故電流は遮断される。
また、我が国において実用化されている広域保護限流
ヒューズの大半は、第10図および第11図に示される構成
になっている。なお、第10図は断面図、第11図は第10図
に示されるヒューズ・エレメントの拡大された要部切断
断面図を表す。
同図に示されるものは、特公昭55-28175号公報に開示
されているものであり、絶縁ケース2に充填された消弧
砂3にヒューズ・エレメントが埋設されているものであ
る。このヒューズ・エレメントは、銀線からなる第1の
ヒューズ・エレメント4Aと、低融点金属からなる第2の
ヒューズ・エレメント4Bとから構成され、第2のヒュー
ズ・エレメント4Bは消弧チューブ5により覆われてい
る。そして、大電流域の事故電流が発生した時には第1
のヒューズ・エレメント4Aによって事故電流が遮断さ
れ、小電流域の事故電流が発生した時には第2のヒュー
ズ・エレメント4Bにより事故電流が遮断される。これ
は、第2のヒューズ・エレメント4Bは低融点のために第
1のヒューズ・エレメント4Aより早く溶断して発弧し、
この発弧の熱によって消弧チューブ5内の温度が上昇
し、消弧チューブ5が熱分解されて消弧が行われるため
である。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、上記構成の従来の広域保護限流ヒュー
ズは、小電流遮断試験(i3 test)規格に基づいてテス
トを行うと、いずれのものも定格電流値の200%以下の
電流値範囲では遮断が出来ず、ましてや、小電流遮断性
能の向上を図って最低溶断電流値を定格電流値の160%
〜130%にするということなどは望むべくもない。この
ように、広域保護とは謳いながらもその現状は、未だ小
電流遮断性能の向上が図られきっていないという問題が
有った。
本発明者はこの問題点の原因を追求した結果、従来の
広域保護限流ヒューズはいずれのものの小電流遮断も直
流遮断原理に依存しており、これは小電流遮断性能向上
の根本的な解決策としては有効なものではないというこ
とを突き止めた。
つまり、従来の広域保護限流ヒューズは事故電流が発
生すると速やかにアーク電圧を高めて電源電圧に対抗さ
せ、事故電流を限流して直流遮断を行うものである。し
かし、この直流遮断原理は、大電流域の事故電流に対し
てはアーク電圧が速やかにかつ十分に高められるが、小
電流域の事故電流に対してはアーク電圧が十分に高めら
れないためにアーク放電が安定な放電状態に落ち着いて
しまう。このため、いかに工夫を図っても元来が直流遮
断原理に基づいているために有効な解決手段を見出せな
かった訳である。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は上記問題点を解決するためになされたもの
で、従来の広域保護限流ヒューズはいずれのものの小電
流遮断も直流遮断原理に依存しており、これは小電流遮
断性能向上の根本的な解決策としては有効なものではな
いことに着目し、直流遮断する限流ヒューズと交流遮断
する交流ヒューズとを直列に接続し、第1の値I1から第
2の値I2(I1<I2)までの通電電流範囲を遮断可能電流領
域とし、限流ヒューズは、I1よりも大きくI2よりも小さ
い所定の値I3(I1<I3<I2)からI2までの通電電流範囲を
遮断可能電流領域とし、交流ヒューズは、少なくとも限
流ヒューズの遮断不能領域であるI1からI3までの通電電
流範囲を遮断可能電流領域とし、また、交流ヒューズ
を、微小な間隔で対向する一対の平板状の電極とこの電
極間に張られたヒューズエレメントとにより構成し、前
記電極の間隔を、限流ヒューズが遮断する際の大電流に
より前記ヒューズエレメントが溶断発弧しても電極間の
アーク電圧が抑制されるように設定するようにしたもの
である。
〔作用〕
大電流の事故電流は限流ヒューズにより限流されて直
流遮断原理に基づいて直流遮断され、小電流の事故電流
は交流ヒューズにより交流遮断原理に基づいて確実に交
流遮断される。
〔実施例〕
次に本発明について図面を参照して説明する。
第2図は本発明の一実施例の構造の概略を表す断面図
である。
同図において、11は主ヒューズとしての限流ヒューズ
部、12は副ヒューズとしての交流ヒューズ部である。
限流ヒューズ部11は、セラミックからなる絶縁性を有
する円筒状の密閉された第1の容器13と、この容器13の
両端に接着または圧入により固定されている銀メッキさ
れた銅または真鍮からなる第1の端子金具19A,19Bと、
この端子金具19A,19Bと電気的に接続されこれらの間に
螺旋状に巻かれて張られた第1のヒューズ・エレメント
14と、容器13内に充填された消弧材としての消弧砂15と
から構成されている。ヒューズ・エレメント14は、第3
図の斜視図に示されているようにリボン状に形成され、
エレメント本体14Bの断面積よりも小さい断面積で形成
された数多くの狭小断面部14Aがこのエレメントの途中
に設けられている。
交流ヒューズ部12は、セラミックからなる絶縁性を有
する円筒状の密閉された第2の容器16と、この容器16の
両端のメタライズされた部分に銀ローによって溶接され
て固定されているクロム・メッキまたはニッケル・メッ
キされたコバールからなる第2の端子金具20と、この端
子金具20と電気的に接続されこれらの間に配設された対
向する1対の平板状部を有する無酸素銅からなる電極17
と、この電極17と電気的に接続されこれらの間に張られ
た第2のヒューズ・エレメント18とから構成されてい
る。なお、容器16の内部は気密性を有し、真空状態に保
たれている。
また、電極17は、この電極17間の距離が所定の距離に
なるように配設され、限流ヒューズ部11が大電流を遮断
する際にこの交流ヒューズ部12の容器16の内部に発生す
るエネルギーを抑制する構造になっている。つまり、電
極17間に発生する電界は平等電界に近づけられ、さら
に、電極17間の距離が後に詳述するように極力短く(約
2mm以下)設定されているため、交流ヒューズ部12のヒ
ューズ・エレメント18が溶断して電極17間に発生するア
ーク電圧は低く抑えられ、発生エネルギーは抑制され
る。このため、交流ヒューズ部12のヒューズ・エレメン
ト18は、限流ヒューズ部11が大電流の事故電流を遮断す
る際に通過する遮断電流によって発生するジュール熱に
より、たとえ溶断発弧しても電極17間のアーク電圧は抑
制され、限流ヒューズ部11の遮断が完了するまでその内
部に発生するエネルギーに耐えることが出来、交流ヒュ
ーズ部12は爆発,破壊することはない。
また、限流ヒューズ部11と交流ヒューズ部12とは中空
の円筒状の収納絶縁筒21によって一体の構造になってい
る。つまり、一端が限流ヒューズ部11の端子金具19Bに
固定されている収納絶縁筒21に交流ヒューズ部12が挿入
され、この他端は第1の端子金具19A,19Bと同様な材質
からなる第3の端子金具22により蓋がされた構造になっ
ている。この端子金具22は交流ヒューズ部12を限流ヒュ
ーズ部11側に押圧しながら収納絶縁筒21に固定されてお
り、第1の端子金具19Bと第2の端子金具20とは安定な
電気的導通接触状態が保持され、交流ヒューズ部12のヒ
ューズ・エレメント18と限流ヒューズ部11のヒューズ・
エレメント14とは電気的に直列に接続されている。な
お、端子金具20と端子金具22とは同様にして電気的に接
続されている。
このような構造における本ヒューズの特性を表すグラ
フを第1図に示す。
同図は、各ヒューズ・エレメント14,18の通電電流I
と溶断時間tとの関係を示すグラフである。同図におい
て、横軸は各エレメントに通電される電流Iを示し、本
ヒューズの定格電流INを1とした時の倍数で表されてお
り、縦軸はこの各電流時における各ヒューズ・エレメン
ト14,18が溶断する溶断時間tを示している。また、23
は限流ヒューズ部11のヒューズ・エレメント14の特性曲
線、24は交流ヒューズ部12のヒューズ・エレメント18の
特性曲線を表している。なお、本ヒューズの不動作電流
値は定格電流INの1.6倍であるとして説明する。
限流ヒューズ部11の特性曲線23における点23Aと23Bと
の間の太い点線で示される範囲は限流ヒューズ部11の保
護(遮断)不能電流領域であり、例えば、定格電流IN
2倍までの小電流域の電流Iでは遮断が出来ない範囲で
あり、点23Bと点23Cとの間の太い実線で示される範囲は
遮断をすることの可能な保護(遮断)可能電流領域であ
る。交流ヒューズ部12の特性曲線24における点24Bと点2
4Cとの間の太い点線で示される範囲は交流ヒューズ部12
の保護不能電流領域であり、例えば、定格電流INの3倍
以上の大電流域の電流Iでは遮断が出来ない範囲であ
り、点24Aと点24Bとの間の太い実線で示される範囲は遮
断をすることの可能な保護可能電流領域である。
同図に示されているように、限流ヒューズ部11の保護
不能電流領域である点23Aと点23Bとの間の範囲では、交
流ヒューズ部12の特性曲線24に示される保護特性は図に
おいて特性曲線23の下側に位置し、点24Aと点24Bとの間
の範囲の保護可能電流領域にある。このため、限流ヒュ
ーズ部11の保護不能電流領域では必ず交流ヒューズ部12
が先に溶断発弧し、事故電流から回路を確実に保護する
ことが可能になっている。なお、特性曲線24の保護特性
は、点24A,点24B′および点24C′を結んで得られる細い
実線と細い点線からなる特性曲線24′であっても良く、
特性曲線23の点23Aと点23Bとの間の範囲でのみ特性曲線
24の保護特性が図において下側になっていれば良い。
また、限流ヒューズ部11の保護可能電流領域における
交流ヒューズ部12の発弧電圧特性は、後述するように、
いかなる回路条件で事故電流が発生しても、交流ヒュー
ズ部12の溶断発弧によるアーク電圧が事故電流を抑制し
て限流ヒューズ部11の溶断をさまたげたり、その遮断性
能を阻害することがない程度の低アーク電圧特性を有
し、特性曲線23に示される限流ヒューズ部11の保護特性
に殆ど影響を与えないものとなっている。
このような交流ヒューズ部12の実現可能性について
は、本発明者の再三に渡る実験によって確証されてお
り、以下にこれについて詳述する。
第4図はこの実験に用いられた交流ヒューズ部12に相
当する模擬交流ヒューズであり、容器16に相当する円筒
状の筒体31内に電極17に相当する1対の対向する電極32
を設け、この電極32間にヒューズ・エレメント18に相当
する銅線33を張ったものである。なお、筒体31の両端は
端子金具20に相当する端子金具34が溶接され、筒体31内
は気密性が保たれている。
第5図はこの模擬交流ヒューズの試験回路であり、高
圧コンデンサCとインダクタンスLとこの模擬交流ヒュ
ーズFとを直列に接続してLC共振回路を構成し、高圧コ
ンデンサCを約8000Vの充電電圧で充電し、スイッチS
を投入することによって発生する共振電流を模擬交流ヒ
ューズFに流して試験をするものである。そして、模擬
交流ヒューズFに発生するアーク電圧vaをこれと並列に
接続された分圧抵抗RAにより測定し、試験回路に直列に
挿入されたシャント抵抗RBによりアーク電流iaを測定す
るものである。
第6図(a),(b)はこの測定結果の一例を示すオ
シログラムであり、同図の横軸は(a),(b)共に共
通の時間を示し、縦軸は(a)はアーク電圧va、(b)
はアーク電流iaを示す。なお、(a)におけるvaはアー
ク電圧vaの波高値,V0は回復電圧を表し、(b)におけ
るIaはアーク電流iaの波高値を表す。
第7図はこのようにして得られたアーク電圧Va,アー
ク電流Iaの測定結果をまとめたグラフであり、横軸はア
ーク電流Ia〔A〕を示し、縦軸はアーク電圧Va〔V〕を
示す。
同図において、実線で囲まれた範囲35は、筒体31内を
真空状態にした時に得られた測定結果であり、この範囲
35内で測定結果がばらついていることを表す。点線で囲
まれた範囲36は、筒体31内に六弗化イオウ(SF6)ガス
を充填した時に得られた測定結果であり、同様にこの範
囲36内で測定結果がばらついていることを表している。
また、この実験では、交流ヒューズ部12の性能として
は定格電流INが100A程度までを考え、この3倍程度まで
の電流、すなわち、300A程度までの電流が遮断出来れば
良い。同図に示されているように、この範囲よりも広い
400A以下の電流範囲で、筒体31内が真空状態の時にはア
ーク電圧Vaの最大値は高々37V程度であり、筒体31内がS
F6ガスで充填されている時にはアーク電圧Vaの最大値は
高々130V程度である。つまり、この程度のアーク電圧Va
は回路電圧を実効値で7200Vに想定した場合の波高値に
対して各々約0.37%,1.3%程度にしか過ぎず、殆ど無視
出来る程度のものであるため、副ヒューズである交流ヒ
ューズ部12の発弧は、主ヒューズである限流ヒューズ部
11の溶断特性に与える影響は殆ど無い。
第8図は、筒体31内を真空および室内空気状態にして
模擬交流ヒューズの銅線33の太さおよび電極32間の距離
Lを変化させた場合の各銅線33の溶断特性を表すグラフ
である。
同図において、横軸は銅線33の直径φ〔mm)、縦軸は
最小溶断電流I〔A〕を表し、また、点線で示される3
本の直線41A,41B,41Cは筒体31内が真空状態の時におい
て、実線で示される3本の直線42A,42B,42Cは筒体31内
が室内空気状態の時において電極32間の距離Lが2,4,8
〔mm)の時の溶断特性を表すものである。
同図から分かることは、第1に、真空中では対流によ
る冷却がないので空気中に比べてやや太い銅線を使用す
る必要があるかに思えるが実際はそうでもないこと(同
一溶断電流では真空時の方が細い銅線で溶断する傾向に
ある)、また、第2に、一般の高圧限流ヒューズでは実
際には約600mm以上のヒューズ・エレメント長さが必要
であるのに対し、真空ヒューズでは高圧でも約2mm程度
の短いヒューズ・エレメント長さでも十分であることで
ある。このため、極めて細く、かつ、短いヒューズ・エ
レメントを使用することが出来、交流ヒューズ部12は小
型かつ軽量かつ低廉にすることが可能である。
次に、このような構造,特性を有する本ヒューズの各
電流域における遮断動作について以下に説明する。
限流ヒューズ部11の保護可能電流領域である特性曲線
23の点23Bと点23Cとの間の範囲における大電流の事故電
流に対しては、交流ヒューズ12のヒューズ・エレメント
18は溶断せず、または例え溶断しても電極17間に発生す
るアーク放電によるアーク電圧は、上述したように、電
源電圧に対して殆ど無視出来る程度のものであるため、
事故時の回路電流および回路電圧は殆ど影響を受けず、
限流ヒューズ部11はあたかも交流ヒューズ部12が存在し
ないかのようにして遮断動作を行う。つまり、限流ヒュ
ーズ部11のヒューズ・エレメント14は、その狭小断面積
部14Aが逐次に溶断して発弧し、アーク電圧は速やかに
高められて電源電圧に対抗し、事故電流は限流されて直
流遮断原理に基づいて直流遮断が行われる。なお、上述
したように、例え交流ヒューズ部12のヒューズ・エレメ
ント18が溶断したとしても、交流ヒューズ部12の内部構
造は、この限流ヒューズ部11による遮断が完了するま
で、この交流ヒューズ部12の内部に発生するエネルギー
に耐えられるものとなっている。
限流ヒューズ部11の保護不能電流領域である特性曲線
23の点23Aと点23Bとの間の範囲における小電流の事故電
流に対しては、限流ヒューズ部11のヒューズ・エレメン
ト14は溶断せず、また、この範囲は、交流ヒューズ部12
の保護可能範囲に含まれているので、小電流の事故電流
は交流ヒューズ部12によって遮断される。つまり、交流
ヒューズ部12の電極17間に張られたヒューズ・エレメン
ト18は、事故電流によって発生する熱が蓄積して溶断
し、電極17間にはアーク電流が発生する。このアーク電
流は交流回路の自然零点を待って、交流遮断原理に基づ
いて交流遮断が行われ、事故電流の遮断が完了する。
このように本実施例は、限流ヒューズ部11の直流遮断
原理に基づく直流遮断では保護することの出来ない保護
不能電流領域を、交流ヒューズ部12の交流遮断原理に基
づく交流遮断により保護することの可能な保護可能電流
領域で補ったことにより、従来保護することの出来なか
った小電流範囲の事故電流でも確実に保護することが出
来るようになった。
さらに、本ヒューズは小電流域の事故電流を交流遮断
原理に基づいて交流遮断をするため、最小溶断電流(例
えば定格電流INの130%〜160%の電流)以下の小電流で
あってもこれが交流ヒューズ部12のヒューズ・エレメン
ト18の劣化に基づくものであれば全て遮断をすることが
可能である。
例えば、力率改善用進相コンデンサの回路保護に用い
られている広域保護限流ヒューズのヒューズ・エレメン
トがこのコンデンサの頻繁な充放電によって劣化し、こ
の劣化によって発生する最小溶断電流以下の電流遮断
は、従来は考えも及ばず、また、全て遮断不能なもので
あったがこれも可能になった。また、このヒューズ・エ
レメントが経年変化によって劣化したり、振動等によっ
て通電中に断線することがあっても、また、それがいか
なる範囲の電流であっても確実に遮断をすることが可能
になった。
すなわち、従来のヒューズでは定格電流の200%以下
の小電流の事故電流から回路を保護することは不可能で
あったが、本実施例によるヒューズでは定格電流以下の
電流零値に近い微小電流の通電中に交流ヒューズ部12の
ヒューズ・エレメント18が劣化または振動等によって断
線した場合でもこれを全て完全に遮断することが可能に
なり、完全全領域の電流を遮断可能なものにした。
また、上述したように、この交流ヒューズ部12のヒュ
ーズ・エレメント18は極めて細くすることが出来、か
つ、電極17間距離は短く設定することが出来るため、交
流ヒューズ部12の形状は小型,軽量になり、また、構成
は簡素に出来るために安価に製造することが出来る。し
たがって、限流ヒューズ部11と一体にしても全体の形状
はコンパクト、かつ、低廉なものになり、実用性に富ん
だものになる。
なお、限流ヒューズと放出型ヒューズとを組み合わせ
たヒューズが考えられが、これは、装置が大型化して実
用性がないばかりではなく、限流ヒューズとして極めて
重要な特徴である外部に発弧ガス等を出さずに密閉容器
内で遮断を行うという特徴が失われ、さらに、高価なも
のになってしまう。
なお、上記実施例の第1図を使用した特性の説明で、
不動作電流は定格電流INの1.6倍として説明したがこれ
に限定されるものではなく、例えば定格電流INの1.3倍
であっても良く、上記実施例と同様な効果を奏する。ま
た、各特性曲線23,24上の各点はこれに限定されるもの
でなく、特に、点23A,24Aは各特性曲線23,24の電流Iに
対する下限をも含むものであり、点23C,24Cは各特性曲
線23,24の電流Iに対する上限をも含むものである。
なお、上記実施例の第2図を使用した構造の説明で、
交流ヒューズ部12の容器16内は真空状態のものとして説
明したが、第4図〜第7図に示した実験時に用いたSF6
ガスで容器16内を充填しても良く、上記実施例と同様な
効果を奏する。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明は、直流遮断する限流ヒュ
ーズと交流遮断する交流ヒューズとを直列に接続し、第
1の値I1から第2の値I2(I1<I2)までの通電電流範囲を
遮断可能電流領域とし、限流ヒューズは、I1よりも大き
くI2よりも小さい所定の値I3(I1<I3<I2)からI2までの
通電電流範囲を遮断可能電流領域とし、交流ヒューズ
は、少なくとも限流ヒューズの遮断不能領域であるI1
らI3までの通電電流範囲を遮断可能電流領域とし、ま
た、交流ヒューズを、微小な間隔で対向する一対の平板
状の電極とこの電極間に張られたヒューズエレメントと
により構成し、前記電極の間隔を、限流ヒューズが遮断
する際の大電流により前記ヒューズエレメントが溶断発
弧しても電極間のアーク電圧が抑制されるように設定す
るようにしたことにより、大電流の事故電流は限流ヒュ
ーズにより限流されて直流遮断原理に基づいて直流遮断
され、小電流の事故電流は交流ヒューズにより交流遮断
原理に基づいて確実に交流遮断される。このため、本発
明によるヒューズは小電流遮断試験(i3 test)規格に
基づくテストに完全に適合するようになって小電流遮断
性能の向上が図られ、さらに、完全全領域の電流範囲に
渡る電流が確実に遮断可能になるという効果を有し、し
かも、小型,軽量で安価な実用性のあるヒューズが得ら
れるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の特性を表すグラフ、第2図
はこの実施例の概略構造を表す断面図、第3図は第2図
に示されたヒューズ・エレメント14の斜視図、第4図は
第2図に示された交流ヒューズ部12の実現可能性につい
ての確証実験に用いた模擬交流ヒューズの構造を表す断
面図、第5図はこの実験に用いた試験回路図、第6図
(a),(b)はこの実験により得られた測定結果の一
例である模擬交流ヒューズ遮断時のアーク電圧波形,ア
ーク電流波形、第7図はこの測定結果をまとめて得られ
たアーク電圧Va−アーク電流Ia間の関係を示すグラフ、
第8図は第4図に示された模擬交流ヒューズの銅線33の
直径φ,電極32間の距離Lおよび炉31の状態を各因子と
するこれらの間の関係を表すグラフ、第9図は従来のヒ
ューズ・エレメントを表す斜視図、第10図は従来の限流
ヒューズを表す断面図、第11図は第10図に示されたヒュ
ーズ・エレメントを拡大した要部切断断面図である。 11……限流ヒューズ部、12……交流ヒューズ部、13,16
……密閉容器、14,18……ヒューズ・エレメント、17…
…電極、19A,19B,20,22……端子金具、21……収納絶縁
筒、23……限流ヒューズ部11の特性曲線、24……交流ヒ
ューズ部12の特性曲線、23A,23B,23C……特性曲線23上
の点(点23A〜点23B間の範囲は限流ヒューズ部11の保護
不能電流領域,点23B〜点23C間の範囲は限流ヒューズ部
11の保護可能電流領域を表す)、24A,24B,24C……特性
曲線24上の点(点24A〜点24B間の範囲は交流ヒューズ部
12の保護可能電流領域,点24B〜点24C間の範囲は交流ヒ
ューズ部12の保護不能電流領域を表す)。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直流遮断原理に基づいて事故電流を限流し
    て直流遮断する限流ヒューズと、交流遮断原理に基づい
    て事故電流を交流遮断する交流ヒューズとを直列に接続
    して構成し、第1の値I1から第2の値I2(I1<I2)までの
    通電電流範囲を遮断可能電流領域とする複合型領域保護
    ヒューズであって、 前記限流ヒューズは、前記I1よりも大きく前記I2よりも
    小さい所定の値I3(I1<I3<I2)から前記I2までの通電電
    流範囲を遮断可能電流領域とし、 前記交流ヒューズは、少なくとも前記限流ヒューズの遮
    断不能領域である前記I1からI3までの通電電流範囲を遮
    断可能電流領域とし、 また、前記交流ヒューズは、微小な間隔で対向する一対
    の平板状の電極とこの電極間に張られたヒューズエレメ
    ントとを有し、 前記電極の間隔は、前記限流ヒューズが遮断する際の大
    電流により前記ヒューズエレメントが溶断発弧しても電
    極間のアーク電圧が抑制されるように設定されている ことを特徴とする複合型全領域保護ヒューズ。
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